週末公開の映画……2018.10.19

『恋のしずく』☆☆☆☆
『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』☆☆☆
『ファイティン!』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)



「暑さしのぎで涼を取りに映画館へ」なんて書いていたのが、
つい先日のことかと思っていたら、もう寒いくらい。「暖を取りに」に変わりそうです。
心もポッと温まる映画を見たいシーズンでもあります。探してみて下さい。
さ、今週は3本です!


『恋のしずく』は、川栄李奈初主演作品。

東京の農大に通う詩織は、いわゆる“リケジョ”。
加えて、鋭い味覚を持ち、将来はワインのソムリエになる夢を抱いていました。
ところが大学の研修で向かうことになったのが、日本酒の酒蔵。
それもあみだくじで決まったとのこと。教授に噛みつきますが、相手にしてもらえません。
実は、詩織は日本酒が苦手だったのです。
渋々、受け入れ先である広島の乃神酒蔵に向かうと、なんと「今年は研修は断ったはず」と。
厳しい杜氏、蔵を継ぐ継がないで揉めている蔵元とその息子。何より日本酒に愛着がない詩織。
果たして、これから上手くやっていけるのでしょうか…。

川栄李奈初主演作品と書きましたが、酒蔵の主人を演じる大杉漣さんの遺作でもあります。
この手の映画は、酒造りの段取りや、酒米作り、地元の祭礼などを織り交ぜるので、
“風土紹介”的な作風になりがちなんですが、それを見せつつも、
そんな感じがまったくなく、上手く作ってあるなぁと。
“嫌い”や“苦手”は、“知らない”であることが多く、詩織の日本酒嫌いもまさにそれ。
酒造りに熱意を持つ人々に触れ、意識が変わっていくのです。
もちろん、タイトルが『恋のしずく』ですから、恋バナもあり、
川栄ちゃんの可愛らしさも存分に発揮されています。
初主演作にして代表作となり得る出来じゃないかと思いますョ。
満点にしなかったのは、周りの男性の登場人物がほぼイケメンだってこと。
やっかみじゃなく(笑)、もう少し“個性派”でもよかったんじゃないですか?あ、やっかみか(笑)。
見たら、熱燗を一杯くいっとやりたくなるかも。あったまりますョ。☆4つ。
「恋のしずく」公式サイト



『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』は、人気シリーズの最終作。

バーデン大学の女子大生によるアカペラグループ、バーデン・ベラーズ。
コンテストでの優勝を目指し、頑張ったメンバーたちの絆は、卒業しても堅いものがありました。
ただ、社会に出てからの不満や悩みが溜まっていたのも確か。
そんな時、ベラーズの現役メンバーから同窓会をやりませんかと声が掛かるんですね。
喜び勇んで集まったものの、現役女子大生の若くて質の高いパフォーマンスを見せつけられただけ。
OGたちに出番はありませんでした。
そんな時、メンバーのひとりが、大物軍人である父親のコネで、
米軍慰問団のビッグツアーに参加しようとみんなを誘います。
さらに、イベントホストは、あの超人気DJのDJキャレド。
噂では、認められれば、彼のツアーの前座が務められるとか。
今のキャリアを捨ててでもと、参加する彼女たちでしたが…。

3作目にして最終作。
主軸のベッカを中心に、今回も破天荒なストーリーが展開します。
楽曲でいうと“サビあたま”。今回は終盤のシーンから始まり、物語が3週間前に戻るという手法。
ベッカは音楽プロデューサーになったものの、担当するのは二流アーティストばかり。
もう辟易としていたんですね。
そこに同窓会のお声が掛かり、久々の再会に心が踊ります。みんな女子大生気分が復活って感じ。
プレス資料に、“超絶ハッピーなミュージカル・エンターテイメント”とありましたが、
確かに女子ってこんななんだろうなと、我々男性は俯瞰で見てニヤニヤ。
でも、もし中に入ったとしたら、とてもじゃないけどやっていけません(笑)。女子って強いよなぁ…。
音楽ものとしてのクオリティの高さも、魅力のシリーズです。様々な感性で楽しんで下さい。☆3つ。
「ピッチ・パーフェクト ラストステージ」公式サイト



『ファイティン!』は、アームレスリングが題材の韓国映画。

LAのクラブで用心棒を務めているマーク。
実は、幼少の頃、養子に出され、韓国からアメリカに渡ってきたのです。
腕っぷしの強さから、アームレスリング(腕相撲)のプロでやっていこうと思っていたのですが、
八百長疑惑に巻き込まれ、断念。今の仕事で、なんとか生計を立てていました。
そんな時、スポーツエージェントを名乗る、同郷のジンギという男がやってきて、
韓国のアームレスリングの大会に出ないかと誘うんですね。
うさん臭いジンギの誘いでしたが、マークは韓国行きを決意します。
ジンギが調べておいてくれた生家を訪ねてみるマーク。
そこに母の姿はなく、出て来たのは幼いふたりの兄妹。そして彼らの母親の姿も見えたのです。
ジンギの言う大会は、チャンス社長の主催する“賭け試合”。
マークは八百長を持ちかけられますが、実行せず、チャンス社長は激怒。
それでも、マークの強さだけは証明されました。
生家にいた女性は、スジン。マークの母の娘だと言います。
ならば、マークにとっては妹。幼い兄妹は、おいとめい。
スジンはチャンス社長のビルで洋服店を営んでいて、借金もある。
取り立て屋から守るため、マークは一緒に暮らし始めるんですね。
初めて経験する家族の温もり。でも、そこには複雑な事情もあったのです。
様々な思いがぶつかり合い、すれ違う中、釜山で行われたスポーツとしてのアームレスリング大会。
ここで優勝して、自身を再確認したいという思いのマークに、
またしてもチャンス社長の魔の手が伸びるのでした…。

最近の韓国映画は、出来がいいなぁと思います。
あらすじが長くなりましたが、登場人物のそれぜれに“事情”がある。それはジンギしかり。
すべて書いていると、ストーリーを全部書くのかよって感じになっちゃうから避けましたが、
そんな複雑な背景が、ストンとわかりやすく、落ちるべきところに落ちてくれますから。
ぐっとくるシーンももちろんあって、熊さんみたいなマ・ドンソクの強さと優しさに、
あったかい気持ちになれる作品です。今のシーズンにピッタリかも。☆4つ。
「ファイティン!」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.10.12

『アンダー・ザ・シルバーレイク』☆☆
『エンジェル、見えない恋人』☆☆☆
『スモールフット』☆☆☆
『止められるか、俺たちを』☆☆☆
『バーバラと心の巨人』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)



前回は、ここに短い文章を添えるのを忘れてしまいました。
実は映画評より、この文章で悩むことのほうが多かったりもするんですョ(笑)。
これからは割愛しようかなぁ(^^;)
さ、今週は5本です!



『アンダー・ザ・シルバーレイク』は、新感覚ミステリー。

LAの街、シルバーレイクに暮らすサム。
仕事もなく、家賃に困り、アパートからは退去命令が出されていました。
すると、隣りに絶世の美女が越して来ます。彼女の名はサラ。
ある晩のこと、サラの家の玄関にサラの愛犬がいて、可愛がっていると、ドアが開きます。
中に招かれ、乾杯をし、キスをしたところで、ルームメイトが帰宅。
「明日の午後にまた来て」と言われ、その日は退散。
胸踊らせながら、翌日再び部屋を訪ねたのですが、なんとそこはもぬけの殻。
さらに、壁には暗号らしき記号が。
シルバーレイクの街では、謎の失踪事件が相次いでおり、サラも巻き込まれたのでは?と、
サムの独自の捜索が始まったのです…。

映像はスタイリッシュで、さぁどんな謎解きに誘ってくれるんだろうと期待したのですが、
ごめんなさい、ボクには正直よくわかりませんでした。
壁のポスター、流れる音楽、登場人物のファッション。
いわゆるポップカルチャーに造詣の深い人には、あちらこちらに深みのある面白さを感じるのかも。
好きな人は、たぶん大好きな作品かもしれませんョ。
ボクの評価に関係なく、ご覧になってみて下さい。☆2つ。
「アンダー・ザ・シルバーレイク」公式サイト



『エンジェル、見えない恋人』は、ベルギーのラブファンタジー。

エンジェルは、母ルイーズと、
姿を消すイリュージョンを得意にしていたマジシャンの父との間に生まれた男の子。
ところが、父親が謎の失踪をし、母ルイーズは心を病んでしまいます。
施設で共に暮らすルイーズとエンジェルでしたが、実はエンジェル、
誰の目にもその姿を見ることが出来なかったのです。
ある日のこと、施設の近所の屋敷に女の子と家族がやってきます。
彼女の名はマドレーヌ。
マドレーヌは目が不自由なんですが、エンジェルの存在に気付くんですね。
「私は見えないけど、声と匂いがする」。
エンジェルは自分の秘密を明かさないまま、マドレーヌと仲良くなり、恋人同士になります。
しばらくして、マドレーヌは目の手術を受けることに。
成功すれば、視力が回復すると言うマドレーヌ。複雑な気持ちで成功を祈るエンジェル。
それから数年の歳月が流れたのでした…。

