週末公開の映画……2010.12.23
「きみがくれた未来」☆☆☆
「デザートフラワー」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

今年最後の更新です。映画を見る参考にとアクセスして下さった方、ありがとうございました!
どんどん忙しくなって、結局今年の試写の本数は126本。例年の4分の3ほどでしょうか。
それでもいい作品との出会いももちろんありました。
やっぱり映画っていいなって思います。
いつも言うように、ここに書くのはボクの感性に基づく、ボクの勝手な感想、意見です。
最後はあなたに見てもらって、あなたにジャッジしてもらいたいんです。
2011年も、いい映画との出会いがたくさんありますように…。
さ、今週は2本です!

「きみがくれた未来」は、ザック・エフロン主演作。

高校生のチャーリーはヨットの選手。その才能は際立っていて、
スポーツ奨学金をもらってスタンフォード大学に進学する予定でした。
卒業式の夜、車で友人の家に遊びに行こうとしたチャーリーは、
仲良しの弟サムを助手席に。ところがその車が大事故に遭ってしまうのです。
一命を取り留めたチャーリーでしたが、弟のサムは残念ながら助かりませんでした。
5時の大砲の音を合図に、いつもキャッチボールをしていたのに。
サムと遊んだ墓地の裏に行くと、なんとそこにサムが立っていたのです…。

いわゆるゴーストものです。
辛いことがあっても、人は前を向いて歩いていかなくてはならない。
そんな教訓が含まれている映画です。
ザック・エフロンはディズニーの「ハイスクール・ミュージカル」シリーズで人気のイケメン俳優。
"初めにザックありき"的印象も無きにしも非ずですが(笑)、
今年のひとつのトレンドでもあったスピリチュアル系のテイストが入った1本。
もちろん恋愛もの、青春ものとしての描かれ方もしています。
ゆえに感動のポイントは人それぞれかも?☆3つ。
「きみがくれた未来」公式サイト



「デザートフラワー」は、世界的トップモデル、ワリス・ディリーの真実の物語。

ワリスはアフリカの貧しい家庭に生まれ育ちました。
13歳の時、父がワリスをお金と引き換えに、年老いた男性と結婚させようとします。
砂漠をどこまでも走って逃げるワリス。
ありとあらゆる手段を使って辿り着いたのは遠くイギリスの地でした。
とにかく生きることで精一杯だったワリスでしたが、様々な出会いが彼女を救います。
中でも一番大きかったのが世界的ファッションカメラマンのドナルドソンとの出会い。
長身を活かし、ショーのモデルとして働くことになるのです。
あっという間にトップモデルに登り詰めたワリスでしたが、
彼女には拭い切れないあまりにも残酷な過去があったのです…。

"砂漠の花"というタイトルから、
アフリカの大自然の中で育った女の子のサクセスストーリーかと思いきや、
本筋はそこじゃないんですね。
たぶんそれを知らずに見るとちょっぴり肩透かしを食うかもしれません。
最後に彼女が訴える哀しい"過去"、これを廃絶する大きなうねりになって欲しい。
おそらく主旨はそっちでしょう。
それだけ頭に置いておけば、出会いの織り成す奇跡の物語としても楽しめるはず。
そう、行動しなきゃ。
"犬も歩けば棒に当たる"は裏を返せば、"犬は歩かなければ棒には当たらない"んです。
内に籠って待ってても何もないってこと。積極的に外に出ましょ。
2011年に向けて、今年最後に見るにはいいかもしれません。☆3つ。
「デザートフラワー」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.12.16
「キック・アス」☆☆☆
「最後の忠臣蔵」☆☆☆☆☆
「シュレック フォーエバー」☆☆☆
「チェブラーシカ/くまのがっこう ジャッキーとケイティ」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

今週紹介する作品以外にも、
金曜日にディズニーの話題のデジタル3D作品「トロン:レガシー」が公開になります。
完成前作品の試写は見たのですが、確かに近未来です(笑)。
3Dに向く、向かないってあると思いません?平坦だからいいって作品も絶対にあって。
今回紹介する映画の中にはそんなほのぼのする1本もあります。
さ、今週は4本です!



「キック・アス」は、ブラッド・ピットプロデュースのヒーロー映画。

デイヴはヒーローに憧れるオタク高校生。
通販で買った緑と黄色のコスチュームに身を包み、
"キック・アス"と名乗って町をパトロール。
車泥棒を見つけて退治しようとするのですが、腹を刺され、
さらに車にひかれて大怪我をしてしまいます。
運がいいのか悪いのか、痛みに鈍くなって退院したデイヴ。
再び町のパトロールに出るのですが、殴られても痛くないからひるまない。
その姿がYOU TUBEにアップされて一躍時の人に。
しかしそれが思わぬ方向に飛び火するんですね。
地元マフィアが、仕事がうまくいかないのはコイツのせいかと、キック・アスの命を狙います。
一方で、他にもキック・アスに注目していた人物がいました。
それは父娘の自警団"ビッグ・ダディ&ヒット・ガール"だったのです…。

新しいテイストのヒーローものです。
きったない言葉がブンブン出てきます。だってタイトルからして「キック・アス」だもん(笑)。
方やヒーローに憧れて始めただけのオタク高校生、方や本格的な訓練を受けた父娘。
このまったく格の違う2組が手を結んで悪に立ち向かうという図式が面白いんでしょうね。
ヒット・ガールなんて、誕生日に女の子らしいプレゼントをもらってガッカリし、
バタフライナイフに瞳を輝かせ(笑)。
ビッグ・ダディは防弾チョッキを着せてるとはいえ、娘を使って試し撃ち!
考えられない…。
マフィアのボスの息子も"レッド・ミスト"なる悪の仮面として名乗りをあげるので、続編確実。
まずは1作目をチェックしておいて下さい。
あ、ホントにかなりエゲツないですョ(苦笑)。覚悟していって下さいねっ。☆3つ。
「キック・アス」公式サイト



「最後の忠臣蔵」は、史実"忠臣蔵"の隠されたもうひとつの物語。

江戸時代、赤穂藩藩主・浅野内匠頭が、
江戸城内の松之廊下で吉良上野介を斬り付けた責任を取り切腹。
その後、赤穂浪士47名が吉良邸に討ち入り、主君の仇を取り、
全員切腹したのが語り継がれる"忠臣蔵"。
しかし、ひとりだけ生き残りがいたのです。
真実を後世に伝え、浪士の遺族を援助せよと大石内蔵助に命じられた寺坂吉右衛門がその人でした。
旅の途中、寺坂はある人物を見掛けます。それはかつての親友・瀬尾孫左衛門でした。
瀬尾は討ち入り前日に何も告げずに逃亡したのですが、
忠義に厚かった男が何故?それは寺坂にもわからなかったのです。
今は武士の身分を捨て、山奥に住まいを構え、骨董商を営んでいるよう。
やがて運命の糸が、このふたりの男を再会させるのでした…。

感動しました。
貫くってこういうこと。もう日本人のほとんどが失くしてしまってるものでしょう。
あらすじとして書いたのは本当にほんのさわりです。
健気な恋物語もあれば、大人の恋もある。
女性から思いを告げるとはこんなに気高く素敵なものかと。
"逆ナン"の品のなさに愕然として欲しいものです(笑)。
「えっ、そこまでしなくても…」って正直思うけど、江戸の侍の生き様なんでしょうね。
試写会場をあとにした時、背筋がピンと伸びましたから。役所広司の演技も光ってました。
海外でも広く公開されるそう。
日本人の現実を見てガッカリされないよう、ボクらもちゃんとしなきゃ。久々の満点!☆5つ。
「最後の忠臣蔵」公式サイト


「シュレック フォーエバー」は、人気シリーズの完結編。

最愛の妻フィオナと3人の子供たち。
シュレックは幸せな日々を送っていたのですが、なんか満たされない。
昔の奔放な怪物時代を懐かしんでいたある日のこと、
ペテン師の魔法使い・ランブルスティルスキンが、
シュレックを魔法で1日だけ元の怪物に戻してあげると持ちかけるんですね。
その代わり、シュレックの過去のどこか1日と交換して欲しいと。
シュレックは1日ぐらい大したことないだろうと、契約書にサインをしてしまいます。
シュレックが怪物に戻って楽しんでいると、ふと何かが足りないことに気付くんですね。
そう、大事な家族も仲間もいない。
それもそのはず、ランブルスティルスキンが代わりにと奪ったシュレックの過去の1日とは、
シュレックが生まれた日。
シュレックが生まれてこなかったならば、
ランブルスティルスキンはシュレックに邪魔されることなく世界を我が物顔で支配できるのです。
フィオナも子供たちもいない世界にシュレックは慌てます。
元に戻すには時間がありません。
果たしてシュレックは大切なものを取り戻すことができるのでしょうか…。

契約した日が終わるまでに、愛する人とキスができれば契約は無効になるというキャンセル事項を発見。
見知らぬ関係にあるドンキーとフィオナを探しに行くのですが、フィオナは革命軍の女隊長。
キスだなんてとてもとても(笑)。それでも時間は刻一刻と迫って行きます。
失くして初めてわかる幸せって確かにありますよね。
人間は(怪物も?)無いものねだりですから、仕方ないんでしょうけど。
日常の些細な幸せを幸せと噛み締めましょうということでしょうか。
こちらも3D版あり。3Dの方が確かにお勧めです!☆3つ。
「シュレック フォーエバー」公式サイト


「チェブラーシカ/くまのがっこう ジャッキーとケイティ」は、
2作品同時上映のアニメ映画。

「チェブラーシカ」はロシアで大人気の人形童話。
「くまのがっこう」は日本が生んだ大人気絵本シリーズ。
どちらもかわいいっ(笑)。
恥ずかしながら、どっちのぬいぐるみも持っていて、結構キャラクター商品も買い集めました(*^_^*)。
ストーリー云々より、とにかく癒されに行って下さい。ほにゃっとしちゃいますから(笑)。
あ、こちらはいつまでも3Dにならないで欲しいなぁ。そう心から願います。☆4つ。
「チェブラーシカ/くまのがっこう ジャッキーとケイティ」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.12.8
「人生万歳!」☆☆☆
「ノルウェイの森」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

11月末までに見た映画の数は120本。
今年は例年に比べてやはり少なく、3分の2ぐらいの本数です。
見逃した作品の中にも間違いなくいい映画があるんだろうなって考えると複雑な心境に(苦笑)。
そろそろラストスパートの時期。
時間のやり繰りをして、できるだけたくさんの試写に足を運びたいところです。
さ、今週は2本です!


「人生万歳!」は、ウディ・アレン監督の通算40作品目。

初老の男性、ボリスは昔ノーベル賞候補にも挙がった天才物理学者。
ところが頭が良過ぎて、人生の無意味さを悟ってしまうんですね。
その結果とった行動は飛び降り自殺。
奇跡的に助かるのですが、妻も職もすべてを失ってしまったのです。
今はというと、無駄に時間を潰すただのおじさん。
そんなボリスに予期せぬ出会いが。
アパートの階段下に、メロディという家出娘がいたのです。
田舎から出て来て行くあてもなく、
寒さに震えるメロディを渋々家に泊めてあげることにしたボリスですが、
メロディがそのまま居着いてしまいます。
挙げ句の果てに、ボリスのことを「愛してる」と。
ふたりは何と結婚してしまうのです。
年齢も知能指数も大きく違うふたりの結婚生活は、果たしてうまくいくのでしょうか…。

ウディ・アレンお得意のウイットに富んだ恋愛コメディーです。
その後、メロディを探しに来た母親が訪ねてきて、
こんなオヤジと結婚したという事実を知って卒倒。
ところが彼女もまた浮気した夫に見切りを付けたとボリスの家に居座っちゃう。
さらにさらにメロディのお父さんもやってきて、てんやわんやの大騒動に。
ボリスにとっては幸せな結婚生活ですが、それはいつか破綻を迎える運命にある。
だってメロディはあまりに世間知らず。
まだまだ新しい出会いと選択肢はそこら中に転がっているのですから。
「おじさんの夢じゃん!」と思ったのも束の間、
「映画ですら結局こうだもんなぁ…」と、見ていたボクは打ちひしがれてしまいました(笑)。
でもこの映画のタイトルが「人生万歳!」ですから、収まるところに収まる気がしません?
ただ、その"万歳!"は映画の登場人物たちが感じたもの。
見てる観客の中には最後の分岐点でボクのようにガッカリしてる人も多いんじゃないかな(笑)。
ま、笑って良しとしましょ。☆3つ。
「人生万歳!」公式サイト


「ノルウェイの森」は、村上春樹の大ヒット小説の映画化。

高校時代に親友の自殺という辛い経験をしてしまったワタナベは、
まっさらの生活を求めて東京の大学に進学します。
それでも心にポッカリ空いた穴を埋められずにいる毎日。
そんなある日のこと、自殺した親友の恋人だった直子と偶然再会します。
同じ喪失感を持つふたりの中はどんどん深まり、
直子の二十歳の誕生日にふたりは結ばれたのです。
ところがワタナベと直子の仲が深くなればなるほど、
死んだ親友の存在が大きくなってくる。
遂に直子は精神を病み、京都の療養所に入ってしまいます。
直子に会いたくても会えないそんな時、
ワタナベは緑という直子とは正反対な女性と出会うのでした…。

1987年の小説。あなたもきっと読んだはず。タイトルはビートルズの楽曲から。
監督はベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン監督。
独特の世界観を見事に映像化したと言っていいでしょう。
プレスにある言葉をそのまま引用させてもらいますが、
「力強く繊細であり、激しさと優雅さが混沌としていて、官能的かつ詩情にあふれている」。
これ以上の表現はボクの陳腐なボキャブラリーでは見当たらないといった感じ。
小説の読後感も決してスッキリとしたものでは無かったと思いますが、
そのモヤッとした感覚も映画を見た後に体感できるあたりがすごいかなと。
ワタナベには松山ケンイチが、直子には菊地凛子が扮しています。
人生は複雑です。辛くもあり、だからこそ楽しくもあるのでしょうね。☆4つ。
「ノルウェイの森」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.12.2
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」☆☆☆
「クレアモントホテル」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

12月になりました!
「忙しいから映画なんて見てるヒマないョ」とおっしゃるあなた、それは逆。
たまには映画を見るぐらいの余裕を作らないと。
ボクも本数こそ減っても、必ず何本かは見るようにしてますから。
いい作品に出会うと心がホッとしますョ。
さ、今週は2本です!


「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は、人気アニメシリーズの実写版。

2199年。突如現れた正体不明の敵、ガミラスの攻撃を受け、滅亡の危機にあった地球。
そんな時、未確認物体が落下してきます。
それは14万8千光年彼方にある惑星、
イスカンダルから届いた通信カプセルだったのです。
それによると、人類の大半を死滅させた放射能を浄化する装置がイスカンダルにはあると。
地球防衛軍は、宇宙戦艦ヤマトを発進させ、
わずかな希望に人類のすべてを賭け、イスカンダルに向かうのでした…。

古代役の木村拓哉を始め、豪華キャストが揃った超話題作。
キムタクは何を演じてもキムタクであるというのは置いといて(笑)、
この実写版は"ヤマト世代"の大人にはある種の感動があるかも。
ただキムタク周りの役者さんたちもちょっと熱過ぎませんかって感じ?
「西田敏行さんらベテランが登場するとホッとするんだよなぁ」とは某テレビ関係者の声。
黒木メイサがなんだかすごく可愛いく見えてしまいました。
ダイワハウスのコスチュームも似合ってたけど、キッと怒った表情がよかったです(笑)。
ちなみに公開は12月1日からです。☆3つ。
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」公式サイト


「クレアモントホテル」は、イギリス映画。

夫に先立たれ、娘からも自立したいと、
長期滞在型のクレアモントホテルを訪れたパルフリー夫人。
食事の時間になり食堂に下りると、周りは自分と同じような老人ばかり。
するとひとりの女性が声を掛けてくれて、
このホテルのあれこれを教えてくれるんですね。
個性的な客の多いホテルですが、夫人も徐々に打ち解けていき、
近所に住む孫の話になりました。
ホテルの住人にとっての楽しみは来訪者。
早速、孫に連絡をする夫人でしたが、いっつも留守電。コールバックはなし。
孫も忙しいと話を作ってはごまかしていたある日のこと、
夫人が道で転んでしまうんですね。
それをとっさに助けてくれたのがルードという若者でした。
聞けば孫と同じ年。
お礼にとホテルのディナーに誘った夫人が、
ルードに「ひとつお願いがある」と言うのです。
「私の孫のふりをしてくれないかしら」…。

長期滞在型と言いながら、どことなく養老院の匂いのするクレアモントホテル。
老いらくの恋やら、人間関係のいざこざやら、
そこに起こる出来事は世界共通のよう。
でもそんな中で、パルフリー夫人の品と誇りを持って振る舞う姿はなかなか素敵です。
それでもやっぱり孤独なんでしょうね。周りに人はいても拭えない孤独感。
自分の老後を考えると、ちょっと身につまされちゃいました(苦笑)。
でも自分の生きてきた何かを「次に繋ぐ」という意味ではパルフリーおばあちゃん、
よかったんじゃないですか?ねっ。☆3つ。
「クレアモントホテル」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.11.26
「信さん 炭坑町のセレナーデ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

先週公開の映画の中に試写を見た作品がなかったので、先週はお休みさせて頂きました。
実は今週末公開になる「ベオグラード1999」という映画も見ているのですが、
これは新右翼グループの書記長を追いかけたドキュメンタリー。
三島由紀夫の割腹自殺から40年。
ナショナリズムを考えるにはいいタイミングかもしれませんが、
論評を軽んじるのはもちろん、☆を付けることもいかがなものかと。
ただドキュメンタリーですから、見た人が感じることはもちろん自由だと思います。
こういう世界もあるのかと、知っておくのはいいかと思います。
HPはwww.belgrade1999.comです。興味のある人は覗いてみて下さい。
という訳で、今週は1本です!


「信さん 炭坑町のセレナーデ」は、昭和を描いた小雪主演作品。

昭和38年の福岡の炭坑町。
美智代は小学生になる息子の守と共に、故郷のこの町に帰って来ました。
懐かしい顔や景色が迎えてくれる一方で、「なんで帰って来たんだ」と、いろんな噂も流れます。
守も「よそ者が来た」といじめられるのですが、
そんなピンチを救ってくれたひとりの少年がいたんですね。
彼の名は信さん。
町の誰もが知っている不良少年です。
早くに親を亡くし、厄介者として扱われていた信さん。
本当は優しいところのある男の子なのに誰もわかってくれない。
「守を助けてくれてありがとう」と優しく接してくれる美智代は、
信さんにとって特別な存在になっていくのでした…。

いい頃は栄えていた炭坑町の物語。
しかし、この町も例外ではなく衰退していく訳です。
貧しくても、みんなが一生懸命生きていた時代。
信さんの"不良"ぶりも、実は生きるための知恵だったりするのではないでしょうか。
物語は守や信さんが大人になるまで続きます。
「三丁目の夕日」もそうですが、なぜ昭和の時代をよかれと懐かしむのか。
ボクにとって昭和の時代はリアルタイムだから、今ほど何でも便利じゃないけど、
不便があるからこそ他人のことを考えられたあの時代のよさはよーくわかってます。
もしそこに人本来の姿があるのならば、胸を張って戻ればいいのに。
格好悪いとか、照れ臭いとか、そんなの抜きにして。そう思いませんか?
こういう映画を見ると、本当にそう感じてしまいます。☆3つ。
「信さん 炭坑町のセレナーデ」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.11.26
「信さん 炭坑町のセレナーデ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

先週公開の映画の中に試写を見た作品がなかったので、先週はお休みさせて頂きました。
実は今週末公開になる「ベオグラード1999」という映画も見ているのですが、
これは新右翼グループの書記長を追いかけたドキュメンタリー。
三島由紀夫の割腹自殺から40年。
ナショナリズムを考えるにはいいタイミングかもしれませんが、
論評を軽んじるのはもちろん、☆を付けることもいかがなものかと。
ただドキュメンタリーですから、見た人が感じることはもちろん自由だと思います。
こういう世界もあるのかと、知っておくのはいいかと思います。
HPはwww.belgrade1999.comです。興味のある人は覗いてみて下さい。
という訳で、今週は1本です!


「信さん 炭坑町のセレナーデ」は、昭和を描いた小雪主演作品。

昭和38年の福岡の炭坑町。
美智代は小学生になる息子の守と共に、故郷のこの町に帰って来ました。
懐かしい顔や景色が迎えてくれる一方で、「なんで帰って来たんだ」と、いろんな噂も流れます。
守も「よそ者が来た」といじめられるのですが、
そんなピンチを救ってくれたひとりの少年がいたんですね。
彼の名は信さん。
町の誰もが知っている不良少年です。
早くに親を亡くし、厄介者として扱われていた信さん。
本当は優しいところのある男の子なのに誰もわかってくれない。
「守を助けてくれてありがとう」と優しく接してくれる美智代は、
信さんにとって特別な存在になっていくのでした…。

いい頃は栄えていた炭坑町の物語。
しかし、この町も例外ではなく衰退していく訳です。
貧しくても、みんなが一生懸命生きていた時代。
信さんの"不良"ぶりも、実は生きるための知恵だったりするのではないでしょうか。
物語は守や信さんが大人になるまで続きます。
「三丁目の夕日」もそうですが、なぜ昭和の時代をよかれと懐かしむのか。
ボクにとって昭和の時代はリアルタイムだから、今ほど何でも便利じゃないけど、
不便があるからこそ他人のことを考えられたあの時代のよさはよーくわかってます。
もしそこに人本来の姿があるのならば、胸を張って戻ればいいのに。
格好悪いとか、照れ臭いとか、そんなの抜きにして。そう思いませんか?
こういう映画を見ると、本当にそう感じてしまいます。☆3つ。
「信さん 炭坑町のセレナーデ」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.11.10
「ふたたび」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

久々の試写会で、隣りに座ったおばさまたちがペチャクチャ。場内が暗くなってもペチャクチャ。
さらに映画が始まってもペチャクチャ!
さすがに注意しました。マナー、マナー。
さ、今週は1本です!



「ふたたび」は、音楽を通して心通わせる家族の物語。

貴島大翔はジャズ好きの大学生。
自らもトランペットを吹く彼には、憧れのジャズバンドがいました。
それはクール・ジャズ・クインテット。
たった1枚のアルバムをリリースして姿を消した、伝説のジャズバンドです。
ある日のこと、父が家族の前であることを告白したのです。
実は亡くなったとしていた祖父が生きていると。
祖父はハンセン病の患者で、療養所から50年振りに戻ってくるんだと。
貴島家の門をくぐった祖父の健三郎。
大翔はどう接していいかわからなかったのですが、趣味であるジャズの話をして、
クール・ジャズ・クインテットのLPを見せたらなんとビックリ!
健三郎がこのバンドのトランペッターだというではありませんか!
「人生でやり残したことがある。50年前のバンド仲間を探したいんじゃ」。
大翔は健三郎と共に音楽仲間探しの旅に同行するのでした…。

ハンセン病には差別が残っていて、健三郎のバンドが解散したのも、
父が自分の父を「死んだ」としていたのもその差別からでした。
この映画でもそんな差別が元で結婚が破談になるシーンが描かれています。
この映画は家族の絆がメインだと思うのですが、
年老いた老人が自分の最後の夢を追う姿、ハンセン病への問題提起など、
一番言いたいのは何なのかがぼやけちゃってる感が否めないんですよね。
そこがちょっと残念だったかなと。
テーマを絞り込んだらまた違った感想を持ったかもしれません。☆2つ。
「ふたたび」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.11.9
「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」☆☆☆
「さらば愛しの大統領」☆☆
「パートナーズ」☆☆
「リトル・ランボーズ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

ここに来て、超の付く忙しさにさらに超が付いちゃって…。試写にほとんど行けてません。
このHPの更新も週を跨いでしまいました。すみません…。
遅ればせながら、先週は4本です!



