週末公開の映画……2014.12.26

「真夜中の五分前」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今年もこの映画評を読んで頂いて、ありがとうございました。
この原稿を書いている段階で、今年は125本の試写を見させて頂きました。
素晴らしい作品にも出会えました。
いつも言うように、映画は食と同じで“好き嫌い”。個人の好みがあります。
ボクがいいと思ってもピンと来ない人もいれば、
ボクが今ひとつと思った映画に感動する人もいるでしょう。
「気になったら自分の目で確かめる」。
そのきっかけになればと思っています。
新年は2週目からになるかなと思います。2015年もどうぞお付き合い下さい!
さ、今年最後は1本です!


「真夜中の五分前」は、行定勲監督作品、三浦春馬主演作。

心に傷を抱き、上海の小さな時計店で働く良。
中国語もまだ完璧でない良の息抜きが、公営プールでの水泳でした。
そのプールで、実に美しい泳ぎをする女性に目を奪われます。
ロビーのベンチに座っていると、その女性が話しかけてくるではありませんか。
「この後、時間ありませんか?」。
ある人へのプレゼントを一緒に選んで欲しいというのです。
彼女の名はルオラン。良はルオランをバイクの後ろに乗せ、街に出ますが、なかなか意中のものが見つからず、
自分の店にあるオルゴール付の時計を手渡し、その日は別れます。
後日再会し、食事をするルオランと良。
ところがそこでルオランが双子の姉妹であることを知るんですね。
そっくりな妹のルーメイは人気モデル。婚約者は映画プロデューサー。
積極的な性格のルーメイは、姉のルオランとは正反対。
フィアンセも最初はルオランと仲良しだったのに。
姉のものも遠慮なく奪ってしまう自由奔放な妹に、ルオランは嫉妬すら感じていたのです。
ところが、ある日のこと、ルオランとルーメイが旅行先で大事故に遭います。
ルオランが死亡、ルーメイは助かったのですが、
婚約者は「彼女はルーメイではない。本当はルオランじゃないか」と言うのです。
良は真偽を確かめて欲しいと頼まれるのですが…。

上海ロケの作品。
良は恋人を亡くし、その恋人が時間を慈しむように、いつも時計を五分前に合わせていたと。
その針を直せずにいる良。
ルオランも、ルーメイに翻弄された時間を取り戻したいと。
映画の根底には“前に一歩踏み出す自分”というテーマが流れているよう。
そこにサスペンスの要素が散りばめられ、
上海の古い街並みがミステリアスな雰囲気をさらに醸し出すという。
主演の三浦春馬は、中国語の勉強、練習をものすごく頑張ったようです。発音難しいんですよねぇ。
映画は“映画らしい映画”というのかな。ストンと腑に落ちるかはわかりませんが、
落ちかけの感が映画というか(笑)。ご覧になると意味はわかると思いますョ。☆3つ。
「真夜中の五分前」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.12.17

「天空からの招待状」☆☆☆☆☆
「バンクーバーの朝日」☆☆☆
「ベイマックス」☆☆☆☆
「マップ・トゥ・ザ・スターズ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


試写会で前の席に座っていた、初老の男性ふたりの会話に耳を傾けていると、
「いやぁ、素晴らしい映画でね、また音楽があまりに素晴らしくて。
目を閉じて聴いてたら、寝ちゃいましたよ」。
は?寝ちゃってちゃ、素晴らしいかどうかわからないじゃないですか(笑)。
真面目なのかギャグなのか。どっちなんでしょ?
さ、今週は4本です!


「天空からの招待状」は、台湾のドキュメンタリー作品。

台湾政府に勤め、国家公務員として航空写真を撮り続けてきたチー・ポーリン氏。
20年以上、カメラを構えてわかったこと。
それは故郷・台湾が明らかに姿を変えているということでした。
その窮状を訴えるには、実際の映像を見せるしかないと、
定年まで2年勤め上げれば老後の安定は約束されていたにもかかわらず、チー氏は退職。
そうして、この映画を作り上げたのです。
まずは台湾の美しい風景が映し出されます。
次第に映像は、今まさに破壊が進行している景色へと移ります。
木々が伐採され、いつ土砂が流れ落ちてもおかしくない山合いの道路。
観光スポットとして人気の高山の駅の、すぐ真裏にまで迫った崖崩れ。
魚の養殖のために潮目が変わってしまった海。
地下水の汲み上げ過ぎで沈下した地盤。
人間が自らの欲のために自然を破壊してきた、その揺り戻しが来てしまってるんですね。
それらのすべてを映してます。これは我が国日本においても、まったく同じことが言えるはず。
環境問題について、じっくり考える契機になる、素晴らしい映画です。
台湾では社会現象にもなったとか。“志”が世の中を動かしました。満点の☆5つ!
「天空からの招待状」公式サイト



「バンクーバーの朝日」は、実話に基づくストーリー。

19世紀末から戦前にかけ、一獲千金を夢見てカナダに渡った日本人たち。
ところが実際に待っていたのは、低賃金での過酷な肉体労働と人種差別。
そんな中でも日本人街を作り、コツコツと勤勉に働いていたのでした。
そんな彼らの数少ない娯楽のひとつが野球。
日系移民二世を中心とした“バンクーバー朝日”のプレーでした。
パワーではかなわないと、バントや盗塁、ヒットエンドランなど、小技を使ってカナダ人チームを翻弄。
西海岸リーグのチャンピオンとなり、日本人はもとより、白人からも熱狂的な支持を受けることに。
そんな人種を超えた交流を打ち砕いたのは、そう、太平洋戦争だったのです…。

1914年から41年まで、バンクーバーに実在した野球チーム。
戦争で解散を余儀なくされた後は、再びナインが集まることはなかったとか。
それでも2003年にはカナダの野球殿堂入りを果たしたバンクーバー朝日。
我々が想像する以上にカナダの人々に愛されていたのでしょう。
ただ、個々のエピソードが弱い、というと実在のみなさんに悪いのですが、
映画としてはドラマチックな何かにもうひとつ欠けていた気がします。
過剰な演出ができないのは“実話に基づく”作品の厳しい部分かもしれませんね。☆3つ。
「バンクーバーの朝日」公式サイト



「ベイマックス」は、ディズニーのCGアニメ映画。

14歳のヒロは天才科学少年。
幼い頃に両親を亡くし、今は叔母と、大好きな兄のタダシと暮らしています。
ヒロは非合法なロボット・ファイト界で荒稼ぎ。当然のようにトラブルにも巻き込まれます。
そんな弟を心配したタダシが、自分の通うサンフランソウキョウ工科大学にヒロを連れて行くんですね。
そこには天才的頭脳が集結し、さらにはロボット工学の第一人者、キャラハン教授もいたのです。
ヒロの関心は一気にこの大学へ。
入学試験用の発明に明け暮れ、
完成させたのは無限の可能性を秘めた超ミニサイズのマイクロロボットでした。
キャラハン教授も、世界的ハイテク企業の社長も絶賛する中、ヒロは大学に合格。
しかし喜びも束の間、なんと会場が火の海に。ヒロと共に一度は逃げ出せたタダシでしたが、
キャラハン教授を助けに炎の中へと飛び込んでいったのです。
兄を亡くした悲しみに暮れるヒロ。
そんなある日、ヒロの前にマシュマロのような、不思議なロボットが現れます。
彼こそが、タダシが開発したケア・ロボット、ベイマックスだったのです…。

可愛くてあったかくて。
この映画にはふたりの監督がいるんですが、どちらも日本のポップ・カルチャーに多大な影響を受けたようで、
舞台となるサンフランソウキョウは、まんま東京。
ボクら日本人には、今まで以上に身近に感じる作品かも。昔、「カーズ」でもありましたね。
タダシの優しさをヒロが理解し、受け継いで。
絶対に戦わないロボット、ベイマックスは不戦の象徴であるかのよう。
きな臭い現代に、ファンタジーながら、人間愛と平和を考えさせる。そんな1本です。☆4つ。
「ベイマックス」公式サイト



「マップ・トゥ・ザ・スターズ」は、ハリウッド・セレブのスキャンダラスな暗部を描いた作品。

成功者の証しでもある、ハリウッドの大豪邸に住むワイス一家。
主人のスタッフォードはセラピストとして人気を博し、
息子のベンジーは13歳にして巨額のギャラを得る超人気子役。
母のクリスティーナは彼のマネージャーを務めていたのです。
幸せの絶頂にいるようなワイス家の面々でしたが、ベンジーが薬物に手を出し、周りは火消しに躍起。
さらに、厄介者扱いされて療養所に入れられていたベンジーの姉、アガサがこの街に帰ってきたのです。
“いないはずの娘”アガサはスタッフォードのセラピーを受けている、
落ち目のハリウッド女優ハバナの個人秘書になり、
事情を知らないハバナからスタッフォードはアガサの話を入手。
実の娘を何とか遠ざけようと画策します。
歪んだ日常に暮らすワイス家の面々。
この家族の“幸せ”に、どんな結末が待つのでしょうか…。

なかなか面白かったですョ。というか、あとになって振り返ってみると、なるほど面白いなぁと。
あまり事前に粗筋を読まないボクですが、
これは少し知ってから見たほうが面白いかも。あるいは2度見る、ですかね。
結末も、仕掛けがボクらの常識とはあまりにかけ離れているから、愕然とするというか。
あ、あんまり話しちゃいけませんね(笑)。☆3つ。
「マップ・トゥ・ザ・スターズ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.12.12

「アオハライド」☆☆
「あと1センチの恋」☆☆☆
「おやすみなさいを言いたくて」☆☆☆☆
「ゴーン・ガール」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


寒いですね。風邪など引いてませんか?
寒くなりましたね。インフルエンザも流行ってるみたいで。
人混みに行く時は、予防の意味でもマスクは必要かも。
今年もあとわずか。お互い、体調管理には気をつけましょう。
さ、今週は4本です!


「アオハライド」は、人気少女コミックの実写映画化。

双葉は高校2年の女子高生。
ある日、学校で、中1の時に突然転校してしまった洸を見かけます。
互いに好きだったのに、夏祭りの約束も果たさず、いなくいなくなってしまった洸。
思い切って話かけるも、どこか人が変わってしまったようで。
ただ、そんなそっけない態度の中にも、昔の洸は存在していたのでした。
自分を押し殺して周りに合わせていた双葉は、洸との再会の後、
正直に生きようと心に決めます。そうして出来た真の親友たち。
青春(アオハル)な日々を送る中で、洸の空白の4年間の出来事が明らかになっていくのです…。

アオハル(青春)にRIDEする。「アオハライド」な訳ですね。
洸に東出昌大、双葉に本田翼が扮します。
進んだり戻ったりの感情が、ちょっともどかしいというか、イライラするというか。
ま、おっさんの感想ですから(笑)。
ただ、そのおっさんから言わせてもらうと、「優しさって何?」って話なわけです。
外に対しては自分に正直に、でも自分に対しては自分を押し殺してませんか?
というプチ矛盾の上に成り立つお話。ああ、おっさんだ…(笑)。
ま、人生“揺り戻し”ですから、M的自己犠牲の逆側に、
超絶達成感があるだろうと信じて生きてる人にはいいのかも。
おっさん的には、すみません、☆2つ。
「アオハライド」公式サイト



「あと1センチの恋」は、「P.S.アイラヴユー」の作家、セシリア・アハーン原作の映画化。

ロージーとアレックスは幼なじみ。
互いに好意を持っているのに、いつもすれ違い。“友達以上恋人未満”の関係を超えられずにいたのです。
アレックスは医者志望。高校卒業間近になった時、イギリスの田舎町を離れ、
アメリカのボストンへ留学しようとロージーを誘います。ロージーはホテル経営が夢。
その話に乗るのですが、軽い気持ちでクラスの別の男子とした初めてのセックスで、
ロージーは妊娠してしまうのです。
再会を誓いつつ、アレックスはひとりボストンへ。
それぞれに恋人がいても、結婚しようとも、連絡を取り合ってきたふたり。
別のパートナーにどこか違和感を感じつつも、それでもわずかな距離が詰まらない。
そんなロージーとアレックスの関係に、変化が起こるのです…。

これまたもどかしい(笑)。そこでそっちを選ぶのかよと、またまたイラッとしてしまうかも。
ただひとつ、海外の青春映画は日本の青春ものと比べて、設定が大胆ですよね。
セックスとか当たり前に描いてるけど、日本のハイスクールものじゃ、まず考えられない。
くっついたり離れたりも、結婚したり離婚したりと、何かと振れ幅が大きい(笑)。
そこが我々日本人にとって、リアリティがないかなぁ。
でもそのぶん、映画らしい別世界へのバーチャルトリップみたいな感覚はあるのかもしれませんね。
最後は幸せになればそれでいっか(笑)。☆3つ。
「あと1センチの恋」公式サイト



「おやすみなさいを言いたくて」は、ジュリエット・ビノシュ主演の社会派映画。

レベッカは報道カメラマン。紛争地域の現状を伝えるためなら、死をもいとわない志の高い女性。
そんな彼女が、アフガニスタンの首都カブールで女性の自爆テロ犯を取材中、
爆発に巻き込まれ、重傷を負います。
病院に駆けつけた夫マーカスと、ふたりの娘の待つアイルランドへ帰るレベッカ。
そこでマーカスから言われたのは
「君との生活はもう無理だ。待っている家族の気持ちがわかるか?」という言葉でした。
自分の仕事を理解し、
一緒に暮らせなくても家族はうまくいっていると信じてきたレベッカにはあまりにツラい通達。
レベッカは悩んだ末、写真ではなく、家族を選ぶことにします。
ところがある日のこと、安全な場所だからと、
レベッカはケニアの難民キャンプの撮影を依頼されるんですね。
長女のステフも高校の課題のために、母に同行したいと。
これには夫マーカスもOKを出すのですが、実際にはそこも決して安全ではなく、
反政府軍の襲撃を受けることに。
報道カメラマンとしての血が騒ぎ、怖がる娘を預けて、シャッターを押すレベッカ。
このことがマーカスの知るところとなり、遂に家族は崩壊してしまうのです…。

考えさせられます。
「真実を伝えたい」。ただそれだけの思いで、命を投げ打ってまで紛争地域に赴くジャーナリスト。
1枚の写真が、確かに世界を変えることもあるでしょう。
ただ、その代償は?多くのことを犠牲にしてるんだということなんですよね。
レベッカが選ぶのは“仕事”それとも“家族”?最終的にどんな決断を下すのか。
つまりこの映画の“オチ”なんですが、「なるほど…」と思わされる形で映画は終わります。
繰り返しになりますが、考えさせられますョ。どうぞ、考えてみて下さい。☆4つ。
「おやすみなさいを言いたくて」公式サイト



「ゴーン・ガール」は、「セブン」の監督、デヴィッド・フィンチャー最新作。

NYでライターをしていたニックはエイミーと出会い、大恋愛に。
ふたりは結婚して、ニックの故郷ミズーリ州の小さな街に暮らし始めます。
実はエイミーは、幼い頃に人気絵本のモデルとして描かれていた女の子。
お金持ちのお嬢さんだったのです。
迎えた5回目の結婚記念日。エイミーはキッチンに血痕を残し、忽然と姿を消してしまいます。
他殺か、失踪か。
夫のニックが容疑者として疑われ、田舎町に全米の注目が集まり、
マスコミがニックの私生活を探り、中傷し始めます。
実はエイミーは“結婚記念日の宝探し”なるもののメッセージを残していたんですね。その意味とは?
エイミーの失踪。果たして、真相は…。

ギリアン・フリンという女性作家のミステリー小説の映画化。
謎解きの中に謎解きがあるような、興味しんしんで見入る一方で、その難解さに眉間にしわが寄るかも(笑)。
ま、ミステリーですから、これ以上は書きません。できれば、2回見たいかなって映画です。☆3つ。
「ゴーン・ガール」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.11.28

「寄生獣」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


寒いですね。風邪など引いてませんか?
心が風邪を引かないように、素敵な映画はいかがです?
なんてキザなセリフが本当に似合いませんね…(笑)。
さ、今週は1本です!



「寄生獣」は、岩明均の人気コミックの映画化。

地球の人口が増え、自然破壊、環境汚染が進み、人間の数が減れば“悪”も減るのではないか。
そんな考えすら否定できない現代社会に、新種の寄生生物が現れます。
人間の脳を食らい、その身体に寄生する知的生物“パラサイト”です。
ごく普通の高校生だった新一に寄生しようとしたパラサイトは、
脳の奪取に失敗し、なんと右手に宿ってしまいます。
動揺する新一に、「おまえの血液から栄養分をもらっているから、殺しはしない。
ただ、視覚や聴覚を奪うのは容易いことだからな」と。
自らを“ミギー”と名乗り、新一とコミュニケーションを取りながら“共生”するのでした。
世間ではパラサイトによる殺人事件が多発。
警察は、この残虐な事件の全容がまったく掴めません。
新一も、母親やクラスメートを巻き込んで、パラサイトと戦う日々。ミギーは味方?それとも?
果たして、人類は生き残れるのでしょうか…。

シリアスなSFなのか、コミカルなのか、TVのCFなどを見てるとわかりませんよね(笑)。
ま、どっちも含まれてるって感じでしょうか。
実は『完結編』なるものが、来年4月に公開予定で、そのイントロダクション的1本。
ラストに付いていた予告を見る限り、『完結編』の方が中身が濃そう。
今作はミギーの誕生エピソードと、パラサイトの残虐性、
そしてカギを握りそうな“母性”が描かれており、次に繋がるんだと思います。
コミックやアニメのファン、それらを知らなくても気になるという方は見ておいて下さい。
☆3つ。
「寄生獣」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.11.20

「西遊記〜はじまりのはじまり〜」☆☆☆☆☆
「滝を見にいく」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


あっという間に11月も過ぎて、師走がもう目の前。
12月になると何かと気ぜわしくて、映画を観る余裕なんてないという人も多いのでは?
かく言うボクがそうならないか心配です(笑)。
さ、今週は2本です!



「西遊記〜はじまりのはじまり〜」は、
「少林サッカー」のチャウ・シンチー監督最新作。

川沿いの村に突如現れた半魚半獣の妖怪。村はパニックに。
するとそこに妖怪ハンターの玄奬が来て、妖怪退治。陸に上げると、妖怪は人の姿に変わります。
玄奬は師匠の教えに忠実に“わらべ唄”で良心を引き出そうとするのですが、効果なし。
そこにもうひとりの女性妖怪ハンターが現れて、「甘い!」と一喝するや、
風呂敷のような布に妖怪をくるんで密封してしまいます。
彼女の名は段。実は凄腕の妖怪ハンターだったのです。
山奥の料理店でも妖怪が現れます。
妖しいイケメンオーナーが豚の妖怪で、最後はイノシシの姿に化けて逃げていったのです。
師匠曰く、「あの化け物を倒せるのは、五指山のふもとに閉じ込められた孫悟空だけだ」。
玄奬は五指山を目指すことになるのですが…。

面白かったですョ。映像的にも秀逸で、スピード感もあり、ストーリーもよく練れていて。
段はお金目当てじゃない玄奬のまっすぐな正義感に惚れて、玄奬を追いかけます。
その玄奬こそが、三蔵法師。出会った妖怪たちが沙悟浄、猪八戒などになっていく。
孫悟空もそんなヤツだったんだと(笑)。「西遊記」の前段の物語をうまく作ったものです。
最後に日本でおなじみの刑事ドラマの曲が流れたりして、ボクら日本人はニヤリ(笑)。
久々にこの手の映画で高得点!☆5つ。
「西遊記〜はじまりのはじまり〜」公式サイト



「滝を見にいく」は、おばちゃんたちのちっちゃな冒険ストーリー。

幻の滝を見に行くというバスツアーに参加した7人のおばちゃんたち。
バスの中で、ガイドの話はつまらなく、こんなガイドで大丈夫なのかという空気が流れます。
すると、その予感は的中。一行は山の中で迷ってしまうんですね。
道を探しにいくと言って7人を残して行ったガイドはいつまで経っても戻らない。
ならばとおばちゃんたちも二手に別れてガイドを探しにいきます。
すると腰痛が出て歩けなくなった女性がひとり。助けながらの下山を決意します。
近道の看板を見つけて、そっちへ進むも、さらなる深みにはまってしまう7人。
果たして、無事帰還することはできるのでしょうか?

44歳から79歳まで、様々な人生を歩んできた7人のおばちゃんが山で迷う。
女性の難しさで、なかなか一致団結という訳にはいかず、自ずと7人は分裂。
そのあたりはおそらくリアリティがあって、
同じ目線で見られる中高年女性には「あー、あるある」と、きっとニヤニヤできるのでしょう。
演技経験の有無を問わず、オーディションで選ばれた7人だとか。
“非日常”という意味では監督の狙い通り、出演者の人生においても“非日常”ですから、
ここにもリアリティがあるのかもしれませんが、やっぱり素人っぽさとか、
舞台女優さん特有の匂いとかが強く漂います。そのあたりかな。
遭難した山中で起こる出来事も、ある程度は想像がついちゃいますからね。
ごめんなさい、男性目線では今ひとつ。
ターゲットはきっと出演者と同年代の女性かと思います。☆2つ。
「滝を見にいく」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.11.14

「神さまの言うとおり」☆☆☆
「TATSUMI マンガに革命を起こした男」☆☆☆
「天才スピヴェット」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、東京競馬場でアルゼンチンタンゴの演奏とダンスのMCを担当したのですが、
バンドネオン奏者の平田耕治さんにご挨拶した際、
映画『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち』の話でひと盛り上がり。
以前見た映画が、こんな場面でも役に立つんだなと思いました。
人の出逢いと同じぐらい、映画との出会いも大切なんですね。
さ、今週は3本です!



「神さまの言うとおり」は、人気コミックの映画化。

高畑瞬は毎日が退屈で、何となく生きている、ごく普通の高校生。
ところが、ある日突然、通っていた高校が訳のわからない状況に陥っていたのです。
教卓の上にはダルマがいて、教室の床には血だらけのクラスメートの遺体が転がっています。
謎のダルマは“ダルマさんが転んだ”をやっていて、ちょっとでも動くと頭が吹き飛びます。
背中にはカウントダウンの進むタイマーとボタンが付いていて、
どうやらボタンを押すとゲームは終わるらしい。
だけど、フェイントが得意なダルマは簡単に近づかせてはくれません。

次々と命を落とす友人たち。
タイムリミットギリギリになんとかボタンを押した瞬は、教室を脱出。
すると幼なじみのいちかも助かったよう。
ところが、向かった先の体育館で、今度は巨大なまねき猫が爪を研いでいたのです…。

奇想天外な発想。別冊少年マガジンで連載が始まり、続編が少年マガジンに掲載され、
大人気を博したのも納得です。
まねき猫のあとも、次々と奇妙なキャラが登場。
命賭けのゲームが待ち続け、マトリョーシカと缶ケリをしたところでとりあえず終了。
この事象は全国の高校で起こっていて、生き残った高校生たちは“神の子”として崇められるという。
映画にも続編があるような?楽しみに待ちますか。☆3つ。
「神さまの言うとおり」公式サイト



「TATSUMI マンガに革命を起こした男」は、
漫画家・辰巳ヨシヒロの半生を作品と共に描き出した映画。

手塚治虫に影響を受け、マンガを書き始めた辰巳少年。
雑誌に4コマ漫画を投稿することから始まり、初めて自分の作品が本に。
プロのマンガ家になった瞬間でした。
その後、貸本マンガの流行で、世の論調は“低俗なマンガが氾濫している”と、マンガを悪者扱い。
そこで、辰巳はドラマ性を持つ“劇画”というジャンルを提唱します。
マンガ家仲間と『劇画工房』を作り、その普及に努めた結果、マンガの地位は向上。
次々と人気マンガ家が登場するのですが、辰巳への注文は減っていくことに。
それでも、現在75歳の辰巳ヨシヒロが“劇画”の生みの親であることは間違いなく、
それをシンガポールを中心に活動するエリック・クー監督が映画にしたのです。
辰巳ヨシヒロの生い立ちを追いつつ、彼の作品が5つの短編マンガとして流れます。
社会性のあるシュールな作品たち。興味深かったですョ。☆3つ。
「TATSUMI マンガに革命を起こした男」公式サイト



「天才スピヴェット」は、『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督最新作。

広い牧場に住む、とある家族。カウボーイの生き方を追求する父と、昆虫博士の母。
アイドルを目指す姉と、そして10歳の弟・スピヴェット。
スピヴェットは天才で、磁気車輪なるものを発明し、コンテストに応募したところ、
スミソニアン博物館から電話があり、大きな賞に輝いたと。
最初は口のきけない父の発明だと嘘をつき、授賞式への参加とスピーチを断ったのですが、
田舎の牧場でこの頭脳を活かせるはずもなく、スミソニアンでならと思い立ったスピヴェットは、
家出同然に授賞式へ。
モンタナ州からシカゴまで、10歳の少年による大陸横断の一人旅が始まったのです…。

実はスピヴェット、双子の弟がいたのですが、銃の事故で亡くなったばかり。
家族の心の中に、ポッカリ穴が開いていて、いくら双子でも、
それを自分では埋められないとスピヴェットは感じていたのです。
ある種のロードムービーで、小さな冒険旅行でもあります。
3Dというところもミソかな。健気でかわいい少年の旅に、あなたも付き合ってみては?☆3つ。
「天才スピヴェット」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.11.7

「最後の命」☆☆
「ザ・ゲスト」☆☆☆
「至高のエトワール〜パリ・オペラ座に生きて〜」☆☆☆
「花宵道中」☆☆☆
「福福荘の福ちゃん」☆☆☆☆
「わらう分身」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今年もあと2ヶ月を切りました。だんだんと忙しさが増す季節。
年末までにあと何本試写を見られるかわかりませんが、積極的に脚を運び、
いい作品に出会って、みなさんにご紹介したいものです!
さ、今週は6本です!