なかなか素敵なファンタジーでした。
手術に成功し、視力が回復して、大人になったマドレーヌが、
エンジェルとの再会を楽しみに屋敷に戻ってくるのですが、
エンジェルの姿は見えない。いても見えない。
さぁ、エンジェルはどんな行動に出るの?というお話。
日本では97年に公開になった『パウダー』という映画も、お母さんのお腹にいる時に雷に打たれ、
パウダーのような真っ白な肌と、電気を自在に操れる特殊な能力を持って生まれた主人公が、
人からは疎まれるんですが、実は心優しくて、彼のその能力が、周りの人を救うという物語。
ボクの大好きな、感動の1本です。
それにも似た、人とは違うけれど、優しさに満ち溢れた、目に見えないエンジェルの恋物語。
見えるものだけが真実じゃないと、多様性が言われる時代に、人の在りようを考えさせてくれる。
可愛らしい映画ですが、そんな側面があるのかもしれませんね。☆3つ。
「エンジェル、見えない恋人」公式サイト



『スモールフット』は、アニメ映画。

人間界から遠く離れた山の頂に住むイエティたち。
長老のストーンキーパーが、村の掟を厳しく定め、
それに従って生活をするイエティたちは、幸せな日々を送っていたのです。
おっちょこちょいで心優しいイエティのミーゴは、
ある日偶然にも伝説の生き物である“スモールフット”と出くわすんですね。
イエティたちにとって、スモールフットは恐ろしい存在でもあります。
「スモールフットを見た!」と言っても、誰も信じてくれなかったのですが、
ストーンキーパーの娘ミーチーは違いました。
好奇心旺盛な彼女は、雲の下には不思議な世界が広がっていると信じていたから。
実はスモールフットというのは人間のこと。ミーゴが見たのは、パーシーというTV関係者。
彼の撮った動画にミーゴが映っていたことから、地上では大騒ぎに。
そうとも知らず、ミーゴとミーチーたちは、真実を探ろうと下界に降りて行くのですが…。

『ミニオンズ』の原作者が手掛けた作品ですから、可愛らしさは推して知るべし、ですかね。
イエティの先祖たちから伝承する“スモールフットへの畏怖”というのも想像が付くかと思います。
人間って、そんな存在ですから。
でも、ミーゴたちは純粋なんです。見ていてハラハラする(笑)。
結末はどうなるの?それは見てのお楽しみ!☆3つ。
「スモールフット」公式サイト



『止められるか、俺たちを』は、2012年に亡くなった映画監督、若松孝二氏の若き日を描いた作品。

1936年、宮城県に生まれた若松孝二は、地元の農業高校を退学になり、家出して上京。
職を転々としながら、なんとか暮らしていました。
57年にはやくざの組員になるも、収監された刑務所の中で受けた屈辱から、
「おまわりを殺したい」と思うようになります。
でも「実際に殺したらまた刑務所だ」と悟り、映画の中で殺そうと決意。
やくざはキッパリと足を洗い、映画監督を志します。
63年に作ったピンク映画の『甘い罠』が大ヒット。
“ピンクの黒澤明”との異名をとると、若松プロダクションを設立。
そこに、破天荒な仲間が集まるんですね。
すると、1969年、21歳の吉積めぐみが、若松プロダクションの助監督になりたいと、門を叩いたのです…。

日本が熱く、映画にも今とは違う勢いがあった時代。
そんな中で、異彩を放っていた若松孝二監督の、若かりし頃を描いた作品。
映画は吉積めぐみが、新宿のフーテン仲間に誘われ、若松プロダクションに入るところから始まり、
彼女の視点から見たストーリーが展開します。
吉積めぐみ役には、門脇麦。
みんな、若さ特有の熱さと真っすぐさで突き進むのですが、途中で様々なことに気付く。
あるいはこのままでいいのかと立ち止まり、悩む。
若松監督と、その周りの仲間の青春群像を描いた1本です。
登場人物の中に、映画監督で脚本家の大和屋竺(あつし)さんがいますが、
この方はジャスタウェイの馬主でも知られる、脚本家の大和屋暁さんのお父さん。
若松プロダクションを離れて、赤塚不二夫さんのアニメなどの脚本を手掛けた人です。
試写では大和屋さんにバッタリ!「父も登場するので」と。
故大島渚監督の奥様、小山明子さんもいらしてました。
当時を知る人たちにとっては、懐かしく、また大切な記憶なんでしょうね。☆3つ。
「止められるか、俺たちを」公式サイト



『バーバラと心の巨人』は、人気グラフィックノベルの実写映画化。

いつもウサギの耳をつけている、風変わりな少女バーバラ。
彼女はもうすぐこの町に巨人が襲来すると信じていて、
森の木々にエサを塗りつけるなど、罠を仕掛けるのに大忙し。
いくら説明しても、姉のカレンも、兄のデイヴもバーバラの言うことを信じてはくれません。
バーバラは、学校でも“変わり者”として、いじめられていました。
ただ、イギリスからの転校生のソフィアだけは、バーバラの行動に興味津々。
初めは疎ましく思っていたバーバラでしたが、ソフィアにだけは、次第に心を開いていったのでした。
ところが、次第にバーバラの行動が常軌を逸脱。
ソフィアが「巨人なんていない」と説得しても、バーバラは聞く耳を持たなかったのです…。

実はもう少し踏み込んで書いてたのですが、ネタバレになってはいけないので(笑)、消しちゃいました。
必ず来ることから目を背けたくなる時って、ありますよね。
大人でもそうなんだから、バーバラには直視出来ないのも仕方ない。
あ、バレちゃいそう(笑)。
原作は「I KILL GIANTS」。気になる方は読んでみて下さい。☆3つ。
「バーバラと心の巨人」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.10.6

『あまねき旋律(しらべ)』☆☆☆
『イコライザー2』☆☆☆
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)



『あまねき旋律(しらべ)』は、
インド東北部のナガランド州ペク県に暮らす人々を追ったドキュメンタリー。

ミャンマーとの国境付近にあるナガランド州。
その南東部に位置するペク県には、チャケサン・ナガ族の人々が暮らしていました。
村人たちには常に歌があります。
機械が入りづらい急斜面を、人力で耕し、棚田を作る。
グループに分かれての作業の中、男女を問わず掛け合いで歌が始まる。
恋愛、友情、自然の豊かさ、生活のすべてが、歌に表現されているのです。
彼らの歌は、「リ」と呼ばれる多声的合唱。
スクリーンに映し出される風景も、村人たちの農作業や、普段の暮らしぶりで、
時にはただひたすら斜面を鍬で耕す工程が流れます。
そして、そこには歌がある。
実は、どこの国にもあるはずの原風景。なのに、忘れてしまった景色なのかもしれません。
生きるって何だろう、働く意味はどこにあるのだろう、幸せってどういうことかをきっと考える、
83分間の映像だと思います。☆3つ。
「あまねき旋律(しらべ)」公式サイト



『イコライザー2』は、2014年にヒットしたデンゼル・ワシントン主演作の続編。

元CIAのトップエージェントだった、ロバート・マッコール。
昼はタクシードライバーですが、その実体は“19秒で世の悪を完全抹消する”イコライザー。
そんなマッコールの心のよりどころだったのが、
“今”も含め、彼のすべてを知るCIA時代の上官、スーザンでした。
そのスーザンが、ベルギーのブリュッセルで殺されてしまうんですね。
現地の警察は強盗事件と結論づけるのですが、
マッコールはプロの手口によるものだとし、独自の捜査に乗り出します。
マッコールの読みは正しく、マッコールも命を狙われます。
しかも、敵は自分と同じ訓練を受けているスペシャリストだとわかったのでした…。

デンゼル・ワシントンが続編に出るのは、キャリア初だとか。
前作は2014年公開。4年振りの復活です。
オムニバスという訳でもありませんが、いくつかの物語があり、
オープニングはトルコ鉄道の車中。誘拐された女の子を助ける“仕事”から始まります。
“US版必殺仕事人”なんて表記も資料にはありましたが、確かに時代劇にも似た人情の交差もあり、
日本人のボクらにもストンと腑に落ちるストーリー。
決して明るいトーンではありませんが、
この手のサスペンス・アクションが好きな人には満足のいく内容だと思います。☆3つ。
「イコライザー2」公式サイト


『パーフェクトワールド 君といる奇跡』は、有賀リエの人気漫画の実写化。

インテリアコーディネーターの川奈つぐみは、取引先との飲み会で、
高校時代の初恋の先輩、鮎川樹と再会します。
樹は夢だった一級建築士として、建設設計事務所で働いていて、
笑顔の先輩を見て、高校時代の甘酸っぱい思い出がつぐみの脳裏に蘇ります。
ところが、席を立つ樹の姿に、つぐみは驚きを隠せませんでした。
実は、樹は大学三年生の時に事故に遭い、下半身不随の後遺症を負っていたのです。
車椅子でも、自分の夢に生きる樹の生き生きとした瞳に、
つぐみは変わらぬ愛情を感じていたのです。
しかし、樹は「もう誰とも恋愛はしない」と頑なに誓い、
つぐみの両親も、この交際には大反対。
それでも一途なつぐみの思いに、樹の心の扉も開かれそうな時でした。
ふたりに、試練とも言える事件が起こってしまうのです…。

三代目J Soul Brothers、EXILEの岩田剛典と、杉咲花のW主演作。
この手の映画は、もうお腹いっぱいであることが多く、
あまり期待していかなかったのですが、予想に反して?すごく清々しくて、いい作品でした。
『バイトル』のCMで、雨でずぶ濡れになりながら、熱く語る岩田剛典を見て、
何か違和感を感じていたのですが、その理由が“一度も口を閉じない。
口を開けっぱなし”にあると気付いて(笑)、その彼が主役というのも、先入観としてあったのかも。
いやいや、爽やかな甘い笑顔の好青年。ファンの皆さん、失礼致しました(笑)。
パンフレットを開いた時、そのトーンになんとなく、
「監督は篠原哲雄の弟子だったりして…」と何気なく思って、プロフィールを見てビックリ!
柴山健次監督は「篠原哲雄氏に師事し…」とありました。
これ、作り話じゃなく、本当なんです。
こんなところで勘が当たらないでいいから、馬券で当たれと自嘲気味に笑ってました(笑)。
こんな女性と恋に堕ちたい。
男性なら、きっとそう感じるに違いありません。☆4つ。
「パーフェクトワールド 君といる奇跡」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.9.29

『太陽の塔』☆☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


樹木希林さんが亡くなって、“遺作”も含め、遺された映画が何本か公開を待っています。
試写で見ることが出来なかった作品も、是非劇場で見てみたいと思っています。
さ、今週は1本です!