「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」は、バナナマンの設楽統主演の裁判映画。

ある日、三流脚本家の南波タモツは女性映画プロデューサーの須藤光子から
「愛と感動の裁判映画」の脚本を依頼されます。
右も左もわからず、裁判所に向かう南波でしたが、傍聴席で"傍聴マニア"の男たちと知り合います。
様々な裁判を傍聴して、いろんな感情が湧き上がる南波でしたが、
その一方でまるで安物のワイドショーのような事件が多いことにも驚くのでした…。

裁判員裁判のスタートで、より身近なものになった裁判。
劇中では11の裁判を傍聴するのですが、架空の事例だろうと思ったらそうじゃないみたい。
ただ、"世界のオモシロ裁判"みたいなところからは引用したようですが(笑)。
映画の中で、美人鬼検事のマリリンこと長谷部真理という女性検事が登場して、
南波に「さぞかし楽しいでしょうね。他人の人生を高見の見物して!」と怒鳴るシーンがあるのですが、
傍聴マニアは裁判を傍聴して何が楽しいのか、正直ボクにはわからない。
ネタ探し?好奇心?心理学の勉強?それとも哲学?
正義、真実…。人生には正解というか方程式がないでしょ。それを人が裁く。
過去の慣例、すなわち方程式に当てはめようとするから裁判は難しいんでしょうね。
法廷のサンプル集として見るといいかもしれませんョ。☆3つ。
「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」公式サイト



「さらば愛しの大統領」は、吉本芸人が勢揃いのおバカ映画。

不況のニッポン。中でも壊滅的経済的状況にあったのが大阪でした。
そこで府民が府知事に選んだのが"世界のナベアツ"だったのです。
ナベアツの公約は大阪の独立。就任3ケ月で独立国家宣言を果たしたのでした。
そんなナベアツに暗殺予告が出されます。
捜査と警護を任されたのは、大阪府警の迷コンビ、早川刑事と番場刑事。
果たして大阪に未来はあるのでしょうか…。

早川刑事には宮川大輔が、番場刑事にはケンドーコバヤシが扮します。
正直あんまりわからないんですよね、こういうの。
吉本興行のプロモーションビデオみたいで、ファンにとっては楽しいのでしょう。
バカバカしさの中にも何かあればよかったんだけど。
ボクには残念ながら何も感じられませんでした。
ごめんなさい。☆2つ。
「さらば愛しの大統領」公式サイト



「パートナーズ」は、盲導犬の映画。

夢を何も持たない19歳の剛。
手に職を付けたいというだけの安易な理由で盲導犬訓練士の学校に入学します。
初めて担当したのはチエという訓練犬。
チエは生後2ケ月で"パピーウォーカー"と呼ばれる育ての親の元に預けられます。
その家には美羽という10歳の女の子がいて、片時も離れずチエに愛情を注いできたのです。
チエと美羽の別れの時。
引き継いだ剛はチエが自分を好きになってくれない現実に戸惑います。
そして美羽に相談に行くと、彼女はこう教えてくれました。
「わたしがチエを好きだっただけ」。
剛は大事なことに気付くのでした…。

他人を愛するとか思いやる気持ちに欠けていた剛が、
盲導犬訓練士をやりながら成長していく姿を描いた作品。
もちろんそこには犬も人も、優しさも不幸もたくさん介在するのです。
チエを必要としたのは、事故で失明してしまったロックバンドの女性ボーカルの真琴。
投げやりになっていた彼女の人生に、チエが一筋の光を与えてくれます。
ま、想像できる、王道を行く作品です。犬の映画は泣けますしね(笑)。
人はもちろんですが、演技を頑張ったワンちゃんたちに一番大きな拍手かな。☆3つ。
「パートナーズ」公式サイト



「リトル・ランボーズ」は、子供たちの友情物語。

80年代初頭のイギリス。
郊外に住む11歳のウィルには父親がいません。宗教上の理由で音楽やテレビもダメ。
唯一の楽しみには聖書の隅に書くイラストでした。
ところが学校一の不良少年、カーターと知り合って世界が一変します。
その強烈なキャラクターに魅かれたのです。
実はカーターにもお父さんがいません。似た境遇に引かれ合うふたり。
さらにウィルに衝撃を与えたのは、シルベスター・スタローン主演の映画『ランボー』でした。
ランボーの息子を名乗り、ランボーの出で立ちで現れたウィルは、
内緒でお兄ちゃんのビデオカメラを使って映画を撮っているカーターの作品に出ると意気込むのでした…。

ちょっぴり屈折した環境にあるふたりの男の子の近しい気持ちが痛々しくて。
たぶんどっちも子供なりに精一杯。仮面も被るし、本音も言わない。
っていうか言えない。
だから素で笑ってる笑顔が可愛いし、哀しいんですよねぇ。
逆に大人がちゃんと見て、自分たちを省る作品じゃないかなって思いました。
ま、子供も子供同士では子供なりに残酷なんですけどね(笑)。☆3つ。
「リトル・ランボーズ」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.10.29
「SP 野望篇」☆☆☆☆
「ストーン」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

映画は原作を読んでから見るべきか?
それとも映画を見てから読むべきか?
先日、知人とそんな話をしていました。
どっちがいいというのはおそらく無いのでしょうね。
だってどちらにも違う魅力があるはずだから。
ただお恥ずかしいことに、ボクはあまり小説を読まないんです。なんか集中力が欠けてるんでしょうね。
目は文字を追ってても、頭の中では違うことを考えてたりして(笑)。
あなたはどちら派ですか?
さ、今週は2本です!



「SP 野望篇」は、フジテレビの深夜に放送されていた人気テレビシリーズの映画化。

警視庁警備部警護課第四係に所属するSPたち。彼らの仕事は日本のVIPを警護すること。
井上は尾形係長率いるSPチームの一員です。
与党幹事長・伊達國雄のパーティが都内のホテルで盛大に開かれた夜、
数人の男たちが伊達の部屋に集結。その中には尾形の姿もありました。
彼らは東大の政治サークル"雄翔会"の中心メンバーだったのです。
みんな口々に「"計画"を実行する時が来た」と言います。
その"計画"とは、国民の価値観を根底から変えてしまうほどの事件を起こすこと。
彼らが"革命"と呼ぶほどの、大きな変化が無ければ日本は変わらないと主張するのです。
目に見えない強大な力が動き出します。
第四係のSPたちも、この渦の中に巻き込まれていくのでした…。

テレビドラマを見ていた人なら知っていると思いますが、
井上はテロで両親を亡くした時のトラウマが引き出した不思議な予知能力を持っているんですね。
SPの職域を逸脱した派手な逮捕劇に、
伊達からは「"殉職"でいいんじゃないか」と、密かに命を狙われることになります。
"騙し合い"というとちょっと表現は違うかもしれませんが、
伊達、尾形、井上、そして"雄翔会"を探る公安の目。
何が善で何が悪なのか?
ブログにも書いたのですが、個人の権利ばかりを主張して、
人を思いやる気持ちがどんどん少なくなっている現代社会において、
確かに起爆剤となる出来事は必要かもしれません。
でもそれがテロや戦争など、人為的な不幸であっていいはずもなく。
一体これからストーリーはどう展開して行くのか、ワクワクさせてくれる作りになっています。
井上役のV6の岡田准一くんはいい役者ですねっ。さらに周りが一流だから映画が締まる締まる。
そしていよいよ迎えるクライマックスは「革命篇」。
こちらは来年春に公開となります。楽しみです!
まずその前篇は押さえておかないと。☆4つ。
「SP 野望篇」公式サイト



「ストーン」は、ロバート・デ・ニーロ主演のサスペンス映画。

ジャックは刑務所の仮釈放管理官。
毎日コツコツと仕事をこなしてきて、いよいよ定年を迎えようとしていました。
その最後の担当となる受刑者が、通称"ストーン"と呼ばれる男。
放火による祖父母の殺人罪で懲役11年に処され、
あと3年の刑期を残して何度も仮釈放を申請していたのでした。
短気で反抗的なストーンに、ジャックは毅然とした態度で望むのですが、
ストーンはセクシーな妻のルセッタを使って
何とかジャックに仮釈放の書類に判を押させようとするのです。
その甘い罠にかかってしまうジャック。
しかしその一方でストーンに変化が起こります。
ある精神世界の本を読んで、心の根が変わってしまったのでした…。

ジャックは決して聖人君子ではなく、
43年連れ添った妻も子供のためだけにジャックとの生活を継続していたに過ぎません。
正義の仕事に携わっているはずなのに、汚ない言葉をしょっちゅう吐くジャック。
その一方で、悪から善に変わったストーン。
そのストーンを愛しながら他の男に容易く体を許すルセッタ。
二面性を持つ登場人物が、心理面も含め、複雑に絡み合うストーリーです。
ストーンにはエドワード・ノートン、ルセッタにはミラ・ジョヴォヴィッチ。
名優の競演。なかなか面白かったですョ。☆4つ。
「ストーン」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.10.21
「隠された日記 母たち、娘たち」☆☆☆
「森崎書店の日々」☆☆☆
「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」☆☆☆
「雷桜」☆☆☆☆
「脇役物語」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

実は先週公開の映画の中に、見た作品が1本もありませんでした。こんなこともあるんですね。
その分と言ってはなんですが、今週はまとめてドドッと公開になります(笑)。
それでは早速ご紹介していきましょう。今週は5本です!



「隠された日記 母たち、娘たち」は、母娘3代の生き様を描いたフランス映画。

フランスの田舎町、アルカション。
カナダで働く娘のオドレイが久々に帰省すると、笑顔で迎えた父とは対照的に、
母のマルティーヌはどこかぎこちない表情。ふたりはいつもこんな感じでした。
今は誰も住んでいない海辺の祖父の家。
オドレイはカナダに発つ前に済ませておくべき仕事に集中するために、
そこを改築して住むことにします。
ある日のこと、キッチンの戸棚の奥から古い日記を見つけるんですね。
それは今から50年前に家族の前から突然姿を消した、祖母ルイーズの日記だったのです…。

祖母ルイーズが生きた時代は、女性の社会進出など考えられなかった時代。
それでも彼女は仕事をしたいと望んでいました。
愛する子供たちと自分の夢との間で悩むルイーズ。
なぜ、家族の前から忽然と姿を消したのか。
一方、キャリアウーマンとして生きる娘オドレイでしたが、
お腹の中には恋人でもない男性の子を宿していたのです。
母のマルティーヌは女医さん。娘の異変に気付かないはずもなく。
そこに現われた祖母ルイーズの日記。3人の女性の人生が絡み始めます。
間違いなく女性向けの作品です。
女性の仕事にはふたつの種類があります。ひとつはビジネス、ひとつは家庭を守ること。
なんて言ってると、セクハラだとか古いとか言われそうだけど(笑)。
でも男性から言わせると、女性には女性にしかできないものもあると思うんですよ。
男女平等の何が平等であるべきなのか。考えるのはそこじゃないかと思うのですが。
ちなみに母マルティーヌにはあのカトリーヌ・ドヌーヴが扮しています。
やっぱり華がありますねっ。☆3つ。
「隠された日記 母たち、娘たち」公式サイト


「森崎書店の日々」は、神田神保町を舞台にした映画。

ごくごく普通のOL、貴子。
同じ会社に務める恋人の英明と、いつものように食事をしていると、
彼がこう言ったのです。
「俺、結婚するんだ」。
耳を疑った貴子でしたが、聞けば同じ職場の経理の女性社員と一緒になるというではありませんか。
あまりのショックで会社を辞めた貴子。部屋でひとり眠るだけの毎日。
そんな時、神田で古本屋を経営している叔父のサトルから電話が入ります。
「貴子ちゃん、住み込みでうちの古本屋を手伝わないかい?」。
それが貴子の森崎書店での日々の始まりでした…。

大きな刺激が無い代わりに、小さな発見がたくさんある街。それが本の街、神保町。
この映画も過剰な演出は少ないけど、
まさに古本屋街の日常を映し出した仕上がりになっているんですね。
それには「地域映画として"町の記憶"をカメラに収めたい」という監督の思いがあったようです。
あ、貴子と英明の恋の決着には、ちょっぴりドラマチックな部分が見られますョ。
でも決して見せ場はそこじゃなく、
作品を通して流れる全体の空気感こそが見せ場なんだと思います。☆3つ。
「森崎書店の日々」公式サイト



「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」は、
ワイン造りを題材にしたファンタジー作品。

19世紀初頭のフランス、ブルゴーニュ地方。
若い農夫のソブランはセレストという村娘と恋に落ちます。
しかし周りはふたりの結婚に猛反対。
さらに伯爵のワイナリーで醸造家として雇って欲しいという願いも叶わず、
ソブランは落ち込み、葡萄畑をひとり彷徨い歩いていたのです。
そこに天使のザスが現れ、人生のアドバイスを与えると共に、
1年後の再会を約束するんですね。
彼女との結婚を祝いにやってくると。
その言葉に背中を押されたソブランはセレストと結婚。
1年後にザスと再会した時、今度は葡萄の樹とワイン造りの奥義を教えてくれました。
痩せた土地を耕して樹を植えるソブラン。
理想の葡萄を育て、理想のワインを造ることができるのでしょうか…。

天使が登場するあたりがファンタジー。
でもワイン造りの工程などはしっかりと描かれていて、そのバランスは秀逸でした。
実はソブランの人生には、この後、様々なドラマが起こるのです。
でも、「至高のワインを造るためには歓びも悲しみも苦しみも、
つまりは人生のすべてが必要になるのだ」
というザスの言葉はなるほどという感じ。
ワインのみならず、いろんなことに当てはまると思いません?
美味しいワイン同様、味の調和というか、バランスのよく取れた1本。
恋人とワイングラスを傾けながら、感想を語り合ってはいかがですか?☆3つ。
「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」公式サイト



「雷桜」は、岡田将生、蒼井優主演の恋愛時代劇。

江戸時代、将軍家に生まれた斉道は、家臣の助次郎が話す言葉に興味を抱きます。
「私の故郷、瀬田村の山には天狗がおります」。
その瀬田の山には父とふたりきりで暮らす娘の雷(らい)がいたんですね。
山が荒らされないよう、
入ってきた村人を脅しては追い払っていた雷の存在が"天狗伝説"になっていたのです。
家来を従えて、瀬田の山に向かう斉道。雷との出会いは当然でもありました。
自然児のように生きて来た雷。斉道との身分の差など考えず接する姿に惹かれる斉道。
ふたりは許されない恋に落ちたのでした…。

実は雷は誘拐された助次郎の妹。
裕福な家に戻るのですが、その暮らしは性に合いません。
斉道も徳川に生まれ、周りに人は多くてもそれは身分に媚びへつらっているだけ。
ふたりは共に孤独を感じていたのです。
そこに現われた個性的な異性。惹かれるのも自然の流れでしょう。
叶うことのない悲恋の物語。
それでも見ている側は何とかなってくれないものかとハラハラドキドキ。
雷ちゃんみたいに素直にいられたらいいなぁと思いつつ、
おいらの"素直"は"わがまま"と同意語だからなぁなんて考えたりして(笑)。
乗馬のシーンがたくさん出てきます。蒼井優ちゃん、別にJRAのPRじゃないと思いますが(笑)、
あれだけ乗れるようになるのは大変だったと思いますョ。
よく頑張りました!☆4つ。
「雷桜」公式サイト



「脇役物語」は、名脇役俳優・益岡徹の初主演作。

万年脇役俳優の松崎ヒロシ。
父は有名な劇作家なのにコネを使うことを嫌がるから、来るのはいつも端役ばかり。
そんなヒロシにもいよいよチャンスがやってきました。
ウディ・アレン作品の日本版リメイクに主役で出ることが決まったのです。
ところが運の悪いことに、大物代議士の妻の不倫騒動に巻き込まれて話はキャンセル。
とことんツイてないヒロシ。
ある日、駅のホームでスリに間違えられていた若い女性を助けます。
彼女の名はアヤ。
アヤもお芝居をやっていたので、すぐに俳優の松崎ヒロシだと気付くんですね。
ヒロシがツキが無いとこぼす愚痴を、すべて明るく笑い飛ばすアヤに、
ヒロシは徐々に惹かれていくのでした…。

バツイチでもあるヒロシ。
父親があまりに偉大で、ちょっぴりコンプレックスを抱えているのか、
アヤが父と仲良くなるのを見てヤキモキ。
そんなだから、アヤとの距離を一向に縮めることができないんですね。
そんなことじゃ自分の人生まで一生脇役だぞと一念発起するお話。
でも父親が裕福だってところで、「実は恵まれてないかい?」って思っちゃう(笑)。
脇役だろうが何だろうが、大人になっても好きなことをしてられるのは幸せなことですよねぇ。
ま、その舞台設定はさておき、
行き詰まってる男性諸氏にはちょっぴり勇気をもらえる作品かもしれません。☆3つ。
「脇役物語」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.10.8
「アイルトン・セナ〜音速の彼方へ」☆☆☆☆
「半次郎」☆☆☆
「冬の小鳥」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

この3連休、行楽地はどこも混みそう。2日外出しても1日はのんびりしたいものです。
映画はそんな休日の過ごし方にピッタリですよねっ。
芸術の秋でもあります。感性も豊かになっている頃。是非劇場に足を運んで下さい。
さ、今週は3本です!



「アイルトン・セナ〜音速の彼方へ」は、34歳の若さで急逝した、
天才F1ドライバーのドキュメンタリー。

ブラジルのサンパウロの裕福な家庭に生まれたアイルトン・セナは
4歳でカートを始め、20歳の時にヨーロッパに渡ります。
そこからメキメキ頭角を現し、F1ドライバーの座を獲得。
デビュー6戦目のモナコGPで、
お世辞にも素晴らしいとは言えないマシンであわや優勝かという2位に入ります。
一躍注目の的となったアイルトン・セナ。
それからはロータス、マクラーレンと、一流チームで華やかな戦績を残して行きます。
ところがチーム内での確執や、
F1という組織自体が抱える問題に頭を悩ませることになるんですね。
そんな中、信念のドライバーとして走り続けるセナの姿が描き出されています。
印象深かった言葉がひとつ。
それは彼が厳しいレースを続けて、周りから批判を受けた時に口にした言葉。
「隙をつかない者はレースドライバーじゃない。ボクたちは勝つために競ってるんだ。
最大の目的は1位を獲ること。3位や4位じゃないんだ」。
これぞ勝負師。
危険な行為を良しとする訳じゃないけど、政治が介入しての予定調和は確かに興ざめです。
一番好きなレースは子供の頃の純粋に先を競ったカートレースだと語るセナ。
日本にもファンが多かった彼の一生を振り返ってみて下さい。☆4つ。
「アイルトン・セナ〜音速の彼方へ」公式サイト


「半次郎」は、幕末の動乱期を生きたひとりの侍の物語。

薩摩の下級武士の家に生まれ、唐芋を作りながら生活していた中村半次郎。
それでも彼の心の中には武士としての気概と誇りがありました。
薩摩の中心的存在だった西郷吉之助が京に上がると聞くや、
自分も隊に加えて欲しいと申し出ます。
人並み外れた度胸のよさ、個性的な剣の腕前、
"芋侍"と下げすまされようともどこ吹く風と流すおおらかな心。
半次郎の名はたちまち京の町に広がっていったのです。
薩摩軍の勇敢な戦士として功績を上げていった半次郎は、
明治維新と共に明治政府の陸軍少将にまで登り詰めるたものの、
理想としていた政治とのギャップに意気消沈。
薩摩に戻った半次郎たちは新政府に反旗を翻し、
無謀と知りつつも"侍"としての死に場所を求め、戦に赴くのでした…。

最近、時代劇が多いと思いません?これは世の中が求めているからに他なりません。
じゃ何を求めているのか?
それは現代人が無くしてしまった"義"や"礼"の心でしょう。
「己を滅してまで何かのために」という気持ちが薄れてしまってるのでしょうね。
それは何も社会や国家のためとは言いません。
自分の家族や友人など、身近で大切な存在に対してでいいのです。
それすら希薄になっているのは、殺伐としたニュースが象徴していますよね。
即効性はなくとも漢方薬のようにじわじわと。
この手の映画にはそんな役目もあるような気がするのです。☆3つ。
「半次郎」公式サイト



「冬の小鳥」は、フランスと韓国の合同作品。

9歳の少女、ジニ。
ある日のこと、大好きなお父さんに連れて来られたのは、
同じぐらいの女の子がたくさん遊ぶソウル郊外の建物でした。
父親と離され、部屋に通されたジニは状況が理解できません。
窓の外を見ると、悲しげに建物から出ていく父の後ろ姿がありました。
そう、そこは孤児が集まる児童養護施設だったのです…。

この映画のウニー・ルコント監督は、自分自身が養子として
フランスの養父母の元にもらわれて行った経験からこの脚本を書いたと言います。
大好きな親との離別、孤児だと認めたくない心理、本当に心を通わせることのできる友達、
でも養子縁組が決まれば施設を出ていってしまう切なさ。
幼い子供には過酷過ぎる心の葛藤が描かれています。
歴史やお国柄など、一概にあれこれとは言えない部分はありますが、
辛さを知っているからこそ人の優しさをわかる大人になって欲しい。
そう願う人が多いはずです。でも当人たちには綺麗事に聞こえちゃうのかな。☆3つ。
「冬の小鳥」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.9.30
「スープ・オペラ」☆☆☆
「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

先日、若い女の子と飲む機会がありまして。共通の話題を見つけるのに映画はいいですねっ(笑)。
「『悪人』見ました?」。
「見た、見た。面白かったでしょ?でも妻夫木くんが演じたあの男、どう思う?」。
「アタシはぁ…」。
なんて弾む、弾む、話が弾む(笑)。
こんな役にも立つんですねっ。
さ、今週は2本です!



「スープ・オペラ」は、阿川佐和子原作の小説の映画化。

庭のある古びた一軒家。ここに住むのは、ルイと伯母のトバちゃん。
そのトバちゃんが若い男性と恋に落ち、家を出ていってしまいます。
一人暮らしになったルイ。
ある日のこと、ふと庭を見ると見知らぬ年輩の男が忍び込んでいて、
キャンバスを開いて絵を描いているではありませんか。
田中十二夫と名乗るこの男、一度はルイに追い払らわれたのですが、
懲りずに今度は弁当を持ってやってきます。
ところがこの弁当が旨い!そして話をしてみると、決して悪い人ではないなと。
それどころかまるでルイの知らない父さんのよう。
しばらくして、友達に頼まれて付き合った小説家との食事会で、林康介という若い男と知り合います。
ルイを家まで送って来た康介。そこで見たのはまたまたルイの家に忍び込んでいた十二夫の姿でした。
十二夫を父親と間違えた康介は、あたふた。それでも図々しくこう言います。
「すみません、今晩泊めてもらえませんか?」。
翌朝、ルイが起きてくると、食卓で十二夫と康介が楽しそうに話をしていました。
なぜだか三人は意気投合。
それから奇妙な三人暮らしが始まったのです…。

ホワッとした暖いお話ではあります。
でも導入部というか、ちょっとあり得ないでしょって感じの設定が残念。
映画なんだからそんなことがあったっていいんだよと言われちゃえばそうなんだけど、
ボクはそこにこだわる派だから(笑)。
でも楽しい食事は人を幸せにするんだなというのは再確認。☆3つ。
「スープ・オペラ」公式サイト


「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」は、「天使のはらわた」シリーズの石井隆監督作品。

あゆみと二人の娘、桃とれん。
三人は駅前の雑居ビルで"あゆみ"というバーを経営してたのですが、実はこの店、恐ろしい店。
"美人母娘"を売りに金持ちを色仕掛けで騙しては多額の保険金を掛けて殺していたのです。
ある日のこと、騙されたと知った客が逆上。
すったもんだの末、桃が包丁で刺し殺してしまいます。
死体の処理に困った三人は、風呂場で死体を細かく切り刻み、
それを富士山の樹海に持って行って投げ捨てたのですが、
桃が狙っていた高級腕時計が無いことに気付くのです。
れんのミスで切り刻んだ死体と一緒に捨ててしまったと。
お金も悔しいけど、製造番号からアシがついたらそれ以上にまずい。
桃に責められたれんは、電柱に貼られた手書きのチラシを見つけるんですね。
『何でも代行・紅次郎』。
れんは、
「父親の散骨をヘリコプターからした時に誤って落としてしまった腕時計を探して欲しい」
と嘘をつき、紅次郎に樹海での時計探しを依頼するのでした…。

93年公開の映画「ヌードの夜」の続編というか、紅次郎の新ストーリー。
れん役の佐藤寛子のヌードばかりが話題になってますが、いやいや話も面白かったです。
紅次郎に扮する竹中直人もそうですが、あゆみ役の大竹しのぶも悪女をやらせたら絶品ですねっ。
実力派の演技が作品の質を間違いなく上げてるなと痛感。
登場人物のそれぞれに背負ってる人生があって、母娘と言えども踏み込めないものがある。
衝撃の後半は見物です。
桃役の井上晴美も、もちろん佐藤寛子も女優としての評価は高いはず。
色眼鏡で見ずに、是非劇場に足を運んでみて下さい。☆4つ。
「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」公式サイト


 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.9.23
「君に届け」☆☆☆☆
「十三人の刺客」☆☆☆☆
「TSUNAMI」☆☆☆
「メッセージ そして、愛が残る」☆☆☆☆
「恋愛戯曲 私と恋におちてください。」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

ある日の夕方の試写。開映ギリギリにどっと人が入ってきたんですね。
隣りの席に置いておいた荷物をスッとどけると、そこにパッと男性が座りました。
でもこの人ちょっと変…。
まず落ち着きがないし、何より、いいシーンでプッと笑うんですよ。
感性のものだから、どこで笑おうがもちろん文句は言えません。でもちょっと考えて欲しいですよね。
せっかくのいい作品がボクにとっては台無しでした。荷物どけなきゃよかった…(T_T)。
さ、今週は5本です!



