週末公開の映画……2018.2.24

『さよならの朝に約束の花をかざろう』☆☆☆☆☆
『ナチュラルウーマン』☆☆☆
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』☆☆☆☆
『レオン』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


深夜に立ち寄る美味しいラーメン屋さん。映画好きの大将と一杯やりながら映画談義。
「60歳になったから、映画がいつでも1100円なんだよね」とうれしそうでした。
確かにドリンクやポップコーン代が出ちゃいますもんね(^-^)。
ボクはもう少し先かな。待ち遠しいかどうかは、微妙なところですが(笑)。
さ、今週は4本です!


『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、アニメ映画。

数百年の寿命を持ち、歳を重ねても、少年、少女の姿のままに生きるイオルフの民。
ところが、穏やかに暮らしていたイオルフの村に、
長寿の血を求め、メザーテ軍が攻め込んできたのです。
両親のいないイオルフの少女マキアは、
逃げる途中で自分と同様に親を失くした人間の赤ちゃんを助けるんですね。
マキアはその子にエリアルと名前を付け、我が子のように愛情たっぷりに育てていきます。
次第にエリアルは少年になり、青年に成長、そして大人になっていく。
一方、いつまでも少女のままのマリーナ。
元々血の繋がりのないふたりの関係。
母子の間が、ギクシャクしたものに変わっていくのは宿命なのでしょうか…。

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、
『心が叫びたがってるんだ。』などの脚本を手掛けた岡田麿里が、
初めて自らメガホンを取った、監督デビュー作です。
イオルフの民は“別れの一族”と呼ばれています。
なぜならば、長過ぎる命ゆえ、愛したものは皆、先立ってしまうから。
長老からマリーナは、「イオルフの外に出たら、人を愛してはいけないよ」と言われていたのですが、
ひとりぼっちの人間の赤ちゃんだったエリアルと出会ってしまったマリーナは、
長老の言葉に逆らう道を選ぶのです。
エリアルは、最初はお母さんが大好きな可愛い男の子。マリーナも愛情を惜しみなく注ぎます。
でも、反抗期がやってくる。キツい言葉もぶつけるようになる。
親離れしたくなるエリアルに、わからず、戸惑うマリーナ。
でも、エリアルはちゃんとわかってる。マリーナが注いでくれた愛情を。
もう号泣でした。今、この文章を打ちながらもウルウルしてきちゃう(笑)。
あまり親孝行じゃないボクは、エリアルに自分を重ねちゃいました。
映画を見た後で母親の顔が見たくなって、照れくさかったけど、
「ある映画を見たら、おふくろの顔が見たくなって来たんだよ」と、
ぶっきらぼうに話してサッと帰りました(笑)。
親が子に与える無償の愛って、すごいですよね。
時に確かに重いけど、こんなにすごいものって、他にないと思います。
ハンカチ持って劇場へ(笑)。あなたも大切な誰かに会いたくなると思いますョ。
個人的思いがたっぷりですが、満点の☆5つ。
「さよならの朝に約束の花をかざろう」公式サイト



『ナチュラルウーマン』は、自分らしく生きることとは何かを描いたヒューマン・ドラマ。

チリのサンディエゴでウェイトレスをしながら、
ナイトクラブで歌うマリーナは、トランスジェンダー。
その日は年の離れた恋人、オルランドの誕生日。
ふたりは家に戻って、愛し合うのですが、オルランドの体調が急に悪くなり、
玄関を出ると階段から転げ落ち、頭を打って意識を失ってしまいます。
病院で死亡が確認され、あまりに急過ぎる不幸な出来事に、動揺を隠せないマリーナ。
後日、オルランドの元妻、息子、さらには性犯罪捜査の刑事までもがやってきます。
そう、オルランドの死に、マリーナの関与を疑っていたのです。
トランスジェンダーであるがゆえの理不尽な疑念に、マリーナは毅然と立ち向かうのですが…。

マリーナを演じたのは、自身もトランスジェンダーの、チリの歌手ダニエラ・ヴェガ。
某国の大統領が、マイノリティと呼ばれる人々に不寛容な施策を掲げる今、
この作品はまさにタイムリーと言えるのかもしれませんね。
試写状の写真もそうでしたが、おそらく一番印象に残るのは、
強い逆風の中、それでも前に進むマリーナの姿。
鑑賞後には、泣ける類の感動とはまたちょっと違った思いが湧き上がるかと思いますョ。☆3つ。
「ナチュラルウーマン」公式サイト



『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は、ソフィア・コッポラ監督最新作。

19世紀半ば、南北戦争の真っ只中にあるアメリカのバージニア州に、
事情があって家に帰ることの出来ない少女が暮らす、女子寄宿学校がありました。
園長と教師、そして5人の女生徒たち。静かだった男子禁制の学園に、思わぬ客が訪れます。
キノコを採りに行ったエイミーが、負傷した敵の北軍兵士を発見。
手当てをするために、学園に連れてきたのです。
キリスト教の精神から、回復するまで面倒を見ると決めるのですが、
男性兵士にみんな興味津々。学園の規律が破られるのは、時間の問題でした…。

女性ばかりの“女の園”に、男性がひとり。
さぞかしパラダイスだろうと思うのですが(笑)、この映画の中でも、最初はそう。
兵士は紳士的に振る舞い、欲望を抑えていたけれど、徐々に我慢が利かなくなる。
女性たちもみんなオシャレをしたりして、自分をアピールし始める。
均衡が崩れると、嫉妬ややっかみが生まれ、女性たちの間に、今までになかった感情が芽生えてくる。
それを資料では“女性たちの獰猛な本能”と表現しています(笑)。
と、同時に“極上のスリラー”ともあり、なるほど言い得て妙だなと。
園長役はニコール・キッドマン。
『アイ・アム・サム』の娘役(当時2歳!)だったエル・ファニングも生徒役で出演。
大きくなりました。
女性はニヤリと、男性はゾクッとする1本だと思います。☆4つ。
「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」公式サイト



