週末公開の映画……2006.12.21

「合唱ができるまで」☆☆
「酒井家のしあわせ」☆☆
「鉄コン筋クリート」☆☆☆☆
「百万長者の初恋」☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)

今年ここまで見た映画は181本。
12月最終週も少し見るので最終的にはもうちょっと増えそうですが。
それでもタウン情報誌などを開くと、4分の1も見ていないのが現実。
見逃したものの中に素晴らしい映画があったらどうしよう?と、怖くなったりもするけれど、
なんかそれって人の出会いと一緒で、運命なんじゃないかなって。
もし赤い糸で結ばれているならば、きっと見ているのです。
見なかったというのは縁がなかったんだと。そう思うようにしています。
もしこのHPを見て、何か1本でも興味を持って劇場に足を運んで下さった人がいたなら、
ボクは本当に幸せです(*^_^*)。
さて、年内更新はこれでおしまい。
年明けは13日公開のものから紹介していきますので10日過ぎという感じかな。
よろしくお願いします!
では今週の4本です!

「合唱ができるまで」はフランス映画。 実はこれ、ドキュメンタリー作品なんですね。
ボクが勝手にイメージしてたのは、
合唱団に所属するメンバーにそれぞれドラマがあって、何か訳ありで(笑)。
さまざまな困難を乗り越えて1つの曲を完成させる感動のストーリーみたいなやつ。
いや違った…(笑)。
パリのアマチュア合唱団100名が週に1度、
マルシャンという女性指揮者のもとに集まって近付きつつある教会のミサ・コンサートに向けて練習をする。
老若男女がいて、もちろん成長し、合唱が完成するまでの努力の日々を描いているのです。
課題曲があるから、それがずーっと流れてて、聴覚的にはあまり変わり映えせず、
視覚的にも、う〜ん。
勝手に感動のドラマを頭の中に描いていっちゃったボクがいけない…。
ごめんなさい。☆2つ。
icon「合唱ができるまで」公式サイト

「酒井家のしあわせ」はユースケ・サンタマリアと友近の主演作。
ある家族の“しあわせ”を描いています。
関西のある田舎町に住む酒井家は4人家族。
夫正和、年上の妻照美、息子の次雄は中学2年、娘の光は5歳。
照美は再婚で次雄は事故で亡くなった前夫との子。光は正和との子。
ちょっぴり複雑な関係を持つ家族ではありました。次雄はそろそろ反抗期。
東京の人間のくせに、インチキっぽい関西弁を話す正和がウザくなってきていました。
そんなある日、突然正和が家を出るというのです。
なぜかと聞くと、「好きな人ができたから」。それも相手は女ではなく、男。
さらにみんながよーく知ってる職場の後輩の麻田くんだと言うのです。
これにはみんな口をあんぐり!でもホントは違う理由があったのです…。
平凡と言えば平凡な家庭に突然起きた騒動。裏に隠された正和の真意は、
伏せとくけど、ま、何となく想像ついちゃうかな。
自分だったらどうするだろうって考えたりもするけど、
果たして正和のような行動には出ないだろうなぁと。
その瞬間、投影するものがパッと無くなってしまったのが残念。
平凡な家族の話が、最後まで平凡なまま進んだのはきっと作り手の意図するところなんだろうけど、
欲しかったかな、ひとひねり。
あくまで個人的な見方ですみません。こちらも辛口で☆2つ。
icon「酒井家のしあわせ」公式サイト

「鉄コン筋クリート」はアニメ映画。「ピンポン」などでもおなじみ、
松本大洋の漫画(週刊ビッグコミックスピリッツ連載)の映画化です。
過去とも未来ともわからない不思議なトーンを持つ宝町。
ここを根城にする2人の少年、クロとシロ。
彼らは“ネコ”と呼ばれ、その名は遠く他の町にも知れ渡っていました。
ネコを倒せば宝町をモノにできる。
その日もアサとヒルという2人の少年がシロとクロに挑みに来ました。
しかし力の差は歴然。返り討ちにするんですね。その時、アサとヨルから聞いた不穏な噂。
それは“子供の城”の建設と“殺人マシーン3人組”の話。
この宝町にも絶対にやってくるから気をつけろと。
アサとヨルの話は現実となります。
義理と人情とヤクザの町、宝町。ここに続々とやさぐれものたちが集まり始めたのでした…。
原作を読んだことのある人ならわかるかと思いますが、
松本大洋作品というのは不思議な色合いを持っているんですよね。
この映画も、ストーリーももちろん大切ですが、それ以上に感覚で引きつけられる1本。
予告編見たら、「宝町って面白そうな町だなぁ」ときっと思うはず。懐かしくって、新しい。
ボクらが子供の頃に体感した古き良き時代がそのまま残りつつ、進化した町。
それがボクには宝町なんですね。おそらくあなたの原風景にもきっとあるはず。
大切な町を守ろうとするシロとクロ。どちらが欠けても生きていけない大切なパートナー。
強くて弱い2人の活躍を見守ってあげて下さい。☆4つ。
icon「鉄コン筋クリート」公式サイト

「百万長者の初恋」は韓国映画。
財閥3世のドラ息子、ジェギョン。18歳の誕生日に祖父の莫大な遺産を手にするはずが、
遺された遺書には相続の条件が書かれていたのです。
都会から離れた田舎の学校、ポラム高校を卒業せよと。
そこで出会ったひとりの少女、ウナン。
天真爛漫ながら、どこか陰のある彼女のことが気になり始めます。
実はウナンは肥大性心筋症という難病におかされていたんですね。
ある日、ウナンが育った孤児院がジェギョンの祖父の土地で、
たびたび訪れていたことを思い出すジェギョン。
その記憶の中には、再会を約束しながら果たせなかった幼い日のウナンがいたのです。
その孤児院が閉鎖の危機にありました。大切なものを次々失ってしまいそうなジェギョン。
お金で買えないものがあることを彼は知るのです…。
これも主人公の片方が難病という韓国映画によくある設定で。なんかもうちょっと食傷気味かな。
ウナン役のイ・ヨニちゃんはかわいいです。それが救いかな(笑)。
厳しい評価でごめんなさい。☆2つ。
icon「百万長者の初恋」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.12.15

「あるいは裏切りという名の犬」☆☆☆
「デート・ウィズ・ドリュー」☆☆☆
「とかげの可愛い嘘」☆☆
「長い散歩」☆☆☆
「プレスリーvsミイラ男」☆☆
「ライアンを探せ」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

「硫黄島からの手紙」、好調みたいですね。
ぐっとくるシーンももちろんあるんですが、もっと深いところで心を揺り動かされる作品です。
考えてみれば、あの時代だったらXmasなんてとてもじゃないけど楽しめなかったんですから。
捕まって死刑ですよ。日本は平和になりました。
その反面、残忍な事件が毎日のように起こるのは何故なんでしょうね…。
さぁ今週は6本です!

「あるいは裏切りという名の犬」は、フランス映画。
パリ警視庁に勤務する2人の警視、レオとドニ。
かつては親友で、同じ女性を愛した仲。
ところがその女性がレオを選び、妻となって以来、友情は崩壊。
レオはBRI(探索出動班)、ドニはBRB(強盗鎮圧班)と
所属も違う今やライバル関係になっていました。
共に次期長官候補として名が挙がるほどの切れ者同士。
しかし違ったのは、レオは周りからの人望が厚いのに対し、
ドニは出世欲が強く誰ひとりとして仲間がいないということ。
ある日、現金輸送車強奪事件が起こり、
BRIとBRBが力を合わせて捜査をすることになったんですが、
ドニの裏切りでレオは逮捕され、監獄へと入れられてしまいます。
そしてまさかの妻の死。
7年という歳月を獄中で過ごしたレオが、釈放されたのちに妻の死の真相を探り始めると、
そこにはドニの影があったのです…。
苦手のフランス映画ですが(笑)、
これは着地点がまずしっかりしていてわからないでもないぞって感じでした。
天気で言えば曇り空。独特の気怠いトーンが全編を覆います。
好き嫌いが意外とはっきり分れるかも。なので真ん中の☆3つ。
icon「あるいは裏切りという名の犬」公式サイト

「デート・ウィズ・ドリュー」は、ドキュメント・コメディとでも言いますか。
ごくごく普通の一般人が、果たしてハリウッド女優とデートできるのかというのを追いかけた映画。
そう、ドリューとは、ドリュー・バリモアのことなんです。
ブライアン・ハーズリンガー、27歳、無職、恋人なし。
生活費にも困っていた彼が、ある時TVのクイズ番組に出演して見事に賞金1100ドルをゲット!
その最後の答えが“ドリュー・バリモア”。
6歳の時に、「E.T.」に出演していたドリューを見て一目惚れしていたブライアン。
これは何かの縁だと勝手に思い込み、
この賞金を元手に憧れのドリューとデートをしようと本気で考えたのです。
そしてその過程を映画に撮ろうと思い付いたのです。
ビデオカメラは家電量販店の“1ケ月無料お試しサービス”を使うことに。
従って必然的に1ケ月というリミットができました。
自己紹介ビデオを撮ってドリューの事務所に送ったり、
つてのつてのまたつてまでをも頼ってできるだけドリューに近付こうとする一方で、
そっくりさんを集めて疑似デートをしてみたり、エステに行ったり、エクササイズに汗を流したり。
果たして彼は念願のデートまで辿り着くことができるのでしょうか…。
ブライアン、実はカレッジで映画と写真を専攻。首席で卒業したほどの優秀な男なんですが、
今は確かにうだつのあがらないただのムサ苦しい貧乏男。
でもこんな人生を変えてやろうと一念発起!
こんな度胸があれば、もっと早くから何かできたろうなと思うんだけどな(笑)。
クリスマスまであとわずか。
大好きなあのコに声を掛けられないでいるあなた、勇気をもらってきて下さい。☆3つ。
icon「デート・ウィズ・ドリュー」公式サイト

「とかげの可愛い嘘」は韓国映画。
小学校に通う8歳の男の子、ジョガン。ある日、ひとりの女の子が転校してきます。
彼女の名はアリ。雨でもないのに黄色いレインコートを着た不思議な子。
ポケッとにはいつもトカゲを入れてました。
昔、呪いをかけられ、アリに触るとそれが移ってしまうとか。
それを防ぐためにレインコートを着てるという彼女。
アリに触った先生がケガをしてしまい、周りの子供たちはそのことを信じていきます。
でもジョガンだけは違いました。ふたりは仲良しになります。
ところがそのジョガンがはしかにかかります。
アリは責任をとったのかどこかへ行ってしまったのです。
10年後、さらに8年後、突然姿を現してはまたいなくなるアリ。
いつも何故か嘘をついて。でもジョガンはそんなアリを忘れることができなかったのです…。
アリには秘密があって、そのために彼女なりの思いで嘘をつくんですが、
主人公の片方が悲劇のヒロイン(またはヒーロー)というパターン化された韓国映画のスタイルで、
ちょっぴりお腹いっぱいかも。
この映画自体が悪いんじゃないんだけどね。ごめんなさい、☆2つ。
icon「とかげの可愛い嘘」公式サイト

「長い散歩」は、奥田瑛二監督作品。主演は緒方拳。
高校の校長を定年退職した松太郎。
妻に先立たれ、一人娘に家を残し、わずかな荷物をまとめて一人暮らしを始めます。
妻の死因、それはアルコール中毒。
実は松太郎が仕事のために家族を顧みなかった結果なのです。そう、家庭は崩壊していたのです。
松太郎の新居は郊外の小さなアパート。隣りに住むのは若い水商売の女性。
出入りする若い男。聞こえてくる男女の営みの声、そして怒声。
しかし女には小さな娘がいました。段ボールで作ったボロボロの羽を背中にいつも付けている子。
その子が虐待されている事実をつかんだ松太郎は、その子を連れて旅に出るのです。
それはあたかも自分の家族に対する贖罪の旅でもあるかのようでした…。
人との触れ合いがまったくなかった少女は最初松太郎を拒むんですが、徐々に心を開き始めます。
彼女の名は、さち。もちろん誘拐騒ぎとなり警察も動き始めます。
松太郎が目指したのはまだ家族が崩壊する前に行った丘の上。
辿り着ければ自分が許されるのか?この子が幸せになれるのか?
答えは誰にもわかりません。団塊の世代と現代の20代と将来を担うはずの世代と。
それぞれが抱えた問題をテーマにした2時間16分です。☆3つ。
icon「長い散歩」公式サイト

「プレスリーvsミイラ男」は、
“プレスリーは生きている”というプレスリー伝説をパロった映画。
テキサス州の老人養護施設。ほとんど寝たきりの男性がひとり。
彼は自分があのプレスリーだというのです。
大スターの生活に辟易した彼は自分のそっくりさんと契約を交わし、
のんびりと暮らしていたとかで、死んだのはそっくりさんの方らしいのですが、
もちろん誰も信じません。
ここにはもうひとり、自分が実は暗殺される前にすりかわった
J.F.ケネディだという車椅子の男もいたのです。
ふたりには心通う部分がありました。
ある日、ミイラ展に展示するための4000年前のものとされるミイラが盗まれ、
その盗難車が施設の近くで事故を起こし、犯人は逃げたのですが、ミイラの姿が見当たらない。
その日から老人の急死が増えたことを、
博識のケネディは「ミイラが生気を吸いに来ているからだ」と分析。
確かにその通りだったのです。
ふたりは立ち上がります。あ、ケネディは車椅子に座ったままですが(笑)。
そして、プレスリーとミイラ男の戦いが始まるのです…。
解説はもういいですね(笑)。☆2つ。
でもB級映画マニアは間違いなく要チェックですョ!
icon「プレスリーvsミイラ男」公式サイト

「ライアンを探せ」は、ディズニーアニメ。
NYの動物園。人気者のライオンのサムソンにはライアンという息子がいました。
ライアンは、いつも野生時代の勇ましい話をしてくれるパパが大好き。
ガオーッと吠える姿も格好いいんですが、ライアンには何度練習してもその声が出ません。
彼はそれが大きなコンプレックスになっていました。
ある日、いたずら好きの仲間と起こした騒動にサムソンが怒ります。
「そんなことだから一人前に吠えることができないんだ」
「パパの子になんて生まれてこなければ良かった…」
ライアンは姿を消してしまいます。
あわてて探すサムソンでしたが、ライアンを発見したのはアフリカに向かうコンテナの中。
やっぱり行きたくないとサムソンに助けを求めたものの、時すでに遅し。
車は動物園を出て、港へと向かってしまったのです。
キリンのブリジット、コアラのナイジェル、
ヘビのラリーたちと共にライアンを探す旅に出たサムソン。
果たして最愛の息子と再会することはできるのでしょうか…。
サムソンには秘密がありました。
実は彼も野生のライオンではなく、サーカス生まれの動物園育ちだったのです。
ホントは気の小さなサムソン。それが仲間にバレるのは時間の問題でした。
でも息子を探すために、父もまた勇気を振り絞って旅に出るんですね。
☆を2つにしたのは、上の「とかげの…」と同じで、
最近のディズニーのまさにパターン化された1本だと感じてしまったから。
こちらも映画のデキが悪いとかじゃないんです。ただそこだけかな。
冬休み、家族で見るにはおすすめの1本であることは間違いありません。
icon「ライアンを探せ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.12.9

「硫黄島からの手紙」☆☆☆☆☆
「敬愛なるベートーヴェン」☆☆☆☆
「人生は、奇跡の詩(うた)」☆☆☆
「スキャナー・ダークリー」☆☆☆
「ダニエラという女」☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
何かとせわしない年の瀬です。
そんな時だからこそ、映画を見るぐらいの余裕を持ちたいもの。今週は5本です!

「硫黄島からの手紙」は、硫黄島2部作の第2弾。
前作がアメリカ側の視点からだったのに対し、こちらは日本側からの視点で描かれたものです。
人も物も圧倒的に豊富なアメリカ軍。
5日で落ちると言われた硫黄島を36日も持たせた司令官がいました。それが栗林中将。
革新的なやり方に不満を持つ古参の参謀も多い中、彼は自分の信念を貫きました。
中でも「簡単に死ぬな」という台詞は、特攻隊が飛び立っていったあの時代のあの時期において、
簡単に口にはできない言葉だったはず。
例えば、大宮のパン屋だったという西郷はそのへんにいるごくごく普通のあんちゃん。
彼の人間臭さが、かえって戦争というものの異常さを際立たせます。
他の兵士もそう、硫黄島に送られた一人一人にかけがえのない人生があったのは言うまでもありません。
「我々の子孫が1日でも長く祖国日本で幸せに暮らせるよう、
この戦いには意味がある。いつか我々に感謝して手を合わせてくれる日がきっと来る」。
栗林中将はみんなに言い聞かせます。
戦後60年。戦争の悲惨さを語り継ぐ人がいなくなりつつある今、ボクらは擬似体験だとしても、
こういう作品を見て、感じて、考えなくてはならないのではないでしょうか。☆5つ。
iconyajirushi「硫黄島からの手紙」公式サイト

「敬愛なるベートーヴェン」は、ベートーヴェンの伝記映画。
ボクらが知るのは音楽室の壁に掛けられた気難しそうなもじゃもじゃ頭のあのベートーヴェン。
そんな彼の、野獣と言われた荒々しい部分、音楽家としての繊細さ、
人間としての弱さなど、さまざまな表情を知ることができる1本です。
特に第九を初めて演奏した時は、耳が不自由なこともあってタクトを降ることができないと震えます。
助手の女性、アンナがバイオリンの足下に隠れてリズムを送ることで、無事成功。
大喝采を浴びた第九。その第九のシーンはさながらバーチャル・コンサート。
ボクの隣りに座ってた女性なんて思わず拍手を送ってたぐらいですから。
これから年末に向けてたくさん耳にするベートーヴェンの第九。
この映画を見ておくと、聞こえ方が違ってくるかも知れませんョ。☆4つ。
iconyajirushi「敬愛なるベートーヴェン」公式サイト

「人生は、奇跡の詩」は、98年にアカデミー賞7部門にノミネート、
主演男優賞、外国語映画賞、音楽賞を受賞した「ライフ・イズ・ビューティフル」の
監督兼主演男優のロベルト・ベニーニ、10年ぶりの新作。
大学教授で詩人のアッティリオはある女性に恋をしています。
彼女の名はヴィットリア。実は2人の間には2人の娘がいるのですが、アッティリオの浮気で別居状態。
行く先々に現れるアッティリオに彼女はもううんざり。
ヴィットリアもまた文筆家で、現在は2人の共通の知人であるイラク詩人のフアドの伝記を執筆中。
そんなある日、アッティリオの元にフアドから電話が入ります。
バクダットに取材に来ていた彼女が、イラク戦争の爆撃に巻き込まれたというのです。
自らの危険を顧みずバクダット入りしたアッティリオ。
混乱の中、なんとかヴィットリアのいる病院まで辿り着いたのですが、
そこは設備の整っていない野戦病院。
医師の話では「薬が無ければ、彼女の命はあと数時間だ」と。
「しかし今こうして彼女は生きている」。
アッティリオは薬を探しに戦火の中へ飛び込んで行ったのです…。
前作同様、戦争へのたっぷりのアイロニーを描きつつ、
大切なものを命に替えてでも守ろうとする男の真の優しさが描かれた作品。
テイストは前作と同じかも。
“現代イタリアのチャップリン”と評されるベニーニの世界が
存分に繰り広げられています。☆3つ。
iconyajirushi「人生は、奇跡の詩」公式サイト

「スキャナー・ダークリー」は実写にアニメを重ねるという手法で描かれた作品。
見た目の新しさに魅せられる人もいるかも?
究極のドラッグ“物質D”を撲滅するため、政府はプライバシーを無視した監視システムを導入。
おとり捜査をするのだけれど、潜伏しているおとり捜査官も誰もおとりとは知らないから怪しまれ、
その監視を命ぜられる。
つまり自分が自分を監視するというややこしいことになる訳です(わかるかなぁ?)。
主演はキアヌ・リーブスにウィノナ・ライダー。
でもアニメが乗っかっちゃってるからわかりづらいかも。
新しい映像と言ったけど、
01年にこの監督は「ウェイキング・ライフ」という映画で同じ手法を使ってます。
こちらは起きても起きても夢の世界(実は違う世界なんだけど)というお話。
百聞は一見にしかず。どうぞ見てみて下さい。☆3つ。
iconyajirushi「スキャナー・ダークリー」公式サイト

「ダニエラという女」は超セクシーなイタリア人女優のモニカ・ベルッチの主演作。
娼婦であるダニエラに惚れてしまったフランソワが、
彼女を身請けしようと七転八倒。奔放な彼女に振り回されるラブストーリー。
モニカはイタリア人だけど、映画はフランス映画。
ごめんなさい、どうしてもボクはフランス映画の良さがわからない(苦笑)。
これもモニカの艶やかさだけが救い。目を閉じたらもったいない気がして(笑)。☆2つ。
iconyajirushi「ダニエラという女」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.12.1

「武士の一分」☆☆☆☆
「Mr.ソクラテス」☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
ディカプリオ主演の「ディパーテッド」。
朝10時からの試写に行く予定だったのですが…、起きられず(笑)。
あとの試写予定を見たら、みんな仕事が入っている月水金。
あれがラストチャンスだったのかも。しまった…。後悔先に立たずです(苦笑)。
さ、今週は2本。ちなみに公開日が違うので気をつけて下さいね。

「武士の一分」(12月1日公開)は山田洋次監督の時代劇3部作の完結編。
木村拓哉主演作。
下級武士の新之丞。でも、町一番の美人と評判の妻、加世と、
父の代から仕えている徳平と、平々凡々ながら幸せに暮らしていました。
仕事は殿様の食事に毒が入ってないかどうかを確かめる毒見役。
やり甲斐のない任務に彼はこぼします。
「お城勤めは早々に辞めて、大好きな剣術を子供たちに教えたい」。
しかしそんなささやかな夢をも打ち砕くような悲劇が彼を襲ったのです。
いつものようにお殿様の食事を口に運んだ新之丞が、
苦悶の表情を浮かべ、もんどりうって倒れたのです。
すわ暗殺かと大騒ぎになった城内でしたが、
単に食材の毒になる部分を除去してなかったためとわかってホッと一息。
ところが、新之丞の意識は一向に戻らなかったのです。
加世の必死の看病もあって、目を覚ました新之丞。
しかし加世の顔が、周りの景色が見えない。
実は高熱で目をやられてしまったんですね。人の助けを借りなければ生きていけないなんて。
新之丞は自ら命を断とうとします。それを必死で止める加世と徳平。
途方に暮れる加世に声を掛けたのは、新之丞の上役、島田藤弥でした。
「私がなんとかお殿様に話をしてみよう。悪いようにはせぬ」
しかし見返りとして求めたのは加世の体でした。
しばらくして新之丞に下った沙汰は、“家名存続、家禄もそのまま”という温かいものでした。
喜びと共に、久々に明かるさをも取り戻した新之丞でしたが、
その裏にあった出来事が彼の耳に入るのも時間の問題でした…。
“一分”とは“譲れない心”のこと。弱味に付け込んで加世を手ごめにした島田を新之丞は許せませんでした。
当然でしょ。ざけんなよって思いますよね?
しかし島田は藩でも1、2を争そう剣の使い手。
目の見えないハンデキャップがありながら島田を討つのは至難の技。
それでも新之丞は「一太刀でも浴びせたい」と死を覚悟の上で島田に果たし合いを求めるのです。
最後はわかっていながら泣けちゃいます。いいなぁ、愛し合うって。
でもね、もし遠山の金さんならきっとこう言うはず。
「おい、お加世さんよ。どんなに好きな新さんのためとは言っても、
体だけは他の男に許しちゃだめだぜ。
そんな見返りを求める輩が、本当に親身になってくれるわきゃねえだろ。
失うものの方が、たまらなくでけえんだぜ」
恋人、夫婦で見てみて下さい。そして語りあってみて下さい。☆4つ。
iconyajirushi「武士の一分」公式サイト

「Mr.ソクラテス」は12月2日公開の韓国映画。
不良少年のドンヒョクはワル中のワル。ところがある日、謎の一団に拉致されてしまいます。
連れて行かれたのは荒れ果てた廃校。そこにいたのは本物のヤクザと専任の教師でした。
理由もわからず、とにかく勉強をさせられるドンヒョク。
何度も脱走を試みたものの、その度に連れ戻されては厳しい体罰を受ける始末。
諦めて勉学に集中した結果、検定試験に合格。さらには警察官の採用試験にも合格したのです。
自分がワルだった経験から、犯罪者の気持ちを先回りして次々犯人を検挙していくドンヒョク。
彼自身もようやく生きる目的を見つけたようで、まるで生まれ変わったかのように正義に生きる毎日。
その働きが認められて、超大物犯罪者のテチュン逮捕の任務につくドンヒョク。
しかしそこで彼は衝撃の事実を知るのです。
ドンヒョクを拉致し、警察官に育て上げたのは実はテチュンの一味。
もちろんその目的は、警察に息のかかった人間を潜り込ませること。
その手先こそ、ドンヒョク、彼自身だったのです…。
ドンヒョクを演じるのは、韓国のトップスター、キム・レウォン。
これまで、どちらかというと、恋愛モノで人気を博してきた彼が挑んだ“悪役”です。
でも、どんなに極悪非道を演じようと、やっぱりにじみ出るものが違うんだなぁ。
本人の人となりは知らないけど、やはり凄みが無いんです。
設定が奇抜なだけに、コメディとして見るか、アクションものとして見るか、
そのあたりでも評価は変わってくるのかも知れないけど。ごめんなさい、☆2つ。
iconyajirushi「Mr.ソクラテス」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.11.23

「暗いところで待ち合わせ」☆☆
「めぐみ―引き裂かれた家族の30年」

(満点は☆☆☆☆☆)
“Tokyo Walker”などには公開の記載がなかったので紹介がもれてしまったのですが、
今、都内だと恵比寿にある東京都写真美術館ホールなどで公開中の
「ニキフォル 知られざる天才画家の肖像」という映画があります。
これは19世紀末から20世紀を生きたポーランドの画家、ニキフォルの生涯を描いた伝記映画。
貧しい環境に生まれ育った上に言語障害を持ち、絵を描くことだけが彼の生きる証し。
天才的な色使いで数々の現代画の名作を生んできました。
それでも最初は駅で観光客相手に絵葉書のようなものを売ってわずかなお金を稼いでいたのです。
そんな彼の波乱の人生を演じているのはなんと女性なんです。
86歳のベテラン女優クリスティーナ・フェルドマン。
風変わりなニキフォルを見事に演じているのにも注目です。
さ、それでは今週の作品から。今週は2本です。

「暗いところで待ち合わせ」は、田中麗奈とチェン・ボーリンの共演作。
交通事故で3年前に視力を失ったミチル。
その後、同居していた父が突然他界し、頼れるのは親友のカズエだけ。
でもなんとか頑張ってひとりで生活を続けます。
線路沿いにあるミチルの家。
朝、いつものようにカーテンを開けると、けたたましい列車のブレーキの音が。
何かあったに違いない。
すると突然玄関のチャイムが鳴ります。対応に出るミチル。そこには若い男が立っていました。
しかし何も答えず、ミチルの目が見えないことを確認すると、
ミチルの脇をすり抜けて家の中へと入って行ったのです。
男の名はアキヒロ。日本と中国のハーフ。
印刷会社に勤めるものの、ぎこちない言葉が原因でうまく社内になじめずにいたのです。
部屋の中で気配を消すアキヒロ。
ミチルのつけたTVがニュースを伝えます。
駅で転落事故があり、松永トシオという男性が死亡。
殺人事件の可能性があり、重要参考人は、現場から逃走した姿を目撃された会社の同僚だというのです。
そう、それはアキヒロのことでした…。
設定自体一風変わった設定。アキヒロはミチルに気付かれてはいけないから、
緊迫してそうでいて、いや意外とのんびり時間が過ぎていくんですね。
その辺がちょっとたいくつだったかも。
でも、タイトルからイメージする恋愛ものとしてじゃなく、
推理ドラマとして期待して行くと面白いかも。
そこにポイント加算して、☆3つ。
「暗いところで待ち合わせ」公式サイト

「めぐみ―引き裂かれた家族の30年」は、拉致被害者、
横田めぐみさん一家のこれまでを追ったドキュメンタリー作品。
監督のクリス・ジェリダンとパティ・キムは夫婦で、
クリスはこれまでにもドキュメンタリーものを手掛け、
パティは米CBCの看板キャスターのひとり。
02年の小泉首相の訪朝で拉致の現実を知ったクリスは衝撃を受け、
このことを取材、映画にしようと決意したといいます。
普通の生活を送っていた平和な家庭に訪れた悪夢。わずか13歳の女の子が拉致された現実。
この映画は、とてつもなく大きな親の愛情を描いた作品だと言います。
また、政治的視点に立つであろう日本人とは違った立場で捉えているはずとも語ります。
日本での公開も念頭に置かずに撮影したそうです。
横田夫妻は夫婦でタッグを組んで活動してらっしゃるがゆえに、
揉めることなど無いのではと思ってる人も多いでしょう。
ところが、マスコミとの電話での、早紀江さんのたったひとつの言葉を叱る滋さんの姿。
真実を伝えなければ真実はわからない。真実を教えるから、真実を知りたい。
その切なる思いが伝わってくるワンシーンです。
当然のことながらボクらがワイドショーなどで見るあの温厚な笑顔だけじゃないんです。
苦悩と怒りとやりきれなさと、そして希望。30年です…。この映画には☆は付けられません。
「めぐみ―引き裂かれた家族の30年」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.11.17

「雨音にきみを想う」☆☆
「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」☆☆☆
「キング 罪の王」☆☆☆
「SAW(ソウ)3」☆☆☆
「プラダを着た悪魔」☆☆☆☆
「PETBOX」☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
この前ある試写のあと、配給(宣伝)会社の人とその作品についてじっくり話し合ったんですね。
「なるほどそんな目線もあるのか…」。互いに気付き合ったりして。
自分の感性の枠で凝り固まるんじゃなくて、柔軟に感じるのが大切だなぁと実感。
今週末の映画は多彩なジャンル。評価はあくまで主観です。
劇場に足を運んで、違う見方をしたとしたら教えて下さいねっ。では今週の6本です!

「雨音にきみを想う」は、香港映画。
全身麻痺の兄フェンとその娘シウヤウと暮らす、ウィンイン。
決して楽な生活とは言えない3人の前に、ひとりの若者が現れます。
彼の名はチョッカン。迷子になったシウヤウを送り届けてくれたのです。
それがきっかけで、空き家だった2階を借りてに住むようになったチョッカン。
何かと面倒を見てくれる彼でしたが、ウィンインは何故かチョッカンを遠ざけます。
実はチョッカンは組織のトップも一目置く、凄腕の泥棒だったのです。
もちろんウィンインはそのことを知りません。
兄や姪にも優しいチョッカンに、次第に心を開いていくウィンイン。
しかしウィンインにも秘密がありました。 兄の麻痺は遺伝性のもので、
自分もいつ不自由な体になるのかわからないと、ずっと不安抱えて生きてきたのです。
そのことを知ったチョッカン。手術に必要な費用を捻出しようと、
ボスから依頼された危険な仕事に取り掛かるのですが…。
主演は香港のアイドルディラン・クォ。速水もこみち系のイケメンです。
不幸の反対に幸せがある。
だから状況がマイナスであればあるほどプラスも大きく感じるんだろうけど。
“雨音”もオシャレなものじゃなく、トタン屋根を打つ雨の音。
新鮮味はあまり無かったかな。ごめんなさい、☆2つ。
「雨音にきみを想う」公式サイト

「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」は、
アメリカ経済界を揺るがした大事件のドキュメンタリー。
85年にテキサス州ヒューストンに設立した天然ガスのパイプライン会社、エンロン。
わずか15年の間に、年間1000億円を売り上げ、全米7位、
世界15位の巨大企業に急成長を果たしたのでした。
ところが、マスコミも経済評論家も信じて疑わなかったこのエンロン、
いつからか粉飾決算という裏の手をとっていたんですね。
それは将来生み出すであろう利益予測を現在の資産価値に算入するという手法。
ところが一度つまずくと嘘が嘘を生んで、虚でしか虚を補えなくなっていく。
しかし、トップにとって、もはや嘘も真実になっていたのです…。
あのライブドアでも話題になった粉飾決算。人間の転落の構図をまざまざと見せられる作品。
疑うことをせずにエンロン支持のアナウンスをしたマスコミは今何を思うのでしょう。
自戒の念も込めて、その立場で見てしまいました。
ボクはTVのドキュメンタリーも好きなので面白かったです。
ちなみに“アイアム”の冠号でもおなじみの堀紘一さんも来てました。
「いやぁ、面白かったね」とお声を掛けて頂いたのを付け加えておきましょう。☆3つ。
「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」公式サイト

「キング 罪の王」は、なんとも言えない重い気分の残る映画。
海軍を退役したエルビス。亡き母に聞いた父を訪ねようと、テキサスの町に向かいます。
その父デビッドは牧師になり、妻と息子、娘の3人で裕福な暮らしをしていました。
そこに現れた息子を名乗る青年。
エルビスの姿は、デビッドにとって自身の汚れた過去の象徴。
困惑の表情で、彼を追い返すのでした。
デビッドの娘マレリーは純真な少女。彼女に近付くエルビス。
もちろんエルビスは、母は違えど兄妹だということを知りながら彼女と関係を持ちます。
こうして父の家と少しずつ関わりを持っていくエルビス。
そして父の築いてきた幸せな家庭は、徐々に崩れ始めていくのでした…。
憎悪の結末?寂しさの裏返し?
寡黙で冷たいエルビスの表情が読めないから、全体のトーンが不気味なんです。
そこまでやるかというエルビスの狂気。でも映画の中だけじゃなく、
今や似たような事件が現実の世界でも起こっているという、
その狂気に気付かされるかも知れません。☆3つ。
「キング 罪の王」公式サイト

「SAW3」は、人気カルトシリーズの第3弾にして最終章。
前作で命を失ったかに思えたジグソウ。
実は“手術不可能”とされるほどの脳腫瘍に侵されていたのです。
救命病棟の女医であるリン。
夫がいながら不倫をしている彼女が、病院のロッカールームで拉致され、
気が付いたのは廃工場の病室。ベッドに横たわっていたのはジグソウでした。
弟子のアマンダを使ってジグソウは言います。「さぁゲームを始めよう」。
その内容は、これからひとりの男にゲームを仕掛けるので、
それが終わるまでジグソウの命を延命させよというものでした。
リンの首に巻かれたのは円状の爆弾。
ジグソウの心拍数がゼロになると爆発する仕掛けになっているのです。
「見事ゲームに勝てば爆弾は外され、自由の身となることを約束する」。
医療器具もない中で、リンはジグソウを生かし切れるのか、また男に課したゲームとは一体…。
このシリーズを見て来た人には複雑に関わり合っているだろう人間関係が推測できるかと思います。
なるほど最後は点と点が結ばれますが、それは見てのお楽しみ(笑)。
ボクは正直“2”は見てないけど、関係なく楽しめました。因果応報。
あぁ怖い。知的残虐性とでも言いますか。ショックに弱い人は気をつけて。☆3つ。
「SAW3」公式サイト

「プラダを着た悪魔」は、メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ主演作。
オシャレでキュートな作品です。
優秀な成績で大学を卒業、ジャーナリスト志望でNYへやってきたアンディ。
彼女が向かったのは超人気ファッション誌「モード」。
待っていたのはファッション界の女王、鬼編集長のミランダでした。
田舎臭いファッションをケチョンケチョンにけなされたアンディでしたが、
何故かアシスタントとして採用。
ブランド名すら知らない彼女は大切な電話にもすっとんきょうな応対する始末。
それでも根性だけは人一倍のアンディ。ミランダの強烈な無理難題もなんとかこなしていくのでした。
アンディには恋人がいます。一流シェフになりたいネイト。夢を持つふたりは互いに励まし合います。
ところが、ミランダのあまりのわがままについ愚痴をこぼしてしまったアンディ。
それを聞いたトップ・デザイナーのナイジェルが彼女に言います。
「あなたはまだ本当に頑張ってなんかいないから」。
そして社内倉庫から、一流ブランドの服や靴をアンディに着せてメイクを施すと、
なんとあのダサダサだった彼女が見違えるように変身したのです。
これにはミランダもビックリ。
ファッション誌なんてただのお遊びと馬鹿にしていたアンディも意識が変わります。
仕事もバリバリこなすようになり、そしてついには大舞台にも登用されるようになります。
しかし、時間に追われる彼女には、すでに本当の自分を見つめる余裕など無くなっていたのです…。
そう、変わっていったんだなぁ。セレブの男とか出てきちゃって。
恋人のネイトにはそれが悲しかったんです。
果たしてアンディはどっちの方向へ向かって歩いて行くのでしょう?
気になるでしょ?アンディの行く末が。自分の恋人が変わってしまうのってつらいですよ、ホント。
あっなんか実感こもってる?(笑)。
頑張り屋のアンディだからこそ、幸せになって欲しいって願わずにはいられないんですけどね。
でも何が幸せなのかは難しい問題だけどね。
女性と男性でちょっぴり目線が違うかも知れない1本。だからこそ面白いんだと思います。
そうそう、メリル・ストリープの演技はさすが!
圧倒されますョ。是非見てみて下さい。☆4つ。
「プラダを着た悪魔」公式サイト

「PETBOX」は、6人の監督によるオムニバス作品。
1時間程度のものが6本。キャイーンの天野ひろゆきが監督やってたりして、
最初はペットを題材にしたドキュメンタリーじゃないけど、愛情物語かなと思ったら、
創作映画なんですね。
でも中心には必ず何かのペット動物がいるという。
それぞれにいい役者さんも出てるんだけど、自主制作チックなB級感が漂う作品たち。
正直、ボクには今ひとつピンと来ませんでした。ごめんね、☆2つ。
「PETBOX」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.11.09

「サッド・ムービー」☆☆☆☆
「ブロック・パーティ」☆☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
忙しい中で試写をはしご。時間が無く、お昼ごはんを食べずに見てたら、
ちょうどいい場面でお腹がぐぅ〜。何度も何度もぐぅ〜(苦笑)。
BGMが無く役者のセリフだけで見せるラストシーン。
試写室にボクのお腹の音が響き渡ってしまいました。
自分の体なのになんでコントロールできないんだろ。
こんな時、肉体は借り物か?なんて哲学的な考えが頭に浮かんだりして。
空腹時の方が頭が冴えるって、ホントだな。ごめんなさい。
周りのみなさん、失礼致しましたm(_ _)m
さて今週は2本です!