『太陽の塔』は、1970年(昭和45年)に開催された
大阪万博を象徴する巨大モニュメントに関するドキュメンタリー。

日本万国博覧会、いわゆる“万博”の会場が大阪に決まり、
ひとつのテーマ館のプロデュースを任された岡本太郎。
覚えている人も多いと思いますが、白い覆い屋根から頭を突き出した、謎の巨大な塔。
それが大陽の塔です。
大陽の塔の腹部にある顔は現在を、背部にある黒い顔は過去を、
頭頂部の金の顔は未来を表していると言います。
中には“生命の樹”というのがあって、客はエスカレーターで昇りながら見学するのですが、
微生物、恐竜、類人猿、ヒトと、地球上の命の歴史展示があり、
地下にも根源世界を表すもうひとつの大陽がありました。
高さ70mもの塔を作った岡本太郎。白い屋根は、当時の科学の粋を集めたものらしく、
空中都市を作る技術の一端だったとか。それに穴を開けなければ納まらない塔。
岡本太郎は、「私は進歩に疑問を持っている」「人間なんて少しも進歩していないですよ」
「人間的生き方している人なんて、今日いないじゃないですか」と語っており、
おそらく人類の“進歩”と言われるものに、まさに風穴を開けたかったんじゃないかと思うんですね。
当時の展示には、原子力に関わるものもあり、「原子力はもうひとつの大陽だ」と言われていました。
背部の黒い太陽は、過去ではなく、進化が産み出す負の副産物を暗に表したかったんじゃないかと。
すべてボクの邪推ですけどね(笑)。
映画には、岡本太郎や万博に関わった人、建築家、芸術家、ダンサーから、宗教家まで、
様々なジャンルの人が29人。太陽の塔について語ります。
今年、耐震工事等を完了し、48年ぶりに内部公開される太陽の塔。
科学の発達で生活は確かに便利になりました。同時に福島原発の事故も起きました。
頭頂部の金の顔を、ボクらは手に出来たのか?未来の人類は手にすることが出来るのか?
平成最後の今だからこそ、見て欲しい映画だと思います。満点!☆5つ。
「太陽の塔」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.9.22

『死霊館のシスター』☆☆☆
『パパはわるものチャンピオン』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


今週は2本です!


『死霊館のシスター』は、大ヒットホラーシリーズの“始まり”を描いた作品。

1952年、ルーマニアのトランシルバニアにある聖カルタ修道院で、悲劇が起こります。
カトリックでは絶対にあり得ない究極の罪。そう、若い修道女が自ら命を断ったのです。
すると、ローマ教皇庁はバーク神父に調査を依頼。
そのアシスタントに教皇庁が指名したのは、
イギリスの聖ビンセント病院で修練中の若き見習いシスター、アイリーンでした。
現地に着いたふたりは、修道女の遺体を発見した村の若い男性、フレンチーに案内を頼みます。
彼は修道院に様々な生活物質を届けていた村人で、配達の際に悲劇の現場を目撃してしまったのです。
村人たちは、シスターの自殺以前から修道院に不気味な怪しさを感じていたと言います。
果たして、この修道院で何が起こっているのか。
バーク神父とシスター・アイリーンが、その謎に迫るのでした…。

“『死霊館』『アナベル』シリーズの元凶、現る”。
チラシにある一文です。
奇跡や怪奇現象など、超常現象に造詣の深いバーク神父。
一方、見習いシスターのアイリーンが何故アシスタントに指名されたのかは、
バーク神父にも、本人にもわかりません。
神に仕える修道女が自ら命を断つことはありえない。
聖カルタ修道院は悪魔によって汚されてしまったのではないか?
そう、そこには“悪魔のシスター”がいたのです…。
シリーズの始まりの物語ですから、次に繋がるサインがある。
見つけたファンは、ニヤリとするんでしょうね。☆3つ。
「死霊館のシスター」公式サイト



『パパはわるものチャンピオン』は、愛する家族のために戦う男の物語。

大村孝志はプロレスラー。“100年に一人の逸材”と言われ、
プロレス界を背負って立つであろう存在だったのですが、
膝に大ケガを負ってしまうんですね。
10年経っても、膝の故障は完治せず、かつての輝きが取り戻せずいた孝志は、
妻と息子のために、マスクをつけた悪役レスラー“ゴキブリマスク”になることを決意。
客席からブーイングを浴びる“ヒール”を演じる道を選びます。
妻の詩織は町で小さな美容院を経営していましたが、
9歳の息子、翔太は、パパの仕事を知りません。
孝志は、自分が悪役レスラーであることを話すことが出来なかったのです。
パパの仕事が気になって仕方のない翔太は、
孝志の後をつけて行き、“パパの正体”を知ってしまうんですね。
「わるもののパパなんて大嫌いだ」。
孝志はショックを隠せません。
翔太は学校の友達に問い詰められ、パパがプロレスラーであることを告白。
ところが、どうしてもゴキブリマスクだとは言えず、
人気絶頂のドラゴンジョージだと嘘をついてしまうんですね。
そんなある日のこと、ドラゴンジョージが、タイトルマッチの相手に、
かつての憧れの選手だった大村孝志を指名してきたのでした…。

主演は、新日本プロレスの棚橋弘至。翔太に寺田心。詩織に木村佳乃。
他にも仲里依紗、大泉洋など、脇を固める役者陣も豪華。
加えて、ドラゴンジョージ役のオカダ・カズチカを始め、
現役の人気プロレスラーたちがたくさん出演していて、
迫力のプロレスシーンを演出してくれています。
みんなセリフ回しも上手く、プロレスラーって多才なんだなぁと感心させられます。
タイガーマスクから引き継がれる昭和の匂いのする題材を、現代の“本物”を起用することで、
平成の作品に仕上げたといったところでしょうか。
10歳の心くんが、棚橋弘至選手の演技について語ると、棚橋選手が大きな体を小さくして、
タジタジになっていた完成披露の記者会見が印象的でした(笑)。
ハートウォーミングな1本です。☆4つ。
「パパはわるものチャンピオン」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.9.15

『ザ・プレデター』☆☆☆
『西北西』☆☆☆
『プーと大人になった僕』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


試写には、試写専門の試写室で行われるものと、
完成披露試写のように大きな劇場で行われるものがあります。
普段の試写室での試写では、飲食は禁止なんですが、劇場はそうじゃない。
でっかいポップコーンを持った人が近づいて来ると、
「頼むから隣りに座らないでくれっ」と思ってしまいます(笑)。
だって、隣りでポリポリやられたら…。
座られたら運が悪かったと思うしかないんですけどね(^^;)。
さ、今週は3本です!



『ザ・プレデター』は、人気SFアクション映画のシリーズ最新作。

元特殊部隊の隊員で、傭兵としてメキシコにいたクインは、
ジャングルに謎の宇宙船が墜落するのを目撃。
近づいてみると、なんと地球外生命体がいて、仲間が無惨にも犠牲になってしまいます。
何とか生き延びたクインは、その際、彼らのマスクと武器を手に入れるんですね。
それを自宅に送った時、手違いから天才的頭脳を持つ息子のローリーが、
装置を起動させてしまったのです。
地球外生命体の正体は、獰猛な戦闘狩猟種族のプレデター。
過去にも地球にやってきたことがあるのですが、政府は極秘事項として隠蔽していました。
ローリーが起動させた装置からシグナルが発せられ、それを目掛けて、他のプレデターがやって来ます。
果たして、クインは息子と人類を守ることが出来るのでしょうか…。

クインは地球外生命体の目撃者として、口封じのために拘束されるのですが、
移送の途中で、訳ありの元軍人たちからなる“ルーニーズ特殊部隊”と遭遇。
彼らと共にプレデターと戦います。
1987年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で、1作目が公開されてから31年。
“エイリアン”と戦ったり、作品も進化を遂げながら、ファンに愛され続けてきました。
今回は、昭和のギャグ的な笑いも混じってたりと、ちょっとアナログな匂いもして。
このあたりがファンにはどう受け止められるのかが、逆に興味のあるところでもあります。☆3つ。
「ザ・プレデター」公式サイト



『西北西』は、国も、性も、文化も違う、3人の女性の物語。

レズビアンのケイは、モデルのアイと付き合いながらも、
将来に対する脆さや不安を抱えていました。
そんな時、イランからの留学生のナイマと出会います。
ナイマは、大学卒業後も日本で就職して、日本で暮らしていきたいと思っていましたが、
上手く日本の生活に馴染めず、悩んでいました。
そんなふたりが友達として仲良くなるのですが、アイはナイマにケイを取られたと誤解。
ナイマに「ケイと寝たの?」と問い詰めます。
ナイマは「ケイが可哀想。どうして愛する人を信じてあげられないのですか?」と、
哀しい眼でアイを見るのでした。
「ケイと二度と会わないで」と迫るアイ。
実は同じような言葉を、ケイも言われていたのです。
「絶対に認めないから。うちの娘と、すぐに別れてちょうだい」。
アイの母親からの冷たい通達でした…。

