週末公開の映画……2019.4.20

『愛がなんだ』☆☆☆
『幸福なラザロ』☆☆☆
『ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今年のGWは最長で10連休。
その間は試写会もないので、試写の日程が結構タイトになりそう。
日に3本見ないと追いつかないなんてこともあるかも?
「そんなに休んでどうするの?」と、
カレンダーとは無縁の仕事のボクなんかは思ってしまいますが(笑)。
長期休暇のしわ寄せは、こんなところにもあるんですョ。
さ、今週は3本です!



『愛がなんだ』は、角田光代の人気小説の映画化。

テルコとマモルは、結婚式の2次会で、なんとなく知り合った男女。
それでも、いつしかテルコはマモルのことが大好きになっていて、
マモルが生活の真ん中に。
ところが、マモルはそうでもない。テルコは“都合のいい女”になっていたのです。
親友の葉子からは「そんな男、やめときな」と言われますが、
会えば優しいマモルを、テルコは切り離すことができませんでした。
身体の関係も持ち、マモルのことで仕事が身につかず、
会社をクビになってもマモルを思うテルコ。
ところが、久々に会ったマモルには好きな女性が出来たようで、
紹介されたのは、ヘビースモーカーで、奇抜なファッションに身を包んだ、
すみれという年上の女性でした…。

見ていて、正直イライラします(笑)。主な登場人物のすべてにイラッとしちゃう。
“俺様”なマモルに、痛いくらい尽くすテルコでしたが、
すみれに対するマモルの姿勢がテルコそのもので。
マモルがテルコを好きになれないのは、
テルコに自分自身を見ちゃってるからなのかもしれませんね。
親友の葉子にも、ナカハラというボーイフレンドがいて。
彼もまた尽くすんですよ、葉子に。
すみれはテルコを気に入り、マモルよりテルコを誘う。
するとテルコはマモルに会いたいから、
「すみれさんに誘われたから一緒に来ない?」とマモルに連絡する。
この歪んだ“愛情のベクトル”にイラッとするのかなぁ。
あ、ボクも意外と尽くすタイプだから、自分を見るようで嫌なのかも。
って、ここまで極端じゃありませんけどね(笑)。
それでも、ラストシーンで、きっと思うはずです。
「ここまで貫き通すなら、テルコさん、あなたの勝ちです」とね。☆3つ。
「愛がなんだ」公式サイト



『幸福なラザロ』は、イタリア映画。

深い渓谷で隔てられた、イタリアの小さな村、インヴィオラータ。
この村に暮らす人々は、外の世界をまったく知らず、伯爵夫人の小作人としてタバコの葉を作り、
監督官ニコラの指示に忠実に従っていました。
その村に、寡黙で真面目な、働き者のラザロという青年がいました。
何を頼まれてもノーと言わないラザロは、村人からいいように扱われていたのです。
ある日のこと、村に伯爵夫人と、息子のタンクレディがやってきます。
彼のことが気になって仕方ないニコラの娘、テレーザも一緒です。
暇を持て余したタンクレディは、ラザロを仲間に引っ張り込み、
自分の誘拐事件をでっち上げるんですね。
伯爵夫人は「またか」と鼻にもかけませんでしたが、
心配したテレーザが警察に通報したことで、この村の全容が外に知れてしまいます。
実は小作制度は何年も前に廃止され、伯爵夫人が違法な労働搾取をしていたのです。
村人は初めてそのことを知り、怒りと共に村を捨て、町へと出て行きます。
その頃、ラザロはというと、「俺たちは兄弟だ」というタンクレディの言葉を信じ、
毎日隠れ家まで食事を運んでいたのですが、
高熱が出た日も食事を届けようとして足を滑らせ、崖から転落してしまうんですね。
気を失ったラザロが目覚めた時、村はもぬけの殻だったのです…。

ちょっと長くなりました。
でも、話はここからまた展開します。次は町へ向かったラザロの物語。
昔の村の仲間と再会するんですが、それは劇場で見てみて下さい。
ラザロというのは、ヨハネ福音書に登場する人物で、
病気で死んだ4日後にキリストによって蘇った聖人。
崖から転落したラザロが目を覚ますのも、キリストの奇跡になぞらえてのよう。
真の善人というのは、自分が善い行いをしているという意識がないと。
劇中のラザロのように、愚直なまでに人を信じて生きていると。
大規模な労働搾取は、実際にイタリアで起きた事件だそうです。
宗教観も含め、自国イタリアでは見る人の心に響いた映画なのかもしれませんね。☆3つ。
「幸福なラザロ」公式サイト



『ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』は、ドキュメンタリー。

ナチスの総統、アドルフ・ヒトラー。
画家になる夢を持っていたというヒトラーは、1933年から45年にかけて、
ヨーロッパ各地から60万点にも上る芸術品を略奪します。
ユダヤ人富裕層の持つ古典美術や、
パリのルーヴル美術館からも次々と名品を奪い取っていったのです。
その目的は、故郷近くのリンツに、ルーヴル美術館に匹敵する“総統美術館”を作ること。
その一方で、ピカソやゴッホ、ゴーギャン、シャガールなどの作品は、
退廃芸術としてダメの烙印を押し、
さらしものとしての“退廃芸術展”を開いたところ、連日長蛇の列が。
ナチスが推奨した、純粋なアーリア人による写実的で古典主義的な作品を集めた
“大ドイツ芸術展”以上に人気がありました。
実は、国家元帥のヘルマン・ゲーリングも芸術品には目がなく、
略奪した芸術品をヒトラーと奪い合うほど。
いまだに10万点が行方不明と言われる、ナチスによって強奪された美術品の数々。
その全容に迫ったドキュメンタリー映画です。
ちなみに、返還の訴訟は今でもたくさん行われていますが、難航しているそうです。
きちんと元の持ち主に帰るといいけど。
劇中、著名な絵画がたくさん出てくるので、そちらについ目が奪われてしまい、
字幕を読むのを忘れてしまったほど(笑)。華やかで、ゴージャスな1本です。
だから逆に、奪われた側の哀しみも浮き彫りになるのかも。
ボクは、改めてもう一度見てみたいと思いました。☆4つ。
「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.4.13

『荒野にて』☆☆
『多十郎殉愛記』☆☆☆
『魂のゆくえ』☆☆☆☆
『芳華 Youth』☆☆☆☆
『マローボーン家の掟』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


3月はたくさん試写を見ました。その数、22本。
本業の映画評論家の方とは比べものにならない程度の数字ですが、ボクにしてはかなりの数です。
GWが10連休。ちょうどそのあたりでまた、たくさん紹介できればいいんですけどね。
さ、今週は5本です!



『荒野にて』は、居場所を探す少年と競走馬の物語。

15歳の少年、チャーリー。
母はチャーリーが幼い頃に家を出てしまい、今は父と二人暮らし。
職を転々とする父との生活は決して楽ではなく、チャーリーは近くの競馬場のアルバイトとして、
リーン・オン・ピートという競走馬の世話をすることになります。
ある日のこと、父の浮気相手の夫が家に殴り込んできて、父はガラス窓を突き破り、
大ケガを負い、数日後に亡くなってしまうんですね。
ひとりぼっちになってしまったチャーリー。
一方、ピートも競走馬としての限界が来ていて、引退、売却の時を迎えていました。
それはすなわち“処分”を意味していたのです。
チャーリーは決意します。ピートを連れて、唯一の肉親である叔母を探す旅に出ることを…。

“天涯孤独の少年と走れなくなった競走馬の物語”とあったので、
これは見なくちゃと意気込んで行ったのですが。
逆に競馬ファンにはお勧め出来ないかも。ごめんなさい。
ただ、チャーリーの孤独に向きあってくれたのは間違いなくピートだし、
ピートもチャーリーを頼っていたはず。馬って、そういう動物ですから。
でも、育ってきた環境によっては、
チャーリーの気持ちが痛いほどわかるという人もいるようで、
もらったプレス資料には、「ずっと、家の子供になりたかった。」
そんなコラムがありました。
ご覧になってみて下さい。あなたの心には響くかもしれないし、
ボクの☆がなぜ少ないのかもわかってもらえると思います。☆2つ。
「荒野にて」公式サイト



『多十郎殉愛記』は、“84歳の巨匠”中島貞夫監督の20年振りとなる新作映画。

幕末の京都。長州藩では有名な剣士だった清川多十郎ですが、
今は脱藩し、貧乏長屋に住む浪人になっていました。
小料理屋の女将・おとよは、そんな多十郎が気になって仕方ありません。
それでも、何かと身の回りの世話を焼く、
おとよの気持ちを知りながら、知らん顔の多十郎。
そんな時、腹違いの弟・数馬が京都へやって来ます。
京都の街は見廻り組の警備が厳しくなっていて、勤皇派の数馬には危険な場所。
すると、見廻り組が多十郎の長屋を襲います。
目を斬られた数馬をおとよに託し、ふたりが京都を離れるまで、
多十郎は、ひとりで多勢に立ち向かうのでした…。

『木枯らし紋次郎』『極道の妻たち』で知られる、
中島貞夫監督が描いた“チャンバラ”の世界。
資料には“京都時代劇映画”とありましたが、
なるほど、やや懐かしい匂いのする映画です。
殺陣が見どころの1本。それまでのストーリーのあれやこれやは、
ラスト30分の斬り合いのための序章に過ぎないのかも。
時代劇ファンは是非。大ベテラン監督に敬意を表して、☆3つ。
「多十郎殉愛記」公式サイト



『魂のゆくえ』は、『タクシードライバー』のポール・シュレイダー監督・脚本作品。

トラーは、NYにあるファースト・リフォームド教会の牧師。
ある日のこと、礼拝に来ていたメアリーから、
「夫マイケルと話をして欲しい」と頼まれます。
マイケルは環境活動家。
メアリーは妊娠していましたが、マイケルは出産に反対していたのです。
「子供が大人になった時、地球はどうなってると思う?
『パパは全部知ってたんでしょ?』と聞かれたら、ボクは何と答えたらいい?」。
トラーは自分の半生を語ります。
「父も自分も従軍牧師で、妻の反対を押し切って息子を軍隊に入隊させた。
結果、理由なき戦争により、イラクで戦死。
妻は自分のもとを去り、自分は軍を辞職した。
そんな時、アバンダント・ライフ教会が声を掛けてくれて、
今の教会の牧師を任せてくれた。この世に産み落とす絶望より、
子供をこの世から奪い去られる絶望は比べものにならない」と、説いたのです。
翌日、メアリーから電話があり、家に行くと、倉庫から自爆装置が見つかります。
警察に届けることなく、それを預かるトラー。
さらに次の日、ライフルで自殺したマイケルの死体を発見したのでした。
マイケルが企てていたであろうテロ計画が警察に漏れないよう、
マイケルのパソコンを処分しようとしたその時、トラー宛ての遺書を見つけます。
環境汚染の上位にランクしている企業が、アバンダント・ライフ教会に多額の寄付をし、
社会貢献を隠れみのにしているというのです。
衝撃を受けるトラー。
さらに、トラーは自身がガンに侵されていることを知るのでした…。

深い…。 あらすじとしては書き過ぎかなと思いつつ、逆にこれでも足りないんじゃないかと思うほどで。
ジャンルは“スピリチュアル映画”になるそうです。
神と地球、人間の在りようについての内容ですから、そんな括りになるんですかね。
淡々と物語が進む中で、立ち止まって考えてしまうと、追いつかないかも。
まずは全部見てから、後であれこれ考えることをお勧めしたい、そんなタイプの映画です。
ボクの“世直しブログ”“お節介ブログ”が好きだと言って下さる方には、間違いなくお勧めです。
キリスト教の宗教観に関係なく、いろいろと考えさせられると思います。☆4つ。
「魂のゆくえ」公式サイト