「最後の命」は、芥川賞作家・中村文則の小説の映画化。

桂人と裕一は幼なじみ。
幼少期にホームレスが暮らす集落で、ひとりの女性が犯される場面に遭遇したふたりは、
それがそれぞれにトラウマとなり、青年期を迎えていたのでした。
高校を卒業して以来、会っていなかった桂人と裕一でしたが、ある日突然、
桂人のもとに裕一から電話が入ります。久し振りの再会を果たすふたり。
しかしその夜、桂人の部屋で顔見知りのデリヘル嬢が殺されたのです。
取り調べを受ける桂人に刑事が言います。
「冴木裕一を知ってるね。連続婦女暴行で指名手配中の容疑者だ」。
自身も心に闇を抱える桂人でしたが、高校を卒業してからの裕一に一体何があったのか?
何故裕一は桂人に突然会いに来たのか?殺人事件の真犯人は本当に裕一なのか?
その謎が徐々に解き明かされていくのでした…。

極力、他人との接触を避けてきた桂人。ここにもうひとり、香里という高校の同級生の存在が絡んでくる。
彼女は心を病んで入院中なんです。
ボクは原作を読んでいないので比較はできませんが、おそらくもっと深い心のひだのようなものを文章から、
あるいは行間から読み取れるんじゃないかと想像します。
その映像化は、なかなか難しかったのかなぁと。
人が自己と向き合って悩み、なおかつ人を思いやる。
幼少期のショッキングな経験が大きな心の傷になっている若者がです。
描きたいことは「こういうことじゃないか」と推測はできますが、
それをどう受け止めるかは見る人次第でしょうか。☆2つ。
「最後の命」公式サイト



「ザ・ゲスト」は、サスペンス・スリラー。

イラク戦争で息子を亡くした一家のもとに、ひとりの若者が訪れます。彼の名はデイヴィッド。
息子と同じ部隊に所属した兵士で、息子の遺言を伝えに来たと。
応対に出た母親のローラは、息子の話を聞かせて欲しいとデイヴィッドを家に招き入れます。
送られてきた戦場の写真に、確かにふたりが写っており、妹、弟にも紹介。
父は最初こそ見知らぬ男をと訝しがっていましたが、話すうちに意気投合。長期滞在を勧めます。
イジメにあっていた弟を助けたり、両親に反対されながら付き合っている妹の恋の味方をしてあげたりと、
まるで家族のようなデイヴィッドでしたが、
ある日、妹が彼の不審な電話でのやり取りを耳にしてしまうんですね。
「今は身を隠しているが、追われている。新しい顔が必要だ」。
デイヴィッドの正体とは…。

“裏の顔を持つ訪問者”。 それをわかって見てるので、デイヴィッドが一体何者で、
何の目的でこの家を訪れたのかが気になって仕方ありません。
ラストまでは、そのドキドキ感が秀逸。
ってことはラストは?
いやいや、黙っておきましょう(笑)。
たぶん、たまに映画を見る人は「面白かった〜」となるんじゃないですか。
ボクみたいなスレた感覚で映画を見ちゃう人には…ってところかな。娯楽としては合格点。☆3つ。
「ザ・ゲスト」公式サイト



「至高のエトワール〜パリ・オペラ座に生きて〜」は、ドキュメンタリー。

“エトワール”とは、ダンサーとしての最高位の称号。
350年以上の歴史と伝統を誇るパリ・オペラ座のエトワールは、
世界最高のバレリーナであることを意味します。
そんな中、16年もの長きに渡りエトワールを務め上げたアニエス・ルテステュが、
2013年10月10日の最終公演で『椿姫』を上演するまでの2年間を追ったドキュメンタリーです。
本人はもちろん、関係者や周囲の人々が語るエピソードの中には、
トップでいることの喜びや達成感、その裏に隠された苦労や重圧が詰まっており、
陰の努力はすごいんだなと、一流であり続けることの凄まじさを目の当たりにします。
「こんなに頑張ってるのに…」と、日々グチをこぼしているあなた、
ご覧になってみるといいかもしれませんョ。☆3つ。
「至高のエトワール〜パリ・オペラ座に生きて〜」公式サイト



「花宵道中」は、安達祐実主演作。

江戸時代の吉原。下級女郎の母親に虐待を受けながら育った朝霧は、7歳で母と死別。
途方に暮れているところを遊郭・山田屋の霧里に拾われます。
朝霧の身体は、熱を帯びると肌に赤い花模様が浮かび上がる。
そんな評判が吉原中に広がり、いつしか人気の女郎になっていったのです。
外出が許されない女郎たちでしたが、吉原の大火で山田屋も仮の店舗に移動。
ありえない外出が許されたのです。
後輩の女郎に誘われて縁日に出掛けた朝霧は、慣れない人混みで転倒、
履き物の鼻緒が切れてしまったのです。
それを見ていた半次郎が朝霧に声を掛け、助けてくれました。
その時、朝霧の心の中に、感じたことのない感情が芽生えます。
半次郎は染物職人。切れた鼻緒は、偶然にも半次郎が染めたものだったのです…。

安達祐実がそれこそ身体を張った1本。
「同情するなら金をくれ!」のあの女の子が…と思うと隔世の感もありますが(笑)、
女優としてひと皮もふた皮も向けないといけませんからね。
ストーリーに特段目新しいものはありませんが、彼女の覚悟に☆3つ。
「花宵道中」公式サイト



「福福荘の福ちゃん」は、森三中の大島美幸主演作。

福田辰男は、おんぼろアパート“福福荘”に住む塗装工、32歳。通称、福ちゃん。
真面目で優しく一本気。ただ、女性が大の苦手。
心配した仲間のシマッチが奥さんの友人を紹介し、ピクニックを企画しても、
福福荘の住人を連れてきちゃう始末。
そんなある日のこと、福ちゃんの部屋をキレイな女性が訪ねてきます。
その女性こそ、福ちゃんの女嫌いを作った張本人、中学時代の初恋の人、千穂でした。
千穂は昔のことを謝りたくて福ちゃんのもとを訪ねたのでした。
最初は拒む福ちゃんでしたが、「謝ってもらわないよりは、謝ってもらったほうがいいよ」と、
彼女を受け入れます。
千穂はカメラマン志望。癒しの笑顔だと、福ちゃんに写真のモデルを依頼。
日常の福ちゃんの表情を通して、徐々にふたりは近づいていくのですが…。

福ちゃんは“オトコ”。5分刈りにした大島美幸が、ある意味、体当たりの演技。
違和感がないのが不思議です(笑)。
冒頭に出てくる新人塗装工の牛島みのるには、
ボクのNACK5の番組にゲストで来てくれた徳永ゆうきくんが扮します。
歌手志望の若者の役。いいスパイスになってます。
途中、ちょっぴり中だるみの感は否めませんが、それでも昭和の風情漂う、人情ものの1本。
ほっこりしたい人にはオススメです!☆4つ。
「福福荘の福ちゃん」公式サイト



「わらう分身」は、ドストエフスキーの「分身(二重人格)」を斬新なアプローチで映画化。

サイモンは内気な労働者。会社に勤めて7年にもなるのに影が薄く、
上司からはひどい扱いを受け、同僚からもバカにされる始末。
サイモンの生き甲斐はただひとつ。コピー係のハナの存在でした。
とは言っても、デートに誘えるわけもなく、たまたま部屋の向かいに住む彼女の生活を覗き見るだけ。
そんなある日のこと、ハナの部屋の上層階に人影が。
その男はサイモンに向かって手を振ると、なんとそのまま飛び降りてしまったのです。
ところが、翌日その男が会社に現れたのです。
驚くことに髪型から服装まで、サイモンに瓜二つ。しかし、性格はまったくの正反対。この男は一体…。

多重人格がテーマの話。
ほの暗いセットの中で繰り広げられる作品で、イギリスで役者、
コメディアンとしても活躍するリチャード・アイオアディ監督の2作目、コメディとの評価もあるよう。
ただ、ちょっとボクにはこの世界はわからなかったかなぁ。
その一方、プレスに書かれていた明治大学石川教授の“多重人格”についてのコラムは面白くて、
恐怖体験が多い方が生存確率は高くなると。
で、人間が小さく弱かった頃は、敵に遭遇すると縮こまって敵が去るのをただ待った。
でも人間が少し強くなると、今度は攻めることを知る。
進化の過程で人間はその両方を持っているので、前者が強いと内向的、後者が強いと外向的と言われると。
そのバランスはホルモンの量で一気にスイッチが切り替わるのだそう。
片方の性格の人間がもう一方の行動をとりたいのにできないとなると、そこに抑圧された感情が生じ、
妄想の世界で発散するのだけれど、正常な人には可能な、
行動傾向の統率ができなくなると、もう片方が別の人格となって出てくるのだそう。
ねっ、面白いでしょ。
高所恐怖症の人は、遠い昔、高いところに生活(生息?)していて、
落下していく仲間をいっぱい見ているらしいですョ。興味深い…。
あ、映画はトーンとしての好き嫌いがあるかと思います。
ちなみにタイトルの“わらう”はひらがなではないのですが、難しくて変換ができませんでした。☆2つ。
「わらう分身」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.10.30

「クローバー」☆☆
「ニンフォマニアックVol.2」☆☆☆
「ベイブルース〜25歳と364日〜」☆☆☆
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今、JRAの競馬初心者講座“REXS”で、
講義終了後に競馬博物館で催されているイギリス・ジョッキークラブの絵画展を見学。
そこでの解説もするのですが、それにとある映画の試写が役立っています。
来年1月公開の「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」という映画です。
それによると、ジョージ・スタッブスという画家は解剖学者でもあり、
知人の納屋を借りて、馬を解体しながら身体の構造をスケッチ。そして絵を描いたと。
そのジョージ・スタッブスの“エクリプス”という馬の絵があるので、
その解説にすごく役立っているのです。
競馬と映画。こんなところでも繋がるんですね。
さ、今週は4本です!



「クローバー」は、人気少女コミックの実写映画化。

ホテル勤務の沙耶は、中学生時代の恋人が忘れられずにいるようなピュアなOL。
沙耶はいつも上司の柘植に怒られてばかり。柘植はイケメンのエリートで、社内の女性人気No.1。
その柘植が、突如沙耶に言うのです。
「ボクと付き合ってくれ」。
突然の告白に驚きつつも、なんとなく交際がスタート。
“究極のツンデレ”に戸惑いながらも、柘植の存在は、徐々に沙耶の中で大きくなっていったのです。
ところが、ワンマン一族経営者の妹が柘植を気に入り、婚約発表の噂が。
沙耶は何も知りません。柘植の本意は?…。

柘植に関ジャニ∞の大倉忠義、沙耶に武井咲。
ファンには怒られそうですが、柘植が細くて神経質そうで、
とても仕事ができるようには見えないんですよねぇ(笑)。
優しさを隠し持っているのかもしれないけど、沙耶のことは放っておくし。
男から見てもカッコいい男じゃないと、申し訳ないけどボクら男性は入り込めません。
そこが残念だったかな。
モテない男のひがみだと思って下さい(笑)。☆2つ。
「クローバー」公式サイト



「ニンフォマニアックVol.2」は、10月11日公開のVol.1の続編。

セックス依存症の女性ジョーが道端に倒れていたところを老紳士に助けられ、
彼の家のベッドで休ませてもらいながら、自分のこれまでを語っていく。
これはその続き。
緻密なスケジュールを立て、複数の男性と情事を重ねてきたジョー。
偶然にも昔の恋人のジェロームと再会します。
久々のセックスに、何も感じないジョー。実は性器が麻痺してしまっていたのです。
心の安定を求めて一緒に暮らし始め、ジェロームの赤ちゃんを身ごもったジョーですが、
出産後も不感に不安を抱くジョーはジェロームに過剰なセックスを求めます。
耐えきれないジェロームは、ジョーの浮気を公認。
ジョーは非合法のセックスセラピストの元で、SMの魅力に目覚めます。
まだ幼い子供を部屋に残し、快楽を求めに行くジョー。
しかし、その代償はとても大きなものだったのです…。

前編のあらすじは、このコラムをさかのぼって読んでみて下さい。
この映画はどこに着地するんだろうと思いながら見ていたのですが、一応のオチはあります。
前編は思っていたのと違う内容に☆2つでしたが、後編はそのオチに☆を1つ増やしてみました。
男って…と、きっとハナで笑ってしまうことでしょう(笑)。☆3つ。
「ニンフォマニアックVol.2」公式サイト



「ベイブルース〜25歳と364日〜」は、実話に基づくストーリー。

同じ高校の野球部の仲間だった河本栄得と高山知浩。
高校卒業後、高山は就職したのですが、偶然再会した河本に誘われて、会社を退職。
お笑い芸人になるために、吉本興業の養成所NSCに入ります。
貧乏だった少年時代が河本のハングリー精神を支え、芸には滅法厳しかった河本は、
高山に「わしのツッコミマシーンになれ」と強く言います。
ふたりはベイブルースのコンビ名で人気を博し、CDを発売するほどの売れっ子になったのですが、
94年秋、河本がTVのロケ中に突然倒れてしまいます。病名は劇症肝炎。
入院からわずか2週間後、河本は帰らぬ人となってしまったのです…。

今は亡き河本栄得さんとの物語を、相方だった高山知浩が描いた原作本を映画化したものです。
NSC7期生、ふたりの同期には雨上がり決死隊などがいました。
結末がわかってるだけに、見ていてつらいものがあるのも事実。
お葬式のシーンではぐっとくるものがあります。
たぶん、実際はもっと大変だったに違いありません。
でも、こうして、今は亡き才人がまた世に出てくるのも素敵なこと。
知らなかった素顔まで見せてくれますもんね。
これもまた、映画の持つひとつの力だと思います。☆3つ。
「ベイブルース〜25歳と364日〜」公式サイト



「マダム・マロリーと魔法のスパイス」は、ディズニー映画。

インドのムンバイでインド料理の店を経営していたカダム一家。
大繁盛の人気店だったのですが、選挙に絡んだ反対派の放火で、店とママを失ってしまいます。
心機一転、ヨーロッパに移住したカダム一家ですが、車がフランスの山道で立ち往生。
通りがかった若い女性が親切に助けてくれます。彼女の名はマルグリット。
カダム一家を家へと招き、美味しい料理を手際よく作り、歓待してくれたのでした。
カダム一家の次男のハッサンは、亡くなったママから“絶対味覚”を受け継いだ才能溢れるシェフ。
マルグリットの美しさと美味しい料理に、ほのかな恋心を抱きます。
翌日、街を散策すると、レストランにピッタリの土地と建物を発見。
パパはここでインド料理店を再開すると意気込みますが、
なんとその真向かいにはミシュランで1つ星を獲得したフレンチの名店が。
実はマルグリットは、そこで働く副料理長だったのです。
オーナーはマダム・マロリー。強い香辛料の香りと音楽の大きなインド料理の店に、
何かと難癖を付けては町長まで巻き込んで文句を言う始末。
マダム・マロリーとカダム一家、仲良くやっていくことはできないのでしょうか…。

インドが題材の映画が増えている中、これもまたインドもの。
舞台こそフランスですが、インド料理がもうひとつの主役でもあります。
両者をつなぐ、唯一の糸は「本当に料理を愛している」ということ。
言うところの“根っこ”が一緒だから、解決の糸口も見えてくるのでしょう。
マダム・マロリーの言葉に、いい一言があります。
「生命には味がある」。
ありがたく“本物”を頂きたいですよねっ。☆4つ。
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.10.23

「小野寺の弟・小野寺の姉」☆☆☆
「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」☆☆
「トム・アット・ザ・ファーム」☆☆
「ヘラクレス」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


お陰さまで忙しく、試写会行きは自分との闘いです。
呼んで頂けるんだから、できるだけ応えなきゃですよね。
そしてそれをきちんとご紹介する。これは使命かなと。張ります!
さ、今週は4本です!



「小野寺の弟・小野寺の姉」は、異色のコンビによるホームコメディ。

両親を亡くし、古い一軒家に20年以上も一緒に暮らす、姉の小野寺より子と弟の進。
より子は眼鏡店に勤め、進は香りを作る調香師。
互いが互いを思いやり過ぎるがために、自分の幸せは二の次。
そんな仲のいい姉弟だったのです。
ある日のこと、ポストの中に、誤まって配られた一通の封書が。
より子はそれを届けに行こうと提案。面倒くさそうについていく進。
出てきたのは若くて可愛い絵本作家の女性、薫でした。進の心はトキメキます。
一方、より子もコンタクトレンズの営業マン、浅野が気になって仕方ない。
果たしてふたりの恋はうまく行くのでしょうか…。

進に向井理、より子に片桐はいり。異色のコンビです(笑)。
進は失った恋を引きずり、次の恋に踏み出せないでいたところを薫と出会い、
より子も浅野から「ご相談があるんですが」と言われ、胸ときめかせ。
どちらも不器用だから、「ほら、頑張れっ」って尻を叩きたくなっちゃう(笑)。
なぜ弟は姉を、姉は弟をそんなにも思うのかには訳があるのですが、それは劇中で明かされます。
ほわっとした優しさと、幸せとせつなさと。秋にはピッタリの作品かもしれません。☆3つ。
「小野寺の弟・小野寺の姉」公式サイト



「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」は、ヨガがテーマの作品。

ミクは青森県出身の21歳。貯めたお金を手に、親に黙って実家を飛び出し、上京。
津軽弁丸出しの彼女が、洗練された女性になってやろうと東京にやって来たのです。
右も左もわからず困っていた時、人気モデルでヨガのインストラクターとしても活躍する
KUMIという美しい女性の存在を知ります。
何はともあれ、KUMIのヨガスタジオへと通い出すミク。
周りの迷惑省みず、まるでストーカーのようにKUMIのプライベートまで追いかけ、
疎ましがられるミクでしたが、ナンパされた男にだまされ、全財産を盗まれたミクを見て、
KUMIがしばらく部屋を貸してくれることになります。
一緒に住んで気付いたミクの純粋さに、逆にKUMIが癒やされ始めます。
ところが、流行は目まぐるしく変わるもの。KUMIの人気は下降線を辿り始め、
仕事も恋も失っていきます。心労からか、KUMIが倒れてしまったのです…。

ミクには門脇麦、KUMIには道端ジェシカ。ヨガを通じて芽生える女性ふたりの友情物語ですから、
ターゲットは女性なんでしょうね。
ダメな主人公が、人との出会いで変わっていく、そんなストーリーですが、
あまり変わっていかないのと(笑)、ミクの傍若無人な振る舞いはあまりにも非常識。
「こんなヤツあどうにでもなれ」って思っちゃう初期設定がどうなんでしょう。
ボクは最初にそれを感じちゃうと、扉を閉めちゃうので、ごめんなさい。
全体的には爽やかな映画なんですけどね。女性たちの感想を聞いてみたいかなぁ。☆2つ。
「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」公式サイト



「トム・アット・ザ・ファーム」は、25歳のグザヴィエ・ドランの監督&主演作。

コピーライターのトムは、交通事故で死んだゲイの恋人ギョームの葬儀に参列するため、
彼の実家へと向かいます。
そこは田舎の農場。ギョームの母親と、兄のフランシスが暮らしていたのです。
ギョームは母親にトムのことを明かしておらず、
サラという女性の恋人がいると嘘をついていたことが判明。
トムの心は傷ついてしまいます。
しばらくギョームの家で過ごすことにしたトムでしたが、
兄のフランシスは弟の隠し事を知っており、トムに暴力をふるい、
あれこれと要求してくるのでした…。

チラシのコピーに、「息の詰まるような愛のサイコ・サスペンス」とありました。
ちょっと難解な作品で、ゲイの恋人が亡くなって、その兄とも屈折した関係に堕ちていくという話?
違ったらごめんなさい(笑)。
独特の空気感がスクリーンを覆います。それだけでも十分に個性の発揮だと思いますが、
この映画はストライクゾーンが小さいかも。
裏を返せば、ハマる人にはハマるんだと思います。☆2つ。
「トム・アット・ザ・ファーム」公式サイト



「ヘラクレス」は、“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソン主演の3Dアクション大作。

紀元前4世紀、神々の王ゼウスと人間の女性との間に生まれたヘラクレスは、
“12の難業”と呼ばれる恐ろしい怪物退治を成功させ、生きる伝説と化していたのです。
アテネのエウリュステウス王に仕えていたヘラクレスでしたが、
そこで最愛の妻と子を失ったことで国を出て、仲間たちと放浪の旅へ。
旅の途中、トラキアのコテュス王から、反乱軍から国を守って欲しいと頼まれ、
それに応えるヘラクレス一行でしたが、何とそれは卑劣な罠だったのです…。

こちらは理屈抜きで楽しめる1本。ドウェイン・ジョンソンの体が凄い。
これもCGかと思うような筋肉ですもんね(笑)。
ギリシャ神話の中でも、女性好きで、“半神”ゆえに人間クサいヒーローのヘラクレス。
そのあたりがキャラクターとしては描きやすかったのかもしれません。
楽しかったです。☆3つ。
「ヘラクレス」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.10.17

「愛しのゴースト」☆☆☆
「ミニスキュル〜森の小さな仲間たち〜」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


毎週のように台風が直撃する日本列島。
その威力が大きいと、様々な予定も狂ってしまいます。
試写会に行くスケジュールにもしわ寄せが来て、結局見られなくなってしまう映画も出てくる。
困ったものです。さ、今週は2本です!



「愛しのゴースト」は、タイ映画。

徴兵によって、過酷な内戦の地へと送り込まれたマーク。
奇跡的に生き延びることができたマークは、戦友4人と共に家へ戻ります。
待っていたのは愛する妻ナークと、マークが戦地にいる時に産まれた赤ちゃんのデーン。
感動の対面を果たします。
ナークのあまりの美しさに目を見張る戦友たち。
「しばらくここにいればいい」というマークの言葉を、誰ひとり拒むものはいなかったのです。
ある日のこと、村の人の様子がおかしいことに気づきます。買い物に行った店は商品があるのに店じまい。
村の人はナークが幽霊だと言うのです。
マーク以外の4人も、怪奇現象に遭遇するようになり、噂は本当なんだと考えるようになります。
知らぬはマークばかりなり。果たして、ナークは幽霊なのでしょうか…。

タイのラブコメディ。初めてタイ映画を見たかも。
これ1本で総括的にどうこういう言えませんが、やはり独特の空気感がありますね。
ギャグは日本人でも笑えると思います。例えば、パイナップル頭の戦士がいるなど、
ドリフのコントを見るような感覚で臨めばいかな。と言っても、若い人にはピンと来ないかも(笑)。
ちなみに、自国では「アナと雪の女王」を抑えて1位を記録したそうです。☆3つ。
「愛しのゴースト」公式サイト



「ミニスキュル〜森の小さな仲間たち〜」は、フランスの3Dアニメ。

静かな森に住む小さな虫たち。
ある日のこと、ピクニックに来た人間のカップルが、
角砂糖の入った缶を置いていってしまうんですね。
それを見つけた黒アリが、自分たちの巣へ持ち帰ろうとするのですが、
それを見ていた赤アリたちが、横取りしてやろうと虎視眈々。争いが勃発します。
実は缶の中に隠れていたのがてんとう虫。家族とはぐれ、雨宿りのために缶の中にいたのです。
てんとう虫は黒アリの手助けをして、なんとか彼らの巣まで角砂糖を届けようとするのですが…?

自然の風景にCGと3Dアニメを合体させるという手法で、セリフはなし。
それでも虫たちの豊かな表情が世界観を広げます。
小さな冒険者たちによる、ある種のロードムービー。道は険しく、多くの敵や仲間との物語は楽しく。
登場するキャラたちの手触り感がものすごくいいんですよねぇ。
目で見るのに“手触り感”っておかしいかもしれませんが、
見てもらえば「なるほど…」と納得してもらえるはず。可愛いですョ。☆4つ。
「ミニスキュル〜森の小さな仲間たち〜」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.10.10

「近キョリ恋愛」☆☆☆☆☆
「ザ・テノール 真実の物語」☆☆☆☆
「ニンフォマニアックVol.1」☆☆
「ミンヨン 倍音の法則」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今週はいろんなタイプの映画が並びました。
書いてる自分で思いますが、本当に映画は“好み”だなと。
きっとボクの高得点をつまらないと言い、
あまり高く評価しなかった作品を面白いと言う人がいると思います。
是非、ご自身でご覧になってみて下さい!
さ、今週は4本です!