タイトルの『西北西』というのは、祈りの方角だそう。
資料には、中村拓朗監督のコメントとして、「三人は過去の私でもある。
『西北西』は、私の人生における極私的な体験を基にした映画である」とありました。
なるほど、そういうことなんだなと。
オープニングのシーンを目に焼きつけておくと、ラストシーンと繋がるかも。
デリケートな問題も含みつつなので、言葉にするのは難しいけど、
感覚として感じるのは、そう難しくないと思いますョ。☆3つ。
「西北西」公式サイト



『プーと大人になった僕』は、「くまのプーさん」の実写映画化。

少年時代のクリストファー・ロビンは、“100エーカーの森”に住む、
くまのプーとその仲間たちと大の仲良し。
ところが、お別れの時がやってきます。「きみのことは絶対に忘れないよ」。
大親友のふたりは固く約束して、サヨナラをするのでした。
あれから長い歳月がたち、大人になったクリストファー・ロビンは、
ロンドンの商社の鞄部門のトップを任されていました。
業績がなかなか上がらず、リストラも考えなくてはいけない現状。
妻のイヴリンと娘のマデリンと予定していた週末の旅行も、キャンセルせざるを得ませんでした。
そんな時、目の前になんとプーが現れたのです。
「森の仲間たちが見つからない。一緒に探してほしいんだ」。
でも、クリストファー・ロビンは、あの頃の彼とは、すっかり変わってしまっていたのです…。

ディズニー映画。
たぶん、プーさん好きは、最初の少年時代の別れのシーンから、もう涙、涙だと思いますョ。
で、ぐっと来たのに、大人になったクリストファー・ロビンが、頭の固い仕事人間になっちゃってて。
娘のマデリンにも、せっかく訪ねてきたプーにも冷たい。
「なんだコイツ」っていうくらい融通の効かないやつになってて。
でもね、そこから昔の自分を取り戻していくお話だっていうのは、隠してたってわかるでしょ?
プーが言う言葉に、忘れてしまった少年時代の純粋さを思い出すのは、
クリストファー・ロビンだけじゃなく、きっとあなたもだと思いますョ。
ボクにも“たけくま”と名付けたクマのぬいぐるみがあって、
幼い頃はボロボロになるまで大切にしてたのを思い出しました。
「今のあなたは、あの頃なりたかった“あなた”ですか?」。
このキャッチコピーが心に突き刺さります。☆4つ。
「プーと大人になった僕」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.9.8

『ディヴァイン・ディーバ』☆☆☆
『泣き虫しょったんの奇跡』☆☆☆☆
『ブレス しあわせの呼吸』☆☆☆☆☆
『1987、ある闘いの真実』☆☆☆
『500ページの夢の束』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先週、9月1日公開の映画『ディヴァイン・ディーバ』の記載を忘れてしまいました。失礼しました。
1週遅れになりますが、紹介させて頂きます。
それも合わせて、今週は5本です!



『ディヴァイン・ディーバ』は、ブラジルのベテラン・ドラァグクイーンたちのドキュメンタリー。

1960年代のブラジル。軍事独裁政権下で規制も厳しい中、リオ・デ・ジャネイロに設立された、
ヒバル・シアターという劇場で、パフォーマンスを行うドラァグクイーンたちがいました。
ドラァグクイーンとは(当事者には「違う!」と叱られるかもしれませんが)、
主に派手な女装をした男性性を持つ人たちのこと。
当時、世の中のみならず、家族にも受け入れられなかった彼女たちは、
時に精神病院に入れられたり、社会問題にまでなったりしながら、
ヒバル・シアターでは生き生きとパフォーマンスを披露していたのです。
この映画は、そんな伝説のレジェンドとなった“ドラァグクイーン第一世代”の、
デビュー50周年の祝賀イベントを追ったもの。
60年代を振り返り、今を語る。高齢にムチ打って?ショーに挑む、その一部始終をカメラが追いかけます。
日本でも、TVをつければオネエタレントを見ない日がない現在ですが、時は流れるということでしょうか。
先駆者というのはとにかく大変!だからこそ、名を残し、時代に評価されるのだと思います。☆3つ。
「ディヴァイン・ディーバ」公式サイト



『泣き虫しょったんの奇跡』は、天才・少年棋士の、挫折と栄光の実話。

瀬川晶司少年のニックネームは“しょったん”。
隣りに住む友達が将棋好きで、二人で将棋を指すようになります。
しょったんは、父の勧めで街の将棋道場に通うようになると、見る見る腕を上げ、
中学3年でプロになるための登竜門、奨励会を受験し、見事合格するんですね。
奨励会には決まりがあり、26歳までに四段になれればプロ棋士になれるのですが、
ダメなら退会しなくてはなりません。
22歳で三段に昇段したしょったんでしたが、そこから怠け出し、
あとひとつの壁を乗り越えられないまま、26歳を迎えてしまいます。
夢を応援してくれた父から、「お前は本当によく頑張ったんだから、しばらくゆっくり休め」と、
笑顔で慰められたしょったん。
直後に悲報が届きます。その優しい父が、突然の交通事故で亡くなってしまったのです。
頑張っていなかった自分を、心から悔やむしょったん。
改めて大学に通い、就職もし、再び将棋道場へ通い出すと、将棋本来の楽しさが蘇り、
昔の天才少年に戻ったしょったんは、アマ名人全国大会で優勝。“アマ名人”となります。
すると、周りの関係者たちが、しょったんをプロに編入させようじゃないかと、動き始めてくれたのです。
今までに決して開かれなかった奨励会以外からのプロ棋士への道。
将棋連盟が出した条件。それは、プロとの6回の対局で3勝することでした…。

中学生プロ棋士の藤井聡太七段の出現で、将棋人気が一気に高まり、
愛されるべきキャラクターの“元祖・天才棋士”加藤一二三九段にもスポットライトが当たるなど、
将棋ブームに湧く昨今。
将棋は勝負ですから、勝つ人がいれば、負ける人もいる。必ず勝敗がつく、厳しい世界でもあります。
そんな中、ひとつの壁を破った瀬川晶司五段の物語。原作も自身の手によるものです。
将棋連盟に掛け合った時、プロ編入試験を行うか否かの投票結果が、“賛成129、反対52”。
この数字にも、様々な“思い”が含まれていると思うんですよね。
頑張っていれば、誰かが見ていてくれる。怠け者の自分を許すだけじゃダメだけど(笑)、
本気で挑んだ夢の扉って、実は完全に閉まりきってはいないんじゃないかと、
リスタートの勇気をもらえる1本だと思います。☆4つ。
「泣き虫しょったんの奇跡」公式サイト



『ブレス しあわせの呼吸』は、実話に基づくストーリー。

地位も財産もないロビンでしたが、名家の娘ダイアナの心を射止め、結婚。
1958年、28歳で茶葉の仲買人を始めたロビンは、ダイアナと共にケニアを訪れます。
ところが、ロビンの体がどうにもおかしい。
病院に運び込まれ、下された診断結果はポリオでした。
首から下がまったく動かず、人工呼吸器がなければ自力で呼吸すら出来ない状態。
医者からは、余命数ヶ月と宣告されてしまいます。
男の子も産まれ、人生これからという矢先の出来事に、口を開けば「死にたい」ばかりのロビン。
そこでダイアナは動くんですね。
看護師から人工呼吸器の操作方法を学び、古い一軒家を買い、手直しをし、
なんとロビンを退院させ、病院から外へと連れ出したのでした。
もちろん医者は「2週間で死ぬ」と、猛反対。
それでも、何もしないで死を待つより、仮に短くとも、人間らしく生きることをふたりは選んだのでした…。

この映画のプロデューサーであるジョナサン・カヴェンディッシュは、
『ブリジット・ジョーンズの日記』や『エリザベス:ゴールデン・エイジ』などを手掛けてきた、
名プロデューサー。
実はこの話、そのジョナサンの両親の物語なんですね。
余命数ヶ月と言われてから、36年を生きたという、奇跡の感動物語。
妻と子はもちろん、ダイアナの双子の兄や、大学教授の友人が車椅子に人工呼吸器を付けたり、
車を改造したり、はたまた海外に行ったりと、家族や周りの人々に支えられ、
笑顔を絶やさなかったロビンの人生。
ブレスにあった医療・福祉ジャーナリストの小川陽子さんのコラムにも感動しました。
ちょっと拝借して、ご紹介したいと思います。
4歳で交通事故に遭い、頸髄損傷で20年以上寝たきりの生活をおくっていた番田雄太さんが、
分身ロボット『OriHime(オリヒメ)』を知り、開発者の吉藤健太朗氏と会って意気投合。
盛岡市で寝たきりの番田さんが、東京のオリィ研究所に採用されます。
安部内閣の“一億総活躍社会”に向けた大臣らのセミナーに、
自宅のベッドの上から『OriHime』で、次のように言ったそうです。
「寝たきりで学校にも通えず、友達も作れず、心は元気なのに、病院の中では何もさせてもらえない、
何もできないまま生きて死んでいく子供たちを、23年間見てきました。
彼らは、何のためにいかされたのでしょうか?何のために生まれてきたのでしょうか?
車椅子で外に出られる時間は、人生で本当に素晴らしい時間です。
でも、外に出られない日の方が多いのです。
この分身ロボット『OriHime』、今までになかった“心の車椅子”です。(中省略)
生きる意味とは、人と繋がることでみつかるのです。
誰かの役に立つこともできる、当たり前のことが当たり前にできるようになる。
死ぬ瞬間に、生きてきて良かったと思い伝えられる人生を作ることが、私たちのミッションです」と。
2017年9月に28歳で番田さんはお亡くなりになりましたが、
「俺は生きたい。明日死んでもいいから、充実した生き方をしたい」という番田さんの思いは、
きっと叶ったことでしょう。
『OriHime』については検索してみて下さい。
いつも否定しがちな“科学の進歩”ですが、こういう形で役立つのには大賛成です。
話が映画以外の方向へ行ってしまいましたが、行動する勇気に感動します。
これが実話だなんて、凄い!スゴ過ぎます。満点!☆5つ。
「ブレス しあわせの呼吸」公式サイト