『芳華 Youth』は、中国映画。

1970年代の中国。
軍の部隊のひとつに、人民解放軍の士気を高めるための歌唱や舞踊、
演劇を専門とする“文芸工作団(文工団)”がありました。
ダンスのスイツ、歌手のディンディン、司会でリーダーのシューウェンら女性メンバーと、
トランペット奏者のツァン、文工団の模範兵リウ・フォンなどの男性メンバーらがいて、
厳しい訓練を共にし、各隊を回っていたのです。
1976年、ここに17歳のシャオピンが舞踊班のメンバーとして入ってきます。
年頃の若者ばかりですから、様々な思いも交錯します。
しかし、毛沢東が死去し、四人組の逮捕によって文化大革命が終焉。
79年には中国がベトナムへと侵攻を始めるなど、時代の大きな波に、
シャオピンらも飲み込まれていくのでした…。

中国における激動の時代の青春群像。
70年代の物語ですから、まだ存命の人がたくさんいて。
監督のフォン・シャオガンも、原作のゲリン・ヤンも、文工団に所属していたそう。
文工団の華やかさと、戦争の悲惨さとのコントラストもスパイスになっています。
その時代を生きた人にとっては、リアリティを持って懐かしさが響いてくるんでしょうね。
79年に文工団は解散。
90年代になり、当時のメンバーが再会しますが、
新たな時代の波に乗れた人もいれば、そうでない人もいる。
ここにもまたリアリティがある。
でも“幸せって何?”というのを、国は違えど、
人として共通する“幸せの本質”を教えてくれると思います。☆4つ。
「芳華 Youth」公式サイト



『マローボーン家の掟』は、スパニッシュ・ホラー。

イギリスから、アメリカ・メイン州の古い屋敷に引っ越してきた、ある家族がいました。
母親のローズと4人の子供たちです。
長男のジャック、長女のジェーン、次男のビリー、そしてまだ幼い末っ子のサム。
実は、彼らの父親が凶悪な殺人犯で、祖国での悲惨な過去をすべて忘れて暮らそうと、
アメリカへと渡って来たのでした。
ところが、母が病に倒れて亡くなってしまいます。
さらに父親が脱獄。執拗に家族を追ってきたのです。
ジャックは妹弟を守るために父親を殺害し、屋根裏部屋に死体を隠します。
そして、妹弟に5つの掟を守らせるんですね。
「成人になるまで屋敷を離れてはならない」
「鏡を覗いてはならない」
「屋根裏部屋に近づいてはならない」
「血で汚された箱に触れてはならない」
「“何か”に見つかったら砦に避難しなくてはならない」。
しかし、この屋敷は何かがおかしかったのです…。

スパニッシュ・ホラーと書きましたが、舞台はアメリカ、言葉は英語。
監督を始めとする制作陣がスペイン人ということなんですね。
ホラー系の映画であることは間違いないのですが、
見方によっては、別ジャンルの映画と捉えることが出来るかも。
この手の作品は、ネタバレも含め、あまり語らないほうがいいことが多く。
この辺で黙るとしましょう(笑)。☆3つ。
「マローボーン家の掟」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.4.6

『4月の君、スピカ』☆☆☆
『12か月の未来図』☆☆☆
『バイス』☆☆☆☆
『Be With You いま、会いにゆきます』☆☆☆
『ホフマニアダ ホフマンの物語』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


新年度を迎えました。
新しい元号も発表され、世の中が、新しい風にサーッと浄化されたような雰囲気になってませんか?
まっさらになった感性に、映画で新たな刺激を入れてみて下さい!
さ、今週は5本です!



『4月の君、スピカ』は、杉山美和子原作の、人気コミックの実写映画化。

東京から長野の高校へ転校してきた早乙女 星(せい)。
初日の自己紹介で失言し、落ち込む星でしたが、天文好きの大高深月(みづき)が、
「乙女座の星…。スピカ」と話しかけてくれたことで、救われるんですね。
実は深月、親友で見た目はチャラい宇田川泰陽(たいよう)と共に、
学内でツートップの人気を誇る男子生徒。
深月、泰陽と仲良くなった星への風当たりはますます強まりますが、
星は深月に誘われ、泰陽も所属する天文部に入部します。
星は深月に恋心を抱き、泰陽は星を好きになる。
深月の気持ちは果たして?そんな三角関係が出来上がりつつあった時、
泰陽の元カノだった天川 咲が転校してきたのです…。

登場人物の名前からもわかるように、
原作コミックには“天体観測ロマンチック・ラブストーリー”という呼び名が付いているよう。
いかにも少女マンガです。ボクが妹の部屋から借りて読んでた少女マンガの世界…(笑)。
なんか昭和の懐かしさすら、感じます。
そんな訳で、登場人物は今ふうのイケメンくんたちですが、王道を行く、安心、安定の内容。
こういう作品が、今の若い子に受け入れられてるんだと知るだけで、
なんかホッとするのは、オジサンになった証拠なんでしょうね(笑)。☆3つ。
「4月の君、スピカ」公式サイト



『12か月の未来図』は、フランス映画。

パリの名門高校で国語を教える、ベテラン教師のフランソワ。
父親は国民的作家で、父の新刊本のサイン会に出席したフランソワは、
パリとパリ郊外の教育格差の是正について、自論を語ります。
「ベテラン教師が行って、新米教師を支援すべきだ」。
それ聞いていたひとりの美女が、フランソワをランチに誘うんですね。
浮き足立って行ってみると、そこは国民教育省。
彼女の上司からも、素晴らしいアイデアだと誉められ、「早速あなたがモデルケースで」と、
フランソワは教育困難校であるバルバラ中学へと派遣されてしまいます。
通う生徒は超のつく問題児ばかり。教師も無気力で、ことなかれ主義の面々。
初めは1年だからとやり過ごすつもりだったフランソワですが、
一番の問題児であるセドゥと接していく中で、考え方が変わっていきます。
「ここで彼が退学になったら、一生社会から落ちこぼれて、二度と這い上がれない」。
フランソワは意を決したのでした…。

移民、貧困、無関心。今のフランスが抱える問題を描いた作品です。
フランソワは、生粋のフランス人のエリートばかりを教えてきた、ベテラン国語教師。
それが様々なルーツを持ち、
決して恵まれたとは言えない環境下で育ってきた子供たちと向き合うことになるわけです。
腹をくくったフランソワは、自身の意識改革をし、子供たちと真正面から対峙するんですが、
それがいつしか子供たちの心を開かせ、周りの大人たちをも変えていきます。
面白いのは、日本のものとは違い、やっぱりフランス映画だなと思わせるところ。
つまり“お涙ちょうだい”ではないんですね。
“個人主義の国”フランスらしく、子供たちにもしっかりと人権を持たせ、
大人と同じレベルで描くことで、日本の作品とは違う、
言ってみれば“サッパリとした感動”を与えてくれます。
いい映画です。その上で、違いを楽しんでみてはいかがですか?☆3つ。
「12か月の未来図」公式サイト



『バイス』は、まだ存命の政治家、ディック・チェイニー元副大統領を描いた実話。

2001年9月11日の同時多発テロで、陣頭指揮に当たったのが、ディック・チェイニー副大統領。
ジョージ・W・ブッシュ大統領不在のホワイトハウスで、次々と重大な決定を下していきます。
その姿は、まさに“影の大統領”でした。
このテロを受けて、イラク強硬派のチェイニーは、憲法や国際法を拡大解釈。
愛国心を武器に、大量破壊兵器を持っているとしてイラク侵攻へと舵を切るのですが、
実際に大量破壊兵器は見つからず。
イラクの石油の利権を狙った戦争だったのでは?との批判が絶えないのは、
チェイニーが世界有数の石油企業の元CEOで大株主だったから。
そんなこともあり、チェイニーはアメリカ史上、最強で最凶の副大統領と呼ばれたのです…。

ディック・チェイニーの半生を描いた映画ですが、ドキュメンタリーではありません。
俳優たちが演じています。
しかし、みんなよく似てる(笑)。昔、TVのニュースで見たような顔が、見事に並びます。
酒に溺れ、大学を退学。電気工として働くも、また酒でトラブル。
ところが、恋人だったリン(現在の妻)が尻を叩く。すると一念発起。
ワシントンDCの連邦議会のインターンシップに参加し、
共和党のラムズフェルド下院議員の演説に魅せられ、
彼の元で働き始めたことで、政界への足掛かりを作ったチェイニー。
そこからの波瀾万丈、奇想天外の人生は、是非映画館でご覧になってみて下さい。
世界規模でやりたいようにやるって、アメリカって国は、やっぱりすげーなと思ってしまいます。
敵に回すと怖い国だ。仲良くしとかなきゃ(笑)。☆4つ。
「バイス」公式サイト



『Be With You いま、会いにゆきます』は、
04年の日本映画『いま、会いにゆきます』の韓国版。

妻スアが、この世を去りました。雨の季節に戻るからと、約束を残して。
遺された夫ウジンは、一人息子のジホと、
シングルファーザーとしての生活を続けていましたが、妻の死から1年。
幼いジホは、いまだ母親が忘れられずにいたのです。
「まだ雨は降らないの?」。
梅雨になれば、母親が帰ってくると信じているジホの姿に、心を傷めるウジン。
そして迎えた梅雨の季節。なんと、約束通り、スアがふたりの前に戻ってきたのです。
ところが、スアにはすべての記憶がなかったのです…。

原作は市川拓司のベストセラー小説。
04年の日本版では、竹内結子と中村獅童が主役を演じました。
ウジンとジホの元に戻ったスアは、家に貼られた写真を見て、
自分がこのふたりの妻であり、母なんだと認識していきます。
ウジンが話す高校時代のふたりの出会い、
結婚に至ったエピソードに、スアはまたウジンへの愛を確かめていくんですね。
でも、この幸せには限りがあるのです。それがまた切ない…。
韓国映画は、第2波、第3波と、感情を揺さぶってきます。
ハンカチの準備をして、スクリーンと向き合って下さいね。☆3つ。
「Be With You いま、会いにゆきます」公式サイト



『ホフマニアダ ホフマンの物語』は、ロシアのパペット・アニメーション。

エルンストは著名な作家で、作曲家。
そんな彼が、まだ若かりし頃の自分に思いを馳せます。
屋根裏部屋を借り、昼は裁判官見習いとして働き、
夜は音楽家を目指し創作活動をしていた頃の自分。
さらに空想の世界へと入り、学生アンゼルムスに変身した彼は、
ヘビ娘のゼルペンティーナに恋をします。
ところが、上流階級の娘で自分のオペラの主役を依頼するヴェロニカ、
機械仕掛けの美人人形オリンピアにも、気持ちが移ってしまうのでした…。

すみません、ストーリーをうまく説明できませんでした。
いくつかの原題、原作が混ざっているようです。
あの『チェブラーシカ』を作った、モスクワのソユーズムリトスタジオが、
15年の歳月をかけて作った作品。
パペット・アニメーションは、人形を少しずつ動かして撮影するのですが、
1分の上映時間に1ヶ月、5秒に1日をかけるそう。
圧巻なのは、終盤の、劇場でのコーラスシーン。
なんと50体のパペットが1シーンにいる。気が遠くなる作業ですよね…。
美しく、幻想的な映像です。それを見るだけで価値があると言えそうです。☆3つ。
「ホフマニアダ ホフマンの物語」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.3.30

『映画 少年たち』☆☆☆
『ナイトクルージング』☆☆☆
『リヴァプール、最後の恋』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、とある試写会で、宣伝会社のプロモーターが上映前に挨拶。
普通は公開日と上映時間、監督や出演者の取材稼働日などを告げるのですが、
その女性は作品に対する個人的な思いを話し始めました。
「えっとー、わたし、実は春が大嫌いなんです…」。
推理小説の犯人を話しちゃうような話ならまずいけど、概念的な話なら、
そういうのもありかなと、微笑ましく聞いてました。
「えっとー」が多かったけど、それもまたご愛嬌かな(笑)。
さ、今週は3本です!