『レオン』は、知英、竹中直人主演のコメディ映画。

創業30年の朝比奈フーズは、有機野菜にこだわり、大成功を収めた食品会社。
社長は、セクハラもお構いなしの朝比奈玲男。年商500億円の超ワンマン社長です。
その朝比奈フーズで、派遣社員として働いていたのが小鳥遊玲音。
ルックスもスタイルも抜群なのに、超ネガティブな思考が祟って、
周りの男性社員からは“ムダパイ”と呼ばれていたのです。
そんなふたりに事故が起きます。
初めての男性に弄ばれたのがわかり、激落ち込みで道を歩いていた玲音に、
朝比奈社長が運転していた車が突っ込んだのです。
救急車で病院に運ばれたふたりは、何とか一命を取り留めたのですが、気が付くと何かがおかしい。
そう、社長と玲音の体が入れ替わっていたのでした…。

男女が入れ替わる。
題材としては決して目新しくはないのですが、描き方が面白い。
朝比奈社長は女になった自分を楽しみ、美しさに磨きをかけて、キャバ嬢になるんですね。
社長には、将来会社を任せようと思っている甥の政男(ジャングルポケット斉藤慎二)がいるのですが、
その政男がキャバクラで玲音を気に入って秘書にする。
でも、その実、玲音は玲男おじさんなわけで。
キスをしようと迫るシーンでは、“実際はこんな感じ”と、
女装した竹中直人が政男とキスをしようとする画が映る(笑)。
バカバカしいけど笑える作品です。
老舗食品会社でも陰謀が渦巻いていたり、お弁当作りが上手い玲音に思いを寄せる男性社員がいたり。
ドタバタ劇の結末やいかに?それは劇場で確かめて下さい。
声を出して笑えるところに加点して、☆4つ。
「レオン」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.2.17

『グレイテスト・ショーマン』☆☆☆
『サニー/32』☆☆☆
『チェリーボーイズ』☆☆
『長江 愛の詩』☆☆☆
『リバーズ・エッジ』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


ハリウッドの超話題作など、試写によっては、事前に携帯電話を預ける場合があります。
盗撮防止のためです。
先日見た映画もそうだったのですが、カバンの中を見せ、ガラ携を手渡すと、
「1台だけですか?」と、怪訝そうに係員。
スマホと2台持ちを疑われたんだと思いますが、ボクはガラ携しか持ってませんから(笑)。
世の中にはそんな人も、まだまだいるんですョ(-_-;)
さ、今週は5本です!



『グレイテスト・ショーマン』は、実在した伝説の興行師の人生を描いたミュージカル映画。

19世紀半ばのアメリカ。
野心家のP.T.バーナムは、幼なじみでお金持ちの娘チャリティと駆け落ち同然で結婚。
彼女を幸せにしたい一心で頑張るのですが、なかなか上手くはいきません。
そのうち二人の娘にも恵まれます。
当時は芝居や音楽というのが、まだ上流階級のものだった時代。
そこでバーナムは、一般市民向けの娯楽をと考え、才能に溢れながらも、
差別や偏見から表に出てこられなかったパフォーマーたちを集め、
サーカスをスタートさせるんですね。
これには街の人から多くの反対も受けましたが、見に来た客からは拍手喝采。
遂には、イギリスのヴィクトリア女王からもお声が掛かるほどに。
女王に謁見したバーナムは、そこで美しいオペラ歌手のジェニー・リンドと出会い、
ジェニーのアメリカ公演を任せて欲しいと交渉します。
これが上手くいけば、必ず世間が自分を認めてくれるとバーナムは考えたのです。
バーナムはジェニーの公演に全力を注ぎ、サーカスや家族のことは二の次に。
その結果、固かった団結が綻び始めるのでした…。

ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル。
『ラ・ラ・ランド』で2016年度のアカデミー賞主題歌賞を受賞した、
ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが音楽を担当しているのも話題のひとつです。
ただ、のりしろがざっくりというか、
人の心の移ろいなどがもう少し繊細に描かれていればなぁというのが正直なところ。
おそらく“実在の”という前情報がなければ、結構粗く見えるはずです。
でも、音楽が確かにいいんですョ。場面、場面で切っても確かにクオリティは高い。
それがそのあたりのマイナス部分も補っているかなという感じです。☆3つ。
「グレイテスト・ショーマン」公式サイト



『サニー/32』は、白石和彌監督、北原里英主演作品。

新潟で中学教師をしている藤井赤理は、今日が24歳の誕生日。
ところがこの夜、赤理は二人組の男に拉致され、雪深い山奥の廃屋へと連れて行かれたのです。
男たちは赤理を“サニー”と呼び、「ずっと会いたかったんだ」と言いながら、
ビデオカメラを回し続けます。
“サニー”とは、今から14年前、11歳の女子小学生が、同級生の女の子の首をカッターで切って殺害。
被害者はもちろん、加害者の写真もネット上に出て、
そのルックスから“犯罪史上もっとも可愛い11歳の殺人犯”と話題になった女子の俗称です。
右手の指を3本、左手の指を2本の決めポーズから、
“32=サニー”と呼ばれるようになっていました。
男たちは、“サニー”に可愛らしい衣装を着させて、特設サイトにリアルタイムで動画をUP。
赤理は脱出を試みますが、それも叶わず。
するとこの廃屋に、続々と“サニー”目当ての人間が集まって来たのです…。

『彼女がその名を知らない鳥たち』などで知られる白石和彌監督が、
『凶悪』でタッグを組んだ高橋泉のオリジナル脚本を映画化。
現代の“闇”と“病み”がいっぱいに詰まったジェットコースター・サスペンスです。
廃屋には、いろんな目的で“サニー”に会いたい人が集まって来る。
盲信的なファンはもちろん、「殺してやりたい」という人間もいるわけで。
ここから狂気のドラマは始まっていきます。
でも、そもそも赤理は本当に“サニー”なのか?すべての謎は最後に解けます。
リリー・フランキー、ピエール瀧、門脇麦など、アクの強い役者たちが脇を固めています。
話題になることは間違いないでしょう。☆3つ。
「サニー/32」公式サイト