『1987、ある闘いの真実』は、韓国映画。

チョン・ドゥファン大統領の軍事政権下にあった韓国。
圧政に苦しむ国民は、自由と民主化を求めて、学生を中心に反政権デモが激化していました。
そんな中、事件は起こります。
1987年1月、ソウル大学の学生、パク・ジョンチョルが警察の尋問中に死亡したのです。
新聞がこのことをリークすると、韓国中で大問題に。
暴力行為は一切なかったとする治安本部側は、遺体の解剖が出来ないよう、
至急の火葬を命じますが、火葬の許可を出すソウル地検公安部のチェ検事はそれを認めません。
ここに、巨大権力と、民主化を目指す市民の声との闘いの火蓋が切って落とされたのです…。

こちらも史実に基づくストーリー。
昨今の韓国映画に多い、自分たちの過去の“暗部”をテーマにした作品です。
ブレス資料には年表も付いていて、1987年(昭和62年)の日本はと言えば、バブル期に突入した時期。
ボディコン、ワンレンで浮かれていた頃、お隣り韓国では軍事政権と民主化の闘いがあったという。
あらすじは簡単に書きましたが、政権側も、市民の側も、たくさんの登場人物が複雑に交わり、
それぞれの思いでこの事件と対峙し、行動しています。
いつの世も、正義と志を持った人物はいるということにも気付くはずです。
ただ、時代によって何が正義かは、また難しい定義でもあるんですけどね。
お隣りさんを知るための1本であることは間違いありません。☆3つ。
「1987、ある闘いの真実」公式サイト



『500ページの夢の束』は、ダコタ・ファニング主演作。

自閉症を抱えるウェンディは、アルバイトをしながら、自立支援ホームで暮らしていました。
ウェンディは『スター・トレック』が大好き。その知識なら、誰にも負けない自信があるくらい。
すると、シリーズ誕生50周年を記念して、脚本コンテストがあることを知り、
ウェンディは優勝を勝ち取るべく、執筆に励みます。
ある日のこと、久々に姉がホームを訪ねてきたのですが、
気持ちの行き違いからケンカになってしまうんですね。
ふさぎ込んで寝込んでしまったウェンディでしたが、
ふと気付けば、コンテストの締め切りに郵送では間に合わない。
このままではせっかく書き上げた渾身の台本を届けることが出来なくなってしまう。
そこでウェンディは、意を決します。
愛犬ピートと共に、500ページの台本を、ハリウッドのパラマウントまで自分で届けようと決めたのです。
ウェンディの住むオークランドからは数百キロ。
果たして、ウェンディは無事辿り着くことが出来るのでしょうか…。

ダコタ・ファニングは、『アイ・アム・サム』などの天才子役として知られる人気女優。
彼女も24歳になりました。
バスで移動しようとしたら、ピートがオシッコしちゃってバスを途中で降ろされたり、
悪い連中に財布を盗まれたりと散々な目にも遭います。それでもハリウッドを目指し、
前に進むウェンディの“ロードムービー”。
普段彼女の面倒を見ているソーシャルワーカーのスコッティにも反抗期の息子がいたり、
ウェンディの姉のオードリーだって、本当は妹が大好き。
ホームからいなくなったウェンディを、みんなも懸命に探します。
ウェンディは無事ハリウッドに着けるのか?コンテストの結果やいかに?というお話。
ポップでカラフルなトーンは、男女を問わず、楽しめるはず。
ハラハラしながら、あなたもウェンディの“冒険”を見守ってあけて下さい(^-^)。☆3つ。
「500ページの夢の束」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.9.1

『アントマン&ワスプ』☆☆☆☆
『きみの鳥はうたえる』☆☆☆
『判決、ふたつの希望』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

もう9月ですね。時の流れは本当に早いもの。
夏の思い出もあまりなかったなぁという人、映画館に感動があるかもしれませんョ。
この週末にでも、足を運んでみてはいかがですか?
さ、今週は3本です!



『アントマン&ワスプ』は、マーベル・スタジオ最新作。

身長1.5センチのヒーロー、アントマン。
アントマンに変身するスコットは、バツイチで無職の冴えない男。
離れ離れに暮らす娘のキャシーに会うことだけが、彼の楽しみでした。
ところが、2年前にアベンジャーズ同士のいざこざに巻き込まれ、今はFBIに監視されて自宅謹慎の身。
そんなスコットが、毎晩のように不思議な夢を見ます。
それは、アントマンの開発者であるピム博士の妻、ジャネットの夢でした。
そんなある日のこと、博士の娘ホープがスコットの家にやってきて、
FBIの監視の裏をかき、スコットを外へと連れ出したのです。
向かった先は、ピム博士の研究所。
30年前にジャネットは1.5センチのヒロイン、ワスプとして、
世界を救うために量子の世界へと身を投じたと。
そこでさまよい続けている妻を、開発した極秘テクノロジーを使って、
ピム博士自身が助けに行きたいと言うのです。スコットは、その手助けを頼まれるんですね。
しかし、あと3日で監視装置が外され、自由の身になれるのに、この依頼はあまりに危険。
ただ、ジャネットの位置が定まっているのも、あと僅か。
時間が差し迫っているそんな中、闇の武器商人バーチや、
自在に姿を消せる謎の美女ゴーストが、このテクノロジーを奪おうと襲いかかってくるのでした…。

2015年7月公開の『アントマン』で生まれた、小さなヒーローの最新作。
登場は翌16年の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』以来、2年振りです。
今回は、ピム博士の娘ホープもワスプとなって大活躍。
実は、ピム博士の発明により、研究所自体も持ち運べる大きさに出来ちゃう。
それが悪人たちに、代わる代わる奪われて行く。
謎のゴーストなる美女も、ピム博士たちとは因縁がありそうだし、FBIも騙しながら、
果たして無事ジャネットと世界を救うことが出来るのでしょうか、というお話。
登場人物の関連性もしっかりしてたし、アクションは激しく、
また笑いも散りばめられていて、完成度はかなり高いと感じました。
マーベル・スタジオ作品としては、これで20作品連続の全米オープニングNo.1!
納得の高値安定です!☆4つ。
「アントマン&ワスプ」公式サイト



『きみの鳥はうたえる』は、佐藤泰志の小説の映画化。

「僕」は函館郊外の書店でアルバイトをする男性。
失業中の静雄と、小さなアパートで共同生活をしていました。
同じ書店で働く佐知子と関係を持った「僕」。
佐知子はそれまで付き合っていた店長と別れ、
毎晩のようにふたりのアパートに遊びに来るようになります。
「僕」と静雄と佐知子。
それぞれに束縛せず、自由に遊んで過ごした夏。
気が付けば、静雄と佐知子の距離が縮まっていたのです…。

函館出身の作家、佐藤泰志の小説の映画化。
舞台を70年代の東京の郊外から、函館に替えて作られました。
実はこの映画、函館の小さな映画館、函館シネマアイリスの20周年記念作品なんですね。
函館の街は、よくロケ地として使われる、映画の撮影にはピッタリのロケーション。
余談ですが、チャーミーグリーンのおじいちゃんとおばあちゃんが手を繋いで歩くコマーシャルも、
函館の街なんですョ。
大きな将来の夢を抱く訳でもなく、はたから見れば、ただ毎日をブラブラと生きる若者たち。
男ふたりに、女性ひとりという、危うい関係性の中で、ストーリーは進んでいきます。
冷めているのか、いや熱は奥底にあるのか。
ひと夏の物語。この夏が終われば彼らは大人になるのか、それとも変わらないのか。
突き抜けることのない感覚が、地方都市の現状と相まって、
見る者にモヤモヤした何かを残すかもしれません。☆3つ。
「きみの鳥はうたえる」公式サイト



『判決、ふたつの希望』は、レバノン映画。

レバノンの首都ベイルート。
違法建築の補修工事を行っていた現場監督のヤーセルは、
あるアパートのバルコニーから水が漏れているのを見て、修復工事をします。
ところが、その部屋に住むトニーはこれに怒り、
新たに取り付けた排水管を壊してしまうんですね。
ヤーセルは「クズ野郎!」と吐き捨てて、その場を去るのですが、
その暴言を許せないトニーは、事務所に乗り込み、謝罪を要求します。
実は、ヤーセルは妻と難民キャンプに暮らすパレスチナ人。
トニーはキリスト教系政党の支持者で、パレスチナ人に対して、ずっと反感を抱いていたのです。
事務所の所長はヤーセルを説得し、トニーの経営する自動車修理工場に謝罪に出向くのですが、
トニーから卑劣な言葉をぶつけられます。
特に、パレスチナの人々にとって最大の侮辱となる「シャロンに抹殺されていればよかった」には、
怒りが頂点に達し、ヤーセルはトニーの腹部を殴り、肋骨を2本折るケガを負わしてしまうんですね。
この事件で、トニーはヤーセルを告訴。最初の裁判では、証拠不十分で棄却となり、
判決に納得のいかないトニーは、法廷でも暴言を吐きます。
怒りが収まらないトニーは、控訴審の弁護士に、切れ者のワハビーを依頼。
一方のヤーセルには人権派の女性弁護士ナディーンが名乗りをあげます。
続く裁判では、それぞれの弁護人が真っ向から対立。
法廷の外でも激しい衝突が繰り広げられ、事態はふたりの謝罪云々を超え、
政治、民族、歴史の問題が複雑に絡まり合いながら、
国中を巻き込む大騒動へと発展していったのです…。