『映画 少年たち』は、ジャニー喜多川製作総指揮による
1969年初演の舞台『少年たち』シリーズの映画化。

犯罪を犯した少年が収監されている少年刑務所。
彼らは赤房、青房、黒房に分けられていて、それぞれのチームが他のチームをライバル視。
所内では揉め事が絶えませんでした。
そこにひとりの新入りがやってきます。
身寄りもなく、孤独に慣れてしまっている彼は周りに心を開かず、ひとり日記を書く毎日。
ある日のこと、新しい看守長がやってきて、暴力で少年たちを支配し始めます。
自分をかばい、懲罰房に入れられた同房の少年を気遣うと、
ふたりは心を通わせるようになり、次第に仲間も増えていったのです。
夢を語り合っても、ここではどうにもならない。
地獄のような毎日から逃れたい。少年たちは、密かにある計画を立てたのです…。

ジャニーズJr.が大挙出演者したこの映画。
SixTONES、Snow Man、なにわ男子、関西ジャニーズJr.に加え、
Travis Japan、7 MEN 侍、5忍者、HiHi Jets、
美 少年、Jr.SPなどからもメンバーが出演。
冷酷な看守には関ジャニ∞の横山裕、さらにA.B.C―Zの戸塚祥太も参加しています。
なんて書いてると、ジャニーズに詳しそうですが、
SixTONESを“ストーンズ”と読むなんて、全然知りませんでした(笑)。
明治41年に建てられ、放射線状に収容棟が伸びた旧奈良監獄が舞台。
この趣きある建物もまた、重要なキャストのひとり(ひとつ?)と言ってよさそうです。
圧巻はオープニングのダンスシーン。1カメラ、1カットで8分ノンストップで撮影されたそう。
ただ、ジャニーズはこの路線じゃないんじゃない?と感じたのも事実。
こっちのジャンルには、それこそ強力なライバルが地位を確立していますから。
ジャッジはオジサンではなく、若い人たちに委ねますか(笑)。☆3つ。
「映画 少年たち」公式サイト



『ナイトクルージング』は、全盲の男性が映画作りに挑んだ姿を追ったドキュメンタリー。

生まれつき視覚がなく、光すら感じたことのない加藤秀幸。
見えない彼が、映画を作るとはどういうことなのか。
友人で映画監督の佐々木誠が、その一部始終をカメラに収めていきます。
佐々木監督は言います。「今まで見たことがない、
想像もできない生まれつき全盲の人の世界観を映像として見られることを
楽しみにしているというようなご期待の言葉をいくつか頂きましたが、
視覚障害者の内面世界を映像化して、
見たことのないものを見てみたいという目的で企画を立てたわけではありません」と。
作品はSFアクションで、全盲の男が、相棒と一緒に“ゴースト”と呼ばれる存在を追うもの。
様々な映像技術を持つ、いわゆる“見える”一流の人々が、
加藤秀幸監督に“見える”側のレクチャーをしていくのですが、
それが果たして必要なのか、正しい行為なのか。
見えない人の世界を、見える人の世界観にあてはめようとしているだけじゃないかというようなコラムが、
この映画のプレス資料に寄せられた、ある映像作家の文章としてありました。
資料を前から読んでいくと、賛辞や苦労をねぎらう言葉が並ぶ中、
最後にあった真逆の論点に立ったコラムに、
「うわっ。確かにそうだよなぁ…」と衝撃すら覚えたものです。
加藤秀幸監督のSF短編映画『ゴーストヴィジョン』も、もちろん見ることが出来ます。
これをご覧になって、あなたは何を感じるでしょう?☆3つ。
「ナイトクルージング」公式サイト



『リヴァプール、最後の恋』は、実話に基づくストーリー。

売れない舞台俳優のピーターが、
ハリウッド女優のグロリア・グレアムと出会ったのは、数年前のこと。
同じゲストハウスの住人だった二人は意気投合。その時、ピーターは20代。グロリアは50代。
グロリアがモノクロ映画時代に、アカデミー賞助演女優賞に輝いた大女優だなんて、
知るよしもありませんでした。
役者としての格差や、年齢差をものともせず、二人は恋に落ちます。
そして、グロリアの拠点であるNYに移って生活を始めるんですね。
ピーターはその毎日を壊したくないと、母国イギリスからの仕事のオファーも断っていたのですが、
なんだかグロリアの態度がおかしい。
仲違いの末、二人は別れを決め、ピーターはイギリスへ戻ります。
それから数年後、ピーターの元に連絡が入ります。
グロリアがイギリスのホテルで倒れたというのです…。

LA出身の女優、グロリア・グレアムの物語。
4度の結婚歴があり、なんと離婚した男性の義理の息子と再婚したこともあるという、
波瀾万丈の人生を送った女性です。
二度目のガンの宣告を受け、イギリス・ランカスターのホテルで倒れたグロリア。
リヴァプールはピーターと、その家族が住む街。
病院への入院は望まず、ピーターの家での療養を懇願するんですね。
最後の恋こそが、本物の恋。
ピーターは、知らなかったグロリアの本当の気持ちを知ることになります。
グロリアを演じるアネット・ベニングは、ボクが試写を見に行き出して間もない頃、
『めぐり逢い』(94年)という映画で「メチャメチャ綺麗だなぁ…」と思った女優さん。
あれから25年ですか。早いものです。
でも、今でもホントに綺麗。ラブシーンではドキドキしちゃいましたから(笑)。
恋愛も、人生も、いろんな形があって、お決まりの正解なんてない。
そんな大人の恋物語です。☆3つ。
「リヴァプール、最後の恋」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.3.22

『エマの瞳』☆☆☆
『こどもしょくどう』☆☆☆
『コンジアム』☆☆☆
『美人が婚活してみたら』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先週は試写で見た作品が、1本もありませんでした。
今週はたっぷりとご紹介します。
あなたの好みに合う作品があったら、是非劇場に足を運んでみて下さい。
さ、今週は4本です!



『エマの瞳』は、イタリア映画。

ローマの広告代理店に勤めるテオは、ステディと呼べる女性がいながら、
あちこちで遊んでいるプレイボーイ。
ある日のこと、暗闇で視覚以外の感覚を使って日常生活を知感する“DID”、
ダイアログ・イン・ザ・ダークに参加したテオは、
そのアテンド・スタッフだった全盲の女性、エマと出会います。
思春期に視力を失い、結婚生活に一度失敗しながらも、
しっかりと自立しているエマに、テオは惹かれていくんですね。
ふたりは身体の関係も持つようになりますが、
テオはエマに恋人グレタの存在を知らせてはいませんでした。
ところが、テオとエマが買い物をしていたスーパーで、グレタと鉢合わせしてしまいます。
「ボランティアなんだ」。
その場を取り繕ったテオの言葉に、エマは傷付き、
テオの前から姿を消してしまったのです…。

施術師として自立している全盲の女性エマ。
結婚に失敗したことで、独りで生きて行くと決めていたのですが、そこにテオが現れる。
テオはプレイボーイですから、女性の扱いは上手いけれど、真実の愛を知らない。
そんなふたりの恋物語。
見えているほうが見えていなくて、見えないほうが見えているのかも。
世の中や、人の心、物の真(まこと)を見ることと、
視力は別ものなんだなというのを思い知らされるかもしれませんね。
ラストはムフフな感じです。
この結末、ボクにはちょっと読めてましたけどね(笑)。☆3つ。
「エマの瞳」公式サイト



『こどもしょくどう』は、実話を元にしたストーリー。

ユウトは小学5年生。
幼なじみのタカシの家は、育児放棄の母子家庭。
食堂を営むユウトの両親は、タカシによくご飯を食べさせてあげていたのです。
ある日のこと、河原に停めた車の中で父親と暮らす、ふたりの姉妹を見つけます。
ユウトはこのふたりを連れて家に帰り、
ご飯を食べさせてあげるよう、両親に頼むんですね。
事情がわからず、警察か施設に連絡をすべきか悩む両親でしたが、
ユウトの気持ちを酌んで、姉妹を歓待します。
ところが、姉妹の父親が、ふたりと車だけを残して、失踪してしまったのです…。

全国に2300ヶ所近くあると言われる『こども食堂』。
子どもの貧困対策の取り組みとして、地域の人々が尽力している支援の輪です。
“豊かな国・日本”と言われながら、
日々の食事すらとれない子どもがたくさん存在するという、
歪みのある国でもあります。
この映画で描かれているのは、こども食堂の在りようではなく、こんな経緯で、
手を差し伸べる大人が出てきたというプロセスなんですね。
人の優しさと、残酷な言い方をすれば、対極にある優越感。
いじめられっ子のタカシは、姉妹より上だと、自分のことを思っているふしもありますから。
様々なことを考えさせられる1本です。☆3つ。
「こどもしょくどう」公式サイト



『コンジアム』は、韓国のホラー映画。

京畿道広州市にあるコンジアム精神病院。
今は廃墟と化したこの建物は、かつて多くの患者が不可解な死を遂げ、
院長も謎の失踪や自殺の噂があった病院。
“402号室の呪い”など、心霊スポットとして有名なこの場所に、
YouTubeで人気の動画配信チャンネル「ホラータイムズ」が乗り込もうというのです。
一般視聴者からの参加を募り、集まった7人が、コンジアム精神病院へと潜入します。
100万ページビューが稼げれば、大金が舞い込む。
主宰者のハジュンの目論見が、とんでもない恐怖と悲劇を生むことになるとは、
思ってもいなかったのです…。

コンジアム精神病院は実在の廃病院。“世界7大心霊スポット”のひとつに選出されているそうです。
キャストはそれぞれがGoProという小型アクションカメラを付け、
俳優の顔と、前方の景色を同時に撮影。
体感型のホラー映画の中に、観客を引きずり込みます。
自国では大ヒットとなったこの作品。
韓国ホラーは当たらないというジンクスを打ち破ったのも、なるほど納得。
臨場感とリアリティ抜群のホラー映画です。
ただよく言われることですが、一番怖いのは、人間の欲と、傲慢さかも。☆3つ。
「コンジアム」公式サイト



『美人が婚活してみたら』は、お笑いコンビ、シソンヌのじろうが脚本を手掛けた作品。

WEBデザイナーのタカコ、32歳。
美人だけど、付き合ってきた男は、みんな妻帯者。
それもみんな独身のフリをする、ろくでもない男ばかり。
親友のケイコは既婚者。タカコの愚痴を嫌がらずに聞いてくれます。
ふたりでタカコの男性遍歴を振り返った結果、恋愛を飛ばして、
とにかく結婚しちゃうべきだと、婚活サイトに登録することを決意。
そこでも数多の失望を繰り返し、ようやくマッチングしたのが、園木という男性でした。
地味ながら、優しく真面目な園木に心の安らぎを感じるタカコでしたが、
一方で“男性は医師限定デー”の婚活パーティーで知り合った、
歯科医・矢田部の危険な匂いにもタカコは惹かれていくのでした…。

女性監督の大九明子がメガホンを取った作品。
原作は、まんがアプリで人気を博した、同タイトルのVコミです。
美人の定義がどこにあるかは、個人の趣味趣向にもよるので、
タカコがそれほどの美人かどうかは何とも…。
なんて言うと、主演の黒川芽以さんを否定してるように聞こえちゃうかな(笑)。
純朴な園木の行動に、場内からはクスクスと笑い声が漏れていたけど、
いやいや、男性は女性が思ってる以上にピュアなんですって。
親友のケイコにも人知れず悩みはある。
既婚男性はそれを見て、自身の結婚生活を省みる必要があるかも?
そんな感じで、この映画が、男性、女性のどちらを向いているのかは明確にわかりませんが、
互いに異性のことはわからないからこそ、
ツラく、また面白いのかもしれませんね。☆3つ。
「美人が婚活してみたら」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.3.9

『きばいやんせ!私』☆☆
『シンプル・フェイバー』☆☆☆☆
『スパイダーマン:スパイダーバース』☆☆☆☆
『たちあがる女』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


ボクらに届く試写の案内は、複数ある試写日程から、都合のいい日時を選べるシステム。
ところが、優先しないといけないスケジュールが入ると、試写を先送りにせざるをえなくなり、
だんだんと回数が少なくなる。ギリギリで最終試写に間に合うなんてこともしばしば。
それがいい作品だと、「あぁ、見られてよかった…」となるわけです。
最近、ボクの手帳には、試写のタイトルの横に“ラスト”の文字が多く(笑)。
時間のやりくりもひと苦労です。
さ、今週は4本です!