「サッド・ムービー」は韓国スターが勢揃いのオムニバス映画。テーマは“別離”。
4組8名の“さよなら”の物語。
勇敢な消防士ジヌと手話通訳アナウンサーのスジョン。
互いに愛し合っているのに、最後の一言が言い出せないジヌ。
そんな彼の態度にやきもきしながら、いつも死と隣り合わせの危険な仕事に心配をつのらせるスジョン。
でもついにその日が来たのです。ジヌは指輪を持って、スジョンに合いに行こうとするのですが…。
ハソクは、ボクシングのスパーリングパートナーでなんとか食いつないでいるフリーター。
3年付き合ってきた恋人のスッキョンは今日もレジ打ちのアルバイト。
将来が見えないからと別れを切り出されるのですが、ハソクはおちゃらけて聞こうとしません。
別れないためにと奮起したハソクは“別れさせ屋”なる仕事を始めるんですね。
これが意外と大当たり。頑張っていることを伝えにいくハソク。
ところがそんな彼の元に、ある女性から仕事の依頼が来るのです。
それはあまりにもつらすぎる依頼でした…。
インテリアデザイナーとして活躍するジュヨン。彼女には小学校2年生の息子フィチャンがいました。
学校行事にも参加してくれないママを冷たく思ってすねていたフィチャンでしたが、
ある日ジュヨンが車の運転中に具合が悪くなって事故を起こしてしまいます。
調べてみたら重い病気を患っていたことが判明。ジュヨンは入院を余儀なくされます。
ママがいつもそばにいる。無邪気にはしゃぐ息子を見て素直にごめんねと反省するジュヨン。
今日からはフィチャンのために、そう誓ったジュヨンでしたが、
病魔は残酷なまでに彼女の体を蝕んでいたのでした…。
昔巻き込まれた火事のせいで、顔にやけどの痕を持ち、耳が聞こえなくなってしまったスウン。
それでも明るい性格の彼女は、遊園地で女の子の着ぐるみを着てお客さんに夢を与えていました。
園内で似顔絵書きをしている青年サンギュ。ふたりはいつしか急接近。
でもサンギュはスウンの素顔を知りません。
ある日、スウンはサンギュがフランスへ留学することを知ります。
そこでスウンの仲間がふたりのためにデートをセッティングするんですね。
初めて見せる素顔のスウン。サンギュはどんな反応をするのでしょうか…。
着地点が“さよなら”だってわかってるから、つらいです。
最初から結末がわかっているだけに、泣く覚悟と準備はできてるけど。
それでもねぇ。母子の別れはつらかったなぁ。会うは別れの始めなり。わかっちゃいてもね…。
「私の頭の中の消しゴム」のチョン・ウソン、「猟奇的な彼女」のチャ・テヒョンを始め、
人気俳優、人気女優がズラリ。
韓国映画ファンもそうでない人もハンカチ持って映画館にGOです。☆4つ。
「サッド・ムービー」公式サイト

「ブロック・パーティ」は、NYブルックリンで行われた路上ライブのドキュメンタリー。
アメリカで大人気の黒人コメディアン、デイヴ・シャペルが、
自身の成功をみんなに感謝しようと企画した無料ライブを、
メイキングからの一部始終を映像に収めたもの。
なんと故郷オハイオの普通のおっちゃんおばちゃんまで片っ端から誘って、
NYまでのバス代や宿泊費など、全部シャペルが持つという太っ腹!何台ものバスと、
もちろん地元NYの人たちもたくさん集まって、
伝説の04年9月18日のブロック・パーティは幕を切って落としたのです…。
エリカ・バドゥ、ザ・ルーツ、カニエ・ウェスト、ビッグ・ダディ・ケイン、コモン、
などなど、ヒップ・ホップ好きにはたまらないラインナップで、極め付けはフージーズ。
歌姫ローリン・ヒルの独立から7年ぶりに、なんとこの路上パーティでフージーズが再結成したんですね!
その豪華出演者のライブもいいし、なんたってアメリカ屈指のコメディアンがホスト役なんだから、
メイキングも楽しくないはずがない。まさにエンタテイメント映画でした。
オハイオのおじちゃん、おばちゃんじゃないけど、
「あたしゃラップはわからないからねぇ」なんて言わずに覗いてみて下さい(笑)。☆4つ。
「ブロック・パーティ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.11.02

「Ecole(エコール)」☆☆
「手紙」☆☆☆☆☆
「DEATH NOTE the Last name」☆☆☆
「待合室」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
11月だというのに暖かくて。
本来人肌恋しい季節だけど、そうじゃないのは独り身のボクには助かります(笑)。
でも試写行くとね、最近いい作品が多くて、朝から涙ぽろぽろ流したりしてます。
感性はしっかり秋モード。寒暖の差に惑わされず、敏感になってる自分にホッとしたりして(笑)。
さぁ今週は4本です!

「エコール」はベルギー、フランス、イギリスの合作映画。
独特のタッチで少女たちを描いた芸術的ロリータ作品。
外界から閉ざされた不思議な世界に暮らす12歳までの少女たち。
女性の教師と女性の召使いがいて、緑深い森の奥に、建物は星型に5軒。
グループに分かれて、ダンスと生物を勉強する彼女たち。
今日も一人の少女、6歳のイリスが運ばれてきたのでした…。
とにかく感性で見る1本。監督はギャスパー・ノエのパートナー、ルシール・アザリロヴィック。
「ミミ」の監督というとわかる人がいるかも。フランス的要素が多いのは確かです。
純粋無垢な少女が大人になる過程で、みんないわゆる生物としてのある意味生々しい現実を知るわけですよね。
生理の存在、身体の変化など。特に男の子より早く。
そのあたりのことを幻想的に描いたんじゃないかなぁと推測してるのですが。
どうでしょう?女性たちの声が聞いてみたいです。☆2つ。
「エコール」公式サイト

「手紙」は東野圭吾の同名小説を映画化したもの。山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ主演作です。
両親を亡くしたふたりきりの兄弟、剛志と直貴。
勉強のできる直貴をなんとか大学にやりたいと、剛志は一生懸命働きます。
しかし、その一生懸命さがアダとなり、剛志は腰を痛め、仕事をクビになってしまいます。
そんな剛志が選んだ道は、悪いことだと知りつつ、資産家の家に盗みに入ることでした。
ところが運悪く、家人に見つかってしまった剛志。
もみあっているうちに誤ってその人を殺してしまうんですね。
「自分のために兄は人を殺してしまったんです」
最初は兄の優しさを訴え続けた弟の直貴でしたが、
“人殺しの弟”という世間のレッテルは想像以上に厳しいもの。
アパートが借りられず、仕事も転々としなくてはならない。
夢だったお笑い芸人の道も、成功しかかったまさにその時、
兄のことがわかってしまい辞めざるを得ない状況に。
せっかくできたかわいい恋人とも別れるはめになり…。
直貴の中で、兄を憎む心が次第に大きくなっていくのでした。
「直貴、元気ですか?」
獄中の兄から届く手紙。直貴も最初は腰の具合を心配しつつ、
きちんと返事を書いていたのですが、今はもう筆が重くて。
無期懲役の兄にとって、手紙が唯一の生きがいであり、また弟を思う時、
あの犯罪を思い出しては反省するという意味では、贖罪の意味もある手紙。
そんな大切な手紙であることはわかっていたんですが、
直貴にはもう返事を書く気力がありませんでした。
今のままじゃ自分がダメになる。そこで直貴の取った行動。
それは兄への決別宣言でした。
「ごめん、兄貴。これが最後の手紙です…」
しかし、その後、直貴は剛志の思いを知ることになるのです…。
実はずっと直貴を見つめてる女性がいて。川崎の工場に勤めていた時の食堂係の由美子です。
彼女が後にも先にも直貴を支えていくことになるんだけど、
とにかく数奇な運命に翻弄された兄弟の物語。
でもね、うちも愚兄賢弟(笑)。なんだか他人事とは思えなくて。
って、いやいやボクは人を殺めるなんてこと絶対にしませんよ(笑)。そんな度胸も無いしね。
感動のラストシーンでは涙が止まりませんでした。
最後にホントまとめてドーッと感動が押し寄せますから。気を付けて下さい(笑)。
実はラストで小田和正の「言葉にできない」が流れるんだけど、
歌中の“ラーラーラ、ララーラ”というスキャットの部分って、
まさに言葉に出来ないって感情を表現したものだから、監督は音楽知ってるなぁとニヤリ。
きっと映画における音楽の大切さを改めて体感できるはずですョ。
兄弟姉妹のいる人も、そうじゃない人も必見です。☆5つ。
「手紙」公式サイト

「DEATH NOTE the Last name」は早くも公開となる大ヒット作品となった前作の続編。
名前を書くだけでその人間を殺せるというデスノート。
凶悪犯だけを処刑してきたキラでしたが、大義名文のためには多少の犠牲もやむなしと、
考え方が過激になってきたのも事実。
そんな時、もうひとりの死神が、もう1冊のデスノートをある少女の前に落とすのです。
彼女は果たしてキラの味方に成り得るのか、それとも…。
原作とはちょっと違うラストになっているとか。
原作を知らないボクにとって、1作目がすごい衝撃だったから、
こちらは正直ふぅ〜んという感じでした。確かにヒネリはあるんですよ。
なるほどそう来たかというね。でも、衝撃はやっぱり1作目だったかなぁ。
あ、そんなこと言ったからって、ノートにボクの名前書くのはやめてよっ(笑)。☆3つ。
「DEATH NOTE the Last name」公式サイト

「待合室」は実話を基にした、あったかい人情話。
盛岡の少し北の小繋駅。
決して降りる客は多くない雪深いその駅の待合室には1冊のノートが置いてありました。
“命のノート”と書かれたそのノートには、全国から来た悩める人々の悩みがびっしり。
答えを書くのは、駅前で酒屋を経営する和代でした。
彼女もまた、これまでにさまざまな苦労を重ねてきていたのです…。
「生きていさえすれば、必ずいいことがある」
そんな和代の言葉に励まされた人がどれだけいたことか。
それでも救えなかった人がどれだけいたことか。そのどちらも人生なのです。
富司純子と寺島しのぶの母子初共演も話題のひとつ。
ホントは雪がちらついてくれるともっとこの映画を“感じる”ことになるんだろうけどね。
それでも実話に基づいた作品だけに、グイグイと来るものはあります。
強いて言うと、富司純子さんキレイ過ぎ(笑)。
もっとおばあちゃんおばあちゃんしてた方が北国の人情話としてはリアリティ出たかもなぁ。
そこがちょっと惜しくて、☆3つ。
「待合室」公式サイト

 
 



 
 
 週末公開の映画……2006.10.27

「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」☆☆☆
「父親たちの星条旗」☆☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
先日、ある作品の試写を見にいって、上映後、
配給会社の女性に「いかがでしたか?」と聞かれ、
「ごめんなさい、正直ピンと来なかったかな」なんて答えてから、
かなり長い時間その作品について話をしました。
面白いもので互いに意見をぶつけあっていると、
それまで気がつかなかったという所に互いに気付いたり、
もう一度、頭の中を整理することで見えてくるものがあったり。
ひとりで噛み締めるのももちろんいいけど、その作品について語り合うことの大切さというか、
語り合える楽しさみたいなのを今更ながらに感じました。
そろそろ人肌恋しい季節。誰か誘ってどうぞ映画館へ!
では今週の2本です!

「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」は、
前作「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」の続編にして完結編。
木更津の元高校野球部の仲間5人で結成した“木更津キャッツアイ”。
昼はバンドと野球、夜は怪盗団という、どうにもへんてこな彼らですが、
リーダーのぶっさんが病気であと半年の命と宣告され、大切な仲間の死という現実を前に、
恋愛、友情、そして家族の絆などについてしっかり考えるようになったメンバーたち。
そして迎えたぶっさんの死…。
と、ここまでが前作。
その後どうなったかと言うと、バンビは木更津に残って市役所勤め。
アニはIT関係の仕事に就くと秋葉原へ。
マスターは野球狂の詩2号店を出すんだと大阪へ。
うっちーはなぜか自衛隊に。
ぶっさんの死から3年。みんなバラバラになってたんです。
でもみんなの胸にあるわだかまり。
それは、ぶっさんにちゃんと伝えることのできなかった“ばいばい”。
そんな時、木更津市長が反対派の声を押し切って建てようとしていた
ショッピングモールの建設予定地で、バンビはぶっさんの声を聞くのです。
「“それ”を作れば彼がやってくる」
それも何故か英語(笑)。
“それ”って何?
バンビはみんなを集め、なんとかぶっさんに会うために、“それ”を探し始めるのでした…。
02年にTBS系で放送されたドラマの映画版。脚本は宮藤官九郎。
映画第1弾は03年、そして今作が涙の完結編。
そのTVドラマや、映画の前作を知らない、見てないという人でも、
うまーく昔のエピソードなどを折り込みながら作っているので全然OK。
安心して劇場へ足を運んで下さい。
メンバーたちは果たしてぶっさんに会えるのでしょうか?
そしてちゃんと“ばいばい”が言えるのでしょうか。
ちなみにボクの隣りの女の子は試写で号泣してました。☆3つ。
「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」公式サイト

「父親たちの星条旗」はクリント・イーストウッド監督作品。
時は太平洋戦争の真っ只中。敵国日本も苦しいが、アメリカも体力、
精神の両面で苦しくなっていた頃、1枚の写真によって再び意気高揚。
アメリカ国内の気運が一気に高まり、勝利へと突き進むことになります。
その1枚の写真とは、想像を絶する戦闘となった日本の領土、硫黄島の高台に、
6人の兵士が今まさに勝利の星条旗を立てんとしている写真だったのです。
1945年2月23日、ジョー・ローゼンタールというカメラマンによって撮影されたこの写真は、
当時、新聞の1面を飾るや、雑誌の表紙、ポスターや記念切手の図柄、
そして海兵隊の記念碑のモチーフにもなり、後にピューリッツァ賞をも獲得するのですが、
実はこの写真には隠されたエピソードがあったのです。
この写真に写っている6人のうちの3人とされる、衛生兵のドク、
伝令係だったレイニー、ネイティブアメリカンのアイラ。
彼らはアメリカ国中から“英雄”と称えられ、本国に帰還。
戦時国債に協力してもらうための広告塔としてアメリカ中を回ります。
心の中は3者3様。自分が英雄視されている今の状態に酔いしれるレイニー。
自分は英雄なんかじゃない、島で散っていった仲間たちこそ本当の英雄なんだと常に思っているアイラ。
「衛生兵!」と、助けを求める声なき声が今も聞こえるドク。
熱狂と歓迎のセレモニーがアメリカ各地で彼らを待ち受ける中、彼らは戸惑います。
そして、3人が知っているこの写真に隠された真実とは…。
散っていく若い命、情報操作の恐ろしさ。戦争とはなんと不条理なものか。
某国が核実験なんかやるものだから、一気に周辺がきな臭くなってきた昨今。
そんな今だからこそ見ておきたい1本かも知れません。安易に戦争肯定論者になるべからず。
ボクは戦争をもちろん知れませんが、
結果としてたくさんの悲劇が訪れることぐらいはわかるつもりです。
実はこの映画は“硫黄島2部作”。
このあと日本からの視点で描いた「硫黄島からの手紙」という作品が12月9日に公開となります。
両方見て初めて見えてくるものもあるはずです。
是非2作品共ご覧になって下さい。☆4つ。
「父親たちの星条旗」公式サイト

 
 

 

 
 
 週末公開の映画……2006.10.20

「サラバンド」☆☆☆
「スネーク・フライト」☆☆☆☆
「ダンジョン&ドラゴン2」☆☆☆
「トリスタンとイゾルデ」☆☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
先日ある映画の試写に行ったら、セーラー服姿の女子校生が。
かなりの人気作品で、それも最終試写で人がいっぱい。
関係者からもらったのかも知れないけど、受付で断られてました。
最近、金券ショップで社内試写のハガキ、売ってるからね。信じられない…。
ボクも見せてもらうからには、きちんとみなさんに伝えないとっ。
では今週の4本です!

「サラバンド」は、北欧が生んだ巨匠イングマール・ベルイマンが85歳で手掛けた作品。
ちなみにこのタイトルは、17〜18世紀にヨーロッパの宮廷に普及した古典舞曲のこと。
実は、ベルイマン監督の「ある結婚の風景」という映画の続編にあたるそう。
この「ある結婚の風景」はデンマークで社会現象にまでなったテレビ・シリーズで、
その劇場版が74年に撮影開始、81年に公開となっていました。
医師である夫ヨハンと弁護士である妻マリアンの夫婦生活が崩壊していく様をリアルに描いた作品。
で、その続編が「サラバンド」ということで、マリアンが30年振りに、
別れた夫ヨハンの元を訪れるところから始まります。
ヨハンももう80歳を超え、マリアンも63歳。
平穏に暮らしているかのように思えたヨハンでしたが、
実は家族の地獄のような愛憎問題の渦中にあったとは。
ヨハンの息子ヘンリックの、娘カーリンへの偏愛。
プレスの言葉を借りると、そこに描かれているのは“精神の地獄図”。
見終わったら、今までにあまり味わったことのないような感情が残るかも。
ズシリときます。☆3つ。
「サラバンド」公式サイト

「スネーク・フライト」はサミュエル・L・ジャクソン主演作。
飛行機がヘビに乗っとられちゃうお話。
ハワイをバイクで走ってたショーンが偶然出くわしたもの、それは有名なギャングのキムが、
自分を追いかけてきたロスの検事を惨殺する場面でした。
逃げるショーン、追うキムの手下たち。
寸手のところを助けたのが、FBIの敏腕エージェントのフリンでした。彼は言います。
「やつのしたことをロスで証言してくれ。それがキムを逮捕できる唯一の方法だ」と。
意を決したショーンはフリンらと共にロスへ飛び立ちます。
専用の護送機だとキムに買収されている地元警察の人間が何を仕掛けてるかわからない。
だからあえて深夜フライトの一般の旅客機にしたのですが、敵もさるもの。
なんとカーゴに数千匹の毒ヘビを乗せ、タイマーでフタが開くや、
通気孔や配電部を通って客室へとヘビが侵入。
パイロットをはじめみんなを襲えば飛行機は墜落すると。
誰もが事故だと思うはずだという、大胆不敵な手に出たんですね。
キムの思惑通り、次々と毒ヘビが人を噛み、死者が増える機内。
パニック状態になったこの旅客機は、果たしてロスに辿り着くことができるのでしょうか…。
発想がすごっ。けっこうB級感漂ってて、失笑も出てました。
それでも今年8月に、あの「パイレーツ・オブ・カリビアン」、
「ワールド・トレード・センター」を抜いて初登場第1位を記録してるんですね。
実は奇抜なアイデアが受けて、企画段階からインターネット上で話題となり、
あちこちにファンの関連サイトが立ち上がって、
多くの人が公開を今か今かと待ち侘びていたそうなんです。
ヘビが苦手な人にはちょっとね(笑)。
でもなかなか面白かったですョ。☆4つ。
「スネーク・フライト」公式サイト

「ダンジョン&ドラゴン2」は人気RPG(ロールプレイングゲーム)の映画化第2弾。
前作は00年に公開となった「ダンジョン&ドラゴン」。
RPGの映画化だから、ストーリーもまさにそんな感じ。
悪の魔術師ダモダールは、師にかけられた呪いにより殺されたんですが、復活。
伝説の黒竜を目覚めさせて、イシュミール国を滅ぼそうとします。
そうはさせじと集まった5人の勇者たちとの戦い。結末やいかに…。
特撮もなんだか独特のタッチで意外と新鮮でした。
たぶんこのゲームが好きな人だったら、もっと楽しめるんだろうなぁ。☆3つ。
「ダンジョン&ドラゴン2」公式サイト

「トリスタンとイゾルデ」は1500年前にケルトの伝説として誕生し、
あの「ロミオとジュリエット」の原典になったと言われている物語。
ローマ帝国が崩壊した直後のイギリスは、さまざまな部族が領地を争う暗黒時代。
強大な力を持つアイルランド王の、実質支配下にありました。
なんとかひとつにまとまってアイルランド王を打ち負かし、
自らの手で統一国家を作ろうじゃないか。
そんな声が上がり、各部族の同盟がなされる前に、アイルランド軍が乱入。
多くの犠牲者を出すことになったのです。
リーダーシップを取っていたアラゴンは妻もろとも殺され、幼い息子のトリスタンは孤児となり、
片手を失ったコーンウォールのリーダー、マークに連れられて、育てられることになります。
9年後、立派な若者に育ったトリスタンでしたが、アイルランドの武将モーホルトが村人を拉致。
彼らを奪還しようと戦うのですが、毒の塗られた剣で切られたトリスタンは瀕死の重傷を負います。
死を待つのみと思われた彼は、マークたちのはからいで王家の葬船に乗せられ、海に流されます。
その船が辿り着いたのがアイルランドの海岸。
まだ息のあったトリスタンを見つけたのは、なんとアイルランド王の美しい娘イゾルデでした。
献身的な介護で元気になっていくトリスタン。
若いふたりの間に恋心が芽生えるのはごくごく自然の流れでした。
しかし、漂流した葬船が見つかってしまい、
トリスタンはイゾルデの用意してくれた小舟でアイルランドを脱出します。
「一緒に行こう」
「ダメ。私は行けない運命なの…」
自分の素姓を話せないイゾルデ。
しかしこのあと、ふたりは思いもかけない形で再会を果たすことになるのです…。
アイルランド王が、さらにイギリスの各部族の仲間割れを狙って、剣術のトーナメントを実施。
賞品は領地と、なんとイゾルデ。コーンウォールにもその報せが届きます。
参加をためらうマークを積極的に口説いたのはトリスタンでした。
「自分がコーンウォールの代表として出場するから」
自ら戦士として名乗り出たトリスタン。
トーナメント当日、トリスタンに気付いたイゾルデ。しかしトリスタンは気が付くはずもありません。
トリスタンが勝てば自分は彼のお嫁さんになれると思い、祈るように彼の勝利を願うイゾルデ。
結果、トリスタンは見事に優勝するのだけど、コーンウォールの王はマークだから、
イゾルデはマークと結婚しなければならないわけですよ。
イゾルデがアイルランドの姫と知って愕然とするトリスタン。
だって彼もまた彼女を愛してるのだから。
でもマークには、実の息子のように育ててもらった恩義もあれば、忠誠心もある。
トリスタンは黙ってふたりの結婚を見守るしかなかったのです。
でも障害が大きければ大きいほど燃えるのが恋(笑)。
「ロミオとジュリエット」の原典と言われるゆえんはそこからのストーリーにあるのです。
西洋の歴史物語的作品って、ややもすれば眠くなっちゃいがちだけど、これは面白かったです!
劇場のポスターをチラッと見て先入観で避けるのはもったいない1本。
恋人同士でどうぞ。あ、いない人もね(笑)。☆4つ。
「トリスタンとイゾルデ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.10.13

「サンキュー・スモーキング」☆☆☆
今週は1本だけ。こんな週もあるんだなぁと、ちょっとビックリ(笑)。
いまだ1本も紹介しなかった週は無かったように記憶してますが…。
ではその1本です!

「サンキュー・スモーキング」はパンフレットのキャッチコピーに
“知的論争エンタテインメント”とありました。
さぁ、あなたにはどんなイメージに受け取れますか?
タバコ研究アカデミーのPRマン、ニック。
彼は、禁煙の嵐が吹き荒れる中マスコミの前に出て、
タバコ業界の生き残りのために頑張り続けるディベートマンなんです。
プライベートでは離婚していて息子が一人。
でもその息子にも離婚の際の取り決めで週に1度しか会えないことに。
公私でストレスが溜まりまくっていたニック。
彼がそのストレスを発散させるのは、同じように“社会の敵”と世の中から憎まれる
アルコール業界のPRウーマンのポリーと、銃製造業界のPRマンのボビーとの飲みの席でした。
“死の商人”を意味するMerchantOfDeathの頭文字を取ってM.O.D、
“モッズ特捜隊”と自らを名付けた3人組は、ここで日頃の愚痴を互いにこぼしていたのでした。
仕事は絶好調。あらゆる無理難題を交わしていたニックでしたが、好事魔多し。
取材で仲良くなった女性新聞記者とベッドイン。
寝物語りで話した裏話をすべて記事として載せられてしまったからさぁ大変!
モッズ特捜隊の表に出せない話も暴露されて、与えた影響たるや大も大。
ついには仲間にも見放されてしまったニック。
しかし、そんな窮地に追い込まれようとも、彼を決して見捨てない存在がありました。
それは息子のジョーイだったのです…。
口八丁手八丁。まさに周りを煙に巻いてきたニックでしたが、
彼のDNAはしっかり息子のジョーイに受け継がれていたんですね。
すっかり割愛しちゃったけど、登場人物にもいろんな人がいます。
反タバコ法案を通そうとする上院議員、
タバコの吸い過ぎで肺癌になったと訴える初代マルボロ・マン、
日曜しか寝ないと噂のハリウッドのスーパーエージェントなどなど。
タバコ周りにいる、ありとあらゆる人たちが登場します。
とにかくよくできたお話。ニックの一発逆転なるか?
ああ言えばこう言う口技はボクらにも勉強に?巧みな話術をご堪能あれ。☆3つ。
「サンキュー・スモーキング」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.10.07

「「アダム-神の使い 悪魔の子-」☆☆☆
「アントブリー」☆☆☆
「いちばんきれいな水」☆☆
「ザ・センチネル〜陰謀の星条旗」☆☆☆☆
「旅の贈り物★0:00分発」☆☆☆
「ワールド・トレード・センター」☆☆☆☆

10月になりました。もう2006年も終盤戦。あなたは今年何本映画を見ましたか?
あんまり見てないなぁという方、いい作品を探して、どうぞ劇場に足を運んでみて下さい。
まだまだ遅くないですョ。では今週の6本です!

