「お買いもの中毒な私!」☆☆☆
「スター・トレック」☆☆☆
「ROOKIES-卒業-」☆☆☆
「路上のソリスト」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)
あるドキュメンタリー映画のワンシーン。
講義をする先生が受講生たちに言います。
「何も質問せずに、今から私の言うものを書いて下さい。
四角の上にバランス良く、丸を3つ書いて下さい」。
そして「周りの人と見比べて下さい」と。
するとみんな違う絵を書くんですね。
四角の上辺に塔のように丸を3つ重ねて書く人。上辺に丸を横に並べて書く人。
四角の中に丸を3つ入れる人。いろんな人がいます。
「これがワンウェイ・コミュニケーションなんです」。
伝え手の思いがそのまま伝わるとは限らない。
しゃべり手のボクにとって、改めて思い知らされた大切なことでした。
映画ってこうして勉強もさせてくれるんですョ。
さ、今週は4本です!
「お買いもの中毒な私!」は、ディズニーのロマンチック・コメディー。
レベッカ・ブルームウッド、25歳。一流ファッション誌の記者を夢見るNY在住の女性。
ところが彼女が勤めるのは地味な園芸雑誌の編集部。
夢とはかけ離れた現実にストレスは溜まる一方。
そのストレス解消法がお買い物だったのです。
ストレス解消法とは言っても彼女の場合はちょっぴり度が過ぎていて、
何枚も作ったカードがすべて限度額オーバーに。
これじゃダメだと心機一転。ファッション誌の記者を目指して転職を計るのですが、
拾ってくれたのはまったく畑違いの経済誌。
ところが、「消費者の気持ちがよくわかってる」とコラムが大人気に。
果たしてレベッカは、人生を変えることができるのでしょうか…。
すごく極端なキャラ設定で、大事な約束もショッピングで飛ばしちゃう。
嘘までついて言い訳しているレベッカに、正直どうしても感情移入ができませんでした。
少し前からこういうのが多いですよね。許容範囲のレッドゾーンっていうのがあって、
それを超えちゃうとどうぞご勝手にってなっちゃうのはボクだけでしょうか?
たくさんのブランドが協力し、プロデューサーも「パイレーツ・オブ・カリビアン」の
ジェリー・ブラッカイマー。なんか惜しいです。☆3つ。
「お買いもの中毒な私!」公式サイト
「スター・トレック」は、SFサスペンス・アクション。
宇宙船USSケルヴィンが、突然現われた大型艦に襲われます。
キャプテンのジェームズ・T・カークはクルーたちを救うため、
宇宙船と共に宇宙に散っていったのです。
助かった人々の中にはカークの妻も、脱出の小型艇の中で生まれた息子もいました。
22年後、父の名を受け継ぎ、成長したカークは、自分の進むべき道に悩んでいました。
荒れた生活で人との衝突を繰り返す中、
父の最期を知っているという惑星連邦艦隊のパイクと出会います。
「父を超える男になってみろ」。
その言葉に、カークは将来を懸けてみようと決意したのです…。
時空を飛び交うSFものですが、そう難解でもなく楽しんで見ることができました。
これまでのシリーズとは一線を画した“新たな”作品とのこと。
前シリーズの登場人物たちが、かなり個性的でキャラ立ちしてましたからね。
“トレッキー”と呼ばれる「スター・トレック」ファンがどう評価するかがカギでしょう。
こちらのカークの最初のイメージは、悪ぶってても意外と優等生?