『きばいやんせ!私』は、九州本島最南端の町、南大隅町を舞台にした物語。

不倫騒動で窓際に追いやられた女子アナの児島貴子。
ニュースワイドのメインキャスターだった栄光は過去のものになり、
今度の仕事は“日本の奇祭47選”のリポーター。
やる気のまったく出ない貴子でしたが、小学生の時に1年だけ住んだ、
鹿児島県の南大隅町の“御崎祭り”を、試しにと取材に行くことにします。
南大隅町に着くと、貴子を待っていたのは、歓迎と好奇の目でした。
町の案内役は同級生の太郎。太郎は今、畜産で町の期待を担う若者に成長していたのです。
1300年続く伝統の祭りだけに、担当者はかなりの頑固者。
一方の貴子は、やる気はないくせに、プライドだけは高い。
果たして、この取材は上手くいくのでしょうか…。

ボク自身がしゃべりの仕事に就いているせいもあって、貴子の在りようが、
もうハナから許せない(笑)。
映画なんだから、作り物なんだから、デフォルメしないと面白くならないでしょ?
と言われるだろうけど、ダメなんですよね…。
何のためにアナウンサーを目指したんだと、問いただしたくなっちゃう。
たぶん、普通の人はそんな見方をしないので(笑)、ボクの評価は低いけど、
楽しめるという方も多いのでは?町おこしの意味もあると思うので、是非、見に行ってみて下さい。
主演の夏帆ちゃんは可愛いけど、そんな訳でごめんなさい。☆2つ。
「きばいやんせ!私」公式サイト


『シンプル・フェイバー』は、スタイリッシュなサスペンス・スリラー。

NY郊外に住む、シングルマザーのステファニー。
亡くなった夫の保険金と、育児と料理の動画配信で得たお金で、
慎ましやかに生活をしていました。
そんなステファニーが、息子のクラスメートの母親で、
NYのファッション業界で働くエミリーと意気投合。
エミリーはベストセラー作家の夫ショーンと豪邸に暮らしていて、
華やかで、ステファニーとは対照的な女性でしたが、互いの秘密を語り合うほどの仲になり、
ステファニーは多忙なエミリーを度々サポートするようになります。
ある日のこと、エミリーから息子を迎えに行って欲しいと頼まれるのですが、
エミリーはその電話を最後に姿を消してしまいます。
その数日後、エミリーがミシガンの湖から遺体で見つかったのです…。

面白かったです。
ステファニーには『ピッチ・パーフェクト』シリーズのアナ・ケンドリックが扮するのですが、
美人だけど、ちょっと垢抜けないというか、そのキャラクターがステファニーにピッタリで。
背伸びをしながら、エミリーのようなセレブリティに憧れるステファニー。
でも、根っからの善人であるかのようなステファニーにも過去がある。
それを映画の冒頭で、上手く散りばめてるから、
このミステリーがミステリーとして深みを持たせることに成功しているんですね。
ステファニー、エミリー、ショーン。主軸はこの3人で、この中に“悪”がいる。
いや、誰かひとりとは限りません。おっと、しゃべり過ぎちゃいそうだ(笑)。
スタイリッシュで、ユーモアもあり、ドンデン返しも見事。
よく出来た映画だと思いますョ!☆4つ。
「シンプル・フェイバー」公式サイト


『スパイダーマン:スパイダーバース』は、スパイダーマンのアニメーション作品。

闇の帝王・キングピンが時空を歪め、スパイダーマンことピーター・パーカーが亡くなります。
悲しみに暮れるNYの街。
それを13歳のマイルス・モラレスは、複雑な思いで見つめていました。
そう、彼こそがピーターの後を継ぐ、新生スパイダーマンだったのです。
ところが、マイルスにはまだ自身の能力がわかっていません。
キングピンの更なる野望を止めることなんて出来ないと、不安になるマイルス。
すると、マイルスの前に死んだはずのピーターが現れるんですね。
でも、ちょっと様子が違う。ピーターだけど、ピーターじゃない?
実は、このピーター、キングピンが時空を歪めたことで、
別次元のユニバースからマイルスの住むこの世界にやって来た、
別次元のスパイダーマンだったのです。
すると次々と集結するスパイダーマンたち。
スパイダー・グウェン、スパイダーマン・ノワール、スパイダー・ハム、
ペニー・パーカーとパワードスーツSP//dr。
彼ら全員が力を合わせ、キングピンの野望を止め、
全てのユニバースを元に戻そうという戦いが始まるのでした…。

今年度アカデミー賞の長編アニメーション賞を獲得した作品。
『スパイダーマン』シリーズでは、
視覚効果や音響等のノミネートはあれど、作品部門では初のノミネート。
さらにそれが受賞となった訳ですから、いかに面白いかは推して知るべしですよね。
最初はアニメだと知らずに試写会に足を運び、正直「なんだ、アニメか…」と思っていたのですが、
アニメーションだからこそ描けるものが、最大限の効果を発揮していて。
ぐいぐいとスクリーンに引き込まれていきました。
スパイダーマン・ファンも、そうでない人も楽しめる1本です。☆4つ。
「スパイダーマン:スパイダーバース」公式サイト


『たちあがる女』は、アイスランド映画。

セミプロ合唱団の講師、ハットラ。
実は、彼女にはもうひとつの顔がありました。それは、謎の環境活動家“山女”
風光明媚なアイスランドの田舎町に建つ、
リオ・ティント社のアルミニウム製錬所が環境破壊を生むと、
ハットラは送電線を切る行為を繰り返していたのです。
ヨガの先生で、平和主義者の双子の姉・アウサは、そんな妹と折り合わず。
何とか警察の捜査をくぐり抜けてきたハットラでしたが、遂に年貢の納め時かと思った時、
優しい牧場主のスヴェインビヨルンが、救いの手を差し伸べてくれます。
ハットラには夢がありました。それは、ウクライナから養子をもらうこと。
その夢がいざ叶うとなった時、ハットラは逮捕されてしまうのでした…。

北欧の小国アイスランド映画。正しくは、フランス、ウクライナとの合作です。
十年連続で男女平等度が世界一という、アイスランドならではの作品。
たったひとりの女性が、強大な権力に立ち向かっていくお話です。
ただ、ユーモアもあって、ハットラの節目節目に、
存在しない合唱団とブラスバンドが現れ、彼女の心境や今の状況を音楽で表します。
このストーリーの結末は、どんなふうに落ち着くんだろうと、
やや心配しながら見てると、ちゃんと着地すべきところに着地してくれました。
「シリアスな内容を笑顔で語るおとぎ話」と、ベネディクト・エルリングソン監督。
なるほど言い得て妙な表現です。☆3つ。
「たちあがる女」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.3.1

『グリーンブック』☆☆☆☆☆
『岬の兄妹』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


第91回アカデミー賞が発表になりました。
作品賞は今週ご紹介する『グリーンブック』。
助演男優賞もこの作品のマハーラジャ・アリ。
また、話題の『ボヘミアン・ラプソディ』はラミ・マレックの主演男優賞を含む4部門に輝きました。
どちらもアメリカの“今”に一石を投じる作品。“多様性”や“差別”がキーワードにもなっています。
授賞式もメッセージ色の強いものになったようで。
芸術が、世の中を、また政治を、動かすことが出来るのか?関心を持って見守りたいと思います。
さ、今週は2本です!



『グリーンブック』は、1960年代のアメリカ南部を舞台にした映画。

NYの人気クラブ、コパカバーナで用心棒を務めていたトニー。
ところが、店が改装のため、2ヶ月閉店に。
トニーはこの間、無職になってしまいます。
家族のために働き口を見つけなければならないトニーの元に、
「ドクターが運転手を探している」との情報が届きます。
行ってみると、ドクターはドクターでも医者ではなく、
ドクター・ドナルド・シャーリーという黒人ピアニストでした。 ドクター・シャーリーが、南部を回る2ヶ月間のツアーで、運転手を勤めて欲しいというのです。
自らもイタリアからの移民の子で、黒人に偏見を持つ環境で育ったトニーは、
口では黒人との仕事に抵抗はないと言いながら、
身の回りの世話もしなければならないというオファーに、
「俺は召使いじゃない」とキッパリ断りを入れます。
でも、黒人差別が強い南部でのツアーに、トニーの“腕”は必要不可欠と、
ドクター・シャーリーはトニーの出す条件を飲み、契約が成立します。
出発の日、レコード会社から渡された1冊の本、それは“グリーンブック”。
黒人が泊まることの出来る宿が書かれた本でした…。

本年度アカデミー賞作品賞、助演男優賞を獲得した作品です。
粗野で荒くれ者のトニーと、気高き天才ピアニストのドクター・シャーリー。
初めはまったく噛み合わず、揉め事ばかり。
それでも覗き見たステージの素晴らしさにトニーは感動し、一方で、
トニーの人間味溢れる深い情にドクター・シャーリーは信頼を置くようになります。
あまりにひどい差別の現実を目の当たりにしたトニーは、
天才であるがゆえに孤独なドクター・シャーリーを守ってやりたいと思うようになるんですね。
いわゆる“ロードムービー”でもあります。
ツアーを無事終えることが出来るのか、
何故ドクター・シャーリーは困難が待ち受ける南部のツアーに出たのか?
あまりに腹立たしくもあり、それゆえに痛快!と溜飲を下げ。
ふたりの絆が深まっていくのを、温かい気持ちで見つめてみて下さい。
賞を取った、取らないじゃなく、文句なしの満点!☆5つ。
「グリーンブック」公式サイト


『岬の兄妹』は、片山慎三監督の初長編作品。

港町のあばら屋に二人きりで暮らす兄妹、良夫と真理子。
真理子には自閉症があり、度々家を出ては徘徊し、良夫を悩ませていました。
ある日のこと、また真理子の姿が見えなくなりました。
夜遅く、ようやく帰ってきた真理子。実は、町の男に抱かれ、お金をもらっていたのです。
その頃、良夫はリストラで職を失い、家賃どころか、その日の食べ物にも困る始末。
悪いと知りながら、良夫は真理子に売春をさせるのでした…。

結構、強烈な映画です。
監督もコメントで、
「貧困、障害、性、犯罪、暴力…そういったものを包み隠さず描きました」と言っています。
生きていくために選ばざるをえない道。
でも、真理子にとって、すべてが不幸ではない部分もあって。
何が正しくて、何が悪いことなのか。考えさせられると思います。
かなり、エグいというか、グロいシーンもあります。
出演者が“人情喜劇”と評するのも、皮肉を込めて、なるほどなと。
覚悟して?ご覧下さい。☆3つ。
「岬の兄妹」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.2.22

『あなたはまだ帰ってこない』☆☆☆
『あの日のオルガン』☆☆☆
『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』☆☆
『ビール・ストリートの恋人たち』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今週は話題の1本、『翔んで埼玉』が公開になります。
FM NACK5もフィーチャーされているのに、ボクは試写を見ていないんですよ…。
しばらくしてから、劇場で見ようかと思います。もちろん、都内ではなく、埼玉で(笑)。
さ、今週は4本です!