レバノンは、岐阜県ぐらいの広さの国土。
ここに主義や信条の異なる18もの宗派の人々が暮らしています。
それぞれに工夫しながら、微妙なパワーバランスは取れているのですが、
衝突ももちろん起きています。
「シャロンに抹殺されていればよかった」というのは、
レバノン侵攻時のイスラエルの国防相がアリエル・シャロンで、
このことはパレスチナ人にとって、絶対に許せない言葉。
トニーの代理人弁護士のワハビーと、ヤーセルの弁護を買って出たナディーンは、実は父と娘。
ふたりは異なる信条を持つ父娘だったのです。
真面目で実直な人柄のヤーセルは会社をクビになり、トニーの元にも嫌がらせがたくさん。
国中を巻き込んだ裁判の判決の日には、両者の支援者や大勢のメディアが殺到。
軍隊まで出動する騒ぎに。果たして、どんな判決が言い渡されるのか…というお話。
レバノン映画として、初めてアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされた話題作。
ジアド・ドゥエイリ監督が、「普遍的な問題なので、レバノン以外の人にも理解が出来ると思う」と。
確かに、ぐっと引き込まれるように見てました。
「争い以外の選択肢があるということを伝えている」と言う、その判決の内容が、
あなたも気になってきませんか?☆4つ。
「判決、ふたつの希望」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.8.23

『輝ける人生』☆☆☆☆
『皇帝ペンギン ただいま』☆☆☆☆
『若い女』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

試写会の受付の人の声って、意外と試写室まで届き、ダダ漏れだったりします(笑)。
でも、本人たちは気づいていない。
先日も、「今の人、素敵ね。いい匂いがした!」とか、
来場予定の著名人待ちのやり取りが聞こえてるのに、
「準備に時間が掛かってまして…」と上映遅れの理由を繕ってたり。
みんな聞こえてますから(笑)。お気をつけあれ!
さ、今週は3本です!



『輝ける人生』は、イギリス映画。

サンドラは、熟年の専業主婦。
35年連れ添った夫のマイクが、州の警察本部長を勤め上げ、
ナイトの称号を授与されたことで、サンドラもレディとなりました。
ところが、そのお祝いのパーティーで、なんとサンドラは夫の浮気現場を目撃してしまうのです。
それも相手はサンドラの親友!
子育ても終え、孫もでき、夫は定年退職してナイトの称号までもらい。
さぁ楽しい老後をと思っていた矢先の出来事でした。
サンドラは家を飛び出し、久しく会っていない姉ビフの家に向かいます。
ビフはロンドンの団地に暮らし、決して裕福ではないけれど、
仲間たちと大好きなダンスを楽しみ、人生を謳歌していたんですね。
事情を聞いたビフは、サンドラをダンス教室に誘います。
小さい頃、ダンサーを目指すほどダンスが好きだったサンドラ。
シニアの男女がいっぱいのダンス教室。生徒たちは、それぞれに様々な問題も抱えていました。
初めは心を開けなかったサンドラも、徐々に打ち解けていき、
ビフの親友のチャーリーには、夫と違う優しさを感じ始めていたのです。
そんな時、夫のマイクから、離婚の申請書が届きます。
不倫相手と結婚して、人生をやり直したいというのです…。

実は、この先まだまだ波乱の展開が待ち受けていて、
サンドラは次々と難しい選択を迫られていきます。
新しい出会い、姉妹の絆、ダンサーとしての冒険と挑戦…。
でも逆にそんな試練の数々が、いくつになっても人はやり直せるし、
人生ってこんなに楽しいんだというのを、サンドラに教えてくれるんですね。
熟年世代はもちろん、ちょっと下の年代のボクらにも、年を重ねることなんて怖くないからと、
笑顔でお手本を見せてくれているようで。
ボクはイギリス映画が大好きなんです。
大きくなくても、小さな灯りがぽっと灯るような幸せや優しさを感じるから。
この作品もそんな1本です。シニア世代には、特にオススメです。☆4つ。
「輝ける人生」公式サイト


『皇帝ペンギン ただいま』は、ドキュメンタリー。

アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞した、2005年の『皇帝ペンギン』から12年。
リュック・ジャケ監督による、皇帝ペンギンのドキュメンタリーが、再び届きました。
今回はデジタル4Kカメラと、ドローンを導入。
零下40℃にもなる、極寒の南極での撮影に挑みます。
テーマは出産、子育て、そして旅立ち。
海で生きる皇帝ペンギンたちは、ある時期になると列をなして、
海から100キロも離れた内陸の繁殖地に向かいます。
そこで母ペンギンは、産まれた大事な卵を父ペンギンに預け、海へ。
ここから父ペンギンは、約120日間の絶食状態で卵を温め、孵化したヒナを守ります。
父親としての、大事な大事な任務です。
そこへ母ペンギンが餌をお腹いっぱいに入れて帰ってくる。
そこからは両親が協力してヒナを育てます。
卵の受け渡しが上手くいかなかったり、天敵のカモメに襲われることもあり、
命を生き長らえることの難しさを痛感します。
そして、夏が近づくと、両親はヒナの元を去り、独り立ちさせるんですね。
皇帝ペンギンは、歌声で個体を識別しているそう。
聴覚が発達し、1000羽が集まったコロニーでも、85分もあれば家族と再会できるとか。
歌っている時は、周りのペンギンはおしゃべりを止めて、協力するんですって。すごいでしょ!
また、カップルの約15%は声を聞き分けて再会した元カップルらしいです。
ボクも声は誉められるから、皇帝ペンギンに生まれてたら、
何度も恋人に再会して、幸せになれたかもしれませんね(笑)。
パンフレットを買って、その不思議な生態を知ると、さらに楽しい映画になると思いますョ。
撮影スタッフの頑張りに拍手!☆4つ。
「皇帝ペンギン ただいま」公式サイト



『若い女』は、フランス映画。
31歳の女性、ポーラ。
自分が通っていた大学の教授だった写真家の彼とは付き合って10年。
メキシコにも付いて行き、パリに戻った途端、突如別れを告げられます。
暮らしていたアパートも追い出され、悔しさのあまり、彼の飼い猫を盗んで出たポーラ。
しかし、行くあても限られています。
友人に断られ、安宿を見つけるも猫の存在がバレて退居、疎遠だった母にも拒絶される始末。
すると、地下鉄で小学校時代の同級生と勘違いして声を掛けてきた、
ユキという女性宅に転がり込むことに成功。
勘違いを訂正するでもなく、ここからポーラの嘘つき生活が始まります。
仕事がないポーラは、学生だと偽り、住み込みでベビーシッターのアルバイトに付き、
同時にショッピングモールの下着売り場でも働き始めるのですが、
ここでも大学生だと見栄を張ります。
ところが、すべてがバレてしまい、行くところが遂になくなってしまうんですね。
彼女が向かった先は、一度は拒絶された母の元だったのです…。

31歳という年齢の女性の、決してドラマチックではないけれど、
本人にとってはすべてが大事件という日々を描いた作品。
“嘘”と書きましたが、これしかないなら、嘘は嘘ではなく、“手段”なのかもしれません。
生きていくのは本当に大変。とは言ってもねぇ…ってところはありますかね。
パリと言えば、やはり華やかなイメージがあるし、“陽”が華やかであればあるほど、
“陰”は暗くのしかかるのかも。ボクたちの東京も然りです。
女性のための映画かな。
日本人のアラサー女性は、この作品を見て何をどう感じるのか。
感想を聞いてみたいものです。☆3つ。
「若い女」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.8.17

『オーケストラ・クラス』☆☆☆
『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

先日、ブログに『太陽の塔』に関する文章を書きましたが、
映画の試写を見せてもらうありがたさというのは、こういうところにあるんだなぁと。
おそらく、ラジオのパーソナリティをやっていなければ、
試写の案内は頂けず、作品とも出会っていなかったかも。
もし見ていなければ、考えを巡らせる契機もなかったわけで。
そう考えると、あくまで個人的な感想ですが、
きちんと伝えるのが映画へのお返しなんだと思います。
役割は、何でも誉めることじゃなく、関心を持ってもらって、
劇場に足を運んでもらうこと。頑張ります。
さ、今週は2本です!