「君に届け」は、椎名軽穂の大ヒットコミックの映画化。

爽やかな子と書いて"さわこ"と読む爽子。
小さい頃から人の喜ぶ顔を見るが大好きで、"一日一善"をモットーに生きてきたのですが、
長い黒髪と上目がちに人を見るクセから『リング・らせん』の"貞子"と呼ばれるようになり、
中学校では浮いた存在に。
それは高校に入っても変らなかったのですが、それでもちょっと状況は違ったのです。
学年で一番の人気者の翔太が、爽子の思いやりたっぷりの行動をいつも優しい目で見ていたんですね。
さらにパッと見は不良チックな千鶴とあやねも爽子の友達になります。
でも不気味とされる"貞子"と付き合うことで、翔太も千鶴もあやねも陰口を叩かれるようになる。
それを耳にした爽子は自ら身を引こうとしたのです…。

超のつく純愛モノ。
ボクは初めの方のシーンで早くもうっすら涙が浮かんじゃいました。
それは、他の生徒が倒した自転車を黙って直している爽子のところに翔太がやってきて、
爽子の健気な行動をずっと見ていたと告げるシーン。
頑張ってる姿は、誰かが絶対見てくれているんだ。
そう思ったらウルッときちゃったんですよねぇ(笑)。
珍しくみんないい人です。
善と善のお話も、特に10代の若者が主人公の映画ですから
すごくいいんじゃない?と微笑ましく見てました。
なんかボクらが10代の頃の少女漫画みたい。
満点に☆が1つ少ないのは、後半ちょっと無駄に長い気がしたんですよ。いわゆる"中だるみ"。
あれを削ってコンパクトにしたらもっと良かったのに…。なんて、あくまで個人的な感想ですけど。
片思いの中にはたくさんの両思いがある。
だから思い切ってアプローチしてごらん、というのもこの作品が伝えたいことのひとつのよう。
あぁ、あの頃に帰りたい(笑)。
爽やかな気持ちになれますョ。
年を重ねて心が汚れてしまったなぁとお嘆きのあなたにお勧めです。☆4つ。
「君に届け」公式サイト


「十三人の刺客」は、豪華キャストでお送りする時代劇スペクタクル。

江戸末期の明石藩。藩主・松平斉韶は自分の欲望のためなら
民衆の命など虫ケラ同然といった残忍な性格。
見兼ねた上級家老が老中の門前で自害して訴えるほどだったのですが、
それでも斉韶を処罰できなかったのは斉韶が将軍・徳川家慶の弟で、
年が明けたら老中の座に就くことが決まっていたから。
このままでは藩どころか幕府が、ひいてはこの国が滅びてしまう。
悩みに悩んだ末、老中の土井はお目付役の島田新左衛門に、斉韶暗殺を命じたのです…。

監督は「クローズZERO」の三池崇史。いかにもという感じの映像になってます。
侘びさびの時代劇は期待しない方がいいですョ。"スペクタクル"としたのはそこですから。
タイトルの通り、13人が集まるのですが、まぁみんなキャラが濃い!
極悪非道の斉韶にしても、針は振り切れてます。
だって、演じたSMAPの稲垣吾郎がTVのインタビューで、
「やってて自分がメチャメチャ嫌いでした」と語ったぐらいです(笑)。
映画の持つ魅力のひとつ"ド迫力"は十二分に発揮した作品だと思います。
エンターテイメントとして見ると、なるほどヴェネチアでも好評だったのは納得です。☆4つ。
「十三人の刺客」公式サイト


「TSUNAMI」は、韓国のパニック映画。

地質学者のキムは、地殻の動きに大きな異常を発見します。
対馬沖で地震が発生し、想像を絶する津波がやって来そうだ。
それを国に伝えたのですが、
「メガ津波?いったいそれは何だ?」と、相手にしてもらえません。
その頃、人々はそれぞれの人生を懸命に生きてました。
幼なじみのヨニにプロポーズしようとしている真面目な漁師のマンシク。
海洋救助隊員のヒョンシクの純真さに恋をしてしまったお嬢様のヒミ。
いつも心配してくれる母親に冷たい態度を取ってばかりのヤクザもののドンチュン。
そしてキム自身も別れた妻と愛娘と偶然の再会をしてしまったのです。
すべてがメガ津波に飲み込まれてしまう。
残された時間はあと10分しかありませんでした…。

津波によるパニック映画というよりも、
命を落とすかもしれないというわずかな時間にギュッと凝縮された、
それぞれの人生ドラマの方に重きがあるといった感じ。
メガ津波の映像や逃げ惑う人々の姿はさすがの迫力ですが、それはもしかすると2番目?
大切な人に対する優しさや思いやりを先送りにしているなら、
今すぐやりなさいというのが最も伝えたいことなのかもしれません。☆3つ。
「TSUNAMI」公式サイト


「メッセージ そして、愛が残る」は、フランスの大ヒット小説の映画化。

NY在住の敏腕弁護士、ネイサン。妻とふたりの子供がいたのですが、
幼い息子を突然の病で亡くしてからというもの、妻や娘と離れて暮らす毎日。
仕事に没頭することで、悲劇を忘れようとしているかのようでした。
そんなネイサンの元に、セントルイス病院の医局長の肩書きを持つケイという男が訪れます。
何の用件かすら語らないケイに不審感を抱くネイサンでしたが、ケイには人の死を予見する力があり、
それを目の当たりにしたネイサンは自分の前にケイが現れたということは
自分に死期が近付いているんだろうと察するのです。
それからというものネイサンは、自分の生き方を考え直すのでした…。

最近多いスピリチュアル系の映画です。
海外モノにこの手の作品が増えているのは、戦争、テロ、異常気象と、
やっぱり人々が今の世の中に不安を感じていることの証しでしょうか?
こちらも終わりが近付いていると悟った時、
人は最愛の人と、また自分自身とどう向き合うのか。考えさせられる1本です。
予期せぬエンディングが待ってます。それは見てのお楽しみ。☆3つ。
「メッセージ そして、愛が残る」公式サイト


「恋愛戯曲 私と恋におちてください。」は、深田恭子、椎名桔平主演、鴻上尚史監督作品。

売れっ子脚本家の谷山真由美は大きなスランプに陥っていました。
関東テレビから依頼された脚本がまったく書けずにいたのです。
代役を立ててはどうかという案に、営業部はスポンサーが絶対に首を縦に振らないから駄目だといい、
制作部の一部のスタッフはゴーストライターを仕込み始める始末。
そんな真由美の元に送り込まれたのはドラマ部に配属されたばかりの向井でした。
真由美は向井に言います。
「じゃあ私と恋におちて。私、恋をしないと書けないの」。
真由美の言葉に戸惑う向井。
果たして締め切りまでに、無事脚本は仕上がるのでしょうか…。

劇団「第三舞台」を主宰する鴻上尚史監督作品ゆえ、演劇の匂いがプンプン。
不思議なもので、演劇畑の人が監督を務めると、本当に舞台の匂いがしてくるものです。
このあたりが好き嫌いかな。
舞台が嫌いというのではなく、映画には映画の、舞台には舞台の良さがありますからね。☆3つ。
「恋愛戯曲 私と恋におちてください。」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.9.17
「ANPO」☆☆☆☆
「nude」☆☆☆☆
「THE LAST MESSAGE 海猿」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

イチローの安打数と比べたら半分ぐらいだけど(笑)、今年の試写の本数がようやく100本を超えました。
中にはいい出会いもあったなぁ。だから忙しくても映画を観るのは辞められないんですよねぇ。
このペースだと今年は130本ぐらいかな。
なるべくたくさん見て、それをあなたにお伝えしたいと思います。
さ、今週は3本です!



「ANPO」は、60年安保闘争の時、日本のアーティストが何を感じ、
どんな表現で表したのかを追ったドキュメンタリー。

1960年6月、日本とアメリカとの間で結ばれた日米安全保障条約。
国民の多くが反対したこの条約に、当時の首相だった岸信介は判を押します。
あらゆる層の人々が参加したその反対闘争は、
日本の歴史上最も激しいものだと言われているのですが、
そんな中で芸術家たちは何をどう表現したのか。
日本生まれ、日本育ちのアメリカ人女性監督、リンダ・ホーグランドが迫りました。
確かに当時の民衆のエネルギーってすごかったんですね。
とても今の日本と同じ国だとは思えません。
デモや闘争の是非を言うのではなく、NOにはNOを言えた国民性だったんだなと。
それに比べたら今の日本がいかに元気がないかを痛感してしまいます。
怒りのハケ口を内に向けて人を傷つけるなら、堂々と外に向かって声を上げてみろと言いたくなります。
普天間の基地問題も、さかのぼればこの条約に起因するのですから。
今一度考えてみる必要はありますよね。
ちなみに登場するアーティストの中には、横尾忠則、加藤登紀子らも。☆4つ。
「ANPO」公式サイト


「nude」は、元AV女優のみひろが書いた自叙伝的小説の映画化。

新潟の高校を卒業した"わたし"は、大親友のさやかに内緒で東京行きを決意します。
航空関係の仕事に就きたいとは言ったものの、実は芸能人になりたかったのです。
たいくつな仕事に飽き飽きしてきた頃、渋谷でスカウトマンに声を掛けられ、浮かれ気分になる"わたし"。
ところがそれは裸の仕事だったのです。
AVには出ないことを条件にヌードモデルになることを決意。
しかしそれが田舎でも話題になり、親友のさやかからは罵られ、恋人にもバレてしまいます。
それでもこの仕事の楽しさを知ってしまった"わたし"は、誰に何と言われようとも、
決して辞めようとはしなかったのです…。

当然仕事の内容はエスカレートしていき、カラみのあるVシネマから、
遂にはAVへと進んでいくんですね。
でも彼女は必ず一度立ち止まって、普通の女の子と同じように悩み、考えるんです。
「そんなことしたら人生終わりだよ…」。
でも、何かに背中を押されてそのハードルを超えるんですョ。
その"何か"が気になって、先日ラジオの番組にゲストで来てもらったんですが、
「"好き"が一番かな」とみひろちゃん。
男優はもちろん、照明、メイクなど、
関わってる人のプロフェッショナルな姿勢に打たれたとも語ってくれました。
でもこの映画のいいところは、脱ハダカ宣言をしたみひろを
「これからのわたしはますます輝きます!」的に良く描いているんじゃなくて、
大きなもの、大切なものもたくさん失ってるんだという"負"の部分もきちんと描いているところ。
意外というか、へぇーと感心しちゃいました。
未だに「夢は女優になること」というみひろちゃん。彼女の今後に注目です。☆4つ。
「nude」公式サイト


「THE LAST MESSAGE 海猿」は、海猿シリーズ4作目にして、完結編。

海上保安官の仙崎大輔は海難救助のスペシャリスト。
そんな大輔に指令が下ります。
天然ガスプラント施設"レガリア"の火災から作業員たちを救出せよというもの。
しかし、超大型の台風が近付いていて、作業は難航していたのです。
施設内には天然ガスが貯蔵されており、引火したら大惨事になる。
かといって、日韓共同の施設であり、さらにロシアも出資している国際プロジェクトゆえ、
簡単に破壊する訳にもいかない。
台風の接近とともに刻一刻と猶予がなくなる中、予期せぬ爆発が起こります。
その爆発により、大輔を含む数名がレガリア内に残されてしまったのです…。

この手の作品は、最初にちっちゃな事件、事故を解決して、それから本題に入ったりするものですが、
最初から最後までレガリアからの救出劇。だから緊張がずーっと続くんですね。
いかにもお金の掛かった映画らしい映画って感じで、それはそれでよかったんじゃないかなと思います。
人気のシリーズの完結編。大輔〜っ。もちろん安否をここでは言いません(笑)。
ファンの方はご自身の目で確かめて来て下さい!☆4つ。
「THE LAST MESSAGE 海猿」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.9.9
「悪人」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

今年の年末に、あるかわいいキャラクターものの映画が2本立てで公開になります。
それは"チェブラーシカ"と"くまの学校"。
実はどちらも大好きで。ぬいぐるみとかのグッズがうちにかなりあるんですョ(*^_^*)。
その2つが一緒に公開になるってことは、2つのキャラに共通点があるってこと。
なんだかうれしくなります。
「いい年したオッサンがぬいぐるみかいっ」なんて言わないで下さいね。
だって癒されるんだもん(笑)。
ちょっぴり恥ずかしいカミングアウトでした。
さ、今週は1本です!


「悪人」は、深津絵理がモントリオール映画祭の主演女優賞受賞で話題となった映画。
李相日監督作品。

祐一は長崎の漁村に生まれ、母親には半ば捨てられた状態で、祖父母と一緒に暮らしていました。
土木作業員として単調な毎日を過ごしていた祐一の、唯一の趣味が車。
出会い系サイトで知り合った福岡のOL・佳乃と肉体関係を持ち、
その後も会いたいと連絡をする祐一に、佳乃は「会いたければお金を持ってきな」と突き放すのでした。
ある夜のこと、佳乃を待つ祐一の車がありました。
鉢合わせしたのは佳乃が恋心を寄せる大学生・圭吾の車。
佳乃は迷わず圭吾の車に乗り込みます。
苛立ちと共にふたりの車を追う祐一。
その夜のことでした。佳乃が死体で見つかったのです。
一方、佐賀の紳士服量販店に勤める光代も、自分の退屈な人生にため息の出る毎日。
「誰かと出会いたい」。
光代もまた出会い系サイトにアクセスをし、祐一と知り合います。
会ったその日のうちにホテルに向かうふたり。
どちらも寂しい男と女。互いの本音を知るや、一気に愛情が高まっていきます。
その時、祐一が涙ながらに言うんですね。
「なんでもっと早く光代と出会わなかったんだろう」。
そう、祐一は、佳乃殺しの犯人だったのです…。

そこから始まる逃避行。
いやぁ考えさせられます。
大学生の圭吾は金持ちのボンボンで、事件のあとの言動が無性に腹の立つ若僧。
佳乃の両親は理髪店を営業し、真面目に働いてきた夫婦。
娘が売春まがいのことをやっていたことに衝撃を受けながら、事件の真相と深層を探りに自ら動きます。
事件に関わっている人たちだけでなく、祐一の家に集まる報道陣の倫理観など、
とにかくあらゆる登場人物の"善と悪"が描かれていて、
場面場面で本当にじーっくり、考えさせられてしまいます。
人を殺めた祐一は悪人なのか?
ボクの中にはボクなりの答えはあるのですが、ここにはもちろん書きません。
李監督も最後の最後までを描き切らなくても、
実はひとつひとつのことにきちんと答えを出している気がするんですね。
面白かったですョ。見終わったら、絶対みんなで語りたくなるはず。
特にグレーゾーンについては意見が分かれるんだろうなぁ…。
いろんな声を聞いてみたいものです。☆4つ。
「悪人」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.9.3
「トラブル・イン・ハリウッド」☆☆☆
「名前のない女たち」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

先日ある試写会で、「主演の××さんが来てらっしゃいます」と上映前にプロモーター氏。
するとその新人女優さんがトコトコとスクリーンの前に出て来てご挨拶。
「至らぬ点が多々あるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします」。
嫁入り前の挨拶じゃないんだから(笑)。ちょっと言葉が違うんでないかい?
ま、初々しさがかわいらしいってことで。
でも言葉はちゃんとしないとね。女優をやっていく上で、大切な要素だと思いますョ。
さ、今週は2本です!


「トラブル・イン・ハリウッド」は、ロバート・デ・ニーロ主演のコメディー映画。

ベンはハリウッドのプロデューサー。
自分が手掛けた映画の試写会で問題は起こりました。
ショーン・ペン主演作のラストシーンに、
犬の頭を銃で撃ち抜くという残忍な映像があったんですね。
観客は大ブーイング。出資した女社長はおかんむり。
それでも監督は「絶対に必要なシーンだ」と、カットさせる気は毛頭なし。
このままじゃ2週間後に迫ったカンヌ映画祭に出品できないと。
一方で、クランクインを控えた新しい作品でも問題が起きていたのです。
主演のブルース・ウィリスがヒゲを剃らないとダダをこねていたのです。
プライベートではまだ未練の残る前妻に男ができたようだし。
いろんな問題を抱えたまま、
ベンはある雑誌の選ぶ「大物プロデューサーBEST30」の撮影に向かったのでした…。

ハリウッドの裏側を皮肉たっぷりに描いたコメディー作品。
仕事の電話がプライベートの大切な時間を壊すって、わかるなぁ(笑)。
挙げたこと以外にも、他にたくさんの悩みを抱えているベン。
ポジションが上がるって大変なんですよ、ねぇ。
ショーン・ペンもブルース・ウィリスも、自分の役で出ています。
その辺が豪華だし、リアリティを産むにはもってこいの演出でした。☆3つ。
「トラブル・イン・ハリウッド」公式サイト


「名前のない女たち」は、AV女優に転身する女の子の話。

母親の言いなりになって生活し、地味な毎日を送ってきたOLの純子。
ある日、渋谷でAVのスカウトマンに声を掛けられます。
「自分でない誰かになれたら面白いって思わない?」。
その言葉に心を揺り動かされ、
純子はルルという名前のコスプレ女優としてAVデビューしてしまうんですね。
金髪のカツラを着けて変身すると、確かに自分じゃない誰かになれた気がする。
しかし、その代償は思っていた以上に大きかったのです…。

確かに多いですよね。AVに出ちゃうコ。
アイドルも自ら"AV待ち"のコが多いとか。なんだかなぁって感じ。
確かに可愛いコは多いけど、裸を売りにすると、それこそ旬は短くなっちゃうのにね。
その先に見据えるべき着地点を考えずに生きている証しのような気がします。
みひろの「nude」に比べると、やはりフィクションだなという部分は否めず。
純子役の安井紀恵が、実は先の挨拶に出て来た新人女優さん(笑)。
体当たりの演技に☆ひとつプレゼントで☆3つ。
「名前のない女たち」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.8.26
「NECK ネック」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

すみません、間違えてしまいました…。
先週公開とした「花と蛇3」は今週土曜日28日の公開で、
先週公開の1作品を紹介し忘れた形となりました。
そちらを今週紹介します。「花と蛇3」は前回コラムを参照下さい。よろしくお願いします!


「NECK ネック」は、相武紗季と溝端淳平主演のホラー・コメディー。

崇史と杉奈は幼なじみ。杉奈は怖い話が大好きで、逆に崇史は大の怖がり。
杉奈が崇史の家に泊まったある夜のこと。
いつものように杉奈が怖い話をしたら、崇史は布団を被って震えています。
すると、本当に不気味な手がベッドの下から伸びて来て、崇史の足をガッと掴んだのです。
悲鳴を上げながら両親の部屋に逃げて行くふたり。
すると、お父さんが、「怖い怖いと思うから怖いもんが出るんや」と。
月日は流れて、杉奈は大学院生に。
実はあるものを研究していたのです。
そのあるものとは、幽霊発生装置"ネックマシーン"だったのです…。

可愛くて天才的頭脳を持つと評判ながら、風変わりな研究員としても有名な杉奈。
杉奈の作ったネックマシーンとは、首だけ出して、体は箱の中に。
その状態で、メチャメチャ怖い環境に置けば、箱の中にオバケが生まれているはずだというもの。
偶然に再会を果たした崇史は、なんと相変わらずの怖がりを逆に活用して、
越前魔太郎という名前の人気ホラー作家になっていました。
杉奈に恋をするアメフト部の首藤、美人編集者の赤坂も巻き込み、杉奈の実験は進みます。
堅いことを言っちゃ楽しめないエンターテイメント作品。
主演のふたりのファンにはきっと面白いんだと思いますョ。
ボクは、ほら、理屈っぽいから。ねっ(笑)。☆2つ。
「NECK ネック」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.8.19
「カラフル」☆☆☆
「花と蛇3」☆☆
「ハナミズキ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

先週紹介して、満点の☆5つを付けた「瞳の奥の秘密」ですが、
日比谷シャンテの映画館では長い列ができていました。
案内のアナウンスに耳を傾けると、「○時の回は満席でございます」。
ガンガン宣伝している作品じゃないのに、自分がいいと思ったものが大ヒットしてると知ると、
なんだかうれしいものですねっ。
さ、今週は3本です!


「カラフル」は、森絵都原作の小説のアニメ化。

死んだ"ボク"が天上界と下界の狭間で、あの世に行くための手続きをしようと並んでいる時、
突然、プラプラという天使に声を掛けられます。
「おめでとうございます!あなたは抽選に当たりました!」。
聞けば、もう一度下界に戻って再挑戦するチャンスが与えられたと。
そして大きな過ちを犯した魂なので、自分の犯した罪を思い出さなくてはならないと。
そうして"ボク"は自殺して息を引き取ったばかりの中学3年生、
小林真の体に入り込んだのです…。

小林真を取り巻く環境はかなり複雑。
そんな中を生き、自ら命を絶った真のこれまでのようには生きようとしない"ボク"。
周りから「変わったね」と言われる真。
一風変わった舞台設定の中で、いろんな人の感情が飛び交います。
そして、新たな発見もあります。家族とは、友達とは?
死生観をテーマにしたスピリチュアルな映画が最近多いなぁと感じるのですが、
より生きることに重きを置いた作品。
たぶんきっと、何でもない日常を、「つまんない」と言って過ごしちゃってる時間の大切さを、
教えてくれてるんじゃないかなって、ボクは思います。☆3つ。
「カラフル」公式サイト


「花と蛇3」は、ストリップへの転身で話題となった、元グラビアアイドルの小向美奈子主演作。

新進の女性チェリストの静子は、親子ほども年の離れた財閥会長と結婚していました。
幼い頃から生活の面倒を見てもらっていた静子にとって、
この年の差婚も実は決して嫌なことではなかったのです。
ところが、欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れるという遠山グループの総裁、
遠山隆義に目をつけられた静子。
遠山の仕掛ける策略にはまり夫婦は破産。借金のカタとして、静子は遠山の妻となったのです。
人里離れた別荘に送り込まれた静子。その日から、ある"調教"が始まったのでした…。

人気SMシリーズの第3弾。
ま、この手の作品ですから、と決めつけちゃいけないけど、
ストーリーより"裸"と"縛り"ですよね(笑)。 ボクも趣味ではないとはいえ、
たまに六本木のSMクラブにショーを見に行くので(R店のR女王様のショーはすごいっ)、
SMの芸術性は認めますが、生で見てこそかなぁ。
ん、なんか違う評価になってきたぞ(笑)。
お好きな方はたまらないのかもしれませんが、
ごめんなさい、ボクにはもう少しストーリー性が欲しかったです。☆2つ。
「花と蛇3」公式サイト


「ハナミズキ」は、一青窈の大ヒット曲をテーマに描いた純愛映画。

北海道の進学校に通う平沢紗枝は、ひょんなことから地元の水産高校に通う木内康平と出会います。
お嬢様校に通う女子生徒と漁師のせがれ。
釣り合いの取れないふたりでしたが、互いの真直ぐさに恋に落ちたのでした。
東京の大学進学を目指し、見事に合格した紗枝を送り出す康平。遠距離恋愛の始まりでした。
都会の暮らしに慣れ始めた紗枝。海外で英語を活かした仕事がしたい。
そんな夢を持つ紗枝の前に、同じ夢を抱く先輩、北見が現れたのです…。

離れていても大丈夫と愛を誓い合ったふたりに、東京と北海道は遠かった。そして若かった。
紗枝は夢を叶えて海外に行く。康平は父の仕事を継いで漁師になる。
どんどん離れていくふたりが、もしもハッピーエンドになるとしたら、
どうして、どうやって結ばれるのか。そこが演出の妙でしょう。
いやいや、ハッピーエンドだと言ってる訳じゃないんですョ(笑)。その結末も含め、見てのお楽しみ。
主演は新垣結衣と生田斗真。
「プロセスが少々強引じゃない?」といぶかしがるボクに、
「あなたの言う恋愛論だと何のドラマも生まれないでしょ」とある方にバッサリ言われてしまいました。
そりゃそうだ。ドラマがなきゃ映画にならないですよね(笑)。☆3つ。
「ハナミズキ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.8.13
「瞳の奥の秘密」☆☆☆☆☆
「魔法使いの弟子」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

暑さボケしてる訳じゃないんでしょうけど、ディズニーの試写会場が
六本木から目黒に移ったのに、先日つい六本木に向かってしまいました。
慌てて日比谷線で恵比寿に出て、山手線で目黒まで。
駅から走って、ハァハァ言いながらギリギリ間に合いました(笑)。
魔法使いならヒュッと行けるだろうに…。弟子入りしたいものです(笑)。
さ、今週は2本です!


