「イエローキッド」☆☆☆
「ゴールデンスランバー」☆☆☆
「パラノーマル・アクティビティ」☆☆☆
「フローズン・リバー」☆☆☆
「ラブリー・ボーン」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)
試写に行くと備え付けの自販機で飲み物が無料で飲めたりしたのですが、
今はお金が必要になって。
この辺も不況の影響なんでしょうね。
いつになったら景気のいい話ができるんでしょうねぇ。
映画をたくさん見て、心だけは豊かにいたいものです。
さ、今週は5本です!
「イエローキッド」は、新人監督の大学院卒業制作作品という異色の映画。
痴呆の祖母とのふたり暮らしで、夢も希望も持てない青年、
田村にとって、唯一頑張れるのがボクシングでした。
ところがそのジムには不良の先輩、榎本がいて、田村をそそのかして窃盗事件に手を染めさせます。
そんな時、ジムに人気漫画家の服部が取材に来るんですね。
服部のカバンから財布を盗めという榎本でしたが、
田村は大好きな「イエローキッド」の原画を盗んでしまいます。
榎本からボコボコにされる田村。
詫びられた服部は、そんな田村のことが気になって仕方なくなります。
一方で服部も、取材から三国というボクサーが
自分の元恋人と付き合って妊娠させていることを知ってしまうのです。
フツフツと沸き上がる憎しみの感情。
それぞれにやり場の無い怒りを抱くふたり。その感情が、どんな行動へと発展していくのでしょうか…。
監督の真利子哲也は、独立系映画館主たちによって選ばれた
「NEW DIRECTOR/NEW CINEMA 2010」を受賞。
粗っぽさはあるものの、役者たちも含め、
まさに全力投球という“熱”を感じさせる作品に仕上がってます。
主役の田村を演じる遠藤要の、一瞬垣間見せる狂気の表情にもゾッとしますから。
ストーリー展開や着地点については様々な意見があると思いますが、
その将来性には素直な賞讃が必要では?☆3つ。
「イエローキッド」公式サイト
「ゴールデンスランバー」は、堺雅人主演の話題作。
「釣りにいかないか」。
大学卒業以来となる友人の森田から呼び出された青柳。
車に乗るやついウトウトしてしまい、目覚めたら、首相の凱旋パレードのすぐ近く。
森田は言います。「俺は女房の借金の肩代わりに、お前をここへ連れて来いと言われた。
お前、オズワルドにされるぞ。逃げろ。無様だろうが、人間生きてなんぼだ」。
車を降りるや、その車が爆発。
パレード中の首相もリモコンヘリ爆弾で死亡してしまいます。
驚いたのは、警官が青柳目掛けて発砲してきたこと。
そしてTVのニュースでは身に覚えのない証拠映像なるものが次々と流されてること。
誰の陰謀で、いったい何のために、彼は首相暗殺犯にされてしまったのか?
考える間も無く、逃げる、逃げる。今はとにかく逃げるしか無かったのです…。
舞台は“杜の都”仙台。
平凡な青年だった青柳でしたが、彼は以前、人気アイドルを暴漢から助けたことがあるんですね。
ちょっとした有名人ではありました。でもそれとこれとは話は別で。
さぁどうやって巨大な力から逃げるのか。何故犯人にされたのかではなく、
とにかく逃げる映画、逃げ切る映画なんです。
登場キャラもなかなか個性的で、サスペンスアクションというよりも、
クスクス笑いもこぼれる内容です。その辺が意外でした。
先ほどのアイドルの話もしかり、いろんなところに伏線が張られていて、
飽きることなく楽しめました。☆3つ。
「ゴールデンスランバー」公式サイト
「パラノーマル・アクティビティー」は、全米で大ヒットのホラー映画。
ごくごく普通の一軒家に暮らす若い男女。しかし寝ている間に何かが起こっているよう。
原因は自分にあると、少女の時から霊感体質のケイティは恋人のミカに言います。
ミカは寝室にカメラを設置。夜中の様子をビデオで撮影するのですが、
ケイティはその“何か”が撮影を嫌がっているのでは?と感じていたのです。
ミカに忠告しても、やめるどころか、「出て来いっ」とあおる始末。
しかしビデオを再生するとその映像には、とんでもないものが映っていたのでした…。
制作費わずか135万円、公開館数12館という超B級映画が、
公開5週目には全米1位を記録。興行収入も90億円を突破する大ヒット作となったのです。
確かにシンプルで、ゆえに逆にリアリティを感じさせます。
ただやはり怖さの質が日本とアメリカでは違う。
日本は霊や怨念だけど、アメリカは悪魔。その差かなと。
女の子に抱きつかれたいなら間違いなくお勧めですが(笑)。☆3つ。
「パラノーマル・アクティビティー」公式サイト
「フローズン・リバー」は、08年サンダンス映画祭グランプリを始め、
数々の賞を獲得またはノミネートされた作品。
カナダ国境近く、NY州最北部に暮らす白人女性のレイ。
彼女にはふたりの息子がいたのですが、夫はギャンブル依存症。
新居を買うためにコツコツ貯めたお金を持って姿を消してしまったのです。
夫の行方を探す毎日。
すると、ビンゴ会場の駐車場で夫の車を運転する先住民族、モホーク族の女を発見します。
追跡して問い詰めると、「盗んだんじゃない。カギが付いたままだったから拾ったんだ」と主張。
彼女の名はライラ。話を聞けば、別れた夫の母親が娘を連れていってしまい、
その子と暮らすためにお金が必要なんだと。
似たような悩みを持つふたりは互いに人種の違いといった不信感を拭えないながらも手を組み、
カナダからアメリカに不法移民を移送する“裏仕事”を始めたのです。
しかし、それはやはり“裏”の仕事。
ふたりを待っていたのは、決してハッピーな結末ではなかったのです…。
何としてもお金を稼ぎたい。
そんなレイとライラの根底にあるのは“子供への思い”。母は強しです。
ボクらの暮らす社会は選択肢に溢れていて、
逆に選べないでいるうちにすべてを失ってしまうパターンも多いけど、
この映画にある環境って、その選択肢がない。
リセットしようにも“リセット=ゼロ”でもあるんです。
そんな中で危険と隣り合わせの“仕事”を選ぶふたり。
でも根っこに愛があるから救われる。
わかると言ったら嘘になるけど、きっと親の気持ちってこんななのかなって。
サスペンスとして見ても、ヒューマンドラマとして見てもいい1本です。☆3つ。
「フローズン・リバー」公式サイト
「ラブリー・ボーン」は、「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督最新作。
学校からの帰り道、近所に住む男にいたずらされ、14歳の若さで殺されたスージー・サーモン。
この世を去ったスージーが辿り着いたのは、不思議な感覚の場所。
家族や友達を見守っているのに思いは伝えられない。
自分が死んだことで家族がバラバラになってしまったことを心配するスージー。
初恋の相手、レイとキスもしないで離れてしまった。
犯人はまだ捕まっておらず、このままだと妹の命も危ない。
スージーは自分の思いを何とかみんなに届けたいと思うのですが…。
「家族の絆の話です」とプロモーター氏。
でもボクにはかなりスピリチュアルな話に思えました。
天国のお話。結構、宗教的だったけど。
でも最近そういうスピリチュアル系の話に興味があるので、あながち嫌いじゃなかったかな(笑)。
違う展開を期待して行くと、正直肩透かしを食らうかも。☆3つ。
「ラブリー・ボーン」公式サイト
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