「アダム-神の使い 悪魔の子」は、言ってみれば近未来ホラー。
夫ポールは生物学の教師、妻ジェシーはカメラマン。ふたりの間にはひとり息子のアダムがいました。
ところが8歳の誕生日の翌日、交通事故で命を落としてしまうのです。
悲しみに暮れる両親の元にリチャードという遺伝子学者が現れ、
「アダムを再生しないか」と言うのです。
最初は相手にしなかったダンカン夫妻ですが、調べてみるとかなり著名な学者であることが判明。
そこで詳しく話を聞くと、実はヒトクローンの技術はすでに完成しているのだと。
倫理と悲しみと希望の間を揺れ動くふたりはついにアダムのクローン化を決断します。
アダムの遺体の幹細胞をジェシーに受胎させ再び妊娠、そして出産。
もちろん産まれた男の子にはアダムと名付けました。
またあのアダムに会えた。喜びいっぱいの夫妻でしたが、8歳を過ぎた頃から、
アダムは徐々に性格が変わっていきます。粗暴な言葉を吐き、薄気味の悪い絵を描き、
何より父のポールよりもリチャード博士に親しみを持って接するようになったのです。
「何かおかしい」
ダンカン夫妻はその真実を暴こうとするのです…。
この前「秋の中山競馬塾」で遺伝子の勉強をちょっとしました。あちらは馬ですけど。
でも人間で同じ両親から生まれた兄弟の遺伝子的差異は1000ぐらい。
他人で3000ぐらいなんだそう。その差が2000もあるとするのか、
2000しかないとするのかはちょっとボクらでは判断の付きづらいところ。
でも後天的な部分、すなわち環境で人格は変わるから、遺伝子が同じでも同じ人間になるはずがない。
ちなみに一卵性双生児は遺伝学的にはまったく違いのない同じヒトなんだそうです。
でも人間としての個は違うでしょ?
ダンカン夫妻の気持ちはわかるけど、決断の正誤は、やはりね…。
リチャードが何か企んだのは確か。それが何かは劇場で(笑)。
科学の進歩が人を幸せにするとは限りません。☆3つ。
「アダム-神の使い 悪魔の子」公式サイト

「アントブリー」は、トム・ハンクスがプロデュースの3D・CGアニメーション。
転校生のルーカスは内気な性格が災いし、なかなか友達ができません。
それどころか、ガキ大将のいじめの標的にされちゃうんですね。
「オマエは小さいから、大きなオレさまには逆らえないんだよっ」
いじめっ子たちが帰ったあと、ルーカスはガキ大将と同じ言葉を口にしながら、
自宅の庭のアリをいじめるのでした。
「おまえたちは小さいんだ。だからおっきなオレさまには…」
アリの巣の中で、ルーカスは“壊し屋”の名で恐れられていました。
しかし、あまりの理不尽さに、アリの魔法使いゾックが薬を作り、ルーカスの耳にポトリと一滴。
するとどうでしょう、ルーカスはアリのサイズにまで小さくなってしまったのです。
アリの巣の中まで連行されたルーカスに、女王アリは言います。
「完全なアリになったら人間に戻してあげましょう」と。
ルーカスは嫌々ながら、アリの世界でアリのルールを学ぶんですね。
決して仲間を見捨てないこと、みんなで力を合わせて頑張ること。
それを自然と理解するようになる大変なできごとが、次から次へと起こるのでした…。
以前もある映画で言ったかも知れないけど、悪い子から良い子に変わるために、
最初の設定があまりに“悪い子”なんだな。
だからこの子が良い子になったって知ったこっちゃねーよ、って感じになっちゃう人もいるかも。
アリさんたちみんないい人、じゃなかった、いい虫だけにね(笑)。
あまりお堅く考えずに、またはお子さんと行くには優しくて良い映画ですョ。☆3つ。
「アントブリー」公式サイト

「いちばんきれいな水」は、ファンタジームービー。
しっかりものの小学6年生、夏美。彼女は今、中学受験勉強の真っ直中。
彼女には18歳になる姉の愛がいます。ところが愛は病気でずっと意識不明のままの眠り姫。
もうこんな状態が11年も続いていました。
それでも両親と家族4人、明るく楽しく生活してきたのですが、
カメラマンの叔母が取材先の南米で事故にあったという報せが入るんですね。
あわてて現地に向かう両親。家は夏美と愛のふたりっきりに。
ところがその夜、なんと愛が目覚めるのです。それも8歳のままで。
これには驚いた夏美でしたが、初めて過ごす姉との時間。
夏美、12歳の、夏の奇跡が始まろうとしていました…。
愛が目覚めたのはその日だけ。
タイトルの「いちばんきれいな水」は愛が夏美を連れて行った秘密の場所。
あとで夏美は姉の思いをさらに深く知ることになるのです。夢かはたまた現実か。
この映画はどちらと受け取ってもいいんじゃないかな。
タイトルのごときキレイな心の持ち主なら心打たれるかも?ボクは濁り水かな(笑)。☆2つ。
「いちばんきれいな水」公式サイト

「ザ・センチネル〜陰謀の星条旗」は、なかなか良くできてましたョ。
大統領の警備に当たるシークレットサービス。
ビートはベテランのエージェントとして、大統領夫人の護衛を務めています。
ところが、なんとふたりは男女の関係を持ってしまうんですね。
そんな時、ひとりのシークレットサービスが殺されます。
彼は内部のある陰謀を知ってしまったのです。
その陰謀とは、シークレットサービスの中に裏切り者がいて、
反米の国と結託してアメリカ大統領を暗殺しようというものでした。
時を同じくして、ビートの元に送られてきた1枚の封筒。
その中には大統領夫人と抱き合う写真が何枚も入っていたのです。
世に出たなら世紀のスキャンダルに。
選択の余地もなく、相手の言うがままに交渉の場に向かったビートでしたが、
そこに写真の送り主は現れず、ビートを取り囲んだのはFBIの捜査官たちでした。
「ハメられたっ」
そう思っても後の祭り。ファーストレディとの不倫を口に出せないビートは、
この男こそ裏切り者だというレッテルを貼られ、逮捕されてしまうのです。
いくら違うと元の同僚たちに話しても信じてもらえないビートが選んだのが、強行突破。
果たして自らの潔白を証明するとともに、
すぐそこにまで伸びている暗殺計画の魔の手から大統領を救い出すことができるのでしょうか…。
ビートを執拗に追うのが、昔妻を寝とられたと思っているデヴィッドという捜査官。
男の嫉妬も怖いですよ(笑)。みなさん、気をつけましょうねっ。
141年間、シークレットサービスからは裏切り者が出ていないそう。
だから逆にもし出たらどうなる?という、逆転の発想が生んだアイデアの勝利かも。
ビート役のマイケル・ダグラスが渋いイイ味出してます。☆4つ。
「ザ・センチネル〜陰謀の星条旗」公式サイト

「旅の贈り物★0:00分発」は、旅・夢ロマン。
偶数月の第3金曜日、午前0:00大阪発の不思議な列車があります。
行き先を知らすことなく走るミステリーツアー。車掌が言います。
「この旅が皆様にとって何か大切なものを見つけられる旅になりますように」
乗客もさまざまで、男に裏切られたキャリアウーマンの由香。
誰もアタシなんて必要としないんだと、自殺願望の強い女子高生の華子。
タレント志望だった風俗嬢のミチル。リストラされたサラリーマン、若林。妻に先立たれた男、網干。
夜が明けて、列車が着いたのは「風町」という名の田舎の駅でした…。
町の人たちとの触れ合いがそれぞれの乗客の心を変えていくであろうことは想像に難くありません。
旅のロマンのさらにおとぎ話風とでもいいますか。
たまにはぶらっと一人旅にでも出たくなるような映画です。☆3つ。
「旅の贈り物★0:00分発」公式サイト

「ワールド・トレード・センター」は、アメリカ同時多発テロをオリバー・ストーン監督が描いた作品。
01年9月11日、午前8時40分過ぎのこと。
映るはずもない旅客機の影がマンハッタン上空を横切ります。
その直後、大きな地響きが。なんとワールド・トレード・センターの北棟にアメリカン11便が、
南棟にユナイテッド175便が突っ込んだのでした。
ジョンは港湾警察に務める警察官。
93年にもあったワールド・トレード・センター爆破事件でも救助活動に当たった経験があり、
かつビルについての知識や災害時の緊急活動隊としてのレクチャーも受けてきた人物。
従って今回もジョンを中心にチームが組まれたのです。
「一緒に行くやつはいるか?」
ジョンの声に手を挙げたのは3人の勇敢な部下たちでした。
ビルの内部に入ったジョンたちでしたが、そこは想像以上に悲惨な状況。
より一層気を引き締め、救助のための酸素ボンベを集め、
いざ上の階へと思ったその瞬間、ジョンは異様な物音に気付くのです。
「ビルが崩れ落ちる!逃げろっ、逃げるんだーっ!」…。
瓦礫の下で身動きも取れず、絶望の中、何度も助けを求め叫び続けるジョンと部下のヒメノ。
2次、3次の崩落が起こるたびに心まで折れそうになるんですが、互いを励まし合い、
妻や家族のことを考え、生きる希望を失わなかったふたり。
生存者がいると知って助けに入るレスキューだって、いつ次の崩落があるかわからない。
つまりは命を他人のために投げ出しているんですよね。
マスコミ資料にあった
「憎むべき悪を引き起こしたのも人間だったが、
  ひとりでも多くの人を助け出そうとしたのもまた同じ人間だった」
という言葉に考えさせられました。
「ユナイテッド93」が乗っとられた旅客機の乗客乗員からの視線なら、
こちらは警察官や消防隊員からの視線。
この映画もまた実話に基づいていて、ジョンもヒメノも実在の警察官なのです。
ボクらにとってはあくまで擬似体験ですが、
それでも見ておく必要のある1本じゃないかと思います。☆4つ。
「ワールド・トレード・センター」公式サイト

 
 

 
 
 週末公開の映画……2006.09.28

「悪魔とダニエル・ジョンストン」☆☆☆
「スーパークロス」☆☆☆
「そうかもしれない」☆☆
「bd」☆☆☆
「レディ・イン・ザ・ウォーター」☆☆

すっかり秋めいてきました。感性が豊かになる季節。
映像の1シーンを、セリフの1センテンスを、
その感性がしっかりキャッチしてボクらの心の奥底にまで届けてくれるはず。
芸術の秋です。たくさんの映画に足を運んで下さい。では今週の5本です。

「悪魔とダニエル・ジョンストン」は、実在のアーティスト、
ダニエル・ジョンストンの半生を描いたドキュメンタリー映画。
1961年、カリフォルニア州サクラメントに生まれ、
ヴァージニア州ニューカンバーランドで育ったダニエル少年。
自身の思想や物語をカセットテープに録音したり、8ミリカメラを回して映画を録ったり、
斬新なアイデアのアニメやマンガを描いたりと、幼い頃から特異な芸術的才能を垣間見せていました。
ところが、キリスト教原理主義者の両親にとって、そんな息子の行動は単なる堕落にしか映らないのです。
家を出たダニエル。しばらくして、自作のカセットテープの独自性が話題となり、
MTVにも出演するようになったのですが、ちょうどその頃、彼の中の“悪魔”が現れたんですね。
躁鬱病に悩まされるようになるのです…。
ボクもこの人知らなかったのですが、歌も決してうまくないんです。
ギターも掻き鳴らすだけって感じだし。
でも数多くの人気ミュージシャンが彼のことを偉大なソングライターと評し、
今では批評家からも絶賛されているとのこと。
宗教的要素が日本の何倍も色濃いアメリカでは、
自らを受け入れてもらえない環境って想像以上にキツかったんだろうなって。
そんな中で彼は、ローリーというひとりの女の子への片思いの歌を何百曲も地下室で録音したそう。
せつない…。なんかこういう人たちって純粋になる分、それこそ神の領域に近付くんじゃない?☆3つ。
「悪魔とダニエル・ジョンストン」公式サイト

「スーパークロス」は、モトクロス映画。
KCとトリップは兄弟ライダー。プール掃除のアルバイトをしながら、
レースに出場し続けている彼らの夢は、亡き父の成し得なかったスーパークロスのチャンピオン。
そのスーパークロスのイベント・レースに初めて兄弟で出走した二人。
あわやワンツーフィニッシュかというところで、
トリップの無茶がたたり転倒、共にリタイアとなってしまいます。
そう、兄は堅実、弟は怖い物知らず。そのレース振りは、そのまま私生活にも出ていたのです。
ところが、二人の非凡な才能を専門家が見逃すはずもなく、
常に上位にいるチーム・ナミの監督からスカウトの声が掛かります。
ところが採用されたのは兄のKCだけ。トリップの生活は荒れ始めます。
しかし、意に反して、KCの役割は主戦のラウディを援護すること。
勝てるチャンスがあろうとも勝つのはKCではなくラウディ。
そう、ラウディはオーナーの息子だから。
KCのフラストレーションもまたピークに達していたのです…。
プール掃除をしていた豪邸の令嬢ゾーイ、トリップの走りに惚れた女性ライダーのパイパー。
それぞれKCとトリップを支えます。うーん、女性の存在ってやっぱりデカい(笑)。
大手スポンサー付きのチームでなきゃ優勝は不可能とされる中、プライベートチームでの頂点を目指す兄弟。
紆余曲折、艱難辛苦、いろんなつらい系の4文字熟語が当てはまりますが(笑)、夢に向かってまっしぐら。
もちろんモトクロスのシーンも迫力満点です。☆3つ。
「スーパークロス」公式サイト

「そうかもしれない」は、認知症の老夫婦を描いた作品。
文筆家の高山治とヨシ子は質素ながら幸せに暮らす二人きりの老夫婦。
ところがある日、ヨシ子の行動がおかしくなります。認知症の宣告。
治は慣れない介護と深夜の執筆に体調を崩します。
今度は治がガンの宣告を受けてしまうのです。この時初めて決断するんですね。
「私は病院に入院するしかない。妻は特別養護老人ホームへ」と…。
考えさせられることばかりでした。直視しなくちゃならない現実なんでしょうが、つらかったなぁ。
タイトルのセリフは思いもよらないところでヨシ子の口から出てきます。ショック…。
淡々と日常を描いているので、起伏がないのがちょっと。
もちろんそれが監督の狙いであるのはわかるんですけど。
ごめんなさい、ボク的には☆2つ。
「そうかもしれない」公式サイト

「bd」は日本のスノーボーダーのドキュメンタリー・フィルム。
日本を代表するスノーボーダーたちがたくさん出演します。やはり知らなかった事だらけ。
プロのスノーボーダーって、大会に出る人ばかりじゃないんですね。
ライディングをフィルムに収めるそちらの専門家もいるんです。
もちろん掛け持ちでやってる人も多いのですが、危険なことにも挑戦しなければならない訳で、
小さな怪我なんて日常茶飯事。まさに命懸けの撮影になります。
その撮影スタッフもまたスノーボーダー。彼らはフィルマーと呼ばれ、
スノーボーダーと一心同体となって最高のパフォーマンスをカメラに収めようと頑張るのです。
オリンピックに出るだけがスノーボードじゃない。彼らの生き方を描いたドキュメンタリー。
音楽も日本のヒップホップやメロコアのいいアーティストが揃って、映像に華を添えています。
格好いいですョ。☆3つ。
「bd」公式サイト

「レディ・イン・ザ・ウォーター」は、「シックス・センス」でおなじみ、
M.ナイト・シャラマン監督最新作。
フィラデルフィア郊外のマンションに住み込みの管理人として働いていたクリーブランドは、
ある夜、使用禁止のプールで泳ぐひとりの女性を発見します。
透き通るような白い肌、まだあどけなさの残る顔。間違いなくここの住人ではない。
謎の多い彼女と話してわかったのは、ストーリーという名前だけでした。
ところが、韓国人住人のヤンスンが話した東洋の伝説。
これがストーリーと奇妙な一致を見せるんですね。
それは、彼女はある出会いを果たすために決められた場所に現れ、そこから消えていくというもの。
しかしそれは危険を伴う試練。邪悪な魔物が彼女を付け狙うから、という水の精伝説。
不思議なことに、クリーブランドの周りでは、その伝説の物語通りのことが起こり始めていたのです。
だとしたら、次は一体何が起こるのか。単調だったクリーブランドの生活が一変したのです…。
ストーリーの目的を達成させるためには様々な役割を持った人の助けが必要なんです。
記号論者、守護者、職人、治癒者。みんなこのマンションの住人の中にいる。
でも誰なのかはわからない。
パズルを解くような楽しさはあるんですが、ゴルフに例えると、
ボールがカップインした後で、そこから逆にティーショットまでを振り返るというか。
わかります?
例えばティーショットを打ってボールが林に入ったら、
無難に横に出して次をフェアウエーから打とうとするのと、
少し冒険でも木々の間を狙って少しでもグリーンに近付けようとするのと2通りの選択がある訳ですよ。
ホールアウト後なら、「あそこは無難に出すだけにしとけばよかった」とか
「チャレンジして正解だった」とかわかりますよね。
でも今トラブルの真っ最中ではどちらかを選択しなくちゃいけない。
そう、先はわからないのですから。
なんだけどこの映画って、先がわかってて、
その敷かれたレールの上を物語が走ってるって感じが否めないのです。
監督は「この世に、存在する意味のない人間などひとりもいない」
ということに気付いて欲しかったと語っています。
わかるんだけどなぁ。監督自身もこの作品に出演してるんですね。
その役どころも、おいおいそんないい役じゃなくたっていいじゃんって思っちゃいました(笑)。
半分ジェラシー?☆2つ。
「レディ・イン・ザ・ウォーター」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.09.21

「イルマーレ」☆☆☆☆
「奇跡の朝」☆☆☆
「薬指の標本」☆☆☆
「サムサッカー」☆☆☆☆☆
「セレブの種」☆☆☆☆
「天軍」☆☆☆
「ユリシス」☆☆

試写会場で腕と腕を絡めて見ている男女を発見。
話題の作品で、早く行ったにも関わらず補助席だったからちょっと腹が立ちました(-_-#)。
というのも確かにふたり共に関係者かも知れないけど、
だとしても公私の区別は付けるべきじゃないのかなぁと。
ねぇ。あ、また説教オヤジになってしまったf^_^;。今週は7本とたくさん!早速行きましょう!

「イルマーレ」は、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックの豪華共演作。
女医のケイトは念願の病院勤務が叶い、お気に入りの湖岸の家を引っ越すことに。
その際、ポストにメッセージを残していきます。
入口にある犬の足跡のこと、屋根裏の箱のこと。
湖岸の家に越してきたアレックスはポストにある変な手紙を見つけます。
だってこの家は昔、著名な建築家だった父が建てた家。
ずっと空き家だったこの家を家族の思い出とともに買ったのでした。
「犬の足跡?」
奇妙な手紙が気になり返事を書いたアレックス。
その後も何度か手紙のやりとりはあったのですが、どうも話が噛み合いません。
それもそのはず。ケイトは2006年を生き、アレックスは2004年を生きていたのです。
何故かふたりは時空を超えて接点を持ってしまいました。
それでも文通をしていく中で、互いが互いに魅かれていくのがわかります。
ケイトの時間で待ち合わせ。ケイトの明日はアレックスにとって2年後の明日。
果たしてふたりは巡り会うことができるのでしょうか…。
タイトルの“イルマーレ”は、超人気のレストラン。
2年後の予約でちょうど良かったというオチがつく感じ(笑)。
「スピード」以来の共演となるふたり。来日の際もアツアツ振りが話題になりました。
2000年の韓国映画が元ネタ。
タイムトラベルの矛盾などをあまり感じさせないうまいストーリー構成になってます。
ボクの恋人も2年先を生きてたりして!?
だから会えないのかと納得、なんてできる訳ないっしょっ(笑)。☆4つ。
「イルマーレ」公式サイト

「奇跡の朝」は、なんていうくくり方で表現されるんだろう。
ヒューマン・ホラー・ファンタジー??
フランスの静かな街にゆっくりと押し寄せる人の波。これらはみんな亡くなった人たち。
そう、死んだ時の容姿のまま、突然蘇ったのです。
驚きと共に喜ぶ家族たち。しかし、彼らには特徴がありました。
通常の人と比べて体温が低い、会話が困難、夜あまり眠らない、などなど。
突然の奇跡に感激はしたものの、戸惑う人がいたのもまた事実。
あるいは大切な人を死に至らしめた過去の過ちを再び思い出してしまう人も。
そしてまた、蘇生が突然であったように、再びの別離もまた突然に訪れたのです。
再びの永遠の別れは、もしかすると、初めてのそれよりつらいものかも知れません…。
ボクの苦手な!?フランス映画。でもこれは不可思議な状況設定からか、興味深く見ることができました。
今はいないあの人に、あの時伝えられなかったことを伝えることができたとしたら?
伝えた方が良かったのか、それとも?
幸せと残酷は隣り合わせであることを改めて痛感するかも知れません。☆3つ。
「奇跡の朝」公式サイト

「薬指の標本」もフランス映画。ただし原作は日本の芥川賞作家、小川洋子の小説です。
イリスは海の近くの炭酸飲料工場で働く21歳。
ある日、割れた瓶の口で薬指の先を落としてしまうんですね。
それがきっかけで仕事を辞めたイリス。
新しく見つけた職場は、なんでも標本にするというラボラトリーの事務職。
“砂のバラ”、“別れた恋人がプレゼントした曲”。
なんでも標本にしていきます。謎めいた博士にイリスは次第に魅かれていくのです。
博士に靴をプレゼントされたイリス。でもある日、靴磨きの男性がこう言います。
「すぐ脱がないと一生捕われの身になる」、と…。
雰囲気で見せる映画でしょうか。もちろんところどころでの説話的部分はあるのでしょうが。
凡人のボクには理解するのはなかなか難しく、いつもの“フレンチモヤモヤ”(笑)が残りました。☆3つ。
「薬指の標本」公式サイト

「サムサッカー」にもキアヌ・リーブスは出ています。
「サムサッカー」とは“親指をしゃぶる”という意味があるんですが、
大人になったらこんな癖はなくなってなきゃいけないのに、
17歳のジャスティンはいまだに“指しゃぶり”。親も心配しています。
その癖を見抜いた歯医者さんが、ジャスティンに催眠術をかけるんですね。
お陰で指はしゃぶらなくなったけど、反動からか奇妙な行動を取るようになったジャスティン。
ついに別の医師から薬を処方されるんですね。
最初は抵抗のあったジャスティンでしたが、これが効果てきめん!
議論を交わすディベート部でも人が変わったように積極的に意見を述べ、これには両親も大喜び。
しかし、薬を飲んでるところを他の部員に見られ、
そんなの麻薬とかわらないじゃないかと言われたジャスティンは薬をすべて捨ててしまうのです。
悪いことは重なるもので、恋人だと思っていた彼女から「あくまで10代の実験」と言われ、
母親は父そっちのけで人気タレントに夢中。
17歳の悩みは尽きず、将来には不安しかない。
またジャスティンは指をしゃぶり始めるのでしょうか…。
この映画、大切なのは、指をしゃぶる癖が治るかどうかじゃないんです。
それはあくまで不安の象徴。ほら、ボクらだってあったでしょ。
夢も希望も見つけられないまま、大人の入口に来っちゃった時のお先真っ暗感。
そこなんですよ。
でもね、父も母も歯科医も、みんなそれぞれに悩みや苦悩を抱えて生きてることをジャスティンは知るのです。
ま、ある行動が、彼を夢と希望の未来へと誘うんだけど、その時のジャスティンの生き生きとした表情を見て、
ボク自身の“あの頃”を思い出しました。
夢と希望に満ち溢れていたというと大袈裟だけど、限界なんて考えもしなかったあの頃。
この映画を見て10分ぐらいしてからかなぁ、帰り道を歩きながら、理由もなく涙がじわーっと溢れて来たのです。
頑張れよって、あの頃の自分からエールを送られたような気がしました。
いろんな意味で疲れている人、是非見てみて下さい!元気が出るかも!☆5つ。
「サムサッカー」公式サイト

「セレブの種」は、スパイク・リー監督の最新作。
ハーバード大を出て、バイオ関連企業に勤め、将来は幹部候補のエリート黒人男性ジャック。
ところが彼が上司の不正を内部告発。
その勇気ある行動がアダとなり、なんと会社をクビになってしまいます。
さぁどうする。
そんな時、元の彼女で、実はレズビアンだったファティマが今の恋人、つまり彼女を連れて現れるのです。
ファティマの目的は“子作り”。子どもは欲しいけど、女同士じゃ無理。
かといって誰の種でもいいかと言えばそれはNO。
容姿端麗、頭脳明晰のジャックはピッタリだと。
そんな話、ジャックはもちろん断ります。
しかしファティマはなんとひとり10000ドルの報酬をちらつかせるのでした。
背に腹は替えられないジャックは渋々引き受けるのですが、
このことをファティマが同性愛仲間に話したものだからさぁ大変!
お金に余裕のあるレズビアンの女性たちが子供欲しさに大挙訪れるようななったのです。
うらやましいと言うなかれ。
中にはごっつい女子格闘家みたいな女性とも関係を持たなくてはならないのですから。
裕福な生活を再び手にしたものの、ジャックを待っていたのは、社会の強烈なバッシングだったのです…。
スタミナドリンク「REDBULL」が出てくる映画(笑)。
社会の矛盾や歪みをそこここに散りばめるあたりはさすがスパイク・リー。
アダルト・コメディ的要素もたっぷり。大人なカップルにおすすめです。☆4つ。
「セレブの種」公式サイト

「天軍」は、韓国版“戦国自衛隊”。
朝鮮半島の国境付近、地下に作った秘密基地で、北と南が共同開発した核兵器がありました。
その名も「飛撃震天雷」。他の国から自らの民族を守る最終兵器でした。
しかし諸外国の反発があり、アメリカに渡さなければならなかったのです。
納得のいかない北の幹部は南の制止を振り払って、この核兵器を盗み出します。
追う南の兵士と撃ち合いになったその時、433年周期で地球に接近する彗星が飛来。
時空が歪み、敵も味方も核兵器も、なんと433年前にタイムスリップしてしまったのです。
気が付けばそこは戦いの真っ只中。蛮族と農民の無惨な戦いの中でした。
近代の武器で農民を守る兵士たち。農民は彼らを“天軍”だと崇めます。
そこに名を聞けばパク・チュンフンがいるではありませんか。
時代からしてこの男、豊臣秀吉の朝鮮遠征から民族を守ったと言われる伝説の英雄に間違いないのです。
しかし彼はといえば、自分に甘く、おおよそ英雄として伝わっている人物とは思えなかったのです。
果たして彼らは無事現代に戻れるのか?農民の命は?英雄伝説は本当だったのでしょうか…。
おそらく自国韓国の人が見ると面白いんだと思いますよ。ボクらも歴史を知って見ると楽しめるはず。
もちろん今の南北間へのいろんなメッセージが詰まっているのはボクでもわかったけど。☆3つ。
「天軍」公式サイト

「ユリシス」は、奥菜恵主演作。48分の短い映画です。
幼なじみのサライとミチルは大学生。旅行先のオーストラリアでナンパ三昧。
しかし千景のちょっぴり陰のある雰囲気にノックアウト。ふたりは彼女の毎日について回ります。
千景はオーストラリアにいるという青い蝶“ユリシス”を捜しに来たのです。
それには悲しい訳がありました…。
なんだろ、イメージフィルムのようで、もう少し奥の深さみたいなのがあると良かったかな。
いや奥をボクが見れなかっただけかも知れないけど(笑)。
オール・オーストラリアロケだとか。旅行気分でどうぞ。☆2つ。
「ユリシス」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.09.14

「海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ」☆☆
「サイレントノイズ」☆☆☆
「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」☆☆☆

芸術の秋。たくさんのいいものに触れて、感性と価値観の物差しに幅広い目盛りを打ちましょう!
そのためには下を知るのも必要ですからねっ。さ、今週は3本です!

「海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ」は、ゴーストストーリーの青春ファンタジー。
交通事故で命を失った3人の女子高生、マキ、美香、理沙。
自分たちの葬儀が営まれているのを見て愕然とします。
先生や友達に話し掛けても気付かれず、触れようとしても無理。
ところが、唯一彼女たちのことを見ることができたのが夏美でした。
夏美は友達がいない女の子。家でも家族とうまくいかず悩んでいました。
死んだ3人もそれぞれにまだやり残したことがある。
しかし、幽霊になって今はこの世に戻ってきたけれど、残された時間は48時間。
タイムリミットが来れば、死神が有無を言わさず、あの世へ連れて行ってしまうのです。
ギリギリの環境の中で、深まる4人の友情。彼女たちの最期に奇跡は起こるのでしょうか…。
わかりやすい1本です。モーニングショーでの公開。朝から死神とご対面もなんですが(笑)、
その日1日を大切に生きなきゃという気持ちにはしてくれるはずです。☆2つ。
「海と夕陽と彼女の涙 ストロベリーフィールズ」公式サイト

「サイレントノイズ」は、科学ホラーサスペンス。
建築家のジョナサンは、ベストセラー作家のアンナと再婚。
今は幸せな毎日を送っていました。さらに飛び込んできたアンナの妊娠の知らせ。
喜ぶ彼らに不幸は突然襲ってきたのです。
アンナの車が大破。しかしアンナの姿は見当たらない。
誘拐か?事故死か?
真相がわからぬまま、時間だけが過ぎていきました。
そんなある日、ジョナサンの前にレイモンドと名乗る男が現れ、
アンナは死んでいると、霊界からの彼女の声を受信したと言うのです。
最初は怒鳴って突き返したジョナサンでしたが、後日アンナが遺体で発見されると、
レイモンドの言った“霊界からの声”が気になり出します。
さまざまな機材を用いて霊界との交信をはかるレイモンド。確かに彼女の声はありました。
ジョナサンも、なんとかアンナと言葉を交わしたいと、それだけに没頭する毎日。
ところがこれは悪霊をも呼び寄せる危険な行為だったのです…。
何らかの理由で波長が合い、電波に乗って別世界の音声が聞こえることを
EVP(エレクトロニック・ヴォイス・フェノメナ)というそうです。
日本語に直すと“電磁音声伝達現象”。
有名なところだとレベッカの「MOON」に『先輩…』という声が入っていると以前話題になりましたよね。
あれもEVPだそうです。
斬新なアイデアと切り口でなかなか楽しませてくれる作品です。
ビクッとするような怖さではありませんが、
この手のちょっぴりアカデミックな味付けが好きな人にはお薦め。☆3つ。
「サイレントノイズ」公式サイト

「ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT」は、シリーズ第3弾。
今度の舞台はなんと東京!
カリフォルニアの高校に通うショーンは大の車好き。ところがその車が原因で、
何度も警察のご厄介になってるんですね。今回もまた問題を起こしたショーン。
ついに街にはいられなくなってしまいました。
軍人である父を訪ねて日本にやってきたショーン。しかし、慣れない環境に戸惑うばかり。
同じ学校に、基地で暮らすアメリカ人のトゥインキーがいました。
彼もまた根っからの車好きで、即、意気投合。トゥインキーの車で向かったのは深夜の渋谷。
それも立体パーキング。実はそこがドリフト族たちの秘密のレース場だったんですね。
仕切っているのはヤクザとのつながりもあるDK。この名前は“ドリフト・キング”の略。
それほどに腕の立つドライバーだったんですが、怖いもの知らずのショーンは、
DKとトラブルになり、無謀にもドリフト勝負を挑むのです。
DKの片腕のハンが車を貸してくれました。
ところが、ドリフトの経験などまったくないショーンは、
ハンの高級改造車をあっちにぶつけ、こっちにぶつけ。
勝負に負けただけじゃなく、廃車にしてしまうのです。
車を壊した代償に、ハンから借金の取り立てをやれと言われ、仕方なく危険な仕事に手を出すショーン。
しかしハンには野望がありました。今はDKの下にいるけれど、いつかはヤツを抜いてやろうと。
そのためには負けん気の強いショーンのような相棒が必要だったのです…。
ストーリーもさることながら、東京が舞台というのがまたすごい訳で。
まだ映画のサポートがしっかりできていない東京ですから、ロケの多くはゲリラ的撮影だったと。
やるだけのことをやって、あとはLAのダウンタウンに渋谷の街並みを再現して撮影を続けたそうです。
しかし、立体パーキングとはうまく考えたなぁ(笑)。車の映画だけに“逃げ道”はしっかり?
柴田理恵、妻夫木聡など日本の俳優陣もちらほら。
あなたの知ってる東京が、ハリウッド映画になってます!☆3つ。
「ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT」

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.09.09

「X-MEN:ファイナル ディシジョン」☆☆☆
「ドリームシップ エピソード1/2」☆☆
「バックダンサーズ!」☆☆☆☆
「弓」☆☆
「ルイーズに訪れた恋は…」☆☆☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)

夏休みが終わり、学校の授業が再開。試写に行ける日が少なくなってしまいました。
どうしても見られない作品は仕方ないと割り切らないといけないんですけどね。
「見逃したものの中にいい映画があったら…」。
欲張りかも知れませんが、ついそう思ってしまいます。
でも、これも人間関係同様“縁”なんだと思います。
この秋は人も映画もいい縁に恵まれますように。さ、今週の5本です!

「X-MEN:ファイナル ディシジョン」はシリーズ3部作の完結編。
ミュータントと人類の共存のため、
子供の頃からミュータントを正しく教育する学校がエグゼビア・スクール。
そのスクールの卒業生から優秀な者だけを選び、平和のために貢献するチームがX-MEN。
逆に差別や迫害などから人類打倒を目指すミュータントのテロ組織がブラザーフッド。
そこに人類を交え、今や戦闘状態になっていたんですね。
そんな中、ミュータントを人間に変える薬“キュア”が開発されます。
超能力を失う代わりに人間になれる。
ミュータントたちはそれぞれに選択を迫られるのです…。
前作で仲間の命を救うために犠牲となったジーンが、悪の人格を持って蘇ります。
彼女の恋人だったウルヴァリンは、ジーンと戦うべきか否か迷うなど、この映画のテーマは“選択”。
最終章といえども、続編に含みを持たせるラストがどうも(笑)。
ファンにはうれしい展開なのかも知れませんが。☆3つ。
「X-MEN:ファイナル ディシジョン」公式サイト

「ドリームシップ エピソード1/2」は、「スター・ウォーズ」、
「スター・トレック」を始め、数々のヒット作をパロディ化したドイツのSF映画。
火星植民地の反乱軍にやられ、滅亡の危機にあった人類が最後に託した望み。
それはタイムトラベルにより過去へ行き、火星植民地化の事実を根底から抹消すること。
その任務を言い渡されたのが、
ポコチン型飛行船ドリームシップ号に乗っていた3人のオカマちゃんでした。
このとぼけた3人、果たして人類の危機を救えるのでしょうか…。
タイムマシンの不備により、あちこちの時代へ飛ばされ、
間一髪助かるなんて展開にはあまり新鮮さがなかったかなぁ。
それでもマニアにはこういうのがたまらなく面白いはず。
なぜかというと、パロディって元ネタを見つけられた時に喜びが倍増するから。
でもボクは「スター・トレック」のパロディなら、
笑って泣けた「ギャラクシークエスト」の方が好きかも。
あなたのマニア度は果たして?☆2つ。
「ドリームシップ エピソード1/2」公式サイト

「バックダンサーズ!」は、元SPEEDのhiro、平山あや、ソニン、サエコの4人が主役。
芸能界の裏事情も描いた青春ダンス映画。
1人のボーカリストと4人のバックダンサー。
人気絶頂の時に突然引退を宣言したボーカリストのジュリ。
残された、よしか、ミウ、ともえ、愛子はただのバックダンサー。
大手事務所のお偉いさんたちは、売れてるものに乗れの姿勢だから残された4人には目もくれません。
新たに担当になったのが新人の茶野マネージャー。
彼が受け持つのは、時代錯誤のオジサン・ロックバンド、スチールクレイジーと、バックダンサーズ。
ドサ回りの仕事しかないのが現実の悲しいスケジュールに仲違いも起こります。
さらには解雇、解散の危機も。
踊ることが純粋に大好きな4人に、再びスポットライトが当たることはあるのでしょうか…。
いろんな偶然というか人のつながりが、いいドラマを生んでいきます。
さすがに監督、脚本はCX“月9”の永山耕三。うまく点と点を結んでいくなぁといった感じ。
事実この世界、運による部分って大きいですからね。
脇を固める役者さんたちがいいっていうのもスパイスの効いた隠し味。
スチールクレイジーのVo、陣内孝則がドラマのカギを握ってます!おっと言えない、言えない(笑)。
オヤジバンドのドラマー役で、つのだ☆ひろが出てるんだけど、
営業でスキー場に向かったバスが現地に着いて、
バスから下りたとたん、こう言うんです。「お〜、寒み〜デイビスJr!」。
ププッ。古き良き芸能界ギャグ。ボクにはツボでした(笑)。
試写では隣りのおっちゃんが途中からずーっと泣きっ放し。
確かにいいシーン多いけど、あんまり泣かれるのもねぇ(苦笑)。
そんな事からもわかるように、なかなかの感動作でしたョ。☆4つ。
「バックダンサーズ!」公式サイト

「弓」は韓国映画。独特の、不思議なテイストで描かれた作品です。
海にポツリと浮かぶ船。そこには1人の少女と老人が住んでました。
少女はどこからともなく老人が連れてきて、この船で暮らすようになって10年。
少女には老人が、また老人には少女がすべてだったのです。
彼女が17歳になったら結婚をする。約束の日まであと3ケ月。
ところが、釣り船として客を乗せているこの船に1人の若者が乗ってくるのです。
心動かされる少女。相通じるものを感じる若者。嫉妬の怒りに燃える老人。
3人の思いが交錯していくのです…。
絵も綺麗だし、魅せられる部分はあちこちにあります。
ただストーリー云々じゃなく、感性で見る映画かなと。
☆の数が少ないのは、個人的にそういうタイプの映画にガツンとこないというだけです。
先入観なく見て下さい。☆2つ。
「弓」公式サイト

「ルイーズに訪れた恋は…」は、逆にボクにはガツンと来る1本。
コロンビア大学芸術学部の入学選考部で部長を務めるルイーズは39歳。
先日離婚したばかりの独身女性。
ある日、1通の入学願書に目をやった彼女、そこに書かれていた名前にハッとします。
“スコット・ファインスタウト”。それは彼女の初恋の彼の名。
実は彼、20年前に交通事故で亡くなっているのです。
「会ってみたい…」
好奇心から面接をセッティングします。
面接に訪れたスコットは驚くほど、初恋のスコット似。
容姿はもちろん、細かい仕草まで瓜二つでした。
20年前に一気にタイムスリップするルイーズ。目の前にいるスコットもまた絵の才能は抜群。
2人が男女の関係になるのに時間はそう掛かりませんでした。
幸せなんだけど、でもどうしてもルイーズの心に湧き上がってくる不安。
「彼との年の差は15歳。私は入学までのただの道具じゃないのかしら」
39歳のバツイチ女性と24歳の若者が奇妙な縁で出会った恋物語。果たしてその結末は…。
実はルイーズには親友のミッシーがいるんだけど、ミッシーには相談できないんです。
なぜなら、昔彼女にスコットを取られてるから。
また彼を取られるんじゃないかと、ルイーズはスコットの存在をひた隠しにしようとするんですね。
そのあたりまで全部20年前に戻っちゃってる。
以前、この映画の試写を見たその日の日記に心打たれた言葉があると書いたけど、ここでまた改めて。
ルイーズが語気も荒くこう叫ぶのです。
「いつも前を向いて、常に先に進まなくちゃいけないのっ?」
ボクらは人を励まそうとする時、つい「前向きに」とか、
「新たな一歩を踏み出さなきゃ何も始まらないじゃない」とか言いがちだけど、ちょっと待てよ、
立ち止まって振り返って、幸せだった昔を大切に思い返すことだって素敵なことなんじゃないかって。
ホント考えさせられました。
あなたはどう思いますか?☆5つ。
「ルイーズに訪れた恋は…」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.08.31

「Kinky Boots」☆☆☆☆
「トリノ、24時からの恋人たち」☆☆☆
「日本以外全部沈没」☆☆☆
「ファントマ危機脱出」☆☆☆
「夢遊(むゆう)ハワイ」☆☆☆
「40歳の童貞男」☆☆☆
「ONE LOVE」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
ごめんなさい。「Kinky Boots」は先週末8月26日に公開でした。
大好きなイギリス映画で、紹介するのを楽しみにしてたのに見落とすなんて。
すみませんでしたm(_ _)m。それも含め、今週は7本です!