『チェリーボーイズ』は、童貞3人組が巻き起こすドタバタ劇。

国森、吉村、高杉の3人は幼なじみの25歳。みんなまだ女性経験がありません。
付いたあだ名がそれぞれ、クンニ、ビーチク、カウパー。
頭の中はセックスのことばかり。
そんな中、バンドをやるために上京していた国森が、実家の父が倒れたことで帰郷。
3人は久々の再会となりました。
武勇伝を語る国森でしたが、全部ウソ。実はバンドすらやっていなかったのです。
みんなコンプレックスを抱え、風俗に行く勇気もない。
ならば町で一番の尻軽女に頼むしかないと。
東京で風俗嬢をしていたと噂の釈笛子を襲おうと、3人はマスクを被り、
車の中で笛子を待ち伏せするのですが…。

原作は01年発表の古泉智浩の同名コミック。
エッチなテーマと、試写状にあった“池田エライザ(釈笛子役)の体当たり演技”という文字に、
映画の3バカトリオ以上に胸踊らせて試写を見に行ったのですが、
「体当たってないじゃん」と、ちょっとガッカリ(笑)。
ま、何をして体当たりと言うかなんですけどね(苦笑)。
いろんな意味で、行き切れてない感じが否めなかったかなぁ。
それがまさに“童貞感”なんだと胸を張られたら、
「おっ、深い!」となるんですけどね(笑)。☆2つ。
「チェリーボーイズ」公式サイト



『長江 愛の詩(うた)』は、アジア最長の川・長江を舞台にした映画。

ガオ・チュンは亡くなったばかりの父の跡を継ぎ、古い貨物船“広徳号”の船長になります。
ある晩のこと、双眼鏡を覗いていたガオは、ひとりの女性を見つけます。
ガオはその女性のことが気になって仕方ありません。
そんなガオに最初に来た仕事。それは希少種の魚を長江のはるか上流まで運ぶという“裏”の仕事でした。
長江をさかのぼって船を走らせるガオでしたが、途中であの女性と何度も再会するんですね。
彼女の名はアン・ルー。
実は、ガオは船の機関室で、亡くなった父が書いた『長江図』という詩集を発見していて、
その詩に書かれた長江沿いの土地に行くと、なぜかアン・ルーと出会うという。
アン・ルーは実在するのか、それとも幻なのか。ガオにもわからなくなっていたのです…。

チベット高原から中国大陸を西から東へと流れる、全長6300キロの悠久の大河。それが長江です。
ガオはそれをさかのぼって行きます。まるで時間を巻き戻すかのように。
アン・ルーは、会う度に若返っていくという、不思議な女性。父の詩集との関連性も謎です。
この映画は、見る側が余白を考える作品のようで、墨絵のような抽象画とでも言いましょうか。
一度見ただけだと、ボクのような凡人には、正直ピンと来ないところがありました。
ただ、長江の眺望はさすがです。これを見るだけでも価値があるかもしれません。
ストーリーは置いておいて(失礼!)、映像美に☆3つ。
「長江 愛の詩(うた)」公式サイト



『リバーズ・エッジ』は、1993年の岡崎京子の衝撃のコミックを実写映画化したもの。

女子高生の若草ハルナは、恋人の観音崎が執拗にイジメる山田を助けたことで、
山田から夜の河原へと誘われます。
「若草さん、今晩ヒマ?僕の秘密の宝物、教えてあげる」。
そこにあったのは、放置された死体でした。
「これを見ると勇気が出るんだ」。
実は、この死体を同様に宝物にしているのが、後輩でモデルのこずえ。
ハルナは戸惑いながらも、3人と奇妙な友情で結ばれていきます。
こずえは大量に食べては指を突っ込んで吐き出す毎日。
山田はゲイで体を売っているのに、好きでもないカンナから告白され、付き合っている。
観音崎はハルナの目を盗んで、同じクラスのルミと校内で体の関係を持つ。
やり切れない10代の若者たちは、みんなモヤモヤしたものを溜め込んでいたのでした…。

原作は1993年に雑誌『CUTiE』で連載されていたコミックですから、今から25年も前の作品。
でも、まるで預言書のように今の時代を映し出していると言っても過言ではないタイムリーさがあります。
ひとつには、いつの時代の若者にも共通する、鬱屈した“何か”があるということなのでしょう。
物質的に恵まれた時代であっても、見えない将来に対する不安や、
今感じている空虚な気持ちは拭えないんでしょうね。
監督は行定勲。劇中で3曲、昭和歌謡が使われてます。
「僕は特急の機関士で」、「お座敷小唄」、「東京のバスガール」。行定監督のお遊びなのでしょうか?
また、ハルナ役の二階堂ふみが、まさに体当たりの演技。
こちらも話題になると思いますョ。☆4つ。
「リバーズ・エッジ」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.2.9

『犬猿』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、アニメ映画を見て、その後続けて別の作品を見たのですが、
次の試写を待っていた男性が、「前は何?」と次の映画のプロモーター氏に。
「なんかアニメみたいですよ」と答えると、
「アニメか。俺はアニメなんて映画じゃねぇと思ってるんだよ」。
クソみたいな男でしょ?関係者もまだ残ってるのに。
そんなデリカシーの無い人間が映画を語ってるかと思うと、腹が立ちますよね。
大御所だか何だか知らないけど、少し考えた方がいいと思います。
さ、今週は1本です!