「近キョリ恋愛」は、みきもと凜の人気少女コミックの映画化。

枢木ゆには天才女子高生。感情表現が苦手な彼女は、いつもクール。
そんなゆにの内面を、赴任して来たばかりの英語教師、櫻井ハルカはいとも簡単に見抜きます。
他の教科は抜群なのに、英語の点数だけは低いゆにに、ハルカは放課後の補習授業を言い渡すんですね。
2人っきりの特別授業。
本当は強気で自信満々なハルカの態度が大嫌いなはずなのに、なぜか気になってしまうゆに。
親友のナミが「それは恋だよ」と教えると、初めての感情にゆにの心は揺れ始めます。
ある日のこと、授業中にもかかわらず、教壇の中に隠れて気持ちを告白するゆにに、
ハルカはキスをしてしまいます。
それをハルカの幼なじみの女性教師、滝沢先生に見られてしまうんですね。
さぁ、禁断の恋の行方やいかに…。

山下智久主演作。50過ぎのオッサンが少女コミックに満点かいっとツッコまれそうですが(笑)、
いやいやよかったです。
実はボクは中学から男子校だったので、思春期にもかかわらず、女の子の情報はといえば、
妹の部屋にあった少女コミック。
「へぇ、女の子ってこんなに繊細で、壊れやすくて可愛いんだ…」。
誤解はこの時生まれたのです(笑)。
その誤解が解けたのは浪人して、周りに普通に女子がいるようになってから。
でも“三つ子の魂百まで”。
ボクの中では、あの70年代少女コミックの主人公こそが“女の子”なのです。
そんな映画だもの、満点に決まってるじゃないですか(笑)。
ハルカとゆにの若干の年の差も、ボクには希望の光…?☆5つ!
「近キョリ恋愛」公式サイト



「ザ・テノール 真実の物語」は、タイトル通りの実話に基づくストーリー。

韓国人オペラ歌手のベー・チェチョル。
繊細で、かつ力強い彼の歌声は“100年に1人の声”と評され、
オペラの本場ヨーロッパでも絶賛されていました。
日本人音楽プロデューサーの沢田幸司はチェチョルの歌に一発で惚れ込み、
ヨーロッパでの公演終了後に猛アプローチ。日本でのコンサートに招聘します。
実は、会社の経営は火の車。
「ヨーロッパまで探しに行って、なぜ韓国人なんだ」と、周囲は冷ややかでしたが、沢田の感性は正しく、
チェチョルの日本公演は大成功。ふたりの間に友情と信頼関係が築き上げられたのでした。
順風満帆に思われたチェチョルの歌手活動でしたが、ヨーロッパに戻って次公演のリハーサル中に、
チェチョルは倒れてしまいます。
病名は甲状腺癌。手術で一命は取り留めたものの、片方の声帯の神経を切断。
もう二度と歌を歌うことができなくなってしまったのです。
絶望の淵にいたチェチョルに、日本の友達が声を掛けます。
沢田が世界的な声帯手術の権威である日本人医師に頼み込み、
一度は断られた手術を受けられるよう、段取りをつけたのでした。
「もう一度歌いたい。もう一度ステージに立ちたい」。チェチョルは過酷な手術に臨むのでした…。

実話です。感動します。
“好事魔多し”とはよく言うことですが、歌い手が声を失うなんて。
同じ声の仕事をしているボクには想像もつきません。
チェチョルが言うんですよ、「オペラ歌手は、なりたいと思ってなれるものではない。神様がくれた才能だ」と。
この言葉を、ボクは決して自惚れから出た言葉だとは思いませんでした。
これは確かに天からの贈り物です。それをどう活かすか。
神様がいるとしたら、意味があってチェチョルに試練を与えたのかもしれませんね。
なぜならもうひとつの奇跡が起こるから。それは映画を見て下さい。劇中で明かされます。
手術に二の足を踏む日本人医師にGOの決断をさせたのは、声を失う前のチェチョルの歌声でした。
繰り返しますが、実話なんですから。夢を、生きるということを諦めない。勇気をもらえる1本です。☆4つ。
「ザ・テノール 真実の物語」公式サイト



「ニンフォマニアックVol.1」は、全8章に渡る色情狂のヒロインの物語。その前半。

薄暗い路地で血まみれになって倒れている女性がひとり。年配の紳士が近寄り、
救急車を呼ぼうと声を掛けますが、決して首を縦に振らない女性。彼女の名はジョー。
結局、男性の部屋で介抱してもらうことになり、ベッドの上で身の上話を始めます。
小さい頃から性的なものに興味を抱き、早く処女を捨てたくて15歳で近所の若者と初体験。
17歳で電車の乗客とどれだけヤレるかを友達と競い、その後も数多くの男性と性交渉を持ったジョー。
中には不倫もあり、家庭を壊したことも数知れず。
父の死に立ち会った時に、なぜか性的興奮を覚えたジョーは、
自分がセックス依存症であることを恥じるのでした…。

最初、試写状が送られてきた時は、もうちょっと違うタイプの映画なのかなと勝手に想像していました。
例えば、ドキュメンタリーみたいなもので、セックス依存症とはこんな症例で、こんなことがあってみたいな。
そうじゃなくて、ジョーというセックス依存症の女性を描いたサスペンスタッチの物語。
前半は4章まで。Vol.2で残りの4章を見ることができるのですが、合計4時間以上(笑)。
ま、前半を見たなら後半もという感じですね。きちんとオチはありますから。
勝手な期待が肩すかし。勝手な評価ですみません。☆2つ。
「ニンフォマニアックVol.1」公式サイト



「ミンヨン 倍音の法則」は、著名テレビ演出家でもある佐々木昭一郎監督の、初の劇映画作品。

ソウルの大学に通う女子大生のミンヨン。彼女にはユンヨンという妹がいました。
そのユンヨンが英語教師になるための実習で日本に行くことになり、ミンヨンも後を追います。
実はふたりとも、日本で暮らしていたことがあり、ミンヨンは亡くなった大好きな祖母の親友、
佐々木すえ子の写真が気になってしかたない。
ミンヨンは戦時中の過酷な人生を生きた、すえ子の生涯を追ってみたかったのです。
来日して会ったストリートチルドレンのユウ、
大学留学時代の友人で今はフリージャーナリストの旦部を始め、
様々な人々がミンヨンの旅程に“何か”を与えるのです。
ミンヨンはこの旅で、果たして何を得るのでしょうか…。

試写が終わって拍手が湧いていました。おそらく巨匠の待望の1本ということなんだと思います。
でも、正直ボクには良さがわかりませんでした。ごめんなさい。
資料によると、この監督の作品は、出演者がすべて一般人なんだそう。
それをどうこう言う立場にはありませんが、瑞々しいと取るか、
素人演技と取るか。それは見る人の感性でしょう。
2時間20分は、どうにも長く感じてしまいました。☆2つ。
「ミンヨン 倍音の法則」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.10.3

「太陽の坐る場所」☆☆
「蜩ノ記」☆☆☆☆☆
「ミリオンダラー・アーム」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


試写会場に早く着いて、受付脇で座ってると、
後から来たやつが受付の人に、「まだなの?」と言う。
すると、「どうぞ」とそいつがまず受付を済ませる。 どっちもどっちでしょ。
順番を無視してズケズケ入っていくやつも、
「先にお見えの方がいらっしゃるので、順番にお願いします」と言えない関係者も。
出鼻をくじかれる。嫌な気持ちで会場に入ります。
細かいことだけど、マスコミ試写会でしょ。
発信する側の行動だけに、きちんとして欲しい。そう思うのです。
さ、今週は3本です!



「太陽の坐る場所」は、直木賞作家、辻村深月の小説の映画化。

クラスの人気者として、学校の中心にいた響子。その存在はまるで女王様。
友達も、恋人も、欲しいものは何でも手に入る。そんな高校生活を送っていたのです。
ある日のこと、響子のクラスに、今日子という名の転校生がやってきます。
同じ“きょうこ”はふたりいらない。
そんな理由から、今日子は“りんちゃん”という呼び名を与えられます。
ところが、ある事件が起き、それに響子が関係していることを今日子が暴露。
それから響子の立場は一変。すべてを失うことになります。
高校卒業後、響子は地元で地方局のDJとなり、
一方の今日子は女優として日本中の人気者になっていました。
そんな時、誘われた高校のクラス会。クラスメートたちは欠席した今日子の話ばかり。
響子に居場所はありませんでした。
それから少しして、響子と今日子が会うことになります。思い返す高校時代。
ふたりの間で、どんな話が交わされるのでしょうか…。

ある事件をきっかけに、響子と今日子の立場が逆転する。太陽と影の関係が逆になるのです。
タイトルはこのあたりと関係あるのかなと。
全編通して、暗く、重い空気が漂います。
ボクは原作を読んでないので、それが原作に忠実なトーン作りなのかどうかの判断ができませんが、
なかなか前に進まないイメージというのでしょうか。
高校を卒業して、しばらく経って、その時間までよどんでいるような。
これまた原作の色ならごめんなさい。正直、ただただ長く感じてしまいました。☆2つ。
「太陽の坐る場所」公式サイト



「蜩ノ記」は、役所広司、岡田准一主演の時代劇。

藩の書記として書の鍛錬を積んでいた檀野庄三郎。
些細な出来事から、城中であわや刃傷沙汰になろうかという事件を起こした庄三郎は、
老中から刑を軽くする代わりにと、ある任務を言い渡されます。
それは、かつて郡奉行でありながら、側室と関係を持ち、さらに小姓を斬り捨てたという罪で10年後切腹、
それまでは藩史を編纂せよと命じられた、戸田秋谷の監視でした。
事件から7年。藩の秘密をもすべて知る秋谷が、もしも命惜しさに逃げ出すような素振りを見せたなら、
家族もろとも斬り捨てよという藩命だったのです。
秋谷の家に向かい、妻、娘、息子と暮らし始める庄三郎。
秋谷という武士を知るにつれ、その人間性に打たれた庄三郎は、事件に疑問を抱き、
独自に真相を探り始めたのですが…。

よかったですよ。本当によかった。
時代劇にガツンと打たれることが多いのは、おそらく、今の日本人が失くしてしまった“何か”があるから。
でも、ボクらは根底でそれを美しいと思っているからこそ、
スクリーンの登場人物たちに打たれるのだと思います。
タイトルの「蜩(ひぐらし)ノ記」は、秋谷が切腹を命じられてからの、10年に渡る日記。
秋が近づくと、1日が終わるのを哀しむかのように鳴く蜩と、“その日暮らし”を掛けた題名。
終わりの決まっている人生を、どう生きるのか。
日本の四季を通じ、夫婦愛、家族愛、師弟愛、国(藩)への愛、そして男女の愛。
たくさんの愛が詰まった感動作です。是非ご覧になってみて下さい。☆5つ。
「蜩ノ記」公式サイト



「ミリオンダラー・アーム」は、ディズニー製作の、実話に基づくストーリー。

スポーツ・エージェントのJB・バーンスタインは、LAの豪邸に住むリッチマン。
ところが、社の台所事情は火の車。
危機を救ってくれるはずだったバスケットの超大物も、契約直前でライバル社に持っていかれてしまい、
JBの会社は倒産寸前だったのです。
打開策も見い出せず、ヤケになってTVのチャンネルをザッピングしていると、
インドのクリケット中継をやっているではありませんか。JBはピンと来るんですね。
クリケットの選手の中に、強肩の投手候補がいるかもしれない。
“野球不毛の国インドからメジャーリーガー”と話題になれば、
人口12億人の国でグッズも飛ぶように売れるはずだと。
JBは早速準備と根回しに走り、
インド各地で『ミリオンダラー・アーム(100万ドルの剛腕)』と名付けたコンテストを開きます。
優勝賞金10万ドル!そんな大金を目指してそれはそれは多くの若者が参加するのですが、
さすがに野球不毛の地。フォームすら何か変。
そんな中から、リンクとディネシュという、ふたりの合格者が出ます。
アメリカに渡り、超一流のコーチを付けますが、スポンサーの出した期限まであと6ヶ月。
まったくの野球素人は、果たしてメジャーリーガーになれるのでしょうか…。

なっちゃうんですよ、これが(笑)。
このネタバレはいいでしょ?そんな実話をベースにした映画なんだから。
ホント?って感じですが、やってのけたんだからスゴいですよね。
文化の違いから私生活でもトラブルを起こし、わずかな時間でメジャーリーガーですから。
ただ、途中で「あ、これは実話なんだ」というのを確認しながらじゃないと、「ありえない」、
「夢物語じゃん」と思っちゃう。
ネガティブにそう感じる要因は、リンクとディネシュ役の役者さんにプロ野球選手としてのオーラが無いから。
投球シーンを見て、「こんなんじゃ無理っしょ」って感じちゃったのがもったいない。
小姑みたいな評価なんですけど、そのリアリティは重要。
“インディアン&アメリカン・ドリーム”です。話としては面白い。
大胆な発想と大胆な行動力が成功の秘訣なんだと教えてくれます。☆3つ。
「ミリオンダラー・アーム」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.9.26

「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」☆☆☆
「アンナプルナ南壁 7,400mの男たち」☆☆☆
「聖者たちの食卓」☆☆☆
「世界一美しいボルドーの秘密」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今週は珍しく、4本共にドキュメンタリー。
“事実は小説より奇なり”と言ったところでしょうか(笑)。
というわけで、今週は4本です!



「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」は、世界的に有名なクラシックの女性ピアニスト、
マルタ・アルゲリッチの半生を描いた作品。

アルゼンチンのブエノスアイレスに生まれ、16歳で“天才”の名を欲しいままにし、
24歳でショパン国際ピアノ・コンクールで優勝したマルタ・アルゲリッチ。
クラシックの中でもそのレパートリーは広く、様々なオーケストラに招かれる人気者ですが、
その一方で、天才肌にありがちな気性の難しさがあり、取材は絶対にお断り。
急なステージのキャンセルもあるなど、大きな感情の波の持ち主なんです。
スイス国籍を取り、父親の違う3人の娘の母でもある彼女の素顔を、
実は三女のステファニーが撮った作品。
ヴェールに包まれていた私生活が垣間見れると、ファンにはたまらない1本だとか。
ボクはクラシックはあまり詳しくないので、ひとりの個性の強い女性の物語として見ていました。
主軸たるピアノと、やはり最低でももうひとつ、支えは必要なんだなと実感。見つけなきゃ(笑)。☆3つ。
「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」公式サイト



「アンナプルナ南壁 7,400mの男たち」は、遭難した登山家を、
山の仲間たちが自らの危険も省みずに救おうとする物語。

アンナプルナはネパールのヒマラヤ山脈中央に連なる山群の総称。
登山者の5人に2人が命を落とす、死亡率40%の“キラー・マウンテン(死の山)”。
特に南壁は世界で最も危険なルートと言われていたのです。
そこにチャレンジしたスペインのベテラン登山家イナキ・オチョア・デ・オルツァは、
標高7400m地点のキャンプ4で高山病にかかってしまうんですね。
危険な状態にあるとのSOSに、世界各国にいる登山家たちがイナキを助けようと集結したのです。
山岳救助隊はもちろん、地質学者、カメラマン、エンジニア、医師など、
山関係とは別に仕事を持っているにもかかわらず、それらを投げうってまで仲間の救助に駆けつける。
自らの命すら危ないかもしれないのにです。
この映画では、イナキたちの登山の模様と、難航する救助作業に加え、
後日談としてのインタビューをまとめてあり、
なぜ彼らはイナキを助けに世界中から集まったのかを語ってくれています。
そこには山を愛する人たちの友情と、登山を介して、困難に打ち勝ってきたからこそ知った、
生きることへの熱い思いがありました。
真実の言葉たちだけに、ズシリとくるものがあります。
毎日がつまらないなぁと嘆いている人、打開の糸口が見えるかもしれませんョ。☆3つ。
「アンナプルナ南壁 7,400mの男たち」公式サイト



「聖者たちの食卓」は、インドのある寺院の1日を追ったドキュメンタリー。

インド仏教、シク教の総本山「黄金寺院」。
ここでは巡礼者や旅行者のために、毎日無料で食事を振る舞います。その数なんと10万食!
玉ねぎを切る人、ニンニクを剥く人、野菜を炒める人、チャパテイの生地をこねる人、
それを焼く人、皿を渡す人、洗う人、床の掃除をする人。黙々と自分の作業だけを続けていきます。
近代的な調理器具など一切使わず、すべてが約300人のボランティアの人たちによって、
手作業で行われている。10万食。それも毎日ですから驚きでしょ。
インドという国は、カースト制度という身分制が横たわる国。
ゆえに、宗教も、人種も、仕事も、階級も関係なく、
みんなが公平に一斉に食事ができるなんて、実はすごいことなんですね。
ただただ淡々とカメラが回り、食事の準備から後片付けまでを映した作品です。
感想は色々あるかと思いますが、これこそボクらの知らない世界。
自身の目で確かめてみてはいかがです?☆3つ。
「聖者たちの食卓」公式サイト



「世界一美しいボルドーの秘密」は、フランス、ボルドー地方のワインの繁栄と、
抱える問題点を映し出した映画。

“伝統”の重みが、味に深みを与えると言っても過言ではない、フランスのワイン。
気候によって出来の良し悪しがあり、昨今の異常気象で壊滅的な打撃を受けることもあるけれど、
それと同じくらい大きな影響を与えるのが世界経済だと。
一大市場であるヨーロッパの経済が危うくなり、伝統的な顧客が減少するとどうなるか。
新興国である中国などの富豪たちがワインに興味を持ち、そのステイタスと投機目的でワインを買い漁る。
価格は一気に上がるけれども、中国経済が破綻しようものなら、一体どうなるのか。
価格高騰に両手を挙げて喜べないというのが実情なんですね。
さらに、葡萄畑からシャトーから、すべてを手に入れたがる中国マネーが、
ボルドーの伝統をも壊しつつあると警鐘を鳴らすのです。
確かに中国不動産の崩壊のように、作りかけの高層ビルが途中で建設放棄される、
なんてことが葡萄畑で起こったら再建は難しい。
継続し、積み重ねてきた歴史が途絶えてしまう訳ですからね。
中国などに対する、若干のプロパガンダを感じる作品ではありますが、事実は事実なのでしょう。
今、世界ではこんなことも起こってるんだと、グラスを傾ける時に考えるのも必要かもしれません。☆3つ。
「世界一美しいボルドーの秘密」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.9.19

「猿の惑星:新世紀(ライジング)」☆☆☆☆
「バツイチは恋のはじまり」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


たくさん試写状を頂いて、なるべく全部見ようとは努めるのですが、
どうしても体がひとつしかないという時には、
宣伝文句や記載されているあらすじから選んでしまいます。
ところが、期待過多で終わることもしばしば。
そんな時は、「もう1本はどんな作品だったんだろう…」とモヤモヤ(笑)。
人の出逢いと一緒で、縁がない作品というのもあるんですよねぇ。
さ、今週は2本です!



「猿の惑星:新世紀(ライジング)」は、68年に初めて映画化された人気シリーズの最新作。

アルツハイマー病の新薬を開発していた科学者のウィル。
新薬を投与したチンパンジーが劇的な知的進化を遂げたものの、製薬会社の中で暴れたため射殺。
その赤ん坊を密かに家に連れ帰ったウィルは、
その子にシーザーと名付けて愛情たっぷりに育てたのですが、
あるトラブルから動物保護施設に収容されることになってしまいます。
保護とは名ばかりの虐待施設。
シーザーは仲間たちを率いて、遂に人間に対し反乱を起こしたのです。
さらに、猿が抗体を持つウィルスが世界中に拡散し、人類の多くが死亡。
進化した猿たちが、地球上で人間に取って代わろうとしていたのです。
あれから10年。
シーザーは2000頭もの猿を率いるリーダーになっていました。
ある日のこと、平穏に暮らしていた森の中に、数名の人間が現れます。ざわめき立つ猿たち。
人間たちはコミュニティーの生活のために、森の奥地にある水力ダムからの電力が必要で、
それさえ復旧させれば、決してシーザーたちの生活を脅かしたりはしないと言うのです。
人間側の交渉役であるマルコムは悪い人間には思えず、シーザーはマルコムを信用。
ところが、人間側にも、猿の側にも、互いを憎む者がいて、
築き上げられるかに見えた“共存”という理想は、音を立てて崩れていくのでした。
ここに猿vs人間の戦いが始まったのです…。

前作「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」で、68年の衝撃作の、
その前のストーリーができた『猿の惑星』シリーズ。
それを受けての第2弾となります。前作もよくできてたけど、今作も面白かったです。
おそらく、現代社会と合致する様々な“病巣”がたくさんあるから、描きやすいんでしょうね。
ネタがゴロゴロ転がっているというか。
事実、致死率90%の熱病だって、今年は世界中に拡散しそうになりました。
人種や宗教上の対立だって、猿と人間に重ね合わせてみれば似たようなもの。
リアリティらしきが、嫌でも感じられてしまうのでしょうね。
映像の進化は言わずもがな。時間を忘れて、ぐっと入り込んでしまいます。☆4つ。
「猿の惑星:新世紀(ライジング)」公式サイト



「バツイチは恋のはじまり」は、フランスのラブ・コメディ。

イザベルには、付き合って10年になる恋人がいました。イケメンで仕事も完璧なピエールです。
互いに結婚を考えてはいたのですが、
イザベルの家には代々「最初の結婚は必ず失敗する」というジンクスがあったのです。
どうしてもそのジンクスが気になり、呪縛から逃れられないイザベルは、
どこかで適当に形だけ籍を入れ、すぐさま離婚してバツイチになればいいと、旅に出ます。
飛行機で隣りに座ったのが、お調子者の雑誌編集者ジャン=イヴでした。
「この男だ!」とピンと来たイザベルは、何とかジャン=イヴを口説いて結婚。
彼の取材旅行に同行し、地球を半周するも、散々な珍道中。
何とか彼を巻いて、パリに戻ったイザベルでしたが、
なんと離婚が成立していないことが判明。イザベルは幸せな結婚ができるのでしょうか…。

そもそも、偽装結婚して即離婚だなんて、
相手を不幸に巻き込んでおいて自分だけが幸せになれるはずがないでしょって。ねぇ。
でも、まったく合わないはずのオトコだろうと、地球を半周も一緒に回っていると、
本当の優しさ、本当の幸せってなんだろうって考えるんですね。
ま、イザベルも学んだんだなって感じ(笑)。
登場人物たちが濃いので、コメディと割り切って見て下さい。☆3つ。
「バツイチは恋のはじまり」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.9.12

「海を感じる時」☆☆☆
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」☆☆☆
「フランシス・ハ」☆☆☆
「舞妓はレディ」☆☆☆☆
「リスボンに誘われて」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


夏にたくさん見た映画が、続々と公開になります。
プレスを開くと、なるほどこんな作品だったなぁと思い出し、
隅々まで読むと、試写では気づかなかったことを発見したり。
もう1回見たいと思わせる映画は、自分にとっていい映画なんでしょうね。
さ、今週は5本です!



「海を感じる時」は、作家・中沢けいが18歳で発表した作品の映画化。

花屋さんで働く恵美子には、洋という恋人がいました。
ふたりの出会いは高校の新聞部で。授業をサボって部室にいた1年生の恵美子に、
部長で3年生の洋はキスを迫ります。そして、こう告げたのです。
「君が好きなんじゃない。ただキスがしてみたいんだ」。
翌日、喫茶店に洋を呼び出し、前から好きだったと告白する恵美子に洋は、
「女の人の体に興味があった。君じゃなくてもよかったんだ」。
それでも恵美子は洋を愛し、洋は恵美子の心は拒絶しながらも、体を求めたのです。
恵美子の母が娘の行動に気づき、「そんなことをさせるためにここまで育てたんじゃない」と泣きじゃくります。
洋は東京の大学へ。恵美子も洋を追って上京。寄り添いたい恵美子と、それを拒む洋。
しかし、その関係が少しずつ変化を見せ始めたのでした…。

主演の市川由衣の大胆な演技が話題の作品です。
精神世界というか、愛って何だろうと、ちょっと深い部分で考えるかもしれません。
人は“変わる”もの。その変化を求めていたはずなのに、いざ変わったら物足りなくて。
基本、人間は無いものねだりだから。
ただ、この原作を18歳の女子高生が書いたとなると、
確かに“18歳の子宮感覚”なんて言葉で評されるのも納得かな。
ただ、ベクトルは恵美子も洋も自分向き。ここに幼さがあります。
最初の出逢いは何事においても肝心。ただ、出逢ってしまうのが運命の面白さ。
必然なのでしょうね。☆3つ。
「海を感じる時」公式サイト



「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は、ディズニー映画。

地球に暮らす少年ピーターは、母を亡くしたショックで病院の外に飛び出したところを、
宇宙船にさらわれてしまいます。
あれから20年。彼は惑星間を飛び回るトレジャー・ハンターになっていました。
ある日のこと、ピーターは、とある惑星の廃墟から“オーブ”という謎の球体を盗み出すんですね。
ところがこれがとんでもない代物で、銀河を吹き飛ばすほどの力を持つパワーストーンだったのです。
この“オーブ”がピーターを窮地に追い込みます。
というのも、“オーブ”は、宇宙のドン『闇の存在』が狙っていたものだったから。
賞金稼ぎの最凶アライグマのロケット、その相棒の樹木型ヒューマノイドのグルート、
『闇の存在』が送り込んだ暗殺者のガモーラ。みんながピーターの命と“オーブ”を奪おうと襲いかかり、
その騒ぎは宇宙の秩序を守るザンダー星の知るところとなり、全員が捕らえられ
、銀河一危険な囚人が集まる刑務所へと送り込まれてしまいます。
そこにいたのが、中でも一番凶暴な囚人と怖れられていたドラックス。
彼はガモーラの仲間に妻子を殺され、復讐の時を狙っていたのです。
ガモーラを襲うドラックス。それを止めるピーター。
実はガモーラは『闇の存在』のやり方に疑問を抱き、手を切りたがっていたのでした。
いつしか5人は一致団結し、刑務所からの脱獄に成功。
しかし“オーブ”は『闇の存在』の手に。
『闇の存在』は宇宙の秩序を守ってきたザンダー星を吹き飛ばし、
宇宙を我がものにしようと企んでいたのです。
果たして、このへんてこな5人組は宇宙を救うことができるのでしょうか…。

あらすじ、なんとなくわかりましたか?(笑)。
登場人物、いや、登場動物?登場植物?にそれぞれ強いキャラがあって、
例えばアライグマのロケットは、アライグマと言われるのが一番嫌。アライグマなのにねぇ(笑)。
アメコミのマーベルの作品です。一連のヒーローものが好きな人には楽しめるかもしれませんね。
コミカル度は少し高いけど(笑)。☆3つ。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」公式サイト



「フランシス・ハ」は、アメリカのインディペンデント作品。

NYのブルックリンで、バレエカンパニーの研究生として頑張るフランシス。
ただ、メンバーに入れるかどうかは微妙な才能。
それでも彼女はバレエダンサーとして食べていきたいと願っていたのです。
そんなフランシスとルームシェアをしているのが、大学時代からの親友ソフィー。
ふたりの友情は永遠だと信じていたのに、ソフィーがアパートの更新はせず、
今より少しいい街に引っ越すと言うではありませんか。
実はフランシス、恋人からの同棲を断り、それが元で、彼氏と別れたばかりだったんですね。
それからフランシスは知人を訪ね、住まいを転々とする生活。バレエカンパニーからもクビを宣告され、
ソフィーの婚約を知らされ、まるで自分だけがおいてきぼり。
そんなフランシスにも、自分を見つめ直す時がやってきたのです…。