「Kinky Boots」は、イギリスのコメディ映画。
ノーサンプトンという田舎町にある、歴史と伝統を持つ靴工場“プライス社”。
父の突然の他界で社長の座に着いたひとり息子のチャーリーはその現実にビックリ!
倉庫は在庫の山。それでも父は社員のクビは切れないからと売れない靴を作らせ続けていたのでした。
「間違いなく倒産だ」。
ロンドンの街でヤケ酒をあおったチャーリーは、その帰り道、複数の男に絡まれる大柄の女性を発見。
よせばいいのに助けに入り、案の定ノックアウト。気が付いたのは派手な電飾の女性の部屋。
よく見るとそこはショーパブの楽屋。助けようとした女性、実は男性でドラッグクイーン(オカマちゃん)。
ロンドンのクラブ“エンジェル”のカリスマ・ドラッグクイーンのローラだったのです!
翌日、会社で次々社員にクビを伝えるチャーリー。
「すまない。でもいったいボクに何ができる…」
そんな弱気な言葉でクビを切られる側も怒り心頭。ひとりの女性社員がこう怒鳴ります。
「椅子に座ってるだけのクセにっ。他の会社の社長は隙間の市場を探して頑張ってるじゃないのっ」
その言葉にハッとするチャーリー。彼は思い出したのです。
ローラが痛そうにキツいブーツのジッパーを上げていたことを…。
そう、チャーリーはオカマちゃんたち専用のブーツを作り始めたのです。
ローラにもデザイナーとして片田舎の工場に来てもらって。もちろん最初は大変。
考えられない方向転換ですからね。
職人たちの理解は得られるのか、プライス社は立ち直れるのか、見てのお楽しみです。
これ実話に基づいた作品。
イギリスのコメディ映画は日本の人情喜劇にも通じるところがあってボクは大好き。
惜しいのは、うまくいってたのがマイナスに転じる時のその持って行き方がちょっぴり強引なところかなぁ。
「えっ、今そんなこと言うかい?」って言葉からトラブルになるのだけど。
☆1つ減らしたのはそこ。あとは笑って泣いて楽しめる作品です。
ちなみに“Kinky”とは「性的倒錯の」とか「変わりものの」という意味があるそうです。☆4つ。
「Kinky Boots」公式サイト

「トリノ、24時からの恋人たち」は、イタリア映画。
国立映画博物館の深夜警備の仕事をしているマルティーノは昼夜まったく逆の生活。
彼の楽しみは、近くのハンバーガーショップで働くアマンダの顔を見ること。
しかし客と店員との域を超える会話は一度もありません。
一方のアマンダには車泥棒を生業としている恋人のアンジェロがいました。
彼とは会いたい時に会えない、店の店長とは折り合いが悪くもめごとばかり。
ストレスがピークに達したその時、アマンダは店長にフライ用の油を浴びせかけてしまうのです。
彼女が逃げ込んだのはマルティーノが働く博物館。そこから物語は始まるのです…。
無口なマルティーノは優しくアマンダを匿います。
まるで映画の中のような不思議な空間がアマンダを癒していくその一方で、
アンジェロは居場所を言わないアマンダにイライラが募ります。
奇妙な三角関係をおしゃれに描いた1本です。
映画博物館の中の描写に、映画好きにはたまらないであろうスパイスというか隠し味がたくさん。
そちらだけでも楽しめるかも。☆3つ。
「トリノ、24時からの恋人たち」公式サイト

「日本以外全部沈没」はタイトルからわかるように「日本沈没」のパロディ。
でも、原典:小松左京、原作:筒井康隆とあるように、いわゆる公認パロディなんです。
日本以外全部沈没し、世界の要人がみな日本に避難してくる。
これまで日本の政策に批判的だったアジアの近隣諸国の首脳たちも、ヨイショのために前言撤回。
靖国参拝を褒めたたえたりなんかして(笑)。あふれかえる難民に小さな島国日本はどう対処するのか。
地球上で唯一残った日本は本当に安全なのか?バカバカしいお笑いの1本。
難しいことは考えずにと言いたいけれど、少し考えて(笑)楽しんで見て下さい。☆3つ。
「日本以外全部沈没」公式サイト

「ファントマ危機脱出」は、“ファントマ映画祭2006”と題して上映される3本のうちの1本。
ファントマは、1960年代のパリが生んだ人気のキャラクターなんです。
この「危機脱出」は、ファントマのライバルジューヴ警部がTVを通じてファントマに宣戦布告。
また新聞記者のファンドールが、婚約者エレーヌの助言で“ファントマは存在しない”との記事を書くなど挑発。
これらに怒った怪盗ファントマが、3人を巻き込んでひと騒動起こすといったお話。
非常にレトロな映像がかえって新鮮かも。特撮?ももちろんいい意味でB級です。
フランスの60年代に興味のある人は是非!☆3つ。
「ファントマ危機脱出」公式サイト

「夢遊ハワイ」は台湾の青春映画。
兵役終了を間近に控えたアーチョウとシャオグェ。ある晩、アーチョウは不思議な夢を見ます。
小学校時代、彼にいつも優しく接してくれたシンシンが死んでしまう夢でした。
ある日のこと、のろまのクンフーが軍を脱出。
アーチョウとシャオグェは上官から休暇という名目のクンフー探しを命じられるんですね。
アーチャオはこれを利用して、シンシンに会いに行こうと決意します。
ところがシンシンは今、精神を病んで、病院に入院していたのです…。
面会に行ったアーチョウをわかってかわからずか、シンシンはアーチョウについてきてしまいます。
そこから始まる3人の珍道中。さらにクンフーに隠された意外な素顔、そして逃亡の結末など、
しばしの休暇は若者たちに様々なことを残します。
海は出てくるけどハワイは出てきません。でも原題にもハワイを表す文字が使われているようです。
ゆったりした時の流れ、さわやかでせつないストーリー。
行く夏を惜しむにはいいかも知れません。☆3つ。
「夢遊ハワイ」公式サイト

「40歳の童貞男」はタイトル通り、40歳でいまだ女性経験のない男性を描いたコメディ映画。
家電量販店に勤めるアンディ、40歳。それも接客ではなく、商品管理の地味な仕事。
周りからもつまらないヤツと思われていたアンディだったんですが、
たまたま誘われた仕事仲間とのポーカーの席で、話は下ネタに。
「今までで最も下品な体験」というお題がアンディに回ってきた時、
彼は女性の胸について“砂の詰まった袋のような感触”と話し、
童貞がバレてしまったのです。誰にも言わないと約束した面々でしたが、
翌日店に行くと、みんなが“童貞くん”と声を掛けてくるではありませんか。
そう、しゃべられちゃったんですね。
責任を感じた仲間たちはなんとかアンディに女性を紹介しようとやっきになります。
果たしてアンディに卒業の日はやってくるのでしょうか…。
それでも運命の人というのはいるもので、アンディがたまたま接客した女性客にアンディは魅かれていきます。
でももちろんアプローチの仕方がわからない。同僚たちの“余計なお世話”と並行して、
一歩一歩、亀の歩みで育って行く愛の行方にご注目。この映画もニヤリと笑えます。☆3つ。
「40歳の童貞男」公式サイト

「ONE LOVE」はジャマイカ映画。ボブ・マーリーの息子、キマーニ・マーリーの主演作です。
レゲエ音楽に人生を捧げてきたカッサと、クリスチャンの娘に生まれたセリーナの恋物語。
セリーナは厳格な父のもと、ゴスペルしか歌ってはならないと育てられました。
レゲエをやるラスタファリアンはセリーナの父親からすれば、最も忌み嫌うべき存在なんですね。
でもセリーナはカッサの音楽にどんどん魅かれていく。
障害が高ければ高いほど恋愛は燃えていくもの。
この映画のタイトルでもあるボブ・マーリーの大ヒット曲のように、
互いが理解し合える日は来るのでしょうか。
B級感漂う映像ではありましたが、首都キングストンの風景や、
ジャマイカの音楽産業の今みたいなのもチラッと見れて、それはそれで楽しめるかも。☆3つ。
「ONE LOVE」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.08.24

「ハイテンション」☆☆
「僕の、世界の中心は、君だ。」☆☆☆
「46億年の恋」☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
昔、試写室のマナーについて書きましたが、映画を見てあれこれ語る立場にいる人には、
やっぱり少しは周りに気配りして欲しいと思うのです。
例えば、最前列に背の高い人が座ると、頭でスクリーンの下の方が隠れちゃう。
ちょうど字幕の部分が遮られるから2列目の人がぐっと頭を上げる。するとまた3列目の人が…。
後ろの人のことを考えて少し下がれないのかなぁと思っちゃいます。
以前TVでおすぎさんだったかな、 「あたし、頭だって思うと、頭、頭、頭、頭って、
頭のことばっかり考えちゃうから席は絶対一番前」って言ってました。わかる…。
映画館でも空いてるとホッとしたりして。
本当はたくさんのお客さんでいっぱいなのを願わなきゃいけないのにね。複雑。
では今週の3本です!

「ハイテンション」はサスペンスホラー。
マリーとアレックスは仲良しの女学生。試験勉強に集中しようと、
ふたりは深い森と広いトウモロコシ畑に囲まれたアレックスの実家に向かいます。
両親と弟、そして愛犬が笑顔で迎えてくれたその夜、家の前に古びた1台のトラックがやってきました。
ドアベルが鳴らされ、アレックスの父がドアを開けると男が急に刃物で襲いかかり、父を惨殺。
そして次々に家族を殺して行ったのです。
マリーは危険を察知し、なんとか身を隠します。
アレックスの無事を確かめに部屋へ行くと、彼女はベッドに縛りつけられていました。
必ず助けるからと外に出て車を取りに行くマリー。
ところが殺人鬼がアレックスをトラックの荷台に放りこみ、今まさに出発しようとしたのです。
間一髪荷台に紛れこんだアレックス。果たしてふたりの運命は…。
斧やチェーンソーを振り回しながら追いかけてくるあたり、
オールドスタイルのホラー映画そのものなんですが、この作品はそこにひとひねり。
ビックリする結末が用意されているのです。
なるほどそうだったんだと思う反面、ちょっぴり無理というかストーリー上の矛盾も見えちゃって、
そこらへんがどうかでしょうね。ホラー映画ファンの声が聞きたいものです。☆2つ。
「ハイテンション」公式サイト

「僕の、世界の中心は、君だ。」は韓国映画。
タイトルからもわかるように、日本で大ヒットとなった“セカチュー”こと、
「世界の中心で愛を叫ぶ」の韓国版リメイクです。
海沿いの高校に通う、ごくごく平凡な男の子、スホ。
しかし、そんな彼に熱い視線を送る女の子がいました。彼女の名はスウン。
学校一の美人で成績優秀、すべての男子生徒のマドンナ的存在でした。
実はスホとスウンは中学も同じ。スウンは知っていたのです。
スホが誰よりも優しく、豊かな心の持ち主であることを。
ところがスウンのどんなアプローチにも気付かない鈍感なスホ。
スウンは思い切った行動に出ます。
ポケベルの番号を教え、ボイスメッセージに自分の思いを残し、スホにそれを聞かせたのです。
あまりのうれしさに天にも昇らん気持ちのスホ。
自分にこんな積極的な一面があったのかと自ら驚くスウン。ふたりの仲は急接近。
より深くお互いを知り、そして魅かれあっていくのでした。
ある日、思わぬことからふたり切りで島に旅行に行くことになったスホとスウン。
そこで誓う永遠の愛。
「僕の、世界の中心は、君だ」
ところが、幸せの真っ直中にいたふたりを、不幸な出来事が襲うのです。
スウンが、突然倒れてしまうのです…。
韓国映画はこの手のタイプは得意ですから、元ネタを知ってたとしても違和感はまったくなかったかな。
というか、逆にシンプルな分、見やすかったかも知れません。
韓国映画はこれでもか、これでもかって来るからね(笑)。
スホには「猟奇的な彼女」などでおなじみチャ・テヒョン。
スウンには韓国TVドラマのヒロイン、ソン・ヘギョ。
日本で大ヒットのお話がお隣り韓国でどう料理されてるか。あなたの目で確かめて来て下さい。☆3つ。
「僕の、世界の中心は、君だ。」公式サイト

「46億年の恋」は、ストーリーうんぬんよりも感性で見る映画かも知れません。
主演は松田龍平と安藤政信。舞台は監獄。男同志の友情?愛情?
とにかく不思議な世界を描いています。
ストーリーを書くのは陳腐かも。なんだろ、とにかく見てみて下さい。
いけないんだけどね、こういう文章(笑)。でも…。☆2つ。
「46億年の恋」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.08.18

「スーパーマン リターンズ」☆☆☆
「深海 Blue Cha-Cha」☆☆
「マッチポイント」☆☆☆☆

恋をしたある女性が、「みんなデートってどこで何をしてるんだろう」って真剣に悩んでました。
確かに。東京って遊べそうで遊べない街なんだよね。
聞けばふたりともお酒が飲めないとか。
「じゃ映画しかないでしょ。あとで語り合えるのがいいよね」と。
でも意見がぶつかって最初のデートからケンカしたなんて言わないでよ。
ちゃんと作品をセレクトするんだよ。頑張れ、Tちゃん!
では今週の3本です。

「スーパーマン リターンズ」は19年振りのまさに“リターンズ”。
シリーズ5作目になります。
恋人ロイスに正体を打ち明けられないという悩みを抱え、突然姿を消したクラーク・ケント。
宇宙を旅していたのですが、やはり故郷は地球だと、5年振りに帰ってきたのです。
仲間の力添えもあり、デイリープラネット社で新聞記者の職に戻れたクラークでしたが、
恋人だったロイスは変わっていました。なんと婚約者と、幼い息子までいたのです。
一方、宿敵レックス・ルーサーは刑務所を抜け出し、人類滅亡計画の真っ直中。
スーパーマンは人類を救えるのでしょうか。
またロイスへの恋はこのまま終わりを迎えてしまうのでしょうか…。
もう19年なんですね。ボクもまだ20代半ばだった訳だ。
おいらのロイスも変わっちまったなぁ…。なんてね(笑)。
難しいことは抜きにして楽しめばいい作品です。
オイオイ、そりゃすご過ぎないかいってシーンもあるけど、裏を返せば、それだからこそのスーパーマン!
そこを否定しちゃいけません。
“スーパーマン俳優”はこうでなきゃって感じの、首が顔の幅より太い役者、ブランドン・ラウス。
彼にとってこれがデビュー映画だそうです。
でもさ、絶対おかしいと思うよ。身近にあんなマッチョがいてごらん。
「どこのスポーツジムに通ってるんです?」なんてレベルじゃないんだから(笑)。
あ、そこを考えちゃいけないんだ…。新たな門出に☆3つ。
「スーパーマン リターンズ」公式サイト

「深海 Blue Cha-Cha」は台湾映画。
心に病を抱え、刑務所から出てきたばかりの女性アユー。
姉のように慕っていたアンの元を訪ねると、彼女はアユーを迎え入れてくれます。
アンのクラブで働き始めるアユー。羽振りのいい上客がアユーを気に入るんですが、
男性に免疫のないアユーは恋が遊びでは済まなくなってしまうんですね。
結局、男と揉めに揉めてアンにも迷惑を掛けることに。
アンの店を辞めたアユーは、今度は工場で働き始めます。
ここでも優しい先輩の男性社員がアユーに言い寄ってくるのです。
今度こそと、彼を信じてしまうアユーでしたが、彼もまたアユーの存在が煙たくなってくるのでした…。
チェン・ウェンタン監督は、人の心、特に女性の深い愛情と海の深さを比べてみたかったと語ります。
ボクは個人的に重い恋愛はウエルカム。だけど暗い恋愛はノーサンキュー。
この違い、わかります?深いけど光の差してるのがいいなぁ(笑)。
この映画は恋愛だけじゃなく、女性同士の友情ともうひとつ、
ラストに指人形の劇団が登場するんだけど、そこにも出てくる、
ある種アユーと同じピュアな心みたいなのを描きたかったんだと思うんだよね。
登場してきた男性たちとは対になる存在のね。
深い。確かに深いんだけど、どうでしょ。
ボクにはどうしても光が差し届かなかったかなぁ。☆2つ。
「深海 Blue Cha-Cha」公式サイト

「マッチポイント」はウディ・アレンの監督最新作。
アイルランド人のクリスは、ロンドンで一発成功してやろうと考えている野心家。
プロのテニスプレーヤーとしてそこそこやれてはいたのですが見切りをつけ、
生活のためにセレブ御用達のテニスクラブでコーチを始めます。
そこで知り合った企業家の息子トム。
共にオペラ好きとわかり、家族席へ招待されたクリスを、妹クロエが一目惚れ。
クリスはあっという間にヒューイット家に接近していったのでした。
親族のパーティにも呼ばれたクリス。
会場となった別荘でブロンド美人に出会い、グッと惹かれてしまうんですね。
彼女はアメリカ人のノラ。実はトムの婚約者だったのです。
クロエに惚れられ、ヒューイット家にも気に入られ、クリスはクロエと結婚。
仕事も父の会社に最高の待遇で入ります。
ところが、クリスの頭の中はノラのことでいっぱいでした。
ある日、トムがクリスに言います。
「実はノラとは別れた。婚約を解消したんだ」と。
いったんは姿を消したものの、住み慣れた街に帰ってきたノラと、
今では会社のお偉いさんになったクリスが再会するのにそう時間は掛りませんでした。
始まった不倫関係、そして裏切りの二重生活。
遂にはノラの口から最悪の言葉を聞くのです。
「妊娠したみたい。奥さんと別れて」…。
ひゅーっ。背筋がぞっとしますよね(笑)。自業自得。クリスが悪い。
なんてそれだけだったら、よくある三角関係の痴話ゲンカですが、
ウディ・アレン、そんな陳腐な訳がない。
実は冒頭、ネットとボールだけが映るテニスのラリーのシーンから始まるのですが、
ボールがネットに当たり、真上に上がる。向こうに落ちればこっちの勝ち。
でも手前に落ちればこちらの負け。これはまさに運でしかないという。
で、テニスじゃないけど、クライマックスに似たようなシーンが流れるのですよ。
さぁどっち?で、どうなる?
でもそこが実はTVCFで流れちゃってて、
「えー、CFで使うのあそこなのぉ?」とボクは少々憤ってるのですが(笑)。
まぁそこまで知っても結末はドンデンデンのデン。
大丈夫、へぇーって唸ること間違いなし。さすがによくできてました。
プレスをもらって読んだら、さらに深いウディの考えや隠し技などがあるみたいだけど、
そこに気付かなくても十分楽しめます。
妖艶なノラには、スカーレット・ヨハンソン。
クリスじゃなくてもクラッといっちゃいますって(笑)
限りなく5つに近い☆4つ。
「マッチポイント」 公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.08.10

「愛と死の間(はざま)で」☆☆
「紙屋悦子の青春」☆☆☆☆☆
「東京フレンズ The Movie」☆☆
「ハッスル&フロウ」☆☆☆
「ユナイテッド93」☆☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
今週は☆のつけ方でかなり悩みました。
いつも言うように、☆が少なくても駄作じゃないんです。たまに駄作もあるけど(笑)。
なんか☆5つと☆4つの映画が今週はボクの中で良過ぎたのかな。
相対的に☆の数が決まったって感じ。見たらあなたの感想も聞かせて下さいね。
では50音順です!

「愛と死の間で」は香港の人気スター、アンディ・ラウ主演作品。
有能な外科医コウ。妻のチーチンは多忙な彼のスケジュールに寂しさを感じながらも、
精一杯夫を愛し、支えていました。一方のコウもチーチンを心から愛していたのです。
ある日のこと。夕飯を共にする約束で車を出し、病院の駐車場でコウを待っていたチーチン。
ところが急な仕事で行けなくなったと電話が入ります。
仕方なくひとり帰宅しようとしたチーチンの車にトラックが突っ込み、車は大破。
チーチンは帰らぬ人になってしまったのです。
「なんであの時…」。悔やんでも悔やみ切れないコウは医師を辞めます。
その後、救護隊員として働いていたコウ。
ある夜、交通事故の現場に出くわし、車に閉じ込められていた女性を助け出します。
その時、彼女から言葉では言い表せない何かを感じたんですね。
女性の名はユンサム。彼女は心臓移植を受けていました。
調べてみると、ユンサムにはチーチンの心臓が移植されていたのでした…。
ユンサムは末期の心臓病。移植はしたもののいつまでもつのかという状況。
彼女には夫がいるんですが、病気が原因で夫婦関係はうまくいってない。
さらにその夫がコウと瓜二つ。
コウはユンサムにチーチンの姿をだぶらせているから、
なんとか幸せで穏やかな最期であって欲しいと願う訳です。
そこから始まる真実でもあり、偽りでもある、ラブストーリー。
全編暗い影が覆っています。アンディ・ラウのファンの女性なら
「あたしも看取って欲しい〜」ってうっとりするかも知れないけど(笑)。
「なんでこうなっちゃったんだろ」って思うことは人生たくさんあります。
みんな何かしら背負って頑張って生きてるんです。
コウ、頑張ろっ。☆2つ。
「愛と死の間で」公式サイト

「紙屋悦子の青春」は黒木和雄監督の遺作となった作品。
舞台は終戦を間近に控えた、昭和20年春の鹿児島です。
悦子は、兄・安忠と妻で悦子の親友・ふさとの3人暮らし。悦子も年頃の女性。
彼女が密かに想いを寄せていたのが、安忠の後輩の明石少尉でした。
ある日、安忠が悦子に別の男性との見合い話を持ってきます。
相手は明石の親友・永与少尉。聞けば明石がこの縁談を勧めているというではありませんか。
なぜ?と傷ついた心を押し殺していた悦子でしたが、その理由はすぐにわかりました。
明石は特攻に志願していたのです…。
空襲も何もないのどかな風景。それでも、そんなところにも、
戦争は残酷な傷跡を残していったんだなと思い知らされる作品です。
つつましやかな人々のささやかな幸せをも引き裂いていく。
ボクら戦後に育った人間には知るよしもありませんが、
絶対に再び起こしてはならない愚行だということだけははっきりわかります。
もうひとつ違った見方をすると、原田知世扮する悦子と永瀬正敏扮する永与は、
明石という人間をいつも心の片隅に置きながらも、
長い歳月を夫婦として過ごしてきて、間違いなく幸せだったと思うのですよ。
もちろん想像の域は超えません。でも年老いたふたりのやりとりでわかる気がするのです。
私事ですが、うちの両親は水と油みたいなもの(笑)。
でも結婚して45年と少々。長い歳月です。
この映画を見て、ここまでの自分たちをそっと振り返った時、 その答えが悦子と永与のように、
ささやかながら幸せだったなと思ってくれたらなぁと願わずにはいられませんでした。
あなたもご両親にたまには映画のプレゼントを!
この作品、おすすめです!☆5つ。
「紙屋悦子の青春」公式サイト

「東京フレンズ The Movie」は大塚愛初主演作。
夢を抱いてというより、東京へ行けばおとぎ話のような人生が待ってるはず、と上京した玲。
バイト先の居酒屋“夢の蔵”で出会った個性的な女の子たち、
そしてバンドのメンバーたちはかけがえのない大切な友達。
中でも「おまえの声が好きだから」とバンドに誘った、
ギタリストの隆司は玲にとって特別な存在でした。
ところが突然隆司はバンドを脱退。
他のバンドに移籍するも夢半ばでトラブルに巻き込まれ挫折。
その後、忽然と姿を消してしまったのです。
今や玲のバンドになったサバイバル・カンパニーは、着実に人気と実力を身に着け、
ついにはデビューの話まで舞い込みました。
「それでも最初に音楽の楽しさを教えてくれたのは隆司だから」
NYで隆司を見たという話を聞いた玲は、隆司と描いた夢のために、
そして自分自身のために、ひとりNYへと向かうのでした…。
愛ちゃんかわいいし、決してつまらない映画じゃないんですが、
なんとなく「NANA」と被っちゃうのですよ。
あれが結構グイグイ物語の中に引っ張られちゃう作品だっただけに、比べちゃうかなぁ。
でも女の子の友情がベースだから、女の子ならわかるというか、
女の子の方が入り込みやすい作品かも知れません。
男のボクにはごめんね、☆2つ。
ちなみにクレジットにも出てくるスタイリストのumeちゃん(大塚愛担当)は、
グリーンチャンネルでボクらの衣装も手掛けてくれてる女性です!
なぜか胸張っちゃいます(笑)。エヘン!
「東京フレンズ The Movie」公式サイト

「ハッスル&フロウ」は、アメリカ南部メンフィスを舞台とした
HIP HOPのサクセス・ストーリー。
田舎町でポン引き(ハッスル)をやりながら生計を立てているDジェイ。
彼の周りには、また彼しか頼るところのない女性がたくさんいたのです。
そんなDジェイがドラッグを運んだクラブで、
今じゃ超人気ラッパーになった地元出身のスキニー・ブラックが
凱旋公演のあとこの店に来るという話を耳にします。
Dジェイも昔は言葉を自在にあやつる才能に長けていたのですが、
そんなラッパーへの夢も遠い昔のこと。
しかしスキニーの成功を改めて身近なものに感じたDジェイは、
この貧困と悪夢のような毎日から抜け出すにはラップしかないと一念発起。
スキニーにデモテープを渡すことを計画するのですが…。
昔、同じ境遇だったスキニーとは知り合いだからと豪語するDジェイ。
果たしてうまく事は運ぶのかどうか。彼に協力する面々も、
みんな自分の直面している様々な現実と向き合いながら、Dジェイの才能に賭けているのです。
実話ではないようですが、HIP HOPファンは見て面白い1本だと思います。
ただ、のりしろの部分っていうのかな、人の気持ちや、
運気の流れが変わるその瞬間の出来事や言葉に説得力が足りないと感じたのがちょっと残念。
最近主流の実話系と比べてみてもそんなに遜色ないんだけど。
逆に言えば、ドラマだからこそのラストが待っています。スカッとね(笑)。
ちなみにアカデミー歌曲賞受賞、主演男優賞ノミネート作品でもあります。☆3つ。
「ハッスル&フロウ」公式サイト

「ユナイテッド93」はいまだ記憶に新しいアメリカの同時多発テロの映画化です。
2001年9月11日。
通信の途絶えていたアメリカン11便から聞こえてきた「操縦室を制圧した」という声。
急降下した機体はレーダーから消え、次の瞬間、
ワールドトレードセンターの北棟に突っ込んでいました。
同じことはユナイテッド175便でも。こちらが突っ込んだのは南棟。
情報は錯綜し、信じられない光景に言葉を失う関係者たち。
ユナイテッド93便。
ニューアーク空港をサンフランシスコに向け、
少し出発が遅れた以外は何ら変わりなく飛び立ったこの便。
しかしいつもとはひとつだけ違ったこと、それはテロリストを乗せていたということでした。
ある瞬間、テロリストたちは行動に出ます。爆弾を持って操縦室を占拠。
「ハイジャックだ」
機内はパニック状態に陥ります。携帯電話でそっと地上の家族らと連絡を取る乗客たち。
彼らの耳に飛び込んできたのは、ハイジャックされた飛行機が次々と建物に激突しているという
耳を疑うようなニュースでした。乗客たちは確信します。
「間違いなく俺たちも何かの目標物に突っ込むんだ。これは自爆テロだ」と。
そして乗客たちは心に決めます。
少しの武器とたくさんの勇気を持って、自分たちの手でこの旅客機をテロリストから守るんだと…。
ご存じのように、乗っとられた旅客機はすべて墜落。
もう1機、国防総省ペンタゴンに落ちたアメリカン77便があります。
ただ、このユナイテッド93便だけは目標に届くことなくシャンクスヴィルに散っているのです。
映画化はまだ早いだろうという声もある中、たくさんの取材、調査に基づいて、
真実だけを伝えようとスタッフは努めたといいます。
それでも想像でしかないけれど、とも。有名俳優などを使わず、
できるだけ乗客に近い役者を選んだというところにも制作陣の思いは表れているのかなと思います。
最後に残した、家族や恋人たちへのメッセージ。
衝撃のラストシーンには身体が硬直してしまいました…。☆4つ。
「ユナイテッド93」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.08.04

「I am 日本人」☆☆☆
「鬘(かつら)」☆☆☆
「太陽」☆☆☆☆
「釣りバカ日誌17 あとは能登なれハマとなれ!」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
7月は試写を19本。8月は講師の仕事が夏休みでさらにたくさんの作品に触れることができるかも知れません。
実のある情報を伝えられるよう、しっかりと見てきますね。今週は4本です!

「I am 日本人」は森田健作・製作総指揮作品。
カリフォルニアに住むエミーは19歳の日系3世。地元のハイスクールを卒業したら、
大学は日本に留学すると堅く心に決めていました。
なぜなら日本は大好きだったおじいちゃんの生まれ故郷。
義理人情に厚く、礼儀正しく、ワビサビを重んじ、みんなが大和魂を抱く国と、エミーはずっと信じていました。
ホームステイ先は親戚にあたる健一の家。
下町の商店街で八百屋を営む健一は、妹のさおりと二人暮らしでした。
ついに念願の来日を果たしたエミー。
ところが、大学にも商店街にも、描いていた理想の日本人像なんてどこにもありゃしない。
「日本はこんな国じゃないはずです!」
声を大にして訴えるエミーに、周囲の目は冷ややかでした。
エミーが日本に来たもうひとつの理由。
それはおじいちゃんが心底愛していながら別れなければならなかった、時子さんを探すことでした。
その時子さんとの対面を果たし、おじいちゃんとの思い出話を聞いていると、
「昔はこの街にも寿祭というお祭りがあってね…」と時子さん。
エミーはそこにヒントを見つけ出します。
「みんなで力を合わせて寿祭を復活させましょう!」
アメリカから来た、日本人以上に日本人らしいエミーの奮闘努力が始まるのでした…。
若者だけじゃなく、近頃はいい大人も守れない、常識やマナー。
この映画でもこれでもかと見せつけられ、
最初はマナー啓発映画?ぐらいに感じていたのが、意外や後半は人情ものに。
頑張るエミーの姿に心の中で声援を送っている自分に気付くはずです。
マナーって人のことをどうこう言うより、まずは自分が守ることじゃないかと思います。
自分にだけは甘いってことないですか?
先日電車の中で見た最悪の女。
優先席に座り、3人掛けで前に人が立ってるにも関わらず1人分を荷物で占め、
デカい声で電話をしてるという。あんた、そんなじゃ絶対に幸せになれないよ。
ボクらも気をつけましょうね。☆3つ。
「I am 日本人」公式サイト

「鬘(かつら)」は韓国のホラー映画。
がんで闘病中の妹スヒョン。抗がん剤の影響で髪が抜けてしまった彼女のために、
姉ジヒョンはロングヘアーの鬘をプレゼントします。
しかし、その鬘はただの鬘では無かったのです。無念のまま死んだ人の髪の毛で作ったその鬘は、
怨念をたっぷりと抱いていて、恐ろしいできごとを次々と起こしていくのでした…。
スヒョンのもとにこの鬘がやってきたのもある意味必然だったんですが、
そんな謎解きの終盤は、かなり強引な展開。大相撲元大関貴の浪の小手投げみたい(笑)。
救いが無いのも、ちょっとなぁ…。ただし、音などで驚かそうとはあまりせず、
話の中で怖がらせようというところには好感。
あとは姉妹の美しさにも。☆3つ。
「鬘(かつら)」公式サイト

「太陽」は、ロシア人監督のアレクサンドル・ソクーロフが描いた昭和天皇の物語。
テーマがテーマだけに、日本での公開は不可能だろうとされていた衝撃作。
陛下に扮するのはイッセー尾形。
終戦直前から、いわゆる“人間宣言”直後の、深く悩まれたはずの日々を描き出しています。
ヒトラーを描いた「モレク神」、レーニンを描いた「牡牛座」と、
あの時代の権力者を題材にした作品4部作の第3弾だそう。
描かれていることが正しいかどうかは別として、今、陛下の靖国参拝に関する日記が出てくるなど、
「人間・昭和天皇」の姿ががぜん注目を集めています。
じゃあ外国人の目にはどう映っているのか。日本人なら気になるところ。
興味深い1本です。☆4つ。
「太陽」公式サイト

「釣りバカ日誌17 あとは能登なれハマとなれ!」は説明不要のシリーズ第17弾。
今回のヒロインは石田ゆり子扮する、再雇用で鈴木建設に戻ってきた沢田弓子。
外資系の証券マンと結婚、退職した弓子ですが、職場復帰した彼女にはどこか陰が。
実は離婚していたんですね。
石川県で輪島塗りの塗り師をまとめる頑固一徹の兄・聖一は、
弓子に見合いを勧めるものの、弓子はかたくなに拒みます。
そんな弓子に恋心を抱いている男性が近くにいました。それも2人。
1人はハマちゃんと仲良しの、釣り船屋“太田屋”の八郎(笑)。そしてもう1人は…。
この作品にケチをつけるのは「水戸黄門」にダメ出しをするようなもの(笑)。
“偉大なるマンネリ”とは実に偉大なのです。多くを語らず、☆3つ。
「釣りバカ日誌17 あとは能登なれハマとなれ!」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.07.27

「王と鳥」☆☆☆☆
「カクタス・ジャック」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
暑いですね。
夏の大作が続々公開になっていますが、その陰に隠れてしまいそうな中にもいい映画があります。
見逃さないようにして下さいねっ。それでは今週の2本です!