『犬猿』は、2組の兄弟、姉妹が織りなすヒューマン・ドラマ。

町の印刷会社で働く営業マンの和成。
父親が保証人になって作った借金を返しつつ、老後の貯えをするという堅実な青年です。
和成の地味で平凡な暮らしに変化が訪れたのは、強盗の罪で服役していた兄・卓司が刑務所から出所し、
和成のアパートに居候を決め込んでから。
凶暴でトラブルばかりの卓司は、出所後もやりたい放題。
でも、和成は何も言えず、黙っているだけでした。
一方、和成が仕事を依頼する小さな印刷所の社長が由利亜。
倒れた父の跡を継ぎ、仕事と介護をテキパキこなす女性でしたが、
小太りで美人とは言えないルックス。
そんな由利亜には巨乳で、芸能の仕事もかじっている妹の真子がいました。
普段は印刷所を手伝う真子でしたが、
さほど仕事も出来ないのに出入り業者の男性たちにチヤホヤされる。
それを見ている由利亜は面白くない。
実は、由利亜は和成に恋心を抱いていたんですね。
ところが、自分の知らない間に、和成は真子と付き合い始めていたのです。
メラメラと燃え上がる嫉妬の炎。
その間、卓司は怪しい輸入業を始め、これが大当たり。
「自分はコツコツやってて、苦しいことばかり。兄貴はなんでっ」。
和成の中にも、憎しみの気持ちが溢れ出すのでした…。

吉田恵輔監督のオリジナル脚本。
和成に窪田正孝、卓司には新井浩文。由利亜にニッチェの江上敬子、真子には筧美和子。
なんとなくイメージの湧くキャスティングでしょ(笑)。
兄弟も、姉妹も、ライバルになるところがある。
他人なら、イヤだったら切ればいいけど、血の繋がりは切れない。
だからこそやっかいな、それでいて温かい関係。
親子ともまた違った、人間関係としては、振れ幅が一番大きな存在かもしれません。
映画の中でも描かれてますが、子供の頃と大人になってからとでは、関わり方が変わってくる。
個として成長すれば、それは当たり前のことなんですけど。
この映画はそんな兄弟、姉妹の四つ巴の物語。
自分もそうですが、得てして兄は、子供のまんま成長するわがままな生き物のよう。
ちょっと心が痛みました(笑)。☆3つ。
「犬猿」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.2.2

『巫女っちゃけん。』☆☆☆

先週、実は体調を崩しまして。インフルエンザを心配し、病院へ。
鼻で検査をしたら陰性。喉で検査をしても陰性。ただの風邪だったようで。
それでも、試写会はお休み。その間に何本かは最終試写が終わってしまいました。
気になるんですよねぇ、見逃した映画って(笑)。
まだまだ寒い毎日です。体調管理に気をつけましょう。
さ、今週は1本です!



『巫女っちゃけん。』は、神社エンタテインメントムービー。

夢や希望もなく、将来の見えない女性、しわす。
短大を卒業し、一度は就職したものの、すぐに退職。
今は父が宮司を務める神社で巫女のアルバイトをしています。
「仕事が決まったら、すぐに辞めてやる」が口グセになっていましたが、
やりたいことなど何もないしわすに、生活を変えるパワーなどなく。
ただただ悪態をつきながら、グダグダと神社で働いていたのでした。
そんなある日のこと、神社でボヤ騒ぎや賽銭泥棒が起こります。
夜廻りの結果、境内に隠れていた犯人を捕まえるのですが、なんとその犯人は5歳の健太という男の子でした。
何を聞いても口もきかない健太を、しばらく神社で預かることになり、しわすが健太の世話役を命じられます。
渋々引き受けるしわすでしたが、あまりの悪ガキぶりにホトホト手を焼いていたところ、
ようやく母親が健太を迎えに来ます。
これで一件落着かと思いきや、数日後、また境内に健太が隠れていたのでした。
それも顔にアザを作りながら…。

舞台は福岡県にある宮地嶽神社。
よくロケを許したなぁという感じもありますが(笑)、
神社のあれこれを知ることが出来るという意味ではいいのかもしれませんね。
しわすを演じたのは広瀬アリス。
しわすには幼い頃、母親が出て行ったというトラウマがあります。
健太の母親が健太をほっぽらかしにしているのは明白で、
ましてや暴力まで振るっているのが許せません。奇妙な凸凹コンビの今後やいかに?というお話。
神職に奉じる人間が口にする言葉とは思えないセリフが、あえてたくさん出てきます。
現代に生きる若者の鬱屈したマグマがそこに溜まってるかのようですが、
一見バチ当たりな舞台設定にこそ説得力が出るということなんでしょうかね。
もう少し常識ある登場人物たちでもよかったんじゃない?と個人的には思ってしまいますが。
ご覧になって判断してみて下さい。☆3つ。
「巫女っちゃけん。」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.27

『風の色』☆☆☆
『ザ・リング リバース』☆☆☆
『ダークタワー』☆☆☆
『ちょっとまて野球部!』☆☆☆
『デヴィッド・リンチ:アートライフ』☆☆☆
『デトロイト』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

試写を行う映画会社の中には、予約制のところがいくつかあって、
人気の作品は告知と同時に埋まってしまいます。チケットで言えば“即完”。
でも、諦めずに、マメにチェックしてると、たまにキャンセルが出るんですョ。
すかさず予約!取れた時のうれしさは格別なものがあります。
今年も早速1本ありました。試写はもう少し先ですが、今から楽しみです!
さ、今週は6本です!



