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週末公開の映画……2020.2.5 |
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『37セカンズ』★★★★
(満点は★★★★★)
先日、ボクのブログを読んで下さってる方から、映画のコラムを楽しみにしていると言われました。
「メジャーじゃないものをたくさん紹介してくれてるから、うれしい」と。
ありがたい言葉です(^-^)。
例えば、月イチぐらいで映画を見る人が「何を見よう」となった時、そりゃ、話題作に行きますよね。それは仕方のないこと。
お金の掛かった話題作も面白いけど、他にもあるよという選択肢になればと思ってます。
と言っても、映画評論家の皆さんと比べたら、数は少ない、少ない。ホント、雲泥の差。
それでも一生モノとの“出会い”って、そんな中にあったりもしますから。
さ、今週は1本です!
『37セカンズ』は、障がいを持つひとりの女性の“生きる”物語。
23歳のユマは、身体に障がいを抱える女性。
離婚をし、シングルマザーになった母の恭子が、常に面倒を見てくれるのですが、それが成人したユマにとって、たまに息苦しく感じるのも事実。
ユマは漫画を描くのが得意で、親友の人気少女漫画家、SAYAKAのゴーストライターとして収入を得ています。
SAYAKAの作品は、ほとんどがユマの手によるもの。なのに、ユマにはまったくスポットライトが当たらない。名声も、多くのお金も、みんなSAYAKAのもの。
ユマも自分自身の名義で頑張ってみたいと、編集者に新しい作品を見せるのですが、「先生の作品に似過ぎてますね」と言われてしまいます。
落ち込んだユマが、公園の片隅で見つけたもの。それは、アダルトコミックの雑誌でした。
思い切って、編集部に電話をしてみると、「原稿を持ってきて」と。ユマはセクシーなシーンも描いたSFコミックを仕上げて、出版社を訪れます。
対応したのは女性編集長。
車椅子姿のユマを見て、「リアリティがないんだよね。作家に経験がないと、いい作品は作れないの」と言われてしまいます。
しかし、その言葉が、ユマの人生を変える一歩を踏み出す、大きなきっかけとなったのです…。
タイトルの『37セカンズ』とは、“37秒”のこと。
ユマが生まれて来る時、息をしていなかった時間です。
その結果、身体に障がいを抱えてしまった。そんなユマを、実際、出産時に障がいを負った佳山明が演じています。
監督のHIKARIは、健常者の女優ではなく、「ユマはどこかに必ずいる」と、オーディションから佳山明を見つけたと言います。
試写状が届いた時、最初はドキュメンタリーかと思いましたが、フィクションなんですね。
でも、様々な現実を知ることになる。
介護に携わるのは介護福祉士だけじゃない、障がいを持つ人の性の問題に対処する人もいる。
漫画だって、少女コミックだけじゃない、アダルトコミックもある。
母の愛情も、友の友情も…。
みんな表と裏があって、実はどちらも“真”。
でも、みんな表ばかりを見ようとするから、事実が見えない。
障がい者も、健常者も、悩みの形が違うだけで、生きるって大変なんだって。そう、誰もが何かしらの問題を抱えながら、懸命に生きてるはずなんです。その“事実”には、障がい者も健常者もないと思うんですね。
一歩踏み出した後のユマから、多くのことを学んだ気がします。
佳山明の体当たりの演技に、感動するはずです。★4つ。
「37セカンズ」公式サイト
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