たった4館から上映が始まり、口コミだけで、なんと233館にまで拡大したと話題になった映画。
なるほどアメリカの“独立した”女性が好きそうな内容かも。
「わたし、バレエダンサーなの(まだ研究生だけど)」。
人を説き伏せることはできても、自分には嘘はつけない。
でも、虚勢をはって生きてるフランシスには、この肩書きは免罪符のように不可欠で。
そこにしがみついてるから置いていかれちゃう。
早く気付けよなと、ボクなんかはちょっとイラっとしちゃいます(笑)。
真の自分の姿と向き合うことで、きちんと生きていく“プチ・サクセスストーリー”。
この“プチ”に共感が多くあったはず。さぁ、日本ではどうでしょう?評価が楽しみです。☆3つ。
「フランシス・ハ」公式サイト



「舞妓はレディ」は、周防正行監督最新作。

京都の小さな花街「下八軒」。歴史ある花街だが、裏を返せば“古めかしい”?
なんと芸妓の修行段階にある舞妓はひとりしかおらず、その百春も舞妓になって10年。
「世間の笑いもの」と、早く芸妓に上げて欲しいと懇願するものの、叶わずにいたのです。
そんな下八軒のお茶屋『万寿楽』に、舞妓になりたいという少女、春子がやってきます。
百春のブログを読んで来たという春子は、コテコテの鹿児島弁と津軽弁をミックスして話すという、
変わった訛りの女の子。
家出同然の娘は預かれないし、ましてやその話し方じゃ、京言葉は無理だろうと言うおかみに、
居合わせた言語学者の京野が興味を抱きます。同席していた大旦那の北野と賭けをするんですね。
「絶対に訛りを直してみせます」。
「春子を一人前の舞妓にしたら、今後のお茶屋遊びはすべて面倒を見ましょ」。
かくして春子は万寿楽の見習いになったのです…。

面白かったです!
タイトルからもわかるように、「マイ・フェア・レディ」を意識した、ミュージカル仕立てになっていて。
監督の人脈か、いろんな役者さんが登場、スクリーンも華やかでした。
独特のルールがある花街ですから、想像以上に厳しい世界。
なぜ春子が田舎からこの街に飛び込んで来たのかは、劇中で明らかになります。そこが見どころかな。
主演の上白石萌音ちゃんは演技も踊りも見事でした。将来が楽しみな女優さんです。☆4つ。
「舞妓はレディ」公式サイト



「リスボンに誘われて」は、ポルトガルが舞台の映画。

スイスの高校で古典文献学を教えているライムント。
5年前に離婚し、孤独とはいえ、好きな書物に囲まれて過ごす生活に、大きな不満はなかったのです。
そんなある日のこと、学校に向かう途中の橋で、身を投げようとしている女性を発見します。
助けられた女性は教室にまでついてくると、赤いコートを残し、再びまた町へと飛び出して行ったのです。
ポケットには1冊の本と、リスボン行きの切符が。
すぐさま追いかけて行くライムントでしたが、見つけることができず、
ライムントは何を思ったか、そのリスボン行きの列車に飛び乗ってしまいます。
座席で本を開くと、そこには素晴らしい内容の文章が書かれていたのです。
彼は決意します。この本の著者、アマデウを訪ねてみようと…。

初老の男性の突発的なひとり旅、なんですが、そこは赤いコートの女性に惹かれてではなく、
女性はあくまで契機。
100冊しか出版しなかった本に惹かれて、というあたりがこの映画の個性でしょうか。
安定した職を放棄して、リスボン行きの電車に乗ったライムント。
普通は「何とバカなことを…」と思ってしまいます。
この映画を理解するには、ポルトガルの歴史をある程度認識しておく必要がありますかね。
自由のため、民主化のために戦った、先人たちへの思いがあるよう。
ライムントの心を理解できるかは、個人差があるかもしれません。☆2つ。
「リスボンに誘われて」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.9.5

「フライト・ゲーム」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


9月になりました。
まだ“秋”という言葉を使いたくないけど、これだけ涼しいと
“芸術の秋”なんて、ついつい口にしちゃいますよね(笑)。
感性が高まる季節です。是非、名作に触れてみて下さい。
さ、今週は1本です!



「フライト・ゲーム」は、旅客機の中の密室サスペンス・アクション。

旅客機の警備にあたるため、客を装ってNY発の便に乗り込んだ航空保安官のビル。
周囲に注意を払っていたビルの携帯に、送信者不明の脅迫メールが届きます。
「指定口座に1億5000万ドルを送金しなければ、20分ごとに機内の誰かを殺す」。
犯人は機内の乗客に紛れていると自白。
その証拠に、ビルが機内トイレでタバコを吸っていたことも知っていたのです。
機長や、もうひとりの航空保安官ハモンドとも連携を取って、
犯人を捜すのですが、まったく手掛かりすら掴めません。
そうこうしているうちに、1人、また1人と殺され、パニックになる機内。
すると、保安局からビルに対し、「お前を任務から解く」との通告が。
なんと犯人の振り込み指定口座はビルの名義だったのです。
真犯人は一体誰なのか?
高度12000mの上空の密室で、乗客、乗員の命は助かるのでしょうか…。

本当にざっくりとしか書きませんでしたが、冒頭から様々な仕掛けや伏線が張られていて、
みんなが怪しい(笑)。ビルすら犯人かも?と思わせます。あ、犯人かも(笑)。
ビルの隣りに座るジェンという女性がカギを握る存在なのですが、これまた怪しくて。
乗客、乗員146名すべてが容疑者です。
ストーリーはよく練られてました。ハラハラドキドキの展開をどうぞ堪能して下さい!☆4つ。
「フライト・ゲーム」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2014.8.26

「ルパン三世」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、ある人から「長谷川さんが推奨してたから観に行ってみました」と言われ、
作品の良し悪しは別にして、行動を起こす契機になったのならよかったなぁと。
いつも言いますが、ここに書く感想は、あくまで一映画好きの感想です。
もし気になる作品があったなら、是非あなた自身の目で確かめに行って下さいねっ。
さ、今週は1本です!



「ルパン三世」は、人気コミックの実写版。

古代ローマ帝国のアントニウス王が、クレオパトラに送ったとされる“クリムゾン・ハート”。
それは“光の首飾り”と“真紅のルビー”とで出来ていたのですが、
盗み盗まれている間に別々になってしまい、今は東洋と西洋の、それぞれの富豪の手にありました。
そのひとり、首飾りの所有者がドーソンという大富豪。
実はアルセーヌ・ルパンの相棒だったという裏の顔を持つ老盗賊。
彼がリーダーを務める世界的盗賊のグループ“ザ・ワークス”の会合が、
この日、ドーソンの邸宅で行われると聞きつけた国際警察の銭形警部は、
そこに来るはずのルパン三世たちをお縄にしてやろうと待ち伏せるのですが、事態は急転。
なんとドーソンは暗殺され、クリムゾン・ハートは、もう片方のルビーの所有者、
プラムックの手で完成したのでした。
ドーソンに可愛がってもらっていたルパン三世は、ドーソンの遺志を継ぎ、
クリムゾン・ハートを奪還しようとするのですが、
その在りかはジャングルの奥にある絶対に堕とせないとされる要塞型セキュリティーシステムの中。
果たして、この秘宝を取り戻すことができるのでしょうか…。

実写版と聞いて、まず気になるのは配役ですよね。
ルパン三世には小栗旬。
次元大介には玉山鉄二。
石川五ェ門には綾野剛。
峰不二子には黒木メイサ。
そして、銭形幸一には浅野忠信。
なかなかの好キャスティングでしょ?観てみると、さらにハマりだなと感じるはずです。
他にもアジアを中心に、海外の人気俳優が出演しており、実はボクが観た試写は“日本語翻訳版”。
「えっ?」と思ったのですが、なるほど最初から世界のマーケットを睨んでるんですね。
口とセリフが合わないシーンもちょいちょいありました。
原作の良さを入れ込もうとしたのか、正直とってつけたような場面もありましたが、
ま、許せる範囲かなと(笑)。
この映画こそ、「ご自身の目で確かめて」といった感じでしょうか。☆3つ。
「ルパン三世」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.8.21

「バルフィ!人生に唄えば」☆☆☆☆
「プロミスト・ランド」☆☆☆☆
「ローマの教室で〜我らの佳き日々」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


暑さで睡眠が浅いせいか、試写でカクンと落ちちゃうことがしばしば。
心配なのは、いびきをかいてないかってこと。
たまにぐぉぐぉ言いながら寝てるのがいるから、ああなってないか心配で…。
迷惑掛けてたらごめんなさい(笑)。
さ、今週は3本です!



「バルフィ!人生に唄えば」は、インドのラブ・コメディ。

生まれつき、口と耳が不自由なバルフィ。
それでも彼は、強い眼差しと、表現力豊かな身振り、手振りで、
自分の意思を伝える術を知っていたのです。
ある日のこと、美しいお嬢様のシュルティを見たバルフィは一目惚れ。
しつこく後をつけて思いを伝えるのですが、残念ながら、
シュルティには裕福な実業家の婚約者がいたのです。
それでも諦めないバルフィ。彼の実直でユーモラスな人柄に惹かれ始めたシュルティは、
親や婚約者の目を盗んで、バルフィと会うようになります。
ところが、そのことに気付いたシュルティの母親は言います。
「わたしも昔は好きな人がいたの。でも、経済的に豊かではなかった。
あのまま結婚していたらと思うとゾッとするわ」。
シュルティは自分の感情を押し殺して、婚約者との結婚を選びます。
一方で、バルフィには幼なじみのジルミルとの再会がありました。
自閉症の彼女でしたが、バルフィの前では明るく心を許すジルミル。
ふたりの仲は急速に接近していったのです…。

バルフィを巡る、2つの恋の物語。
純粋に人を好きになるって、こういうことかなと。
また、人の優しさってこういうことかと。
恋愛モードのスイッチを押されてしまう映画です(笑)。
ただ、導入の部分に、やっぱりリアリティを感じられないんですよね。
普通なら「なんかアブナいヤツにつきまとわれてて…」となり、
心は許さないと思うんですよね。
普通はそこにリアリティは求めないか(笑)。
でも、ボクには大事な要素だったりするのです。
シュルティに扮する、イリヤーナ・デクルーズがメチャメチャかわいい!
“インドの沢尻エリカ”って感じ(笑)。スクリーンに釘付けです!☆4つ。
「バルフィ!人生に唄えば」公式サイト



「プロミスト・ランド」は、マット・デイモン主演、ガス・ヴァン・サント監督作品。

シェールガスで急成長した大手エネルギー会社に勤めるスティーヴは、農家の出身。
自身の出自を生かし、ガスの埋蔵地に赴いては、
低収入にあえぐ農場主を口説き落とし、業績を上げてきたのです。
そんな中、次のターゲットとなるマッキンリーという町にやってきたスティーヴは、
いつものように町の有力者に根回しをし、儀礼のような住民集会を開くのですが、
今回はやっかいな出席者が。元科学者で、今は高校で教鞭をとる老教師が、
環境への影響の説明が不十分だと反対の声を上げたのです。
結論は後日行う住民投票で決まることに。
その話を聞きつけた環境活動家のダスティンという男が町にやってきて、
スティーヴの会社のネガティブキャンペーンを始めます。
救世主のように迎えられていたのが一転、悪人を見るかのような視線を送られるスティーヴ。
打開策を探しているうちに、事態は思いも寄らぬ方向へと進んでいったのです…。

今が旬といった題材を、ニヤリとさせる切り口で料理した1本。
「幸せってなんだろう」という普遍的なテーマも根底にはあって。
お金があれば豊かなんですかと、観客にも問い掛けているよう。
勘のいい人は仕掛けに気づくかもしれませんが、なかなかよくできたストーリーです。
スティーヴの心情の変化に注目です。☆4つ。
「プロミスト・ランド」公式サイト



「ローマの教室で〜我らの佳き日々〜」は、イタリア映画。

「教師は学校の中の教育だけでいい」とする、
女性校長ジュリアーナが管理するローマの公立高校。
そこに国語の補助教員として、熱血先生のジョヴァンニが赴任。
ハナから生徒をバカにしてかかっている美術史の老教師フィオリートなどとは、
まったく話が合いません。
4年F組の担任になったジョヴァンニでしたが、生徒も個性的な若者だらけで、
どう接したらいいのか、頭を抱えます。
変わり者を自認し、独身で、孤独。すべてに気力を失ったフィオリートは、
自ら命を絶とうかとも考えるのですが、そこに1本の電話が。昔の教え子のエレナでした。
この電話が、フィオリートの人生を変えようとしていたのです…。

教師も人。信じては裏切られ、つまずき、しくじり。
取り返せないものの大切さに後悔したりもします。
でも、いつも言う“志”だと思うんですよね。
根っ子にあるのは何か。子供たちに教えるって、どういうことかってこと。
人気取りじゃダメ。嫌われても“志”があれば、人生の指針のひとつとして、
言葉や行動が記憶に残ったりもするものです。
あの頃のフィオリートにはそれがあった。彼が失いかけたものを、
エレナは思い出させてくれます。それは再び人生を輝かせることでもあります。
もっと書きたいけど、ネタバレになるからなぁ。
書けないのがもどかしいのですが(笑)、見てみて下さい。いい映画ですョ。☆4つ。
「ローマの教室で〜我らの佳き日々〜」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.8.15

「クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落」☆☆☆☆
「FORMA」☆☆☆
「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


ロビン・ウィリアムズの訃報に触れ、哀しい思いでいっぱいです。
ボクは、フランシス・F・コッポラ監督昨品の「ジャック」という映画が大好きで。
人の4倍もの早さで年老いてしまう“早老症”の主人公、
ロビン・ウィリアムズ扮するジャックの生涯を描いたもの。
大学卒業時には、おじいさんになったジャックが、
卒業生を代表して挨拶をするのですが、感動したなぁ…。
空の星だって、星座のようにずっとそこにあるものもあれば、
一瞬の輝きで人を感動させる流れ星もある。
人生は長さじゃないよ、その瞬間を生きなさいというお話。
コッポラ監督のお子さんが早くに亡くなっていて、その子へのオマージュでもあったとか。
「今、頑張らなきゃ」と、本当に心に響いた1本です。
よかったらDVDなどでご覧になってみて下さい。
名優のご冥福をお祈り致します。
さ、今週は3本です!


「クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落」は、なんとドキュメンタリー。

80年代に、共同所有のリゾートを提供する会社、ウェストゲイトリゾーツを設立したデヴィッド・シーゲル。
これが大当たりで、一躍アメリカの大富豪の仲間入りを果たしたデヴィッド。
再婚相手は31歳も年下の、元ミセス・フロリダのジャッキーでした。
ふたりは9年で双子を含む7人の子供を作り、姪も養子にとり、使用人もたくさん。
犬の糞拾い専門のメイドを雇うなど、超贅沢な暮らしをしていました。
さらに、この夫婦の夢は、ホワイトハウスの2倍の広さを持つ
『ベルサイユ』と呼ばれる宮殿風の豪邸を建てること。 着工したのはいいのですが、6割ほどができたところで、
あのリーマン・ショックが起き、ウェストゲイトリゾーツは倒産の危機に。
果たして、この家族の運命やいかに…というお話。
浮き世離れ?世間知らず?妻ジャッキーの金銭感覚たるや、唖然としますから。
「無駄な電気は消せ」というデヴィッドの言うことも、
何故だかまったく理解していない家族たち。
「なんだか大変そうだから節約しなくちゃ」と言いながら、
息子のためにとスーパーで自転車を買うジャッキー。
メイドが自転車をしまおうと倉庫を開けると、そこには乗らない自転車が数十台(笑)。
ドキュメンタリーですからね、言っときますけど。
最初はサクセスストーリーを追おうと始まったインタビュー企画が、一転“転落もの”に。
夫婦は上映禁止の訴訟も起こしたようですが…。
繰り返しますが、ドキュメンタリーですからね(笑)。☆4つ。
「クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落」公式サイト



「FORMA」は、世界各国で数々の賞に輝いた、坂本あゆみ監督の長編初監督昨品。

高校の同級生だった由香里と綾子。
由香里が道路工事の警備員のバイトをしていたところを、
綾子が偶然通りかかって、9年ぶりの再会を果たします。
綾子は自分が働いている会社で一緒に働かないかと由香里を誘い、由香里は綾子と同じ会社に入社。
ところが、綾子の態度が徐々に変わっていったのです。
そこには、ふたりの高校時代に起きた、ある出来事が関係していたのです…。

サスペンス・スリラー。
根っこにある憎しみの原因は、なんとなく読めちゃうかもしれません。
それでも、確かにスリルとサスペンス(笑)。“3歩進んで、
2歩下がる”的な感じの謎解きに、ハラハラドキドキ!
145分と長いのですが、飽きずに楽しめると思いますョ。☆3つ。
「FORMA」公式サイト



「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」は、ドキュメンタリー。

大都市ローマの大動脈である環状線GRA。その周辺に住む人々の暮らしを追った映画です。
ヤシを食い荒らす害虫を研究する植物学者。
先祖代々の所有物である城を管理して生活する没落貴族。
高貴な家柄の出ながら狭いアパートの一室で暮らす老紳士と娘。
年老いた母の介護をしながら救急隊員として働く中年男性。
後継者がいないことに悩むウナギ漁師。
両性具有の車上生活者。
それぞれの日常を、淡々と映し出しています。
何の演出も無いところにドラマがある。
我々日本人にピンとくるかどうかはわかりませんが、世界的に評価が高い1本。
興味のある方はご覧になってみてはいかがですか?☆3つ。
「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.8.7

「STAND BY ME ドラえもん」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、劇場で行われた、とある映画のマスコミ試写に行った時のこと。
劇場ゆえ、飲食は可。それでもビールはないでしょ…。
隣りの男性がビールのカップを肘掛けのところに置くから嫌になって、
早めに行って取った定位置の席だったのですが、席を移りました。
映画とはいえ、試写は遊びじゃないんだから。酒の臭いは勘弁…。
少しは考えて欲しいものです。
さ、今週は1本です!


「STAND BY ME ドラえもん」は、人気コミックのCG化、3D作品。

何をやってもダメな少年、のび太。
そんなのび太のもとに現れたのは、
22世紀からやってきたというのび太の孫の孫セワシと、猫型ロボットのドラえもんでした。
のび太が今のままじゃ、子孫は大迷惑だと、
お世話係のドラえもんを現代に置いていこうとするのですが、ドラえもんは「嫌だっ」とゴネます。
そこでセワシはドラえもんに“成し遂げプログラム”をセット。
のび太が幸せを感じたら22世紀に帰れるようにしたのです。
このプログラム、逆に帰りたくなくても帰らなくてはならないもの。
最初は乗り気じゃなかったドラえもんも、徐々にのび太と仲良くなっていきます。
のび太の幸せとは?
果たしてドラえもんは無事、未来に帰れるのでしょうか…。

ドラえもんの最初のお話をCG化。それを3Dで見せる作品です。
“ドラ泣き”なんてキャッチフレーズをつけて、
TVのコマーシャルでも観客になった著名人の涙のシーンを流してるけど、
ちょっと逆効果じゃない?
あんまり泣ける泣ける言われると、ちょっとやそっとじゃ泣けなくなる。
ましてや、知ってる人は既に知ってる話だから。
ボクは期待が大きすぎてまったく泣けませんでした。
CG化の是非は好みでしょうね。
元々SFコミックなんだから、このテイストは“あり”と言えば“あり”。
ただ、独特のバランスが2次元の世界で保たれているからこそ魅力的だ、と言う人も出てきそう。
ま、見てみて下さい。☆3つ。
いろんな人がスクリーンに登場します。言わないでおきます。楽しみに見て下さい。☆3つ。
「STAND BY ME ドラえもん」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.7.26

「エイトレンジャー2」☆☆☆
「GODZILLA ゴジラ」☆☆☆☆
「2つ目の窓」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


2014年前半、6月までに観た試写の数を数えたら、61本でした。
例年並、もしくは少し少ないかなといった感じです。
後半はなるべくたくさんの作品に出会って、いい情報を届けられるようにと思っています。
さ、今週は3本です!


「エイトレンジャー2」は、関ジャニ∞の主演作、シリーズ第2弾。

2040年の八萬市(エイトシティ)。
5年前に、テロ組織・ダーククルセイドがこの街を襲ったものの、街の自警団「ヒーロー協会」のヒーロー、
エイトレンジャー7人の活躍によって、人々の平和が守られたのでした。
今、エイトレンジャーはといえば、名ばかりの治安活動で街の税金から高給をもらい、贅沢三昧の日々。
大鶴市長が掲げた『ゼロ・プロジェクト』によって、街の犯罪は0に見えたのですが、
実は影では恐ろしい計画がうごめいていたのです。
再びの危機にまったく気づかないエイトレンジャーたち。
果たして八萬市の平和は保たれるのでしょうか…。

意外とざっくり、というかギャグもツッコミどころ満載で(笑)。
関西テイストの笑いでしょうから、ツボが違うのか、
あるいはこの映画の一番のターゲットである関ジャニ∞ファンには、
ツッこめる部分がいくらかでもあった方が楽しいのでしょうか。
もう少し練ってあれば、ホロッとしそうな場面も引き立つんでしょうけど。
その辺がね…なんてあんまり言うとファンに怒られちゃうかな(笑)。
いろんな人がスクリーンに登場します。言わないでおきます。楽しみに見て下さい。☆3つ。
「エイトレンジャー2」公式サイト



「GODZILLA ゴジラ」は、ハリウッド版ゴジラの第2弾。

日本の原子力発電所に勤務していたブロディ博士夫妻。
ところが、地震のような大きな揺れで施設は崩壊。技術者だった妻のサンドラは逃げ遅れてしまいます。
最期の言葉は「フォードをお願い」。
息子の幸せを夫のジョーに託し、サンドラはこの世を去ったのです。
あれから15年、大人になったフォードは軍隊へ。
休暇となり、久しぶりにサンフランシスコの妻と子の元に戻ったフォードでしたが、
くつろいでいたのも束の間、父が日本で逮捕されたと領事館から電話が入るんですね。
警戒区域に立ち入ったとのこと。
今も日本に残り、独自にあの事故を調査していたジョーは、なんとか昔の家に戻り、
データの入ったフロッピーを取り戻したいと行動していたんですね。
父の身元引受人として来日したフォード。
父の言葉を戯言と聞き流していましたが、あまりに真剣な父の眼差しに、仕方なく再び警戒区域へ。
そこで今度は、父子で警備の人間に捕まってしまいます。
連行された場所は、秘密の研究基地。
そこには父がずっと話していた、日本が隠す“何か”がいたのです…。

もらったプレス用のパンフレットにもあらすじの記載はなく、
別途もらった紙にはストーリー上の情報公開制限が。
なので、これぐらいにしておきます(笑)。
国が隠していた“何か”はゴジラかどうかわかりません(笑)。“何か”は“何か”ですから。
結構最初から緊迫した空気が続いて、ストーリーが練られているからなんでしょうね、面白かったです。
ただ、とあるシーンはまだ日本人には痛かったかなぁ。その傷はまだ癒えてないから。
まだハリウッドでも次のステップがあるかなと思わせる内容。
ゴジラは正義の味方なのか、それとも破壊神なのか。
そのあたりも含め、日本のヒーロー怪獣を、我々日本人は見ておく必要があるかと思います。☆4つ。
「GODZILLA ゴジラ」公式サイト



「2つ目の窓」は、河瀬直美監督最新作。

奄美大島に暮らす、高校生の界人と杏子。
杏子の母親は特殊な能力をもつユタ神様。島の人々の心の拠り所としての存在だったのですが、
病に倒れ、自分の死期を悟ったのか、病院から自宅に戻り、
家族との穏やかな日々を過ごしていたのです。
一方の界人は、両親の離婚もあって、東京から島にやってきた男の子。
思春期の界人にとって、母親に男の影がチラつくことがどうしても許せずにいたのです。
杏子の思いも知りながら、どうしたらいいのかまったくわからない界人。
様々なモヤモヤが一気に吹き出した嵐の夜、界人をまたひとつ大人にする出来事が起こるのです…。

島の自然、つなぐ命、生と死、家族の絆。
そういったものを1本のフィルムに収めた作品です。
何がいいって、杏子役の吉永淳がいい。存在感のある女優です。21歳。これからが楽しみ!
いい作品に出逢って、成長していって欲しいものです。
自然界の一部分として存在する我々人間と、そこに煩悩や意思も併せ持つ人間の側面もあって。
そんな人間の在りようを描くには、奄美大島というロケーションと、
スピリチュアル的存在の杏子の母、母であり女である界人の母など、
そんな設定が必要だったのでしょう。
界人の揺れる複雑な心に、あらゆることが含まれているようで。
小宇宙のような作品です。☆4つ。
「2つ目の窓」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.7.18

「思い出のマーニー」☆☆☆☆
「靖国・地霊・天皇」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


最近、見た試写を、ついうっかりUPし忘れてしまうことがあり、申し訳ないなぁと。
いつかまとめてご紹介しますね。DVDなどで見る時の参考にしてもらえればと思います。
今後、無いように努めないと。
さ、今週は2本です!