『あなたはまだ帰ってこない』は、フランスの小説家、
マルグリット・デュラスの自伝的小説「苦悩」を映画化した作品。

第二次世界大戦中の1944年6月。パリはナチスの占領下にありました。
ジャーナリストで作家のマルグリットは、夫と共にレジスタンスの一員として活動。
しかし、夫はゲシュタポに捕らえられ、連行されてしまうんですね。
マルグリットは夫の情報を得ようと、パリのナチスの本拠地に出向きます。
すると、マルグリットに近寄ってきたひとりの男が。
夫を逮捕したというゲシュタポの手先、ラビエです。
ラビエは作家としてのマルグリットのファンでもあり、
夫の情報を小出しに伝え、悪くはしないからと、マルグリットを度々誘ったのです。
次第に戦況は連合国側に優勢となり、ラビエからの連絡は絶え、遂にはパリが解放されて、
囚人となった多くの人々が帰ってきたのですが、そこに夫の姿はありませんでした。
知らされるナチスの残虐な行為。
不安と落胆の中にいたマルグリットに、夫が生きているという報せが届いたのです…。

マルグリット・デュラスの私小説が原作。
正直、女性のある意味でのたくましさを感じました。
「苦悩」というタイトルにも表れているように、何が正しいのか、
道徳や倫理観だけでは語れない、壮絶な生と愛への思いがある。
これを観る人が、マルグリットの生き方をどう思うのかは、人それぞれでしょう。
決して綺麗ごとだけでは済まされない物語。
Bunkamuraル・シネマで上映される作品は率先して観るのですが、
“らしい”1本だと思います。☆3つ。
「あなたはまだ帰ってこない」公式サイト



『あの日のオルガン』は、実話に基づく戦時中の物語。

太平洋戦争末期の1944年。
東京にも頻繁に空襲警報が鳴り響くようになっていた頃、
国民学校の生徒たちは安全な田舎へ集団疎開。
ところが、保育所の幼い子供たちは親のそばで暮らすべきと、
幼児の集団疎開は講じられませんでした。
そんな中、戸越保育所の主任保母の板倉楓は、疎開保育所を作ろうと提案。
検討会を開いたところ、親たちの意見は真っ二つに割れます。
それでも日に日に戦況は悪化。
親たちは泣く泣く、子供を疎開させることを選ぶのでした。
疎開先は、埼玉県のお世辞にも立派とは言えない古い寺。
保母たちは何とか生活が出来るようにと修繕に力を尽くします。
近隣住民の手助けも借りながらの疎開保育所。中には反対派もいて。
簡単に言うことを聞いてはくれない幼児たちとの共同生活は、困難を極めたのです…。

板倉楓のモデルになったのは、戸越保育所の職員だった畑谷光代という人物で、
25歳の若さで主任保母になり、所長に幼児疎開を進言。
公立の保育所よりも半年以上も早く、単独で幼児集団疎開を決行します。
その判断は正しく、多くの未来ある命を救うことになったのです。
が、その一方で、貴重な命が戦争の犠牲となってもいく。
ボクらは終戦が1945年の8月15日と知っているけれど、
当時戦火の中に生きた人たちには、いつこの悲惨な戦争が終わるかなんてわからない訳で。
不安でいっぱいの時を過ごしていたのだと思います。
ぶきっちょな、みっちゃん先生が弾くオルガンに合わせ歌う子供たちの声が、
未来と希望の象徴だったあの頃。
戦争の悲惨さはもちろん、ボクらは何のために働くのか。
保母さんたちの“志”を感じて、
今の自分の職務を確かめる契機になればと願います。☆3つ。
「あの日のオルガン」公式サイト



『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』は、
LGBTの若者たちをミュージカル仕立てで描いた作品。

NYのブロンクスに暮らす高校生のユリシーズには、
女性のように美しくなりたいという願望がありました。
心の中にモヤモヤしたものを抱いていたユリシーズは、
LGBTの人々が多く行き交うクリストファー・ストリートで、
トランスジェンダーのエボニーたちに声を掛けられます。
「サタデー・チャーチに行ってみない?」。
そこではLGBTの人たちを支援するプログラムが行われていて、
ユリシーズは初めて自分と同じ葛藤を抱く仲間と出会ったのです。
そんな中、美しく着飾ってダンスを競い合う“ヴォーグ・ナイト”に出たいと思ったユリシーズは、
お小遣いをはたいてハイヒールを買うのですが、それを家族に見つかり、叱責されるんですね。
ユリシーズは家を飛び出し、クリストファー・ストリートの仲間の元へと駆け込んだのです…。

実話に基づくストーリー。
今、ジェンダーの問題は、多くの場面で公に語られ、昔と比べたら皆の知るところになったように思います。
それでも家族の問題となった時、現実を受け入れるのには、時間と、ある種の勇気がいるのかもしれませんね。
そのテーマはさて置き、感じたのは、ミュージカル風にする意味があったのかという部分…。
個人的にはちょっと違和感があったかなぁと。
主人公の思い描く理想の将来像に、歌とダンスがあるからなのかなとは思いますが。
デリケートな映画でも、ちょっぴり辛口で。☆2つ。
「サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所」公式サイト



『ビール・ストリートの恋人たち』は、『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督最新作。

1970年代のNY。幼い頃から共にハーレムで生まれ育った、
アフリカ系アメリカ人のファニーとティッシュ。
ふたりは恋人同士。ファニーは22歳、ティッシュは19歳。
ティッシュのお腹の中に新しい生命が宿ったことをファニーに知らせたのは、刑務所の面会室でした。
ファニーは些細ないざこざから白人警察官に目をつけられ、
ひとりの女性を強姦したという無実の罪で収監されていたのです。
地獄のような刑務所の中。ティッシュとティッシュの家族は、
「必ずあなたの無実を証明するから」とファニーを励まし、奔走するのですが…。

今もなお残る人種差別に一石を投じつつ、生きることの尊厳と多様性にスポットを当てた作品。
ファニーとティッシュは成長するに連れ、互いが特別な存在になっていきます。
ファニーは愛が集うテーブルを作りたいと家具職人を目指し、ふたりで暮らせる部屋を見つけ、
幸せな未来を掴んだかに思えたその瞬間、無実の罪により、すべてが壊されてしまいます。
それでも、若いふたりに手を差し伸べたのは、黒人コミュニティーだけではなく、
ユダヤ、イタリア、ラテン系の人々だったり、
白人の駆け出しの弁護士もファニーの釈放のために力を尽くします。
70年代が過去のものではなく、まさに現代アメリカそのものだと、
今に照らし合わせて描かれた作品。
アカデミー賞の有力候補との声にも納得の1本です。☆4つ。
「ビール・ストリートの恋人たち」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.2.15

『金子文子と朴列(パクヨル)』☆☆☆☆
『トラさん 僕が猫になったワケ』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


映画の最中、あくびが出そうになることって、ありますよね。作品の良し悪しには関係なく。
でも、その場合、あくびは普通かみ殺します。
ところが、たまにいるんですよ。「ふわぁ〜っ」と音に出す人が。
それを聞くと、物語の世界から、一気に現実へと引き戻されてしまいます。
あくび禁止なんてルールはないけれど、マナーはある。周りに気遣って欲しいものです。
さ、今週は2本です!



『金子文子と朴列(パクヨル)』は、韓国映画。

1923年の東京。
朝鮮人アナキストの朴列は、日本人女性の金子文子と出会います。
ふたりを結びつけたのは、朴列が書いた『犬ころ』という一遍の詩でした。
文子はこの詩に、作者の強靭な意志を感じたのでした。
朴列は“不逞社”なるアナキスト結社を作り、ふたりは同志として活動。
また恋人として、一緒に暮らし始めます。
そんな時、関東大震災が列島を襲います。
同時に、「朝鮮人が井戸に毒を入れ、暴動を起こしている」とのデマが広がるんですね。
政府は戒厳令を発しますが、軍や自警団は多くの朝鮮人を虐殺。
大混乱の中、朴列も文子も、警察に逮捕されてしまいます。
それでもふたりは、獄中から闘おうと誓い合うのでした…。

この映画を見る側がどう捉えるかだと思いますが、巨大権力に立ち向かう一組の男女の、
青春と人生を懸けた闘いの物語として見た時、
我々日本人にとっても感じ入る作品になるのではないかと思います。
この映画のいいところは、すべての日本人を“悪”として描いていないところにもあります。
今、日韓関係はこれまでにないほどにギクシャクしていて、
「いくらなんでも、そりゃないだろう」と思うことも多々ありますが、
これですべてを一括りにして見たらおかしくなる。
反日の旗を降る人ばかりじゃないはずで、そこに目をやることも大事なんじゃないかなと。
デフォルメも含め、描き方ひとつで史実のディテイルは変わってくるでしょうから、
そこを云々言うつもりはありません。
ただ、普段とは違う視点を持たせてくれる力も、映画にはあるはず。
この映画を見終えて、そんなことを思ってました。
韓国では235万人の観客を動員したそう。
向こうからの目は、この映画をどう捉えたんでしょうね。気になるところです。☆4つ。
「金子文子と朴列(パクヨル)」公式サイト



『トラさん 僕が猫になったワケ』は、Kis-My-Ft2の北山宏光の映画初主演作。

猫が大嫌いなのに、猫が主人公の漫画『ネコマン』で人気を博した、漫画家の高畑寿々男。
その最終回を描くことなく連載を中止した寿々男は、
新作を売り込みますが、担当からは一蹴されてしまいます。
「『ネコマン』の続きを描いたほうがいいんじゃないですか?」。
その言葉が寿々男のヘソを、ますます曲げさせていたのです。
寿々男には妻と愛娘がいましたが、
妻がパートで稼いだ給料をギャンブルで使ってしまうようなダメ夫。
そんな寿々男が競輪で大儲け。
意気揚々と帰宅する途中、交通事故に遭い、あっけなく死んでしまいます。
気がつけば、そこは“あの世の関所”。裁判長は寿々男に言います。
「執行猶予1ヶ月。これまでの愚かな人生を挽回して下さい。ただし、猫の姿で」。
寿々男は猫になって、家族の前に戻されたのでした…。

2013年から集英社の月刊YOUに連載された、人気コミックの実写映画化。
この後、寿々男は自分の葬式で猫好きの娘に拾われ、
“トラさん”と名付けられて、また家族と暮らし始めます。
ところが、もちろん言葉は通じないし、
トラさんが寿々男であることに、誰も気づくはずもなく。
寿々男が自堕落な生活を反省するのかと思いきや、いやいややんちゃなままで(笑)。
たぶん、北山宏光の魅力を最大限に描いたんだろうなと。
個人的には、もうちょっとぐっと来るものがあるかなと期待していたものですから…(笑)。
でも、ファンにとっては『Cats』みたいで、楽しい1本だと思いますョ。☆3つ。
「トラさん 僕が猫になったワケ」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.2.8

『アクアマン』☆☆☆
『コードギアス 復活のルルーシュ』☆☆☆
『洗骨』☆☆☆
『小さな独裁者』☆☆☆
『山(モンテ)』☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


2月になりました。
1月の試写は13本。本数的には、まずまずのスタートを切ったかなと(^-^)
2月も時間が許す限り、試写会に足を運ぼうと思います。
さ、今週は5本です!