「王と鳥」は70年代末のフランス・アニメ。
あのスタジオ・ジブリの宮崎駿、高畑勲が多大な影響を受けたとする作品です。
タキカルディ王国を統治するシャルル5+3+8=16世。
彼はみんなが大嫌い。みんなも王が大嫌い。
王の部屋には3枚の絵がありました。羊飼いの娘、煙突掃除の青年、王の肖像画。
王が唯一愛したもの、それは絵の中の娘だったのです。
ある夜、王が寝ている間に3枚の絵が動き出します。青年と娘は恋をしていました。
しかし肖像画の王は無理矢理ふたりを引き離し、王である自分と結婚しろと命じます。
するとふたりは絵の中から逃げ出してしまうんですね。怒りまくる肖像画の王。
騒ぎで目を覚ました本物の王は目の前にいるもうひとりの自分にビックリ。
絵の王は本物の王がひるんでいるうちに、彼を落とし穴に落としてしまいます。
そして本物になりすまし、逃げ出した青年と娘を権力のすべてを使って追いかけるのでした…。
高畑勲が翻訳を担当。鳥は?という質問が出てきそうですね。鳥も主人公のひとり。
王の大好きな狩猟の的なんですが、ここでは青年と娘を安全なところへと導きます。
ところが、鳥は自らこう言うのです。
「気をつけたまえ。この国は今、罠だらけだからな」
ふふん。面白いですよ、この作品。どんでんでんのでん、です。
実はこのアニメには前身があって、52年に発表された「やぶにらみの暴君」がそれ。
そして30年近くたってリメイクされて世に出たのが「王と鳥」。
四半世紀も昔の作品が、いやいや現代社会にもあてはまるんだよと、
ジブリのバックアップで日本劇場初公開になるという。
期待しちゃいません?いや期待していいです。
高畑氏は解説文で9.11すら引き合いに出すぐらい。
今見ても、ドキッとするアイロニーたっぷりの作品です。
満点でもいいぐらい。ボクがフランス映画に高い評価なんて珍しいでしょ(笑)。
ラストシーンなんてショック受けるかも。しばし呆然。☆4つ。
「王と鳥」公式サイト

「カクタス・ジャック」はメキシコ映画。
鉄鋼王で街の独裁者のカボス。彼に恨みを持つ人間は数知れず。
でもあまりに恐ろしくて何もできないのが実情なんですね。
そんな中、「オヤジをまるで奴隷のように扱ってきやがって」と、カボスの誘拐を企てた男がいました。
彼の名はボッチャ。仲間と手を組み、駐車場でカボスを襲います。
誘拐は成功。部屋で殴る蹴るの暴行を加えるボッチャ。
しかし、顔に袋を被せたままのこの男、実はカボスではなく、自分の父親だったのです…。
そう、いろいろあって、間違えて父を誘拐してしまうのです。
そこまでの伏線も面白いんだけど、とにかくボッチャはそのことに気付いてません。
ボコボコにしちゃうんですよ。自分の父親をねぇ。う〜、痛そう。
この映画は様々な人間関係の複雑なつながりが面白い。
どう解決するのかハラハラしながらラストを迎えます。
メキシコ映画で誘拐ものなんて聞くと、すごくシリアスなサスペンスものかと思いきや、さにあらず。
かなり笑えます。コメディと言ってもいいくらい。
うまくまとめたなと感心の結末です。☆3つ。
「カクタス・ジャック」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.07.20

「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」☆☆☆
「ハチミツとクローバー」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
今週は洋邦の話題作を1本ずつ。それでは早速紹介していきましょう。

「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」は、
ジョニー・デップ主演のシリーズ第2弾。
前作で困難を共に乗り越えた3人、海賊ジャック・スパロウ、美貌の総督の娘エリザベス、
そしてエリザベスの婚約者で情熱の男ウィル。
月日は流れ、ウィルとエリザベスが晴れて結婚式を迎えようとしたその日、ふたりは逮捕されてしまうのです。
罪状は“海賊を逃した罪”。言い渡されたのはなんと死刑。
ところが裏では、東インド貿易会社の実力者べケット卿が糸を引いていたんですね。
彼の狙いはジャックの持つ“北を指さない羅針盤”。
持ち主が心から望むものへと導く不思議な力を持つコンパスです。
べケット卿は、ウィルならジャックと交渉できるとにらみ、
「自分の命はもちろん、エリザベスを釈放して欲しければジャックの羅針盤を持ってこい」と命じます。
世界の海を自由奔放に飛び回るジャックを見つけ出し、
最愛のエリザベスを救出することができるのでしょうか…。
というのが物語の根幹になっているんだけど、もちろん主役はジャック・スパロウ。
人喰い部族に捕まったり、幽霊海賊船と戦ったりの大騒ぎ。
前作でこの映画の虜になったファンには楽しめる2時間30分でしょう。
ジョニー・デップ、ハマり役ですもんね。
ちなみに03年夏に公開となった前作は、全世界で6億5391万ドルの興業収入があったとか。
海賊だってそんなにゃ稼げない(笑)。
実は今回、この映画を見逃してはならない理由があります。
それは、今作と同時に第3弾も撮影、その第3弾が完結編として来年5月に公開される予定だからなんです。
ただし、前作を見てない人には、個人的にはその前作をビデオやDVDで見てから
この第2弾に臨むことをおすすめしたいです。
なんたってジャック・スパロウ、テンション高いですから(笑)。
いきなりだとちょっと引いちゃうかも?☆3つの理由はその辺かな。
「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」公式サイト

「ハチミツとクローバー」は、うみのちか原作の人気コミックの実写版。
昨年春にはTVでアニメ化され、人気を博しました。
浜美大の花本研究室に集う学生たち。映画の主人公な5人。
まずは男子。
竹本裕太は建築科の3年生。純朴で恋に不器用な好青年。
真山巧は建築科の4年生。クールな反面、恋には一途で、少々入れ込み過ぎるほどの生真面目タイプ。
森田忍。彫刻科の8年生。ふらっと海外へ旅に出ては留年するなど、自由気ままな天才肌。
そして女子。
山田あゆみは陶芸科の3年生。
美人でモテそうなのに、ひとりを見つめると他は目に入らなくなる純愛型の女の子。
そして、花本はぐみ。油絵科の1年生。
花本教授の姪っ子で、感性のままに絵を描き、色を重ねる天才少女でかつ不思議系の女の子。
この5人、実はみんながみんな片思い。
花本教授の家で行われた恒例の研究室懇親会で、裕太は偶然にも2Fで絵を描くはぐみに遭遇します。
その姿に一瞬にして恋に墜ちた裕太。
ところがはぐみは森田の彫刻が好き。何にも縛られないその生き様にも弾かれていたのでした。
あゆみは真山のことだけを見つめているのに、真山はすでに卒業し、
今は自分のデザイン事務所を立ち上げている理花先輩をストーカーチックに追いかけているんです。
果たしてこの5つの一方通行の矢印は、どう向きを変えるのか、はたまた変えないのか…。
ファンの間では“ハチクロ”の愛称で親しまれている作品。
今、フジTV系で「ハチミツとクローバー2」を放映中。気になる人はチェックしてみて下さいね。
夢と希望と現実と挫折。学生時代を振り返ればみんないろいろあったはず。
ボクも“恥ずかしさ”を知る前の変な“熱さ”とか“勢い”とかがあの頃にはありましたからね(笑)。
大人になるって自身のトゲトゲした部分を削ぎ落とし、常識なるものを手に入れてしまうことでもあります。
失くしてしまって良かったのか、逆に手に入れてしまって良かったのか。
あの頃を思い出しながら今の自分と比較すると、いろんなことを考えちゃうものです。
登場人物が美大生で個性が強いから、
果たして感情移入できるキャラを見つけられるかどうかが楽しむためのカギになりそうだけど、
現在進行形の若者も、昔を思い出したい人も見てみてはいかがですか?☆3つ。
「ハチミツとクローバー」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.07.13

「奇跡の夏」☆☆
「ディセント」☆☆
「ハイジ」☆☆☆
「ミッドナイトムービー」☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
今週は4本。☆はちょっぴり辛口ですが、いずれも見る前に、
勝手に頭の中で想像していたのと違ったというだけで、作品の質がどうこうじゃありませんからね。
いつも言うように、自分の目と感性で確かめて来て下さい。では50音順で。

「奇跡の夏」は韓国の実話に基づくストーリー。
9歳のハニと12歳のハンビョルは仲良しの兄弟。
性格は正反対で、やんちゃでイタズラ好きな弟に対し、兄はもの静かで優しい男の子。
ある日ハンビョルが頭が痛いと学校を早退するんですね。
塾の時間になっても出掛けない兄を母は叱りつけます。
しかし、ハンビョルの容体は本当に悪かったのです。
病院で下された診察結果は脳の腫瘍。
「頭の中に悪いコブがあるんだ」という兄の説明を信じられないハニは、
相変わらずのやんちゃぶりで周囲を困らせます。
それには訳がありました。父も母もハンビョルばっかりかまって、
そのハンビョルも病室で知り合った同じ小児ガンのウクと仲良しに。
大切な存在をみんなもっていかれたような寂しさを、ハニは感じていたからなのです…。
ハニの気持ちはわかるんだけど、痛くてもつらくても、
ぐっとこらえて病魔と闘っているハンビョルと比べるとあまりにやんちゃの度が過ぎて。
子供だから仕方ないって言えばもちろんそうなんだけど(笑)。
ハニにもう少し感情移入ができたら見方が変わったかも。
韓国映画のちょっとトゥーマッチなところが出ちゃったかなぁ。
ごめんね。闘病生活は大変だったね、ハンビョル。☆2つ。
「奇跡の夏」公式サイト

「ディセント」は、なんでしょう(笑)。
ストーリーもあんまり話しちゃいけないというか、まぁ見て下さいって感じ?
簡単に言うと、仲良しの女性6名が洞窟探検に行くんだけど、そこは観光用とは違って、
まだ未開の洞窟だったんですね。
狭く、息苦しい恐怖の中から、6人は脱出できるのでしょうかというお話。
なんですが、意外な展開が待って…おっと、言えません(笑)。
見てきて下さい。ビックリしますョ。☆2つ。
「ディセント」公式サイト

「ハイジ」はアニメでもおなじみ、あの「アルプスの少女ハイジ」の実写版です。
山奥で暮らすへんくつな爺さんアルム。ある日、アルムの元へひとりの女の子が訪ねてきます。
それはちっちゃな頃に両親を亡くし、伯母のデーテに預けられていた孫のハイジでした。
今度は伯母がハイジをアルムに押しつけにきたのです。
ハイジの優しい気持ちにさえ心を開かないアルムでしたが、
途中もう1軒ある貧しい羊飼いの男の子ペーターの一家とも交流を深めていく中で、
ハイジたちは徐々に打ち解けていくのです。
質素ながらもようやく幸せに暮らし始めたその時、デーテが突然ハイジを引き取りにくるんですね。
実は資産家の娘で車椅子で生活しているクララが遊び相手を探していると。
連れてきたら多額の報酬を支払うという話に目がくらんだのでした。
明るいハイジは、クララともすぐに仲良しになります。
街での生活もそれはそれで楽しめたのですが、やはりアルプスの大自然が恋しいと。
知らぬ間に小さな心は傷んでいたのでした…。
ストーリーはみなさんよくご存知かと。クララの家には意地悪な執事もいてね。
ハイジはいじめられて。かわいそうに。でもコツコツ頑張る姿は誰かが見てるものです。
それを改めて教えてくれるのがこの作品かな。
ロケはスロベニアのジュリア・アルプスで。こちらは描いていたはずの風景がそのままスクリーンに広がります。
子供向け?と思ってたら、大人にも見応え十分な1本です。
こちらはいい意味で想像と違いました。☆3つ。
「ハイジ」公式サイト

「ミッドナイトムービー」は70年代初頭、アメリカで一大センセーションを巻き起こした
“ミッドナイトムービー”ブームを考察し直そうというドキュメンタリー映画。
NYのミニシアターで週末の夜だけに上映されるカルト映画が“ミッドナイトムービー”。
口コミで広がった面白さはジョン・レノンを始め、多くのアーティストにも伝わり、
彼らもまた足しげく劇場に通ったといいます。
ところが動員がすごいからと、大きな劇場でかけると客はまったく入らない。
その小さな劇場の、独特の空気感がまたこれらの作品の魅力を増幅させていったということなのでしょう。
今回の「ミッドナイトムービー」では、いくつかの代表的な作品をダイジェストで見せながら、
当時の関係者の話をはさんでいくという手法。
試写の帰り際、年配の方が、「いやぁ懐かしいねぇ」とプロモーター氏に話しかけていたのを聞いて、
なるほど作品たちを知ってたら面白いんだろうなと。
逆に言えば、これであの頃の“ミッドナイトムービー”を見てみたいというきっかけや入口になり得るということ。
実は「ピンク・フラミンゴ」という映画に出てくる
ディヴァインという強烈なオカマちゃん(正確にはドラッグクイーン?)がいるんですが、
彼女の歌が80年代のビルボードのダンスチャート上位にチャートインしていて、
ボクはアルバムを持っているものですから、
そのディヴァインの映画が見れる!と期待していっちゃったんですよねー。
自分勝手な言い分だというのは重々承知の、☆2つ(笑)。
レンタルビデオ屋さんに行かなくちゃ。
「ミッドナイトムービー」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.07.07

「m:i:3」☆☆☆☆☆
「ブレイブストーリー」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
今週は話題の2本。どちらも見応え十分でした。それでは早速紹介しましょう。

「m:i:3」は、トム・クルーズ主演、“ミッション・インポッシブル”シリーズの第3弾。
現役スパイを引退し、今はスパイ学校の教官になっていたイーサン・ハント。
もう危険に身をさらすことも無いと、彼は最愛の女性ジュリアと結婚したばかり。
しかしジュリアにも本当の正体は明かしてませんでした。
ウェディングパーティの真っ直中、昔の仲間から連絡が入ります。
「教え子のリンジーが追っていた奴等に捕まった」
最初は新妻のことも考え、救出に同行するのを断ったイーサンでしたが、やはり自分の教え子。
放っておくわけにはいかず、ジュリアには出張と偽り、リンジー救出のミッションに参加したのです。
リンジーが追っていたのは世界を股にかけて暗躍する武器商人のオーウェン。
まったく尻尾をつかませないオーウェンを捕えるのは、
イーサンが所属するIMFの悲願でもありました。
数々の困難を乗り越え、何とかリンジーの救出に成功したイーサンたち。
しかし、リンジーの頭には脳を破壊する超小型の爆弾が埋め込まれていたのでした。
こうしてオーウェンと関わりを持ってしまったイーサン。
「このままでは奥さんの存在が必ず足かせになるぞ」。
仲間の予言は的中。オーウェンの魔の手は、すでにジュリアに伸びていたのでした…。
1作目は全世界でなんと10億239万7395ドルという興業収入。
日本円に直すと約1200億円!すごっ。
以前も書いたけど、超満員の試写室。
いつもより早く行ったのにすでに席は無く、補助席のパイプ椅子。
でもお尻が疲れるどころか、見入っちゃって全然それは苦になりませんでした。
理屈抜きに楽しめる超娯楽アクション大作って、ここまで行き切らなきゃダメなんじゃないって感じ。
お手本みたいな作品でした。
今回後半は上海ロケなんですが、ホントは東京でやりたかったと語るトム・クルーズ。
事実、来日した際に、北側国土交通大臣に直談判してましたもんね。
次はレインボーブリッジが織田裕二じゃなく、トム・クルーズによって封鎖?
楽しんできて下さい!☆5つ。
「m:i:3」公式サイト

「ブレイブストーリー」は日本が誇るアニメ集団、スタジオGONZOの長編作品。
原作は宮部みゆき。
ワタルはどこにでもいる普通の11歳の男の子。
友達とよく遊びに行くのが“幽霊ビル”と呼ばれている建物でした。
そこでワタルは不思議な光景を目にするのです。
それは、最上階の階段の上に浮かんだ、あるはずのない扉。
さらにその中に転校生のミツルが入って行くではありませんか。
ミツルはワタルと違って、成績もルックスもスポーツセンスも抜群の男の子。
何事にも表情ひとつ変えないクールさが、妙に大人びて見える転校生でした。
ワタルは尋ねます。「扉の向こうに何があるの?」
するとミツルはこう答えました。「向こうに行けば、ひとつだけ運命を変えることができるんだ」
ある日、ワタルが学校から帰ると何だかみんなの様子がおかしい。
お父さんが家族を捨てて、家を出て行ってしまったのです。
崩壊する幸せだったはずの家庭。ショックで倒れ込む母。
「こんなのが運命だなんて。おかしいじゃないかっ」
強い憤りと共に、ワタルはミツルの言葉を思い出します。
「運命を変えてやるんだ」
ワタルは幽霊ビルへと向かうのでした…。
失敗したらこっちの世界には戻ってこれない。
それでもワタルは、自らの手で昔の幸せな家族を取り戻したいと、扉の中へと入って行きます。
最初の“おためしの洞窟”なるところで、まずは能力検査を受けるのですが、
ワタルは“見習い勇者”。与えられた剣に5つの玉をはめこまなければ願いはかなわない。
ワタルは頑張ります。様々な体験をします。仲間もできます。
他人を思いやる気持ちも覚えます。
もちろんアニメでヴァーチャルだけど、小学校で行った夏合宿みたいなのを思い出しちゃいました。
子供には実体験さながらに、大人は懐かしい匂いと共に。
やっぱり今の子供とかその親が対象だろうから、
ストーリーがRPG(ロールプレイングゲーム)なんだよね。
まさに今の時代そのもの。ゲーム感覚。
ホントはもっと☆付けてもよかったけど、あえて頑固に☆3つ。
でもね、子供の頃って、ちっちゃなことでも何でも経験することのすべてが実になるから、
ひと夏超えるとみんななんとなく大人になってたんだよなぁ。
もうボクらは伸びる余地は無いのかというと、そんなこと絶対ないんだよね。
だって体験したことないことなんて、世の中にまだまだいっぱいあるんだから。
頑張ろう、大人たち!オーッ(笑)
「ブレイブストーリー」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.06.29

「美しい人」☆☆☆
「ジョルジュ・バタイユ ママン」☆☆
「ミュージック・クバーナ」☆☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
NACK5の「シネマライフ」、聞いてくれてますか?
このHP見てくれてる人にとって情報としてはこっちの方が内容充実ですが(笑)、
あちらは文字じゃなく声で伝えてるところがポイント!
是非アクセスしてみて下さいねっ。では今週の3本です!

「美しい人」は9人の女性の9つのショートストーリー。
幸せというよりは人生の途中で運命のいたずらに傷ついた女性たちの物語。
内容的にもちょっと難解なものが多く、良くも悪くも頭で考えてしまうのですが、
最後に出てくるダコタ・ファニングの話は秀逸。
お墓参りに来る母子。年齢がずいぶん離れているから遅い年での子供なのかなぁと。
それならこんなにかわいがるのも納得。ですが、そこには隠されたストーリーがありました…。
この一話を見るだけでもいいかも。ダコタ・ファニング、恐るべしです。☆3つ。
「美しい人」公式サイト

「ジョルジュ・バタイユ ママン」はフランス映画。
酒に溺れ、怠惰な生活から抜けることのできない父と暮らしていた17歳のピエール。
そんな父から解放され、離れて暮らす大好きな母に会うためスペインのカナリア諸島へ。
ところが、一緒に暮らしていくうちに見えてきた母の本性。
女であることをむき出しに生きる彼女の姿に、思春期の少年ピエールは衝撃を受けるのでした…。
ボクの苦手なフランス映画(笑)。官能小説風で試写会場にも女性が多かったから、
映像の美しさも合わせて、女性向きの作品かも知れません。結構ラストシーンとか強烈ですよ。
ダメだってピエール、そんなとこで!って(笑)。☆2つ。
「ジョルジュ・バタイユ ママン」公式サイト

「ミュージック・クバーナ」はキューバの音楽映画。
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」で注目を集めたキューバ音楽界の至宝、ピオ・レイバ。
彼が中心となって、キューバの若手ミュージシャンを集め、
世代を超えた新しいバンドを作ろうとする物語。
登場するのは実際のミュージシャンで、
さまざまなスタイルの音楽やライブのシーンが全編にちりばめられています。
こんなにすごい才能があちこちにいるのかと、音楽ファン、
特にキューバ音楽好きにはたまらない1本のはず。
監督も「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のヴィム・ヴェンダースの弟子、 ヘルマン・クラル。
ドキュメンタリーの要素も持ちながら、ストーリーは進行します。
結成なった“ザ・サンズ・オブ・キューバ”。
来日も果たし、東京で観客も入れてライブも行います。
これからの季節にピッタリのサウンド。
一足早く夏気分を味わってみてはいかが?☆4つ。
「ミュージック・クバーナ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.06.22

「恋は足手まとい」☆☆
「真昼ノ星空」☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)

話題のディズニー作品「カーズ」の試写は見られずじまいでした。
以前足を運んだ時もすごい人で会場はアッという間に満席。
「一杯でして…」と断られたあとはタイミングが合わず、
そのまま最終試写が終わってしまいました。残念。劇場で、かな。
では今週の2本です!

「恋は足手まとい」は19世紀末のパリの社交界が舞台のラブコメディ。
裕福で美しい歌姫リュセット。
彼女が恋をしているのは一文無しの遊び人エドワール。ところがエドワールはといえば、
リュセットには内緒で伯爵令嬢ヴィヴィアヌとの結婚を決めていたのです。
もちろん目当ては伯爵家の財産。
婚約式までにはリュセットと別れたい。
そうは思うのですが、会えばついついリュセットの魅力に負けてしまい、
結局言えずじまいになってしまうんですね。
そんな時、婚約式でリュセットに歌を歌って欲しいと依頼していたのがヴィヴィアヌのお母さん。
そうとは知らず、婚約式の打ち合わせに向かったエドワールはリュセットの存在にビックリ!
婚約者と、別れ切れぬ愛人を前に、エドワールはどう立ち回るのでしょうか…。
どちらかというと舞台的な匂いもする1本。他にも個性的なキャラクターがたくさん登場します。
華やかなりし時代のパリの社交界。ファッションに興味のある女性は楽しめるかも。☆2つ。
「恋は足でまとい」公式サイト

「真昼ノ星空」は、台湾の人気俳優ワン・リーホンと鈴木京香の共演作品。
もうひとり、香椎由宇も重要な役どころで出演しています。
台湾の殺し屋リャンソン。仕事をひとつ片付けて、彼は今沖縄に身を潜めていました。
由起子は昼は弁当屋で働き、夜は工事現場で交通整理の仕事をしています。
土曜の夜のコインランドリーで二人はすれ違います。
リャンソンはどこかはかなげな由起子の横顔に魅せられていました。
ある日、リャンソンはつたない日本語で由起子を食事に誘います。
一度は断った由起子でしたが、再びの誘いにはOKを出しました。
彼の家で、彼の手料理でもてなされた由起子は、久しぶりに楽しい時間を過ごします。
気持ちを打ち明けるリャンソン。しかし由起子はそれを受け入れられなかったのです。
なぜなら、彼女には恋愛に対する深い心の傷があったから。
そんな時、台湾のボスからリャンソンに1週間以内に帰国するようにと連絡が入るのです。
リャンソンは由起子に手紙を書きます。
「あなたが空港に来たなら国には帰りません」
その手紙を、通っていたスイミングプールの受付嬢サキに託して。
ところがサキもリャンソンに恋をしていたのです。
一方、由起子の気持ちの中にも変化が起きていました。心の傷は遠い昔のこと。
早く一歩を踏み出さなくてはいけないのかも、と。
サキはリャンソンから頼まれた手紙を握りしめ、由起子の働く弁当屋の前に立ちます。
リャンソンの思いは由起子に届くのでしょうか…。
沖縄ロケ。資料を引用すると「銀色に輝くプール、細い夜の路地、どこまでも澄む青い空」。
とにかく映像や景観にこだわった作品作り。
さらに“寡黙な恋人たちの物語”とあるように、セリフより雰囲気で読み取る1本なんですね。
設定がトリッキーな分、これでバランス的にはいいのかも知れません。
ただ、それで押し切るだけの何かがあるかというと…。
それでも好きな人にはたまらない空気感かも。劇場で確かめてきて下さい。☆2つ。
「真昼ノ星空」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.06.15
「カサノバ」☆☆☆
「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」☆☆☆☆
「DEATH NOTE」☆☆☆☆
「母たちの村」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)

「m:i:3」の試写に行ってきました。
普通、受付開始は開映の30分前なんですが、混雑を考えてさらにその10分前に。
それでもすでに席はいっぱい!なんとか通路のパイプ椅子に座れたんですが、
それでも座り心地の悪さを忘れさせるだけの魅力はさすがにありますねっ。
娯楽大作はこうじゃなきゃって感じでした。また公開が近付いたら紹介しますねっ。
では今週の4本です!

「カサノバ」は伝説のプレイボーイ、ジャコモ・ジローラモ・カサノバの物語。
18世紀のイタリア、ヴェネチア。
娼婦から修道女まで、あらゆる女性を虜にしてしまうと噂のカサノバ。
街は彼の話題で持ち切りでした。
しかし時代は彼を許さず、教会から犯罪者として捕らえられ、死罪を言い渡されたのです。
そんな彼を救ったのがヴェネチア総督。良家の娘と結婚して落ち着くことを条件に彼を釈放します。
もちろん期限付き。
もし守れなければカサノバはヴェネチアからの永久追放しか助かる道はなくなってしまうのです。
ついに、彼の花嫁探しが始まります。稀代のプレイボーイが簡単に結婚といくのでしょうか…。
モテ男くんですから、良家の子女だろうがなんだろうが簡単に落としちゃう。
でも、彼が逆に魅せられてるのは別の女性だったりして。
プレイボーイの話とはいえ、文学的アプローチの作品。
高尚な匂いを漂わせつつ、いわゆる映画らしい映画になっています。
衣装や街並みなど、ストーリー以外にも見るべきところがいっぱいです。☆3つ。
「カサノバ」公式サイト

「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」は、アメリカの人気ラッパー、50セントの半自叙伝。
NYのクィーンズに生まれたマーカス少年。
ドラッグ・ディーラーの母を持ち、父親こそ誰だかわからなかったものの、
美人で自慢の母と何不自由のない暮らしをしていました。
ところがマーカスが8歳の時、組織のトラブルに巻き込まれ、
最愛の母親は射殺されてしまいます。結果、子だくさんで貧乏な親戚の家に預けられ、
これまでとはまったく違う環境での生活を余儀なくされるのです。
自力で現状を打破したい。そう考えたマーカスは母の仕事仲間を訪ね、
子供ながらにドラッグの売人として金を稼ぎ始めます。
メキメキ頭角を現したマーカスはボスにも一目置かれる存在となり、
大金も手に入れ、初めての恋もします。
しかし、コロンビア組織との抗争で逮捕され刑務所の中へ。
ところが塀の中で、彼は以前から大好きだったラップの才能に改めて気がつくのです。
出所の日。「おまえのマネージャーになる」。
そう言い残して一足早く出所していた囚人仲間のバマの車と、組織の新しいボス、
マジェスティックの車が迎えに来ていました。マーカスが選んだのは、バマの車でした…。
“ストリート”の意味が日本とアメリカではまったく違うって知ってましたか?
アメリカでストリートはギャングの意。
日本だと“ストリート・ミュージシャン”とか単なる“道”を表すんですけどね。
人の1人も撃っていないとギャングスタは名乗れない。
事実、ラッパー同士の抗争はすさまじく、
2PACを始め数多くの人気ラッパーが射殺されているのが現状です。
完全なる自伝じゃないとのことですが、劇中マーカスが9発の弾丸を撃ち込まれているように、
50セントも同じ数の弾丸を撃たれています。
HIP HOPの真実を確かめにいって下さい。事実は小説より奇なりです。☆4つ。
「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」公式サイト

「DEATH NOTE」はコミックが1400万部を超えたという大人気漫画の実写化。
原作は週刊少年ジャンプに掲載中です。
名門大学で法律を学ぶエリート大学生、夜神ライト。
彼の夢は警視総監になって、この世の悪を根絶することでした。
しかし、凶悪犯の多くが心神喪失などの理由で不起訴処分になり、反省の色もなく、
のうのうと生きている事実を知り、ライトは法の無力さに愕然とするのです。
絶望感に打ちのめされるライト。そんな彼の前に1冊のノートが。
“デスノート”
このノートに名前を書けば、その人間は必ず死ぬ。
まさかと思ったライトでしたが、TVのニュースで見た凶悪犯の名を試しに書いたところ、
翌朝の新聞にその男が変死したとの記事が。
「まさか本物…」
ライトは残虐な事件の犯人の名をノートに書いていきます。次々と起こる犯罪者の突然死。
世間ではそれを救世主キラの仕業だと噂し始めます。
一方で、「これはある種の大量殺人だ」と、警察も動き出していました。
警察の切り札は、これまでいくつもの迷宮入り事件を解決してきた謎の男、エル。
キラvsエルの頭脳戦の幕が切って落とされます。
果たしてエルは、キラの正体を見破ることができるのでしょうか…。
ライトはノートの落とし主、死神リュークとも出会うんですが、
自分が神になった気分だから、異形の死神にも驚きもしない(笑)。
もちろん世論も二分されます。
ライトの行動がエスカレートしていくところに落とし穴ができる。
この先どうなるかってところで映画は終わります。
これ前編です。後編は秋公開。世界中から買い付けが来てるとか。
見とかなきゃ!☆4つ。
「DEATH NOTE」公式サイト

「母たちの村」は意外と珍しいアフリカ映画。
西アフリカの小さな村に起こる小さな、でもみんなにとっては大きな革命の物語。
女の子に課せられた“割礼”の儀式。女性器の一部を切り取らなくてはいけないんですね。
それを行っていない女性は“ビラコロ”と呼ばれ、蔑まれるのでした。
「古くからの儀式だけど、割礼は絶対によくない」
そう信じていたコレは自分の娘アムサトゥには割礼を受けさせませんでした。
そんなコレの元に少女が4人、助けを求めてきました。割礼を受けたくないというのです。
村には“モーラーデ”というしきたりがありました。
頼まれた側が辞めると宣言するまで例え身内であっても手出しができないのです。
さまざまな圧力を受けながら、コレは自分の信念のために、
また将来を担う若い世代のために、力一杯戦うのでした…。
娘のアムサトゥの恋人は長老の長男。フランスに渡り、事業を学んできた村のエリート。
そんな彼ですら、迷いながらもアムサトゥを嫁にはできないと拒むのです。
一夫多妻のアフリカのしきたりや、いろんなことを知って見ると、
よりこの映画の中の出来事の大きさがわかります。
「えっ、こんなものまでダメなの?」とカルチャーショックを受けたりもします。
パンフレットは是非買って読んでから見てみて下さい。
演技の巧拙は語るべからず(笑)。そこに視点を置いちゃダメですョ。☆3つ。
「母たちの村」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.06.08
「インサイド・マン」☆☆☆
「オーメン」☆☆☆
「君に捧げる初恋」☆☆
「初恋」☆☆☆
「春の日のクマは好きですか?」☆☆
「プルートで朝食を」☆☆☆☆☆
「やわらかい生活」☆☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
6月6日に公開になった「オーメン」を含め、今週は7本。
かなりの本数です。さっそく行きましょう!