「思い出のマーニー」は、スタジオ・ジブリ最新作。

幼い頃に両親を亡くし、養父母と暮らしている12歳の少女・杏奈。
心も閉じ込もりがちの杏奈が持病の喘息をこじらせ、療養のために、
北海道に住む養母の親戚の家で暮らすことに。
自然が美しいこの村で、杏奈は入江に建つ古い屋敷に魅かれます。
村人が“湿っ地屋敷”と呼ぶその屋敷には、もう何年も人が住んでいないのでした。
この屋敷を、杏奈は毎晩のように夢で見ます。
その夢には、いつも必ず青い窓に閉じ込められた金髪の少女がいたのです。
祭りの夜のこと、地元の中学生と揉め、自分が大嫌いと泣く彼女の傍らに、
あの金髪の少女が立っていました。彼女の名はマーニー。
「あたしたちのことは秘密よ、永久に」。
ひと夏の、不思議な経験の始まりでした…。

監督は「借りぐらしのアリエッティ」以来、長編は2作目となる米林宏昌監督。
誰もが通ってきた、幼き自我を思い出して、胸がキュンとなるんじゃないかと思います。
成長途上の人間を、周りがどう見つめ、支え、時に突き放し、愛情をかけて育てていくのか。
大人になった時の自己形成に、大きな影響を与える大切なこと。
映画はファンタジーだけど、きっとあなたの近くにも、マーニーのような存在があったはず。
もし遠く離れて暮らすなら、この夏は会いに帰ってみてはいかがです?☆4つ。
「思い出のマーニー」公式サイト



「靖国・地霊・天皇」は、ドキュメンタリー。

靖国神社には246万もの戦没者が合祀されています。
A級戦犯の合祀が問題視され、首相等、要人の参拝に海外、
特に韓国、中国がクレームをつける。
A級戦犯は本当に悪人だったのか。
いったい何が正しくて、どのような形が靖国のあるべき未来の姿なのか。
両極端な意見を持つ、ふたりの弁護士の意見と、日本人のみならず、
外国人の声や、活動家たちの活動など、様々な観点から“靖国問題”を語ります。
正直、もう少し靖国神社の成り立ちなどに深く入り込んだ映画かなと思ってました。
そうではなく、靖国論争の論点を、もう一度取り上げて、
ニュートラルな立場から“考えてみませんか?”と投げかける映画なんですね。
時代の流れが、なんとなくきなくさい方向へと向かいつつある昨今。
終戦記念日を前に、こういう映画もご覧になっておいてはいかがですか?☆3つ。
「靖国・地霊・天皇」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.7.8

「大いなる沈黙へ―グランド・シャルトルーズ修道院」
(満点は☆☆☆☆☆)


今週の映画はドキュメンタリー。ちょっと☆が付けづらく…。
というか、そういう評価をする作品ではない気がします。
ご覧になって、感じてみて下さい。
今週は1本です!



「大いなる沈黙へ―グランド・シャルトルーズ修道院」は、フランスアルプス山脈に1000年近くも建つ、
カトリック教会の中でも戒律の厳しい、カルトジオ会の男子修道院を撮影したもの。
ドイツ人監督のフィリップ・グレーニング氏が、1984年に撮影を申し込み、
16年後に許可がおり、初めてカメラが中に入ることを許されます。
ただし、それには条件があって、礼拝時の聖歌以外は音楽もつけず、ナレーションも無し。
そもそも修道士たちに許されている会話は、日曜の昼食後の、わずかな散歩の時間だけ。
もちろん自給自足で、小さな房の藁のベッドに寝て、
ひたすら祈りを捧げる姿を追った、沈黙の169分。
修道士たちは、死後の世界を信じている。というか、この俗世を終えて、
神の世界に行くことを楽しみにしているんですね。
そのためにひたすら祈りの日々を送る。
その生き方をボクらがどうこういうことは不謹慎でしょ。
繰り返しになりますが、ご覧になって、感じてみて下さい。
「大いなる沈黙へ―グランド・シャルトルーズ修道院」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.7.4

「DOCUMENTARY of AKB48 The time has come
少女たちは、今、その背中に何を想う?」☆☆☆☆
「マレフィセント」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


試写中にあくびをするなら、噛み殺しながらそっとしましょう。
大きな声で「ふわぁ〜っ」だなんて…。会場中に響き渡ると本当にシラケますから。
作品がつまらなくても、みんなじっと見てるのですから。
さ、今週は2本です!



「DOCUMENTARY of AKB48 The time has come
少女たちは、今、その背中に何を想う?」は、AKB48のドキュメンタリー映画。

今回は、グループの中心的メンバーだった、大島優子の卒業を軸に、カメラが回ります。
衝撃の発表となった2013年大晦日の紅白歌合戦から、
荒天で順延になった国立競技場での卒業ライブまで。
大島優子の存在の大きさが映し出されます。
彼女の卒業に象徴されるように、初期メンバーたちはそれぞれにAKB48での在り方を考えている。
その一方で、夢を求めてAKBグループに仲間入りしてくる若き新メンバーたち。
今年も“選抜総選挙”が開かれ、昨年1位の指原莉乃を逆転する形で、
渡辺麻友がついにセンターを勝ち取ります。
そんな時に起こった、岩手での傷害事件。
日本を代表するアイドルグループにとっての転換期?
それでも彼女たちは信念のもと、活動を続けていくのです。
少女たちが頑張る姿を見ながら、様々なことを考えるはず。
例えば、大島優子のようにスポットライトを浴びることのないまま、グループを去るメンバーも多くいる。
これからの人生、どうなっちゃうんだろうと。
誰でもができることじゃないことをやってきたのだから、この経験に胸を張って欲しいと切に願い。
また、名も無きメンバーがひな壇で一生懸命手を叩いていた姿を主要メンバーが褒めてくれる。
「見ててくれたんだ…」。そう、必ず誰かが見ててくれるんだって。
だから今やるべきことを一生懸命にと強く思い。
正直、少々煩雑な印象は否めませんが、それでも感じ入ることは必ずあるはずです。
大人も負けていられませんョ(笑)。☆3つ。
「DOCUMENTARY of AKB48 The time has come
少女たちは、今、その背中に何を想う?」公式サイト




「マレフィセント」は、アンジェリーナ・ジョリー主演のディズニー映画。

人間界と妖精界が隣り合わせに存在し、禁を破って、幼い人間の男の子が妖精界へ。
それが後に国王となるステファンでした。
まだ幼かった魔女のマレフィセントと仲良くなり、ふたりは度々会うようになります。
大人になると、野心家のステファンは、マレフィセントを“売る”ことで国王の座を得るのです。
そして王女と結婚。産まれたロイヤルベイビーが、オーロラ姫でした。
お祝いの席に、招かれざる客となったマレフィセントが現れ、
オーロラ姫に恐ろしい呪いをかけてしまうんですね。
「16歳の誕生日までに、姫は永遠の眠りにつくだろう。真実の愛のキスだけが眠りを覚ます」と。
すくすくと育つオーロラ姫。
それを陰から見守るマレフィセントの心には、複雑な思いが宿っていたのです…。

根は優しいマレフィセント。
でも、ステファンに裏切られ、哀しみが恨みへと変わり、呪いをかけてしまったのです。
ただ、オーロラ姫は純真で可愛い女の子。
なんでこんな子に呪いをかけてしまったのか、マレフィセントは後悔するんですね。
ディズニーの名作「眠れる森の美女」を、魔女の側から描いたという今作も、テーマは“真実の愛”。
“アナ雪”もそう。今、ディズニーの中でブームなのかなと思っちゃいます(笑)。
意地悪そうなアンジェリーナ・ジョリーと、実生活でも母である彼女の、
滲み出る優しさとの対比に注目です。好演が光ります。☆3つ。
「マレフィセント」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.6.26

「渇き。」☆☆☆☆
「her/世界でひとつの彼女」☆☆☆☆
「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今週紹介する3作品は、いずれも話題作。試写に行く前から、ワクワクしていたものばかりでした。
あなたも是非、映画館に足を運んでみて下さいね。
さ、今週は3本です!



「渇き。」は、「告白」の中島哲也監督最新作。

元刑事の藤島。妻の不倫相手への傷害事件で警察を辞めてからは、
警備会社でアルバイトをしながら、荒れた生活を送っていました。
そんな時、別れた妻から連絡が入ります。
たったひとりの愛娘、女子高生の加奈子が失踪したと。
以前は自分も暮らしていたマンションに駆けつけると、
娘の部屋に残されていた鞄から、薬物が出てきたのです。
優等生だった娘がなぜ?
藤島は妻を罵り、見知らぬ少年との2ショット写真を手に、加奈子の行方を捜しに出ます。
ところが、加奈子の知人を訪ね、加奈子のことを知れば知るほど、
耳を疑うような話が飛び込んでくる。
加奈子は一体…。

何でしょ。説明不要のバイオレンスムービーです。
親は子のことなんて、何もわかってないというのがひとつ。
もうひとつは、きちんと愛情をかけて育てれば、一度や二度は曲がっても、
子供というのはちゃんとかけた愛情の分だけ真っすぐな道に戻ってくると。
いやいや、そんなキレイ事じゃなく、この映画はその裏を読んで下さい。
藤島、あんたの子なんだよ。☆4つ。
「渇き。」公式サイト



「her/世界でひとつの彼女」は、近未来のラブストーリー。

他人に代わって手紙を書く、代筆ライターのセオドア。
実生活では妻との離婚調停中で、いまだ未練を残すセオドアは、次の恋愛に進めずにいたのです。
そんなある日のこと、最新式人口知能型オペレーティング・システムの広告に目がとまります。
「あなたの話を聞き、理解してくれる。個性も意識もある、世界初のAI型OS」。
興味を持ったセオドアがアクセスし、質問に答えると、パソコンの向こうから女性の声がします。
明るく、セクシーな彼女は“サマンサ”。経験から学び、一瞬ごとに進化すると言います。
会話も楽しく、サマンサを携帯端末にインストールしたセオドアは、常に彼女と一緒。
イヤホンの耳元からは、可愛い声が聞こえていたのです。
ヤキモチも妬くサマンサ。言葉で互いを高め合いながらのセックスも。
本当の恋人のように思っていたセオドアでしたが、
勉強熱心なサマンサから“向こうの世界”で知り合ったという男性を紹介され、
意味不明の言語での会話に、今度はセオドアがヤキモチ。
日々進化を続ける“人口知能”サマンサとの溝が少しずつ広がっていくことに、
セオドアはまだ気づいていなかったのです…。

人口知能との恋。
あり得ないことじゃありませんよね。
だって、アニメに夢中になるオタクくんたちは、すでにそれに近いわけで。
ただ、一方通行だけど。
これが向こうからも、自分を喜ばせてくれるような言葉を掛けてくれて、
いつも一緒にいられるとしたら。オタクくんじゃなくてもハマっちゃうかも(笑)。
初め、ポスターを見た時は、セオドア役のホアキン・フェニックスの顔が“ゲイ”っぽくて(失礼!)。
タイトルからも、そちらの話かなと思っちゃいました。
ま、恋はどんな形であろうと、その多くが純愛なのだと気づくかも。☆4つ。
「her/世界でひとつの彼女」公式サイト



「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」は、
J.F.ケネディ大統領暗殺事件からの4日間を追った作品。

1963年11月22日、テキサス州ダラス。
この日、絶大な人気を誇る大統領、J.F.ケネディがやってくるとあって、
街は熱気に包まれていました。
生地店を経営するザプルーダーは、自慢の最新の8ミリカメラを用意。
大統領夫妻を乗せた車を撮ろうとカメラを構えていると、
午後0時30分、3発の銃声が響いたのです。
騒然とするダラスの街。
運び込まれた市内の病院。血の気も失せたシークレットサービス。
犯人と思しき、オズワルドとその家族たち。
惨劇を映してしまったザプルーダーと、残された映像。
歴史に残る悲劇の4日間の始まりでした…。

“都市伝説”としても取り上げられるなど、今も謎が多いとされる事件ですよね。
宣伝文句に“新たなる真実に迫る”とあり、
とんでもない事実が出てきたのかと期待して行ったのが、ちょっと間違い(笑)。
周辺の詳細を掘り下げていったら、さらにこんなことがわかったということなのでしょう。
外郭のみならず、
関心を持って事件を知っているアメリカ国民にとってはそれでも驚きの視点なのかも。
ボクら日本人は、その外郭自体の“新たなる発見”に期待してしまいますもんね。その差かな。
それでも、緊迫した空気、マスコミの在りようは今も変わらないんだなと、
面白く見させてもらいました。☆3つ。
「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.6.13

「無花果の森」☆☆☆
「ノア 約束の舟」☆☆☆
「春を背負って」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


暑くなると、試写会で困るのは“臭い人”(笑)。シャワー浴びないんでしょうね。
こちらが後から座る時は、隣りは避けられますが、空いてる隣りに座られちゃうと…。
それもまたマナーだと思うのですが。
さ、今週は3本です!



「無花果の森」は、韓国の人気グループ、超新星のユナクと、原田夏希主演作。

世界的指揮者である新谷吉彦の妻、泉。
彼女が新谷のDVに耐えかねていることを嗅ぎつけた雑誌記者のヨンホは、
泉に取材を申し出て、「辛い毎日から抜け出しませんか」と近寄ります。
はねつける泉でしたが、実は、すでに夫の元から立ち去る決意をしていたのです。
携帯も捨て、田舎町までやってきた泉は、1枚の貼り紙を見つけます。
「家政婦募集。住居、食事付き」。
かなり風変わりな女流画家の家で、働き始めた泉。
ある日のこと、この家主と飲みに出掛けることに。
そこで働いていたのは、あの雑誌記者のヨンホだったのです…。

単館系の独特の空気感が漂う作品です。
ヨンホ役のユナクのたどたどしい日本語には、それほど違和感を感じませんでしたが、
小木茂光さんの“オカマのママ”はちょっと…(笑)。
ヨンホは泉を追ってきたのではなく、策略にはめられて、
たまたま来たのがこの田舎町だったと。う〜ん、出来過ぎ(笑)。
でも、このトーンが好きだという人も、きっといるんでしょうね。☆3つ。
「無花果の森」公式サイト



「ノア 約束の舟」は、ラッセル・クロウ主演、
「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督作品。

ある晩、ノアは恐ろしい夢を見ます。
その夢とは、神が堕落した人間を滅ぼし、すべてを地上から消し去り、新たな世界を創ろうというものでした。
「大洪水が来る」。
ノアは家族と、罪のない動物たちを守るための巨大な箱舟を造り始めます。
ところが計画を知った、父の仇でもある、宿敵カインが舟を奪いにきます。
何とか舟を守ろうと、壮絶な戦いを繰り広げるノアたちでしたが、
その瞬間、地が裂け、大洪水が起こるのです。
濁流に飲み込まれながら、漂う箱舟。
そこでノアの口から、家族も耳を疑うような驚愕の計画が話されるのでした…。

旧約聖書にある「ノアの箱舟」伝説は、わずか数ページなんですね。
謎に満ちたこの物語を、どう解釈するのか。
それをダーレン・アロノフスキー監督が独自の観点で考え、築き上げた超大作です。
正直、キリスト教国ではない日本の、キリスト教徒ではないボクには、
あまりピンとこないところもありましたが、人間の善と悪というか、
人が人らしくある部分が大きな救いになっているのにはホッとしたかなぁ。
ある人が言ってました。「神様がいるとしても、宗教は人間が作ったもの。
そこでどんなに上の立場になろうと、人はあくまで人であって、神ではないということだ」。
確かに…。
それが、洪水を引き起こさせた原因でもあり、まさに人間の“業”なんじゃないんですか?
宗教はわからないけど(笑)。
壮大に描かれている、そのスケールには見るべきものがありそうです。☆3つ。
「ノア 約束の舟」公式サイト



「春を背負って」は、「劔岳 点の記」で知られる、名カメラマン・木村大作監督作品。

立山連峰で山小屋を営む勇夫。
息子である亨は、厳格な父から離れたいと、東京で働くことを選択していました。
ある日のこと、突然そんな父の訃報が届きます。亨の携帯には、死の直前の、父からのメッセージが。
慌てて帰る亨を待っていたのは、母と山の仲間たち。
そして、山小屋で働いていた愛という若い女性でした。
父の愛した山小屋に向かう亨と母と愛。この時、亨は山小屋を継ぐ決意をするのです。
素人に簡単にできるものではない山小屋の管理。
すると、父の親友だったという、ゴロさんという男性が現れ、
「おまえの親父さんが夢枕に立って、亨を一人前にしてくれって頼まれちまったんだ」と。
この日から、亨と愛とゴロさんの、山小屋での日々が始まったのです…。

監督のネームバリューもあってでしょう、すごい俳優陣が揃いました。
豊川悦司、小林薫、壇ふみ、蒼井優、松山ケンイチ、吉田栄作、仲村トオル、市毛良枝、石橋蓮司…。
実際に雪山に登り、山小屋で生活しながらの撮影だったそう。
この監督ならではの、こだわりの風景が確かに美しかったです。
そこにある“リアル”は、昔ながらの日本映画のようでもあります。☆3つ。
「春を背負って」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.5.29

「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」☆☆☆☆
「薔薇色のブー子」☆☆
「万能鑑定士Q―モナ・リザの瞳―」☆☆
「六月燈の三姉妹」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


試写の眠気覚ましに、ボクも飴を舐めたりします。
でも小袋を開ける時のガサガサという音には気をつけてます。
シーンとした場面でガサガサと聞こえると、「おいおい、今じゃないだろ…」と思っちゃう。
自分の出す音って、あんまり気にならないんでしょうね。
ボクは銃声や、騒音に合わせてビリッと(笑)。
それでも迷惑だって思う人もいるはず。気をつけなきゃ。
さ、今週は4本です!



「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」は、
フォーク・ソング黎明期の物語。

1961年、NY。ガスライト・カフェで唄っている、ひとりの男、ルーウィン・デイヴィス。
フォークシンガーです。
音楽に対する志は高いものの、レコードはまったく売れず。
トラブル続きの生活から逃げ出すかのように、ルーウィンは街を飛び出すことを決意。
一路、シカゴに向かったのでした。
この旅もまた波乱の連続でしたが、人生を見つめ直すいい契機になったのもまた確か。
ルーウィンは再びNYへと戻るのでした…。

あのボブ・ディランが憧れたという実在のフォークシンガーの回想録を題材に、
コーエン兄弟が脚色したこの映画は、なるほど面白い着地の仕方をします。
妥協しない強さというんですかね。何度も折れそうになるけど、それでも貫き通す気持ちの在りよう。
それが大切なんだってことを教えてくれます。
でも、強いだけじゃない。いや、逆にこのルーウィンという男、へなちょこな部分のほうが多いかも(笑)。
それでも自分の大好きな音楽についてだけは、決して曲げないんですね。そこかなぁ。
さらに秀逸なのは、主演のオスカー・アイザックが唄う劇中歌の質の高さと、彼の歌声!
サントラは是非もので欲しくなりました!☆4つ。
「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」公式サイト



「薔薇色のブー子」は、AKB48グループの指原莉乃主演作品。

小さな時から、ずっと文句ばかり言ってきた幸子。ついたあだ名は“ブー子”。
いつかは素敵な出会いが待っていると、信じて疑わなかったブー子もいつしか女子大生に。
しかし、キャンパスライフは理想とはほど遠く、なーんにも起こらない。
そんな時、ツイッターで趣味も合い、ルックスはジョニー・デップ似だという
“スパロウ”という男性と知り合います。
スパロウと会う約束を交わすブー子。
この人こそ、待ち望んだ理想の男性と信じて疑わないブー子は、約束の時間まで、
全力でオンナ磨きに走るのですが…。

“さしこ”こと指原莉乃のキャラに合わせた、ハチャメチャなコメディです。
家を出れば黒猫の大群が目の前を横切り、TVのドッキリに引っかかって落とし穴に落ちる。
大切な初デート前だというのに、次から次へとハプニングが起こる。
たぶん指原ファンは腹を抱えて笑うんでしょうね。
そのツボの違いかなぁ。
きっと満点をつける人もいると思いますが、ボクはごめんなさい、☆2つ。
「薔薇色のブー子」公式サイト



「万能鑑定士Q―モナ・リザの瞳―」は、綾瀬はるか、松坂桃李主演作。

あらゆるものの真贋を鑑定する店“万能鑑定士Q”の店主である莉子。
40年振りに来日するモナ・リザを護衛すべく、臨時の学芸員を募集していたルーヴル美術館。
アジアの代理人である朝比奈の推薦で採用テストを受け、合格した莉子は、
もうひとりの合格者である美沙と共に、講義と厳しい訓練の日々を過ごします。
ところが、モナ・リザを知れば知るほど、莉子の鑑定能力が失われていってしまうんですね。
モナ・リザに仕掛けられた罠とは?
陰謀渦巻く今回の来日に際し、莉子は世界的名画を守ることができるのでしょうか…。

あ、松坂桃李は莉子の才能と美貌に魅せられた、落ちこぼれ雑誌記者の役。
莉子を様々な方面からサポートします。
この手の映画って、海外の作品だと実に緻密に、隙がなく作られてるじゃないですか。
だからちょっとでもツッコミどころがあると、一気に“B級感”が出てきちゃうんですよね。
そのあたりが難しいのかなと。
どこまでこだわるのかは、作り手がどの観客層をターゲットにするのかで変わってくるんだろうなと思います。
はるかちゃんや、松坂くんファンを楽しませてあげるのならこれで十分でしょう。
そこからの振れ幅が大きいとヒット作となるのですが…。☆2つ。
「万能鑑定士Q―モナ・リザの瞳―」公式サイト



「六月燈の三姉妹」は、鹿児島の老舗和菓子店を舞台にした、ワケあり家族の物語。

どんどんさびれていく、鹿児島のとある商店街の中にある老舗和菓子店『とら屋』。
家族経営の店なんですが、その家族に“問題あり”。
まず、母の再婚相手が今の菓子職人で、同居はしているものの、
実は離婚しています。つまり母はバツ2、父はバツ1。
娘が3人いるのですが、長女と次女は前の夫との間の子で、
長女はバツ1、次女は離婚調停中。
三女は今の父と母の間に生まれた子だけど、婚約破棄の後に現在不倫中。
この土地では“六月燈”と呼ばれる夏祭りがあり、
巨大スーパーの台頭で経営難に陥っている『とら屋』も、新製品を考えて、起死回生を狙いたいところ。
そんな時、東京から次女と離婚協議中の夫が「やり直そう」とやってくるのでした…。

六月燈は、地元では“ロッガッドー”と言うそうで、鹿児島と宮崎の一部で行われる夏祭りです。
商店街も、『とら屋』も、家族のそれぞれも、何とか立て直しを計らなくてはならないわけです。
それがひとつの目標に向かって、一丸となって頑張って行く中で、
失いかけていた信頼を取り戻したり、気付かなかった新たな発見をしたりする。
そんなお話ですかね。
なんとなく漂ってくる“昭和の匂い”が、ボクは嫌いじゃなかったです。☆3つ。
「六月燈の三姉妹」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.5.21

「青天の霹靂」☆☆☆☆
「ぼくたちの家族」☆☆☆
「マンデラ―自由への長い道―」☆☆☆
「ラストベガス」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今週公開の「マンデラ―自由への長い道―」を、似たタイトルの別作品と勘違いして、
4月にUPしてしまいました。
正式には5月24日(土)公開です。
なので、同じものを今週UPします。ご迷惑をお掛けします。よろしくお願いします。
それも含め、今週は4本です!



「青天の霹靂」は、劇団ひとりの主演、監督作品。

マジックバーで働く、マジシャンの晴夫。
後輩がTVで活躍するのを横目で見ながら、4畳半のアパートで1人暮らし。
そんな晴夫に父の訃報が届きます。
絶縁状態にあった父と、産まれてすぐに自分を捨てた母。
「今さら…」と、すべてが惨めに思えたその瞬間、晴夫は雷にうたれたのです。
気付くとそこは40年前の浅草。マジシャンだった若き日の父と、父を支え、懸命に生きる母との出会い。
父とコンビを組むことになる晴夫は、捨てられたと思っていた自分の出生の秘密を知るのです…。

大泉洋、柴咲コウ、そして劇団ひとり。
なかなか泣けますョ。
タイムスリップものは決して目新しくはないんですが、SF的な感覚じゃないのがいい。
古き良き人情の時代。「三丁目の夕日」がウケたのはなぜか。そんな要素が入った1本です。
見終わったら、きっと親御さんの声が聞きたくなりますョ。
あ、大泉洋のマジックが素晴らしく上手いのにビックリです!☆3つ。
「青天の霹靂」公式サイト



「ぼくたちの家族」は、「舟を編む」の石井裕也監督作品。

東京の郊外に家を買い、小さな会社を営む父、克明。
専業主婦の母、玲子。
中学の時、引きこもりになったけど、今は会社に勤め、結婚もし、
妻のお腹には子どももいる長男、浩介。
大学を留年し、今も母親に小遣いをねだる次男、俊平。
若菜家はごくごく普通の家族でした。
ところが、母・玲子の物忘れがひどくなり、遂には意味不明の言葉をしゃべり出す。
病院に連れて行ったら、診断は脳腫瘍。それも余命1週間だという。
突然の出来事に父・克明は取り乱し、浩介は家庭と仕事と母親の間で板挟み。
俊平はちゃらんぽらんで真剣さがない。
さらに父の会社の経営難と、母の多額のカードローンが発覚。
若菜家の日常が、ガタガタと音を立てて崩れ始めたのです…。

ボク自身、経験があるけど、年を重ねると、若いうちはまったく考えなくてよかったようなことが、
結構大きな問題となってズシリと肩にのしかかってくる。あるんです、そんなことが。
家族って何?血の繋がりって何?考えさせられます。
初めは俊平の態度がどうにも気にくわない(笑)。
でも、兄弟の関係がちょっと変わるのは、言いづらかった本音を吐き出してから。
母・玲子の本音も、脳に障害があるからこそ出た本音。そこに真実がある。
ただ、家族が本当にすべてをさらけ出せてる家庭って、どうでしょ、ほとんど無いんじゃないのかなぁ。
これがまた血の繋がりの逆に面白いところかも。なんて考えてしまいます。☆3つ。
「ぼくたちの家族」公式サイト



「マンデラ−自由への長い道−」は、南アフリカ共和国初の黒人大統領、
ネルソン・マンデラ氏の生涯を描いた作品。

白人による黒人差別政策である、南アフリカ共和国の“アパルトヘイト”。
そんな不条理に異を唱え、祖国の自由と平等のために生涯を捧げたネルソン・マンデラ。
王族の子として生まれ、大学で学び、差別の現実を知るや、法律事務所を設立。
より強く活動をするためにアフリカ民族会議に入党します。
さらに武装組織の司令官にもなり、テロ行為も指導。
でも、そこで暴力による憎しみの連鎖に気づくんですね。復讐じゃない、赦すことだと。
しかし、国家反逆罪で捕らえられ、終身刑を言い渡されて、
孤島の刑務所で27年という獄中生活を余儀なくされます。
そんなマンデラ氏たちの姿を、この差別を、国際社会は黙って見てはいなかったのです…。

ドキュメンタリーではありませんが、事実に基づく作品で、原作は自著。
映画化に当たっても、南アフリカで反アパルトヘイト運動に携わっていたプロデューサーを起用。
「自分を美化しないで欲しい」と、ありのままを描くよう指示したそう。
ゆえに、3度の結婚、すなわち度重なる離婚も赤裸々に描かれてます。
マンデラ氏は、ノーベル平和賞に輝き、惜しまれつつ昨年12月5日に亡くなりましたが、
27年の監禁生活でも、希望を捨てなかったことがすごい…。
こういう世の中を変えるような人と一緒にいると、周りも変わるんですよね。
きっと看守さんたちも気づいたのでしょう、自分たちの過ちに。
何かときな臭い今だからこそ、遠い国の話としてではなく、
自分たちに置き換えて見るべき1本かと思います。☆3つ。
「マンデラ−自由への長い道−」公式サイト



「ラストべガス」は、豪華俳優陣によるエンタテインメント・コメディ。

NYブルックリン時代の幼なじみ、ビリー、パディ、アーチー、サム。
悪ガキ4人組の付き合いも早や58年。もうすっかり人生の黄昏時に。
そんな中、ビリーが若い女性と結婚すると連絡が入ります。
こりゃラスベガスでパーティーだと勢いづくアーチーとサムでしたが、アーチーには持病があり、
息子夫婦が過保護なまでに介護。ラスベガスだなんてとんでもないと言われるに決まってる。
サムも妻と老人向けのフィットネスに通う日々。その妻が“遊び”を許してくれるかどうか。
そしてパディは、ビリーが許せない。
先立った妻の弔辞をと願っていたのに、葬儀に顔すら出さなかったビリーに怒り心頭だったのです。
それぞれが何とか家庭を脱出し、パディを連れ出すことにも成功、ラスベガスで4人が顔を揃えます。
ギクシャクした雰囲気はあるものの、久々の再会に喜ぶ4人。さぁ、珍道中のスタートです…。

マイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・クライン。
アカデミー賞受賞6賞、ノミネート15回だとか。すごいメンバーの競演ですよね。
こうして年を重ねていくんだなぁと、ちょっぴり痛々しい(失礼!)部分もありながら、
自分を重ね合わせるとかなり複雑…(笑)。
4人のどのタイプになれるか、あるいはなっちゃうのか、いろいろ考えちゃいました。
元気をもらえるのは、彼らの同世代?お話は痛快でもありますけどねっ。☆3つ。
「ラストべガス」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.5.16

「ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦」☆☆☆
「花と蛇ZERO」☆☆
「闇金ウシジマくんPart2」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


函館に行って、仲良しのカフェのマスターと映画談義。
いくつかお勧めの単館ものの映画を紹介してあげたら、うれしそうに「DVDで買って見るよ」と。
実は、函館って、スクリーンの数が少ないんですよね。ロケ地としては最高なんですけど。
映画好きの住人のみなさんにとっては複雑な心境かもしれません。
さ、今週は3本です!



「ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦」は、
サッカーのアメリカ領サモア代表チームを描いたドキュメンタリー。

とにかく弱い(笑)。
2001年のワールドカップ予選では、オーストラリア代表と対戦。
国際Aマッチ史上最大の得点差の0対31で敗れ、
以降10年間、FIFAランキング最下位というチームなんです。
そんな素人の寄せ集めでしかない弱小チームに、米サッカー連盟から、
オランダ人監督が送り込まれます。
島の人から反感を買うような毒のある言葉も、厳しい指導も、
監督であるトーマス・ロンゲンの熱意の裏返し。
選手の意識も、技術も、どんどん向上。そして、2014年のワールドカップ予選が始まったのです…。

実話ですからね。そこには小説にはない、ドラマが待ち構えているのですョ。
1位がいれば、最下位もいる。
その最下位にスポットを当てるというのは、
手法としては目新しくないけど、意外や見落としがちなのかなと。
日本でも、代表23選手が発表され、盛り上がりを見せるサッカーワールドカップ。
サッカー好きは是非!楽しめると思いますョ。☆3つ。
「ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦」公式サイト



「花と蛇ZERO」は、団鬼六の官能小説を映画化した人気のシリーズ。

監禁女性のSM調教映像を、ライブで配信する闇サイト“バビロン”。
女警部の雨宮美咲は、そのアジトに潜入しますが、
なんと犯人グループのひとりに妹の美冬がいたのです。
温情から、妹を逃がしてしまう美咲。
それをある男に知られ、美咲は脅迫を受けることになります。
男の性の奴隷になって行く美咲。
それでも警部としての正義感は捨てておらず、
組織のトップと繋がっているだろう謎の男を逆に利用してやろうと考えるのですが…。

杉本彩の話題作から10年なんですね。
美咲の他に、監禁、調教される裕福な家の人妻・静子、
暇を持て余してサイトを見ている専業主婦の瑠璃など、3人の女性が登場します。
ボクにそっちの趣味がないせいか(笑)、あんまりドキドキしなかったかなぁ。
最大の見せ場とプレスにあったところは、逆にぷっと笑っちゃったぐらいで(失礼!)。
ただ、こういう趣味趣向の世界は、そんな感想でいいんだと思うんです。
なぜなら、一般の人にはわからないマニアックな世界だからこそ、深い訳で。
ゆえに、☆5つの人もいるだろう中、ボクは☆2つ。
「花と蛇ZERO」公式サイト



「闇金ウシジマくんPart2」は、大ヒットとなった前作の、2年振りの続編。

べらぼうな金利で金を貸す、闇金「カウカウ・ファイナンス」。
社長はウシジマこと丑嶋馨。
金の回収には、血も涙もないウシジマに、暴利と知りながら、
借金を頼みにくる連中が後を絶ちません。
無職のヤンキー、パチンコ依存症の女、ホストにはまった十代の少女、
他の闇金からの借金で首が回らなくなった男などなど。
抜け出せないと知っていても、ウシジマにしか頼れない人間たちが、
今日も自ら蟻地獄へとハマっていくのです…。

ストーリーを紹介しないのは、しないんじゃなくて、ボクの文才では短くまとめられないから(笑)。
ちょっと登場人物と、まつわる物語が多過ぎるかな。それぞれに絡みあってたり、なかったり。
そのあたりにも象徴されているように、今回は意欲が空回りした気がします。
最近多い、前作を超えられない続編にこれも分類されちゃいそう。
前作は好きだっただけに、期待も大きかったので。残念、☆2つ。
「闇金ウシジマくんPart2」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.5.9

「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」☆☆☆
「マドモアゼルC ファッションに愛されたミューズ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、BGMはもちろん、セリフもほとんど無い映画で…寝てしまいました。
いびき、寝息、大丈夫だったか心配で。逃げるように会場をあとにしました(汗)。
睡眠不足なのでちょっぴり不安はあったんですけどね。失礼しました。
さ、今週は2本です!



「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」は、矢口史靖監督の青春エンタテインメント。

まったくいい加減な生き方をしてきた、高校3年生の勇気。
大学受験に失敗し、彼女からも愛想を尽かされ、途方に暮れる始末。
そんな時、偶然手にしたのが“林業研修プログラム”のパンフレットでした。
表紙の女性に惹かれ、居づらい街からも離れられると、1年間の研修に応募します。
ところがそこは、携帯の電波も届かないド田舎の村。
早速逃げ出そうとする勇気でしたが、
パンフレットの“表紙の君”がこの村にいると知り、再び奮起。
厳しい山の生活に、自ら留まるのですが…。

まぁ、とにかくこの勇気という男がちゃらんぽらんで。
目を覆いたくなるような設定に、まず腹が立つ(笑)。
ほら、たまに言うでしょ。こんなヤツが更正しようが知ったことかって思っちゃうキャラがあるって。
このちゃらんぽらんさが、彼の底辺に、最後の最後まで残ってるところに、
この映画の評価というか、好き嫌いが分かれる気がします。
熱血漢のヨキ、美人の直紀、温かい村の人々。
なかなかスポットを当てることのない、林業ってところなんかはいいんですけどねぇ。
見てるだけで、確かに森林浴気分は味わえますョ。☆3つ。
「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」公式サイト



「マドモアゼルC ファッションに愛されたミューズ」は、
フランス・ファッション界の重鎮女性、カリーヌ・ロワトフェルドのドキュメンタリー。

1954年、パリに生まれたカリーヌ・ロワトフェルド。
18歳でモデルになり、スタイリストに転身。グッチやイヴ・サンローサンのスタイリングを手掛け、
2001年からフランス版『VOGUE』誌の編集長に。
2011年、突如編集長を辞任し、自らの名を付けたレーベルを立ち上げ、
新たな雑誌を創刊するなど、59歳の今も精力的に様々なチャレンジをしている女性なんですね。
そんな彼女の仕事、プライベートを描いたドキュメンタリー映画です。
試写会にも、オシャレ系の人たちが多く見受けられましたが、
ファッションに興味のある方は是非って感じかな。
サラッとですみません(笑)。☆3つ。
「マドモアゼルC ファッションに愛されたミューズ」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.5.1

「悪夢ちゃん The夢ovie」☆☆☆
「歌舞伎町はいすくーる」☆☆☆
「クジラのいた夏」☆☆☆☆
「とらわれて夏」☆☆☆
「プリズナーズ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


GW、いかがお過ごしですか?
どこに行っても大変な人、人、人。
都内でも、少し離れた映画館に行くと、人気作でも意外と空いていたりするものです。
人に酔ったら、映画でもいかがです?
今週は5本です!



「悪夢ちゃん The夢ovie」は、人気ドラマの映画化。

不吉な未来を夢で見てしまう小学生女子の悪夢ちゃん。
5年生の時に明恵小学校に転校し、「未来は自分の力で変えるんだ」と言う担任の彩未先生や、
クラスの仲間に励まされ、楽しい小学校生活を送っていた悪夢ちゃんも6年生に。
そんなある日のこと、教室をメチャメチャにしてしまう少年夢王子の夢を見たのです。
すると、その少年夢王子にそっくりな転校生の完司がやってきます。
「未来を変えることなんて出来っこない」と、どこか影のある完司の行動が、
とんでもない事件を巻き起こすのでした…。

夢の中では少年夢王子にチューをせがむ悪夢ちゃん。
初恋かな?悪夢ちゃんもお年頃になりました(笑)。
日テレ系土曜9時のドラマとしてOAされていた「悪夢ちゃん」。
CGが多用された演出は、映画になったことで、ドラマがワンランク上に格上げされた感じらしく。
きっとこの映画の面白さは、ずって見てる人にわかるはず。
様々な登場人物の相関図なんかも明らかになるよう。
なんて、推測、伝聞ふうに文章を書いてるあたりが、なんか“外様”でしょ(笑)。☆3つ。
「悪夢ちゃん The夢ovie」公式サイト



「歌舞伎町はいすくーる」は、“青春SFラブアクション・エンターテイメント”。

不動産で巨万の富を得た、覇稲剣(はいねけん)。
若くして“歌舞伎町の帝王”となった彼の夢は、学校に行くこと。
番頭の鬼九政宗(きくまさむね)が、歌舞伎町にある定時制高校、
歌舞伎町高校を見つけてくるのですが、「やっぱり辞めよう」と行き渋る剣。
ところが、神来夢(じんらいむ)に一目惚れ。
彼女に会いたい一心で、高校に通うようになります。
個性的な先生や同級生がいる中、いじめられっこの三島剣一と友達に。
剣一はずっと植物状態で眠り続けていたせいで、心は今でも小学校のまま。
「ゼルダ星人が襲ってくる!」などと、訳のわからないことを言っては、
いじめられていたのです。
ところが、ゼルダ星人が本当にやって来たのです…。

塩谷瞬、片岡愛之助、その恋人と噂の熊切あさ美。何かと話題のキャストが出演した映画。
あらすじ読んでも訳わからないでしょ(笑)。“SFラブアクション・エンターテイメント”ですから。
ゼルダ星人は“SF”の部分(笑)。
それでも最後にストーリーはきちんと着地します。
なんたって“SFラブアクション・エンターテイメント”(笑)。クセになるB級感かも。☆3つ。
「歌舞伎町はいすくーる」公式サイト



「クジラのいた夏」は、地方に住む若者たちを描いた青春ストーリー。

商店街はシャッター商店街、夢も希望も持てないこの街にいてもしかたないと、
ただきっかけが欲しくて東京行きを決めたチューヤ。
そんな彼の送別会を、高校時代からの親友たちが開いてくれることになりました。
思い出を語りながら、ドライブ、ボーリング、カラオケ、そしてあんなことも。
いまだに地元に留まるべきか、東京に行くべきかを決めかねているチューヤに、
仲間たちはあることを仕掛けるのです…。

地方都市に住む4人の若者の葛藤を描いた作品で、みんなイケメンの若い役者くんたち。
だから正直最初は、そんな彼らのPV的なムービーで、
演技もストーリーも大したことないんだろうなと思ってたんですョ。
そしたら意外やいい話で。
演技も自然でビックリ。期待していなかったのもあってか(笑)、十分楽しめました。
普遍的な若者の悩み、友情、恋愛が描かれてます。大穴的1本ですョ。☆4つ。
「クジラのいた夏」公式サイト



「とらわれて夏」は、ケイト・ウィンスレット主演の、許されざる愛の物語。

アメリカの小さな町に住む、13歳の少年ヘンリーと母アデル。
離婚で傷ついたアデルは心を病み、引きこもりがちに。
そんな母を見て、ヘンリーは自分が一生母を守ると誓ったのでした。
月に一度、スーパーに買い物に行く日、
ヘンリーは店でケガを負った男から「助けてくれないか」と頼まれます。
脅迫同然で車に乗り込んだ男の名はフランク。
殺人の罪で入れられた刑務所の窓から、盲腸の手術の隙を見て飛び降りて逃げたことを告白。
ケガが治るまで匿ってくれれば危害は加えないと言います。
そして始まった奇妙な3人での生活。悪い人には思えないフランクの振る舞いに、
ヘンリーは父を、アデルは夫の姿を重ね合わせ、深い関係になっていく3人。
しかし、捜査の手はすぐそこまで迫っていたのでした…。

「マディソン郡の橋」などを比較作品に挙げ、それらを超える愛の物語だと言うのですが、
どうもそこまでは感情移入ができないのは、たぶん設定が設定だから。
アデルは寂しいんですよね。フランクが、単にそれを埋める存在なんだと思うと、
危険で素性もわからない殺人犯を、子供がいるのに受け入れてしまう母のアデルの行動を、
愚かに感じてしまうのも仕方ないでしょ。
一応、しっかりと着地するのが救いでしょうか。
それとも女性が見たら、「わかる!」ってなるのかな。感想が聞いてみたいものです。☆2つ。
「とらわれて夏」公式サイト



「プリズナーズ」は、ヒュー・ジャックマン主演の犯罪サスペンス。

感謝祭の午後、近くに住む仲良しのバーチ夫妻に誘われ、ホームパーティに参加したドーヴァー一家。
どちらの家にも幼い娘がいたのですが、ふたりともちょっとの外出から戻らず、
こつ然と姿を消してしまったのです。
その時間には、見るからに怪しいキャンピングカーが停まっており、捜査を進めた警察がその車を発見。
運転していたのは10歳児並みの知能しか持たない、アレックスという男でした。
事件を担当する若手敏腕刑事のロキは、この男が少女を誘拐しても証拠隠滅の能力がないと判断。
真犯人は別にいると考えていました。
ところが、ドーヴァー家の夫、ケラーはアレックスが犯人に間違いないと、彼を監禁。
拷問という強硬手段に出ます。
一向に口を割らないアレックスに、苛立ちを隠せないケラー。
犯人は本当にケラーなのか、違うとしたら一体誰なのか。顔が変形するほどに痛めつけられたアレックス。
この後、事件はとんでもない方向へと展開して行くのでした…。

2時間33分の長編です。話は複雑なので、こんなさわりの部分だけで許してもらいましょう。
大事な娘のためなら、まさに鬼にでもなるという親心もわかります。暴走するケラー。
犯人は本当にアレックスなのかと周りも不安になっていきます。
人間の様々な心の闇が浮き彫りにされる作品です。
ちなみに、ボクは最後の最後のオチに気づいてしまいました(笑)。気づく人、意外と多いかも?☆3つ。
「プリズナーズ」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.4.25

「テルマエロマエⅡ」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先々週の公開作としてアップした「マンデラ―自由への長い道―」ですが、
ネルソン・マンデラ氏を扱った他の作品と勘違いしてしまいました。
公開は5月24日の予定。その週に改めてご紹介したいと思います。失礼しました。
さ、今週は1本です!



「テルマエロマエU」は、ヤマザキマリのコミックを映画化して大ヒットした前作の第2弾。

古代ローマに暮らす、浴場(テルマエ)設計技師のルシウス。
斬新なテルマエを作ったことで、皇帝ハドリアヌスの信頼も厚く、
ルシウスは一躍人気者に。
しかしそれには、アイデアに悩むと現代の日本にタイムスリップし、
日本の風呂事情をローマに持ち帰るという秘密があったのです。
今また、グラディエーターの傷を癒やすテルマエを作れと命じられ、
再び日本へタイムスリップするルシウス。
ローマでは平和推進派のハドリアヌス帝と武力行使派の対立が起きており、
ルシウスも期せずしてこの騒動に巻き込まれていきます。
新たなルシウスのテルマエは、果たしてローマの危機を救えるのでしょうか…。

続編は今イチになりやすい。
残念ながらこの映画もそんな感じでしょうか。
前作に比べると、ちょっと狙いに行き過ぎた感が否めません。
設定の奇抜さと、そこから生まれる現実との自然なズレに面白さがあったのに、
今作はそこに“笑い”を入れにいった。
その人為的行為が裏目に出たって感じかなぁ。
個人的には前作があまりにも気に入ってたので、ちょっと残念…。
ま、笑いのツボは人それぞれですから、見てみて下さい。
4月26日『よい風呂の日』公開です。
面白いって言う人も、もちろんたくさんいると思いますョ。☆2つ。
「テルマエロマエⅡ」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.4.17

「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」☆☆☆☆
「8月の家族たち」☆☆☆
「ファイ 悪魔に育てられた少年」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


春眠暁を覚えず。
午前中の試写と睡眠を秤にかけると、ついつい眠りを取ってしまいます(笑)。いけない、いけない。
でも、「無理して起きて、上映中に寝ちゃうよりは…」なんて、勝手に自己弁護(笑)。
隠れた名作を見逃さないように気をつけないとですねっ。
さ、今週は3本です!


「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」は、マーベルのアメコミ・シリーズ最新作。

第二次世界大戦時のアメリカで、
超人を生み出す“スーパーソルジャー計画”によって誕生したキャプテン・アメリカ。
アメリカの危機に際し、北極海に敵機もろとも突っ込み、
自らの命と引き換えに母国を救ったかに思えたのですが、
なんとキャプテン・アメリカは氷漬けになったまま生きていたのです。
70年の眠りから醒め、ヒーローたちが集結し、戦ったアベンジャーズの戦いから2年。
国際平和維持組織シールドは、キャプテン・アメリカらをメンバーに、
長官ニック・フューリーの指揮のもと、活動を続けていました。
シールドが推し進める計画。それは巨大空母ヘリキャリアで全人類を監視下に置こうというもの。
そんなシールドのやり方に疑問を持ったキャプテン・アメリカが、
なんと味方であるはずのシールドからも命を狙われることになったのです。
誰が味方で、誰が敵なのか。暗中模索の状態で、強大な相手と戦わなくてはならないのでした…。

さすがによくできてました。2時間16分がまったく眠くならず(笑)。
今回はキャプテン・アメリカと、
スカーレット・ヨハンソン扮するブラック・ウィドウに、新たな仲間も加わります。
ウィンター・ソルジャーは、第二次世界大戦中に命を落としたはずの、
キャプテン・アメリカの親友にそっくりな兵士。これがまた強い(笑)。
娯楽超大作とはこういうものだと思わせてくれる1本です。本当は満点でもいいくらい。☆4つ。
「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」公式サイト



「8月の家族たち」は、超一流キャストの競演作。

オクラホマ州の片田舎にある一軒の家。
書斎にいた主人のベバリーが、
新たな家政婦としてネイティブアメリカンの娘を雇おうと面接をしていると、
妻のバイオレットがふらつきながら降りてきます。
見るからに情緒不安定なバイオレット。
ふたりの間には3人の娘がいました。
真面目過ぎる長女のバーバラは、浮気が発覚した夫と別居状態。一人娘も反抗期で扱いにくく。
次女のアイビーは、いとこと秘密の恋仲に。
三女のカレンは、自由奔放な性格で、怪しい婚約者がいます。
ある日のこと、ベバリーが行方不明になっていると。その後、湖で死体となって発見されるのです。
葬儀に集まった家族と親戚、その関係者たち。
個性的な面々が一堂に会した食卓は、罵り合いの修羅場と化したのです…。

バイオレットにメリル・ストリープ、バーバラにジュリア・ロバーツ、
その他にも豪華な出演陣が集まった1本。
ネイティブアメリカン、アルコール依存症、薬物中毒、離婚、同性愛…。
アメリカの抱える“今”が、この家族に全部詰まっていると。
ストンと腑に落ちるとか、感動するとか、その手の映画だと思って劇場に足を運ぶと肩すかしを食らいます。
そうじゃなくて、決して相容れない、ねじれの位置にある家族の“個”がぶつかる様を、名優たちが演じる。
その演技力を楽しむ作品と言えそう。だからたぶん評価は見る人によって、まちまちだと思います。
あちこちに捻りというか、ニヤリとさせるスパイスも効かせてます。
作品の性格を知ってから見て欲しい1本です。☆3つ。
「8月の家族たち」公式サイト



「ファイ 悪魔に育てられた少年」は、韓国のミステリーアクション。

かつて起きた、男の子の誘拐事件。
巨額の身代金を要求してきたのは“白昼鬼”と呼ばれる、残虐な犯罪集団でした。
警察の包囲網に、身代金の受け取りは失敗したものの、
彼らは誘拐した男児を手元に置いておくことにします。
こうして幼い男の子は、犯罪集団と生活を始めたのです。
カリスマリーダーのソクテ率いる5人組“白昼鬼”。表の顔は植木販売業。
男の子はファイと名付けられ、5人の父親に育てられることに。
車の運転技術、緻密な犯行計画の立て方、スナイパーとしての狙撃のテクニック、
冷徹な心の在りようなど、彼らがそれぞれに持つ優れた悪の才能は、
すべてファイに受け継がれます。
すなわち、究極の犯罪者となるための英才教育でした。
ところが、どうしても悪になり切れないファイ。
ファイが高校生と同じ年齢にまで成長した時、白昼鬼にある依頼が舞い込みます。
それは、大規模開発工事における立ち退き話。
頑なに拒否し続ける住人夫婦を始末して欲しいというものでした。
この仕事に、ソクテはファイを指名。戸惑いながらも、ファイは命令を遂行するのでした…。

韓国映画のこの手のジャンルは、ストーリーがしっかり錬られたものが多いですね。
この作品もしかり。たぶん日本人の感情にも似た、切なさというのを大事にしてるんでしょう。
特異なシチュエーション設定にもかかわらず、すんなりと入ってきます。秀逸な作品です。☆3つ。
「ファイ 悪魔に育てられた少年」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.4.10

「クローズ EXPLODE」☆☆
「マンデラ−自由への長い道−」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


少し難解な映画の試写を見た後、自分なりに答えが浮かんで、
「もしかしたら…」と思った瞬間、横にいた映画評論家らしき人が、
「あれはさぁ…」と解説を始めます。興ざめ…。
何で言っちゃうの。余韻を楽しみにしてるのに。
俺はわかったって自慢したいのかなぁ。野暮だと思いません?
さ、今週は2本です!


「クローズ EXPLODE」は、5年振りとなるシリーズ3作目。

不良の集まる鈴蘭高校。
先輩たちが卒業し、“鈴蘭の頂点”は空席に。その座を狙う新3年生たち。
鈴蘭ケンカ偏差値1位の強羅、そのライバル高木、策略でのし上がろうとする小岐須。
そこに転入生がやってきます。一匹狼の鏑木です。
トップの座なんかにまったく興味がない。しかし、ケンカは強い。
さらに“暴力エリート”の新1年生、加賀美も加わり、
他校や街のワルたちも巻き込んでの抗争が勃発します。
史上最凶のこの争いを征するのは、一体誰なのでしょうか…。

原作は高橋ヒロシの大人気コミック。
91年の連載開始から、昨年7月に終了するまで22年。
初期の高校生はアラフォー世代になっちゃいましたね(笑)。
主役は、東出昌大演じる鏑木ですが、東出くんはあまりケンカ慣れしてないはず。
拳の握り方、パンチの出し方など、もうちょっと指導してあげたらよかったのに。
ボクはそこにリアリティの欠如を見て冷めちゃったかな。
昔のヤクザ映画みたいな凄みが、こういう映画には欲しいもの。
なんて、東出くん、ケンカが強かったらごめんなさい(笑)。☆2つ。
「クローズ EXPLODE」公式サイト



「マンデラ−自由への長い道−」は、南アフリカ共和国初の黒人大統領、
ネルソン・マンデラ氏の生涯を描いた作品。

白人による黒人差別政策である、南アフリカ共和国の“アパルトヘイト”。
そんな不条理に異を唱え、祖国の自由と平等のために生涯を捧げたネルソン・マンデラ。
王族の子として生まれ、大学で学び、差別の現実を知るや、法律事務所を設立。
より強く活動をするためにアフリカ民族会議に入党します。
さらに武装組織の司令官にもなり、テロ行為も指導。
でも、そこで暴力による憎しみの連鎖に気づくんですね。復讐じゃない、赦すことだと。
しかし、国家反逆罪で捕らえられ、終身刑を言い渡されて、
孤島の刑務所で27年という獄中生活を余儀なくされます。
そんなマンデラ氏たちの姿を、この差別を、国際社会は黙って見てはいなかったのです…。

ドキュメンタリーではありませんが、事実に基づく作品で、原作は自著。
映画化に当たっても、南アフリカで反アパルトヘイト運動に携わっていたプロデューサーを起用。
「自分を美化しないで欲しい」と、ありのままを描くよう指示したそう。
ゆえに、3度の結婚、すなわち度重なる離婚も赤裸々に描かれてます。
マンデラ氏は、ノーベル平和賞に輝き、惜しまれつつ昨年12月5日に亡くなりましたが、
27年の監禁生活でも、希望を捨てなかったことがすごい…。
こういう世の中を変えるような人と一緒にいると、周りも変わるんですよね。
きっと看守さんたちも気づいたのでしょう、自分たちの過ちに。
何かときな臭い今だからこそ、遠い国の話としてではなく、
自分たちに置き換えて見るべき1本かと思います。☆3つ。
「マンデラ−自由への長い道−」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.4.4

「大人ドロップ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


4月になりました。
新たな環境で、もし心が疲れたら、是非いい映画で癒されて下さい。
さ、今週は1本です!