『アクアマン』は、『ワイルド・スピード SKY MISSION』の
ジェームズ・ワン監督が、舞台を海中に移したバトル・エンターテイメント。

灯台守のトムは、嵐の夜、入り江に打ち上げられたひとりの女性を発見し、救護します。
実は彼女、海底にあるアトランティス帝国の女王・アトランナ。
政略結婚を拒み、逃げ出して遭難したのです。
ふたりは愛を育み、男の子をもうけます。彼の名はアーサー。
しかし、幸せな日々は長くは続きませんでした。海の底から追っ手がやってきたのです。
このままでは家族が危険に晒される。
いつか必ず帰ると誓い、幼いアーサーを残し、海中へと戻るアトランナ。
月日は流れ、大人になったアーサーの元に、メラという海底国ゼベルの王女がやってきます。
メラが言うには、アーサーの異父弟のオームがアトランティス帝国の王位に就いたと。
そのオームが、海を汚す人間を憎み、地上をも統治しようと企んでいると言うのです。
人間と海底人の両方の血を持つ“アクアマン”であるアーサーは、
オームの野望を打ち砕き、地上と海底の平和を保ち、
さらに母との再会を果たすことが出来るのでしょうか…。

いわゆる“ジェットコースター・ムービー”。
スピード感たっぷりに、海の中で、激しいバトルが繰り広げられます。
海底にはいくつもの国があり、考え方も多種多様。
ところが、オームはそれを力で屈服させていくんですね。
アーサー自身が“混血”で、舞台設定しかり、こういうヒーローの活躍に、
現代アメリカが自国の在りようを求めている気がします。
なんて、ややこしいことは抜きにしても、エンターテイメント作品として十分楽しめる1本です。
宇宙に目を向けるのと同様、いや、もっと深い神秘が、
身近な海の奥深くには眠ってるといいます。ある意味、逆転の発想も面白い映画です。☆3つ。
「アクアマン」公式サイト



『コードギアス 復活のルルーシュ』は、大人気アニメシリーズの完全新作映画。

光和2年。世界は再編成された超合衆国を中心にまとまり、平和な日々を謳歌していた。
しかし、平和は突如として終わりを告げる。仮面の男・ゼロとして、
ナナリーの難民キャンプ慰問に同行したスザクが謎のナイトメアフレームに敗れ、
2人は連れ去られてしまった。
シュナイゼルの密命を受け、戦士の国・ジルクスタン王国に潜入したカレン、ロイド、
咲世子はそこで、謎のギアスユーザーに襲われる。
そして、その場には襲撃者にC.C.が居た。
かつて神聖ブリタニア帝国の大軍すらも打ち破った無敵の王国を舞台に、
人々が描く願いは、希望か絶望か。
果たして、ギアスのことを知るジルクスタン王宮の面々と、C.C.の思惑とは…。

2006年から放送が始まったTVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』。
08年に続編が出来、その後も様々な作品が作られていったコードギアス・シリーズですが、
この完全新作劇場版映画は、その08年の続編を受けての物語だそう。
ボクはまったく見たことがないのですが(失礼!)、
友人が「このシリーズは素晴らしい!」と絶賛していたのを聞き、試写に行ってきました。
シリーズの“これまで”を知らない人間がとやかく言うと、ファンに怒られそうなのと(笑)、
ネタバレ禁止の注意書きがたくさんあったので、
上記のあらすじは、資料にあったものをそのまま書き記しました。
あ、C.C.の肩書きが読めず、漢字も探せずで省いたのはご容赦下さい。
ボクのようなシリーズ初心者でも楽しめたので、ファンにはたまらないと思いますョ。
期待して劇場へどうぞ!☆3つ。
「コードギアス 復活のルルーシュ」公式サイト



『洗骨』は、ガレッジセール・ゴリこと、照屋年之監督作品。

沖縄の離島、粟国島。
新城家の母・恵美子が亡くなって4年。
父・信綱の元に、長男・剛と長女の優子が帰ってきます。
粟国島には、一度土葬(風葬)した遺体が骨になった後、その亡骸を一旦掘り起こし、
海水や酒で洗い、再度埋葬する“洗骨”という独特の葬制がありました。
断酒を誓いながら、妻を亡くした悲しみから抜け出せず、酒に溺れる信綱。
既に離婚しているのに、それを言い出せない剛。
勤務先の美容室の店長の子を宿し、シングルマザーとして生きることを決めた優子。
いつしかバラバラになってしまった家族が、ギクシャクしながら、
大好きだった母の洗骨に臨むのですが…。

ミイラ化した肉親の遺体を洗う。怖いくらいの風習ですが、
二度の別れを経験することで、命の継承に感謝し、弔うことの本来の意味を知ると言います。
衛生的観点からも、洗骨が残っているのは、離島でもわずかな地域だけだそうですが、
ガレッジセールのゴリが、本名で、真面目に、時にユーモラスに、家族の再生を描いています。
彼にこんな才能があったのかと、新たな魅力も感じてみて下さい。☆3つ。
「洗骨」公式サイト



『小さな独裁者』は、実話に基づくストーリー。

1945年、敗戦濃厚のドイツ。
脱走兵のヴィリーは、乗り捨てられた軍用車両を発見。
スーツケースの中からナチスの将校の軍服を見つけます。
ヴィリーが軍服に袖を通すと、そこに部隊とはぐれたと言う上等兵が近づき、
「お供させて下さい」と申し出るんですね。
すっかり大尉になりすましたヴィリーは、次々と部下を増やし、
自らの名前を冠した“ヘロルト親衛隊”を結成。
架空の任務を作り、堂々と進軍を始めます。
荒野に建てられた粗末な戦犯収容所に着いた時、ヴィリーの行動はいよいよエスカレート。
独断で、残忍な処刑を推し進めたのでした…。

ヴィリー・ヘロルトは実在の人物。
実際に80人もの兵士を従えていたというヴィリーは、
巧みな嘘と、堂々たる態度で大尉になりすましていたと言います。
ロベルト・シュヴェンケ監督は、「彼らは私たちだ。私たちは彼らだ。過去は現在なのだ。」と。
権力とは何か、人間の残虐性、嘘と真実など、様々な要素が入り組んでいて、
形こそ違えど、現代社会でも起こり得ることだと警鐘を鳴らします。
ドイツの“ネオナチ”然り、日本の“なりすまし詐欺”なども、視点を変えればそうかもしれません。
エンドロールまで、席が立てない1本です。☆3つ。
「小さな独裁者」公式サイト



『山(モンテ)』は、イランの巨匠、アミール・ナデリ監督作品。

南アルプスの麓にある小さな村に、アゴスティーノは、妻と息子と3人で暮らしていました。
ところが、この村では、太陽を大きな山が遮り、農作物が育ちづらかったのです。
人々は次々と土地を捨てて、村を出て行きます。
それでもアゴスティーノは、この村から離れようとしませんでした。
なぜなら、先祖はもちろん、亡くなった娘の墓があるから。
周囲の村に住む人からも異端児扱いされるアゴスティーノ。
遂には、家族まで離れ離れに引き離されてしまいます。
アゴスティーノは決意します。山に戦いを挑むことを…。

「肉体を過剰に酷使しながら、孤立無援の人間の限界突破を描く」
のがアミール・ナデリ監督のスタイルだそう。
そう聞くと、なるほどそのスタイルを貫いた作品だなと。
山はこの世で最も力強いもののシンボル。
そこに、神にも自然にも、人からも見放されたひとりの男が挑むという、哲学的な作品です。
イラン映画はあまり見ませんが、特にこの作品は、商業的目線で評価するものではないのかもしれません。
ただ、巨匠の作品と言えども、感想は自分の心に忠実に。☆2つ。
「フロントランナー」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.2.1

『七つの会議』☆☆☆☆
『バーニング 劇場版』☆☆☆☆
『フロントランナー』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今、試写の会場での咳がすごく…。
風邪やインフルエンザをもらわないためには、自己防衛しかないですよね。
普段マスクはしないのですが、さすがに無防備ではダメだなと。
まだまだ寒さと乾燥は続きます。お互い、気をつけましょう。
さ、今週は3本です!


『七つの会議』は、池井戸潤原作の企業サスペンス。

巨大企業ゼノックスの子会社である東京建電。
営業部長の北川は、社内の絶対権力者。
課長の坂戸率いる営業一課がノルマを達成し続けているのに対し、
原島課長の営業二課は一向に成績が上がらず。
今日も北川から厳しい叱責を受けていました。
そんな中、一課の万年ぐうたら社員の八角は、あくまでマイペース。
昔は敏腕営業マンだったのが、今では課のお荷物社員となっていました。
坂戸からキツい言葉をぶつけられる八角。
「いくらなんでも、それはパワハラだろう」と、八角は坂戸のハラスメントを訴えます。
デキる課長とぐうたら社員のどちらの主張を取るかは、火を見るより明らか。
なのに会社は、坂戸を左遷したのです。
騒然となる社内。
坂戸の後任として一課の課長に就いたのは、なんとダメ課長だった原島でした。
「八角さんは一体何者なんだ。この会社は何かを隠している」。
原島は、寿退社を控えた一課のOLの浜本と共に、東京建電の謎を探り始めるのですが…。

ボクが中山競馬場のイベントで、この映画の出演者のひとり、
木下ほうかさんとトークショーを行った作品です。主演は野村萬斎。
『半沢直樹』、『陸王』、『下町ロケット』などに出演した
“池井戸潤ファミリー”が総出で脇を固めます。
つまり、紹介したあらすじは、ほんの触りの部分だということ。
その豪華出演陣が小出しで出てくる豪華さ。TBS制作ですからね。
『オールスター感謝祭』的なイメージで見るといいかもしれません(笑)。
エンドロールで、最後に八角が語ること。ここに作者の言いたかったすべてがある。
ボクは「なるほど…」と、ストンと腑に落ちました。
池井戸作品、お得意のパターンではありますが、そこにはTBSの『水戸黄門』にも似た、
安定の面白さがあるのです。☆4つ。
「七つの会議」公式サイト



『バーニング 劇場版』は、
村上春樹の1983年の短編小説「納屋を焼く」を現代韓国風にアレンジした映画。

運送会社のアルバイトをしているジョンス。
ある日のこと、デパートの店頭で売り子をしている女性に声を掛けられます。
彼女はヘミ。実はジョンスの幼なじみでした。
昔話に花が咲き、仲良くなるふたり。
ヘミは夢だったアフリカ旅行に行く間、飼い猫の世話をジョンスに依頼します。
快く引き受けたジョンスは、餌やりのため、毎日ヘミの部屋を訪れるのですが、
一度もその猫を見たことがありません。
見知らぬ男性と一緒に帰国したヘミ。彼の名はベン。
ケニアのナイロビ空港で知り合ったというふたりの親密さに、心がざわつくジョンス。
ベンは高級車に乗り、オシャレな部屋に住むセレブな男性。
両親が不在となり、牛舎で牛の世話をしながら小説家を目指すジョンスとは、
生きる世界が違う気がしていましたが、ヘミを介し、よく3人で会うことに。
ところが、ある日を境に、ヘミが忽然と姿を消してしまったのです…。

見ている間、ずーっとモヤモヤしたものが覆っているような空気感。
ミステリー映画のような、青春映画のような。
いい意味でわかりづらいんです。
例えば、猫。本当にいるのか、本当はいないのか。
ヘミに起こっているはずの出来事も然り。
何が起きているのかを、ジョンスと同じぐらい知りたくなります。
その真相を探し、暴こうとするジョンス。
この映画には、韓国の今の若者の経済格差もひとつの要素として描かれているそう。
日本も同様と言えば同様なんですけどね。
2時間23分の作品。モヤモヤした霧のようなものが晴れるか、否かは、
散りばめられたヒントをもとに、時間内にパズルを組み立てられるかどうかでしょう。☆4つ。
「バーニング 劇場版」公式サイト



『フロントランナー』は、実在の元政治家を描いたストーリー。

コロラド州選出の上院議員、ゲイリー・ハート。
彼は若き天才政治家として、“ジョン・F・ケネディ”の再来とまで言われ、
1988年、史上最年少の46歳で、民主党の大統領候補となります。
大統領予備選の最有力候補に躍り出たハート議員でしたが、
マイアミ・ヘラルド紙のスクープで、情勢は一変してしまうんですね。
それは政治部記者への1本の電話からでした。
「ハート議員が私の友達と浮気をしていて、週末にはワシントンで密会する」と言うのです。
記者が把握していたハート議員の週末のスケジュールは、ケンタッキーでのダービー観戦。
ところが、直前で予定を変更し、ワシントンへと向かうことを知ります。
ハート議員を追って撮ったスキャンダル写真。
これがアメリカの歴史をも変えてしまうことになるのでした…。

