『アンダー・ハー・マウス』☆☆☆
『ナラタージュ』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)
今週紹介する2作品は、どちらも赤裸々な?恋愛映画。
おそらく男性と女性で感じ方や、見る立ち位置が違うと思います。
「大切な人と映画館に行って、鑑賞後に語り合ってみては?」と言いたいところですが、
それをしたら、何組かが破談になるような予感すらします(笑)。
それほどにエッジが利いた恋愛映画だということなんですけどね。
☆の数は、いつもいうように個人的嗜好。
どちらもボクの恋愛観にマッチする登場人物が端っこの人だったからという☆です(笑)。
是非、見てみて下さい!
さ、今週は2本です!
『アンダー・ハー・マウス』は、女性の立場から見た、愛と官能の映画。
大工として働くダラスは、たくましくも美しい“イケメン”女性。
ダラスが愛するのは女性で、毎晩のように違う女性と体を重ねていたのです。
そんなダラスが、仕事現場近くで、ひとりの女性を見かけます。
その瞬間から、彼女のことが気になって仕方がなくなるダラス。
女性の名はジャスミン。ファッション誌の編集者です。
その夜、ジャスミンが飛び込みで入った女性専用のバーで、ふたりは偶然再会。
ダラスはジャスミンとキスを交わすんですね。
ところが、ジャスミンには婚約者の男性がいる。
自分のした過ちに動揺したジャスミンは、慌ててその場を立ち去ります。
それでもジャスミンは、
自分の中に経験したことのない感情が沸き上がっいることに気付いてしまったのです…。
この映画のスタッフはすべて女性。女性による、女性のための、女性の官能映画です。
主演のダラスを演じるエリカ・リンダーは、多くの世界的ファッション誌を飾る人気モデル。
デビュー作にして、このような大胆な演技が出来たのも、撮影環境が大きかったのかもしれませんね。
ジャスミンは同棲中の婚約者が出張で家を空けた際に、ダラスと関係を持ちます。
真の愛に出逢ってしまったふたり。セレブな彼か、それともダラスか。
ジャスミンは人生の選択を迫られることになるわけです。
男性と女性で、恋愛観ってまったく違うじゃないですか。
ボクは男なので、ジャスミンの婚約者目線で見ちゃう。
ダラスとの関係を知ったあと、戸惑いながらもやり直そうと努める彼の目線で。
でもね、女性は違うんだなぁ。ある意味、残酷…(笑)。
勉強にはなるけど、じゃあ、ここから学べるかというと学べないかも。
だって、性の本能の部分だから。
男性目線で見ると、スクリーンに映し出される美しい裸に釘付けです。
それもまた本能…(笑)。☆3つ。
「アンダー・ハー・マウス」公式サイト
『ナラタージュ』は、行定勲監督最新作。
泉は大学2年生。
ある日のこと、彼女の携帯に、
高校時代の演劇部の顧問だった葉山先生から電話が入ります。
後輩の卒業公演に参加してもらえないだろうかという、依頼の電話でした。
葉山先生は、孤独だった高校時代の泉に、演劇という居場所を与えてくれた大切な恩師で、
互いに特別な感情を抱く存在でもありました。
卒業以来、久し振りの再会を果たした泉と葉山先生。
忘れようとしていた先生への思いが、泉の中に、再び湧き出してきたのでした…。
葉山先生に松本潤、泉に有村架純。
原作は2006年の「この恋愛小説がすごい!」で1位に輝いた、島本理生の同名小説です。
ちなみにタイトルは“ナレーション+モンタージュ”の造語だとか。
映画は、泉が就職した映画宣伝会社での残業シーンから始まり、泉の回想で物語が進んでいきます。
葉山先生には妻がいる。でもその妻はとはワケあって、別居生活を送っている。
高校時代の泉は先生の研究室へ行くのが楽しみで、葉山先生も泉が来るのを心待ちにする毎日。
互いに共通の思いがある。でも口には出せない。そして、卒業式のキス…。
女子大生になった泉に、平静を装い接する葉山先生。
再び交錯するふたりの気持ち。
もどかしいほどにすれ違い、時にわざと交わらないようにする関係。
またも葉山先生を諦めた泉が、卒業公演をきっかけに知り合った大学生と付き合い始める。
でも、彼の嫉妬が泉を戸惑わせ、運命の悪戯か、
先生の元に泉が向かわざるを得ない事件が起きます。
あ、説明が長いな…(笑)。
とにかく行定勲監督は、男子と女子が出会ってどうのこうのなんていう、
恋愛コミック的恋愛ものじゃなく、人を好きになるっていうのはこんなにドロドロして、
自分や相手の嫌な部分も出て、
見た若者が「こんなに面倒臭いなら、恋愛なんてしないほうがマシ」
ぐらい感じるような作品を撮りたかったと。
なんかわかります(笑)。ボクは坂口健太郎扮する小野くんという、
泉とちょっとだけ付き合う大学生の気持ちがわからなくはないから(笑)。
あ、ボクは好きな人のピンチには、何があろうと駆けつけますけど。
好きになったらグソグソなんですよ。何もかも自分のものにしたいし、束縛もしたい。
でも、それじゃダメだと次第にわかってくる。だって、小学生の時にやった“集合”の図でね、
交わるところが一致する部分だとしたら、そうじゃない、
交わらないところが必ず人間にはある。
そこも重ねようったって無理だし、それはエゴだから。
大人になるって、そこを理解し、我慢することかな。
でも、恋愛で大人になるって、難しいんだよね。
自分を制御するって、無理をするってことだから。
小野くんはまだ子供でした(笑)。
でも、愛し方は、きっとこれからも変わらないよ。自分を押さえる術は学ぶんだろうけどね。
なんて、たくさん語りたくなる1本です。この映画は、ひとりで見てもいいかもしれないなぁ。
冒頭に書いたような理由で(笑)、☆3つ。
「ナラタージュ」公式サイト
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