「大人ドロップ」は、青春ストーリー。

幼なじみで、同じ高校に通う浅井と杏。
互いを意識してか、あまり口をきかなくなっていたふたりでしたが、最後の夏休みを前に、
浅井は親友のハジメから杏との仲を取り持って欲しいと頼まれます。
実は浅井もどんどん大人びていく杏のことが気になっていたのです。
複雑な思いを胸に、ダブルデートを企画する浅井でしたが、
ハジメとの仲を取り持とうとする浅井の不自然な行動に、杏が激怒。
ふたりの仲は、以前にも増してギクシャクしたものになってしまったのです。
そして迎えた夏休み。浅井はハジメから、杏が学校を辞めて遠くに引っ越すことを聞かされたのです…。

十代って、女子の方が大人。男子は何かにつけオロオロするばかり。
浅井と杏も例外ではありません。
モヤモヤした気持ちをクリアにしたく、浅井は杏と正面からぶつかります。
それでもやっぱり杏の方が大人。引っ越しの理由もそうですが、
抱えているものの大きさが、彼女を成長させていったのかもしれません。
甘酸っぱいノスタルジーを感じるかどうかは、観る人次第。
よく言えば“等身大”、言い方を変えれば、すごくドラマチックな味付けもないので、
リアル感をどう受け止めるかでしょう。
あの頃の記憶の箱を開けながら、観てみて下さい。☆3つ。
「大人ドロップ」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.3.27

「ダブリンの時計職人」☆☆☆
「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


春到来!暖かくなりましたねっ。
出会いと別れの季節。感性が豊かになっている今でもあります。
いい映画をたくさん見て下さい!
さ、今週は2本です!


「ダブリンの時計職人」は、アイルランド、フィンランド映画。

時計職人だった中年男性のフレッド。
ロンドンで職を失い、ダブリンに帰ってきたものの、家もない。
海辺の駐車場に停めた車の中で生活を始めます。
この駐車場には同じような車がもう1台。
こちらにはカハルという青年が暮らしていました。
自然と接点を持ち、行動を共にするようになると、
ちょっぴり無茶苦茶なカハルの行動にフレッドも刺激を受けるようになります。
そんな中、一緒に行ったスイミングプールで、未亡人のジュールスに恋をしてしまうんですね。
片やピアノ講師の素敵な女性、自分は車に住むホームレス。
境遇の違いに諦めようとするフレッドでしたが、カハルが背中を押します。
果たして、フレッドの恋は実るのでしょうか…。

カハルも車中で暮らしているのですから、その生活環境は推して知るべし。
カハルは薬に手を出していて、常に危ないヤツらに追われているんですね。
フレッドも“お隣さん”として、時にトラブルに巻き込まれていきます。
未亡人のジュールスも、愛する夫を亡くしてからというもの、
リビングに置いてある壊れた時計のように、時が止まっていて。
“時計職人”のフレッドが時計を直すように、みんなの心の秒針も動き始める、そんな映画だとか。
少し世界が狭いというか、無茶も危険も想定の範囲内的な部分が否めませんが、
これがアイルランドの等身大なのかも。☆3つ。
「ダブリンの時計職人」公式サイト



「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」は、人気シリーズの最終プロジェクト。

国と自治体、そして東城医大が“リヴァイアサン”という最新のMRI機器を導入。
日本初となる国際Aiセンター発足の目玉になる設備で、マスコミの注目も集まっていたのです。
そんなある日、東城医大に一通の脅迫状が届くんですね。
国際Aiセンターのオープニングに合わせての爆破予告が。
さらに、このプロジェクト関係者も巻き込まれた、謎の集団死事件も起こります。
何か、間違いなく陰謀が渦巻いている。誰が、何のために?
患者の生命を守るためにも、東城医大の心療内科医の田口公平と、
厚生労働省に勤める白鳥圭輔は、謎解きに奔走するのでした…。

医療ミステリーですから、あらすじはこれくらいで(笑)。
今年に入ってフジテレビ系で、新ドラマシリーズの“4”がスタート。
それを受けての最終章だとか。
おそらく原作を読んだり、ドラマを見てきた人には、それぞれのキャラクターがわかっていて、
もっと深く楽しめたんだろうなと思います。
知らなきゃダメじゃないんですョ(笑)。でも知ってたほうが…。☆3つ。
「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.3.20

「ウォルト・ディズニーの約束」☆☆☆
「神様のカルテ2」☆☆☆☆
「LIFE!」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今週の作品はそれぞれによかったです。☆をどうしようか悩みましたが、
“3つ”の作品も、ほとんど“4つ”に近い“3つ”だと思って下さい(笑)。
それではご紹介していきましょう。今週は3本です!



「ウォルト・ディズニーの約束」は、映画「メリー・ポピンズ」誕生秘話。

1940年代はじめ、ウォルト・ディズニーが娘のダイアンにお気に入りの本を聞くと、
「メリー・ポピンズ」だと。読んでみると、ウォルトもたちまち夢中になります。
ダイアンに「これをパパが必ず映画にするからね」と約束をしてから20年。
作業はとても難航していたのです。
その原因は、原作者であるパメラ・リンドン・トラヴァースにありました。
何度、映画化の話を持ち掛けようと、絶対にOKを出さない。
ところが、経済的な事情もあって、話し合いの席につくというのです。
ロンドンから2週間の予定でLAにやってきたトラヴァース。
しかし、頑固な彼女は「アニメはダメ」、「ミュージカルなんて論外」と歩み寄る気配すらなし。
途方に暮れるウォルトたちでしたが、彼女の本名を知った時、
ウォルトは頑ななまでに「メリー・ポピンズ」を守ろうとする彼女の“何か”に気付いたのです。
そして映画化にあたり、ある“約束”をするのでした…。

ウォルト・ディズニー本人を描いたフィクション映画は初めてだとか。
そのウォルトにはトム・ハンクスが扮します。
「メリー・ポピンズ」は、東の風に乗って現れた不思議な力を持つ乳母のメリー・ポピンズが、
バラバラだった家族をひとつにするというお話。
映画は64年の作品で、実写とアニメを合成した、ミュージカル仕立て。
アカデミー賞5部門を受賞した大ヒット作となりました。
制作の裏側にあった苦労や、秘話を知って観ると、また違って見えるかも。
映画館でこれを観て、家でDVDで「メリー・ポピンズ」ですかね(笑)。☆3つ。
「ウォルト・ディズニーの約束」公式サイト



「神様のカルテ2」は、櫻井翔、宮崎あおい主演作の第2弾。

本庄病院の医師、栗原一止。妻の榛名の出産が近づいていましたが、それでも変わらず、
患者のためにと、睡眠時間を削ってまでも病院勤務を優先させていました。
そんな一止の元に、大学の同期であるエリート医師の進藤辰也がやってきます。
何でこんな田舎の病院に赴任して来たのか不思議に思いましたが、それには深い訳があったのです。
勤務態度が以前とは別人のようになってしまった辰也。
一止とぶつかり、辰也から「お前の言う“いい医者”とは何だ」と問い詰められる一止。
そんな時、恩師である貫田内科部長が倒れます。
皮肉にも、病で倒れて初めて妻とゆっくりとした時間が持てた貫田部長。
しかし、その時間も長くはなかったのです…。

家族か、患者か。辰也に言われたように、いい医者とは何なのか。
家族を犠牲にしてもいいのか。
一止もお腹の大きな妻を前に、貫田夫妻の姿に、悩みます。
マスコミ用に配布されたプレスに、
「これは単なる続編ではなく、3組の夫婦がつなぐ、命と希望の物語」とありました。
確かにそうで、ヒット作の続編というのは前作より落ちる場合が多いのですが、この作品は違いました。
間違いなく前作を上回っていると思います。
支える。信じる。その難しさと、でもそんな対象がいることの幸せと。
おそらく隣りにいる人が、たまらなく愛おしくなる1本だと思いますョ。☆4つ。
「神様のカルテ2」公式サイト



「LIFE!」は、ベン・スティラーの監督、脚本、主演作品。
雑誌『LIFE』社で、写真管理の仕事をしているウォルター・ミティ。
人と上手く付き合えず、大好きな経理部のシェリルにも、
もちろん話掛けることもできずにいました。
そんな彼には妄想癖があって、空想の中ではすごいヒーロー。
シェリルも世界も救っちゃう。
しかし現実は厳しく、雑誌もデジタル化で社員は大幅リストラ。
新しく来た若いボスは、ウォルターもリストラの対象として注視していたのです。
そんな時、最後の雑誌となる号の表紙写真のネガが無いことに気づきます。
依頼をしていたのは、冒険家でもある著名なカメラマンのショーン。
世界を転々とする彼を探し出し、直接ネガの在処を聞こうと旅に出るウォルター。
得意の妄想をしながらショーン探しの旅は続くのですが、
現実のこの旅が、彼の人生を大きく変えようとしていたのです…。

ベン・スティラーは、「ナイトミュージアム」シリーズなどで知られる俳優さん。
コメディのイメージも強い役者です。
この映画、TVのコマーシャルでもやってますが、映像は確かにすごい。
妄想、空想がかなりを占めるので、ある種、一大スペクタクルの要素もあって。
でも、毎日コツコツ真面目にやってると、誰かが必ず見ててくれて、
そのご褒美のような結末が待ってるんだよというのを教えてくれます。
“!”マークに意味がある映画。人生とはそういうものだと、勇気をもらえます。☆3つ。
「LIFE!」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.3.12

「アナと雪の女王」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


ボクの趣味でもあり、仕事でもある競馬。
競走馬のネーミングのヒントに、映画は役立つんですョ。
いい台詞や前向きな言葉など、これから頑張ってもらおうという馬にはピッタリのものが多いんです。
キャラクターの名前なんかもね。
今回の作品の“ダブルヒロイン”なんて言葉もいいと思うんですけど(笑)。馬主さん、いかがですか?
さ、今週は1本です!



「アナと雪の女王」は、ディズニー長編アニメ。

アレンデール王国の王家の娘として生まれた、エルサとアナ。
ふたりは仲良し姉妹でしたが、エルサには雪や氷を作り出すという不思議なパワーがあり、
ふざけて遊んでいるうちに、誤ってアナの頭を凍らせてしまうんですね。
一命はとりとめたものの、国王である父は秘密を守ろうと、城内にエルサを軟禁。
アナですら会えない日々が続きます。
歳月が流れ、国王夫妻が事故でこの世を去ってしまうと、エルサが王位を継承することになります。
お披露目の日、緊張するエルサに対し、若い男性との出会いに浮かれるアナ。
そんな妹の態度を見かねたエルサは、人々の前で封印していたパワーを爆発させてしまうのです。
民衆は恐れ、王国は永遠の冬に閉ざされてしまったのです…。

と、まぁここまでは序章ですかね。
アナは若い王子と出会って舞い上がり、結婚を軽々しく口にする。エルサはそれを叱ったんです。
エルサは誰も傷付けまいと山深くに入り、氷の宮殿を作ります。
孤独だけど、自分らしく生きられる。
なんかわかる気もする…(笑)。
逆にアナは幼い頃、なぜ姉と遊べなかったのか、その理由をようやく知り、
なんとかエルサを助けようとするんですね。
ふたりの運命やいかにというお話。
感覚的な話かもしれませんが、久し振りにディズニーアニメでいいなぁと感じた1本です。
ファンタジーだけど、どこかリアリティも強くあって。
多分に人間臭い作品なんじゃないかなぁと思うんです。
そのポイントは“喜怒哀楽”、中でも“怒”。
なかなかここまで“怒”を表すヒロインはいなかったんじゃないかなぁ。
ディズニーマニアの方、いかがですか?
ディズニー長編アニメ、53作目にして初めての女性監督作品。
素直に率直に、女性が女性を描いた結果かもしれませんね。☆4つ。
「アナと雪の女王」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.3.7

「偉大なる、しゅららぼん」☆☆
「銀の匙 Silver Spoon」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、飲み会で映画の話になって、話題先行の作品を、手放しで誉め千切る知人に、
少し違う見方もあるョと言ってあげたかったけど、
余計なお世話だなと言葉を飲み込んでおきました(笑)。
好き嫌いは人それぞれ。「どう思った?」と聞かれたらたぶん答えたけど、
そうじゃなければここで思う存分書けばいい訳で(笑)。
さ、今週は2本です!



「偉大なる、しゅららぼん」は、「プリンセス トヨトミ」などの作品で知られる、
万城目学の小説の映画化。

琵琶湖畔の城に住む日出家。
代々不思議な力を持つこの一族を、町の人々は崇めていたのです。
高校生にして跡取りの淡十郎の下に、分家の涼介が修行のためにとやってきます。
同じ年頃のふたりは、真っ赤な特注の学生服を来て高校に通うのですが、
そこには1300年に渡りいがみ合ってきた、棗家の跡取りである広海もいたのです。
クラスメイトには校長の娘である沙月がいて、淡十郎は沙月のことが好き。
ところが沙月は広海に恋してる。
そんな思春期のいざこざが、世界を滅ぼしかねない大騒動に発展しようとは、
誰も想像していなかったのです…。

他にももちろん、様々な登場人物がいて、みんな個性的というか破天荒。
唯一、分家の涼介が“普通の男の子”って感じで、不思議な力や自身の運命に翻弄されながらも、
一般人の感覚で騒動を追っていて、いわば涼介が観客の目になってるんですね。
ところが、「プリンセス トヨトミ」の時は、
現実社会にうまく“異社会”を溶け込ませていたと思うんですが、
今回は正直、あまりうまく混ざってなかったって感じ…。
笑いのツボが違っただけかもしれません。あくまで個人的な感想ですが、☆2つ。
「偉大なる、しゅららぼん」公式サイト



「銀の匙 Silver Spoon」は、荒川弘の人気コミックの映画化。

指折りの進学校に通いながら、高校受験に失敗した八軒勇吾。
家族の期待から逃げるかのように、
“寮があるから”というだけの理由で選んだのが大蝦夷農業高校でした。
たくさんいる畜産農家の子供たちとは違い、夢も目標もない八軒にとって、
牛や豚、ニワトリの世話は苦痛以外の何ものでもない。
さらに、育てているのは食用となる家畜です。
可愛がっても、時期がくれば出荷されてしまう。
複雑な気持ちを抱く八軒に、クラスメイトは言います。
「経済動物はペットじゃねぇんだ。中途半端な同情見せんなよっ」。
そんな環境の中、八軒は自分でも気付かないうちに、どんどんと成長していくのでした…。

主演はジャニーズのSexy Zoneの中島健人。
最初はアイドル映画だろうと、あまり期待はしていなかったのですが、
映画の中でもきちんと畜産の大変な部分、
ボクらが命を食しているんだという現実をしっかり描いていて、先入観を撤廃。
逆に若い世代がこれを見て気付いてくれることがあるなら、
中島くんの果たした役割はものすごく大きいんじゃないかと思いました。
乗馬とばんえい競馬で馬も出てくるんですが、ばんえい競馬は走れないと食肉になっちゃう。
ところが、普通の競馬を走るサラブレッドの肉は人の口には入らないので、誤解なきよう。
とにかく、いろんなことが学べる、汗と涙の青春ストーリー。
親子で行くにもぴったりじゃないかな。お勧めです!☆4つ。
「銀の匙 Silver Spoon」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.2.27

「愛の渦」☆☆
「マチューテ・キルズ」☆☆
「ラヴレース」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


早いもので、今週末はもう3月です。
外出したい気分になるよう、寒さも少し緩んでくれるといいのですが…。
さ、今週は3本です!



「愛の渦」は、演劇ユニット“ポツドール”の、伝説の舞台の映画化。

マンションの一室にある秘密クラブ。
ここはセックス好きな男女が集まる乱交パーティーの会場。
参加費は、男性2万円、女性1千円、カップル5千円。
コンドームを着ける、行為の前には必ずシャワーを浴びる、女性の意思を尊重する。
この3つのルールを守ってのパーティーが、朝まで続くのでした…。

男女4vs4の中に、遅れてカップルが1組やってくる。
その剥き出しの性欲と本性を描いてるんだと思うんですが、
そこに一体どんなドラマを見出せというのか。正直“好奇”以外なかった気がします。
真面目なメガネの女子大生に門脇麦。
東京ガスのCFで竹野内豊と共演の彼女、こんなところで脱いじゃって大丈夫?って感じ。
女優さんだから、脱ぐのがどうこうじゃないけど、初のヌードがここですかって、
心配になっちゃいました。ポツドールのファンには怒られそうだけど…。
鑑賞後にムラムラするようなエロチックさか、そうでなければストーリーの深みか、
どちらか一方でも欲しかったです。☆2つ。
「愛の渦」公式サイト



「マチューテ・キルズ」は、「シン・シティ」の
ロバート・ロドリゲス監督のアクション・エンタテイメント。

イカレたメキシコ野郎のマッドマン。
彼の心臓とワシントンを壊滅させるミサイルの発射装置が連動しており、
マチューテはアメリカ大統領からマッドマンを捕らえて欲しいとの依頼を受けます。
しかし、マッドマンの装置を解除できるのは、アメリカに住む武器商人のヴォズだけ。
生きたままヴォズの元にマッドマンを連れてこなければならないのですが、
マチューテとマッドマンの首には懸賞金が懸けられており、
ヒットマンたちが彼らの命を狙います。
果たして、マチューテはアメリカの危機を救えるのでしょうか…。

07年、ロドリゲス監督とクエンティン・タランティーノ監督の2本立て映画が公開された時、
ニセの予告編を上映したそう。
それが鉈(なた)を振りかざす正義の味方、マチューテでした。
そのニセの予告編がきっかけで、何と後から本編ができたのが、
10年の「マチューテ」。さらにその続編が今回の「マチューテ・キルズ」なんですね。
コメディです。ただ、笑えるかどうかは好みかな…。
話題は、あのレディ・ガガがこの作品で女優デビューということです。☆2つ
「マチューテ・キルズ」公式サイト



「ラヴレース」は、1972年に世界中で話題になったポルノ映画
「ディープ・スロート」の主演女優、リンダ・ラヴレースの物語。

フロリダの小さな町の、敬虔なカトリック教徒の家に生まれたリンダ・ボアマン、21歳。
ウブな彼女が恋をした相手は、地元でバーを経営するチャックという男。
ふたりはすぐに結婚。
ところが、チャックの裏の顔が次々と明らかになり、
遂には妻のリンダをポルノ映画に出演させようと企てたのです。
日頃のDVもあり、現状から逃げることもできず、ポルノに出演したリンダ。
ところが、チャックに仕込まれたある技が話題となり、映画は世界中で大ヒット。
一躍、リンダは時の人になったのです。
しかし、栄光は長くは続かず、チャックとも何とか離婚。
新しい生活と家族を得た彼女が選んだのは、自分が生きた辛い日々を本にすること。
同じような状況から、抜け出したくても抜けられない女性に勇気を与えるために、
赤裸々な告白本を書いたのです。
その衝撃の内容とは…。

覚えてます、「ディープ・スロート」。
72年だから、ボクは11歳。マセていたのか、好奇心旺盛な時期だったのか(笑)。
転落のワナはこんなところにもあるんだなぁと。
どちらかと言えば“おくて”な彼女が、まさかのポルノ出演。
撮影も含め、ポルノ女優“リンダ・ラヴレース”としての活動は、延べ17日間だったとか。
人生の中のたった17日間が、彼女のイメージを完全に固定してしまった。
アメリカを代表するポルノ女優の一人ですもんね…。
リンダには「マンマ・ミーア」のアマンダ・セイフライドが、体当たりで扮します。
こちらも話題になりそうです。☆3つ。
「ラヴレース」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.2.21

「赤×ピンク」☆☆☆☆
「ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック」☆☆☆
「東京難民」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


2月に入って、試写の回数が少々、いや、かなりペースダウン。
というか、21本という1月が異常だったんですよね(笑)。
さ、今週は3本です!



「赤×ピンク」は、“青春ガールズ格闘系アクションムービー”。

非合法の格闘イベント“ガールズブラッド”。
会員制の地下ファイトを見せる彼女たちは、それぞれに悩みを持つ個性的なキャラクター。
その中に、性同一性障害に悩む、空手家の皐月がいました。
そんなガールズブラッドに、千夏という女性が参戦。
強さと美貌を併せ持つ彼女に、皐月は魅せられてしまいます。
実は千夏は、安藤一門を率いる伝説の空手家の娘。
同じ空手家の男性と結婚したものの、DVに耐えきれず、家を飛び出してきたのでした。
そんな千夏の行動を、暴力夫が許すはずもなく。
ガールズブラッドと安藤一門は対立を深めます。
「格闘家らしく、闘って雌雄を決しようじゃないか」。
互いの存続を賭けた戦いが始まったのです…。

想像していた以上にセクシーな映画。
仮面ライダーシリーズでヒロインを演じた芳賀優里亜が、皐月に扮します。
大胆な演技は生唾もの(笑)。それだけで見る価値ありです。☆4つ。
「赤×ピンク」公式サイト



「ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック」は、
よゐこの有野晋哉が出演している、人気CS番組の映画化。

1986年、ファミコン好きの少年ダイスケは、密かに思いを寄せているクラスメートのクミコと
「マイティボンジャック」の話で意気投合。
ゲームソフトを貸す約束をするのですが、
ツッパリのクラスメート加藤に「貸してくれ」と取られてしまいます。
さらに悪いことに、“伝説のヤンキー”アベ先輩の手にそれが渡ってしまうんですね。
“カリパク”(借りたまま返さずパクること)の危機にある大切な「マイティボンジャック」。
果たして、ダイスケの元に戻ってくるのでしょうか…。

CSの番組は、数々の伝説的ゲームソフトのエンディングを見ようと、
有野がガチでコンプリートに挑むもの。
マニアにはたまらないらしく、密かな人気がありました。
紹介したストーリーと並行して、有野晋哉が公開で「マイティボンジャック」に挑みます。
通常の番組枠に収まらず、数十時間をかけ、リベンジ、リベンジでチャレンジする有野。
果たして、エンディング画面を見ることはできるのか、こちらも注目です。
ボクはゲームをやらないので、それほど興奮はしませんでしたが、
それでも失敗すると「あっ。あぁ〜」と声が出てしまいました(笑)。
ファミコン好きの人は是非!☆3つ。
「ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック」公式サイト



「東京難民」は、現代社会の暗部を描いた作品。

気楽な大学生活を送っていた修。
ところが突然、授業料の未払いが発覚。大学を除籍になってしまいます。
父親が多額の借金を抱えて失踪してしまっていたのです。
さらに家賃も未払いで、アパートを強制的に追い出されてしまった修。
仕方なくネットカフェに泊まるも、お金が底をつき始めます。
アルバイトをしようにも住所がない。
そんな修が“逆ナン”で連れて行かれたホストクラブ。
誘った女の子は早々に姿を消し、修は多額の代金を払うハメに。
もちろん金などなく、ホストクラブで働かせてもらうのですが、
そこは客の女性を金としか見ない世界。
優しい女性をしゃぶり倒すホストのやり方に我慢ができず、修は店を飛び出すのですが、
店がそれを許すはずもなく。
日雇い労働者として、キツく危険な仕事でなけなしの賃金を稼ぐ修の元にも、
追っ手がやってくるのでした…。

最終的にはホームレスにまで身をやつす修。転落のきっかけは些細なこと。
すぐ這い上がれると甘く考えていたものの、現実はさにあらず。
もがけばもがくほど、まるで蟻地獄のように、ハマっていってしまうのです。
よくドキュメンタリーなんかでやっている転落のストーリーを映画化。
現代社会の光と影。その影の部分が見事に描かれています。
もちろん、修はダメなヤツです。でも、それぐらいのダメな部分は誰もが持ってる程度のもの。
やる気があっても働けない。そのうち生きる気力すらなくなると聞いたことがあります。
ちょっぴり背筋がゾッとする話でもあります。☆3つ。
「東京難民」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.2.14

「エヴァの告白」☆☆☆
「大統領の執事の涙」☆☆☆☆
「土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、とある映画の試写会に行ったら、ボク以外は誰も来ない…。
結局ボクひとりという、豪華プライベート試写!
こんなこともあるんですね(笑)。
さ、今週は3本です!