『風の色』は、日韓合作映画。

東京のマジックバーのマスターから“箱”を受け取る無職の青年・涼。
その箱は100日前に、涼がとある老夫婦に預けたものだと説明を受けるのですが、
涼にはその覚えがまったくありません。
しかし箱の中には、突然消息を断ち、涼の前から消え、
母親から死亡を告げられた、恋人・ゆりとの思い出の品が詰まっていたのです。
それから涼はマジシャンを目指すんですね。
ある日のこと、2年前の水中脱出マジックで行方不明になった天才マジシャンの隆が、
まるで自分と生き写しであることに気付きます。
それと同時に、ゆりが生前、「私たちはまた会える」と言っていたのを思い出し、
言葉を紡いで辿り着いた場所、北海道へと向かうことにしたのです。
そこで出会ったのは、なんとゆりとそっくりの女性・亜矢でした。
驚いたことに、亜矢は隆の元恋人で、行方不明になっていた隆との再会を夢見ていたと言うのです。
ふたりはえもいわれぬ感情で、運命に導かれるかのように結ばれていくのでした…。

監督は韓国、中華圏を始め、世界中で人気の“ラブ・ストーリーの巨匠”クァク・ジェヨン。
脚本も彼のオリジナル・ストーリーです。
実は、あらすじはあくまで“さわり”。
これだと単なるパラレルワールドの住人が出会った奇跡みたいに思うでしょ?
いや、この映画はちょっと違うんです。そこがスゴい。
涼と隆、ゆりと亜矢。それぞれの関係性に「なるほど…」と唸らされると思います。
で、そこから始まる恋愛物語。
☆の数がもうひとつ少ないのは、もう1回観たほうがストンと落ちる人が多いんじゃないかなと思って。
ボクの理解力の低さに皆さんを合わせるなと怒られそう(笑)。
いやいや、誤解なく。
1回でちゃんとわかるんだけど、もう1回観たほうが確実に腑に落ちると思います。
こんなストーリーを作れる才能がうらやましいと、素直に思います。☆3つ。
「風の色」公式サイト


『ザ・リング リバース』は、日本を代表するホラー映画のハリウッド・リメイク版。

「呪いのビデオを見た者は、7日後に必ず死ぬ」。
そんな呪いのビデオを見てしまったジュリアの身の周りに、奇妙な出来事が頻発。
ジュリアも自らの命の危険を感じずにはいられませんでした。
助かる方法はただひとつ。ビデオのコピーを取って、誰かに見せること。
ところがジュリアのビデオはコピーが出来ず、逆に新たな映像が加わっていたのです。
命の期日が迫る中、ジュリアは、なんとか呪いのルーツを解き明かそうとするのですが…。

実は、ハリウッドでのリメイクは、これが3作目。
もらったプレス資料には、作品の時系列が並んだ一覧があるのですが、映画はもちろん、
小説にゲームなど、1991年の小説の発刊、1998年の映画の公開以来、
世界中にたくさんの関連作品がリリースされているんですね。
これを見るだけで、このシリーズの人気の高さがわかります。
日本が誇るサブカルチャー・アイテムのひとつですよね。
映画公開から20年の節目となるこの作品は“原点回帰”。
「原作に忠実に」が基本で、そこに現代のエッセンスを散りばめた作りとなっています。
監督はスペイン人の新星、F・ハビエル・グティエレス。
『リング』シリーズのファンだというのが、十分に伝わる1本です。☆3つ。
「ザ・リング リバース」公式サイト


『ダークタワー』は、スティーヴン・キング原作のアクション・エンタテインメント。

NYに住む少年ジェイクは、毎晩同じような悪夢を見ては、うなされ続けていました。
それは夢というより、確かな感覚に近く、目覚めると見たものを絵に描いては、
壁に貼り付けていたのです。
部屋の壁一面に貼られた不気味な絵。
ジェイクの母と再婚した義理の父は、そんなジェイクを疎ましく感じ、
宿泊型のセラピーに送り込もうとするのですが、
自宅に迎えに来た施設の担当者の首に皮膚の継ぎ目がある。
これこそ、ジェイクが夢で見た“悪の証し”だったのです。
ジェイクを愛する母親にさえ、いくら伝えてもわかってもらえないジェイクは、
施設に行くふりをして、家から逃げ出すんですね。
逃げ込んだ廃屋で偶然見つけた異世界への入り口。
“ポータル”と呼ばれる扉を抜けると、そこは“中間世界”というもうひとつの世界。
ジェイクが夢で見ていた世界が広がっていたのです。
そんなジェイクの前に現れたのがガンスリンガーのローランド。
ガンスリンガーとは、拳銃使いの正義の戦士。
ローランドの説明によると、中間世界に建つ巨大な塔“ダークタワー”が複数の世界の均衡を保っていると。
ところが、世界の滅亡を狙う魔導師“黒衣の男”がそのタワーを壊そうとしていると言うのです。
どうやらジェイクは、世界を救うカギを握る少年だったのです…。

タワーの破壊には子供の純粋な心が必要で、捕らえられた子供たちが、
まるで砲弾のように撃ち込まれていく。
黒衣の男の野望のため、ついに中間世界と現実世界の壁が破られ、ジェイクの両親も殺害され、
街の子供たちも連れ去られていきます。
果たして、ジェイクとローランドは世界を救えるのか…というストーリー。
“モダンホラーの帝王”と称されるスティーヴン・キングの原点とも言える小説で、
設定も奇抜だし、ワクワク感も十分。
ただ、うわっと驚くような仕掛けは期待せず、王道のファンタジー・アクションだと思って観れば、
すごく楽しめると思います。
原作が全7部からなる超大作ということで、今作は序章にしか過ぎないのかも?
今後のためにも、スティーヴン・キングファンなら、観ておく必要はありそうです。☆3つ。
「ダークタワー」公式サイト


『ちょっとまて野球部!』は、女性漫画家の人気コミックの映画化。

大堀、秋本、宮田は県立神弦高校の1年生。同級生にして、みんな野球部員という仲良しトリオ。
“3バカ”よろしく、毎日ふざけあっては、楽しい高校生活を送っていたのです。
学校に行くのは野球をするため。
授業は体力温存のための貴重な睡眠時間という大堀は、勉強が大嫌い。
案の定、テストで赤点を取ってしまいます。
それでもヘラヘラしていた大堀ですが、なんと追試の結果もまた赤点。
次の再追試に落ちると、夏の合宿に参加できなくなってしまうのです。
秋本と宮田に下された野球部の先輩たちからの指令、それは大堀の悪ノリに付き合わず、
勉強に集中させろというもの。
ふたりは、今だけ大堀から距離を置こうと決めたのです。
ところが、それを仲間ハズレにされたと勘違いした大堀がスネてしまったから大変!
野球部全体を巻き込んでの大騒動へと発展してしまったのです…。