「瞳の奥の秘密」は、アカデミー賞・最優秀外国語映画賞受賞作品。

刑事裁判所を定年退職したベンハミンは、
25年前に担当していた凄惨な殺人事件を小説にしようと決意します。
その事件とは、新婚の若妻が自宅で何者かに暴行され、惨殺されたもの。
当時は政治も警察も腐敗しており、
やっとの思いで捕まえた犯人は何故か釈放されてしまったんですね。
ずっと心にモヤモヤしたものを抱えていたベンハミンは、
改めてこの事件を調査し始めるのでした…。

これ、すっごく面白かったですョ。
自国アルゼンチンのアカデミー賞では13部門で賞を獲得したというのも納得です。
ベンハミンの元上司で、今は2児の母で美人判事補のイレーネ。
新婚の妻を殺されたモラレス。
限り無くクロに近い男、ゴメス。
ベンハミンの片腕、パブロ。
主要な登場人物はこの4人にベンハミンを加えた5人なんですが、とにかく深い。
人物像や相関図が。
さらにどんでん返しというか、確かに想像しなかったような結末が待っているのでお楽しみに!
と言いたくなってしまいます。
粗筋もあえてほとんど書かなかったのは、ちょっとした表記がヒントになっちゃ
、これから見る人と作品に悪いなと思ったから。
お勧めです!"愛"を感じますョ。☆5つ!
「瞳の奥の秘密」公式サイト


「魔法使いの弟子」は、ニコラス・ケイジ主演のディズニー映画。

紀元740年、善なる魔法使いのマーリンが、
邪悪な魔法使いのモルガナに殺され、ここから魔法大戦争が勃発。
マーリンの弟子だったバルサザールは、マーリンの真の後継者を探す旅に出ます。
それは時間も国境も超えた気の遠くなるような作業。
しかし、西暦2000年のNYで、バルサザールはデイヴという少年と出会うんですね。
すると"選ばれし者"の証しであるドラゴンの指輪が、彼に反応したのでした。
1000年以上の歳月を掛けて、やっと見つけたマーリンの後継者。
ところが、デイヴはバルサザールの魔法を見てパニックになり、
その場を逃げ出してしまったのです。
それからさらに10年。物理オタクの大学生になっていたデイヴを、
悪の魔法使いの弟子のホルヴァートが襲います。それを救ったのはバルサザールでした。
バルサザールのアドバイスで自分も魔法を使うことができたデイヴ。
次第にその不思議なパワーにデイヴも興味を示し始めるのでした…。

時空を超えた善vs悪の対戦劇。サスペンス・ファンタジーですね。
結構大人も笑える演出になっていて、逆に子供には難しいぐらいかも。
ヒロインのベッキー(デイヴの初恋の人)がラジオのDJなんだけど、それもあってか、
音楽の使い方というか、セリフの乗せ方にキレがあるんですョ。
その場面はすっごく気持ちよかったです。
あ、マニアックな見方かな(笑)。
こちらも根幹にあるのは"愛"。いいなぁ"愛"(笑)。☆3つ。
「魔法使いの弟子」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.8.5
「シルビアのいる街で」☆☆☆☆
「セラフィーヌの庭」☆☆☆
「ヒックとドラゴン」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

ある映画の試写会で、途中で映像が止まってしまったんですね。
現われたのはブルーレイのスタート画面。
再度スタートボタンを押して、最初のシーンから早送り。いささかしらけ気味…(苦笑)。
止まったシーンを越えて、「行き過ぎ!」の声。
さらに少し戻して、「まだまだ」の声。
戻り過ぎてまた声(笑)。
会場からは失笑がこぼれてました。いやはや。
さ、今週は3本です!


「シルビアのいる街で」は、スペイン生まれの監督、ホセ・ルイス・ゲリン監督による作品。

若い男がカフェでお茶を飲んでいると、ガラス越しにひとりの女性を発見。
カフェを出た女性を追いかける男。
中世風の街で始まる追走劇。
彼女に「シルビア!」と声を掛けても反応はなく。
同じ市電に乗り込み、思い切って声を掛ける男。
「6年前に"飛行士"というバーであったシルビアだよね?」。
「私は1年前にこの街に来たばかり。人違いよ」。
落胆する男。翌朝また彼はカフェを訪れるのでした…。

あんまり粗筋はいらないなって、書いてて思いました(笑)。
ロケ地は、ドイツに近いフランスの国境の街、ストラスブール。
本当に美しい街並みで、中性的な言ってみれば"キレイな"若い男が6年前の女性を忘れられず、
シルビアと思しき女性を追いかける。その姿をずっと追ってるんですね。
ひとつの街の中でのロードムービー。
すべてのたたずまいがすごく綺麗なんです。陳腐な表現だけど、いかにもヨーロッパという感じ。
プレスを読んだら、人や自転車が画面を横切るなど、すべてのタイミングまで監督が演出をしたそう。
フィクションの中でドキュメンタリーを描く手法だとか。
ホントにキレイな映像でした。旅行に行けないあなたにお勧めかも。☆4つ。
「シルビアのいる街で」公式サイト


「セラフィーヌの庭」は、09年フランスのセザール賞で主要7部門受賞作。

1912年のフランス。
パリ郊外のサンリスで家政婦として働いていたセラフィーヌは、
人との交流を好まず、草木や花に話し掛け、
仕事が終わると部屋に籠って好きな絵を描く毎日でした。
貧しいセラフィーヌは絵の具を買うことができず、
植物などから自分だけの絵の具を作っていたのです。
ある日のこと、彼女の働く家に、ドイツ人画商のウーデが引っ越してきます。
たまたま置いてあったセラフィーヌの絵を見たウーデは衝撃を受けるんですね。
「どんどん絵を描きなさい」。
ウーデの支援で豊富な画材を手にでき、
好きな絵に没頭できる幸せな日々を過ごしていたセラフィーヌでしたが、
1914年、第一次世界大戦が勃発。
敵国の人間となったウーデは、フランスを離れなくてはならなかったのです…。

と、ここまででもまだ導入部。
出会った頃、悩むウーデに、「そんな時は植物や動物と話せばいい」とアドバイスしたセラフィーヌ。
そんな彼女の描く絵は、色彩の個性はもちろん、純真さと激しさを併せ持つ、
まさに彼女だけが放つ世界観だったのです。
戦争が終わって再びフランスに戻ったウーデは、セラフィーヌとの再会を果たすのですが、
そこからセラフィーヌに変化が起こります。
「そうか、そうなっちゃうか…」という変化なんですが、
ボクは昔、芸能プロダクションで働いていたので、
下積みの長かった芸能人にもたまにあること。ちょっと気持ちはわかっちゃうから辛かったかなぁ。
これ以上は止めておきましょ(笑)。見応え十分の作品でしたョ。☆3つ。
「セラフィーヌの庭」公式サイト


「ヒックとドラゴン」は、ドリームワークスのアニメーション作品。

遠い遠い昔、はるか彼方のバーク島では、
飛来するドラゴンと島を守ろうとするバイキングとの戦いが、長年に渡り繰り広げられていました。
気弱なヒックは族長の息子。でもいつかは一人前のバイキングになりたいと思っていたのです。
ある日のこと、ヒックは傷付いて飛べなくなったドラゴンと出会います。そっと近づくヒック。
たまにこっそりと好物の魚をあげたりしているうちに、ふたりの距離は徐々に縮まっていくんですね。
「人間もドラゴンも同じじゃないか。戦う必要がどこにあるんだろう」。
しかし、そんなふたりの関係がそう長く続くはずがなかったのです…。

天敵同士の友情物語。
奇をてらったところもなく、すんなりと見られる1本です。
裏を返せば、ちょっとアッサリかなって感じ?
そう思うのは、ボクが汚れた大人になっちゃったからかも(笑)。
ちっちゃな子は、苦手なお友達とも仲良くできるようになるかも?ねっ。
ちなみに3Dでの上映もあります。空飛ぶやつは3Dがお勧めです!☆3つ。
「ヒックとドラゴン」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.7.29
「劇場版NARUTO-ナルト-疾風伝 ザ・ロストタワー」☆☆☆
「老人と海」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

今年の夏は思い切って脚出してます。
って、女の子じゃあるまいし(笑)。半ズボンをよく履いてるってこと。
試写に行って、冷房がキツいと脚が冷たくなります。なんか女の子の大変さがわかったかも。
冷房の効き過ぎで体調を崩さないように気をつけて下さいねっ。
さ、今週は2本です!


「劇場版NARUTO-ナルト-疾風伝 ザ・ロストタワー」は人気アニメの劇場版。

抜け忍のムカデを捕らえよとの任務を受けたナルトたちは、楼蘭の廃墟にムカデを追い詰めます。
その時、ムカデは廃墟に眠っていた龍脈を解放。
そのパワーに飲み込まれて、ナルトは過去へとタイムスリップしてしまうんですね。
そこは繁栄を誇った楼蘭の町。
若き女王サーラが民衆を束ねていたのですが、そこに未来から来たムカデが大臣になりすまし、
この世界を支配しようとしていたのです。
果たしてナルトはムカデの悪の企みから楼蘭を守れるのでしょうか…。

その時代にも同様に忍びの者がいて、町を守ろうとしていたのがミナトという忍でした。
このミナトとナルトの関係が今回のストーリーのカギを握るよう。
今回は「劇場版NARUTO-ナルト-そよ風伝 ナルトと魔神と3つのお願いだってばよ!!」
という短編のオマケ付き。
ボクはこのシリーズ、初めて見たんだけど、ファンにはお得感いっぱいかな。☆3つ。
「劇場版NARUTO-ナルト-疾風伝 ザ・ロストタワー」公式サイト


「老人と海」は、与那国島に生きる82歳の漁師を追ったドキュメンタリー映画。

沖縄の与那国島で巨大カジキマグロを追う老漁師・糸数繁、82歳。
サバニと呼ばれる笹のような細い舟に乗り、重機も使わず、
釣ヒモ1本で、100キロは優に超えるカジキと格闘するのです。
撮影開始は88年。ところがとにかく釣れない。この時も1年は釣れなかったと。
そのカジキの餌にするカツオ漁に替えれば十分食べていけるだろうにそうはせず、
カジキの一本釣りにこだわるところに生き様が見えるんですね。
苦労の結果、171キロという巨大シロカワカジキを釣り上げた時、
島の人たちもみんな糸数さんの釣果を喜びます。
その陰には、糸数さんを支える奥さんの姿もあって。
幸せってこういうことなんだろうなとしみじみ。
都会の満足とは価値観の違う幸せに心洗われるはずです。
ちなみにヘミングウェイの「老人と海」の舞台、
キューバのハバナあたりと与那国島は緯度がほぼ同じだそうです。
ドラマティックでしょ。☆3つ。
「老人と海」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.7.19
「おのぼり物語」☆☆☆
「借りぐらしのアリエッティ」☆☆☆
「私の優しくない先輩」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

このコラムのコメントの難しさを最近ちょっぴり考えます。
みんな一生懸命良いものを作ろうとして制作している訳で。
それを試写の形で見させてもらって、でもネガティブな発言もしなくちゃならないと思うから。
ボクは必ず"感性のものに正解なし"という観点で文章も書いているつもりです。
でもやっぱりつまらないものはつまらないとつい言っちゃう。
その姿勢は間違いだと指摘する声もあって、一理あるなぁとも思ってます。
でも、そんなボクの言葉だからこそ、本当に好きなものは声高に「面白いっ」、
「感動したっ」って言って、それが伝わるんじゃないかと思うんですけど…。
それじゃダメなのかなぁ…。
ネガティブな発言をするくらいなら、取り上げない方がいいのでしょうか?
でも必ず「あくまでボクの感想だから、自分の目で確かめて」って言ってるのは、
ボクの作品へのリスペクトでもあるんですけどね…。ま、じっくり考えてみます。
さ、今週は3本です!

「おのぼり物語」は、カラスヤサトシの4コマ漫画の映画化。

29歳の売れない漫画家、カラスヤサトシこと片桐聰。
ある日、思い立ったように大阪を立ち、無計画なままに東京へと向かいます。
郊外に安いアパートを借りて、なんとか得た仕事も雑誌の休刊でパーに。
個性的な住人の住むアパートでも居心地のよかった「松風荘」。
ところがこのアパートも取り壊すと大家から通達が。
大阪に帰ろうかなと考え始めたある日のこと。
父にガンが見つかったと実家から電話が入ったのです…。

「わぁ、窓から東京タワーが見えるんだぁ」って、それ田無タワーですから(笑)。
物語には、高校の同級生の由美子も登場。
彼女もまたカメラマンのアシスタントとして苦戦中。
上京組の先輩として聰にあれこれ語るものの、昔からある虚言癖みたいで。
でも聰にはそんな見栄も可愛く感じるのが東京というモンスターシティーだったのです。
父が倒れる現実。
何もできない三十間近の自分に腹を立てる聰の姿に共感する人は多いはず。
でも、いるものなんですョ、応援してくれる誰かが。
この映画にも出てきます。なーんの根拠もないのに
「なんかキミ忙しくなりそうな気がするよ。ホラ、肉食え、肉!」って応援してくれる人が。
地方出身者だけじゃなく、つまづいたことのある人ならきっとわかる1本です。☆3つ。
「おのぼり物語」公式サイト


「借りぐらしのアリエッティ」は、話題のジブリ作品。

郊外にある古い屋敷。
そこに、病気療養のために12歳の少年、翔がやってきます。
翔は草木の陰に動く何かに気付くんですね。
それは床下に住む小人でした。
この屋敷の床下に住むのは父ポッドと母ホミリー、そして娘のアリエッティ。
「人間に見られてはいけない」。
それが小人たちの掟でした。
でも好奇心旺盛なアリエッティは翔に近付いていきます。
そして遂に姿を見られてしまうのです…。

"借りぐらし"というのは、小人たちが人間からものを"借り"て密かに暮らすこと。
でも人間に見つかったら次の住まいを捜さなくてはならないのです。
翔とアリエッティの、それぞれの周りを巻き込んでの葛藤が始まります。
直接的に、また間接的に、環境問題や種の存廃に問題提起をする内容。
そこにファンタジーが加わるのがジブリ作品ですよね。
どこか懐しく、温かい。
この映画も例外ではありません。
ただ、互いに接点を持ってはいけないもの同士が紡ぐストーリーですから、
この辺までが限界なのかなと思いつつ、どこか食い足りなさを感じてしまったのも正直な感想。
発想と絵の美しさに敬意を表して?☆3つ。
「借りぐらしのアリエッティ」公式サイト


「私の優しくない先輩」は、川島海荷とはんにゃの金田哲主演の青春コメディー。

舞台は九州の小さな島、火とかげ島。
西表耶麻子(いりおもてやまこ)は東京からやってきた16歳の女子高生。
心臓に疾患があって、思い切り楽しめない高校生活でしたが、
大好きな南先輩に会えると思えば、それだけで幸せな耶麻子でした。
ところが、そんな耶麻子には天敵がいたのです。
クラブの上級生、不破先輩です。
渡すつもりもなく書いた南先輩へのラブレターを、不覚にも不破先輩に見られてしまったからさぁ大変!
「思いっ切り青春しようぜ〜っ」。
ウザくて暑苦しい、不破先輩の超お節介が始まったのです…。

おそらく主役のふたりの魅力を最大限に引き出したいというキャラクター作り。
だってネーミングからしてそうだもの(笑)。
ファンが見たら、その一挙手一投足に喜ぶはず。
それ以外の人が楽しいかどうかは別かもしれません。
「クサい!ウザい!キモい!この夏、一番あつっくるしい(!?)、恋するキモチ、応援ムービー!」が
キャッチフレーズ。その通りかも(笑)。
ファンのみんなは楽しんできて下さい!☆2つ。
「私の優しくない先輩」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.7.7
「トルソ」☆☆
「ビューティフル アイランズ」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

6月は多忙につき、まったく試写に行けず終い。
本当に少なくて6本しか見られませんでした。
7月は頑張って行こうと張り切って、まとめて3本なんて日も。いやぁさすがにキツいですわ…(笑)。
それでも素敵な作品との出会いがあれば、ちっとも辛くはないんですけどね。
さ、今週は2本です!

「トルソ」は、男性型の人形を愛する女性の物語。

アパレル系の会社に勤めながら、化粧っ気もなく、
合コンに誘われても決して参加しない、地味なOLのヒロコ。
彼女には秘密がありました。
トルソと呼ばれる男性の体型をした人形を愛していたのです。
顔も腕も足もないトルソ。
人との面倒な付き合いより、体温のないトルソとの生活に、逆に"温もり"を感じていたのです。
そんなヒロコの一人暮らしに、変化が起きます。
父親の違う自由奔放な妹、ミナが転がり込んで来たのでした…。

「病んでいる」という言葉が当てはまるのかわからないけど、これも現代ならではのテーマかも。
アニメのキャラに恋をする2次元の恋の、3次元バージョンですから。
いい悪いは別にして、現実逃避を潔しとしないボクには男女の差こそあれ、
やっぱり納得や共感はできなかったかなぁ。
たぶん「わかるっ」って人にはすごく刺さるんでしょう。
昔、「空気人形」って映画がありましたよね。
あれは人形が命を持ったから、あれとはまた違った感じとだけ言っておきましょう。
そんな訳で、ごめんなさい。☆2つ。
「トルソ」公式サイト


「ビューティフル アイランズ」は、
地球温暖化で消えゆく運命にある3つの島を追ったドキュメンタリー。

南太平洋のツバルは、海抜約1.5mの小さな島国。
今世紀中には海中に沈むと言われています。
イタリアの海上都市ベネチアは、サン・マルコ広場などを有する世界遺産の街。
しかし高潮の影響で、度重なる浸水に見舞われている現状。
アラスカ最西端のシシマレフ島は、
先住民族が約2000年前から狩猟をしながら暮らしてきた土地。
ところが島の永久凍土が溶けて、島民の多くが住み家を失っています。
環境破壊が、地球の温暖化が、こんなに純粋な人々の暮らしを、美しい自然を、
ことごとく壊していくんだというのを目の当たりにする1本です。
「神様がそんなひどいことをするはずがない。
この島が海の底に沈むなんて、そんな訳がない」。
そう信じている島民の純真な瞳や、
先祖古来の土地を捨てざるを得ない人々の無念の表情が胸をうちます。
ナレーションもBGMも無しという手法は、
「ありのままを感じてもらうため」と、海南友子監督。
このままじゃダメだと、否応なしに感じさせられるはずです。☆4つ。
「ビューティフル アイランズ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.7.1
「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

早くも10月公開の映画の試写に行ってきました。
秋作品ですョ。早いですねぇ(笑)。
確かに今年も半分が終わりましたから。あっという間に1年が過ぎるんだなと。
日々、大切に過ごさないとと改めて感じます。だからこそ映画で感性を刺激しましょ。
さ、今週は1本です!


「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」は、
ゴールデングローブ賞作品賞に輝いたコメディー映画。

ダグは2日後に結婚式を控えた新郎。
アメリカ人男性には"結婚前夜祭"なるものがあって、
男友達と一緒にハチャメチャな夜を過ごすのが慣例なんですね。
ダグも花嫁の父から高級ベンツを借り、2人の友人フィルとステュ、
花嫁の弟アランの男4人でラスベガスへと向かったのです。
「人生最高の夜にしよう」。
そして夜は更け、朝を迎えました。
部屋の中はぐっちゃぐちゃ。なぜか赤ん坊と本物の虎がいる。
そして新郎ダグの姿が消えていたのです…。

しかし、酔っ払い過ぎでしょ(笑)。ま、その理由も後でわかるんですけどね。
どこを探してもダグがいない。
失くしてしまった記憶を辿って行くと、いろんな出来事が明らかに。
フィルが入院?
パトカーを盗んだ?
ステュがストリッパーと結婚?
そして赤ん坊の正体と、どうして虎がいたのかも明らかになっていきます。
ところが、ダグの消息だけがわからない。
果たして花嫁の元に新郎は戻れるのかといったお話。
アッと驚くゲスト?も登場して、最後もなるほどの着地点に。
酒で失敗しそうなあなたは、見ておくといいかもしれませんョ。☆3つ。
「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.6.23
「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」☆☆☆☆☆
「サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム」☆☆
「ボローニャの夕暮れ」☆☆☆
「モダン・ライフ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


「トイ・ストーリー3」の試写会がすべて満席で…。見たかったなぁ。
公開になったら劇場で見ようっと。
さ、今週は4本です!


「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」は、タンゴ版「ブエナビスタ・ソシアルクラブ」。

1860年頃、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで生まれ、
激動の歴史と共に人々に愛された音楽、それがタンゴ。
1940〜50年代に活躍したタンゴの大スターたちが、
アルバム『CAFE DE LOS MAESTROS』を録音するためにスタジオに集まりました。
ひとりひとりが人生を振り返り、そして語るタンゴへの思い。
何より衰えることのない技術と情熱に見る側は驚かされます。
そして、世界三大劇場のひとつと謳われるブエノスアイレスのコロン劇場で、
このマエストロたちが一堂に会し、一夜限りのライブを行ったのです。
"やさぐれものの音楽"と言われたタンゴだからこその人間臭いドラマがある。
ボクもタンゴにはまったく詳しくないのですが、いやいやメチャメチャ感動しました!
あの劇場の観客と共に大きな拍手を送りたかったです。☆5つ。
「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」公式サイト


「サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム」は、
ヒップホップを題材にした青春コメディー。

伝説のDJ"たけだ先輩"の足跡を追って埼玉から群馬にやってきたふたりのラッパー。
道に迷った彼らが道を尋ねたのは、バイクに乗って、
こんにゃくを配達している女の子、アユムでした。
実はアユム、高校時代に見た、たけだ先輩のライブに影響を受け、
女の子だけのラップグループ"Bーhack"を作ったのですが、今は卒業してみんなバラバラ。
ところが突如現われた謎の2人組にスイッチを入れられたのか、ヒップホップ熱が急上昇。
あの頃のメンバーに招集をかけて、Bーhackの再結成を試みるのですが…。

アユム自身もそうですが、夢も希望もない中で生きているのは他のメンバーも一緒。
傾きかけた旅館の娘だったり、ソープ嬢だったり。
だからこそもう一度頑張ろうとハッパをかけるのですが、なかなかうまくはいきません。
果たして彼女たちの音楽に未来はあるのでしょうかというお話。
敢えてなんでしょうけど、女の子たちのファッションが全然ストリート系じゃないのと、
ラップったってレベル的にどうなのよってところでもう引いちゃうんですよね(苦笑)。
これじゃお父さんの言う通り、
「もういい年なんだからそろそろちゃんと現実を見なさい」って言いたくなっちゃう(笑)。
映画だと割り切れない性格のボクには、その先が見えないと一緒に夢も見れません。☆2つ。
「サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム」公式サイト


「ボローニャの夕暮れ」は、イタリア映画。

舞台は1930年代のイタリア。
ミケーレは市内の高校の美術教師。17歳の娘、ジョヴァンナも同じ学校に通っていました。
容姿に自信がなく、地味なジョヴァンナでしたが、学校の人気者のダマストリが好き。
娘の気持ちを知ったミケーレは、
ダマストリの成績を上げる代わりに娘と仲良くするよう言うんですね。
そうとは知らずにはしゃぐジョヴァンナ。
しかしある日、事件は起きます。
ジョヴァンナの親友のマルチェッラが行方不明になり、
学校の体育倉庫で血だらけの遺体となって発見されたのです。
犯人はジョヴァンナなのか。ミケーレは胸騒ぎを覚えたのです…。

と書いたものの、これは殺人事件もののサスペンス映画ではありません。
当時のイタリアの一家族の物語。不器用に支え合う家族の愛のお話です。
娘を溺愛する父、夫の親友に恋心を抱いている妻、心の弱さを克服できない娘。
ムッソリーニ政権下のイタリアという時代背景が、おそらく自国の人には響くのでしょう。
そのあたりはやっぱりボクらには測りかねるかな。
ただ善し悪しは別にして、本当に自分のすべてを滅して娘を愛する父親の姿に胸が痛くなります。
そんな父の無償の愛に☆3つ。
「ボローニャの夕暮れ」公式サイト


「モダン・ライフ」は、フランスの山奥に暮らす人々の生活を描いたドキュメンタリー。

タイトルからは洗練された都会の生活をイメージするかと思いますが、
描かれているのは南フランスのセヴェンヌ村に住む6組の農民たち。
逆説的なタイトルに隠されたのは、真に豊かな生活とはどういうものなのか、
それを考えてごらんということでしょうか?
もうボクは都会の雑踏の中にいないと無理。
でもたまに男友達から「今日ヒマなんだけど、夕方まで付き合ってよ」と言われると
何をしていいのかまったくわからなくなります。
夜なら飲んで食べてができるけど、昼は本当に何もやることがない。それが東京だったりします。
与えられた娯楽を享受するのと、自分で楽しみを作り出すのと。
どちらが幸せかは人それぞれでしょうけど。
ボクには正直たいくつだったけど、人の人生を高い低いと評価はできませんから(笑)。☆3つ。
「モダン・ライフ」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.6.16
「瞬(またたき)」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今から試写を1本。
この文章も試写が始まる前の時間に書いているのですが、
試写室に来る前の信号待ちの交差点で、タクシーと原チャリが接触事故。
ガシャン!という大きな音と共に原付がぐるり一回転。
一瞬ドキッとしましたが、運転手はすぐに立ち上がり、ミラーなど一部の破損だけで済んだよう。
そういえばこれから紹介するのはそんな作品だなと思ったら、奇妙な巡り合わせにちょっぴりゾゾッと。
ひと足早い怪談話?という訳でもないんですけどね(笑)。
さ、今週は1本です!