『オーケストラ・クラス』は、フランス映画。

移民の子供がたくさん通う、パリ19区の小学校。
バイオリニストのダウドは、オーケストラ・クラスの教師としてこの学校に赴任しますが、
初日から気の滅入るようなことばかり。
やんちゃ盛りの子供たちは、バイオリンを与えてもおもちゃのように扱い、
ダウドの話に耳を貸そうともしません。
中でも、悪ガキのサミールは困りもの。
あまりの暴言に、ダウドはサミールを突き飛ばしてしまい、これが大問題に。
一方、アフリカ系のアーノルドはバイオリンに興味があったようで、
後からこのクラスに編入してきます。
引っ込み思案のアーノルドは、貸し出されたバイオリンに夢中になり、
家でも屋根に登って、必死に練習をするんですね。
実は、母子家庭に育ったアーノルド。ダウドを父親のように慕っていたのです。
クラスの目標は、年度末にフィルハーモニー・ド・パリのメインホールで開催されるコンサートに、
子供たちを出演させること。
紆余曲折、様々な困難を乗り越えて、果たしてダウドと子供たちは、
無事、大きなステージで演奏することが出来るのでしょうか…。

移民問題は、ヨーロッパのひとつの大きな課題ですもんね。
また、ダウド自身も、プロの仕事からあぶれてしまったり、
家族と上手くいってなかったりと、問題を抱えていました。
いろいろな価値観がぶつかり合う中、ひとつの目標に向かって頑張っていく。
単なる感動ストーリーではなく、フランスの今が根底に横たわる社会派の側面もあります。
監督は、子供たちの選考にあたり、バイオリンが弾けない子を選んだそう。
撮影の中で、実際に進歩していく姿にリアリティを持たせたかったんでしょうね。
それを知って見ると、最後の演奏は、また違って響いてくるかもしれませんョ。☆3つ。
「オーケストラ・クラス」公式サイト


『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』は、アンディ・ラウ主演作。

香港警察の爆弾処理局に勤務するチョンは、爆弾犯罪グループに紛れて潜入捜査をしていました。
グループが銀行強盗を企てたその日に、チョンの活躍で、グループの大半は逮捕。
しかし、主犯のホンを取り逃してしまったのです。
同時に、チョンの素性もバレてしまったんですね。
それから1年半が過ぎた頃、チョンの同僚が車に仕掛けられた爆弾で爆死。
チョンは、ホンが香港に戻ったと確信します。
すると間もなく、香港最大の海底トンネルで事件は起こります。
ホンのグループが、トンネル両側の出入り口を塞ぎ、爆弾を使って、
トンネル内の人々を人質に取ったのです。
要求は、48時間以内に香港政府が海底トンネルを買い戻し、その金をホンに振り込むこと。
さらに、逮捕されているホンの弟を連れてくることでした。
ホンが交渉相手に指名したのはチョン。
1000キロもの爆弾を仕掛け、次々と人質の命も奪っていくホンに、
チョンは解決策を見出すことが出来るのでしょうか…。

面白かったです。
香港全体がテロリストの人質になる。チョンにも守るべき人がいます。
手に汗握る展開に、ハラハラドキドキ。
アメリカの山林消防隊の活躍を描いた『オンリー・ザ・ブレイブ』もそうでしたが、
正義を遂行しようとすると、必ず犠牲が生まれてしまいます。それが切ない…。
インドネシアの洞窟から少年たちを救出しようとした時も、
善意の外国人ダイバーが命を落としています。
この映画はフィクションですが、そんな勇気ある皆さんに、思いを馳せる作品かも。☆3つ。
「SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.8.2

『インクレディブル・ファミリー』☆☆☆☆
『詩季織々』☆☆☆
『2重螺旋の恋人』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

夏の試写で一番困るのは、隣りに汗臭い人が座ること(苦笑)。
もう、映画どころじゃなくなってしまいます。
スメハラなんて言葉がありますが、決して広くはない密室ですからね。
シャワーぐらいは浴びて来て欲しいと思います。
さ、今週は3本です!



『インクレディブル・ファミリー』は、ディズニー/ピクサーの最新作。

悪の魔の手から人々を守るヒーロー。
ところが、そのパワーが街を破壊するということで、ヒーローたちは活動を禁じられていました。
ヒーロー界のスターだったMr.インクレディブルこと、ボブもそのひとり。
怪力パパのボブには家族がいます。ゴム人間ママのイラスティガールこと、ヘレン。
鉄壁バリアガールの長女、ヴァイオレット。超高速ボーイの長男、ダッシュ。
そして末っ子の赤ちゃん、能力未知数のジャック・ジャックです。
ボブはヒーローであることに誇りを持っていますが、しっかりもののヘレンは、
スーパーパワー使用禁止のルールを子供たちに言い聞かせ、
一般市民としての生活を守っていたのです。
ところが、地底から悪のアンダーマイナーが出現。
ボブとヘレンは人々の命を優先し、戦って街を救います。
それでもビルを破壊してしまったことで、警察から事情聴取を受けることに。
落ち込む家族たちに、ヒーロー復活をかけたミッションが舞い込みます。
意気込むボブでしたが、依頼されたのは街を壊す危険の少ない、妻のヘレンでした。
ボブは妻の留守を守る“イクメン・ヒーロー”になるのですが…。

2004年の映画『Mr.インクレディブル』の続編とも言うべき作品。
妻が働きに出て、夫が家を守る。
ヒーローがイクメンという設定が、“働き方改革”が言われる、まさに2018年っぽく(笑)。
思春期の娘や、やんちゃ盛りの息子。さらには好奇心いっぱいで、
ちょっと目を離した隙に何をするかわからない“スーパー赤ちゃん”もいて。
ボブは目の下にクマを作りながら、家事に奔走します。
この“スーパー赤ちゃん”のジャック・ジャックが、この映画の主役と言って、過言じゃないかも。
実はとんでもないスーパーパワーの持ち主で、
家族はそれに気付いていなかったのですが、徐々に明らかになっていくという。
また可愛いんですョ。鉄板です!
高みの存在であるはずのヒーローたちが、すごく庶民的で身近な存在として描かれてます。
“一家団結アドベンチャー”というキャッチフレーズがピッタリ!
アニメーション史上、全米歴代No.1のスタートを切ったとか。
夏休みに家族で見るには、お勧めの作品です!☆4つ。
「インクレディブル・ファミリー」公式サイト



『詩季織々』は、コミックス・ウェーブ・フィルムの最新作アニメーション映画。

この映画は3編のショートストーリーからなっていて、中国の3都市が舞台。
幼い頃の自分と、大人になった主人公の、昔と今を紡いだ物語が繰り広げられます。
コミックス・ウェーブ・フィルムは、
2016年の大ヒットアニメ『君の名は。』を手掛けたアニメ制作会社。
そこに中国を代表するアニメーションブランドのHAOLINERS(ハオライナーズ)が参加。
国境を越えたコラボレーションが実現した作品となりました。
『陽だまりの朝食』は、北京で働く青年が、祖母と暮らした故郷・湖南省での幼少期を思い出す。
そこにはビーフンの温かく、懐かしい味があったという。監督自らの思い出だとか…。
『小さなファッションショー』は、広州に暮らす人気モデルのイリンと、
専門学校生のルルの生活を描いた物語。
ふたりは姉妹で、幼い頃に両親を亡くしていたのです。
ところが、イリンの人気に翳りが見え始め、姉妹の関係もギクシャクし始めてしまいます…。
『上海恋』は、上海の石庫門に住むリモと、幼なじみのシャオユとの淡い初恋の物語。
ささいなすれ違いから、互いの思いとは裏腹に、気持ちも距離も離れて行ってしまうのですが、
社会人になったリモが、シャオユとの、無かったはずの思い出の品を見つけるんですね…。
3本とも、夏のキラキラ感というか、日差しと陽炎を感じる作画で、こちらも夏にピッタリ。
大人になったボクらでも、長くて短かった夏休みのあの風景、あの匂いを思い出すと思います。
“青春に国境はない”と資料にありましたが、その通りですよね。
『詩季織々』と書いて、“しきおりおり”と読みます。
『陽だまりの朝食』のビーフンを調理する映像に、アニメ技術の格段の進歩を見ました。
まさに日進月歩です。☆3つ。
「詩季織々」公式サイト



『2重螺旋の恋人』は、フランスの鬼才フランソワ・オゾン監督の描く心理サスペンス。

原因不明の腹痛に悩まされているクロエは、パリに住む25歳の独身女性。
通っていた婦人科医に紹介され、精神分析医のポールを訪ねると、穏やかで優しい彼の診察に、
腹痛だけでなく、心の痛みからも解放されます。
美術館の監視員の仕事にも就け、ポールはクロエに診察終了を告げるのですが、
互いの気持ちの中には、すでに恋愛感情が芽生えていたのです。
新しいアパートで一緒に暮らし始めるふたりでしたが、ポールのパスポートの名字が、
クロエの知っていたメイエルではなく、ドゥロールとありました。
聞けば「母方の名字だ」と説明されますが、釈然としないクロエ。
するとこんどは、バスの車窓からポールにそっくりな男性を見かけます。
実はその男性も精神分析医。
偽名を使って診察を受けたところ、ルイ・ドゥロールといい、
ポールの双子の兄であることをそっと知るのです。
ルイはポールとは正反対の高圧的な物言いで診察をする医師。
しかし、クロエはそんなルイにも惹かれていってしまうのでした…。

ポールは、ルイの存在をクロエに黙っていました。
それは何故?そもそも本当に双子なのか?
疑問や疑念が、観客にもじわじわと覆い被さってきます。
いけないとわかっていても、その両方と関係を持ってしまうクロエ。
優しさだけでは、また強さだけでは満足出来ないのが女性なんだということでしょうか。
クロエの腹痛の原因も含め、よく出来た作品だと思います。
セクシーで、スリラー的要素もあり、決してスカッとする映画ではありませんが、
スタイリッシュな大人のサスペンス。
こちらは暑い夏の夜に、大人の恋人同士にお勧めです。☆3つ。
「2重螺旋の恋人」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.7.21

『ヒトラーを欺いた黄色い星』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

試写は10時、13時、15時30分、18時または18時30分スタートというのが通例。
たまに変則的な開始時間や、さらに遅い時間から始まる完成披露試写などもありますが、
お昼時にはランチも試写会場近くで食べることが多く、「この会場ならここ」と、
個人的に食事とセットになっていて、それもまた楽しみのひとつになっています。
京橋のテアトルでは、会場裏の焼き鳥『とり安』のきじ丼か、鳥かつ丼。
美味しいですョ!今週紹介する映画を見た時も、ランチは『とり安』でした(^-^)。
さ、今週は1本です!