SFというより宇宙が舞台の熱血青春モノっぽくもありました(笑)。
気になるという人は是非見比べてみて下さいねっ。☆3つ。
「スター・トレック」公式サイト
「ROOKIES-卒業-」は、TBSの人気TVドラマの映画化。
二子玉川学園高校、通称“ニコガク”の野球部は、夏の甲子園予選の最中に不祥事を起こし活動停止中。
部員の生活も荒れまくり、野球への情熱も冷めかけていた時、熱血教師の川藤がやってきます。
次第に心動かされ始める部員たち。しかし、川藤が過去に起こした暴力事件が新聞に取り沙汰され、
川藤は学校を去ることになってしまったのです。
と、ここまでがTVでのお話。映画は野球部の面々が3年生になったところから始ります。
川藤もニコガクに復職し、新入部員も2名入部。
そこまでは良かったのですが、この新入部員が一筋縄ではいかない。
ひとりは中学野球界期待の赤星。
もうひとりは勘違いから唯一の補欠である平塚をヒーローとあがめる濱中。
メジャーを目指すという赤星は試合には出るけど練習はしないと言い、濱中は平塚の真の姿に怒り心頭。
新生ニコガク野球部は苦難の船出となりました。
そんなある日のこと、赤星が不良に絡まれているところにキャプテンの御子柴が通り掛かるんですね。
赤星を助けた御子柴でしたが、足を骨折。その代償は大きなものとなってしまいます。
予選に間に合わない。
みんなの前じゃ気丈に振る舞いながらも、
ひとりの病室では涙をこらえ切れないキャプテンの姿に赤星の心も変わっていきました。
「御子柴を絶対甲子園に連れていこう!」。
こうしてチーム一丸となったニコガク野球部はいよいよ夏の予選大会を迎えたのでした…。
ボクはTVシリーズを見ていないのですが、それでも十分に楽しめました。
ただ、キャラクターひとりひとりにファンがいるだろうから、
そのバランスを考えてか感動のシーンのオンパレード。ちょっとお腹いっぱいになっちゃったかな。
それでもサブタイトルが“卒業”ですから、最後は感涙のシーンが待ってます。
あそこは台本に台詞が無く、全員アドリブだったそう。
TVでファンになった人は号泣必至。ハンカチを忘れずに!☆3つ。
「ROOKIES-卒業-」公式サイト
「路上のソリスト」は、LAタイムズのスティーヴ・ロペスが書いた人気コラムの映画化。
実話に基づくストーリーです。
LAタイムズ記者のロペスは、公園でとてつもなく美しいヴァイオリンの音色を耳にします。
その音を頼りに近付いていくと、
みすぼらしい身なりの黒人男性が2弦しかないヴァイオリンを弾いていたのです。
名前を尋ねると、ナサニエル・エアーズと名乗ります。
ベートーベンを愛し、ジュリアード音楽院にいたというのです。
名門音楽大学の卒業生が、どうして路上生活者になったのか?
記者としての好奇心をくすぐられたロペスがいろいろと質問をするのですが、なかなか的を射ません。
独自に調べたところ、確かにジュリアード音楽院に在籍していたのですが、
卒業ではなく退学していたんですね。
その理由は統合失調症。
「弦2本で世界を奏でるヴァイオリン弾き。あと2本弦が欲しいと彼は答えた」。
ロペスのコラムに読者のひとりからチェロが届きます。それをナサニエルに届けるロペス。
「高価なものだから、支援センターで寝泊まりしたらいい」。
路上生活からの脱却を勧めるロペスでしたが、ナサニエルは頑として首を縦には振らなかったのです…。
幸せの定義について考えさせられる1本。
幸せって不幸と同じで、他人と比べるものじゃないんですよね。
自分がどう感じるか。そこなんですよね。
だからと言って、自分勝手に振る舞っていいっていうことじゃないんですよ。
動物と違って、人間には理性というものがある。
規制があるから自由があり、自由があるから幸せがある。
何より打ち込むものを持っているってすごくいいなと感じました。
仕事一本で頑張って来たお父さんが、
定年後に趣味もなく、人生に行き詰まることもしばしばだと聞きます。
ナサニエルには音楽がある。ある意味、幸せだと思いましたが、あなたはどう感じるでしょう?
不幸だなぁと溜め息を付く毎日だとしたら、
ナサニエルの生き方が、何かヒントをくれるかもしれません。☆3つ。
「路上のソリスト」公式サイト
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