「瞬(またたき)」は、北川景子主演作。

泉美と淳一は恋人同士。幸せな毎日を送っていたのですが、
思わぬ不幸がふたりを襲います。それはバイクの事故。
トラックと衝突し、バイクは大破。病院で目覚めた時、泉美の横に淳一はいなかったのです。
事故の後遺症で記憶の一部を失った泉美でしたが、同じメンタルクリニックに通う女性弁護士、
真希子の協力で、事故当時の記憶が少しずつ戻ってくるんですね。
時には思い出したくないことまで思い出さなくてはならない泉美でしたが、
淳一のことを忘れないためにも、すべてを知っておく必要があると、
泉美は強い気持ちで、蘇る辛い記憶と向き合うのでした…。

この映画、全編通してとにかく暗い。
テーマがテーマだから、仕方がないといえば仕方ないのですが。
何度もフラッシュバックする事故の瞬間。
でも泉美にとって大切なのはそのあとの"失った数分間"なんですね。
もちろん最後は思い出すのですが、プレスには「彼が最後の一瞬に込めた愛の奇跡」とありました。
それに感動するか否かというよりも、そこまでが…。
感動のラストを見ても晴れ間が見えない。ボクはそう感じましたが、あなたはどうでしょう?☆2つ。
「瞬(またたき)」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.6.14
「アイアンマン2」☆☆☆☆
「クレイジー・ハート」☆☆☆
「ソウルパワー」☆☆☆
「チョルラの詩」☆☆☆
「Flowers」☆☆
「ラスト・ソング」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今週紹介する映画「アイアンマン2」の前売り券に付いている
"アイアンマン・キューピー"が可愛いんですョ。
顔のマスクが上下に開放して、キューピーちゃんが顔を出すというやつ。
ほ、欲しい〜っ(笑)。
さ、今週は6本です!


「アイアンマン2」は、08年に公開された大ヒットヒーローものの第2弾。

スターク社の最高経営者であるトニー・スタークは、
自社兵器がテロリストらに悪用されている事実を知り、
兵器開発を止める代わりにアイアンマン・スーツを作り、自らが悪と戦うことに。
そして自身がアイアンマンであると世界中に明かしたのです。
その戦闘行為を政府から非難され、パワードスーツを提出するよう命令されるのですが、これを拒否。
逆に拍手喝采を浴びたのでした。
同じ時、トニーが英雄視されることを、遠い異国で苦々しく見ている男がいました。
彼の名はウィッブラッシュ。
彼の父親はトニーの父と同じ研究仲間。
にもかかわらず、自分たちは貧しい生活を余儀なくされていたのです。
積もりに積もった憎悪は父の死とともに爆発。父から受け継いだ天才的頭脳で
何でも真っ二つにする武器を作ってトニーの前に現われたウィッブラッシュ。
トニーは九死に一生を得ますが、
ライバルの武器商人、ジャスティン・ハマーがこの事件を見逃すはずがなく、
ウィッブラッシュに共にトニーをこらしめようと申し出たのでした…。

面白かったですョ。
パワードスーツのエネルギー源であるリアクターがトニーの身体を蝕んでいくなど、
ヒーローにはヒーローなりの悩みもある。
パワードスーツを着て、顔だけ出してため息をついてる人間臭さがいい(笑)。
"英雄、色を好む"を地で行くスケベなオッサンって感じだしね(笑)。
理屈抜きで楽しめる新しいヒーロー像だと思います。☆4つ。
「アイアンマン2」公式サイト


「クレイジー・ハート」は、アカデミー賞主演男優賞と主題歌賞を獲得した作品。

一世を風靡した伝説のシンガーソングライター、バッド・ブレイク。
しかし今では昼間から酒をあおり、ドサ回りで食い繋ぐまでに落ちぶれていたのです。
ある地方のバーを訪れた時のこと、
バンドのピアニストの姪が新米の新聞記者でバッドの取材をさせて欲しいと。
バッドの元を訪れたのはジーンというシングルマザーの女性記者でした。
父娘ほどの年齢差がありながらも、
話をしているうちに、男女の関係になってしまったふたり。
バッドの人生に一筋の光が見えたかのように思えたのですが…。

ジーンの心には離婚の時のトラウマがあって、今はひとり息子のバディのために生きている。
一方のバッドも長い人生の中で、直視するのを避けてきたたくさんのことがあったのです。
どちらも心に傷を持つ者同士。
年齢の差を埋めるぐらいの何か求め合うものがあるかと思ったのですが、これがなかなか難しい。
でも自分の恋愛に置き換えれば納得かな(笑)。
確かに変わるきっかけにはなったかもしれないけど、そもそも始めちゃいけない恋愛だったのかも。
"ひとりの男の再生の物語"。
とはいえ、この結末をハッピーエンドと感じるかどうか、
ボクはかなり見方が別れるんじゃないかと思いますョ。☆3つ。
「クレイジー・ハート」公式サイト


「ソウルパワー」は、1974年に行われた伝説のライブ"ザイール´74"のドキュメンタリーフィルム。

1974年、"キンシャサの奇跡"として知られるのが、
モハメド・アリvsジョージ・フォアマンのボクシングヘビー級タイトルマッチ。
舞台となったザイールのキンシャサで、
その大会に先駆けて行われたのがこのライブ"ザイール´74"でした。
ジェームズ・ブラウン、B.B.キング、スピナーズ、シスター・スレッジ、
ビル・ウィザースなどなど、ソウルファンにはたまらないラインナップが登場。
企画から舞台の設営、当日のステージはもちろん、楽屋裏まで、
かなり興味深く見られるドキュメンタリーです。
あの熱さって何だろう?
36年前ですからね、ハイテク技術に頼らない人間が本来持つ"パワー"で生み出した熱な訳ですよ。
恐るべしソウルパワー(笑)。下手な栄養剤よりスタミナをもらえるかも!?☆3つ。
「ソウルパワー」公式サイト


「チョルラの詩」は、日韓合作映画。

1987年、ソウルオリンピックに向けて韓国がインフラ整備を進め、発展を遂げている頃。
在日韓国人で、学校で日本語の臨時教師をしている幸久は、
祖父の葬儀のために故郷のチョルラに帰ります。
従兄弟のカンスと久々の再会を喜ぶ幸久。
そこにカンスの幼ななじみのソンエも戻ってきます。
カンスは幸久から詩を習い、ソンエに自作の詩をプレゼントしようとするんですね。
初めはふたりの恋を見守っていた幸久でしたが、
次第に幸久もソンエに魅かれていってしまったのです…。

ま、よくある設定の三角関係(笑)。
時代がまだ発展途上の韓国とあって、
こちらも人のピュアな気持ちをベースに恋物語が描かれているところが逆に新鮮かも?
ただし、目新しさが無い分、どうしても"優等生的"印象は拭えないかもしれませんね。
あの時代を生きた、在日を含む韓国の人にはリアリティを持って響くのかな。☆3つ。
「チョルラの詩」公式サイト


「Flowers」は、資生堂シャンプー"TSUBAKI"のコマーシャルから発展した映画。

親の決めた、会ったこともない許婚と結婚しなくてはならなかった凜。
そして授かった長女の薫、次女の翠、三女のさと。
さとの長女の奏、次女の佳。
1930年代から現代までを生きる、6人の女性の生き様を描いた作品。
強さにもいろいろあるけど、強い女性を描いた女性のための映画ですから、
ボクにはちょっとピンと来なかったというか…。
これだけのキャストですから、「シーサイド・モーテル」の時にも言ったように、
中身を過剰に期待してしまうのですョ。
同性のためながら、異性にも受け入れられるって、
メガヒッツになるには大切じゃないかなと感じましたが、
いかがかな?辛口ですが、☆2つ。
「Flowers」公式サイト


「ラスト・ソング」は、マイリー・サイラス主演作。

姉のロニーと弟のジョナは海辺の町に住む父親の元で夏休みを過ごすことに。
実はふたりの両親は離婚していたのです。
ロニーにはピアノの才能があり、ジュリアード音楽院から入学を許可されていたのですが、
親の離婚に反抗して入学せず、万引きをするなど問題を起こしてばかり。
ロニーが浜辺を歩いていると、ビーチバレーをしていたウィルと出会います。
このウィルという青年は水族館のボランティアもしており、
アライグマに食べられそうなウミガメの卵を守ろうと見張りをするロニーの隣りで
一緒に夜を徹してくれたのです。
実は優しい心を持つロニー。彼女の心を開いたのはウィルのキスでした。
父親ともやっと気持ちが通い始めた時、その父に末期ガンが判明するのでした…。

登場人物のほとんどに秘密があるストーリー設定。
それはそれで深みを出していていいのかもしれませんが、
あれだけグレていたロニーがキス一発で軟化したのはちょっとビックリ(笑)。
苦肉の策だったのかもしれませんね。
大切な人との別離は辛いもの。
そのシーンはさすがにグッときちゃいました。
ロニーは素直になれただけ後悔しないでよかったかな。
盛りだくさんの内容をうまくまとめた1本だと思います。☆3つ。
「ラスト・ソング」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.6.4
「告白」☆☆☆☆☆
「シーサイド・モーテル」☆☆
「マイ・ブラザー」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


いつも言いますが、☆の数はあくまで個人的な評価です。
逆に☆が少ないなら、本当にそうかどうかを観に行って欲しいと思うんですね。
“感性のものに正解はなし”。
「何言ってんだよ、メチャメチャ面白かったじゃん」なんてことも当然あると思いますョ。
ご自身の目で確かめて下さいねっ。
さ、今週は3本です!


「告白」は、湊かなえ原作、松たか子主演の話題作。

ある中学校の終業式。
1年B組の担任、森口先生がホームルームで話をしても、
騒いでいてまったく耳を貸さない生徒たち。
そんな生徒が静まり返るような話を、森口先生は始めたのです。
それは先生の一人娘が学校のプールで死亡した事件についてでした。
警察は事故だと言うけれど、娘はこのクラスのAとBというふたりの生徒に殺されたと。
AとBは簡単に特定できました。ざわめく教室内。
そのふたりは少年法で守られるだろうけど、このまま終わりにはできない。
私は私なりのやり方で、想像を絶するような方法で復讐するからと宣言したのです…。

よくできてましたョ。
原作を読んだ人は一様に、「小説はすごく面白かった」と。
それだけに映画化に対する不安があるようですが、杞憂に終わると思います。
教師を辞職した森口先生。
こんな緻密な方法じゃないだろうけど、もし大切な人を奪われたら、
ボクも徹底的に復讐すると思います。気持ちはメチャメチャわかります。
っていうか、誰もが「やれ、やれ、やっちまえっ」って思うくらいに生徒が、親がバカ。
フィクションであって欲しいと願うけど、“モンスター・ピアレンツ”の話を聞くと、
意外や現実もそんな感じなんじゃないかなと。
嫌な世の中になりました。☆5つ。
「告白」公式サイト


「シーサイド・モーテル」は、個性派の役者が多数集まった賑やかなサスペンス・コメディー。

海もないのに“シーサイド”と名付けられた山奥のモーテル。
4つの部屋に11人の男女が集い、様々な人生模様が繰り広げられます。
インチキ美容液の若きセールスマンとホテトル嬢。
借金まみれのバカップルとコワもての借金取り。
ED社長と欲求不満な社長夫人。
お気に入りのキャバ嬢をようやく旅行に誘えたキャバクラの常連客。
静かに、そして騒がしく、その日が過ぎていくのでした…。

出演陣が豪華なだけに、ちょっと期待し過ぎちゃったかも。
確かにストーリーも捻ってあったけど、さらにもうふた捻りぐらい欲しかったかな。
それができる顔ぶれだっただけに、個人的には残念でした。☆2つ。
「シーサイド・モーテル」公式サイト


「マイ・ブラザー」は、戦争の悲劇を描いた家族ドラマ。

兄のサムと弟のトミー。兄弟の人生は対照的。
学生フットボールのスター選手で今は軍の大尉であるサムに対し、
職にもつかず銀行強盗で刑務所に服役していたトミー。
そんなトミーが出所してきます。
一方、サムには妻とふたりの娘がいました。
大事な家族を残して戦地に赴くサム。
そこに訃報が届きます。サムが戦死したというのです。
悲しみに暮れる家族たち。
トミーのぎこちない優しさに、少しずつ心くを癒す妻のグレース。
しかし、サムの戦死は誤報で実は生きていたのです。
一転、生還の報に喜ぶ家族たち。
ところが、帰ってきたサムはまるで別人のようになっていたのです…。

サムとトミーのこれまでの人生、ふたりの絆、サムの戦場での辛い捕虜生活、
夫が戦死したはずの妻の気持ち…。
とにかく様々な要素がこの物語を紡いでいきます。
簡単に善悪で語れない深いものがある。仕方ないさと割り切らなくてはならないかもしれない。
でも、それを人間の行為だとすれば、戦争だって同様に人間の行為なのです。
戦争だけは絶対にNOと言える。
これはケンカに例えればわかること。
ボクらが子供の頃は加減がわかってたからか、これ以上やったら大怪我になる、
その前に止めていたものです。
でも今は簡単に殴り殺しちゃうでしょ。命の大切さの前に、加減がわからないのです。
今の武器はまさにその“加減がわからない”。
武器に限らず、現代の戦争自体が、
人の心に取り返しのつかない傷をザックリと残していくんだってことに何故気付かないのか。
その方がわかりません。☆3つ。
「マイ・ブラザー」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.5.28
「あの夏の子供たち」☆☆☆
「座頭市 THE LAST」☆☆☆☆
「ラムネ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


行こうかどうしようか迷って見た試写が面白いと、見てよかったと思う反面、
やっぱり全部見なきゃと半ば脅迫観念にも似た感覚に駆られます(笑)。
でも人生すべてを得ようなんて無理。何かを犠牲にしなきゃいけないのは世の道理ですからね。
さ、今週は3本です!


「あの夏の子供たち」は、フランス映画。

グレゴワールは超多忙な映画プロデューサー。
毎週末、妻と3人の娘と過ごすパリ郊外の別荘にも仕事を持ち込む始末。
妻のシルヴィアはかなりおかんむり。
実はグレゴワールの会社は資金繰りが大変で、ギリギリの経営を続けていたんですね。
家族との約束でやって来たイタリア旅行も仕事ばかりで携帯を離さないグレゴワール。
遂に怒り爆発のシルヴィア。
ところがパリに帰国後、グレゴワールは自ら命を断ってしまったのです…。

尊敬していたプロデューサーの自殺という実体験から
この作品を撮ったというミア・ハンセン=ラブ監督。
妻は夫を理解できなかった自分を責め、娘たちはそれぞれに、父の死を理解しようとし、
父の温もりを求め、また死の意味すらわからなかったりする。
家族それぞれが、それぞれの立場で、この悲劇に向き合います。
そんな中で繰り広げられる再生の物語。
ストレートにズドンと来る感動は正直ありませんが、
大切な存在を失いながら前向きに頑張る姿に打たれる人も少なくないはず。
グレゴワールの仕事人としてのありようや、自身の身の振り方など、
ボクら勤勉過ぎる日本人は、
反面教師として学ばなくてはならない面があるかもしれません。☆3つ。
「あの夏の子供たち」公式サイト


「座頭市 THE LAST」は、香取慎吾の“座頭市”。

妻のタネと質素ながら幸せな日々を過ごしていた市。
これが最後とタネに誓い、闘いの場に向かいます。
すべてが終わったと胸を撫で下ろしたその時、タネが追っ手の刃に倒れたのです。
悲しみにくれる市。
「もう二度と刀は抜くまい」。
そう誓って、静かに余生をすごそうと故郷に帰る市。
しかしその故郷でさえ、安住の地とはなりませんでした。
村は極悪非道の天道一家に支配されていたんですね。 命を賭して立ち上がる村人たち。
市も誓いを破り、大切な仲間を守ろうと、仕込み杖を抜くのでした…。

勝新太郎、北野たけしらが演じて、これまでに28本の映画が作られてきた“座頭市シリーズ”。
香取慎吾も良かったけれど、脇を固める役者がいいから更に主役が引き立ちます。
特に仲代達矢扮する天道が危険極まりないこと(笑)。さすがと唸ってしまいます。
義理と人情。自我と滅私。暴力と慈愛。
数奇な運命に翻弄される市のドラマが、
こんなにも日本人に愛されてきたのがわかる気がする1本です。☆4つ。
「座頭市 THE LAST」公式サイト


「ラムネ」は、篠原哲雄監督作品。

高校卒業を間近に控えながら、まだ進路の決まらない陽介。
ふとしたきっかけで美大へ進学したいと言い出します。
しかしそんなに甘くないと美術教師に一蹴されてしまうんですね。
それでも美大に進みたいならと美術教師の出した課題が、女子の人物画。
陽介はモデル探しに四苦八苦。
そんな時、ルミという女の子が現われます。
聞けばこの学校の夜間部に通っていて、陽介と同じ教室の同じ机を使っていると。
彼女をモデルに絵を描き始める陽介。
同じ時間を過ごしているうちに、どんどんルミに魅かれていきます。
ところが絵が完成した朝に、ルミは忽然と姿を消してしまったのです…。

篠原哲雄監督といえば、初の劇場長編作品が96年の山崎まさよし主演作「月とキャベツ」。
そのテイストを別のモチーフで復活させたような1本です。
「迷った時は原点に戻れ」。
いやいや、篠原監督の言葉じゃありません。「迷ってる」なんて言ったら怒られちゃう(笑)。
でも長いキャリアの中で、原点回帰は必要です。
次回作も大作が待っているそう。そちらも期待しましょう!☆3つ。
「ラムネ」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.5.21
「春との旅」☆☆☆
「パーマネント野ばら」☆☆☆
「ボックス!」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


5月15日に公開になった「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」。
ボクは☆を5つ付けるほど泣かされましたが、TVのPR番組で、
その“泣きの場面”まですべて見せちゃってて…。
やり過ぎじゃないのかなぁと正直ガッカリ。
でも、とある別局のプロデューサー氏と飲んで話を聞いたら、
「例えば超人気ドラマの映画化なら見出しだけで客は来る。
 でもあのテーマで、あの予算なら、こんなに泣けるんですよって
 目一杯アピールしないと興行として成り立たない。それが現実なんです」と。
う〜ん。わかるけど、わかりたくないような…(苦笑)。
あなたはどう考えますか?
さ、今週は3本です!


「春との旅」は、仲代達矢主演作品。

北海道に住み、ニシン漁に夢を追った頑固な老漁師、忠男。
その忠男が不自由な足で、家を飛び出します。
後を追う、孫娘の春。
何かを謝りながら春が「戻ろうよっ」と諭すも、頑として聞き入れない忠男。
実はこんな出来事があったのです。
5年前に春の母親が自殺。以来、ふたりで慎ましやかに暮らしてきたのですが、
春が給食係として勤めていた小学校が廃校となり、春は職を求めてこの際東京に行きたいと。
しかし忠男にとって、春のその行動は「自分を見捨てる」こと。
意地もあってか、後戻りをしない忠男と春の旅。
それは疎遠になっていた親類を訪ねる“居候探しの旅”だったのです…。

この忠男じいさんがかなりの偏屈で。春ちゃん、大変だ…。
突然やって来て、「どこでもいいから住ませてくれ」ったって、そりゃ確実に断られますよねぇ。
でもね、直接は描かれてなくても、登場人物のひとりひとりに間違いなく深い深い人生ドラマがあって。
温く差し出す手にだけじゃなく、冷たく突き放すその向こうにある思い。
この映画の感じ方は、
観た後にそんなひとりひとりの“向こう側”を考えてみることじゃないでしょうか。
高齢化社会が抱える、フィクションでありながらノンフィクションのような気がします。
人間が老いて感じる幸せとは何か。
若い人に見て欲しいとは敢えて言わなくていい、
シルバー世代のための1本じゃないかと思います。☆3つ。
「春との旅」公式サイト


「パーマネント野ばら」は、西原理恵子原作、管野美穂主演作。

海辺の小さな町にある、ただ一軒の美容室“パーマネント野ばら”。
離婚をして一人娘と実家に帰って来たなおこと、
母まさ子が切り盛りするこの美容室は町の女性たちの溜まり場でもありました。
愛人宅に入り浸りの父。
フィリピンパブを経営し、浮気者のダメ夫に金を貢ぐ友達のみっちゃん。
男運のメチャメチャ悪いもうひとりの友達、ともちゃん。
なおこの周りもみんな幸せと不幸せを行ったり来たり。
そんな中、なおこの心を支えてくれていたのは、
高校教師をしている大好きなカシマの存在でした。しかし…。

あらすじはここまで。
淡々と流れるストーリーの中に、ふと感じる違和感。
実はその違和感こそがこの映画のキモでもあります。
ボクが好きだった「女の子ものがたり」の別視線バージョンみたいな感じかな。
こんな選択もあるのかと腕を組んで考えてしまうけど、でも相田みつをの言葉にもあるように、
「幸せは自分のこころが決める」のですョ。ねっ。☆3つ。
「パーマネント野ばら」公式サイト


「ボックス!」は、市原隼人主演のボクシング映画。

東京から大阪に転校してきたばかりのユウキと英語教師の耀子が、
下校途中の電車の中でヤンキーに絡まれます。
それを助けたのが、同じ高校に通う、天才ボクサーのカブでした。
ホームに降りてビックリ。実はふたりは幼なじみだったんですね。
小さい時からユウキを守ってきたカブ。
カブはユウキをボクシング部に誘います。
先輩にさえ悪態をつくやんちゃなカブと、コツコツ真面目に練習を積み重ねるユウキ。
カブのライバルは“超高校級ボクサー”の稲村和明。
しかし実はライバルは身内にあり。ユウキがメキメキと力を付けていたのでした…。

こちらも他にたくさんの登場人物がいて、ストーリーを盛りたてます。
わけあり?ボクシング部顧問の沢木。体の弱いマネージャーの丸野。
先の耀子先生もボクシング部の顧問になります。
磨かれる前の才能が味わう栄光と挫折。王道の青春映画です。
カブのやんちゃぶりの向こうに、ピュアな優しさが見えるから応援したくなる。
王道は王道として楽しめる1本です。☆3つ。
「ボックス!」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.5.11

「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」☆☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


社内試写は基本的に飲食禁止なんです。
でもカバンの中の水やお茶まではあれこれ言えない。
だから途中でペットボトルを出してグビグビ飲む人がいるけど、
あれって光に反射して、メチャメチャ気が散るんですよねぇ。
自分がやられて嫌なことをボクはやらないようにしてるけど、
そういう人は他人がやっても全然気にならないってことなのかなぁ。わからん…。
さ、今週は1本です!