原作はゆくえ高那の同名コミック。野球部の話なのに、野球は脇に置き、
部活にいそしむ男子高校生の青春ドラマを描くという、
変わったアプローチで人気の作品なんですね。
3人のやり取りが思っていた以上に自然で、この手のバカ騒ぎものって、
ややもするとTOO MUCHで、観ていて途中でお腹いっぱいになっちゃうんだけれど、
この映画に関してはそれがまったくありませんでした。
そんな須賀健太、小関裕太、山本涼介のネクスト・ブレイク俳優たちの演技にも注目です。
原作がそうですから、野球に詳しくなくても楽しめますョ。☆3つ。
「ちょっとまて野球部!」公式サイト


『デヴィッド・リンチ:アートライフ』は、
『エレファント・マン』や『ツイン・ピークス』の監督として知られる
デヴィッド・リンチの半生に迫るドキュメンタリー。

1946年、アメリカ・モンタナ州の小さな田舎町に生まれ育ったデヴィッド・リンチ。
映画監督、脚本家、プロデューサーとして著名ながら、映像作品だけでなく、画家として、
また写真や音楽でも表現活動を続けている“芸術家”でもあります。
そんな彼の幼少期、学生時代、長編デビュー作『イレイザーヘッド』を作るいきさつなどが語られており、
“奇才”と言われる才能や発想の根源が垣間見えてもきます。
やはり、環境って、良くも悪くも大事なんだなぁと。
“三つ子の魂、百まで”とはよく言ったものだと感じてしまいます。
例えば殴り書きのような、過去のちょっとしたものにも、
今の作品に繋がる源流のようなものが見えますからね。
アーティストは、人とちょっと違うぐらいがいいんだなと改めて(笑)。
興味深く観させて頂きました。☆3つ。
「デヴィッド・リンチ:アートライフ」公式サイト


『デトロイト』は、1967年のアメリカ中西部の
大都市デトロイトで起こった事件を映画化したもの。

1967年、夏。デトロイトの酒場で、黒人のベトナム帰還兵を祝う会が行われていました。
そこは無許可営業の店。警察が押し入って小競り合いとなり、大規模な暴動へと拡大。
市は州警察と軍隊をも投入しますが、暴徒と化した黒人たちをなかなか止めることができません。
そんな中、劇場で自分たちの出番を待っていたのは、
地元出身の黒人コーラスグループ“ザ・ドラマティックス”のメンバーたち。
その日はレコード会社の重鎮の前で歌を披露するチャンス。待ちに待った舞台でした。
ところが公演は中断。暴動が大きくなっているからと、警察が中止を勧告してきたのです。
リードボーカルのラリーは失意の中、メンバーの弟で仲良しのフレッドを連れて、
モーテルにチェックイン。
そこで若い白人女性や黒人男性と意気投合するのですが、その中の1人が冗談で、
窓から陸上のスタート・ピストルを数発鳴らしたんですね。
すると警察がすぐさまモーテルを包囲。引いたのは、まさに地獄の夜の引き金だったのです…。

今から半世紀前の事件。
警官の中に、人種差別主義の人間がいて、黒人男性を射殺。
正当防衛のアリバイ作りにナイフを置き、銃の在処を吐かせるため、
居合わせた若者たちは1Fの廊下に立たされます。
無い銃ですから、出せと言われても出せるはずがない。あり得ないほどの暴力と侮蔑。
思わぬ行き違いから死者も増えていく。恐怖に震える若者たち。
アメリカ史上最大級の暴動と言われたデトロイトの事件では、
このアルジェ・モーテルでの犠牲者も含め、43人が死亡。
負傷者は1100人以上にのぼったとか。
トランプ政権の誕生で“分断”が言われるアメリカが、50年前の負の歴史から学ぶことが出来るのか?
キャスリン・ビグロー監督は一石を投じたのでしょう。☆4つ。
「デトロイト」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.18

『消された女』☆☆☆☆
『ベロニカとの記憶』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


篠原哲雄監督作品『花戦さ』が、日本アカデミー賞の優秀作品賞、
優秀監督賞を始め、8部門を受賞!
中高同級生の映画監督であり、昨年末に発表した2017年の個人的ベスト3作品の1本ですからね。
最優秀賞の発表は3月2日。強敵は多いけど、穫って欲しいなぁ。
さ、今週は2本です!


『消された女』は、韓国で実際にあった犯罪の映画化。

やり手のTVプロデューサーとして、飛ぶ鳥を落とす勢いのナムス。
ところが“やらせ”問題が発覚。一気に仕事を干されてしまいます。
そんなナムスの元に、一冊の手帳が送られてくるんですね。
それはカン・スアという女性の手帳。
そこには信じがたいような出来事が記録されていたのです。
一年前、昼の都会の大通りを歩いていたスアは、突然何者かに誘拐され、精神病院に監禁されたと。
そこでは強制的に薬物を投与され、暴力を受け、本当におかしくなってしまいそうだったと。
そんな中で正気を保つために、隠れてつけていた日記だというのです。
この手帳に興味を抱いたナムスがスアを訪ねると、彼女は今、
殺人事件の容疑者として収監されていたんですね。
面会に行き、取材を重ねてわかってきたのは、
そこに横たわっていたあまりに深い闇でした…。