タイトルの『フロントランナー』というのは、“最有力候補”という意味なんですね。
実在の、それも存命の人物のスキャンダルを映画化するとは、アメリカって凄いなと。
大統領選挙から撤退し、議員を辞めて以降も、
ゲイリー・ハート氏はアメリカの国防や国際関係における最重要人物として、
様々な要職に就いているんですね。
この天才政治家が大統領になっていたら、アメリカは変わっていた。
そう言われるほどの人物だそう。
政治家に求められるのは、政治の能力なのか、パーソナルな人格なのか。
もちろん両方備わっていればいいのでしょうが、マスコミのあら探しが、
真の政治家を潰してしまっているという声もあるようで。
ジャーナリストの在り方や、政治家評にも一石を投じた作品。
ヒュー・ジャックマン主演作ですが、商業的な映画ではないというか
、正直、ドメスティックなアメリカ国内向けの1本だと感じました。
ただ、アメリカは、日本の最も大事な友好国ですから、
知っておいて損はないと思いますけど。☆3つ。
「フロントランナー」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.1.24

『あした世界が終わるとしても』☆☆☆
『がっこうぐらし!』☆☆☆
『二階堂家物語』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


遅ればせながら、映画『ボヘミアン・ラプソディ』を見てきました。
ボクはラジオ・パーソナリティですから、
「RADIO GA GA」が流れて来た時には、ぐっと来ちゃいました。
大ヒットするのも納得です。素晴らしい作品でした。
でも、同じぐらい感動を与えてくれる映画は、世の中にたくさんあります。
ただ話題にならず、あまり人目につかないまま、ひっそりと上映が終わってしまうだけ。
そんな作品に、このコラムで光を当てられたらいいなと、改めて感じました。
微力ながら、頑張ります。
さ、今週は3本です!



『あした世界が終わるとしても』は、オリジナルストーリーのアニメ映画。

狭間 真は高校生。幼い頃に母を突然死で亡くし、父は研究所勤めでほとんど家に帰らず。
そんな孤独な真を、幼なじみの琴莉はずっと気にかけ、見守ってきたのです。
高校三年生の秋、初めて琴莉をデートに誘った真。「好きだ」と告げようとしたその瞬間、
琴莉の携帯が鳴ります。真の父が亡くなったという知らせでした。
死因は母と同じ突然死。社会問題化するほど、突然死は増えていたのです。
すると、そこに真にそっくりなジンという男子が突然現れて、こう言ったのです。
「俺はお前だ。お前は俺が守る」。
実は、この世界と相対するもうひとつの世界があって、そこに相対する人物がいると。
どちらかが死ぬと、もう一方の世界の自分も命を落とすと言うのです。
ジンが生きるのは日本公民共和国。コトコという絶対的独裁者が君臨し、真の母も父も、
相対する人物がコトコによって処刑されたから死んだと話すジン。
逆にジンはこちらの世界に来て、コトコと相対する人物を抹殺することによって、
絶対君主のコトコを消すことができると考えたのです。
そのコトコと相対する人物こそ、琴莉だったのです…。

監督、脚本は櫻木優平。
発想が面白いですよね。相対する自分から琴莉を守ろうとする真。
つまり、ある種の矛盾を抱えているわけです。
ちょっと変わったSF恋愛映画かと思って見ていたら、戦闘アニメの要素も出てきて。
資料に“アクション・ラブストーリー”とあった意味がわかったけど、
戦闘シーンが出てきた途端に「んっ?」と。
どっちがメインなんだかわからなくなっちゃったというのが正直な感想です。
アニメファンにはWで楽しめるという感覚なのでしょうか?
感想を聞きたいところです。☆3つ。
「あした世界が終わるとしても」公式サイト



『がっこうぐらし!』は、人気コミックの実写映画化。

私立巡ヶ丘学院高等学校には、学園生活部というクラブがありました。
屋上菜園で自給自足しながら、学校で24時間共同生活を送るという、
女子ばかりのクラブで、部長はりーさん。
他にくるみとゆきがいて、この3人は3年生。さらに2年生のみーくんがいます。
顧問は保健のめぐねえ先生。
一見、普通の高校生活を満喫している女子高生たちですが、この学校、何かが違います。
割れたガラスの破片、血塗られた黒板、そして中庭には“やつら”がいたのです…。

原作は単行本が10巻まで出ていて、250万部を超える人気作だそう。
TVアニメ化もされ、今回、実写映画化と相成りました。
女子高生たちを演じるのは、秋元康プロデュースの“ラストアイドル”たち。
メンバー内オーディションで、4名が選ばれました。
アニメ+アイドルの学園サバイバル映画。こちらもターゲットは絞られている気がします。
原作があるので、言ってもネタバレにはならないでしょう(笑)。
いわゆる“ゾンビもの”です。お好きな人は是非どうぞ!☆3つ。
「がっこうぐらし!」公式サイト



『二階堂家物語』は、イラン人の女性監督作品。

奈良県天理市にある父の種苗会社を継いだ、二階堂辰也。大きな旧家に暮らす、町の名士です。
病気の母ハルと、年頃の娘由子との3人暮らしですが、実は幼い息子を亡くしていました。
それが原因で妻とは離婚。二階堂家には跡取りがいません。
ハルはそれを憂慮し、自分の推す女性と辰也を再婚させようと画策するのですが、
辰也には別に気になる女性がいました。秘書の沙羅です。
沙羅はシングルマザー。
社長の辰也に好意を寄せてはいましたが、もう子供が産めない体であることを告げると、
会社を辞めてしまいます。
由子に婿を取るしかないと考えたハルでしたが、由子には既に意中の恋人が。
その男性が婿養子として二階堂家に入ってくれるかと期待したのですが、
由子が連れてきたのは意外な人物だったのです…。

監督はアイダ・パナハンデ。イラン人女性です。
また、エグゼクティブ・プロデューサーとして河瀬直美の名前があります。
代々続く、名家の家系が途切れそうになる。さぁ、どうする?という話なんですが、
パナハンデ監督が日本の“婿養子”という言葉に着想を得たと言います。
辰也と由子、そしてハル。恋愛も思惑も、みんなバラバラな訳で。
本当なら自分の好きなように生きたいけれど、“二階堂の家”があるから、そうはいかない葛藤がある。
ご近所さんをも巻き込んだ、日本の家の問題を、
イラン人女性監督が描いているというのが興味深いところ。
“選択”はあっても、“正解”はないのかも。
もし自分ならどうする?という目線で見ると面白いかもしれませんね。☆3つ。
「二階堂家物語」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.1.18

『映画めんたいぴりり』☆☆☆☆☆
『バハールの涙』☆☆☆☆☆
『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日試写会で、映画が始まるや、隣りの人が睡眠開始。
終わる少し前に起きたようでしたが、上映後に宣伝マンに感想を聞かれて、
「いやぁ、ラストがホント」って、そこしか見てなかったじゃん!
と思ったらおかしくておかしくて(笑)。
ま、たま〜にボクもありますからね。ミントを口に入れても、
太ももをツネっても、どうにも睡魔から逃れられないこと。
著名な評論家さんは、必ず感想を聞かれるから大変です。
さ、今週は3本です!


『映画めんたいぴりり』は、日本で初めて明太子を製造、販売した
「ふくや」の創業者をモデルにした感動物語。

博多の中洲で小さな食料品店「ふくのや」を経営する海野俊之。
妻と2人の子どもを持つ俊之でしたが、バカが付くほどのお人好しで、お節介焼き。
そんな俊之は、戦前日本の統治下にあった、韓国・釜山の生まれ。
“明卵漬”という思い出の味にヒントを得て、
自ら考案した明太子作りに精を出していたのですが、
なかなか満足のいく味が出せません。
まだ貧しかった町には、いろんな境遇の人が暮らしていました。
両親を亡くし、親戚と暮らす、息子の小学校の同級生の英子。
無断で「ふくのや」の真似をして、明太子を作って売っていた石毛。
遠足のリュックと靴が買えずにいた英子には、
名乗ることなく“あしながおじさん”としてそれらを買い与え、
石毛には「明太子はただの惣菜。一緒に明太子を広めていこう」とレシピを教え。
「うちの明太子を食べる人は、みんな幸せになる」と、胸を張っていた俊之でしたが、
あまりに厳しい現実の連続に、心が折れそうになるのでした…。

「ふくや」の創業者、川原俊夫をモデルにした作品で、
テレビ西日本制作の連続ドラマとしてスタート。
好評につき、続編なども作られ、遂に待望の映画化となりました。
俊之には博多華丸、妻の千代子には富田靖子。
どちらも福岡出身で、監督も福岡を拠点とする江口カン。
俊之は本当にお人好しで、困ってる人を見ると放っておけないタチ。
家に上げて食事をふるまうなんて序の口で、“博多祇園山笠”の運営がピンチと知るや、
店の儲けのすべてを寄付しちゃうほど。でも言うんですよ。
「引き揚げ者だった自分たちを優しく受け入れてくれた福岡の人たちへの恩返したい」と。
もちろん、フィクションの部分も多々あります。
でも、ボロボロの服を着て、ボロボロの靴を履く英子への接し方とか、
もうちょっとした場面で泣けてきちゃいます。昭和って、そんな時代だったんだよなぁ。
ボクはお付き合いもあって、正直明太子は『やまや』さんなんですが(笑)、
俊夫さん(劇中は俊之)の考え方で言えば、明太子が食卓を賑わすなら、
メーカーはどこでもOKですよね(笑)。
その代わりと言っちゃなんですが、☆は満点で!☆5つ。
「映画めんたいぴりり」公式サイト



『バハールの涙』は、事実に基づくストーリー。

夫と息子と幸せに暮らしていた、女性弁護士のバハールでしたが、
クルド人自治区に住む家族のもとに帰省した時に、
IS(イスラミックステート)の襲撃を受けます。
男性は殺され、女性と少女は“性奴隷”に。
少年は戦闘員養成の施設に入れられてしまいます。
バハールも夫を殺害され、息子と引き離されましたが、
再会を誓うことで、屈辱の日々を生き抜きます。
ある日のこと、TVでクルド人自治区の女性代議士、
ダリア・サイードのインタビューを目にしたバハール。
「必ず助け出すから、なんとか私に電話して」と、ダリアは強く訴えていました。
バハールは命がけでダリアに電話をかけ、ISの施設からの脱走に成功します。
バハールは、息子を救い出したい一心で、戦うことを決意。
女性戦闘員で構成された“太陽の女たち”に参加するのでした…。

2018年のノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドが、自らも性暴力の被害者として、
女性の救済を訴え続けていたのも、記憶に新しいと思います。
この映画も実際に起きたISによる大量虐殺に着想を得た作品。
実はこの映画にはもうひとりの主役が。片眼の女性ジャーナリスト、マチルドです。
彼女もまたジャーナリストの夫を紛争地で亡くし、自身も片眼を失ない、
愛する娘を国に残しての戦争取材。
強い信念と使命感が、マチルドを戦地へと赴かせていたのです。
そんなマチルドがバハールと出会う。立場は違えど、似た境遇に心を通わせるふたり。
バハールは部隊の隊長になり、女性戦士を率います。
実際にたくさん組織されている女性戦闘員部隊。
イスラムの教えには「女性に殺されたら天国には行けない」
という定義があるようで、これが強い武器にもなっているそう。
バハールの人物像は、エヴァ・ウッソン監督が自ら取材した
クルド人自治区の女性戦闘員たちの実体験から出来上がったそう。
マチルドのモデルは、実在の片眼の女性ジャーナリスト、メリー・コルヴィンと、
ヘミングウェイの3番目の妻で従軍記者だったマーサ・ゲルホーン。
平和な日本にいると、まったくわからない過酷な現実が、
世界にはあるんだというのを知る1本です。☆5つ。
「バハールの涙」公式サイト