「インサイド・マン」は、スパイク・リー監督、クライブ・オーウェン、
デンゼル・ワシントン、ジョディ・フォスター主演の豪華なサスペンス映画。
白昼堂々と銀行に押し入り完全犯罪を企てる銀行強盗、
汚職の疑いを掛けられ汚名返上をと意気込むNY市警の刑事、
貸金庫の中にある金よりも大切なあるものを守って欲しいと銀行の頭取に頼まれる敏腕女性弁護士。
彼らの駆け引きに見応えあり。
頭取が気に懸ける現金以上に大切なもの、それは一体何なのか?強盗たちの真の狙いとは?
警察に完全に包囲されてどうやって逃げるつもりなのか?
「なるほど…」と最後はニヤリとしてしまうかも知れません。
謎解きをしながら、楽しめる1本ですョ。☆3つ。
「インサイド・マン」公式サイト

「オーメン」はご存じ76年の大ヒット・ホラーのリメイク版。
悪魔の子ダミアンに刻印された悪魔のナンバー“666”。
この“6”が3つ並ぶ日に世界同時公開となりました。
死産で我が子を失った夫婦が病院で譲り受けた子、それがダミアン。
育てていくうちに感じる違和感。この子は何かおかしい。
親子の前に起こる数々の惨劇。彼は悪魔の子だという神父。信じない父。
しかしその証拠とされる“666”のアザを父は見つけてしまうのです…。
ダミアンがコンピューターゲームで遊ぶシーンなんかは06年だなぁと。
若干の描かれ方の違いはあれど、30年前の作品に忠実です。
変に今風にアレンジされていない、アナクロな怖さがいいんです。
意外や若者には新鮮かも?☆3つ。
「オーメン」公式サイト

「君に捧げる初恋」は、「猟奇的な彼女」などでおなじみの人気俳優、チャ・テヒョンと、
「私の頭の中の消しゴム」のヒロイン、ソン・イェジンのラブ・コメディ。
知能指数は148と驚異の数字ながら勉強はからきしダメな高校生テイル。
彼はお隣りさんで同級生のイルメをお嫁さんにもらうことしか考えてません。
担任のヨンダルは実はイルメの父。頭は悪くないのに一向に成績の上がらないテイルに、先生は言います。
「今は全国30万番台だが、3000番以内に入ればイルメをやろう」。
俄然張り切りだすテイル。なんと3000番以内をクリア。ソウル大学にも合格してしまいます。
しかし次に与えられたハードルは司法試験への合格。
ついに1次を突破。仲間の前でイルメへの結婚を申し込もうとするのですが、時すでに遅し。
テイルが勉強に熱中している間に、イルメには金持ちでイケメンの恋人ができ、
さらにプロポーズまでされていたのでした…。
イルメもテイルが実は好き。でも彼女が別の相手を選ぼうとしたのには訳があったのです。
このあとは韓国映画らしい展開が待っていますョ。
ちょっぴりtoo muchな演技がお腹いっぱい。
まぁ、チャ・テヒョンはそれが売りでもあるんですけどね。☆は2つにしたけれど、
人気俳優と人気女優の共演です。韓国映画ファンは是非どうぞ。
「君に捧げる初恋」公式サイト

「初恋」は宮崎あおい主演作。
68年に世間を震撼させた“3億円事件”の犯人が18歳の女子高生だったというストーリー。
複雑な家庭環境に育ったみすずは、離れて暮らす兄から新宿のジャズ喫茶のマッチをもらってました。
店の名は「B」。みすずは「B」に出入りするようになります。
少し年上の若者がたむろする場所は、みすずにとって居心地のいい空間だったのです。
学生運動が盛んな頃。若者たちが、権力に対し、怒りと不満を抱えて生きていた時代。
みすずは感じていました。初めて仲間が出来た喜び、自らの境遇に対するいらだち、そして初恋。
ある時、みすずが恋心を抱く仲間のひとりが言います。
「なぁ、3億円を盗まないか」…。
昭和30年代生まれのボクには懐かしいトーンの映像でした。
大胆なストーリー設定の割には展開が地味で、そのあたりが見ている人にどう響くかでしょうね。
こちらも今まさに旬の宮崎あおいちゃんの主演作。その意味では注目です。☆3つ。
「初恋」公式サイト

「春の日のクマは好きですか?」は韓国のラブ・ストーリー。
ちょっと変わった女の子、ヒョンチェはいつか自分だけの素敵な王子様が現れると信じています。
ある日、ヒョンチェが図書館で美術書を見ていると、
そこに素敵な恋のメッセージが書き込まれているのを発見。
そしてそれは次の本へ、また次の本へと続いていたのです。
「これは王子様からの、私あてのメッセージに違いない」
そう信じ込んだヒョンチェは、メッセージの主を探し始めるのでした…。
実はヒョンチェをずっと見つめ続けてきた幼なじみのドンハがいます。
ドンハが王子様?ま、それは見てのお楽しみ。設定が設定だけに、
ヒョンチェのその思い込みに共感できるかどうかがカギかな。
でも図書館の本にどんなに素晴らしい文章だろうと書き込みはまずいんじゃないの?
なんて視点が違う、違う(笑)。☆2つ。
「春の日のクマは好きですか?」公式サイト

「プルートで朝食を」は、まだ紛争が激しかった時代のアイルランドを舞台としたイギリス映画。
とは言っても、戦争ものではありません。オカマちゃんの映画です。
教会の前に置かれたカゴ。中には男の赤ちゃんが入っていました。
神父さんは里親を探して預けるんですが、
成長するに連れ、だんだん彼は女としての自我に目覚めるんですね。
周りから奇異な目で見られることに耐えられなくなった里親は
彼が捨て子だったことを話してしまいます。
そこから始まる自分探しの旅。
人から聞いた、本当の母はある女優に似た絶世の美女だったんだという話。
そしてロンドンにいるらしいという噂。彼は迷わずロンドンへと向かうのでした…。
言ってみればオカマちゃんのロード・ムービー。彼の名はパトリック。
でも勝手に作った美の聖人、聖キトゥンからキトゥンと名乗ります。
幼い頃からの友人、旅先で出会うさまざまな人。
多くの人がキトゥンに影響を与えるんですが、ひとつだけ変わらないもの、それはキトゥンの信念でした。
途中、明らかになる出生の秘密。果たして彼は母親に会えるのでしょうか?
紛争にももちろん巻き込まれます。
でもそんな世の中的な惨劇より、キトゥンにとっては自分らしく生きることの方が困難なんです。
でもそれができたなら本当に人生は素晴らしいというのを教えてくれる1本。
見終わったあとのスッキリ感がいいイギリス映画が好きなのと、
オカマちゃんが嫌いじゃないので☆5つ!
あ、誤解のないように。ボクはあくまでノンケですから(笑)
「プルートで朝食を」公式サイト

「やわらかい生活」は豊川悦司と寺島しのぶの主演作。
エリートコースをひた走っていた優子、33歳。ところが両親と親友の死がきっかけで、
精神的に病んでしまい、今は仕事を辞め、東京の下町・蒲田へ引っ越して一人暮らしを始めていました。
うつの激しい時は部屋にこもりきり。
いい時は自分の立ち上げたサイトに載せる写真を撮りに街を散策に出掛けます。
出会い系で知り合った建築家でおしゃれな痴漢、EDに悩む都議会議員候補の同級生、
優子と同じうつ病のヤクザなど、いろんな人と出会うのですが、
一番大きく彼女に影響を与えたのは、福岡から訳あって出て来たいとこの祥一でした。
「競馬でスッって金が無いから、駐車場から車を出せない。泊めてくれないか」
そこから奇妙な同棲生活が始まるのでした…。
優子にとって祥一の存在は大きなものでした。とにかく優しい。
居候だから無償の愛じゃないって言っちゃえばそれまでだけど、
いやいや彼の優しさは間違いなく“無償”。
でも人間慣れてくると、誰もがわがままになる。特に男女の関係はそう。
ボクはそれでもいいと思うんだけどね。わがままって自分自身が出るってことだから。
ストーリーは驚くような結末を迎えます。優子がこの先どんな人生を送るか、
おそらくヒントがラストシーンに描かれてるかと思うのでお見逃しなく。
ボクもお金は無いけど愛はあるんだけどなぁ(笑)。
この映画見て、「こういう男がいいっ」という女性はお便り下さい(笑)。
もちろんルックス、クールさなどは豊川悦司とまったく違います。
あしからずm(_ _)m。☆4つ。
「やわらかい生活」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.05.31
「13歳の夏に僕は生まれた」☆☆☆
「STAY」☆☆☆
「ニューヨーク・ドール」☆☆☆☆
「ポセイドン」☆☆☆☆
「ママが泣いた日」☆☆

6月になりました。雨の多いシーズン、インドアの娯楽にスポットが当たる季節でもあります。
家でDVDもいいですが、ちょっと外出して映画館で映画を見て見ませんか?それでは今週の5本です。
(満点は☆☆☆☆☆)

「13歳の夏に僕は生まれた」はイタリア映画。
裕福な家庭に生まれ育った13歳のサンドロは、父とヨットでクルージングに出掛けた時、
あやまって真夜中の海に転落してしまいます。
意識を失った彼を助けたのは不法移民を乗せたイタリアへの密航船でした。
船いっぱいに押し込まれたさまざまな国の難民たち。
そんな中でサンドロは、海から彼を引き上げてくれたラドゥ、アリーナ兄妹と心を通わせます。
目的地前で悪徳業者は船を放棄。助けが来たと思ったらそれはイタリア警察の船。
もちろんサンドロにとっては、もう二度と会えないと思っていた両親と奇跡的に会える“希望の光”。
しかし兄妹にとっては逮捕、送還という厳しい処分が待っている“絶望の闇”に他ならなかったのです。
両親との再会を喜んだサンドロは、命の恩人であるラドゥとアリーナを助けて欲しいと頼みます。
養子として引き取る。兄妹を救うにはそれしかなかったのですが、
法律という現実がそれをたやすくは許しませんでした…。
物語はそこからさらに展開を見せます。これが現実なんだろうかと愕然とする場面もあるのですが、
難民問題に頭を抱えるイタリアではよりリアリティを持って届くんだと思います。
純粋な13歳の少年の心に一体この体験はどう響き、何を残したのか。
アジアで裕福な国、日本にとってももはや対岸の火事ではないかも知れません。☆3つ。
「13歳の夏に僕は生まれた」公式サイト

「STAY」は幻想と現実が行き交う心理スリラー。
結末は無論、口外無用。登場人物、時間軸、すべて不思議な感覚で見る者に飛び込んできます。
ラストシーンでなるほど納得の1時間41分。あえてあらすじも書きません。
気になる人は貼られたリンクで公式HPにアクセスして確かめてみて下さい。
「わからない…」としかめっつらしたまま劇場をあとにする作品ではないのでご安心を(笑)。
☆3つ。
「STAY」公式サイト

「ニューヨーク・ドール」は、70年代の伝説のロックバンド、ニューヨーク・ドールズのドキュメンタリー。
敬虔なモルモン教徒に“変身”したベースのアーサー・ケインにスポットライトを当てて描いています。
72〜75年とわずか3年で解散。
それゆえ伝説と化したパンクバンド、ニューヨーク・ドールズ。
アルバムは2枚だけ。派手な化粧とサイケな衣装を身にまとい、
あっという間に音楽シーンを駆け抜けていきました。
それでも影響を与えたミュージシャンは数知れず。
モリッシー、ザ・クラッシュ、イギー・ポップ、ブロンディ、ブームタウン・ラッツなどなど、
数多くのアーティストが彼らについて語ります。
04年、ロンドンで開催される音楽フェス、メルトダウン・フェスティバルに出ないか。
主宰のモリッシーからニューヨーク・ドールズの再結成を提案されるんですね。
ドラッグによるメンバーの死去、仲違いして別れた経緯、あまりにも長過ぎるブランクなど、
障害は山積していたんですが、アーサーを始めそれぞれのメンバーは、
1日限りの夢の再結成に向け動き始めるのです…。
事実は小説よりも奇なり。あの悪名高き?パンクバンドのベーシストが神に仕えるなんて。
だってアーサーのニックネームは“キラー”だったんですから(笑)。
アルコール中毒から抜け出し、
地味に真面目に教会に勤める彼が伝説のロックバンドの中心人物だったなんて、
同僚も驚きの表情を見せます。
かくして久々の再会を果たしたメンバーたち。やっぱり一度は同じ道を歩んだ仲間です。
昔の確執などどこへやら。音楽って、それがいいんだなぁ(笑)。
あとは以前のように演奏ができるのか、今の音楽ファンに彼らの音は受け入れられるのか。
それはあなた自身の目で確かめて下さい。
音楽ドキュメンタリーですが、泣ける1本です。人生って素晴らしいと感じた作品でした。☆4つ。
「ニューヨーク・ドール」公式サイト

「ポセイドン」は、ご存じ72年の大ヒット映画「ポセイドン・アドベンチャー」のリメイクです。
海の神の名を持つ豪華客船ポセイドン号。約4000人の乗客を乗せて、北大西洋を航行中でした。
その日は大晦日。乗客たちが新年へのカウントダウンを行っていたその時、
船員たちは海の異変に気付くのです。なんと高さ50mにもおよぶ巨大な波の壁が襲ってきたのです。
このままでは真横から波を受け、船は転覆してしまう。
必死に舵を切るのですが間に合わず、ポセイドンは波に飲み込まれてしまいます。
皮肉にも惨劇へのカウントダウンとなってしまった船内は、まさに地獄図でした。
あちこちに重なる死体の山。電気は切れ、爆発も起き、火災も発生していました。
「パニックを起こさないように」と、船長が生き残った人たちを諭します。
それでもここにいたら絶対に助からないと、一か八かの賭けに出た数人がいたのです。
プロのギャンブラーのディラン、酒癖の悪いディランの仲間ラッキー・ラリー、
元NY市長のロバートと娘のジェニファー、その恋人クリスチャン、自殺志願の老人リチャード、
シングルマザーのマギーとその息子コナー、船員のマルコと女友達で無賃乗船していたエレナ。
船が沈むのは時間の問題。
上が下に、下が上になってしまった巨大な客船から生きて外に出られるのは果たして何人いるのでしょうか…。
日記にも書きましたが、確かにかなりハラハラドキドキ。
でも試写室で隣りのおばちゃんの肘が、緊迫したシーンになる度にガシガシ当たってきたのには参りました(笑)。
オリジナルから30余年。CGや撮影技術の進歩がどれだけ映像の迫力を増幅させたか。
そのあたりを楽しみに。この手の作品は、ひとり犠牲になり、またひとり犠牲になり。
目を覆いたくなる場面の連続です。
人間の優しさ、強さ、そして残酷さをしっかりと見てきて下さい。☆4つ。
「ポセイドン」公式サイト

「ママが泣いた日」は家族の物語。
夫が突然姿を消してしまいます。
以前からもしかしたら浮気をしているのではと思っていたスウェーデン人の秘書とついに駆け落ちか?
妻のテリーは4人の娘たちにも怒りをぶつけ、家族の関係がぎくしゃくし始めます。
そんな時、隣りに住むデニーが訪ねてくるんですね。
彼は元メジャーリーガーで、地元のラジオ局のDJ。
でも野球の話はいっさいしないという変わり者。
事情を知ったデニーはテリーを慰めようとするんですが、テリーにとっては余計なお世話。
怒りに火を注ぐだけでした。
ところが食事を共にしたり、ゆっくり話をしたりしているうちに自然と心を開いていくテリー。
そしてついにはベッドイン。
しかし、夫がいなくなった裏には衝撃の事実が隠されていたのでした…。
その真実を知ったあとのそれぞれの考え方や立場、行動に共感できるかどうかがこの映画のカギかな。
ボクはう〜ん、複雑でした(笑)。
コメディの要素が中和剤の役割をしてますが、冷静に思い込みの怖さを知るかも。
大切な人がいるなら、事は慎重に。ねっ。☆2つ。
「ママが泣いた日」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.05.24
「迷い婚 すべての迷える女性たちへ」☆☆☆
「夢駆ける馬ドリーマー」☆☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

「ダビンチコード」の話題性が他の映画にも波及してる感があります。
どの世界でも、どのジャンルでも、シーンを引っ張るリード的存在は必要不可欠なようです。
では今週の2本です!

「迷い婚 すべての迷える女性たちへ」は、ジューンブライドを前にタイムリーな1本。
タイトルだけ見るとシリアスな感じだけど、ラブ・コメディと言っていいでしょう。
“マリッジブルー”。
幸せなはずの結婚を前に、なぜか気持ちがブルーになってしまうこと。
恋人ジェフのプロポーズを受けて以来、サラの心は曇りっぱなしでした。
そんな時、サラの妹、アニーが一足先に結婚するんですね。
お相手は趣味のテニスで知り合った男性。
「そんな簡単に決めちゃっていいの?趣味が一緒だというだけでしょ?」
サラはますます結婚に疑問を抱くのです。
早くに母を亡くしたサラ。相談は祖母のキャサリンに。
ところがこのキャサリン、かなりファンキー(笑)。
そのキャサリンがサラに打ち明けるのです。
「あんたのおかあさんは、パパと結婚する前に一度別の男と駆け落ちしてるんだよ」と。
サラは思い出します。ずっと前にこの町でスキャンダルになり、
小説化され、映画にもなった男女のロマンスを。
調べていくうちに、そのモデルが自分の家族であることを確信するのです。
「じゃ、なぜママは平凡なパパの元に戻ってきたんだろう?
 なんで刺激的な生活を選ばなかったの?」
結婚のヒントはそこにあるかも知れない。サラはその小説の作者、ボーを訪ねるのでした…。
このボーがまた金持ちのいい男で。
このあと思いもよらぬ展開になっていくんですが、それは見てのお楽しみ!
ボクも結婚はいろいろあったけど、勢いが大切か、
それとも熟考が大切かはどっちとも言えないと思うのですよ。
結果論というか、後々まで幸せならば勝ちな訳で。
“結婚とは相手の人生をも生きること”
以前ここでも紹介したある映画のキャッチコピーです。
その覚悟をどのラインでお互いがしてるかじゃないかなと、ボクは思います。
愛情だけじゃどうにもならないことってありますからね。経験者は語る(笑)
女性の側から描かれてるから、
ヤキモチ焼きのボクなら絶対許せないだろうなって部分があるのは否めず。
いやいや見習わなくてはいけないのかも?☆3つ。
「迷い婚 すべての迷える女性たちへ」公式サイト

「夢駆ける馬ドリーマー」は競馬の映画。
でも競馬を知らなくても絶対に泣けちゃうオススメの作品です。
ケンタッキー州レキシントン。
元一流ジョッキーだったベンは、ここで細々と牧場を経営しています。
馬が大好きな娘のケール、愛する妻リリー、
そして伝説の調教師と言われた父ポップと暮らしているのですが、
家計は火の車。今は大馬主の専属トレーナーとして馬を調教していました。
その1頭が、スペイン語で“夢見る人”という意味の名前を持つ牝馬、ソーニャドールでした。
ベンはソーニャドールの走るレースにケールを連れていきます。
ところがレース直前になって、ソーニャドールの脚元な違和感を感じるんですね。
馬主にレースの取り消しを進言するんですが、答えはNO。
かくしてレースに出たソーニャドールでしたが、嫌な予感は的中。
ゴール直前、骨折。競走中止を余儀なくされてしまいます。
命は助かっても競走馬には戻れまいと、馬主は安楽死処分を命じるんですが、
その言葉に怒ったベンは、
これまでの報酬と引き換えにソーニャドールを引き取らせてくれと訴えます。
大怪我をしたソーニャドールを引き取った代わりに、言い渡されたのはクビの宣告でした。
それでも「馬は家族なんだ」と一生懸命に世話をするケールの姿に、
ベンは忘れかけていた熱い何かを思い出すのです…。
ケールの夢は家族の夢。彼女はとんでもなく大きな目標を立てます。
それはアメリカ最大の競馬の祭典、ブリーダーズCにソーニャドールを出走させること。
どんなに苦しくても愚痴をこぼさずベンを支える母リリー、
牧場の経営方針の違いから今は対立してるけど、心の奥底ではつながっている祖父ポップ。
こんな家族に囲まれているんだもの、ケールは馬が好きになりますって。
いいなぁ、こんな家族(笑)。ボクは競馬が好きだし一口馬主もやってるから、
特にケールの気持ちがよくわかります。もうずーっとウルウルしっぱなし。
今は予告編見るだけで涙が出るくらい(笑)
ケールにはあの天才子役ダコタ・ファニングが、
ベンにはB級アクション俳優のイメージが強かった(失礼!)カート・ラッセルが、
それぞれに好演しています。
久しぶりに満点中の満点かな。競馬ファンは義務(笑)。
そうじゃない人も是非見てみて下さい。☆5つ!
「夢駆ける馬ドリーマー」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.05.12
「アンジェラ」☆☆
「ナイロビの蜂」☆☆☆☆
「ピンクパンサー」☆☆☆☆
「間宮兄弟」☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
話題作が今週来週で続々公開となります。ボクが見させてもらった試写は今週4本、来週はゼロ。
なので次週更新はありません。悪しからずご了承下さいませm(_ _)m

では今週の4本を50音順で!
「アンジェラ」は「レオン」や「フィフス・エレメント」で知られる
リュック・ベッソン監督、6年ぶりの新作。
自国フランスでは、出演者から何からすべてトップシークレットで製作を進行。
マスコミ用プレスにもストーリーはほんのさわりだけ。
さらに当然のことながら「結末は伏せておいて下さい」とのお願い付き。
もちろん言いませんって(笑)
借金でギャングから逃げ回っていたチンピラのアンドレが、
いよいよにっちもさっちも行かなくなった時、
セーヌ河に身を投げようと思った瞬間現れた金髪の美女アンジェラ。
果たして彼女は何者なのでしょう?
はい、ここまで(笑)。ビッグネームの最新作、
今までにない恋愛ものかとすごい期待しちゃったからかな、
それほどの感動というか感激はなかったけど、
リュック・ベッソン好きにはこのタッチがたまらないのかも。
あ、フランス映画だ。だからボクにはわからないんだ…。
ごめんね、☆2つです。
「アンジェラ」公式サイト

「ナイロビの蜂」は、なかなか深いですよ。
謎解きのサスペンスと恋愛ものを一気に楽しめちゃう1本です。
ナイロビに勤務するイギリス一等書記官、
ジャスティンの耳に届いたのは最愛の妻テッサの突然の死でした。
2日後に会おうと彼女を見送ったばかりなのにと、にわかには信じられなかったジャスティン。
最初は単なる事故死かと思ってたんですが、
自身で調査を進めるうちにそうではなさそうだと気付くんですね。
実は彼女、ジャスティンとの子供を死産で失ってから、
アフリカのスラムの子供の援助活動に励んでいたのです。そこで知ってしまった、
大手製薬会社が貧しいアフリカの人々を使って新薬の人体実験をやっているという事実。
また政府官僚と製薬会社との癒着。
そんなテッサの存在をうとましく思う連中が彼女を“消した”のです。
情熱的なテッサは出会いから積極的にジャスティンにアプローチ。
テッサが押す形で二人は結ばれました。
また正義の女性で、どんな権力にも憶せず立ち向かっていく人だったのです。
彼女の横にはいつも黒人男性医師のアーノルドがいました。
逆にジャスティンとは少し距離を置いて活動を続けていたのです。
どちらかというと事無かれ主義のジャスティンは、正直彼女の浮気も疑いました。
でも口には出せずじまいでいたんですね。
しかし、その微妙な距離を保っていた背景にはテッサの深い思慮と愛情があったことを、
彼女の死の調査の中で知っていくのです。
志半ばで命を絶たれたテッサのためにも、悪事を白日のもとにさらそうと、
ジャスティンは自ら危険の中に飛び込んでいくのでした…。
人の心は推測できてもわかり切ることはできません。ジャスティンも奥さんを失って、
これまで以上に愛しくて愛しくて仕方なくなったはず。
ありがとうとか、愛してるとか、言えないままもう2度と会えなくなってしまった人って、
あなたにもいませんか?この映画を見ると、そんな言葉たちが素直に口をついて出てくるかも。
プチ倦怠期の夫婦やカップルには特効薬になりそうな1本です。
ちなみにテッサ役のレイチェル・ワイズはこの作品でアカデミー助演女優賞を獲得しています。
☆4つ。
「ナイロビの蜂」公式サイト

「ピンクパンサー」はアニメでおなじみのあのピンクパンサーの実写版。
といっても実は実写が先で、63年の「ピンクの豹」がそれ。
お間抜けな警部クルーゾーが大人気となり、
そのキャラクターとして誕生したのが今もなお愛され続けてるあのアニメのピンクの豹なんです。
知ってました?
サッカーのフランス代表チームの監督で富も名誉も持つイヴが、
中国との親善試合直後のピッチで殺されます。
彼の指にはまっていたはずの超高級ダイヤ“ピンクパンサー”が無い。
このとてつもなく大きな窃盗殺人事件を任されたのはドレイフィス警視でした。
彼は考えます。自分たちが密かに内偵を進めるため、
表向きはおバカな警部にハデに嗅ぎ回ってもらって見当違いな見解を発表させ、
犯人を油断させるのだと。
そこで白羽の矢が立ったのは、
これ以上の適任者はいないだろうというお間抜け警部のクルーゾーだったのです…。
クルーゾーにはコメディ界のベテラン、スティーブ・マーティン。
ドレイフィス警視にケヴィン・クライン。
クルーゾーとコンビを組まされる生真面目な部下にジャン・レノ。
殺されたイヴの彼女に元ディスティニーズ・チャイルドのビヨンセ・ノウルズという豪華出演陣。
馬鹿馬鹿しいけど笑えるんだな、これが。
昔TVの「ゲバゲハ90分」なんて番組を見て笑ってた世代のボクなんかだと、
このタイプのギャグがツボだったりするのですよ。
ビヨンセが出てるから、おじさんが若いコ連れて見に行くのに誘いやすいはず。
でも“おじさんのツボ”でひとりでヒーヒー笑ってると引かれちゃうのでご用心(笑)。☆4つ。
「ピンクパンサー」公式サイト

「間宮兄弟」は逆にピンとこなかったんですよ…。
作品の名誉のために言っておくと、試写室内は笑いの渦でした。たぶん今風の笑いなんでしょう(笑)
タイトルの通り、主人公は2人の兄弟、間宮明信と徹信。
共に30歳を過ぎて独身、兄はビール工場の研究員として、弟は小学校の用務員として働いています。
二人は本当に仲がいい。大好きな横浜ベイスターズを一緒にTVで応援し、
ポップコーン片手にDVDを見、ジャンケンしながら行きつけのラーメン屋さんに行き、
隣り合わせに敷いた布団で1日の反省会をしながら寝る。
その姿はまるで小さな頃の仲良し兄弟そのままでした。
彼らなりに幸せな生活ではあったんですが、足りないものがある。それは恋人。
そこで2人はカレーパーティを企画します。声を掛けた女性はというと、
よく行くレンタルビデオ屋でレジを打っているバイトの直美と、徹信の勤務先の依子先生。
どちらにも彼氏はいるんだけど、なんとなくうまくいってなくて、気晴らしにOKを出します。
兄弟の作った3種類のカレーが評判で、食後はモノポリーで盛り上がって、パーティは大成功。
その夜の反省会も満足のいくものでした。
「本当の恋に発展するのかなぁ」
淡い期待を胸に2人は眠りにつくのでした…。
友達以上に仲のいい兄弟。大人になるといろんなことがあるから、昔みたいにはいかなくなる訳で。
でもこんな兄弟がいたっていいじゃないかという、ほのぼのとした笑顔が生まれる1本です。
「しあわせはじぶんのこころがきめる」とは相田みつをの言葉だったかな。
この兄弟は間違いなく“しあわせ”。そのお裾分けをしてもらえるような映画です。
兄・明信を佐々木蔵之介、弟・徹信をドランクドラゴンの塚地武雅が演じます。
2人のお母さんには中島みゆき。
こんなにおっきな息子のいる母親の役かぁとちょっとビックリ。
ただね、笑いのツボが違ったせいか、周りの笑い声にジェラシーで(笑)。
ほんわか楽しいけど笑えないのですよf^_^;。
そのあたりを「ピンクパンサー」あたりと
個人的にきちんと差別化しとかなくちゃということで、☆2つ。
あなたはどっちで笑えるか?両方観てみて試してみてはいかがです?
「間宮兄弟」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.04.27
「キャッチ ア ウェーブ」☆☆☆
「戦場のアリア」☆☆☆
「小さき勇者たち ガメラ」☆☆☆☆
「ブロークン・フラワーズ」☆☆☆
「僕の大事なコレクション」☆☆☆
「RENT」☆☆☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
GW作品として先週から話題作が続々公開となってますが、ほとんどが先週と今週での封切り。
従いまして来週のこの映画紹介は更新がありません。
連休中に何を見ようかなぁと迷ってるあなた、先週のラインナップも参考に是非どうぞ!
今週は6本。では50音順に。

「キャッチ ア ウェーブ」はサーフィンものの青春映画。
夏休みにひとつ大人になりたいという3人の高校1年生が、
ひょんなことからサーフショップで住み込みのアルバイトをすることに。
サーフィンを通して、頑張ることを学び、かつ甘くせつない初恋をも経験するのでした…。
竹中直人が体当たりの演技なんですが、竹中さんが濃くて、高校生トリオも意外と濃い演技なんですね。
ちょっとお腹いっぱいの感もあります。でもDEPAPEPEの劇中音楽がさわやかで、
うまく中和剤の役目を果たしてくれたかなと。
そうそうJD最後のGP「ラハイナ」はこの映画の中で流れます。
ちなみに主題歌はDefTech。初恋の甘酸っぱさを思い出しつつ、
音楽を楽しみに行くのもいいかも知れませんョ。☆3つ。
「キャッチ ア ウェーブ」公式サイト

「戦場のアリア」は“実話に基づいた”という物語。
第1次世界大戦中のフランス北部。戦闘の最前線でにらみ合うフランス、スコットランド、ドイツの各軍隊。
それぞれが故郷に大切な人を残し、その大切な人を守るために命をかけて出征してきているのです。
今日はクリスマス・イブ。
すると、ドイツ軍の塹壕の中からクリスマス・ソングを歌う素敵な歌声が聞こえてきたんですね。
バグパイプで応じるスコットランド軍。フランス軍も追随します。
そして各国の代表が出てきて1日だけの休戦協定を結ぶのです。
酒を酌み交わし、通じない言葉で愛する人の写真を自慢しあう。
その時だけは憎しみから離れた、同じつらさを抱える仲間になれたのです。
夜が明け、また敵同士になった3ケ国の兵士たち。でもそこには確かな友情も芽生えていたのです…。
戦争の不条理さを描いた作品。
国を守る。でもそれは家族や愛する人を守ることであって、みんな思いは一緒なんです。
だとしたら、戦わないのが一番なはず。敵だと思っていた相手にも大切な人がいる。
そう気付いた時から、敵に思えなくなってしまったそれぞれの兵士たちの、人としての優しさと、
待っている悲しい運命がせつない1本です。
ちょっと出来過ぎじゃない?って思うところも正直あるけれど、
あまりうがった見方はしない方がいいのは確かでしょう。
悲劇はより悲劇として描く。その方が戦争に対する憎しみは高まるはず。
物語の終末に向けて、きちんとそれが描かれていたように思います。☆3つ。
「戦場のアリア」公式サイト

「小さき勇者 ガメラ」は、ご存じ怪獣ガメラの06年版。
今回もガメラは人間のために、
特に生まれてからずっとかわいがって育ててくれた子供たちのために凶悪怪獣と戦ってくれるのですが、
この映画、何がいいってきちんとマナーを描いているところが素晴らしい!
怪獣が現れ、避難所に逃げた主人公の透と父の孝介。そこに病気の幼ななじみ、
麻衣の手術成功の知らせが届くんですね。まず孝介の携帯が鳴る。
でもそれはきちんとマナーモードで、孝介はバイブに気付いて電話を取るという演技なんです。
さらに透に電話を替わる時、孝介は透に体育館の外で話をさせるのです。
また、熱くなった透が大声で自分の考えを主張した時にも、
孝介は「静かにしろ。休んでるお年寄りもいるんだから」と透を諭すんですね。
人(子供)の善意があちこちに描かれている映画。
だからこそそんな細部にまで気を配った作り手のみなさんに拍手を送りたい、そんな1本です。
何はともあれ、そこに感動!それだけでも☆4つです(笑)。
「小さき勇者 ガメラ」公式サイト

「ブロークン・フラワーズ」は、05年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品。
なるほどカンヌって感じの1本かな(笑)。
独身の中年男、ドンのもとに1通の手紙が届きます。ピンクの封筒、ピンクの便箋。
「あなたの息子はもう19歳になります」
差出人も住所もないその手紙を、隣人で親友のウィンストンに見せると、
面白そうに差出人探しの旅に行けと航空券と行程を用意。
渋々旅に出たドンは、20年前の記憶をさかのぼり、当時付き合っていた女性たちのもとを次々回るのですが…。
ボクはこの手のひねった笑いがあまりよくわからない人でして(苦笑)。
だから的を射てないかも知れないけど、別れた昔の恋人に会いに行くのは愚の骨頂だってこと、
それだけはわかったかな(笑)。描きたいのはもっと深いことなんでしょうけどね。
きちんとわかるために、もう1回見たいかな。☆3つ。
「ブロークン・フラワーズ」公式サイト

「僕の大事なコレクション」もちょっぴり変わった作品でした。
ユダヤ系アメリカ人の若き青年、ジョナサン。
彼には家族にまつわる物を何でも集める“収集癖”がありました。
そんなジョナサンが、祖父の命の恩人を探しにウクライナへ旅に出ます。
そこは家族のルーツでもあるんですね。
ウクライナに着いたジョナサンを待っていたのは
ユダヤ人の祖先探しを生業とするアメリカかぶれの青年アレックスでした。
さらに旅に同行するのはアレックスの“目が見えない”と主張する祖父と、
すぐに噛み付く飼い犬のサミー・デイヴィスJrJr。
おかしな3人と1匹の旅に果たして何が待っているのでしょうか…。
ジョナサン役には「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでもおなじみ、イライジャ・ウッドが扮してます。
自分探しが最近流行のひとつでもありますが、もっと深い国民性みたいなところで言うと、
日本人というのは自分のルーツに関心が低い人種なのかも知れません。
この旅の中で互いに芽生えるシンパシイはいったい何なのか。
アレックスのおじいちゃんが取った人生の幕引きには何の意味があったのか。
ちょっと考えさせられるかも知れません。この映画も複数回見てみたいかな。☆3つ。
「僕の大事なコレクション」公式サイト

「RENT」は、かの有名な大ヒット・ブロードウェイ・ミュージカルの映画化。
80年代のNYイーストビレッジを舞台に、音楽や芸術に生きた若者たちを描いた作品です。
HIP・HOPカルチャーに代表されるように、80年代のNYは新たな芸術の息吹きに満ち溢れてました。
その一方で、ドラッグ、同性愛、エイズの蔓延など、問題を多く抱えた時期でもあったわけです。
RENTとは家賃のこと。その家賃すら払えない状況で、自分の夢に生きる若者たち。
そんな彼らの光と闇を、両面からきちんと描いてるからこそ、
単なる夢物語に終わることなくリアリティに溢れた作品として、
ミュージカルがこれまでに高い支持を集めてきたのでしょう。
迫力の歌と演技は舞台をスクリーンに移しても健在です。
2時間15分の長編ですが、ちっとも長く感じない1本。
80年代ですら今の若い人にとっては“ひと昔前”になっちゃってるんですよねぇ(笑)。
ボクには青春ど真ん中。ビルボード誌を追っかけてた80年代音楽小僧にはその背景もわかるだけに、
胸を打つものがありました。そこがリアルタイムじゃない人にも是非!
いやいやホント良くできた作品です。久々に☆5つ。
「RENT」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.04.21
「アイス・エイジ2」☆☆☆
「スポンジ・ボブ スクエアパンツ」☆☆☆
「ディバージェンス 運命の交差点」☆☆☆
「ぼくを葬(おく)る」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
「夢駆ける馬ドリーマー」という映画の試写に行きました。これがかなりいいっ。
競馬ファンは必見!そうじゃない人も是非!公開は5月末。また近くなったら紹介しますね。お楽しみに!
さぁ今週は4本。いつものように50音順で紹介していきましょう。

「アイス・エイジ2」はドリームワークスの人気3Dアニメのシリーズ第2弾。
今回は環境問題に一石を投じ、温暖化で氷が溶けていく2万年前の地球が舞台。
体は大きいけど優しいマンモスのマニー、お調子もののナマケモノのシド、
コワモテのサーベルタイガーのディエゴ。
主役の3人(匹?頭?)は今も大の仲良し。
氷が溶けて大洪水がくる。動物たちがみんな一斉に安全なところへと移動を始めるんですが、
その道すがらさまざまな出来事が起こります。個性的な仲良しトリオの珍道中。
果たして無事旅を終えることができるのでしょうか…。
周りから“絶滅種”とか“最後のマンモス”と言われ、しょげているマニー。彼の夢は家族を持つことなのに。
でも、会うんです、バッタリ。マンモスの女の子に。
でも彼女は自分のことをフクロネズミだと信じてるからさぁ大変!
なんてそれぞれの悩みを乗り越えながらの勇気と友情の旅。
ドングリ大好きのスクラットも相変わらずの間の悪さでボクらを笑わせてくれます。
「アイス・エイジ」とは“氷河期”のこと。溶けちゃったらこのタイトルで「3」はできないじゃんね(笑)。
こういう映画を通して環境を考えるのも大切。
でも難しい話を抜きにしても、大人から子供まで楽しめる作品です。
どうぞ声を出して笑ってきて下さい。☆3つ。
「アイス・エイジ2」公式サイト

「スポンジ・ボブ スクエアパンツ」もアニメです。
海底都市ビキニ・ボトムに住むスポンジ・ボブ。 人気バーガーショップ、
カニカーニでアルバイトをしているボブは近々オープンする2号店の店長は自分だと信じきってるんですね。
ところがオーナーのカーニさんの口から出たのは別の人の名前だったのです。
理由は「まだ子供だから」。ショックで立ち直れないボブ。
その頃、ライバル店のチビ・バケットのオーナー、プランクトンが悪だくみ。
カーニさんを陥れ、カニカーニをなきものにしようと企んでいたのでした。
そうはさせじとスポンジ・ボブ。店長にしてくれなくったってカーニさんを救うのさっ。というお話。
かなりブラックでお下劣なギャグもあるから、アニメといっても大人向け?
アメリカじゃすごい人気で、TVシリーズは6000万人が見てるとか。
うち3分の1の2000万人が大人だそう。裏を返せすと4000万人の子供はこれ見て育ってるんだね(笑)。
さすがアメリカ。こちらもプッと吹き出す面白さがあります。☆3つ。
「スポンジ・ボブ スクエアパンツ」公式サイト

「ディバージェンス 運命の交差点」は香港映画。
刑事のシュン、弁護士のトウ、殺し屋のコーク。それぞれ心に傷を持つ3人の男たちが、
ある事件をきっかけに出会うんですね。まるで皮肉な運命の糸にたぐり寄せられるかのように…。
アーロン・クォック、イーキン・チェン、ダニエル・ウーという香港のイケメン俳優の共演。
ちょっぴり陰のあるトーンで進むストーリー展開も、
いい男たちだから似合うって感じのサスペンス・アクションです。
これといって目新しさはないけれど、この手の作品が好きだという人なら楽しめるんじゃないでしょうか。
無難なところで☆3つ。
「ディバージェンス 運命の交差点」公式サイト

「ぼくを葬る」はフランス映画。
カメラマンとして活躍していたロマン。ある日、仕事中に倒れてしまいます。
医者が突然突き付けたのは余命3ケ月の宣告。
31歳の若き男性が受け入れるにはあまりにも残酷な現実でした。
同性愛の彼、ぎくしゃくしている家族、偶然出会った女性からの意外な申し出。
あとわずかしかない命の中で、ロマンはどう生きるかを考え始めるのです…。
うーん、自分だったらどうするかなぁ。
きっと大きく2つに分かれるんじゃないでしょうか。整理したい人と、残そうとする人と。
つまり引き算を始めるか、足し算を始めるか。ボクは後者かも知れません。俗っぽいんだね、きっと(笑)
ただ、やっぱり“フランス”でした。素直に受け入れるには、んっ?ってところもありました。
もちろん価値観は違ってしかり。いい悪いじゃなくてね、違うかなってあくまで個人の感覚。
逆にフランス映画にしちゃ人間臭いところも意外やストレートに出てたかなと。
なんて言ってるとフランス映画ファンに怒られちゃうんだよ、きっと。
「何言ってるんですか、フランス映画の人間模様の描き方にあなたが気付かないだけでしょ」って(笑)。☆3つ。
「ぼくを葬る」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.04.13
「ダンサーの純情」☆☆☆☆
「ナニー・マクフィーの魔法のステッキ」☆☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
今週の2本は、どちらもピュアな作品。共にキーワードは“かわいい”です。では早速!