韓国には2016年まで、精神保険法第24条に、
「保護者2人の同意と精神科専門医1人の診断があれば、
患者本人の同意なしに“保護入院”という名のもと、強制入院を実行できる」
という法律がありました。
つまり、保護者2人と精神科医1人が同意さえすれば、
正常な人も精神異常者として強制的に監禁されてしまうんです。
個人の財産を守るため、利益を独占するために、法を悪用して、
親族を精神病院に強制入院させる事件が多発していた韓国。
考えただけでもゾッとしますよね。
2016年の4月にこの映画が公開となり、
同年9月に「精神疾患患者の強制入院は、本人の同意がなければ憲法違反」
との判決が韓国の憲法裁で下ったそう。
この映画が話題となったからとも言われる衝撃作です。
ドンデン返しがあって、謎解きもきちんとやってくれますが、複雑なので、
1回でわかるかなぁというのが唯一の難点。
リピーターが多かったというのも、そんな意味で納得です。
実際に起きた事件だというから、本当に驚きです。
自分がもし監禁されたら…。恐ろしい話です。☆4つ。
「消された女」公式サイト



『ベロニカとの記憶』は、40年前の初恋にまつわる記憶の物語。

仕事を引退し、趣味の中古カメラの店を営みながら、穏やかな年金暮らしをしているトニー。
そのトニーの元に、法律事務所から“遺品”に関する通知が届きます。
亡くなったのは、40年前の初恋の相手であるベロニカの母親、セーラでした。
遺品というのはエイドリアンの日記。
エイドリアンはトニーの親友でしたが、トニーがベロニカと別れた後、ベロニカと交際。
その後、自ら命を絶ったのでした。
エイドリアンの日記をなぜ、ベロニカの母親であるセーラが持っていたのか。
また、その受け渡しを、遺言執行人であるベロニカが何故か拒んでいる。
謎の多いこの一件。高校時代の友人たちの力も借りて、
SNSでベロニカにメッセージを送ると、
ベロニカとの再会が叶うんですね。
しかしベロニカはそこでトニーに1通の手紙を手渡し、話もそこそこに立ち去ってしまいます。
それは、かつてトニーがエイドリアンに送った手紙。
あまりに酷い内容に、記憶から消し去っていた手紙でした。
すると、自ら衝撃を受けたトニーの脳裏に、40年前の真実が蘇ってきたのです…。

この作品も少々複雑です。
トニーの頭の中にある正当化した記憶と、実際の出来事にズレがある。
いや、トニーが自らズラしたと言ったほうが正しいのでしょうか。
トニーにとって、その真実を40年後に蘇らせたことが不幸だったかどうかは、
簡単に言えませんが、誰にでも“パンドラの箱”はあるもの。
何かの拍子で簡単に開いてしまうこともあるんですよねぇ。
「嘘も言い続けていると真実になる」。
昔、どこかで聞いた言葉です。いい言葉かどうかはわかりませんが(笑)、
“嘘”を“思い込み”に変えてもいいかもしれませんが、確かにあるよなぁと。
人生の終盤にこういうことが起こるということは、
きちんと清算してから幕を閉じなさいと、神様に言われてるのかも。
引退後のトニーは、中古カメラの店を営んでいます。
カメラはベロニカの趣味でした。そのことを考えると…ねっ。
自分のこれまでをも、ちょっと振り返ってみてしまいました。☆3つ。
「ベロニカとの記憶」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.13

『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』☆☆☆
『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』☆☆☆☆
『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)



1月に入ってから忙しく、まだ試写は1本。
今年は映画に関しては“追い込み型”かも(笑)。
さ、今週は3本です!


『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』は、実話を元にしたドイツ映画。

サリヤ・カハヴァッテ、通称“サリー”は、ドイツ人の母とスリランカ人の父の間に生まれます。
夢は一流のホテルマンになること。
ところが彼には、先天性の目の病気があり、就職活動を始めようかという矢先に発病。
手術により保てた視力は、わずかに5パーセントでした。
丸暗記でなんとか学校は卒業できたものの、障がいを記した就職願書はことごとく弾かれ、
ホテルへの就職は不可能だと思われていました。
そこで、目のことは隠してミュンヘンの5つ星ホテルに願書を提出。
すると、研修生に選ばれるんですね。
そこからサリーの奮闘が始まります。
思いもよらない発想で、次々課題をクリアして行くのですが、もちろん超難関にもぶつかります。
果たして、サリーは念願のホテルマンになれるのでしょうか…。

なんたって実話ですから。すごいです。
家族だけでなく、彼の障がいに気付いた人たちを味方につけていく、
そんな人間的魅力があればこそ、サリーは夢に向かって頑張れたのでしょう。
長い奮闘の日々を、映画では2時間弱にまとめなくてはなりません。
そこに現実離れした感じが出ちゃうような場面もありますが、そんな時、
「いや、この映画は実話に基づいているんだ」というのを思い出すといいと思います。
好きだから頑張れる。夢だから諦めない。
そのことがどれだけ大切かを、教えてくれると思いますョ。☆3つ。
「5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜」公式サイト



『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』は、3DCGで作った新たな“西遊記”。

お師匠さまのもとで修行を積んでいるリュウアーは、幼い頃、
妖怪に襲われて両親を亡くした男の子。
ある日のこと、リュウアーは妖怪に襲われた女の子を助けようとして、
五行山に迷い込んでしまいます。
そこには伝説のヒーロー、孫悟空が眠っていました。
お釈迦様によって五行山に閉じ込められて、500年。
リュウアーは偶然にも、その悟空を目覚めさせてしまうんですね。
ヒーローの登場に喜ぶリュウアーでしたが、悟空にその力は戻っていなかったのです。
その後、猪八戒と出会い、女の子を長安まで届けるための旅に出る悟空たちでしたが、
途中妖怪に襲われ、その背後に“混沌”という悪者が
幼い子供を生け贄にさらっていることを知ります。
果たして、リュウアーたちは、無事長安まで辿り着けるのか?
また、孫悟空は子供たちを救って、真のヒーローに戻れるのでしょうか…。