「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」は、実話を基にした青春ストーリー。

愛媛県にある四国中央高校。
書道部の部長を務める里子は厳格な書家の父を持ち、
書にストイックなあまり、部の空気はどうもギクシャク。
そこへ臨時教員の池澤先生が赴任し、書道部の顧問になるんですね。
その池澤先生が校庭に大きな紙を広げて、部員募集のパフォーマンスをしたところ、
感銘を受けた部員の清美が、部室で音楽を流しながら、
貼り合わせた巨大な半紙に踊りながら書を書いているではありませんか。
それを見た里子は怒り心頭。
「もっと真面目にやりなさいよっ」。 しかし清美の行動には理由があったのです。
実家の文具店が不況で閉店を余儀なくされ、その閉店セールにお客さんを呼びたいと、
書道パフォーマンスを考えていたのです。
副部長で親友の香奈が里子を説得し、部を挙げて清美のパフォーマンスに協力しようとします。
「ごめんね。言い過ぎた…」。
里子は清美に謝ります。
ところが、チームワークのないメンバーでうまくいくはずもなく。
清美の計画は失敗に終わってしまうのです。
商店街は“シャッター通り”と化して、次々と店が閉まっていく。
“日本一の紙の町”として栄えていた故郷がどんどんさびれていく。
そんな中、部員ひとりひとりの書に対する思いを知った里子は自分の考えを改めます。
そこで里子は書道パフォーマンスの大会、“書道パフォーマンス甲子園”を考案したのです…。

もう泣きっぱなしでした。ボクの涙腺のツボ(笑)。
久々にあんなに泣いたなぁ。
人のために頑張るってすごく素敵でしょ。
それが巡り巡って自分に返ってくる。それが人生だって思ってるから。
昔、田中麗奈主演の「がんばっていきまっしょい」という映画があったの覚えてます?
女子ボート部を立ち上げる女子高生の青春物語。
ボクの大好きな1本ですが、あれも舞台は愛媛県(松山)なんですよね。
愛媛県って青春モノにもってこいなのかなぁ(笑)。
里子の性格の悪さはギリギリかな。
あんまりひど過ぎると、改心しようがどうしようが
「ふん、何を今さら…」って感じになっちゃう。
メリハリをつけようととんでもないキャラ設定をする
ハリウッドの悪しき風潮に危うく乗っかるところでした。
それだけかな。嫌だったのは。
でもそんなことを打ち消すぐらい部員みんなが純粋で、みんな自分のためじゃなく、
人のためを思って生きているんです。そこが感動!
成海璃子ちゃん始め、出演者みんなが実際に書を書いてます。大変だよ。
ボクも書道(習字じゃなく書道)の経験あるけど、すぐうまくなるものじゃないから。
よく頑張りました。
ホントよかったです。世間のアカにまみれて、ピュアな心を失いかけているアナタ!
是非ご覧あれっ。☆5つ!
「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.5.9

「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


GWはいかがお過ごしでしたか?
ボクは1日貴重な休みが取れたので、家でゴロゴロ。
お陰で連休明けの試写は居眠りすることなく、ちゃんと見られてますョ。
なんて威張ることじゃないんですけど(笑)。
さ、今週は1本です!


「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」は、人気TVシリーズの劇場版第3弾。

人里離れた寒村の万練村。
この村では昔からカミハエーリと呼ばれる霊能力者が村人を治めてきたのですが、14代目が死去。
そこで全国から霊能力者を集めて、生死を懸けてその能力を競う
『霊能力者バトルロイヤル』を開催したのです。
優勝者には村の財宝が与えられるということで、お宝に目が眩んだマジシャンの山田奈緒子は、
お得意のマジックで何とかなるだろうと万練村へ。
するとそこには、村の青年から「科学の力で、霊能力なんて存在しないことを証明して、
こんな慣習は無くして欲しい」と依頼を受けた天才物理学者の上田次郎がいたのです。
「う、上田!」。
「山田!?」。
いざ始まった『霊能力者バトルロイヤル』。
果たして山田奈緒子はお宝をせしめることができるのでしょうか…。

集まった霊能力者の中には、見るからに怪しいのもいれば、本物らしきもいる。
そんな中、鈴木玲一郎という男と戦った者は、みんな不審な死を遂げるんですね。
本当に霊能力なのか?
そしていよいよ山田奈緒子とが相対する時を迎えます。
ご存じのように、小ネタがいっぱい散りばめられていて、プッと失笑してしまうような1本。
正直ドラマも映画も見たことがなかったので、
ボクは登場人物のそれぞれのキャラには明るくないんですョ。
それでも、楽しめましたから。面白いと素直に認めていいんだと思います。
ただ、過去の作品と比較できないので星は控え目に。☆3つ。
「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.4.30

「川の底からこんにちは」☆☆☆
「コロンブス 永遠の海」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


気象予報士によると、「もう寒の戻りはない」そう。
さすがにもうGWですもんね。
やっと外出が苦にならない季節がやってきました。
とは言ってもすぐに梅雨のシーズンになっちゃう。
この貴重な春を心身共に満喫したいですね。感性を豊かにするのは、そう、映画ですョ。
さ、今週は2本です!


「川の底からこんにちは」は、満島ひかり主演のヒューマンコメディー。

上京5年目のOL、佐和子。
彼女の口グセは「でもしょうがないですよ」、「所詮私なんて中の下ですから」。
そんな彼女には社内恋愛でバツイチ子持ちの健一がいました。
「所詮中の下のあたしだから、あんたみたいな男がちょうどいい」。
そんな恋愛観の佐和子でしたが、ある時、田舎の父が倒れたとの報が届きます。
さらに健一は会社をクビに。
自分も行く気満々で「実家に戻って家業のシジミ工場を継いだら」という健一。
しかし佐和子には故郷に帰りづらい理由があったのです…。

上京5年で5つ職場を替わり、5人の男と付き合った佐和子。
とにかく覇気がなかった彼女が実家に戻ると、それはそれは大変な逆風が吹き荒れます。
最初は工場のおばちゃんたちの辛辣なイジメもジッと耐えるだけの佐和子でしたが、
ある日突然開き直るんですね。
そこからみんな一致団結!おばちゃんパワーはすごいっ。
経営不振の工場も、佐和子自身の人生も立て直していくぞって映画です。
最初はやる気の無い佐和子に腹が立つぐらいでしたが、
だんだん応援しちゃってる自分に気付くはず。
ボクの知り合いがこんなことを言ってました。
「わたしは才能も何も持ってません。でも自分に何も無いって知ってるとすごく楽ですよ。
だってみんな人からもらえばいいんですから」。
すごい…。ある意味鳥肌モノの名言です。
だってその人、大きな会社の社長さんですから。☆3つ。
「川の底からこんにちは」公式サイト


「コロンブス 永遠の海」は、夢とロマンの歴史探訪の映画。

アメリカ大陸発見で知られるコロンブスは、イタリア人ともスペイン人とも言われていました。
しかし06年に、「コロンブスはポルトガル人である」とする新説が発表されます。
その新説を唱えたのが医師であり、歴史学者でもあるマヌエル・ルシアーノ・ダ・シルヴァ。
彼と妻のシルヴィアが、出会ってから半世紀を掛けてコロンブスの足跡を辿り、
コロンブスがポルトガル人であることを証明しようと旅に出たのですが、
それを年代ごとに追ったロードムービー。
監督はポルトガル生まれの102歳!
マノエル・ド・オリヴェイラ監督。いやいや脱帽です。
GWどこにも遠出をしないというあなた、
海外旅行気分を味わってみてはいかが?☆3つ。
「コロンブス 永遠の海」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.4.21

「ファンボーイズ」☆☆☆
「プレシャス」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


GWの予定は決まりましたか?
どこに行っても混んでるなら、映画館はいかがです?
すこし遠くの穴場の劇場に行けば、遠出気分も味わえるし、一石二鳥ですョ(笑)。
さ、今週は2本です!


「ファンボーイズ」は、スター・ウォーズファンの熱い思いを描いたロード・ムービー。

1998年、スター・ウォーズの新作“エピソード1”を世界中のファンが待ち望む中、
ここにもその公開を熱望する男の子がひとりいました。彼の名はライナス。
青春ど真ん中のはずのライナスは末期の癌に侵されていて、余命がわずかしかなかったのです。
ならばと友人たちが計画したのが、
ジョージ・ルーカスの本拠地であるスカイウォーカーランチへ行って、
新作のフィルムを盗み出すこと。
ライナスたちは車に乗って、アメリカ横断の旅に出たのでした…。

途中、スター・ウォーズファンにとっては天敵とも言える、
スター・トレックファン(通称トレッキー)との抗争やら何やらあって、
もちろん簡単には目的地に辿り着けないのですが、そんなやり取りも含め、
とにかくスター・ウォーズ好きにはたまらない仕掛け(パロディ、オマージュ)が
たくさんちりばめられているんだそう。
って、ボクがあまりスター・ウォーズに関心がないからよくわからなかっただけなんですけどね。
なんて怒られちゃうな(苦笑)。
実はライナスの設定には賛否両論で、手直しをしたバージョンが作られようとしていたのを、
ファンが阻止したというエピソードがあるんですね。
それほどまでにファンの心を捕らえた作品だということ。
スター・ウォーズファンを自認するなら見に行かなきゃって1本かも。☆3つ。
「ファンボーイズ」公式サイト


「プレシャス」は、全世界の映画賞で70冠に輝いたという話題のアメリカ映画。

1987年のNYハーレム。
16歳の黒人少女プレシャス。家は生活保護を受け、働かない母親から虐待を受ける毎日。
実は彼女のお腹の中には子供がいました。
2度目の妊娠。
それも父親は自分の父親で、その父も今は家を飛び出して行方知れずになっていたのです。
すごく太っていて、読み書きもできない。
そんなプレシャスが唯一笑顔になれるのは、妄想の世界の中だけだったのです。
ある日のこと、2度目の妊娠が学校にバレて、いよいよ退学になってしまいます。
そして送られたのが、フリースクールと言われる学校。
プレシャスのように、何らかの問題を抱えている若者が通う代替学校です。
初めは反発していたプレシャスでしたが、先生たちの熱意と愛情に触れ、
彼女の中で何かが変わっていったのです…。

「幸せは自分が決めるもの」。
誰の言葉だったか忘れましたが、確かにそうだよなって。
人と比べるものじゃないことだけは確かです。
でもそれにしても16歳のプレシャスの人生は酷過ぎる。
そこからどうやったら上がっていけるのか。それには人の力が絶対必要なんですよ。
そして素直に人に委ねる自身の勇気も必要なんですよね。
ただひとつ。ボクら日本人が、貧困、人種差別、虐待といった
“3重苦”のプレシャスの置かれた環境をわかると言えるかどうか。
アメリカではリアリティがすごくあるんでしょうけど、
正直そのあたりの国民性の違いは否めないかもしれません。
いや、もちろんジャッジはあなた自身でして下さいね。☆3つ。
「プレシャス」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.4.14

「アリスインワンダーランド」☆☆☆
「オーケストラ!」☆☆☆☆
「ジョニー・マッド・ドッグ」☆☆☆
「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


新年度になって、ボクのもうひとつの仕事である専門学校の講師が始まりました。
1曜日を取られちゃうと試写に行く機会がかなり減っちゃうんです。
土日の試写は基本的に無いので、5曜日のうちの1曜日ですから。
それでも時間の許す限り、積極的に足を運びたいと思います。
さ、今週は4本です!

「アリスインワンダーランド」は、ティム・バートン監督、
ジョニー・デップ主演の黄金コンビによる話題の3D映画。

小さい頃からずっと同じ不思議な夢を見続けて来たアリスも19歳。
ある日のこと、夢で見た、チョッキを着た白いウサギを追いかけて、
ウサギ穴に落ちてしまったアリスが迷い込んだのは、アンダーランドという不思議の国でした。
アンダーランドは赤の女王の圧政により支配されていたのですが、
美しく優しい白の女王が、いつの日か王座を奪回しようと考えていたのです。
アンダーランドには預言書があって、「いつかアリスという救世主が現れる」と。
赤の女王への復讐を誓う帽子屋のマッドハッターはアリスの姿を見て、
いよいよその時が来たと立ち上がるのでした…。

個性的な登場人物が多数登場するので、それだけでアトラクション的な感じの映画ですが、
3Dがさらにそれを“まるでリアル”なものに引き立てています。
でも「クリスマス・キャロル」の方が3Dの特性は活かされてたかなぁ。
あとはストーリーの厚みが少々…。
立ちに立ったキャラの特異性に頼っちゃった感があると感じるのはボクだけでしょうか?☆3つ。
「アリスインワンダーランド」公式サイト


「オーケストラ!」は、フランスのヒューマン・コメディ。

ロシアのボリショイ交響楽団で清掃員として働くアンドレイ。
この姿からは想像もできませんが、実は彼、この楽団の元主席指揮者なんです。
1980年に政府が進めたユダヤ人排斥政策。楽団員の中からも多くが連行されたのですが、
それに反対したロシア人楽団員もみんなクビにされてしまったんですね。
天才と言われたアンドレイもそのひとりでした。
復帰を夢見て早や30年。
そんなある日のこと、支配人の部屋を掃除していると1枚のFAXが入ります。
それはパリの劇場からの出演依頼。
LAの楽団がドタキャンとなり、何とか穴を埋めてもらえないかという内容だったのです。
アンドレイはハッと閃きます。
クビになったメンバーを集めて、自分たちがボリショイ交響楽団としてパリに行って演奏をするんだ。
とんでもない計画は、ここから始まったのでした…。

フランスに渡る条件として、
ソリストにはパリ在住の若くて美人のアンヌ・マリー・ジャケを指名するアンドレイ。
これには訳があったのですが、ここがこの映画のひとつの肝でもあります。
ちょっと前のイギリス映画の「ブラス」とか「フルモンティ」に似た感じかな。
気が付けば頬に流れるひと筋の涙、みたいな。あの手の感動を求める人は是非!
笑えて泣けて、ちょっとしたどんでん返しもあって。
多少の無理な展開もご愛嬌(笑)。ボク的にはかなり好きな1本でした。☆4つ。
「オーケストラ!」公式サイト


「ジョニー・マッド・ドッグ」は、アフリカのリベリアを舞台とした戦争映画。

内戦で混迷の続くリベリア。
そこに反政府軍を名乗る少年兵コマンド部隊がありました。
虐殺、レイプ、強盗と、やりたい放題。
そんな彼らのリーダーが“マッド・ドッグ”と呼ばれる15歳のジョニーです。
荒廃した国に生きる彼らにとって、戦闘はゲームでしかなかったのです…。

ドキュメンタリーではないのですが、
アフリカでは今こんなことが起こってるんだというのを描いているよう。
事実、出演している兵士役の子供たちは、オーディションで選ばれた元少年兵。
思うんですけど、例えば中東の砂漠のような何もないところにポンと武器を与えれば、
そりゃ絶対使いたくなりますって。だって他に無いんだもの。
アフリカもしかり。
先進国の悪しき“自分勝手”の副産物。本来責任を負うべきことでしょう。
日本に生まれてよかったなぁとホッとする反面、
なんだかやり切れなくなる話でもあります。☆3つ。
「ジョニー・マッド・ドッグ」公式サイト


「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」は、人気シリーズの最終章。

パリのふたり暮らしにピリオドを打った千秋とのだめ。
それでもいつかは千秋の指揮でピアノを演奏したいというのがのだめの夢でした。
その時、彼女が弾きたいと夢見てたのは“ラヴェルのピアノ協奏曲”。
ところがのだめの夢を打ち砕くような出来事が起こります。
よりによってのだめのライバル、孫ルイと千秋の共演に選ばれたのがその曲だったのです。
想像以上の出来に席を立つことすらできないのだめ。
「アタシもコンテストに出たい」。
しかし決して首を縦には振らないオクレール先生。
そんな時、シュトレーゼマンが、
自分が指揮するプラハの公演でピアノを弾かないかとのだめを誘うのです。
その誘いに乗るのだめ。
しかしこの体験が、のだめの音楽人生を変えてしまうことになろうとは。
知るよしもなかったのです…。

人気の作品なので、粗筋もあえてあまり語らず(笑)。
もちろんたくさんの登場人物たちが様々な形でのだめと千秋の物語にかかわってきます。
ひとつだけ。
迷った時は原点に戻れ。当たり前ながら、
実践するのがなかなか難しいこのことの大切さを教えてくれますから。
いよいよ最後ののだめです。お見逃しなく。☆3つ。
「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.4.8

「第9地区」☆☆☆
「ダーリンは外国人」☆☆☆
「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い」☆☆☆
「苦い蜜〜消えたレコード〜」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


最近、アニメ映画の試写の案内がすごく多くて。
GWの子供向け作品ということなのでしょうが、大人が観ても十分楽しめる作品が多いとか。
どうしても後回しにしちゃうのですが(笑)、食わず嫌いならぬ“見ず嫌い”にならないよう、
しっかりボクもチェックしてきたいと思います。
さ、今週は4本です!

「第9地区」は、SF映画。

南アフリカ共和国の首都ヨハネスブルグ上空に突如現れたUFO。
何の目的で地球に飛来したのか、戦々恐々としていた人類ですが、
遂に南アフリカ政府が偵察隊を派遣。
宇宙船の内部に入ると、そこには衰弱し切ったエイリアンたちがたくさんいたのです。
宇宙船が故障して動こうにも動けない。
そこで政府は、エイリアンを“第9地区”と呼ばれる仮設住宅地域に住まわせることにします。
すぐにスラムと化した第9地区。
そこでエイリアン管理の委託業者MNUは、郊外にある第10地区へ彼らを移そうとします。
このプロジェクトの責任者に任命されたのがヴィカスというお気楽男。
ところが第9地区に入っていった彼は、謎のウィルスに感染してしまいます。
気付けば腕がエイリアン化しているではありませんか。
生体実験のサンプルとしてこれほどのものは無いと、
逆にヴィカスはMNUから追われる身となるのでした…。

見た目から“エビ”と呼ばれるエイリアンたち。
その中にクリストファー・ジョンソンという天才肌のエイリアンがいて、
小屋の中に見たこともないような技術設備を整えていたんですね。
子供のためにも宇宙船を直して帰りたい。
MNUから逃れるために、エイリアンとヴィカスが手を組むというお話。
変な潔さがありますよね。
だって、最初からUFOは浮かんでるし、エイリアンはいるんだから。
それまでのなぜ?なに?をはしょった時点でこの映画は勝ちだった気がします(笑)。☆3つ。
「第9地区」公式サイト



「ダーリンは外国人」は、小栗左多里原作の人気コミックの映画化。

漫画家志望のさおりは、ひょんなきっかけで外国人のトニーと知り合い、付き合い始めるんですね。
日本語オタクのトニーは、普通日本人が立ち止まらないようなところでふと考える。
「ぶん殴るの“ぶん”ってなに?」。
いつしか同棲を始めたふたりでしたが、さおりの父親はこの交際に猛反対。
「漫画家になる夢も中途半端で何が国際結婚だ」。
それならばと今まで以上に頑張るさおりに、少しずつ仕事が舞い込むようになります。
ところがそれは皮肉にも、ふたりにとってのすれ違い生活の序章でもあったのです…。

生活習慣や文化の違いがこの映画の面白さの肝になってるんですが、
日本人らしい奥ゆかしさが最後に観る人の心を揺さぶります。
お父さんのある行動がフックになってるから、見逃さないように。
結婚は外国人だろうが日本人だろうが難しいもの。
だって文化が同じでも、育ってきた環境や考え方は違うのだから。
「経験者は哀しく語る」かな(笑)。☆3つ。
「ダーリンは外国人」公式サイト


「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い」は、
18世紀を代表するオペラの名作“ドン・ジョヴァンニ”の誕生秘話。

芸術を愛し、自由奔放に生きる神父のダ・ポンテ。
ところがユダヤ人の彼は反教会の秘密組織に所属。
それがバレて裁判にかけられ、ヴェネツィアを追放されてしまいます。
カサノヴァの進言もあって、自由な雰囲気に満ちたウイーンに行くことにしたダ・ポンテは、
美しい旋律に足を止めます。奏でていたのはモーツァルトでした。
運命の出会いは、こうして訪れます。
カサノヴァはサリエリという作曲家を訪ねるようダ・ポンテに紹介状を渡すのですが、
ちょうどオペラのリハーサル中だったサリエリの元に
皇帝ヨゼフ2世がやってきて、ダ・ポンテにモーツァルトと組んでオペラを作れと命じます。
その“フィガロの結婚”が大評判となり、ダ・ポンテはウイーンの人気劇作家となるんですね。
彼を訪ねてやって来たカサノヴァは、何度も舞台化されている
“ドン・ジョヴァンニ”の新版をあえてモーツァルトとやってみろと提言するのですが…。

長いお話なので、まぁこの辺で(笑)。ここに様々な人間関係や恋愛話が加わってくるといった内容です。
劇中劇もさすがにレベルが高く、なるほどBunkamuraル・シネマでかかる映画だなって感じ。
でもお堅いだけの退屈な作品じゃないので誤解のないように。
そのあたりのバランスは見事でした。☆3つ。
「ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い」公式サイト


「苦い蜜〜消えたレコード〜」は、サスペンス推理ドラマ。

その日はビートルズ・バー『リボルバー』のオープニングの日。
オーナーの鈴木社長が、自慢のビートルズ・コレクションである14枚のアルバムを披露しようとすると、
最も希少といわれる「ブッチャー・カバー」がない。
すると、柚木という社員がそっと「ブッチャー・カバー」を差し出しすんですね。
専務の佐藤は柚木が盗んだものと決め付けて柚木を罵ります。
その2ヶ月後、社長の鈴木はショックからか倒れて死亡。
行方不明になった柚木も自殺したとの報せが届きます。
そして1年後、リボルバーには常連客が集まっていました。
今日はマスターの書いた小説「苦い蜜」がミステリー大賞の新人賞を受賞するかもという発表の日。
みんなで電話が鳴るのを待っていたのです。
するとそこに探偵だという三影という若い男が入って来ます。
彼はおもむろにこう言います。
「柚木はコレクションを盗んでもいないし、自殺もしていません」。
そして1年前のあの日の出来事を話し始めたのです…。

全編、リボルバーの店内で話が展開するので、言ってみれば舞台を見ているよう。
登場人物は故人も含め16名。この全員での謎解きが繰り広げられます。
ストーリーとしては確かによくできてましたね。
でも映画である必要は?みたいな感想をつい持ってしまうかも。
どんでん返しの繰り返し。なかなか真相にまで辿り着かない面白さはあります。
でもオチというか、こうやってまとまるんだろうなという読みは当たりましたョ。
エッヘン(笑)。☆3つ。
「苦い蜜〜消えたレコード〜」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.4.1

「ソラニン」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


3月は精力的に試写を見て16本。最近は少々脅迫観念にも似た気持ちになってるような…(笑)。
でもすごくいい作品2本と出会えたから、やっぱり映画はいいなぁと。
その感動はまたここでも伝えないとねっ。これは脅迫観念ではなく、自主的に思うところです(笑)。
さ、今週は1本です!

「ソラニン」は、宮崎あおい主演の青春映画。

OL2年目の芽衣子は、フリーターの種田と恋人同志。
大学の軽音楽サークルで知り合ったふたりは、小さなアパートで同棲中でした。
芽衣子は今の仕事に疑問を持ち、種田には将来が見えず。
「会社辞めちゃおっかな…」と芽衣子。
「辞めちゃいなよ。芽衣子さんと俺はずっと一緒なんだから」と種田。
愛を確かめ合うふたりでしたが、そう言いつつも種田は不安でいっぱい。
ある日のこと。「ホントは音楽やりたいんでしょ。でも種田は逃げてばっかりだね」という
芽衣子の言葉に自分の夢と人生を考える種田。
学生時代の音楽仲間と組んだバンド“ロッチ”は、
今でもたまにスタジオでセッションをしていたのですが、再び本格的に活動を始めることに。
作ったデモテープをレコード会社に持ち込むも、返ってくるのは厳しい返事ばかり。
「芽衣子さん、俺たち別れよう」。
そう言うと、種田は急にアパートを出て行ってしまったのです。
心配する芽衣子。数日経って、種田から電話が入ります。
「今から帰るから」。
しかし、種田が帰ってくることはなかったのです…。

何かが吹っ切れて、幸せとは何か、自分の人生に大切なものは何かがわかった矢先、
志半ばで天国に旅立ってしまった種田。
その哀しみから、芽衣子の中に、ある感情が生まれてくるんですね。
それは「歌いたい」という思い。
種田の作った『ソラニン』という曲を歌うことが、種田がいた証しになる。そう芽衣子は考えたのです。
選択肢が多い現代。それは一見恵まれていると思えるかもしれません。
でも果たしてそうでしょうか?
夢は見られます。
でも夢を手に入れるって本当に難しいんです。
そのための努力をしなくても大丈夫、なんとかなるさと勘違いをしてしまいがちでしょ。違いますか?
芽衣子を見てると、選択肢の存在も肯定できるし、頑張ることの大切さも教えてもらえる気がします。
見方にもよると思いますが、今の若者のいい教科書になる可能性がある1本だと思います。
迷ってる人は是非!☆4つ。
「ソラニン」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.3.25

「シェルター」☆☆☆
「誰かが私にキスをした」☆☆
「やさしい嘘と贈り物」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


話題の映画「アリスインワンダーランド」のマスコミ試写がさすがに注目を集めているようで、
全日程すべて満席!どこかで入れるだろうとタカを括っていたら、
試写を見られないことになってしまいました。ショック…。
でも、話題作がひとつのカンフル剤になって、
映画の魅力に多くの人が気付いてくれるのはいい事ですからね。
誰か誘ってデートで行こうっと(笑)。
さ、今週は3本です!