『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』は、
ラブホテルを舞台にした密室群像劇。

歌舞伎町のラブホテル。
刑事の間宮は、勤務中にもかかわらず、デリヘル嬢の麗華を指名。
その行為を録画しようと、こっそりビデオカメラをセットします。
間宮は麗華に弱みを握られていて、横領した金を貢いでいました。
そこに、間宮の妻で、婦人警官の詩織が突然の乱入。
デリヘル嬢そっちのけで始まる夫婦喧嘩。
すると、ヤケになった間宮が麗華を銃で射殺してしまいます。
死体の処理に呼ばれたのは、間宮が弱みを握っているヤクの売人ウォン。
遂には、麗華が時間になっても戻らないのを不審に思った
デリヘルのマネージャー小宮がやってきたのです…。

監督、脚本は自らも俳優の宅間孝行。まるで舞台を見ているような映画で、
設定が設定だけによく考えたなぁと思うストーリーです。
次から次へと、関係性と優位性が変わるので、着いていくのが少々大変(笑)。
前に戻って整理しようとすると、逆に置いていかれちゃうからご注意を。
騙し、騙され。それは見ている観客も然り。
映画館の灯りがつくまで、席を立たずにスクリーンに注目していて下さい。
絶対ですョ!☆3つ。
「LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.1.11

『君から目が離せない〜Eyes on you〜』☆☆☆☆
『緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ゲラー』☆☆
『蜘蛛の巣を払う女』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


年が明けてすぐに来る3連休。休みボケが抜けたと思ったら、またですもんね(笑)。
感性が鈍らないよう、映画で刺激をいっぱいもらってはいかがですか?
さ、今週は3本です!



『君から目が離せない〜Eyes on you〜』は、
山崎まさよし初主演作『月とキャベツ』の続編的映画。

売れない劇団員の健太。
ヨガ教室のティッシュ配りのアルバイトをしていたのですが、その教室の、年上の女性講師に一目惚れ。
健太はヨガ教室に入会します。
彼女の名前は麻耶。思い切ってデートに誘うと、一緒に食事には来てくれるものの、そこから先には進めず。
実は、麻耶にはある事情があったのです。
劇団から人気俳優になった廣畑が、麻耶が女優だったことを知っていて、
健太に彼女の出演作、『惑星とレタス』を見せるんですね。
麻耶を劇団の次回作に出演するように誘う健太。
了承し、舞台に上がった麻耶でしたが、突然「ふたりで会うのはもう辞めよう」と健太に告げます。
千秋楽の舞台で、よろけた麻耶を助けようと、自らが怪我を負ってしまう健太。
入院先の病院で、眠り続ける健太の脇にずっと付き添っていた麻耶でしたが、
健太が目覚めると麻耶の姿はありませんでした。
健太は麻耶を探しに、麻耶の故郷へと向かったのでした…。

篠原哲雄監督、山崎まさよし主演作の『月とキャベツ』。
1996年の公開ですから、もう22年も前の作品。
でも、今も群馬県の中之条町で行われている“伊参映画祭”では第1回から上映されていて、
昨年秋で18年連続上映という人気作なんです。
ちなみにボクも出てるんですョ。冒頭のカーステレオから流れてくるDJの声。
篠原哲雄監督がボクに出番を作ってくれました。
エンドロールに名前を見つけた時は、メチャメチャうれしかったです!
その『月とキャベツ』のスタッフが集結。
主演は当時のヒロイン役だった真田麻垂美と、新人の秋沢健太朗。監督はもちろん、篠原哲雄。
さらにすごいのが、何と、あの山崎まさよしがこの映画のために新曲を書き下ろしてくれたという!
きっと彼にとっても特別な映画だったということなのでしょう。
“続編的”とは言いましたが、ストーリーが完璧に繋がってる訳ではなく。
ただ、『月とキャベツ』を知っていると、「ん?もしかして…」と遊び心を感じることが出来るかも。
なんたって、『惑星とレタス』ですから(笑)。
1月12日からシネマート新宿にて、2週間限定のロードショーです。お見逃しなく!☆4つ。
「君から目が離せない〜Eyes on you〜」公式サイト



『緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ゲラー』は、
CS放送で人気のオカルト番組の映画版。

昭和から平成にかけて、様々なオカルトが世間を駆け巡りました。
中でも、代表的な3つのテーマについて、それぞれを得意分野とするオカルト研究家が、
これまで以上の情報を収集して、披露。
ネッシーはいるのか?ノストラダムスの大予言とは一体?
スプーン曲げにトリックはなかったのか?ユリ・ゲラーを超える超能力者は存在するのか?
あまり語っちゃうと、ネタバレになっちゃうから、こんなところで止めておきますが、
ごめんなさい、あまり真新しい感じはしなかったかなぁ…。
ただ、試写会場の映写機が壊れて、開始時刻が大幅に遅れたのですが、
別の試写会でもトラブル続発だったとか。
宣伝の担当氏は「きっと何かの陰謀だと…」。うまいっ。
ボクの☆の数が少ないのも、もしかすると何かの陰謀かも(笑)。☆2つ。
「緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ゲラー」公式サイト



『蜘蛛の巣を払う女』は、『ドラゴン・タトゥーの女』シリーズ最新作。

背中にドラゴンのタトゥーを入れた天才ハッカー、リスベット・サランデル。
新たな仕事は、世界的権威である科学者からの依頼。
彼が開発した、世界中の防衛システムにアクセスし、
核攻撃プログラムを操れるソフトウェア“ファイヤーフォール”を自ら破壊するため、
アメリカの国家安全保障局(NSA)から取り戻したいというものでした。
リスベットはNSAのシステムに侵入し、暗号を盗み出すことに成功するのですが、
一連の行動を事前に察知していた闇の組織“スパイダーズ”に襲われ、
リスベットは暗号データを盗まれてしまうんですね。
そして彼女は衝撃の事実を知ることになります。
“スパイダーズ”の首領は、なんとリスベットの双子の妹、カミラだったのです…。

デヴィッド・フィンチャー監督の『ドラゴン・タトゥーの女』から3年後のストーリー。
それが『蜘蛛の巣を払う女』。
今回、デヴィッド・フィンチャーは製作総指揮に回り、フェデ・アルバレス監督がメガホンを取りました。
主演女優もクレア・フォイに代わり、物語はリスベットの少女時代から始まります。
忌まわしい過去。父親の裏の顔。双子の妹は死んだと話すリスベット。
今作では、なぜこんなクールなキャラクターが出来上がったのかという背景を知ることが出来ます。
残忍なのにスタイリッシュ。
現代社会に実在したら、間違いなく女性の心強い味方になっていることでしょうね。
リスベットの黒に対し、妹カミラの鮮烈な赤が脳裏に突き刺さります。
楽しめると思います!☆4つ。
「蜘蛛の巣を払う女」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2019.1.4

『迫り来る嵐』☆☆☆☆
『ホイットニー〜オールウェイズ・ラヴ・ユー〜』☆☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


新年あけましておめでとうございます。
年始にあたり、昨年2018年の、個人的なベスト3作品を発表したいと思います。

『さよならの朝に約束の花を飾ろう』
『ゆずりは』
『あいあい傘』

順不同です。アニメもありますが、どれも家族の物語。すっごく泣ける映画たちです。
たぶん、父の入院、高齢の母の姿など、自分の日常に重なる部分が大きいのかなとも思います。
でも、映画の見方って、ボクはそれでいいと思ってるんですね。
かけられたお金や、人の評価に惑わされることなく、自分がいいと思ったら、
胸を張って「いい映画だったなぁ」と。
このコラムも、そんな映画との出逢いのきっかけになればと思ってます。
今年もご愛読よろしくお願いします!
さ、今週は2本です!



『迫り来る嵐』は、中国映画。

とある地方の町に立ち並ぶ、古い国営製鋼所。
ユィはこの製鋼所の保安部の警備員として働いていました。
実は最近、このあたりで若い女性の連続殺人事件が起きていて、
ユィは自分が犯人を捕まえてやろうと、刑事でもないのに捜査に首を突っ込むんですね。
土砂降りの雨の日のこと。張り込み中のユィは、犯人と思しき不審な男を発見し、
追いかけるのですが、あと一歩のところで男を取り逃がしてしまいます。
その際、ユィを師匠と慕っていた部下を亡くしてしまいます。自責の念にかられるユィ。
しかし、その後も続く殺人事件。
ユィは自分の恋人をも巻き込み、取り憑かれたように捜査を続けるのでした…。

独特の、暗く、じめっとしたトーンに覆われた作品です。
舞台は1997年。香港の返還も近づき、国全体が経済発展に舵を切り始めた中国。
ここでは、置いていかれそうな地方都市の閉塞感が全体を覆っていて、
それがずーっと降り続く雨にも表れていると。
そんな中、ひとりの警備員が刑事気取りで連続猟奇殺人の犯人探しに躍起になる。
その行動はエスカレートしていき、様々な悲劇を巻き起こしてしまいます。
ユィが追いかけていたのは何だったのか。
最後まで気持ちの晴れない映画ですが、それこそがこの映画の“答え”なのかもしれません。
監督は、これが長編デビューとなるドン・ユエ。
ま、見てみて下さい。言葉ではその良さを言い表しづらいのですが、
あちこちに散りばめられた伏線や仕掛けに気付くと面白さが増す、
社会派のサスペンス映画と言ってもいいでしょう。☆4つ。
「迫り来る嵐」公式サイト



『ホイットニー〜オールウェイズ・ラヴ・ユー〜』は、
一時代を築いた歌姫の生涯を追った、ドキュメンタリー映画。

1963年、ニュージャージー州ニューアークに生まれたホイットニー・ヒューストン。
母はソウル・シンガーのシシー・ヒューストン、
叔母も人気歌手だったディオンヌ・ワーウィック、ディー・ディー・ワーウィック。
そんな環境に生まれ育ったホイットニーが歌に親しんでいくのは当然のことで、
11歳の時に聖歌隊に入隊。
神に与えられたその声は、1985年のデビュー・アルバム『そよ風の贈りもの』で
世界中から絶賛を浴び、シングルは7曲連続で全米チャートの1位に。
一躍トップスターの座に登り詰めたホイットニーは、その後もヒット曲を連発。
1992年には、当時人気歌手だったボビー・ブラウンと結婚。
愛娘も誕生し、幸せの絶頂にいたのですが…。
夫婦の間にできた深い溝、そして離婚。実父との訴訟問題。
深刻な薬物依存。娘の死。
そしてホイットニー自身も、2012年2月11日にホテルの浴槽で、遺体となって発見されます。
48歳の若さでした。
大量の資料を集め、入念な取材を積み重ねたことがよくわかる内容で、
ファンにとってはショッキングな事実を知ることにもなります。
一方で、彼女の人柄や優しい素顔も垣間見え、
スキャンダラスな部分だけがクローズアップされた晩年を、きっと理解することができると思います。
“運命のいたずら”とでも言うのでしょうか。
良かれと思った行動が、裏目、裏目に出る。人生のプラスとマイナスの振れ幅が一緒だとしたら、
成功もほどほどでいいかなとも思ってしまうほど、
スーパースターならではの逃れられない苦しみが、
彼女を追い詰めていたのは間違いありません。
肉親や元夫など、身近な人々も登場し、よく出来たドキュメンタリー映画です。満点!☆5つ。
「ホイットニー〜オールウェイズ・ラヴ・ユー〜」公式サイト