映像はキレイだし、ストーリーも新たなもの。
あちこちに笑いのエッセンスも散りばめられており、楽しく見ることが出来ました。
カンフーアクションの国だけあって、その迫力を出すのはお手のもの。
2015年の中国公開で、
中国制作アニメの歴代1位となる興行収入を叩き出したのも納得です。
大人も子供も楽しめる1本。ご家族でどうぞ!☆4つ。
「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」公式サイト



『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』は、
世界的ファッション・デザイナーを追ったドキュメンタリー。

フランス、パリを拠点とする独立系ファッション・デザイナーのドリス・ヴァン・ノッテン。
他のブランドとの違いは、自らがデザイン画を描かないこと。
スタッフと一緒に社内でアイデアを出し合い、煮詰め、生地作りから始めていく。
中でも、刺繍にこだわり、インドに工房を構え、職人による手仕事の美しさを大事にしています。
プライベートでは、きれいに造られた庭園も披露。
花を愛し、自家菜園で採れた野菜を調理する姿も映し出されています。
印象的だった言葉が、
「自分の生み出した美に酔いしれる。
でもボクにとって、それはショーの中でではない。フィッティングの瞬間にある。
シェフは料理に最後のひと工夫をして、それを味見したあとに客に出す。
極上の味を最初に味わうのは、まず料理人。次に客なんだ。
それに似てるかもしれないね」
深いですよね。
ファッション関係者には、
ボクなんかよりも響く部分が多いんじゃないかと思いますョ。☆4つ。
「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.4

『愛の病』☆☆☆
『キングスマン ゴールデン・サークル』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)



新年あけましておめでとうございます。
2017年に見た映画は162本。おかげさまで、感性をたっぷりと刺激してもらいました。
今年も出来る限り試写に足を運んで、公開直前にご紹介出来ればと思ってます。
映画セレクトの参考にして頂ければ幸いです。
あ、毎年言ってますが、☆が少ないと駄作という訳ではありませんから(笑)。
あくまでボクの個人的嗜好ですので。誤解なきよう。
2018年もどうぞお付き合い下さい!
さ、今週は2本です!



『愛の病』は、実際に起きた凶悪事件の映画化。

DV夫と別れ、ひとり娘の手を引いて実家に戻ったものの、邪魔者扱いのエミコ。
仕事もなく、生活費にも困っていた時、出会い系サイトのサクラのアルバイトを見つけます。
そこで真面目な工員の真之助と知り合い、嘘の名前と経歴で真之助を虜にすると、
自分がヤクザの組長の娘だと言い、父親を口説くにはお金が必要だと、
真之助の貯金を騙し取っていくんですね。
そんな中、ひょんなことから解体工のアキラと出会い、エミコはアキラに夢中になります。
ところが、アキラには重度の障がいを持つ姉がいました。
アキラは「姉の介護で付き合うことは出来ない」と言うのです。
エミコは姉の存在が疎ましくなり、殺してしまいたいと考えるようになります。
そして、その殺人を、真之助に依頼するのでした…。

2002年7月、和歌山で実際に起きた“和歌山出会い系サイト強盗殺傷事件”を映画化したもの。
昨年も何本かそんな映画がありましたが、オリジナル脚本が減り、
マンガや小説などの原作ものならまだしも、実際の事件が映画になるほど、
凶悪事件が“まるでドラマか映画のよう”になっているということですよね。恐ろしいことです。
主演の瀬戸サオリは、ジャンポケ斉藤さんの奥さんの瀬戸さおりさんではなく、
俳優・瀬戸康史の妹。今回は体当たりの演技で頑張ってます。
見ていて、あまりに自己中心的な連中に虫唾が走るような内容ですが、
主演の瀬戸サオリの頑張りに拍手です。☆3つ。
「愛の病」公式サイト



『キングスマン ゴールデン・サークル』は、前作『キングスマン』の続編。

ロンドンの高級テーラーに拠点を置く、世界最強のスパイ組織『キングスマン』。
今やキングスマンの立派なエージェントに成長したエグジーは、
突然、元エージェント候補生だった裏切り者のチャーリーに襲われます。
チャーリーを操っていたのは、世界の麻薬市場を支配する“ゴールデン・サークル”の女ボス、ポピー。
裏社会から表舞台へ出たいと目論んでいたポピーは、
まず手始めにキングスマンを壊滅させようと企んでいたのでした。
なんとかチャーリーを撃退したエグジーでしたが、
キングスマンの秘密情報を盗まれてしまいます。
そして、ロンドンのテーラーが爆破され、メンバーのほとんどが殺されてしまったのでした。
生き残ったメカニック担当のマーリンと会い、
キングスマンが機能しなかった時にと準備された手順に従い、
とある場所の金庫を開けると、そこには1本のバーボンのボトルがありました。
そこに書かれていたのは、アメリカ・ケンタッキー州のバーボンの蒸留所。
ふたりは急遽アメリカに渡るのでした…。

あらすじはさわりの部分だけ。
蒸留所が、実はキングスマンの同盟組織“ステイツマン”の拠点だったり、
悪のサイコ・ボスであるポピーが、とんでもない方法で世界征服を狙っていたりします。
ここからは見てのお楽しみ。
ただ、2年前の前作は、まだアクションにも人間らしさがあったように記憶してますが、
今回は超人的で(笑)。『007』などのスパイものも確かに超人的ではありますが、
前作の『キングスマン』には、アナログな部分が残っていたような気もするんですよね。
のっけから迫力はすごいんですが、その分、
“街に潜んでいる”というリアリティは無くなっちゃったかな。
「いらないでしょ。そんなリアリティ」という人にはもっと☆があってもいいかも。
まさに個人的嗜好ですが(笑)、ボクにはそれが残念で。☆3つ。
「キングスマン ゴールデン・サークル」公式サイト