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週末公開の映画……2011.7.15 |
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「コクリコ坂から」☆☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)
函館に行った時に、函館で映画を撮影するのには欠かせないという人物と会って話をしてきました。
あの「チャーミーグリーン」のCFで、
おじいちゃんとおばあちゃんが仲良く手を繋いでいたのも函館の坂。
情緒たっぷりで、それはそれはいいところです。
「でもこの街にはスクリーンの数が少な過ぎる。人口5万人に1スクリーンと言われるから、
30万都市の函館なら6スクリーンないといけないのに、4つしかないんですよ…」と。
なるほど。
インスピレーションを与えてくれそうな町に、逆に映画文化が根付いていないなんて。
この人は映画祭を誘致したり、「函館に映画を」と一生懸命でした。
「微力ですが、何かご協力できることがあれば」と再会を約束。頑張って欲しいです!
さ、今週は1本です!
「コクリコ坂から」は、スタジオジブリの最新作。
コクリコ荘は港の見える丘の上に建つ下宿屋さん。
間借り人たちの世話をしているのは3姉弟の長女、16歳の海でした。
彼女が通う高校には古いけれど、文化部の部室が入った"カルチェラタン"という建物があります。
しかし学校側はそれを取り壊して新しいビルを建てようとしていたのです。
学校新聞を発行している俊たちを中心に、
歴史ある"カルチェラタン"を守ろうという運動が起こっていて、
建て替えに賛成の学生と反対の学生とが激しく争っていたのです。
リーダーシップもあり、どこか破天荒な俊に魅かれ、俊の手伝いをするようになる海。
やがて互いに恋心を抱くようになります。
しかしふたりには結ばれてはいけない理由があったのです。それは…。
原作は少女マンガ雑誌「なかよし」に連載されていた同名コミックで、
企画・脚本は宮崎駿。監督は宮崎吾朗。
舞台は1963年の横浜。
海は毎朝旗を上げます。それは船乗りだった今は亡き父に向け、航海の無事を祈る旗。
タグボートで通学していた俊は、それをずっと見ていたんですね。
しかし、海が俊に見せた1枚の写真が、俊に衝撃を与えます。
亡くなった父だと紹介された写真の人物が、実は自分の父親と同一人物だったのです。
ふたりは兄妹?
結末は映画館でどうぞ(笑)。
ボクは1961年生まれなので幼年期が被ります。
トリスのおじさんの楊枝立てなど、懐かしい小道具も描かれていて(笑)。
人々が「上を向いて歩こう」と、活気に溢れて生きていた時代。
学生たちがカルチェラタンを守るのだって、利己主義や個人主義じゃない。
東京オリンピックに湧く世の中で、新しいものばかりを崇拝するような風潮の中、
昔ながらの良さを残そうと闘う彼らにはしっかりとしたイデオロギーがあったのです。
閉塞感ばかりの現代社会。
便利さばかりを追求する我々に、果たしてその主義主張はあるのでしょうか?
自分が幸せならいい。そう思っていませんか?
ボクらはボクらにとっての"カルチェラタン"を、
次の世代に伝えていく義務がきっとあると思うのですが。
古きよき時代との懐古ではなく、今の自分たちに当てはめて見ると、ハッと気付くことがあるはず。
何ひとつ文句を言わず下宿を切り盛りする海の姿には頭が下がります。
「あなたももっともっと頑張って」と尻を叩かれた気がします。☆5つ。
「コクリコ坂から」公式サイト |
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