「シェルター」は、“スーパーナチュラル・スリラー”というカテゴリーの作品。

女性精神鑑定医のカーラは多重人格という疾患を認めていませんでした。
ある日のこと、同じ精神科医である父が「面白いサンプルがある」とカーラを呼び出し、
デヴィッドという患者に面談をさせたのです。
穏やかで、下半身不随のために立てない以外は普通の男性。
拍子抜けしたカーラでしたが、父が部屋に設置した電話で「アダムを呼んでくれないか」と彼に言ったとたん、
デヴィッドは首を大きく後ろに反らし、顔を歪めて、まるっきり別の人格になっていたのです。
そして車椅子からも立ち上がったのでした。
「主人格がアダムで、デヴィッドはあくまで彼が演じている人格だ」。
そう主張するカーラは自分の診断が正しいことを証明しようとデヴィッドの過去を調べます。
するとデヴィッドは実在し、母親は健在。カーラは母親に頼んで、彼に会ってもらいました。
すると、ふたりしか知らないことを涙ながらに話すではありませんか。
アダムはデヴィッドで、デヴィッドはアダムなのか。ところが更なる人格が次々と現われて来たのです…。

実はカーラは夫を殺人事件で亡くしています。
ひとり娘のサミーは「神様がいるなら優しいパパをこんな目に合わせるはずがない」と、
その時から信仰を失くしていたのです。
ここがこの映画のひとつのミソ。
このあと展開する驚愕のストーリーのカギとなります。
スピリチュアル系というか、確かに普通のホラーとは一線を画した感はあります。
宗教色が濃いのはキリスト教文化だから仕方ないのかなって感じ。
それでも日本人のボクらが見てもどうなるんだろうかと、ハラハラドキドキ。
十分に楽しめる作品です。☆3つ。
「シェルター」公式サイト


「誰かが私にキスをした」は、アメリカ人監督のハンス・カノーザによる堀北真希主演作。

東京のインターナショナルスクールに通う女子高生のナオミ。
ある日、階段を踏み外して転倒し、頭を打ったナオミは、4年間の記憶を失う逆行性健忘症と診断されます。
救急車で病院まで付き添ってくれたのはユウジという男の子。でもユウジはナオミの彼じゃないと言います。
ナオミにはアメリカ人のエースという彼がいると。
もうひとり、ナオミを心配して駆け付けたのがミライという男の子。
彼は毎年作る学校年鑑の編集員で、ナオミはその編集長だと言います。
遠い昔のことはわかっていても、最近の記憶が無いからまったく自分の存在がわからない。
それでもナオミは思い切って学校に戻ってみるのでした…。

「昔と変わったね」と言われてもピンと来ずに戸惑うばかりのナオミ。
そんな中で先入観にとらわれることなく、おっかなびっくりながら、友人との付き合いを進めます。
逆にナオミを知っている人間も戸惑いを隠せずにいる訳で。
そんな環境の中で繰り広げられる青春ストーリー。
アメリカ人監督が日本の高校生を描くリアリティとして、
インターナショナルスクールという設定を選んだんだろうと思うのですが、逆に言えば、
観る側の日本人にとってはリアリティが薄れてしまう危険性も否めません。
それをも凌ぐドラマがあれば話は別なんでしょうが、そこまでのものもない。
ボクには正直、薄味過ぎたかなぁ。ごめんなさい。☆2つ。
「誰かが私にキスをした」公式サイト


「やさしい嘘と贈り物」は、24歳の監督が描く家族の愛の物語。

アメリカの小さな町に住むロバートは一人暮らしの老紳士。
スーパーでの仕事を終え、家に帰ると見知らぬ女性がいるではありませんか。
彼女の名はメアリー。扉が開いていたから心配で中に入って来たと説明。
驚くことに、メアリーはその場でロバートを食事に誘ったのです。
戸惑いながらもその誘いを受けるロバート。なぜなら、メアリーがすごくタイプの女性だったから。
久々のトキメキに胸踊らせ、スーパーの若きオーナーのマイクにデートの相談をしたり、
鏡の前で何度も髪を直したりと、青春を取り戻したようなロバート。
念願のデートも最高に楽しいものでした。
ひとりきりで寂しいはずのクリスマスもメアリーと一緒。
娘のアレックスを紹介され、「母はあなたのことが好きなんです」と言われて喜びは最高潮。
ところが、メアリーを好きになればなるほど、彼女を失いたくない感情に押し潰されそうになり、
被害妄想やジェラシーが大きくなっていったのです。
実はロバートは過去の記憶を無くしていたんですね。そんな自分に嫌気がさしていたのも事実でした。
しかし、無くしたはずの記憶があることをきっかけに甦ってきたのです…。

映画の冒頭と中に、脳のパルスに信号が送られるような、何かを象徴する映像が何度も流れます。
ヒントはここにあり。
というか、勘のいい人ならもうピンと来てるかもしれませんね。
老いることの素晴らしさと、老いることの残酷さと。
でもいいなぁ、こんなになっても愛してくれる女性と巡り逢えるなんて。
TVとか見てても、困った旦那を見捨てることなく、ホント献身的に尽くす女性がいるでしょ。
ああいう人にどうしてボクは出会えないのか、悲しくなります(笑)。
“心身共に”健康でいられることがどれほど幸せか。
痛切に感じる人も多いのではないでしょうか。☆3つ。
「やさしい嘘と贈り物」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.3.18

「アイガー北壁」☆☆☆
「ウディ・アレンの夢と犯罪」☆☆☆
「ダレン・シャン」☆☆
「マイレージ・マイライフ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

花粉症の人は大変ですね。試写の会場でもぐずぐず、くしゅんくしゅん。
少々うるさくてもこればかりは怒れません。
「春が待ち遠しくなくなりました」。
そんな言葉を聞くと切なくなるもの。
お大事にして下さい。
さ、今週は4本です!


「アイガー北壁」は、実話を元に作られた登山家たちの悲劇の物語。

1936年、ナチス政権下のドイツ。
ベルリン五輪を直前にし、国威発揚のために、
前人未到のアイガー北壁を征服した者に金メダルを与えると政府は発表。
その記事を載せたベルリン新聞社内でも、誰が一番乗りを果たすのか、
その登山家を追跡取材しようということになります。
会議で挙がった有望な若き登山家の名前は、トニー・クルツとアンディ・ヒンターシュトイサー。
すると、たまたまアシスタントとして働いていたルイーゼが幼なじみだというではありませんか。
取材の命を受け、初の大仕事に胸踊らせながら故郷に帰り、ふたりに北壁挑戦を勧めるルイーゼ。
しかし頑として首を縦に振らないトニー。
なぜなら、彼はアイガー北壁が来る者をすべて拒む“殺人の壁”であることを知っていたからなのです…。

トニーとアンディは軍隊に所属しており、その処遇に不満を抱いていたんですね。
二の足を踏んでいたアンディも結局はチャレンジを決意し、難所に挑みます。
しかし彼らを待っていたのは壮絶な自然との闘いでした。
人は絶望を知った時、一体どんな気持ちになるんでしょう。
それを考えると言葉を失くしてしまいます。
次々と襲いかかる自然の脅威。リアリティを追求したという映像も迫力満点。
人間の小ささを感じずにはいられません。☆3つ。
「アイガー北壁」公式サイト


「ウディ・アレンの夢と犯罪」は、タイトル通り、ウディ・アレン監督作品。

ロンドンに住む仲の良いふたりの兄弟、イアンとテリー。
父親の営むレストランで働くイアンはいつかこの環境から抜け出してやろうと野心を抱き、
自動車修理工場で働くテリーは恋人と暮らすマイホームさえあればいいという堅実派。
ところが、そんなふたりに思わぬ出来事が起こります。
イアンは車の故障で立ち往生していた女優のアンジェラと出会い、恋に落ちたのです。
そして、彼女の気を引くために金持ちの青年実業家を演じるんですね。
一方、テリーは大好きなギャンブルで連戦連勝。
ところが調子に乗って大失敗。巨額の借金を作ってしまうのです。
そんな時、海外で事業を成功させている伯父がロンドンに来ると聞き、
お金を貸して欲しいと頼みに行くイアンとテリー。
ところが伯父の提示してきた交換条件にふたりは驚きます。
それはある男を消して欲しいという殺人依頼だったのです…。

アンジェラとの関係を続けたいイアンはやるしかないだろうと言い、
根は優しくて真面目なテリーはそれはまずいと拒む。
結局手を染めてしまうのですが、因果応報、幸せな結末が待っていようはずもなく。
ウディ・アレンというと、設定の斬新さや、
どんでん返しの面白さをどうしても期待してしまうのですが、
今回はそういう意味では少々捻りが物足りなかったかなと。
先程言った“因果応報”という感覚が外国の人に無いとしたら、これは斬新なのかもしれませんが。
それでも何が起こるんだろうとずっと期待させ続ける描き方、引きつける魅力はさすがです。☆3つ。
「ウディ・アレンの夢と犯罪」公式サイト


「ダレン・シャン」は、世界37ヶ国で出版されている
大人気ファンタジー・コミックの映画化。

ダレン・シャンはごく普通の16歳の高校生。
真面目に生活しなさいと両親に言われ、
ちょっぴりやんちゃな親友のスティーブとの付き合いを辞めろと言われて悩んでいました。
そんな時、町に一風変わったショーがやってきます。
もちろん学校も両親も絶対行ってはダメだというのですが、
家を抜け出してスティーブとショーを覗きに行くダレン。
その摩訶不思議な魅力にふたりは一発で魅せられてしまいます。
興味津津で楽屋に忍び込むダレンとスティーブ。
ところがこの行動がふたりの運命を変えてしまうのでした…。

実はタランチュラ(毒蜘蛛)マニアのダレンと、かなりの吸血鬼マニアだったスティーブ。
このショーを見に行ったことで、なんとふたりは“あちら側”の人間になってしまうのです。
そう、バンパイアと化してしまったのです。
それでも人間としての心は保っておきたいと、完全なるバンパイアではなく、
“ハーフ・バンパイア”という微妙な(笑)立ち位置を選ぶダレン。
一方のスティーブはマニアだから完全なるバンパイアになって、邪悪な心も持ってしまう。
さぁふたりの対決が始まります、というお話。
「ハリー・ポッター」シリーズを対比として出すから楽しみにしてたけど、
その分ちょっと期待し過ぎちゃったかな(笑)。
妙なB級感はそれはそれで魅力なのですが。
渡辺謙が出てるんだけど、正直その役でいいんですか?って感じ。
ごめんなさい、ボクはあんまり楽しめませんでした。
でもきっとシリーズ化されそうだから、初回はちゃんと観ておいた方がいいかも。☆2つ。
「ダレン・シャン」公式サイト


「マイレージ、マイライフ」は、ジョージ・クルーニー主演作。

年間322日が出張というライアン。
彼の仕事は“解雇通告人”。機械的かつ事務的にクビを宣告して回っていたのです。
そんな彼の楽しみは飛行機のマイルを貯めること。
今や1000万マイル近いポイントが貯まっていて、どこに行っても超VIP扱い。
それが唯一の満足だったのです。
そんな彼の前に現われたのが、新入社員のナタリー。
彼女は現代っ子らしく、パソコンを使ってネット上での解雇通告を提案。
これが上手くいっちゃったものだから、出張は激減。
ライアンの生活スタイルも、生き甲斐も、すべてが消えようとしていました。
そんな中で初めて気付く人との関わり合い方。ライアンの中で何かが変わろうとしていたのです…。

人の幸せって何だろうって考えちゃいますね。
幸せは自分が決めるもの。
でも幸せだと思っていたものが実はそうじゃなかったと気付いた時のショックは、
その“幸せ”が長ければ長いほど大きい。
熟年を迎えたライアンの心にポッカリ空いた穴はいかほどか。
ボクも自分を重ね合わせて考えちゃいました。
ヒューマン・コメディーとして見てもよし、深く人生を考えてみるもよしの大人の映画です。☆3つ。
「マイレージ、マイライフ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.3.10

「フィリップ、きみを愛してる」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

時代劇の試写で、それも最後のいい場面で携帯が鳴る。最悪…。
もうマナーはちゃんと守りましょ。いい大人なんだから。
さ、今週は1本です!


「フィリップ、きみを愛してる」は、ジム・キャリーとユアン・マクレガー主演の同性愛コメディー。

妻と娘と暮らす善良な警察官のスティーヴン。
ところがある日のこと、生命の危機にさらされるような自動車事故に遭ってしまいます。
瀕死のベッドの上で、彼は誓ったのです。
「これからは本当に好きなことだけをやって生きるんだ!」。
それは、彼がゲイであることを自分自身が認めることでした。
妻にカミングアウトし、フロリダにひとり引っ越したスティーヴン。
ボーイフレンドを見つけ、それはそれは豪華な暮らしをしていたのですが、お金が続くはずがない。
そこで彼は詐欺師になろうと決意するんですね。
しかし悪事は続かずに逮捕、収監されてしまいます。
ところがそこで出会ったフィリップという若い囚人に一目惚れ!
「ボクは弁護士だ。出所後、君を救えるのはボクしかいない」と、
嘘と猛烈なアタックでフィリップを口説くスティーヴン。
その積極さにフィリップもスティーヴンを好きになって、ふたりは獄中で恋に落ちたのです…。

感情移入しろと言われてもなかなかできないシチュエーションだから(笑)、
娯楽作品と割り切って見るしかなかったけど、やっぱり男同士のキスシーンとかは…。
そちらの嗜好の方、すみません(笑)。
スティーヴンには詐欺師としての才能があったから、やることなすことうまくいく。
けどそこまでにしときゃいいのにってラインを越えちゃうから何度も警察に捕まる訳で。
懲りないヤツです(笑)。
映画としてはどんでん返しの繰り返し。
観てるボクらがこの映画の制作陣にうまいことダマされてる感覚かな。
あきれちゃいますよ、ホント。ここまでいくと、嘘もつき続ければ真実になるって感じ(笑)。
なかなかよくできたお話でした。☆3つ。
「フィリップ、きみを愛してる」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.3.3

「「ハート・ロッカー」☆☆☆
「ライアーゲーム ザ・ファイナンスステージ」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

GWはどう過ごしますか?
なんて随分先の質問かと思うかもしれませんが、もう試写状はGW作品ですから。
あっという間に春が来るんですね。
さ、今週は2本です!


「ハート・ロッカー」は、82回アカデミー賞最多9部門ノミネート作品。

04年、イラク駐留米軍のブラボー中隊は爆弾処理作業の任務に就いていました。
ある日のこと、作業中に班長が爆死してしまいます。
新たに班長としてやってきたジェームズ二等軍曹。
ところが彼のやり方は常軌を逸していたのです。
何事にも臆することなく、「どうせ死ぬなら気持ちよく死にたい」と
防護服も着ないで作業に向かうジェームズ。
ブラボー中隊の中にも不協和音が響く中、過酷な任務は続きます。
ブラボー中隊、任務完了まであと38日…。

この映画の原題は「THE HURT LOCKER」。監督は女性監督のキャスリン・ビグロー。
致死率が他の兵士よりも5倍は高いという、爆弾処理班の現実を描いた作品。
感覚がマヒしていく恐ろしさ、一般市民の中にテロリストが潜んでいるかもしれない恐怖。
とにかく戦争というのは狂気です。正義の御旗を掲げたところで、
戦場では自分が死ぬか、相手が死ぬかなんですもんね。
戦争中の国や地域が今も確かにあるのと、たくさんの人の犠牲の上に平和が成り立っているので、
安易な発言はできませんが、でもとりあえず今の日本に生まれてきてよかったと、
胸を撫で下ろす1本かもしれません。
その分、この映画のすごさがリアリティとして響いてこないのを
幸せと感じなくてはいけないのでしょう。☆3つ。
「ハート・ロッカー」公式サイト


「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」は、人気コミック、人気ドラマの映画化。

“バカ”が付くほど真っ直ぐな女子大生の神崎直。
ある日突然、彼女の元に届いたライアーゲームへの招待状。
それは相手をだまして、勝てば巨額の富が入り、
負ければ巨額の負債を抱えるというもの。
自分の意志とは裏腹にゲームに巻き込まれていく直は、いきなり億の負債を抱えてしまいます。
そこでつい先日新聞を賑わした稀代の若き詐欺師、秋山深一に助けを求め、
ふたりは力を合わせてこのゲームを勝ち進んでいったのです。
「もうすべてが終わった」。
そう胸を撫で下ろしていたある日、直の家のポストに、あのゲームの招待状が届いていたのです…。

原作は05年連載開始の、週刊ヤングジャンプの人気コミック。
07年、09年とドラマ化され、ファン待望の映画化ということになります。
決勝戦は優勝賞金50億円の“エデンの園ゲーム”。テーマは“信じあう心”。
ルールはいたってシンプル…と言うのですが、これが意外と難解で(苦笑)。
だまし合う人間の心理を描くためのツールがそうそうシンプルなはずもなく。
途中で置いていかれちゃうと楽しめない危険性も。ボクは…(苦笑)。
そんな訳でごめんなさい。☆2つ。
「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.2.25

「渇き」☆☆
「猿ロック」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

先日ある試写を見た時、即座に「あ、この前相談を受けたあの人に勧めてあげよう」と感じ、
逆に「××で悩んでるんですよ」という人に「『△△』って映画を観てみたら」とアドバイスをし。
もちろん設定のすべてが当てはまるはずもないのですが、
なんかヒントが見つかるんじゃないかなって確信できるんですよね。
映画にはそんな力が間違いなくありますから。
さ、今週は2本です!


「渇き」は、「オールド・ボーイ」などのヒット作で知られる韓国のパク・チャヌク監督作品。

カトリックの敬虔な神父、サンヒョン。
人助けがしたいという思いは強いのに、
彼に来る依頼は病院で死の間際にいる人のために祈ることばかり。
自分の無力さを感じたサンヒョンは、アフリカにある、とある研究所に向かいます。
そこは謎の殺人ウイルスに対するワクチンを極秘に開発している施設だったのです。
サンヒョンの目的は“献体”。
「これで人のためになる」。
そう考え、ウイルスを体内に入れ、発病し、死に至るサンヒョン。
ところがあるものを打たれ、なんとサンヒョンは生き返ったのです。
しかしその代償は大きいものでした。なんと彼は吸血鬼になってしまったのです…。

なんてあらすじの書き方だと「何だ?」という感じですかねぇ(笑)。
じゃ補足。
国に戻ると“奇跡の人”として注目を集め、
病気の子供のために祈ってと頼まれ、行った先が幼なじみの家。
若い奥さんに魅せられて、関係を持ったはいいけれど、首筋をガブリ。
奥さんもバンパイアになっちゃう。さぁふたりの結末は?ってお話。
あら、ますます「何だぁ?」って感じかな(笑)。
もしかするとですが、韓国特有の儒教の倫理感からいくと、
これ、かなりの問題作なのかもしれませんよね。あくまで推論ですが。
ちょっとこの設定は、ごめんなさい、個人的にはピンと来なかったかも。
新たなバンパイアものとして捉えれば楽しめる人はいるかも?☆2つ。
「渇き」公式サイト


「猿ロック」は、週刊ヤングマガジン連載の人気コミックの映画化。昨年、ドラマにもなりました。

猿丸カギ店の天才カギ師、サルこと猿丸耶太郎。
ある日、銀行で立てこもり事件が発生。
人質を助けるために裏口のカギを開けて欲しいと警察から依頼を受け、見事カギを外したサル。
しかし犯人は隙を突いて、スーツケースを持ち出し、逃走したのでした。
数日後、ひとりの美女がサルの元を訪れます。あの現場にいて、記憶障害になったというマユミでした。
マユミはサルに勤務先の金庫の暗証番号を忘れてしまったので、カギを開けて欲しいと言います。
オンナには滅法弱いサルは彼女を信じ切って力を貸してあげるんですね。
しかしその行動が、ある大きな事件の幕を開けてしまうことになることを
サルは知るよしもなかったのです…。

市原隼人っていい役者ですねっ。熱くて不器用な男を演じさせたらピカイチです。
「素顔もあんな感じだよ」と某プロデューサー。
そんな裏話を聞いちゃうと、ますます惚れちゃいます。
あ、その気はないので誤解の無いよう(笑)。
“トラブルアクションエンターテイメント”とカテゴライズされているように、手放しで楽しめる1本。
続編もありだなって感じ。☆4つ。
「猿ロック」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.2.18

「コトバのない冬」☆☆☆
「パレード」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

寒いですね。朝早い試写は空いてて穴場なんだけど、なかなか布団から出られず(笑)。
春はまだ先みたいですね。心がポカポカ暖まるようないい映画に出会いたいです。
さ、今週は2本です!


「コトバのない冬」は渡部篤郎初監督作品。高岡早紀主演作。

北海道のとある小さな町。
牧場で馬の世話をする冬沙子は父とふたり暮らし。
そこに東京でモデルをやっている妹の未希が帰郷。久々の家族団欒を楽しんでいました。
そんなある日のこと、大雪の中でバスを待つ冬沙子はバスの時間を尋ねようと
ひとりの男性に声を掛けるんですが、彼はコトバを発することができなかったのです。
彼の名は渉。冬の遊園地の管理をしていました。
そんな出会いがきっかけで、少しずつ距離を詰めるふたり。
ところが、冬沙子が牧場で落馬事故を起こしてしまうのです。
頭を打ったようで、昔のことは覚えているのに、近い記憶がない。
そう、渉の記憶が飛んでしまっていたのでした…。

互いの存在が心地よくなり始めた頃のアクシデント。悪意の無いすれ違いが痛いです。
渡部篤郎監督は「これが伝えたいというものは特にない」とのこと。
「普通に日常を生きていることこそが美しい」とも。
独特のトーンを持つ映画です。
重要な小道具でもある雪がいろんなものを覆い隠してしまうような感覚が残りました。☆3つ。
「コトバのない冬」公式サイト


「パレード」は、行定勲監督作品。

とあるマンションで共同生活をする4人の男女。
映画会社に勤める直輝、大学3年生の良介、人気俳優と付き合っているフリーターの琴美、
雑貨屋さんに勤めながらイラストレーターを目指す未来。
インターネットのチャットのようなルームシェアだというこの部屋に、
ひとりの金髪の男性が寝てます。
男性相手の売春をやっているというサトルでした。
誰が連れて来たのか、その正体すらよくわからないまま何となく居座るサトル。
この奇妙な共同生活は一体何なのか?
そんな時、テレビのニュースが近所で起こった連続婦女暴行事件を報じるのです…。

マンションに住む5人が5人ともに抱えているものがある。
話が進むに連れ、それが少しずつ紐解かれていく。
“現代社会の闇”とかそんな言葉の定義はいらないかな。でも不思議な読後感のようなものは残ります。
理屈で考えたいけどそれで出る答えと、右脳で感じたいけどそれで感じた感覚が違うみたいな(笑)。
わかるかな?わからないだろうなぁ(笑)。
観てみて下さい。なかなか面白かったですョ。☆3つ。
「パレード」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.2.12

「ハンナ・モンタナ/ザ・ムービー」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

先日、朝イチでリアルな戦争ものの試写を見ました。
う〜ん…(笑)。
「プライベート・ライアン」の時もそうだったけど、
1日のスタートに人がボコボコ死んじゃうあんまり重たい映画はね…。
作品云々じゃなく、やっぱり見るタイミングも大切ですね。
さ、今週は1本です!