「エヴァの告白」は、1920年代のアメリカが舞台の作品。

戦争で両親を亡くし、祖国ポーランドを捨て、
アメリカに移住しようとしたエヴァとマグダの姉妹。
自由の女神からほど近い、NYのエリス島に到着し、入国審査を受けた際、
妹のマグダが医師から肺炎と診断され、島の病棟で隔離されることになってしまったのです。
離れ離れになることを拒んだエヴァは、船の中での言われなき素行の悪さも理由に、
ポーランドに強制送還させられそうになります。
あの国にだけは帰りたくない。そんなエヴァの前に現れたのが、ブルーノという男でした。
ブルーノは係員に賄賂を渡し、裏からエヴァをアメリカに入国させたのです。
ブルーノは女性を踊らせる劇場を経営し、売春をも斡旋する裏社会の男。
妹との再会を夢見るエヴァにとって、
アメリカで生きるためには、選択の余地などなかったのです…。

敬虔なカトリック教徒であるエヴァが、娼婦に身をやつす。
自らの罪を責めながらも、生きて行くためにはこれしか方法はない。
そんな彼女の心と身体の葛藤と、実はもうひとつ、ブルーノにも葛藤があったのです。
何故ならブルーノは、エヴァを一目見た時から惹かれてしまったからなんです。
自分が愛する女性を、他の男に差し出す苦しさを、ブルーノも抱いていたんですね。
生きることが今以上に大変だった時代。
登場人物たちの生き方に、あなたは何を感じますか?☆3つ。
「エヴァの告白」公式サイト



「大統領の執事の涙」は、事実に基づき描かれた、黒人執事の物語。

黒人が奴隷として差別されていた時代のアメリカ南部。
セシル・ゲインズもそんな環境に生まれた黒人少年。
ある日のこと、白人の営む綿花畑で働く父親が理不尽な理由で雇い主に射殺され、
母は精神を病んでしまいます。
良心の残る家の女主人が、セシルを家働きの“ハウス・ニガー”として雇い、
給仕のマナーを叩き込むんですね。これが彼にとって、生涯の財産となります。
しばらくして都会に出たセシルでしたが、もちろん差別の下、仕事など何もありません。
ところが、様々な偶然の出会いから、努力の末、高級ホテルのボーイとして勤務。
その働きぶりに目を付けたホワイトハウス関係者が彼をスカウトし、
ホワイトハウスの執事となったのです。
一方でセシルには家族がありました。
仕事に一生懸命であるがゆえに、家庭をかえりみる余裕がない。
淋しさをつのらせる妻。黒人差別の撤廃を求め、反政府運動に身を投じる息子。
彼は白人に仕える父をなじります。そんな息子の頬を叩く妻。
時代の大きな波が、彼らを翻弄するのでした…。

完全なる実話ではないのですが、1950年代から80年代にかけて、
8期の大統領に仕えたユージン・アレンという人物がいて、
その黒人執事の記事からインスパイアされてできた映画だそう。
国政が動く現場で、執事たちに求められるのは“空気になること”。
初の黒人大統領、バラク・オバマ大統領誕生の日まで物語は続きます。
艱難辛苦の末の、サクセスストーリーではありますが、こちらを敢えて“陽”と呼ぶなら、
“陰”もある。そちらにまで思いを馳せるべき1本じゃないかと思います。☆4つ。
「大統領の執事の涙」公式サイト



「土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI」は、人気コミックの映画化。

交番勤務の巡査、菊川玲二。
ある日のこと、あまりに非常識な行動や、勤務態度に、
玲二は上司からクビを言い渡されてしまいます。
逆上する玲二でしたが、実はこの免職には裏がありました。
玲二は人一倍正義感が強い。そこで、武闘派暴力団の数寄矢会に潜入し、
会長を挙げろとの指令が下ったのでした。
そのために警察官の肩書きを剥奪、玲二は潜入捜査官、
通称“モグラ”として巨大な悪の組織に潜って行ったのです。
そこにいたのは常識を超えた悪人ばかり。
さらに関西の暴力団、蜂乃巣会との抗争も勃発。
果たして、玲二は任務を全うすることができるのでしょうか…。

原作は週刊ビッグコミックスピリッツに連載中の、高橋のぼるの同名コミック。
かなり面白かったですョ。
玲二には生田斗真が扮し、他にも超豪華な出演陣が周りを固めています。
とにかくキャラが立ち過ぎじゃないかと思うくらい立っている登場人物たちですが、
それでも何らTOO MUCHな違和感がない。
脚本の宮藤官九郎と三池崇史監督の手腕でしょうか。
笑いあり、もうひとつ笑いあり、そして涙あり。
続編があるなら絶対に見たくなる1本です。☆4つ。
「土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.1.31

「抱きしめたい‐真実の物語‐」☆☆☆
「はじまりは5つ星ホテルから」☆☆☆
「僕は友達が少ない」☆☆
「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」☆☆☆☆
「メイジーの瞳」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


1月だけで20本は見るかという勢い(笑)。結構、数多くご紹介できる週も多くなるかも?
お気に入りを見つける参考になれば幸いです。
さ、今週は5本です!



「抱きしめたい‐真実の物語‐」は、実話に基づくストーリー。

タクシー運転手の雅己は地元バスケットボール・チームの選手。
ある日のこと、練習のために市民体育館に行くと、
車イスの女性とチームメイトが口論をしていました。彼女の名はつかさ。
どうやら手違いによるWブッキングのようで、一歩も引かないつかさに、
雅己は「コートを半分ずつ使いませんか」と提案します。
練習後、帰宅する彼女を自分のタクシーに乗せて帰った雅己が知ったのは、
彼女の壮絶な過去でした。
高校生の時に交通事故に遭い、生死の境をさまよい続け、母の必死の介護と、
つかさ本人の執念のリハビリで、今の生活を取り戻したというのです。
左半身はマヒし、高次脳機能障害により、つい先ほどの出来事を忘れてしまうことも。
それでも素敵な笑顔で今を懸命に生きる彼女に、雅己はどんどんと惹かれていったのでした。
そして、周囲の心配や反対を少しずつ柔らげ、ふたりは遂に結婚を決めたのです…。

実在のふたりを描いたラブストーリー。
北海道では地元TV局がドキュメンタリーとしても制作、放送をしたそう。
北川景子と錦戸亮のW主演。
最愛の男の子には恵まれますが、残念ながら、
つかささんは事故とは関係のない病魔に襲われ、突然命を亡くしてしまうのです。
生きることの力強さと、人を愛することのこれまた力強さと。
雅己さんの“覚悟”こそが愛じゃないかなって思うんですね。
ボクにもあるはずだと実はこっそり思ってはいるのですが、現実にそうなったらどうかなぁ。
こういう作品を見た後に、軽々しくは言えませんよね。
雅己さんのご両親も、もちろんつかささんのお母さんも、
周りがとにかく素晴らしい人ばかりで。素敵なお話でしたョ。☆3つ。
「抱きしめたい‐真実の物語‐」公式サイト



「はじまりは5つ星ホテルから」は、実在の高級ホテルを舞台にした作品。

イレーネは世界中の5つ星ホテルを回っては、
その格に相応しいサービスを提供しているかをチェックする覆面調査員。
またの名を“ミステリー・ゲスト”。
誰もがうらやむ仕事のようでいて、その実、出張だらけ、それも粗探しの旅。
帰宅したら冷凍食品を温めて食べる40歳独身の彼女を、姉のシルヴィアは心配するのでした。
イレーネには元婚約者で、今は親友のアンドレアという男友達がいます。
ところが、アンドレアと一度関係を持った女性が妊娠したと。
だんだん父の顔になり、疎遠になるアンドレア。
シルヴィアのふたりの娘と絆を深めるはずの旅も、ホームシックで泣かれ、
母親にはかなわない現実を知り。
新しい恋も、何もない彼女でしたが、人生を考えさせられるような、
特別な出逢いと別れが待っていたのです…。

フランス、スイス、イタリア、モロッコ、ドイツ、中国と、
実在の5つ星ホテルでロケを敢行。
確かにバーチャルで旅に出たかのような気分になれるかも?
最近は独り身であることがツラい的な内容の映画が多くて(笑)。
ということは、そういう人(ターゲット?)がたくさんいるってことなんですよね。
年齢を重ねると出会うチャンスが少なくなるのはわかるけど、
イレーネが落胆するのを見ると、身につまされるなぁと(笑)。 でも、覆面調査員がこんなところをチェックするのかというのは面白かったですョ。
日本のお姑さんみたいでした(笑)。☆3つ。
「はじまりは5つ星ホテルから」公式サイト



「僕は友達が少ない」は、平坂読の人気ライトノベルの映画化。

羽瀬川小鷹は、聖クロニカ学園に通う高校2年生。
日本人の父とイギリス人の母を持つ小鷹は、
金髪で目つきが悪いことからよく誤解され、不良に絡まれることもしばしば。
友達がまったくいない、淋しい高校生活を送っていたのです。
ある日のこと、携帯を忘れて教室に戻ると、同じクラスの三日月夜空が
“エア友達”なるものと会話をしているではありませんか。
彼女もまた友達がいなかったんですね。
そこで夜空が提案します。
「隣人部という友達作りの部活を始めよう!」。
小鷹は無理矢理部員にさせられ、変わった入部希望者が集まって、隣人部は賑わいを見せるのですが…。

ライトノベルって知ってますか?
キャラクター設定が濃く、その萌え系のイラストが大きくフィーチャーされた、
若年層向けの小説のことだそう。
すみません、知りませんでした(笑)。
北乃きいが三日月夜空を演じてるのですが、北乃きいが出る映画は、
どうしても期待して行っちゃうんですよねぇ。
だからこのちょっぴり“オタク”っぽい作品は肩透かしだったかなぁ。
あ、それはボクがオジサンだからです。若者の流行には、さすがについていけないことも(笑)。
こんなボクも友達が少なくて。どこかにあります?隣人部(笑)。☆2つ。
「僕は友達が少ない」公式サイト



「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」は、マーベル・スタジオが送る
“アベンジャーズ”プロジェクトの最新作。

ロンドンで起きた重力異常。
この異変を調査していたのが、ソーの恋人で、天文学者のジェーンでした。
ところが、その異変の根源に辿り着いた時、ジェーンは宇宙を滅亡させるエネルギーである
“ダークエルフの力”を体内に宿してしまうんですね。
宇宙の彼方、アスガルドからジェーンの危機に気づいたソーが地球にやってきて、
ジェーンを故郷に連れて行くのですが、
太古の眠りから目覚めた邪悪なマレキスがジェーンの持つエネルギーを狙ってアスガルドを攻めに来ます。
かつてマレキスはアスガルドに敗れ、強い恨みを抱いていたこともあり、
この戦いは宇宙全体をも巻き込む、危険な戦いに発展していくのでした…。

アイアンマン、キャプテン・アメリカなどで知られる、
“アメコミ”のマーベル・スタジオの人気キャラクター、マイティ・ソー。
打ち手の小槌のようなハンマーを武器に、悪を倒す、マッチョなヒーローです。
壮大なヒーローものでありながら、コミカルな要素も入っていて、
その笑いのセンスがまたいいんですよね。なんたって、ソーは地下鉄に乗っちゃうんですから(笑)。
人間臭い恋愛だったり、身近なヒーロー像に、ファンは多いんだと思いますョ。
このあと、続々と他のキャラクターの新作が待っているよう。
それがまた繋がっていくはずです。パズルのピースを欠かさないよう、是非見ておいて下さいね。
映像はさすがの迫力でした。☆4つ。
「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」公式サイト



「メイジーの瞳」は、家族のありようを問う物語。

人気ロックスターのスザンナを母に、美術関係の仕事をしているビールを父に持つメイジーは、
6歳の女の子。
毎日のように罵り合い、ケンカばかりの両親が離婚をするのは時間の問題。
裁判所が出したのは“共同親権”。
メイジーは10日ごとに2つの家を往き来することになります。
すると父はメイジーのベビーシッターだったマーゴと同居を始め、
母はバーテンダーのリンカーンと交際を始めたのです。
父も母も互いのパートナーにメイジーのことを任せっきり。
あまりの身勝手さに新たなカップルも、関係が壊れかけていました。
そんな大人の行動を、まだ幼いメイジーの瞳は、じっと見つめていたのです…。

4人の大人と1人の女の子の物語。
リンカーンは本当に優しい男性で、そんなリンカーンがマーゴと仲良くなるのを、
メイジーは歓迎していました。
スザンナは血の繋がりを過信しているんじゃないかなと。
今、DNA鑑定が何かと話題になっていますが、積み重ねてきた時間、掛けてきた愛情は、
簡単には言えませんが、血より重くなることがあるんじゃないですか?
例えば夫婦は他人ですが、夫婦こそ本来血を超えた深い関係にあるべきじゃないかと思うのは、
“昭和”の古臭い考え方でしょうか。
離婚したボクも、理想はそこだったんですけどね(笑)。☆3つ。
「メイジーの瞳」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.1.24

「オンリー・ゴッド」☆☆
「ゲノムハザード ある天才科学者の5日間」☆☆☆
「なんちゃって家族」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


寒いですね。本当に寒い…。
こんな日は外に出たくなくなりますが、1日家でゴロゴロしていても、
あっという間に時間が過ぎてしまいます。もったいない。
あったかい映画館で、映画を見て過ごしませんか?意味のある1日になりますョ。
さ、今週は3本です!



「オンリー・ゴッド」は、「ドライヴ」の監督、主演が再びコンビを組んだ作品。

タイのバンコクでボクシングクラブを経営するビリーとジュリアンの兄弟。
ふたりはアメリカを追われ、この地にやってきたのですが、実は麻薬のブローカー。
ある日のこと、ビリーが少女の売春婦をなぶり殺しにし、
その父親から報復の銃弾を浴び、殺されてしまったのです。
弟のジュリアンは兄を殺した父親を見つけ出しますが、
兄のやったことを知り、父親を許すんですね。
ところが、アメリカにいる母のクリスタルが飛んできて、
兄の仇も討てないのかとジュリアンを叱りつけます。
クリスタル自らが調べたところ、現場にはひとりの警官がいたことが判明します。
その警官の名はチャン。
ジュリアンは言います。
「そのチャンという男も始末しなさい」。
ジュリアンとチャンの闘いが始まったのです…。

主演ライアン・ゴズリング、監督ニコラス・ウィンディング・レフン。
スクリーンを支配するのは、赤と黒の世界。
東南アジアならではの妖しい雰囲気に包まれますが、何が“オンリー・ゴッド”なのか、
ボクにはよくわかりませんでした。
試写のあと、「いやー、すっげえ面白かった」と興奮気味に話す男性の隣りで、
「えぇー、何が?全然わからない」と答える女性。
ボクは彼女と同じですが、わかる人にはわかるし、面白い人にはたまらなく面白いのでしょうね。
アクの強い作品です。ごめんなさい。個人的好き嫌いで☆2つ。
「オンリー・ゴッド」公式サイト



「ゲノムハザード ある天才科学者の5日間」は、日韓共作のアクション・サスペンス。

石神武人はデザイン会社に勤める会社員。
ある晩、帰宅すると、なんと妻が死んでいたのです。
ところが、死んだはずの妻から電話が入ります。
「実家にいるから。じゃあね」。
何が何だかわからず、警察を呼んだ石神ですが、
玄関で警察と応対している間に死体が消えていたのです。
「とりあえず署まで」と言う警官でしたが、何かがおかしい。
なんとか逃げ出した石神がバッタリ出会ったのは、韓国人女性記者のジウォン。
彼女のサポートが彼を救うのです。
この日から、彼の頭の中には別の記憶がひょっこり出てくるようになります。
実は石神武人は石神武人ではなく、韓国人科学者オ・ジヌで、
彼の記憶に石神の記憶が上書きされていたのです。
なぜ?いったい何のため?そして、妻の死は?
自分の記憶を探る、命がけの5日間が始まったのです…。

主演、西島秀俊。
彼はすごく器用な役者さんなんですね。だから、こんな役もこなしてしまうのでしょう。
ただ、アクション俳優のイメージがない分、どうしてもスクリーンが地味になってしまう。
これまた、あくまで個人的な感想ですが…。
ストーリーは細に入り、きちんと考えられてます。
謎解きもちゃんとできてますが、おそらく2度見てストンと腑に落ちるかな。
見るなら先に少し知識を入れておいたほうがいいかも?☆3つ。
「ゲノムハザード ある天才科学者の5日間」公式サイト



「なんちゃって家族」は、全米で大ヒットのコメディ映画。

マリファナの売人であるデヴィッドが、同じアパートに住むおバカな少年のお陰で、
3人組のパンク野郎にマリファナと金を盗まれてしまいます。
ボスに不始末がバレ、代わりにメキシコへ行って、
大量のブツを運んで来いと命令されるんですね。もちろん断れば命はないと。
国境の検問をどうするかと考えた時、デヴィッドの頭にあるアイデアが浮かんだのです。
家族旅行を装って、キャンピングカーで行けばいいと。
独身のデヴィッドは、早速家族を集めます。
今回の不始末の元となった少年ケニーと、やはり同じアパートに住み、
金に困っていたストリッパーのローズ、さらに万引き常習犯の少女ケイシーで
“なんちゃって家族”を形成。一路、メキシコに向かったのです…。

みんなわがままで、バラバラで。こんなんで大丈夫?と思うと、
案の定トラブルが起こる。
乗り切っていくうちに絆が深まり、あったかい気持ちにもなる。
定番といえば定番ですが、そこにホッともできるのがいいかなと。
この手の“悪ふざけ系”の映画にしては、よくできてた気がします。
ヒットの要因もそのあたりにあるんじゃないですか?☆3つ。
「なんちゃって家族」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.1.17

「エンダーのゲーム」☆☆☆☆
「ビフォア・ミッドナイト」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今年に入って早くも10本超と、試写のペースはかなりのもの(笑)。
時間がある時に、とにかくたくさん見ておきたいと思ってます。
さ、今週は2本です!



「エンダーのゲーム」は、伝説的近未来小説の映画化。

近未来の地球は、昆虫型異星生命体フォーミックに攻撃され、数千万人が犠牲に。
地球防衛軍である国際艦隊は、世界中の天才児を集め、次なる攻撃に備え、
優秀なコマンダーを育成していました。
2070年の地球では、少子化計画で子供は2人までとされており、
3人目の子は“サード”と呼ばれ、政府が認めた場合のみ出産が許されたのです。
10歳の少年、エンダーはその“サード”。
優しい姉と、残忍な兄の弟として産まれたエンダーは、国際艦隊によって身体に埋め込まれたモニターで、
行動の一部始終を監視されていたのですが、その高い適性を認められ、
戦闘訓練基地バトル・スクールに送られます。
そこで早速、天才的能力を発揮するエンダー。
地球を救えるのは彼しかいないと、わずか10歳の少年に地球の運命は委ねられたのでした…。

1977年に誕生した人気の小説が、今まで映画化されなかったのは、映像化が不可能とされてきたから。
これまでに何人もの映画人がチャレンジしながら、すべて途中で頓挫してきたんですね。
“悲願の映像化”と言われるこの作品、さすがに面白かったです。
映像も、ストーリーも深みがありました。
タイトルに隠されたかのような、想像だにしなかった結末を、スクリーンで確かめて下さい。☆4つ。
「エンダーのゲーム」公式サイト



「ビフォア・ミッドナイト」は、「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離」(95年)、
「ビフォア・サンセット」(04年)の最終章。

ユーロトレインの車内で知り合った、アメリカ人青年のジェシーと女子大生のセリーヌ。
ウィーンで途中下車したふたりは一夜を共にし、半年後の再会を約束するも果たせず。
ジェシーはウィーンでの思い出を小説にし、作家として訪れたパリで、
ふたりは9年振りの再会を果たしたのです。
互いにパートナーがいるにもかかわらず、惹かれ合うジェシーとセリーヌ。
それからさらに9年、ジェシーとセリーヌはパリで一緒に暮らしていて、
ふたりの間には双子の娘も誕生。
夏のバカンスでギリシャに来ていたジェシー一家。
その夜は友人の粋な計らいで、子供を預け、久々の夫婦水入らずのはずだったのですが…。

18年の長きに渡る男女の関係を描いたラブ・ストーリー、いやラブ・コメディ?
男女も長いこと一緒だと、ほとんどコメディでしょ(笑)。
ロマンスだけでは続かない現実と、いつまでもお姫様でいたい女心。
恋が愛に変わって、愛も愛で変化する。言ってみれば、異性愛から人間愛に。
でも女性はそれを嫌がるからなぁ。
よーくケンカしながらも続いているジェシーとセリーヌに、
倦怠期のカップルは学ぶ部分が多いかもしれませんョ(笑)。☆3つ。
「ビフォア・ミッドナイト」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2014.1.10

「オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主」☆☆☆
「さよなら、アドルフ」☆☆☆
「山内惠介THE歌謡ムービー 昭和歌謡危機一髪!」☆☆
「トリック劇場版 ラストステージ」☆☆☆


あけましておめでとうございます!
昨年観た映画の本数は141本でした。
暮れは忙しくて数は伸び悩みましたが、月平均約12本。まずまずかなと。
1〜3月半ばぐらいまでは比較的時間が作れるので、ここでたくさん試写に足を運びたいと思います。
さ、今週は4本です!



「オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主」は、
「ハムナプトラ」シリーズのスティーヴン・ソマーズ監督作品。

“奇妙な”という意味のオッドが本名の、オッド・トーマスは20歳のフリーター。
そんな彼には名前の通りの奇妙な才能があったのです。
死者の霊の姿が見え、その気持ちがわかるという。
でもそれを信じてくれるのは、恋人のストーミーと、警察署長のワイアットだけ。
そんなある日のこと、オッドはボダッハという不気味な悪霊をたくさん見るんですね。
ボダッハの出現は惨劇の前兆。
街が危ないと感じたオッドは、署長と協力し、何とか事件を防ごうとするのですが…。

変身モノではない、“等身大のヒーロー”がウリの映画。
見えていることをボダッハに知られると、必ず殺されてしまう。
オッドはごまかしごまかし、危険を回避していきます。
映像もストーリーもよく出来ていて、何となく犯人は予測できたけど、
最後の最後に待つ、大ドンデン返しはわからなかったなぁ。
シリーズ化の匂いも残しつつ。続編があるとすれば楽しみです。☆3つ。
「オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主」公式サイト



「さよなら、アドルフ」は、第二次世界大戦直後のドイツの物語。

ヒトラーが倒れ、敗戦が決まったドイツ。
父がナチの幹部だった14歳の少女ローレは、連合軍に連れ去られる両親から、
「ハンブルクにあるおばあちゃんの家に行きなさい」と言われます。
しかし、ハンブルクまでは900キロ。
ローレには、幼い妹と双子の弟、そして生まれたばかりの赤ん坊までいたのです。
幼い彼らを連れての長旅は容易なものではなく、
ナチの家系と知れば大人も救いの手を差し伸べてはくれず。
そんな中、とあるキャンプで見たユダヤ人虐殺の写真。
ローレは初めて真実を知り、愕然とするんですね。
キャンプを後にしたローレたちの跡をつける、若い男がひとり。
足を早めるローレたちに、連合軍兵士が声を掛けます。ナチの子供とわかれば捕まってしまう。
するとその男が身分証をだし、「兄のトーマスだ」と。トーマスはユダヤ人。
戸惑いながらも、ローレたちはトーマスと旅を共にすることにしたのです…。

ユダヤ人のトーマスに助けられ、ユダヤ人のトーマスに世界の真実を教えられる。
ローレは混乱します。
ただ、戦争という行為自体が狂気ですから。
14歳という多感な時期に、これまでの価値観をぶち壊し、
新たなものを受け入れることができるのか。過酷なことだと思いません?
近隣諸国とキナ臭くなっている昨今。個と個なら仲良くなれるのに、
国が介在すると、なんで人間ってダメなんでしょうね。
“過去に学べ”のいい教科書のような映画かもしれません。☆3つ。
「さよなら、アドルフ」公式サイト



「山内惠介THE歌謡ムービー 昭和歌謡危機一髪!」は、
ニッポン放送開局60周年記念作品。

デビューから12年たった演歌歌手の山内惠介。
今や中堅の歌手として安定した人気を誇る彼にも、不遇の時代がありました。
当時の事務所の社長が別の事業に手を出し、失敗。
携帯ゲーム会社に事務所ごと買い取られるんですね。
チャラい社員に言われるままの芸能活動にストレスが溜まったのか、
彼は“針飛び病”なるものにかかってしまうのです。
アナログのレコード盤に傷がつくと針飛びを起こし、同じところを何度もリピートしたように、
山内惠介の歌が針飛びを起こすようになったのです。
「歌えない歌手なんて」。
彼は歌を諦めようと、旅に出るのですが…。

山内惠介本人が本人役で、また昭和歌謡に造詣が深い元チェッカーズの武内亨が音楽を担当。
役者としても出演し、周りをWAHAHA本舗のメンバーが固めます。
ただ、正直、もうちょっと違うものをイメージしてかなぁ…。
“針飛び病”なんて、あまりにもリアリティがないから、
ストーリーに期待して観た側としては、ちょっと肩すかし(笑)。
申し訳ないけど、B級感たっぷりで、山内惠介ファンのための映画って感じです。☆2つ。
「山内惠介THE歌謡ムービー 昭和歌謡危機一髪!」公式サイト



「トリック劇場版 ラストステージ」は、シリーズ14年の最終章。

天才物理学者の上田次郎は、村上商事の加賀美という社員から、
海外の秘境で見つけた、レアアース採掘の件で仕事の依頼を受けます。
採掘権は手に入れたものの、そこには呪術師がいて、村人の絶対的信頼を得ていると。
その呪術師が、この神聖な土地をよそ者に手渡すなと言っており、
呪術師のトリックを暴けば、村人も開発に協力的になるだろうというのです。
そこで、いつものように、自称“超売れっ子天才美人マジシャン”の山田奈緒子に声を掛け、
呪術師の話をすることなく、海外旅行にでも行くかのごとく誘います。
ホイホイ乗ってきた山田奈緒子。こうして上田次郎との、バカバカしくも危険な旅が始まったのです…。

00年に、深夜ドラマでスタートした「トリック」も、本当にこれがラストだとか。
ダジャレの連発など、おなじみの演出は健在で、マニアックなネタだから、
見る人のツボによって笑いが違う。あっちでクスッ、こっちでプッって感じ(笑)。
ずっと見てきた人には変わらぬテイストがいいんだと思いますョ。ボクはあんまり笑えませんでしたが。
それでも、14年ってすごいですよね。長きに渡る功績に。☆3つ。
「トリック劇場版 ラストステージ」公式サイト