「ダンサーの純情」は韓国映画。
フェリーで韓国に向かうひとりのかわいい少女、チャン・チェリン。
やんごとなき事情で韓国に行かなくてはならない姉の、身代わりになっての渡航でした。
お姉さんはダンスのチャンピオン。韓国人ブローカーが求めていたのも、そのダンスの腕前だったのです。
ところがチェリンにはダンスの経験がまったくない。
迎えたダンスパートナーのヨンセは身代わりと知って激怒。 家から追い出すんですが、
いかがわしい店だと知らずに仕事が見つかったと喜んで電話をしてくるチェリンの純情さに、
仕方なく彼女を引き取りに行きます。
ヨンセも訳ありのダンサー。
ライバルでダンス協会会長の息子ヒョンスに恋人でもあったダンスパートナーを奪い取られ、
失意のどん底にいたのです。
チェリンに一からダンスを教えるヨンセ。下手くそながら一生懸命頑張るチェリンの姿に打たれます。
ところが、またもやヒョンスはチェリンに目を付け、自分のパートナーにしようと企むのでした…。
チェリンの幸せを思ったら身を引くべきだと考えるヨンセ。
彼女の前でテーブルの上に乗っているものをすべて落とし割り、大切な写真立てもこなごなになってしまいます。
でも悲しいかなわかってしまうんです、彼のその気持ち。 自分の本当に大切なものが今、
目の前から失くなってしまうんだって絶望感に支配されたらすべてを壊したくなりますよね…。
チェリンはかわいいですよ。その一生懸命さもそうだし、ヨンセへの一途な思いもそう。
チェリンには「マイ・リトル・ブライド」のムン・グニョン。
この子自身がかわいい!やばっ、ちょいロリがバレちゃう(笑)。
もちろんヨンセもまっすぐな男だからこそ、辛く当たられてもチェリンは彼を思い続けたんですけどね。
報われる恋はいいなぁ(笑)。☆4つ。
「ダンサーの純情」公式サイト

「ナニー・マクフィーの魔法のステッキ」は、ボクの大好きな映画「ラブ・アクチュアリー」のスタッフ、
出演者が集まった1本。
ブラウン家には7人の子供がいました。お母さんは1年前に他界。
お父さんは仕事があるので、家政婦(ナニー)を雇うのですが、
子供たちのあまりのいたずらに耐え兼ねてみんな辞めていってしまうんですね。
「もう誰もお宅には誰も派遣できません!」
家政婦紹介所からそう断られたお父さんでしたが、
不思議な縁でブラウン家にやってきたのがマクフィーでした。
彼女が杖で床を叩くとあら不思議!いたずらな子供たちにはいろんな罰が当たるのでした。
貴族の叔母曰く、「1ケ月以内に再婚をするなら経済的援助はしましょう」
自分の気持ちを殺して子供のために、とにかく再婚をしようと性悪女と婚約をするお父さん。
でも子供たちはそいつが意地悪なのを知っていて、この話を破談にしようと頑張るのです。
ナニー・マクフィーはこれをどう見ているのか?果たして子供たちの味方なのか、それとも…?
最初は子供たちの破天荒ぶりに見ている方も「このクソガキ」(失礼!)と、
ちっともかわいらしさを感じないんですが、母を亡くし、父も仕事が忙しくてかまってくれない環境で、
寂しさの裏返しであることは間違いなく。
さぁこの子たちがどう変わんだろうかというのが逆に楽しみになります。
「ラブ・アクチュアリー」の、小説家に恋をする言葉の通じない
異国のメイド役だったエマ・トンプソンがナニー・マクフィーに、
その小説家役だったコリン・ファースがお父さんに、
そして海外へ行ってしまう同級生に空港で告白する少年役だった
トーマス・サングスターが7人兄弟の長男を演じてます。
いい意味で人間臭さがたっぷりのファンタジー。
見たあとは、おばあちゃんの昔話を聞いたような感覚が残りますョ。☆4つ。
「ナニー・マクフィーの魔法のステッキ」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.04.06
「風のファイター」☆☆☆☆
「君とボクの虹色の世界」☆☆☆

先週紹介した「キスキス,バンバン」はごめんなさい、今週末8日からの公開でした。
1週フライング。失礼しました。
ということで今週2本を新たに紹介しますが、実は3本ですm(_ _)m

「風のファイター」は極真空手の産みの親、大山倍達をモデルにした韓国映画。
ただし、真実の人生を表現したものではないとの注釈がプレスにありました。参考まで。
まだ朝鮮半島が日本の統治下にあった時代、ペダル少年は武道を学び、
とにかく強くなることを目指してました。パイロットになるために日本へ密航。
なんとか潜入に成功するも、彼を待っていたのは冷たい差別でした。
終戦後、祖国は日本から独立するも帰る家もないペダル。
池袋で仲間と移動パチンコ店をやりしながら生活するも、地元のヤクザと衝突。屈辱的な仕打ちに合います。
日本人の恋人陽子との出会い、少年時代の師匠との偶然の再会、そして悲しい別離。
「強くなるんだ。強くならなくては」
ペダルは改めて心に誓うのでした…。
韓国映画なんですが、舞台が日本ということで日本人俳優はもちろん、
韓国人俳優も日本語で演技をしてるんですね。でもそれがかえって妙にいい雰囲気を醸し出していて、
戦後日本の闇社会の暗澹たる世界観を逆に醸し出せたような気がします。
アクションシーンも迫力満点!アクション俳優がみんな武道の有段者だと聞けばそれも納得。
お祭りの小屋とか、温泉スパみたいなところで見たい1本、
なんていうと怒られちゃうかも知れないけど(笑)、
制作費7億円という超豪華大作なのにB級感漂うのが逆に魅力な作品。
最近いい映画が多い格闘モノにまた楽しめる1本が加わりました。☆4つ。
「風のファイター」公式サイト

「君とボクの虹色の世界」は58回カンヌ国際映画祭で、新人監督賞を受賞した作品。
監督のミランダ・ジュライは自らも主演、アーティストを夢見るクリスティーン役を演じています。
そのクリスティーンは芸術家を夢見ながら、高齢者専門のタクシードライバーで生計を立てています。
ある日ショッピングモールの靴売り場で働くリチャードに恋をします。
リチャードは離婚したばかり。家には14歳と6歳の男の子がいます。
この兄弟はというと、パソコンの出会い系サイトでチャットに夢中!
「こいつは女のフリをした男だ」などと、すっかり玄人はだしなんですね。
他にもリチャードの同僚、隣人、クリスティーンのお得意さんなど、たくさんの人物が登場。
それぞれの秘めた恋物語が、どちらかというと不器用なラブストーリーが展開していくのです…。
チャット兄弟の弟の話が面白いかな。
それをプレイだと勘違いしてしまう相手の大人の女性もすごいけど(笑)、
その女性が誰なのかがわかった時のせつなさね。実は寂しいんだって。
まさにもうひとつの顔です。このふたりの結末はなかなかイカしてたなぁ。
何がすごくいいって訳じゃないけど、トータルで雰囲気のある映画。
スカッとはできないけど、そうそうドラマのように人生うまくはいかないんだって親近感があり、
逆説的に背中を押してくれる1本かも知れません。☆3つ。
「君とボクの虹色の世界」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.03.30
「キスキス,バンバン」☆☆☆
「ドゥーム」☆☆☆
「バイバイ、ママ」☆☆☆
「ファイヤーウォール」☆☆☆
「レアル ザ・ムービー」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
すっかり春の陽気になりました。出会いと別れの季節。
きっと感性もすごく敏感になっていると思います。だからこそいい映画をたくさん見て欲しいですねっ。
それでは今週も50音順で。

「キスキス,バンバン」はハリウッドを舞台にしたコミカルなサスペンス映画。
コソ泥稼業のハリー。盗みの最中に警報が鳴り、警察に追われて人込みの中に紛れたその場所は
ハリウッド映画のオーディション会場でした。逃走途中で弟分を撃ち殺された悲しみから、
泣きの表現は迫真の演技。すごい才能が現れたと即合格になります。
与えられた役どころは“探偵”。
翌日からセレブ御用達の私立探偵ペリーに密着して役作りに入るんですが、ペリーにはゲイの噂も。
妙なコンビにハリーも落ち着きません。
一方でハリーは幼馴染みで憧れの女性だったハーモニーと偶然の再会を果たします。
彼女もまたハリウッド女優を目指してLAに来ていたのです。
ところがハリーの前で殺人事件が起こります。さらにハーモニーの妹までもが謎の死を遂げます。
自分に降りかかってきた奇妙な事件を解決しようと調べていくうちに、
すべてがひとつの線でつながっていることに気づくのでした…。
肩の力を抜いて見られるサスペンス作品。
魑魅魍魎の集まるハリウッドだからこその闇の部分をお洒落にゴージャスに描いてます。
なかなか楽しめますョ。☆3つ。
「キスキス,バンバン」公式サイト

「ドゥーム」は人気ゲームソフト“DOOM”の映画化。
2026年、火星に作られた研究所の博士から地球にSOSが届きます。
“極秘研究の披検体が脱出。至急ここを封鎖せよ”。
この緊急事態に海兵隊の特殊部隊8名が送り込まれます。
研究所に足を踏み入れると、そこには血まみれになって言葉も生気も失った博士の姿がありました。
一体何が起こったのか?
その時、人間よりはるかに大きな影が動いたのです…。
言ってみれば、人間vsエイリアン。その辺はゲームの映画化ですから想像に難くないでしょう。
新しい生命体を作ろうとした人間の愚行に神が怒ったといったところでしょうか。
主演はザ・ロック。ゲーム好きにはおすすめです。☆3つ。
「ドゥーム」公式サイト

「バイバイ,ママ」は自らシングルマザーを選んだ女性の物語。
親の遺産で生活しているエミリーの夢、それは結婚ではなく母になること。
それも二人だけの世界を築く母子関係でありたかったのです。
そのために彼女は“種”を選んでは手当たり次第に種付けに励みます。
ところがなかなかヒットしません。ようやく身ごもり、そして出産。
生まれてきたのはかわいい男の子でした。
ポールと名付けられたその子は母の愛情をたっぷり受け、すくすくと育っていきます。
ポールだけが生きがいのエミリーは彼を“ラバーボーイ”と呼んで溺愛するんですね。
学校に行く年になっても通わせないエミリー。
しかし、ポールも自然と同世代の子供たちと接点を持ち、外の世界に興味を抱き、
母親に反発するようになってきます。
自分の夢が、幸せが崩れていくことにあわてるエミリー。
何よりも大切なポールを自分の元につなぎ止めておきたい。そう思った彼女のとった驚愕の行動とは…。
親の子離れ、子の親離れ。いつの時代もどこの国でもきっと同じなんだろうなと。
よく子供は3歳までにすべての親孝行を済ませるといいます。
初めて笑った、初めて歩いた、初めてママと呼んだ、などなど…。
子供は物心つく前にすでに親にたくさんの喜びを与えてるんだと。
なるほど。その先はもう小さくても一人の人間として扱わなければならないということなんでしょうね。
日本でも少子化を食い止めるにはシングルマザーの地位をもっと高めるというか、
離婚で結果シングルマザーになったんじゃなく、
エミリーのように自らシングルマザーを選ぶ女性(働く母)に
国や自治体が手厚い保護をするしかないだろうという意見もあるようです。
親子の情愛ってボクは遺伝のようなものだと思っているのですよ。
自分が親から愛情を受ければ自分の子供にも与えることができ、逆もまたしかりなんじゃないかなと。
あくまで勝手な推測ですが。
ちなみに監督は自らもエミリーの父親役で出演しているケヴィン・ベーコン。
増えゆくシングルマザーに、否定ではなく、在り方にひとつの警鐘を鳴らしたかったのでしょうか?
これが初監督作です。ポールがホントにかわいいですよっ。 世の女性たちも、
こんなにかわいい子ならシングルマザーもいいかも、なんて思っちゃうかも(笑)。☆3つ。
「バイバイ,ママ」公式サイト

「ファイヤーウォール」はハリソン・フォードの主演作。
IT社会に生きる現代だからこそ起き得る犯罪を描いた作品です。
銀行の最高幹部で、セキュリティシステムの責任者でもあるジャック。
ある日ジャックの家族全員が、自宅に侵入してきた男たちに監禁されてしまいます。
犯人グループの目的は金。ジャックの勤める銀行の資産でした。
セキュリティシステムを作った人間ならばそれを解くのも可能だろうと、長い歳月を掛け、
ジャックの個人情報や生活のリズムなどを徹底的に調べあげての犯行。
ハイテクを駆使し、緻密に計算された犯人グループの計画には寸分の狂いもありません。
家族の安全を思えば犯人に従わざるを得ないジャック。果たして窮地を打開する方法はあるのでしょうか…。
「ファイヤーウォール」というのは、外部からの不正侵入を阻止するための
コンピューターのセキュリティシステムのこと。
問題解決のヒントになる“あるもの”が、わかるんだけど「えっ、それですか…」って感じで笑えました。
場内も失笑(笑)それに象徴されるように、
日々進歩していく分野だけにこの映画もすぐひと昔前のものになっちゃうかも。
そんな意味じゃ逆に今見とかなきゃって感じ。
ただ、ハリソン・フォードのアクションは正直ちょっぴり痛々しかったです。
頑張ってました。☆3つ。
「ファイヤーウォール」公式サイト

「レアル ザ・ムービー」は“銀河系集団”の異名をとるサッカーのスーパースター軍団、
レアル・マドリードの映画。あの“ベッカム様”のいるクラブチームです。
ドキュメンタリーかと思いきや、さにあらず。もちろんドキュメンタリーの部分もあるんだけど、
5つの都市、マドリード、NY、セネガル、ベネズエラ、そして東京と、
それぞれの街で起きているサッカーにまつわるドラマを軸にストーリーは進んでいくのです。
フィクション部分もあると知らずに見にきた人を楽しませるなら、
あえて東京からのスタートにしない方がよかったんじゃないかなぁと見るのはボクだけ?
なんかね、日本のドラマが最初で「えっ、作りものなんだ」とわかっちゃうと、
逆にこの映画の立ち位置がチープなものになっちゃう感じでもったいない気がしました。
言ってることは見ればわかると思いますョ(笑)
サッカーイヤーの2006年。チーム初の公式公認映画だそうです。タイムリーな1本。
出演者たちは超豪華なスーパースターですから、ワールドカップの予習に是非どうぞ!☆3つ。
「レアル ザ・ムービー」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.03.23
「リトルイタリーの恋」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)
今週は1本でした。早速行きましょう!

「リトルイタリーの恋」は1950年代のオーストラリアが舞台の恋物語。
オーストラリアに移住したイタリア人たちの住む街、リトル・イタリー。
でもそこには若いイタリア人女性は少なく、
写真と手紙で本国とやりとりをするお見合いが花嫁探しの主流でした。
ここにふたりの兄弟がいます。アンジェロとジーノ。兄のアンジェロは真面目で内気、
対照的に弟のジーノはイケメンで陽気。
何度もプロポーズに失敗している兄に比べ、弟はオーストラリアにかわいい彼女がいました。
何度目でしょう。兄の元にお見合い話が来ます。写真を見てドキッ。
相手は貧しい漁村に暮らしながらも家族の愛情をいっぱい受けて育った美人のロゼッタ。
ルックスにコンプレックスを抱いているアンジェロは、どうせまた断られるさと後ろ向きだったのですが、
ジーノの後押しもあり、手紙を書こうと決意します。
ところが、同封したのは自分のではなく弟の写真。ロゼッタから届いた返事はYES。
ロゼッタはジーノの写真に恋をしてしまったのでした。
そしてロゼッタがオーストラリアにやってきます。しかし彼女を迎えに来たのは見ず知らずの地味な男。
「ボクがアンジェロです」
そう言われても自分の夫になる人はこの人じゃない。
ふと向こうを見ると、恋い焦がれたアンジェロがいるではありませんか。
でも彼はアンジェロではなくジーノなのです。はるばる海を渡ってやってきたのに、
いったい何がどうなってるの?ロゼッタは気を失って倒れ込んでしまうのです…。
アンジェロとジーノの兄弟は両親を亡くしてから叔父の経営するリトル・イタリーのカフェで働いてました。
対照的とはいえ、堅い絆で結ばれていたふたり。兄のフィアンセが弟に恋してる。
この恋愛劇の結末やいかに、というお話なんですが、
レトロなトーンが人々の心の温かさみたいなのを醸し出していて、
今なら“骨肉の愛憎劇”になってもおかしくないような?そんなネタをちょっぴりコミカルに、
また温かく描いています。
弟の写真を送ったアンジェロの行為をいずれバレるのにバカだなぁと思うかも知れないけど、
現代のネット人格に代表されるような悪意を持っての偽りじゃないところが人間臭くて許せちゃう。
ボクも写真は大嫌い。昔、細くてカッコよかっただけに(自分で言うか…)今のルックスが嫌なんですね。
わかるよアンジェロ(笑)。でもやっぱりウソから始まる恋愛はよくないんだよ、アンジェロ。
勉強して幸せになろうね(笑)。☆3つ。
「リトルイタリーの恋」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.03.16
「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」☆☆☆☆
「子ぎつねヘレン」☆☆
「SPIRIT」☆☆☆☆
「南極物語」☆☆☆
「ラストデイズ」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
春休みになり、小さな子供も楽しめる作品がたくさん公開になってます。
今日紹介する中にもいくつかありますョ。
どうぞちびっこにも是非映画を大きなスクリーンで見せてあげて下さい!
では今週も50音順で。

「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」は粘土を少しずつ動かして作るクレイ・アニメーション。
映画は1秒が24コマ。従って1秒撮るのに24種類、微妙なパーツ、パーツの動きを組み立てながら、
成型し直しながらの撮影で、ひとりのアニメーターが1週間で作れるのはたったの5秒分だとか!
企画、開発から完成まで約5年。“急がば回れ”という言葉が日本にはあるけれど、
海の向こうでも、あわてることなくスタッフはコツコツ作業をしてきたんですね。
上映時間1時間25分。
クオリティの高さは、アカデミー賞長編アニメーション賞を獲得したことで明らかでしょう。
ストーリーを簡単に。害獣駆除の仕事をしているウォレスと相棒犬のグルミット。
年に1度の町のお祭りが“巨大野菜コンテスト”。
畑を荒らすウサギたちから野菜を守るのが彼らの主な仕事でした。
しかし厳重な注意を払っていたにも関わらず、畑が荒らされてしまったのです。
それは巨大ウサギの仕業だとか。巨大ウサギ?果たしてその正体は?
ウォレスとグルミットはこの難問を解決できるのでしょうか…。
キャラクターもかわいいしね。
なんといっても根気強いクリエイターたちに敬意を表して。☆4つ。
「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」公式サイト

「子ぎつねヘレン」は少年と子ぎつねの愛情物語。
カメラマンとして世界中を自由奔放に飛び回る母を持つ少年、太一。
彼は住んでいた東京から北海道の母の知り合いのところに預けられます。
そこは動物診療所。母のボーイフレンドでもある獣医の矢島先生と、
太一よりも少し年上の女の子、美鈴とのちょっぴりギクシャクした生活が始まりました。
太一は道端で一匹の子ぎつねを発見するんですね。
親とはぐれたのか、ひとりぼっちのこの子ぎつねに、太一は自分の姿を重ね合わせます。
ところがあることに気がつくのです。この子ぎつね、明かりにも音にも反応しない。
「まるでヘレン・ケラーのようだ」という矢島先生の言葉から、ヘレンと名付けたこのきつね、
日に日に衰弱していく姿に先生の選択肢に“安楽死”という文字が浮かびます。
それに対し、何としても元気にさせるんだと頑張る太一。
命の大切さって何だろう?本当の幸せって何だろう?
ヘレンの懸命な生き様から太一はそれを学んでいくのでした…。
映画の中でヘレンが発作を起こすシーンがあるんだけど、それが苦しそうで辛かったなぁ。
動物モノは感動の反面、痛々しいシーンはあまりに痛々しいのがちょっとね。
原作はキタキツネの生態研究の第一人者、竹田津実さんのエッセイ「子ぎつねヘレンがのこしたもの」。
実際にヘレンは存在したそうです。
この映画ではそんな命の大切さと、家族の再生がテーマになっています。
ちなみに主題歌はレミオロメンの「太陽の下」です。☆2つ。
「子ぎつねヘレン」公式サイト

「SPIRIT」も実在した中国の武道家、フォ・ユァンジアの一生をもとにした格闘物語。
あのブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」のモデル
(映画は謎の死を遂げた師匠の復讐劇。その師匠のモデル)になったのもこのフォ・ユァンジアだとか。
中国が、日本も含む西洋列強に次々侵略されていった1900年代初頭、
バラバラになっていた武道の流派をひとつにまとめたのがフォその人でした。
「こんな時代に中国人同志がいがみあってどうするんだ」
しかし彼がそんな悟りにも似た心境に至るまでには様々な出来事がありました。
偉大なる武道家を父に持ち、自らも成功して慢心し、
その結果恨みを買って大切なものをすべて失ってしまった辛い過去。
家族も、友も、財も名声も…。
しかし、彼は生まれ変わりました。今、国を背負って世界の強豪と戦っている彼の周りには仲間がいます。
自分ひとりじゃないんだ。そう思えるようになった彼の快進撃に、敵はいないかと思われたのですが…。
フォ・ユァンジアにジェット・リー、最後に立ちはだかる日本の格闘家、 田中安野に中村獅堂。
人間の業ってやつがたっぷり描かれていて、単なるアクション映画の枠に収まらない面白さがありました。
ジェット・リーの前作「ダニー・ザ・ドッグ」もボクは好きだったなぁ。
憂いを秘めた圧倒的強さみたいなのを演じさせるとピカイチですよねっ。
硬派な1本です。格闘技好きには超オススメ。☆4つ。
「SPIRIT」公式サイト

「南極物語」はご存じ1983年公開の大ヒット映画、日本の同名作品をディズニーがリメイクした1本です。
南極観測隊の犬ぞり隊として活躍する8匹の犬たち。一流南極ガイド、ジェリーのご自慢の仲間たちでした。
ところがある日、南極に記録的な猛吹雪が来るとのことで基地からの退去命令が下ります。
残念ながら犬たちを乗せるスペースが無い。
すぐに迎えに来るからと約束して基地を立つジェリーたち。
しかし天候はますます悪化。次の春まで南極へは行けないと告げられます。
何とかして犬たちを救いたい。
あちこちに掛け合うジェリーでしたが、その手立てがまったくなかったのです。
その頃、南極では残された犬たちの、過酷なサバイバル生活が繰り広げられていました。
いつかきっと迎えに来てくれる。みんなそう信じて懸命に生きていたのです…。
この映画、犬たちの芝居がすごい!それは随所に見られます。
こちらも正直、痛々しいところは痛々しいんだけど、
それを見ている側に忘れさせるぐらいの名優犬たちの名演技です。
犬は“待て”というとホントに待ってるからね。
ラストシーンは犬好きじゃなくても涙が溢れるはずです。ハンカチを忘れずに。☆3つ。
「南極物語」公式サイト

「ラストデイズ」は人気ロックバンド、ニルヴァーナのボーカル、
94年に自ら命を絶ったカート・コバーンへの追悼作品。
監督は高校の銃乱射事件を描いた「エレファント」の衝撃も記憶に新しいガス・ヴァン・サント。
映画では主人公はブレイクという名のミュージシャンで、
監督は「カートの伝記ではない」と話しているようだけど、名声を得てしまったからこその閉塞感、
人間への不信、仕事へのプレッシャーなど、
追い詰められていく過程やそこからのネガティブな逃げ道としての様々が描かれています。
そしてブレイクがとった最後の選択とは…。
ニルヴァーナファンは間違いなく見たくなる1本ですよね。
その他の層へ広がるかどうかがポイントかな。☆3つ。
「ラストデイズ」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.03.08
「ウォーターズ」☆
「ルート225」☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
アカデミー賞が発表になりました。 主演女優賞はこのコラムでも紹介した
「ウォーク・ザ・ライン」のリーズ・ウィザースプーンでしたね。
「キューティ・ブロンド」のイメージがかなり強い彼女ですが、
一部報道によれば次回作のギャラが34億だとか!すごっ。
ジョージ・クルーニーは本人期待の監督賞ではなく、助演男優賞での初オスカー。
「シリアナ」での受賞でした。でもこの「シリアナ」、
先週紹介したばかりですが、かなり面白かったです。
気になる映画はどうぞあなた自身の目で!今週は邦画を2本です。

「ウォーターズ」は、素人のイケメン男子7人が
ホストクラブを作ってひとヤマ当てようと奮闘するお話。
リョウヘイは大道芸で世界を回りたいという夢を持っています。そのためにはお金が必要なんですね。
美奈子はひとりのファンとしてその姿を温かく見守っていました。
彼女はひと足早く自身の夢をかなえ、仲間と共にブライダルの会社を成功させてます。
ところが、仕事終わりにホストクラブで湯水の如く金を使う会社の仲間たちに、
美奈子は疑問を抱いていました。だまし、だまされ、まただまされて。
愛や夢をお金で買うのがホストの世界。でも生きていくのにすら不器用な彼らには情がありました。
友情、愛情、人情。
いっつもムードメーカーとしてみんなを元気づけてくれていた店舗オーナーの娘チカが重い心臓病で、
手術にはかなりの費用が掛かるとのこと。それを稼げるのは自分たちしかいないと。
頑張れば頑張るほど空回りする7人。
お店に客として来店した美奈子たちに“三流ホスト”とバカにされながらも、
彼女たちと、プライドとお金を賭けた接客勝負に挑むのです…。
娯楽作品だって割り切ればいいんだろうけど、ちょっとリアリティが無さ過ぎかなぁ(苦笑)。
別に映画で水商売の厳しさを語る必要はないとはいえ、ちょっとね。
話もどんでん返しは用意されているんだけど、うーん…。ごめんなさい。
あくまで個人的な感想ですから。☆1つ。
「ウォーターズ」公式サイト

「ルート225」も、なんだか釈然としなかったなぁ。ある意味釈然としなくて当然。
だってパラレルワールドの話ですから。
なかなか帰宅しない弟ダイゴを迎えにいくエリ子。
いつもの公園のブランコで揺られていたダイゴを見つけ、家に連れ帰ろうとするんですが、
角を曲がってビックリ!自宅のあった場所がなんと海になっているではありませんか。
探してみても自分の家の住所が存在しない。いつから?何がきっかけで?
とにかくふたりはもうひとつの世界へ紛れこんでしまったのです。
やっと見つけた自分の家。ところがそこに両親の姿はありませんでした。
それどころか、死んだはずの友人と会ったり、起こるのは不思議なことばかり。
ふたりが気付いた唯一の“向こうの世界”とのつながり。
それはダイゴの持つ、巨人の高橋由伸選手のテレフォンカードでした。
公衆電話から聞こえる大好きなお母さんの声。しかし残りの度数はあとわずか。
果たしてふたりは元の世界に戻れるのでしょうか…。
好みの問題かも知れないけど、よくわからないのがよくわからなくてね(笑)。
主役のふたりはすごく頑張ってるんだけど、作品自体がこの映画で何を言いたかったのかなぁって、
いくら考えてもボクの悪い頭ではわからないのです。
わからなくていいんだよって制作者にツルッと言われそう(笑)。
でもね、当たり前のように一緒にいた大切な人が突然いなくなってしまうつらさなら
今のボクにもわかるんだけどなぁ(苦笑)。
結論が言えないのがもどかしいけど、最後はなんでそんなに割り切れるの?って聞きたくなっちゃいます。
ちょっと“?”が多過ぎて☆2つ。
「ルート225」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.03.03
「シリアナ」☆☆☆☆
「ナルニア国物語・第1章ライオンと魔女」☆☆☆
「プリティ・ヘレン」☆☆☆
「リトル・ランナー」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)

「ナルニア国物語」は先週先行ロードショー。もう見たという人、いるかも知れませんね。
では今週も50音順で!