「ハンナ・モンタナ/ザ・ムービー」は、ディズニーの人気TVシリーズの映画化。

全米で大人気のポップスター、ハンナ・モンタナ。
彼女の素顔はヴェールに包まれていて、誰も普段の彼女を知らないのです。
実はマイリー・スチュワートというごく普通の女子高生。
どちらも両立させること。それが芸能生活を送る上での父との約束だったのです。
ところが、最近少々傍若無人な振る舞いが目立ってきたハンナ。
そんな彼女の頭を冷やす意味もあって、父は祖母の住む田舎町へとハンナを引っ張って行くのでした。
田舎になんて行きたくないとゴネるハンナでしたが、偶然幼なじみのトラヴィスと再会。
抱いていた淡い恋心を思い出すんですね。
そんな自然の景観が美しいこの村にも、開発の手が忍び寄って来ていました。
それを阻止するには巨額の寄付金を集めなくてはならないと。
悩むトラヴィスにハンナはついこう言ってしまうのです。
「あたし、あのハンナ・モンタナと大の仲良しなの。チャリティーコンサートを開いてもらったら?」。
大喜びするトラヴィスや村の人たち。
でもハンナは体がひとつしかありません。そんな時に限って大切なことがいくつも重なっちゃう。
果たしてハンナは無事コンサートを成功させることができるのでしょうか…。

ハンナ・モンタナにはティーンに絶大なる人気を誇るマイリー・サイラスが扮します。
知ってる人も多いかと思いますが、
お父さんは90年代初頭に活躍したカントリー・シンガーのビリー・レイ・サイラス。
そのビリーが父親役で出ているのも興味深いところ。
ひとつを手に入れようとすれば、もうひとつは手放さなくちゃいけないのが世の常で。
あっちもこっちも欲しいとジタバタするのは海の向こうのティーンも同じみたい(笑)。
ハンナは基本いいコだなぁって、そこがよかったかな。
夢を追いかけること、等身大の自分でいることの大切さをもう一度教えてくれる青春映画です。
しかし実の父娘で演じてて照れ臭くないのか、そっちの方が気になっちゃいました。
ギャラはWインカムだから最高だろうけど(笑)。☆4つ。
「ハンナ・モンタナ/ザ・ムービー」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.2.3

「コーチ〔40歳のフィギュアスケーター〕」☆☆
「50歳の恋愛白書」☆☆☆
「食堂かたつむり」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

最近、馬の出てくる映画が多くてビックリ。
今週紹介する「食堂かたつむり」でも地元の成金開発業者が、
馬に跨がって酒を飲みに来るシーンがありました。
馬は軽車両扱い?一応飲酒運転はOUTでしょ。ねぇ(笑)。
さ、今週は3本です!


「コーチ〔40歳のフィギュアスケーター〕」は、その名の通り、夢を追いかける女性の物語。

美和は40歳のプロ・フィギュアスケーター。
アイスショーに出演しながら、後進のコーチも務める独身女性。
ある日、ひとりの少女、8歳の飛鳥が現れます。
実はこのコ、美和の昔の恋人で今はカリスマ料理家の原田陽介の娘だったのです。
スケートを習いたがっていた飛鳥を、美和なら大丈夫と、
陽介がひとりで送り込んだのでした。
ところが、その陽介が交通事故で死んでしまうんですね。
ひとり残った飛鳥の面倒を見る美和に、飛鳥が聞きます。
「オリンピックに出ないの?」。
20年前に諦めたオリンピックでしたが、飛鳥の一言に美和の中の何かが目覚めたのでした…。

現役のプロでありながら、若いコたちに追い越されていく様に、
どことなくモヤモヤしたものがあった美和。それを飛鳥の言葉が吹き飛ばしたんですね。
夢を追いかけるのは素晴らしいことだと思います。
ただ、現実問題どうなのかなと。
映画の中でもいっぱい失敗する訳ですよ。
そこはプロなら逆に自分で認めなくてはいけないんじゃないのかなと。
引き際の美学もあるんじゃないかって。特にスポーツは感性じゃなくて肉体だから。
映画だからいいのかなぁ?
いやいや誤解しないで下さい。努力することは本当に美しいんですョ。
ボクはこの美和という選手がそのプロセスから
何か大切なものを掴んでいるんじゃないかなってそう信じたいです。☆2つ。
「コーチ〔40歳のフィギュアスケーター〕」公式サイト


「50歳の恋愛白書」は、熟年の恋愛物語。 ピッパ・リーは50歳の人妻。
30歳年上の夫との間に2人の子供も授かり、立派に成長。
お金にも不自由することなく、傍から見たら幸せな生活を送っていたのでした。
ところが、夫が度重なる心臓発作に見舞われ、遂にマンハッタンから郊外のコネチカットに移住。
そこはリタイアした高齢者ばかりが住むコミュニティだったのです。
退屈な毎日でも、これが理想の結婚と自分を納得させていたピッパ。
ところがそこで15歳も年下のクリスと出会うんですね。
何かと悪評の高いクリスでしたが、ピッパはそうは思わなかったのです。
そんなある日、ピッパは夫の浮気現場を見てしまいます。それも自分の知り合いが相手。
ガラガラと音を立てて崩れさる理想の結婚像。しかしそれが理想でなかったことにピッパは気付くのです。
なぜから以前のピッパはこんな生き方をしていなかったのだから。
クリスとの関係と共に、ピッパの過去が、今明かされて行くのです…。

かなりの“昔”を持つピッパ。そのピッパが欲しがった安心、安定は間違いじゃないと思うんです。
間違いなのは夫。浮気はダメだって。綺麗ごとを言ってるんじゃなく、本心でそう思うのです。
壊れていいならいいけど、その覚悟がないならダメだって。
だからと言って“目には目を”もいかがなものか(笑)。 たぶん普通の人の見方は違うんだと思います。
ボクがひねくれてるんです(笑)。男女の間は難しいものです。☆3つ。
「50歳の恋愛白書」公式サイト


「食堂かたつむり」は、柴咲コウ主演作。

失恋がきっかけでしゃべることができなくなった倫子は、田舎に帰ることに。
そこで大好きな料理の腕前を活かして食堂を始ようとするんですね。
ところが、田舎にはどうにも合わない母親の存在がある。
皮肉ばっかり言われる毎日に辟易とする倫子。
それでも優しくサポートしてくれる熊さんや、
周りのみんなの助けで“食堂かたつむり”はオープンに漕ぎ着けます。
1日1組限定で、そのお客さんに合ったイメージの料理を提供する。
すると、その料理を食べた人たちの願いが叶うと評判になるんですね。
そんなある日、母が倫子にあることを告白します。衝撃の告白でした。
それを聞いた倫子は、母のために心を込めて料理を作ろうと決意するのでした…。

あったかい1本です。親の思いってすごいなって。
ごはんっていいですよね。
ボクは何のために働いてるかって、好きな人(恋愛に限らずです)と
美味しいものを食べるために働いてるって言っても過言ではないくらい。
幸せな瞬間なんだなぁ。
映画はその後で願いが叶うけど、ボクは食事というものそれ自体が願いなんじゃないかなって思うくらい。
本当に美味しいものを食べましょ。幸せになれますョ!この映画で再確認。☆3つ。
「食堂かたつむり」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.1.29

「イエローキッド」☆☆☆
「ゴールデンスランバー」☆☆☆
「パラノーマル・アクティビティ」☆☆☆
「フローズン・リバー」☆☆☆
「ラブリー・ボーン」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

試写に行くと備え付けの自販機で飲み物が無料で飲めたりしたのですが、
今はお金が必要になって。
この辺も不況の影響なんでしょうね。
いつになったら景気のいい話ができるんでしょうねぇ。
映画をたくさん見て、心だけは豊かにいたいものです。
さ、今週は5本です!


「イエローキッド」は、新人監督の大学院卒業制作作品という異色の映画。

痴呆の祖母とのふたり暮らしで、夢も希望も持てない青年、
田村にとって、唯一頑張れるのがボクシングでした。
ところがそのジムには不良の先輩、榎本がいて、田村をそそのかして窃盗事件に手を染めさせます。
そんな時、ジムに人気漫画家の服部が取材に来るんですね。
服部のカバンから財布を盗めという榎本でしたが、
田村は大好きな「イエローキッド」の原画を盗んでしまいます。
榎本からボコボコにされる田村。
詫びられた服部は、そんな田村のことが気になって仕方なくなります。
一方で服部も、取材から三国というボクサーが
自分の元恋人と付き合って妊娠させていることを知ってしまうのです。
フツフツと沸き上がる憎しみの感情。
それぞれにやり場の無い怒りを抱くふたり。その感情が、どんな行動へと発展していくのでしょうか…。

監督の真利子哲也は、独立系映画館主たちによって選ばれた
「NEW DIRECTOR/NEW CINEMA 2010」を受賞。
粗っぽさはあるものの、役者たちも含め、
まさに全力投球という“熱”を感じさせる作品に仕上がってます。
主役の田村を演じる遠藤要の、一瞬垣間見せる狂気の表情にもゾッとしますから。
ストーリー展開や着地点については様々な意見があると思いますが、
その将来性には素直な賞讃が必要では?☆3つ。
「イエローキッド」公式サイト


「ゴールデンスランバー」は、堺雅人主演の話題作。

「釣りにいかないか」。
大学卒業以来となる友人の森田から呼び出された青柳。
車に乗るやついウトウトしてしまい、目覚めたら、首相の凱旋パレードのすぐ近く。
森田は言います。「俺は女房の借金の肩代わりに、お前をここへ連れて来いと言われた。
お前、オズワルドにされるぞ。逃げろ。無様だろうが、人間生きてなんぼだ」。
車を降りるや、その車が爆発。
パレード中の首相もリモコンヘリ爆弾で死亡してしまいます。
驚いたのは、警官が青柳目掛けて発砲してきたこと。
そしてTVのニュースでは身に覚えのない証拠映像なるものが次々と流されてること。
誰の陰謀で、いったい何のために、彼は首相暗殺犯にされてしまったのか?
考える間も無く、逃げる、逃げる。今はとにかく逃げるしか無かったのです…。

舞台は“杜の都”仙台。
平凡な青年だった青柳でしたが、彼は以前、人気アイドルを暴漢から助けたことがあるんですね。
ちょっとした有名人ではありました。でもそれとこれとは話は別で。
さぁどうやって巨大な力から逃げるのか。何故犯人にされたのかではなく、
とにかく逃げる映画、逃げ切る映画なんです。
登場キャラもなかなか個性的で、サスペンスアクションというよりも、
クスクス笑いもこぼれる内容です。その辺が意外でした。
先ほどのアイドルの話もしかり、いろんなところに伏線が張られていて、
飽きることなく楽しめました。☆3つ。
「ゴールデンスランバー」公式サイト


「パラノーマル・アクティビティー」は、全米で大ヒットのホラー映画。

ごくごく普通の一軒家に暮らす若い男女。しかし寝ている間に何かが起こっているよう。
原因は自分にあると、少女の時から霊感体質のケイティは恋人のミカに言います。
ミカは寝室にカメラを設置。夜中の様子をビデオで撮影するのですが、
ケイティはその“何か”が撮影を嫌がっているのでは?と感じていたのです。
ミカに忠告しても、やめるどころか、「出て来いっ」とあおる始末。
しかしビデオを再生するとその映像には、とんでもないものが映っていたのでした…。

制作費わずか135万円、公開館数12館という超B級映画が、
公開5週目には全米1位を記録。興行収入も90億円を突破する大ヒット作となったのです。
確かにシンプルで、ゆえに逆にリアリティを感じさせます。
ただやはり怖さの質が日本とアメリカでは違う。
日本は霊や怨念だけど、アメリカは悪魔。その差かなと。
女の子に抱きつかれたいなら間違いなくお勧めですが(笑)。☆3つ。
「パラノーマル・アクティビティー」公式サイト


「フローズン・リバー」は、08年サンダンス映画祭グランプリを始め、
数々の賞を獲得またはノミネートされた作品。

カナダ国境近く、NY州最北部に暮らす白人女性のレイ。
彼女にはふたりの息子がいたのですが、夫はギャンブル依存症。
新居を買うためにコツコツ貯めたお金を持って姿を消してしまったのです。
夫の行方を探す毎日。
すると、ビンゴ会場の駐車場で夫の車を運転する先住民族、モホーク族の女を発見します。
追跡して問い詰めると、「盗んだんじゃない。カギが付いたままだったから拾ったんだ」と主張。
彼女の名はライラ。話を聞けば、別れた夫の母親が娘を連れていってしまい、
その子と暮らすためにお金が必要なんだと。
似たような悩みを持つふたりは互いに人種の違いといった不信感を拭えないながらも手を組み、
カナダからアメリカに不法移民を移送する“裏仕事”を始めたのです。
しかし、それはやはり“裏”の仕事。
ふたりを待っていたのは、決してハッピーな結末ではなかったのです…。

何としてもお金を稼ぎたい。
そんなレイとライラの根底にあるのは“子供への思い”。母は強しです。
ボクらの暮らす社会は選択肢に溢れていて、
逆に選べないでいるうちにすべてを失ってしまうパターンも多いけど、
この映画にある環境って、その選択肢がない。
リセットしようにも“リセット=ゼロ”でもあるんです。
そんな中で危険と隣り合わせの“仕事”を選ぶふたり。
でも根っこに愛があるから救われる。
わかると言ったら嘘になるけど、きっと親の気持ちってこんななのかなって。
サスペンスとして見ても、ヒューマンドラマとして見てもいい1本です。☆3つ。
「フローズン・リバー」公式サイト


「ラブリー・ボーン」は、「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督最新作。

学校からの帰り道、近所に住む男にいたずらされ、14歳の若さで殺されたスージー・サーモン。
この世を去ったスージーが辿り着いたのは、不思議な感覚の場所。
家族や友達を見守っているのに思いは伝えられない。
自分が死んだことで家族がバラバラになってしまったことを心配するスージー。
初恋の相手、レイとキスもしないで離れてしまった。
犯人はまだ捕まっておらず、このままだと妹の命も危ない。
スージーは自分の思いを何とかみんなに届けたいと思うのですが…。

「家族の絆の話です」とプロモーター氏。
でもボクにはかなりスピリチュアルな話に思えました。
天国のお話。結構、宗教的だったけど。
でも最近そういうスピリチュアル系の話に興味があるので、あながち嫌いじゃなかったかな(笑)。
違う展開を期待して行くと、正直肩透かしを食らうかも。☆3つ。
「ラブリー・ボーン」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.1.22

「サヨナライツカ」☆☆
「パーフェクト・ゲッタウェイ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

DVDを買っても家で見る時間もない。
ならばポータブルDVDプレーヤーだと、某家電量販店へ。
すると、ありました!
電池内蔵型で、充電しておけばアダプターが無くても3時間弱見られる機種が9800円!
もちろんもっと出せばTVの見られるヤツなども売ってます。
でもこの1万円を切るってところがいいっ(笑)。
10%のポイント入れたら9000円しないのですから。
これで見逃した映画をたくさん見たいと思います!
さ、今週は2本です!


「サヨナライツカ」は、中山美穂主演作。

航空会社の若きエリート、東垣内豊。婚約者を日本に置いて、
タイのバンコク支社に単身赴任した豊には、大きな野望がありました。
そんな彼の歓迎パーティーに現れたひとりの女性、真中沓子。
周りの視線をたちまち集める妖艶な出で立ちに、豊も例外なく魅了されたのです。
豊を見つめる沓子。
後日、アポもなく部屋を訪ねて来た沓子を抱く豊。
高級ホテルのスイートルームに暮らし、ブランド品を買い集める。
謎めいた美貌の持ち主に、豊は魅かれていくのでした…。

豊だけじゃなく、沓子も豊に今までにない感情を抱きます。
しかし豊には婚約者がいる。仕事への野望がある。
ふたりのとった行動は?そしてふたりの未来は?
という映画。
ひと言で言っちゃうと“愛人の映画”。ボクの嫌いな世界観(笑)。
でも考えてみれば、一夫多妻じゃない日本で女性の多くが狙う“成功者”はひと握りな訳で。
そしたらそいつのところへ複数の女性が行きますよね。
で、その“成功者”には複数を相手にできるだけの器量がある。
今の日本は「妻の座よりお金と生活」と割り切った愛人だらけなのかも?
この映画を見て「純愛!」と涙する人が多いとしたら、
それはいかがなものかとボクは嘆きます。☆2つ。
「サヨナライツカ」公式サイト


「パーフェクト・ゲッタウェイ」は、ハワイを舞台にした推理サスペンス。

クリフとシドニーは新婚カップル。ハネムーンは憧れのハワイ・カウアイ島に。
難所を通って2日は歩かないと辿り着かないという美しいビーチを目指して歩き始めるふたり。
途中、どこか怪しげな2組の男女と出会うんですね。彼らもまた同じビーチを目指すと言います。
そんな時、オアフ島で新婚カップルが惨殺される事件が起こったと。
その犯人がカウアイ島に逃げて来ているというニュースが飛び込みます。
さらにその犯人が男女の2人組だというのです。
3組のカップルが互いに互いを疑い始めます。
「この中に犯人がいる…」。
人里離れた自然の中で、自らの命は自分たちで守らなければならない。
果たして犯人は一体誰なのでしょうか…。

どんでん返しを楽しむ映画です。でも3択ですから(笑)、意外とわかっちゃうかな。
ただ、わかった後も楽しめるような仕掛けの数々はさすが。なかなかよく出来てましたョ。
アッと驚く斬新さは無いものの、及第点。☆3つ。
「パーフェクト・ゲッタウェイ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.1.15

「シャネル&ストラヴィンスキー」☆☆☆
「BANDAGE」☆☆☆
「秘密結社 鷹の爪3 THE MOVIE」☆☆
「ブルー・ゴールド 狙われた水の真実」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

ハリウッド女優のドキュメンタリー映画「デブラ・ウインガーを探して」を探していたら、
もう無いんだそう。
メーカーに聞いても、「追加製造するかは未定」との返事。
手に入らないなんて、すごいショックなんですけど…。
お気に入りは早くDVDを買えってことでしょうか。何とかならないかなぁ。
さ、今週は4本です!


「シャネル&ストラヴィンスキー」は、20世紀を代表する大物ふたりの恋物語。

20世紀初頭のパリ。ストラヴィンスキーの革新的舞台『春の祭典』が、
シャンゼリゼ劇場で初演を迎えようとしていました。
あまりに斬新過ぎて観客はひとり、またひとりと席を立ちます。
ところがそんな中、その世界観に魅了されていた女性がひとり。そう、ココ・シャネルです。
それから7年。デザイナーとして成功を収めたシャネルと、
ロシア革命ですべてを失ったストラヴィンスキーがパリで出会います。
互いの才能に魅かれ合うふたり。肺を患う妻を持つストラヴィンスキーでしたが、
シャネルへの熱い思いを止めることはできなかったのです…。

当時、シャネルは得た財をいろんな才能に与えて援助していたようなんですね。
いわゆるパトロンというやつ。
シャネルも最初は孤児として育ち、修道女から裁縫を学んで、靴下作りから始めたそう。
その仕事がつまらなくて気晴らしにカフェで歌ってたら、
その姿を見た、競走馬を生産するお金持ちが惚れて、恋に落ちたと。
それがきっかけで乗馬の世界に足を踏み入れたシャネルは、
乗馬や競馬の上流階級からさまざまなインスピレーションを得て、
デザイナーとしての才能を開花させていくのです。
“動く”って大切だなと改めて。
また馬の紡ぐ“縁”ってやっぱりすごいなと、こちらもまた改めて。
道ならぬ恋ですから、それは燃え上がるのは当然。ただ、傷付く人がいるのはやっぱりつらいなぁ。
そんな見方じゃこの映画の良さはわからないと知りつつもって感じでしょうか(笑)。☆3つ。
「シャネル&ストラヴィンスキー」公式サイト


「BANDAGE」は、音楽プロデューサーとして知られる小林武史の初監督作品。

バンドブームに沸く90年代の日本。
女子高生だったアサコは、友達のミハルの紹介でLANDSというバンドを知ります。
もらったCDを聞いて涙するアサコ。
彼女の心のひだに、VO.ナツの唄が突き刺さった瞬間でした。
高校を中退したミハルとLANDSのライブに行き、
関係者になりすまして楽屋に潜入することに成功するふたり。
まんまと打ち上げにまで同席するのですが、
マネージャーに見破られ、退席させられるんですね。
でも、ナツがアサコを気に入って、後で会う約束を交わします。
いかにもバンドマンといった軽いノリのナツは大嫌いだけど、
LANDSのボーカルとしてのナツは大好き。
そこからふたりの微妙な関係が始まったのでした…。

音楽プロデューサーの描く音楽の映画だから、リアリティはある。
ボクも一応音楽業界の人間でもあるので、
若干、TOO MUCHと感じたシーンもあるけど、それはご愛嬌(笑)。
青春映画として見るなら楽しめると思います。
っていうか、いいね、北乃きい。この手の作品には欠かせない存在。
“永遠の女子高生”です!
この映画には「バンデイジ」ってフリガナが振ってあるんだけど、
たぶん「バンドエイジ」だと“坂東英二”になっちゃうって、真剣に会議で出たと推測(笑)。☆3つ。
「BANDAGE」公式サイト


「秘密結社 鷹の爪3 THE MOVIE」は、TVでもおなじみ蛙男商会のアニメーション。
ストーリーを紹介しようかと思ったけど、紹介のしようがない(笑)。
強いて言えば、鷹の爪団のメンバーと、
核兵器の放棄を宣言したアメリカのオババ新大統領との戦い。
オババさん、裏の顔があります。
たっくさんのキャラクターが登場し、いろんなものがカットイン。
アイデア豊富にあっちこっちに話が飛んで、最後は何とか着地する賑やかな映画。
好きな人は好きでしょう。TVで魅了された人はスケールアップした内容に満足できるはず。
ボクはあんまりわからないんだよね、この面白さ。ごめんなさい。☆2つ。
「秘密結社 鷹の爪3 THE MOVIE」公式サイト


「ブルー・ゴールド 狙われた水の真実」は、世界の水事情を描いたドキュメンタリー。
水はどこにでもあると、特に水資源の豊富なボクら日本人は思っちゃうけど、実はさにあらず。
じゃ、干ばつに悩むアフリカ地域の問題かというと、これまた違う。
実は水って本当に大切な、限られた資源だということを知った方がいい。
例えば、アメリカの五大湖の水を汲み上げてペットボトルに詰めて売ってる企業があると。
水だから、今は原材料費は無料な訳です。
ところが、その水を吸い上げれば、当然その水資源は枯渇しますよね。
さらに、水も“地産地消”で、その地域で循環していればいいけど、ペットボトルで別の地域に運んじゃえば、
汲み上げた場所にその水が戻ってくることは無い訳です。
すると周辺の生態系は壊れ、環境破壊はすぐに人間に影響を及ぼすことになるのです。
「確かに」って感じでしょ?
他にもボクら人間がやっている、水に関する間違ったことをいっぱい教えられる1本です。
子や孫や、さらに顔を見ることの無いその先の子孫のことまできちんと考えたなら
見ておきたい映画の登場です。☆4つ。
「ブルー・ゴールド 狙われた水の真実」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2010.1.7

「ソフィーの復讐」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

2010年がスタートしました。
今年もどんな作品に出会えるのか、今からワクワクしています。
ずっと言ってきたように、感性のものに正解はないので、
ここで書くのはあくまでボクの個人的な感想です。
ボクの評価が高くても期待し過ぎず、低くても興味があったら自身で確かめる。
そんなスタンスで読んで頂けたらうれしいです!
今年もよろしくお願いします!


「ソフィーの復讐」は、中国・韓国合作コメディー。

漫画家のソフィーには、付き合って2年になるイケメン外科医のジェフという彼がいました。 ジェフがみんなの前でプロポーズをしてくれて、すべてが順風満帆。
幸せいっぱいの毎日を送っていたのです。
ところがある日、ジェフの病院にセクシー女優のジョアンナが入院してからおかしくなります。
その色香にやられてしまったジェフが、なんとソフィーとの婚約を破棄してしまったのです。
ショックで立ち上がれないソフィーでしたが、何とかもう一度ジェフの気持ちを取り戻そうと、
ふたりの女友達と様々な仕掛けをしていきます。
果たしてソフィーはジェフを取り返すことができるのでしょうか…。

ソフィーには“アジアンビューティー”のチャン・ツィイーが、
ジェフには韓国の人気俳優、ソ・ジソブが扮します。
どちらもコメディー初挑戦。チャン・ツィイーはプロデューサーとしても名を連ねています。
正直、ストーリー的にはコメディーと割り切ればって感じ。
でもオシャレな映像は女の子には受けるんじゃないかな。
ソフィーは自らの体験を漫画にして大ヒットさせるんだけど、
ボクらDJも身を削ってこそリアリティある話ができるって点じゃ一緒かも。
パッツン頭のチャン・ツィイーのかわいらしさに、ちょいとオマケで☆3つ。
「ソフィーの復讐」公式サイト