「シリアナ」はアメリカと中東の、石油の利権を巡る策謀の物語。
王位継承間近の中東の某国。アメリカ依存から脱却しようとする王子(長男)と
親米派の王子(次男)がいて、当然アメリカは次男に王位に着いて欲しい訳です。
2人に関わる様々な立場の人間たち。それぞれの思いが交錯する中で、
結末は思いもよらない方向へと進んで行くのです…。
思いもよらない、そう言ったもののアメリカならやりかねないのかなとも。
この映画のキャッチフレーズは“地球は陰謀でできている”。
そこまでやるかアメリカって感じです。面白かったですよ。
ちょっぴり入り組んだ人間関係です。劇場に行ったら、まずパンフレットを買って、
事前に少し知識を入れておくことをおすすめします。
ちなみに「シリアナ」とは、アメリカのシンクタンクが掲げる中東再建の仮説だそう。
☆4つ。
「シリアナ」公式サイト

「ナルニア国物語・第1章ライオンと魔女」はC・S・ルイスのファンタジー小説の映画化です。
映像技術こそ最先端ですが、物語は実にファンタジーらしいファンタジー。
疎開先のお屋敷の、大きなタンスの奥がナルニア国とつながっていて、
そこには正義と悪がある。4人の兄弟姉妹がそれに巻き込まれ、
力を合わせて悪に立ち向かうストーリー…。
C・S・ルイスは1898年から1963年まで65年の生涯を生きたイギリスの作家。
アイルランドに生まれ、幼少期には乳母からアイルランドの伝説や妖精物語を聞いて育ったといいます。
実際自分が考えた物語を兄にタンスの中で話して聞かせたそうで、
タンスの奥が別世界への入口になっていたという発想は、
自身の少年期にインスパイアされているのでしょう。
全7巻ですから続編は続々?第1章は見逃さないように。☆3つ。
「ナルニア国物語・第1章ライオンと魔女」公式サイト

「プリティ・ヘレン」は「プリティ・ウーマン」、
「プリティ・ブライド」などのゲイリー・マーシャル監督作品。
バリバリのキャリアウーマンとしてNYで活躍するヘレン。
3人姉妹の一番下で、自由に生きてきました。
ところが突然一番上の姉夫婦が事故で他界。
残された3人の子供たちの母親になるんですね。その奮闘記…。
いざという時のために遺言を残していたお姉さん。
真ん中の姉はすでに子育てもしていて、しっかりした母親なのに、
なぜこんな自由奔放なヘレンに子供を託したのか理解できずにいます。
その謎は最後にきちんと明かされるんですけどね。
現実問題その道は選ばないだろうって、
ちょっぴり無理があるかなぁというストーリー設定ですが、
離婚やシングルマザー、シングルファーザーが当たり前になりつつある時代。
「そうそう、子供ってホントに大変なのよねー」って話が弾むのかも知れません(笑)。
☆3つ。
「プリティ・ヘレン」公式サイト

「リトル・ランナー」は病気で昏睡状態に陥った母のために
奇跡を起こそうとボストン・マラソンを走る14歳の少年の物語。
彼は医者に告げられるんですね。
「奇跡でも起こらない限り、お母さんは目覚めない」。
ならば起こそうじゃないかと、
最年少ランナーとしてボストン・マラソンでの優勝目指して頑張り始めるのです。
果たして奇跡は起こるのでしょうか…。
無理があると言えばこちらもかなりの無理があるのだけれど(笑)。
それでも根底にあるのが家族愛だから許せちゃうかな。
先の「プリティ・ヘレン」もジャンルこそ違えど同じことが言えるのかも。
カトリックの学校に通うラルフ少年。少々キリスト教の色はありますが、
ピュアな眼で見てみたら☆はもっと増えるかも?
んっ、ボクの心眼は曇ってるってことでしょうか(笑)。☆3つ。
「リトル・ランナー」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.02.22
「ダイヤモンド・イン・パラダイス」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)
「歓びを歌にのせて」の評判がいいみたいですね。
飲みの席などで「最近見た映画じゃ何がオススメ?」と
聞かれると迷わず☆5つ付けたこの作品の名前を挙げるんだけど、
「見ました。感動しました!」という感想と共に、かなりの混み具合を教えてもらいます。
もともとそう大きな会場ではないけれど、次回上映の列ができてるほどだとか。
見に行く人は時間に余裕を持って向かって下さいね。さ、今週は1本です。

「ダイヤモンド・イン・パラダイス」はスタイリッシュな泥棒映画。
007シリーズの5代目ジェームズ・ボンドとしても知られるピアース・ブロスナンの主演作です。
ハイテク小道具、完璧なアリバイ作成など盗みにおいては超のつく天才と言えるマックス。
コンビを組む恋人のローラと共に、これまでいくつもの“仕事”を成功させてきました。
彼らのターゲットは「ナポレオン・ダイヤモンド」。
世界に3つあると言われるこの財宝のうち、2つを盗み出すことに成功します。
もう泥棒稼業を引退して、二人でこれからの人生を楽しみたいとマックスに伝えるローラ。
二人はバハマに浮かぶ島、パラダイス・アイランドでバカンスを楽しんでいました。
ところが、残るひとつのダイヤを展示している豪華客船が、この島の港に停泊するんですね。
天才泥棒としての血が騒ぐマックス。もし盗みに行くなら別れると告げるローラ。
もちろんFBIの執念の捜査官も張っているし、地元のギャングもダイヤに目を付けています。
そんな中、マックスの下した決断は…?
碧い海、青い空、白い砂浜、豪華客船。美男美女がスマートに盗みを働くという映画らしい映画。
切羽詰まった感がまったくないのが小憎らしいぐらい(笑)。
でも逆に言えばこれくらいの余裕がないといい“仕事”はできないのかも。
追い詰められてすることにロクなことがないのはボクら凡人でも知ってますから(笑)。
娯楽作品として素直に楽しむ1本。 まっとうな?仕事が忙しくて海外旅行も行けないよって人、
映像だけでもバカンス気分で。☆3つ。
「ダイヤモンド・イン・パラダイス」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.02.15
「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」☆☆☆
「ガラスの使徒(つかい)」☆☆

最近打ち合わせが多く入り、平日の昼間もなかなか時間が空かない状況。
結局見られなかった作品は気になって気になって(笑)。
前評判に関係なくいい作品がたくさんあるのを知ってるだけにねっ。
できるだけ試写には足を運びたいとなんとかやりくりをしていくつもりです。
今週も2本。早速紹介していきましょう。

「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」は最近多くなった伝記映画。
50年代の人気ロカビリーシンガー、ジョニー・キャッシュの物語。
アーカンソン州の貧しい家庭に生まれ育ったジョニーは、
父の暴力、大好きだった兄の事故死など、決して幸せとは言えない少年時代を過ごします。
大人なると軍隊に入隊、除隊後結婚。仕事は苦手な飛び込みのセールスで、
成功とはほど遠い生活。そんな彼を昔からいつも支えていたのは大好きな音楽でした。
ある日、町でレコーディングスタジオを見つけ、仲間とオーディションを受けたところ合格。
プロのバンドとしてデビューすることになります。
ロカビリーのブームにも乗ってどんどん売れっ子になっていくジョニーたち。
しかしそこには落とし穴がありました。ドラッグです。
忙しくなればなるほどクスリに依存するジョニー。
このままでは歌手生命どころか、自身の命も危ぶまれます。
果たして彼は立ち直れるのでしょうか…。
妻のヴィヴィアンが音楽に理解がない。さらにジョニーがドラッグでボロボロになる。
妻がそっぽを向く一方で、いつも気に掛けてくれた女性がいました。
ツアーを一緒に回っていた女性シンガーのジューンです。
小さい頃から歌ってきたジューンは、ジョニーにとっては憧れの人。
二人には共通の喜びがあります。そう、音楽です。 ジューンも波乱万丈の人生で、
離婚を経験するなど彼女もまた決して幸せとは言えない半生だったんですね。
そんな二人ですから接近しないはずがない。でもジューンはかたくなにジョニーを拒むんです。
信念の女性というのかな。
でもね、ジューンは母の一言でジョニーを支えることを決意するのですよ。
すごく思ったな、肝の座ったお母さんだなって。
この映画で一番すごいのはジューンのお母さんかも。
そしてジューンにはこの血が流れてるんです。
やっぱり男には女が必要なんだってこと。転がされてようが、尻に敷かれてようが。
この映画見て、また早くいい人見つけないとなって思いました(笑)。
でも今の時代にいるかなぁ。こんなに我慢の効く女性。
いたら紹介して下さい(笑)。☆3つ。
「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」公式サイト

「ガラスの使徒」は唐十郎の主演、脚本作品。
伝説のレンズ職人がさまざまな苦難を乗り越えて、究極のレンズを磨き上げていくというお話。
なんだか舞台をそのままスクリーンに映したようで、唐さんの演技がちょっぴり大仰なんですね。
善し悪しじゃなくて、完全に好みの問題になってくるかと思います。
中島みゆきが歌占い師の役で出演しているなどキャストも豪華。
ただし舞台は舞台で見たいかな。個人的にはそのあたりがピンときませんでした。
でもこういう映画での描き方、作り方もあるんだってこと。
できれば自分の目で確かめてみて欲しいです。☆2つ。
「ガラスの使徒」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.02.08
「ジャーヘッド」☆☆☆☆
「PROMISE」☆☆☆

1月は15本の試写に足を運びました。
今週は今年に入ってから見た2本。早速50音順に紹介しましょう。

「ジャーヘッド」は湾岸戦争に出征した兵士の物語。
自ら海軍海兵隊に志願した若者の、戦地における精神と肉体の葛藤を描いた作品です。
選択肢として大学進学もあったスオフォードでしたが、祖父も父も海兵隊員。
自分も一人前の男になるんだと18歳で迷わず海兵隊に志願します。
過酷な訓練を乗り越え、彼に与えられた任務は狙撃兵。一発の銃弾に魂を込める役割です。
そしていよいよ戦地に向かう日が来ました。そこはサウジアラビアの油田地帯。
打倒フセインに息を荒げる兵士たちでしたが、
実際には油田警備が主な仕事の、長い長い“待ち”の日々。
そんな中、それぞれの兵士に故郷からさまざまな物が送られてきます。
母からの手紙、子供が生まれたとのうれしい知らせ、ポルノ雑誌…。
スオフォードのもとに届いたのは「男友達ができた」という恋人からの手紙でした。
砂漠に来て175日目、遂に国境に進撃する時がきました。
イラク軍が油田に火を放ち、空は昼でも真っ暗。地には油の雨が降り注ぎます。
数多くの無惨な死体が転がる中、スオフォードに命令が下るのです。
射程距離820mの敵管制塔の中に敵軍将校がいる、これを射殺せよと。
スオフォードは身震いします。ようやくこの時が来た。
これで自分が兵士としてやってきた証しを残せると。
ターゲットをしっかと捉え、あとは引き金を引くだけといったその時…。
この続きは映画館で(笑)
海兵隊員は規則でお湯を入れるジャーのように髪を高く刈り上げることになっています。
“ジャーヘッド”とはその髪型からきた、海兵隊員の総称なんですね。
ここでは簡単に「砂漠に来て175日目」としましたが、
その間、実にさまざまなことが起こります。
それもいつ始まるのか、またいつ終わるのかもわからない戦争の緊張の中、
娯楽も何もない砂漠での毎日です。だんだん精神も痛めつけられ、自分がなぜここにいるのか、
なんのために志願したのか、本当にこれで良かったのかと自問自答の毎日が続きます。
そのひとつの答えになるのが、彼にとっては引き金を引くことだったんですけどね…。
これは実際に湾岸戦争に出兵した兵士の手記が原作。
アンソニー・スオフォードは実在の人物なのです。戦争はやはり狂気。
でも確かに今も中東にはこうして兵士は派遣されているのです。
戦闘地域じゃないとは言うけど、日本の自衛隊も、ね。☆4つ。
「ジャーヘッド」公式サイト

「PROMISE」は日本、韓国、香港の豪華スターの競演作。
まだ神と人がコミュニケーションを取れていた時代の、
アジアのどこかが舞台という壮大なラブアクションです。
主な登場人物を紹介しましょう。
まずは無敵の大将軍、光明。伝説の花甲冑を着ることを許された唯一の武将。
日本の真田広之が演じます。
誇り高き雪国人だったものの、奴隷に身を落とした昆崙。
天から最も速い足を与えられます。扮するは韓国のチャン・ドンゴン。
天涯孤独ながらその美しさで王妃にまで上りつめた傾城。
この役には香港の人気女優セシリア・チャンが。
光明の2番手を脱し、傾城の愛も独占しようと野心たっぷりの無歓。
この男にはニコラス・チェーが扮します。
で、それぞれがあるものと引き換えに、神と“プロミス”、約束を交わすんですね。
例えば、真実の愛などいらないけれど地位と権力が欲しいとか。
それが壮大なスケールの戦いの渦の中で因果応報、結び着いていくのです…。
同じ総天然色系?の「HERO」とか「LOVERS」などに比べたら
ストーリーはちゃんとあったかなって感じ。
ただし、見たあとは実写というよりアニメを見た感覚が残ります(笑)。
感心したのは真田広之の中国語。ネイティブな人たちにどう聞こえてるかはわからないけど、
さすがプロだなって素直に思いました。
一連のこのシリーズが好きな人には楽しめると思いますョ。☆3つ。
「PROMISE」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.02.02
「小さな恋のステップ」☆☆☆
「僕が9歳だったころ」☆☆☆
「ミュンヘン」☆☆☆

今週行った試写での出来事。一番いいところで携帯の着メロが。
あちこちから「ちっ」と舌打ちが聞こえました。
マナーを守らないと、作品も感動も台無しになっちゃう。
それは映画に失礼だよなぁと改めて感じました。みなさん、気をつけましょうね。
さて今週も50音順で!

「小さな恋のステップ」は韓国映画。
彼女にフラれるは、医者には余命3ケ月の宣告を受けるはと、
それはそれは散々な毎日のチソン。彼はプロ野球選手です。2軍だけど。
彼の家からわすが“39歩”のところに住んでいるのがイヨン。
彼女はチソンの大ファン。初めて会った10年前からずっと思いを募らせてきたのに、
名前どころか顔すら覚えてもらえません。
そんな2人が、ひょんなことから大接近!
自暴自棄になっていたチソンはイヨンの働いているBARでベロベロに酔い潰れてしまいます。
ホテルに連れて行き、介護するイヨン。
でもチソンが目覚めるとイヨンはさっさと帰ってしまいます。
互いの家は39歩と近距離なのに、2人の間はあまりにも遠距離。
これがきっかけになって、2人の仲は進展するのでしょうか…。
ただの知り合いから恋人へ。
だんだんにステップアップしていく男女の間を描いたラブコメディ。
それも単なるコメディじゃなく笑いもシュール、との謳い文句なんだけど、
うーんそこまで特別なひねりは感じなかったかなぁ。
ま、素直に楽しめばいい作品じゃないかと思います。
個人的には一途な女性は好きですョ。もちろんピタッと合うところがないとダメだけど。
重いっていう人もいるけど、イヨンなんて思い続けて10年。
かわいいし、男冥利に尽きるってなもんじゃないですか。
今のボクにはちょっとうらやましい(笑)。☆3つ。
「小さな恋のステップ」公式サイト

「僕が9歳だったころ」も韓国映画。70年代の田舎の子供たちが主人公です。
ヨミンは貧しくも、上級生も一目置くしっかりとした男の子。
彼にはギジョンという男友達と、グムボクという女友達がいました。
ある日、ソウルからひとりの女の子、ウリムが転校してきます。
さすがに都会の女の子。洗練された容姿にヨミンもドキドキ。
このウリムの登場でクラスの雰囲気も一変してしまいます。
でも実はウリムにも人に言えない秘密があったんですね…。
日本でも「三丁目の夕日」がヒットしたように、
きっと韓国でも古き良き時代へのノスタルジックな思いがあるのでしょう。
儒教の国だから、親や先生を敬う気持ちが大きく、子供の礼儀もしっかりしてます。
今もそうなのでしょうか?
驚いたのは叱る時、先生が生徒を思いっ切り叩くんですが、
あんなの今の日本じゃ間違いなく体罰。でもボクも教師には思いっ切り叩かれましたよ。
それでもうちの親は「もっとビシビシ叱って下さい」と(笑)。
時代というより、先生という存在に尊厳と信頼があったんだと思います。
ボクも殴られるのは自分が悪いことをしたからだって自覚がありましたから。
だから“怖い”というのはあっても“憎い”というのはまったく無かったなぁ。ホント。
ま、こうやって恥ずかしい思いをしたり、悔しい思いをしたり、
逆に優しさやうれしさを感じたりしながら大人になってきたんだなと、
国民性こそ微妙に違えど、共通する懐かしさを感じると思いますよ。
ヨミンは芯の強い頑張り屋さん。親思いの優しい子です。
今どんな大人になってるんだろうなぁ。
ふいに同窓会がやりたくなるような1本かも(笑)。☆3つ。
「僕が9歳だったころ」

「ミュンヘン」はスピルバーグ監督の長編作品。
1972年、ドイツで行われたミュンヘンオリンピック。
平和の祭典が血塗られた悲劇の現場に変わってしまいました。
イスラエル選手団がパレスチナゲリラの襲撃に合い、11名の命が奪われたのです。
人種的、宗教的立場から反目しあう両者。
イスラエルが国として取った方針は“報復”でした。
この映画は日本で言えば国中がTVに釘付けになった
「浅間山荘事件」のような惨劇の進行形ではなく、
描かれているのはその後の復讐劇なんです。
暗殺グループのリーダーには、イスラエルの秘密諜報機関“モサド”のメンバー、
アヴナーが選ばれます。
彼には妻がいて、彼女のお腹の中にはもうすぐ生まれる初めての子供もいたのです。
それでも愛国心の強い彼は任務に向かいます。
与えられたのは潤沢な資金と4人のさまざまなスペシャリストたち。
ところが、ひとり、またひとりと暗殺が進むにつれ、
今度は逆に自分たちが狙われる身になっていることに気付くのです。
安息の時はどこに?血で血を洗う報復の連鎖に終わりは無いんだというのを思い知らされます。
そして、アヴナーも自分の“正義”に疑問を抱き始めるのです…。
紛争地域の人たちに武器を与えたのは実は先進国で、国も貧しく、
娯楽もないとなったらその武器を使うことに気持ちがいくのは当たり前だという声もあります。
だってそれしかないんだから。
この映画は実際テロにあった先進国アメリカと、
平和ボケしたボクら日本人とで感じ方が違うんじゃないかなぁと。
スピルバーグは「政治的、軍事的視点からのみ語られることが多いこの事件を、
兵士の視点から眺めることで人間的側面を加えることができる。
その姿を見ることで、何か学ぶことがあるはずだ」といったコメントを出しています。
少し重めの作品ですが、きな臭さが他人事ではなくなっている現在、
ボクらも真面目に考えてみるべきことなのかも知れません。☆3つ。
「ミュンヘン」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.01.25
「悪魔の棲む家」☆☆☆
「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」☆☆
「白バラの祈り」☆☆☆☆
「スキージャンプ・ペア」☆☆☆
「ピーナッツ」☆☆☆☆
「フライトプラン」☆☆☆
「RIZE」☆☆☆

今週は7本。さまざまなジャンルの映画が揃いました。
どうぞ気になった作品は劇場で。それでは50音順に!

「悪魔の棲む家」はドキュメンタリーホラー。
1974年11月13日、ニューヨーク州ロングアイランドのある家で、 そこに住む男性が、
寝ている両親や幼い兄弟など家族全員をライフルで射殺するという事件が起きました。
その動機が“殺せ”とささやく家の声だと言うのです。
事件後、この家に住んむことを決めた別の一家がいました。
不思議な体験をする家族たち。今度は夫がその不気味な声を聞き、豹変していくのです。
何かおかしいと恐怖に震える妻と子供たち。
再びの惨劇は起きてしまうのでしょうか…。
小説になり、79年に一度映画にもなり大ヒットした作品のリメイクです。
さらに事実を折り込んでストーリーを膨らませたとか。
事件があった家にも関わらず一家がここに住もうと決めたのは破格の安さだったから。
耐震偽装のマンションじゃないけど、今も昔も良過ぎる話には裏があるということでしょうか。
実話に基づいての作品ということで、ストーリーはなかなかよく練られてましたョ。☆3つ。
「悪魔の棲む家」公式サイト

「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」は浅野忠信、宮崎あおい主演作。
2015年、正体不明のウィルスによって世界中に多くの死者が出ます。
病名、レミング病。感染すると突然自ら命を絶ってしまうという病気です。
ミズイの恋人もこのウィルスに感染し、ミズイの目の前で自殺をしてしまいました。
実はミズイらが奏でる音楽を聴くこと、それが発病を抑える唯一の方法だったのです。
大切な人を守ってやれなかったことで、空虚な日々を送るミズイでしたが、
ある日彼の前にひとりの少女が現れます。
そして彼女もまたウィルスに感染していたのです…。
正直ちょっと無理のあるストーリー(笑)。 でもタンパク質が生成されるにあたっては、
76オクターブも上の人間に聞こえない音を出しているそうで、
それを可聴音に直して譜面に起こすとヴィバルディの「四季」に似た音符の並びになるとか。
音楽で病気が治るというのもあながち夢物語ではないようで。
とはいえ理屈じゃなく感覚で見る映画って感じ。
タイトルからしてそうですもんね(笑)。ボクにはあまりピンときませんでした。
あくまで個人的感想ですけどね。☆2つ。
「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」公式サイト

「白バラの祈り」はナチス政権に立ち向かって若い命を散らした実在の女性の物語。
第2次世界大戦のさなか、ヒトラー政権のやり方に不満や疑問を抱いていた大学生がいました。
彼らは自由への思いを印刷したビラを大学でばらまくんですが、
政府筋の人間に見つかってしまうんですね。大逆罪での逮捕。
その中に21歳の女性、ゾフィーがいました。厳しい尋問を受けるゾフィー。
そして裁判、判決は死刑。逮捕からわずか5日での死刑執行。
「太陽はまだ輝いている」
そう最期の言葉を残し、彼女は自らの思いと行動に誇りを持って散っていったのです…。
ミュンヘン大学の反ナチ活動グループの名称が“白バラ”。
紅一点のゾフィーは兄と共に活動をしていました。
逮捕後の尋問の厳しさ、きつさは想像を絶するもので、
保身どころか仲間をも決して売らない彼女の燐とした姿勢には心打たれるものがあります。
正義とは何か。裁判で裁判長に言い放つゾフィーの言葉は鳥肌ものです。☆4つ。
「白バラの祈り」公式サイト

「スキージャンプ・ペア」はトリノ五輪を控えた今だからこそタイムリーな1本かな。
「スキーのジャンプ競技をペアで飛べないだろうか」
そう考えた北海道工科大学の原田教授は、理論的にもそれが可能と結論を出し、
試行錯誤の末、双子のジャンパーを起用して見事成功させるんですね。
その後、競技会もどんどんと規模を大きくし、世界からさまざまな技を持った選手が参戦。
これならと、オリンピックの正式種目への承認を得ようと尽力する物語です。
これ、ギャグですから。「へぇー、ペアのジャンプがあるなんて知らなかった」
と試写に臨んだボクは暗がりの中、恥ずかしくってひとり顔を赤くしておりました(笑)。
☆3つ。
「スキージャンプ・ペア」公式サイト

「ピーナッツ」は大穴!ウッチャンナンチャンの内村光良監督作品。
TIM、さまーず、ふかわりょうらが共演のスポーツ青春物語です。
地元の商店街に久々に帰ってきた秋吉。
10年前には草野球甲州最強チームだった“ピーナッツ”の伝説のサードです。
街も今ではすっかり閑散としてしまい、草野球チームも解散。
聞けば再開発で野球場まで無くなってしまうという話。
秋吉は昔のメンバーに声を掛け、もう一度野球をやろうと誘います。
しかし歳月は流れていました。それぞれにそれぞれの生活があったのです。
10年前の優勝を題材にしたエッセーで、
執筆家として成功していたはずの秋吉が戻ってきたのにも実は訳がありました。
メンバーも足りず、形だけでスタートした新生ピーナッツ。
ところが商店街会長でもある監督が、
再開発の建設会社と球場の存廃を賭けて野球の試合を申し込んじゃったからさぁ大変!
相手は社会人の強豪チーム。どうなるピーナッツ!
ベタベタの青春もので、何の奇もてらってないから予想以上に面白かったし感動もしました。
プライドを持ってバカをやるお笑いの人たち。
そこがさびれた商店街の人々の心の裏表みたいなのを表現するにピッタリだったんじゃないかなって。
にじみ出てるって言った方が合ってるかな。
人間臭いいい映画でしたョ。泣けるしね。☆4つ。
「ピーナッツ」公式サイト

「フライトプラン」はジョディ・フォスターの話題作。
夫の突然の事故死で暮らしていたベルリンから帰国の途につくカイル。
彼女は航空機設計士、夫との間に6歳になるひとり娘のジュリアがいました。
まだ夫の死を受け入れられず、彼の幻影を見るカイル。
でも娘のためにと気丈に生きていこうと決意してベルリン空港から飛行機に乗り込んだのですが、
離陸後うとうとしてふと目を覚ますと横にいたはずのジュリアがいない。
あちこち探し回るんですが、どこにもいない。
さらにジュリアの荷物も搭乗券も消えていて、乗客名簿に彼女の名前が無いと言われます。
「そんなはずはない」カイルは訴え、自分が設計した機内をくまなく探すんですが、
やはり見つからないんです。そんな時、搭乗員から衝撃的なひと言を告げられます。
「残念ですが、お嬢さんは6日前に亡くなられています」
そんな馬鹿な。だって手を引いて飛行機に乗せ、さっきまで隣りにいたのに。
果たしてこれもカイルの幻想なのか、それとも…。
何が本当なのか、まずはその真実探しから始まります。
そして途中で真実が明かされるとそこからまたひとヤマあるという、
ひと粒で2度おいしい1本。ひとつ言えるのは、母の愛は強しということでしょうか。
中で人種問題などにもちらっと触れるシーンがあるけど、あれは必要だったのかなぁと。
見たらその辺どう感じたか教えて下さいねっ。☆3つ。
「フライトプラン」公式サイト

「RIZE」は映像も鮮やかなダンスもの。
マライア・キャリーやクリスティーナ・アギレラなどのアルバムジャケットやPVを手掛けてきた、
ファッションフォトグラファーのデヴィット・ラシャペル監督作品。
彼のアートは強烈な個性ですから、見れば「ああ、あの…」とすぐわかるはず。
LAのサウスセントラル。生きていこうと思ったら、
ギャングになるか踊るかしかないという貧しい環境の中で、
生きる意味をダンスに見出だす若者たちの実話です。
ピエロの格好で人々を楽しませるカリスマダンサーのトミー・ザ・クラウン。
彼の率いるチーム、CLOWNS。 一方、トミーの元を離れ、
より過激なダンスを追及するメンバーで作られたKRUMPERS。
この2つのダンスチームが街を挙げてのダンスバトルを行うんですが、
その対決がこの映画のメインとなっています。
もちろん彼らの生活のエピソードも描かれているんですが、
この手の作品はその先まで考えちゃうとせつなくなっちゃう。
つまりバトルで勝ったところで貧しさから抜け出せる訳じゃないんですから。
終われば貧困という現実とまた対峙しなくちゃいけない。
でも、踊っているその瞬間瞬間に生きる素晴らしさを感じている彼らを見ていると、
その方がボクらより輝いてるんじゃないかなぁと思ってもしまいます。
『早送りはしてません』という注釈付きの驚異のダンス。ご堪能あれ。☆3つ。
「RIZE」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.01.18
「あおげば尊し」☆☆☆
「天使」☆☆☆
「博士の愛した数式」☆☆☆

年が明けて年末に足を運べなかった試写を次々見に行ってます。
本当に自分の心の在り方で響き方が違うなぁと。
見る位置が変わってくるんでしょうね。映画っていいですよ。
前評判だけに惑わされずにたくさん見て下さいね。
では今週も50音順で。

「あおげば尊し」は、テリー伊藤の主演作。彼が扮するのは小学校教師の光一。
光一には末期ガンの父がいます。
最期を看取るために病院から自宅に父を戻し、母と妻と共に介護をする毎日。
そんな時、自分の生徒にいたずらに死体に興味を抱く男子がいたんですね。
そのことがクラスの問題となります。
光一は課外授業として、その子も含め、命とは何か、
病床の父の介護を生徒に体験させるんですね。
その行動には家族からも批判が出ます。
同じ教師だった父はもの言えぬ病の床で何を思うのか。
感動のラストシーンですべてが明らかになります。
生き様と死に様。40代半ばになると自然と考えるテーマでもあります。
自分が思ってるほど人は自分のことを思ってくれてはいないかも知れないけど、
気付かないところで自分が思ってる以上に自分のことを思ってくれてる人もいるんだってこと。
そう信じて生きていたいし、だからこそ頑張れるのかなって気がします。
惜しいのはテリーさんが役者じゃないから活舌と発声が悪いんですよね(笑)。
大切なセリフが聞き取りづらかったのがちょっと、かな。☆3つ。
「あおげば尊し」公式サイト

「天使」は、桜沢エリカのコミックの映画化。
深キョン演じるジンライム好きの天使が、いろんな人の人生に勇気を与えて行くという作品。
いじめにあってる高校生や、コンビニでバイトする男の子なんかも出てくるけど、
原作のターゲットは30代前半の女性?だとすると、
永瀬正敏扮する子持ちのシングルファーザーと、
彼とその娘の間で揺れる永作博美扮するOLさんの話が一番核になるのかも。
予想以上にCGでキラキラしちゃってるからちょっぴり幼い感じがどうでしょう。
逆に言えば中学生とかにも楽しめる作風になったかも。☆3つ。
「天使」公式サイト

「博士の愛した数式」は事故で記憶が80分しか持たなくなってしまった数学博士と、
シングルマザーでもある家政婦、杏子の物語。
やはりお世話が大変と、家政婦さんが耐えられずに次々辞めて行ってしまうんですが、
杏子は博士の温かい人柄に魅かれていくんですね。
博士の背広には数多くのメモがクリップでとめられています。
忘れちゃいけないことを書き留めてあるんです。
杏子には10歳になる息子がいます。博士は彼に√(ルート)というニックネームを付けます。
「ルートはすごいんだぞ。どんな嫌な数字も自分の中に入れてかくまってやるんだ」
そんな話をしてくれる博士の存在は杏子母子にとってかけがえのない存在になっていたのですが…。
どことなく懐かしい風景と懐かしい人間関係。
もちろん順風満帆には事は進みませんが、全体にあったかい空気が流れる1本です。
タイムマシンのお話じゃないけれど、あまり物理的矛盾を考えるのは野暮ってなもんで。
80分経って忘れちゃうなら、
メモを体に付けてること自体意味を忘れちゃうだろうなんて言っちゃいけません(笑)。
忘れたいことが山ほどあるのに忘れられないんだよなぁなんて嘆いてもいけません。
人は相手のどこを見るかで相手への評価が変わるのです。
できるだけいいところを見つけられる人間でありたいなと思うけど、簡単なようで難しい。
登場人物たちのような素直な心の持ち主がこの映画に感動するのかも?
試してみてはいかがです?☆3つ。
「博士の愛した数式」公式サイト
 
 


 
 
 週末公開の映画……2006.01.14
「カミュなんて知らない」☆☆☆☆
「スタンドアップ」☆☆☆☆
「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」☆☆☆☆
「銀色の髪のアギト」☆☆☆

(満点は☆☆☆☆☆)
今年も時間の許す限り試写には足を運んで、
自分の中の映画の物差しに目盛りを打ち込んでいきたいと思います。
いつも言うようにボクは映画評論家ではないので、ここに書くことはあくまで主観です。
でもどこかに興味を持ったり、逆に違うだろって思ったりしたら、
どうぞ劇場へ行って自分の目で確かめてみて下さい。
そして感じてみて下さい。
ちなみに「銀色の髪のアギト」だけは1月7日公開です。
では今週末の公開作品から。

「カミュなんて知らない」は、
ある大学の映画サークルにおける人間関係を中心に描いた青春映画で、
ストーカーまがいの恋愛だったり、略奪愛だったり、
教授と学生の恋だったりが描かれてるのかなと思いきや、衝撃のラストシーンが!
途中、劇中劇みたいな形で話が進みます。
それも大学の演劇だから題材が理屈っぽくて
ちょっと中だるみな感は否めなかったんですが、最後眠い目が一気に醒めました。
あ、これが言いたかったのかと早合点しないで、
最後の最後までじっくりスクリーンを見つめていて下さい。
カンヌで話題になったのも納得です!☆4つ。
「カミュなんて知らない」公式サイト

「スタンドアップ」はシャーリーズ・セロン主演の、
実話に基づく戦う女性の物語。
いわゆる“セクハラ”を裁判で初めて勝ち取った女性たちの話です。
夫のDVに耐え兼ね、二人の子供を連れて故郷の北ミネソタに戻ったジョージー。
しかしシングルマザーが子供を育てていくだけの収入を得るには普通の仕事では無理。
そこで彼女が選んだのが鉱山での労働でした。
そこは完全なる男社会。何人かの女性もいたのですが、
彼女たちは波風立たないよう、
男性からの嫌がらせや卑猥な中傷、猥褻行為に泣き寝入りの環境だったのです。
自分も耐えることしかできないのかと悩むジョージー。
しかし大切な家族との絆にまでひびが入るような出来事に発展しては黙っていられません。
なかなか立ち上がろうとしない女性たちを尻目に、
ジョージーの孤独で厳しい戦いが始まったのです…。
アメリカらしいといえばアメリカらしい作品です。
逆にこういうのを日本の若い女の子が見て、
女性の女性たる権利やあり方を再認識するといいなぁ。
そしたら、あの汚ったない男言葉での会話は止めようと思うかも、
なんてまったく違う方向への波及効果を期待しちゃったりもして。
無理だろうけど(苦笑)
シャーリーズ・セロンは「モンスター」同様、この手の実在した人物を演じさせるとすごい!
まるで本人が乗り移ったかのよう。
カップルで行くと男は肩身の狭い思いをしなくちゃならないかも知れません(笑)。
ここはよかったら女性同士でどうぞ。☆4つ。
「スタンドアップ」公式サイト

「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」は、
グゥイネス・パルトロウ、アンソニー・ホプキンス、
ジェイク・ギレンホールら豪華出演陣によるなかなか奥の深いお話でした。
天才数学者を父に持つキャサリン。
彼女もまた才能豊かな数学者なんですが、父が精神を病み、
この世を去ったことで生きる気力をなくしてしまっていたのです。
そんな彼女を支えようとするのが、父の元で学んでいたハルでした。
いつしか二人は恋に落ちます。
そしてキャサリンはハルに1冊のノートを渡すんですね。
そこに書かれていたのは、
いままで誰も解くことのできなかった定理のプルーフ(証明)だったのです…。
キャサリンには姉がいて、
姉はキャサリンも父と同じ病に侵されていると疑っているんですね。
ノートを見たハルが、「先生は狂ってなんかいなかったんだ」と言うと、
「いいえ、それは私が解いたの」と話すキャサリン。
でもそれを誰が信用してくれる?本当?それとも虚言?
濃密な謎解きをやっているようで、ぐっと腕組みをしながら見入っちゃいました。
根底には家族愛も描かれてて、さっきも言ったけど深い作品です。
ずっしり後味をも楽しみたいという人にオススメの1本。☆4つ。
「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」公式サイト

「銀色の髪のアギト」もいろいろと考えさせられたアニメです。
遺伝子操作で植物を自在に操ろうとした人間の愚かな計画が失敗し、
森が意思を持つようになってしまった300年後の地球。
森は時に人間を襲うようになっていました。
中立都市と呼ばれる町で暮らすアギトと、
300年前の眠りから目覚めた過去からきた少女トゥーラ。
二人を結びつけ、かつ翻弄する運命とは…。
自然と人間が共存することの大切さに一石を投じたSFアニメ。
個人的には遺伝子の組み換えって
人間にはアンタッチャブルな神の領域じゃないのかいって思ってるから、
品種改良とかいってもホントに“改良”なのかなって。
特に長いタームで考えた時に、
必ず巡り巡ってしっぺ返しが人間に来るような気がしてならないんだけどなぁ。
もうすでに鳥インフルエンザとかBSEなんてものが蔓延し始めちゃってるんだから。
まさにその象徴でしょ?ボクらは孫やひ孫の、
さらにその先まで考えないといけないんじゃないかなと思います。本当に。
☆3つ。
「銀色の髪のアギト」公式サイト