『ヒトラーを欺いた黄色い星』は、史実に基づいたストーリー。

第二次世界大戦下のドイツ。
ナチスのユダヤ人大量抹殺政策“ホロコースト”により、
1941年10月にはドイツ国内のユダヤ人の国外移住が禁止され、
秘密国家警察“ゲシュタポ”により全財産を没収され逮捕されたユダヤ人たちは、
東の絶滅収容所へと移送され、無惨にもガス室で命を奪われていきます。
そんな中、なんとかナチスから身を隠し、生き延びようとしたユダヤ人も大勢いたのです。
出征を控えたドイツ人兵士になりすまし、
ユダヤ人向けの偽の身分証を作っていたツィオマ・シェーンハウス。
ヒトラー青少年団の制服に身を包み、ガス室での虐殺の事実を知るや、
“反ナチ”のビラ作りを手掛けたオイゲン・フリーデ。
戦争未亡人を装って、ドイツ国防軍の大佐の邸宅でメイドとして働いたルート・アルント。
偽名を使い、髪を金髪に染め、
出征間近のドイツ人男性から「母の話相手になって欲しい」と頼まれ、
自宅に匿ってもらったハンニ・レヴィ。
この4人の若き男女の壮絶な、まさに命懸けの逃亡劇が繰り広げられていくのでした…。

1943年6月、ベルリン大管区指導者のゲッベルズは、
「帝国の首都からユダヤ人はいなくなった」と宣言しますが、
実はベルリンには約7000人のユダヤ人が潜伏し、
約1500人が終戦まで生き延びたということなんですね。
その中の4人の物語。
基本的には役者さんたちが演じていますが、終わりのほうで、高齢となった本人たちも登場し、
自身の言葉で忌まわしい過去を振り返ります。
ルートをメイドとして雇い続けた大佐は、彼女がユダヤ人だったことを知っていたと言います。
また、ハンニを自宅に匿った若き兵士の母も、
ハンニが「自分はユダヤ人だ」という告白を受け入れて、彼女と同居を始めるんですね。
物資に乏しい戦時中、自分の生活すらままならない中、ユダヤの人たちを匿うことに、
どれだけの勇気と正義、また慈愛と覚悟が必要だったか。
自らの命をも危険にさらす行為ですからね。
この映画では、そんな素晴らしいドイツ人が、戦争という極限状態でもいたんだということも、
もう一方で描きたかったようです。あなたなら出来ますか?
ドイツ映画です。今は難民問題に揺れているドイツですが、
果たしてどんな思いで見ているのでしょうか。☆3つ。
「ヒトラーを欺いた黄色い星」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.7.21

『悲しみに、こんにちは』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


暑い毎日が続いてますが、今手元に届く試写状は、秋10月公開作品がほとんど。
中には11月半ばのものもあります。
先々で考えてると、何だか1年はあっという間に過ぎてしまいますよね。
さ、今週は1本です!


『悲しみに、こんにちは』は、スペイン映画。

フリダは6歳の女の子。
突然母が消え、大人たちが荷物を片付けながら、ひそひそ声で話しています。
「ママはいつもフリダと一緒だから、お祈りだけは忘れないでね」と、
大好きなおばあちゃんに言われ、母の弟、つまり叔父の車に乗せられ、
叔父の家で暮らすことになるフリダ。
叔父には妻と4歳の娘アナがいて、フリダに優しくしてくれるのですが、
なかなかフリダは心を開けません。
同世代の友達に混じって遊んでいても、転んで擦りむいたら、
親たちが慌てて飛んで来て、フリダから自分の子を離そうとする。
あらゆる環境が一変してしまったフリダは、ますます自分の殻に閉じこもっていくのでした…。

実はこの映画、監督であるカルラ・シモン自身の幼少期をモデルに描いた物語。
母がなぜいなくなったのか、周囲の大人たちがなぜフリダにそう接するのかは、
見ているうちに徐々にわかってきます。
それがわかると、観客にも、叔父や叔母の愛情の深さと苦悩がわかる。
観客がわかようになるに連れ、フリダ自身もそのことに気付く。
いや、気付いているのかもしれないけれど、素直になる。
それがこの映画のラストシーンであり、タイトルの意味だと思うんですよね。
幼少期に貴重な体験をするという意味では、夏休みらしい映画だと思います。
夏って、子供を大きく成長させる季節ですもんね。☆3つ。
「悲しみに、こんにちは」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.7.13

『最後のランナー』☆☆☆
『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル 最期に死ぬ時。』(評価なし)
『乱世備忘 僕らの雨傘運動』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


北海道に行ってきました。
新千歳空港の4Fには「ソラシネマちとせ」という映画館があります。
6作品が上映されていて、出発までの時間を潰すのには持ってこいかも。
ゲーセンも、温泉もありますが、タイミングさえ合えば、ボクは映画を見たいかなぁ。
さ、今週は3本です!



『最後のランナー』は、1981年の『炎のランナー』の、その後の物語。

1924年のパリ・オリンピック。陸上男子のイギリス代表、エリック・リデルは、
日曜日が宗教上の安息日であるという理由で、100m競技への出場を辞退。
急遽出場変更した400mで金メダルを獲得。
それも世界新記録での優勝に、世界中は感動の渦に巻き込まれました。
実は、リデルは宣教師の息子。敬虔なクリスチャンだったのです。
オリンピック終了後はたくさんの企業からのオファーがありましたが、それらを蹴り、
リデルは自身の出生の地、中国・天津での布教活動に赴きます。
ところが、時代は第2次世界大戦前夜。
日本軍が天津を占領したため、英国領事館はリデルに国外退去を勧告します。
それでもリデルは、妊娠中の妻と幼い2人の娘をカナダへと送り出し、
自らは天津に残り、人々を助ける道を選んだのでした…。

『炎のランナー』同様、こちらも実話に基づくストーリー。
金メダリストの宣教師、エリック・リデルのオリンピック後を描いています。
日本軍の非道ぶりに心が痛くなりますが、中にはリデルに協力的な日本人もいたのが救いかなと。
“陰徳”という言葉があって、陰で行う善行のこと。
例えば、寄付や寄贈をしても、名前は出さない、遺さないなんていうのもその類いです。
リデルは、妻や娘たちにはもちろん、まだ見ぬ子にも会いたかったろうに。
それでも天津の名も無き人々を守る方を選んだ。まさに“陰徳の人”。到底真似できません。
走ることで、わずかでも生きることに活路を見い出せたとしたならば、
リデルの脚の速さは、神様が与えた贈り物だったのでしょうね。☆3つ。
「最後のランナー」公式サイト



『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル 最期に死ぬ時。』は、ドキュメンタリー。

撮影した関口祐加監督は、日本の大学を卒業後、オーストラリアに渡り、29年間を過ごします。
帰国したのは、母に認知症の兆候が見られたため。
その母との日々を動画に撮り、YouTubeに上げたところ、大反響を呼び、2012年『毎日がアルツハイマー』、
2014年『毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスへ行く編』を発表。
その最終章が、今作となりました。
認知症の進む母とのやり取りをユーモラスに描きながらも、
自分で選択することの出来ない母の死を「私の問題」と位置付ける関口監督。
自身も股関節の手術をし、同じ入院部屋の仲間が癌で亡くなったのを機に、
より一層“死に方”を考えるようになったとか。
イギリスの精神科医ヒューゴ博士、自死幇助のあるスイスのエリカ博士、
膀胱がんの手術に踏み切ったオーストラリアの友人マーガレットさん、
日本で理想的な介護施設を立ち上げた中矢さんたちとのやり取りが描かれていて、
ナレーションも監督自身が務めます。
関口家が、明るく、いろんな出来事を悲劇として捉えないのが素晴らしい。
なかなか出来ないことだと思いますが、考え方のいいお手本かな。
うちも父が認知症もあって入院中。
両親どころか、ボク自身にだって、そう遠くない将来起こり得る話。
避けては通れない現実を、しっかり考えるいいきっかけになる映画かと思います。
「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル 最期に死ぬ時。」公式サイト



『乱世備忘 僕らの雨傘運動』は、香港の新世代によるデモを描いた、社会派ドキュメンタリー。

香港がイギリスから中国に返還されると決まったのが、1984年のこと。
1997年、香港は中国に戻りました。
中国は“一国二制度”を基本法とし、高度な自治を約束しますが、これがどんどんと危ぶまれていく。
そして、2014年9月、香港の高校生、大学生が中心となり、
“真の普通選挙”を求めたデモが起こります。通称『雨傘運動』です。
同じ香港人が香港の若者に催涙弾を浴びせる。
それから身を守ろうとみんなが雨傘を持ったことから、そう呼ばれるようになりました。
そもそも香港は、中国大陸や台湾から逃れてきた人が集まり、
イギリスの植民地時代もあった独特の歴史を持つ地。
かつての人々にとっては“仮住まい”としての意識が強かったのですが、香港に生まれ、
香港に育った人にとっては、まさに故国。
“香港人”としてのアイデンティティが強くなっていたのです。
ところが、中国返還と共に政治が変わる。
土地も狭く、若者たちが自分の家を持とうにも飽和状態で、未来が描けない。
様々な不満が溜まっていたのも事実。
そんな若者たちの「香港を何とかしたい」という、熱く、純粋な気持ちを、
27歳のチャン・ジーウン監督がファインダー越しに覗いた、79日間の記録です。
我々日本人にとっても、考えるべき何かが、きっと見えてくる1本だと思います。☆3つ。
「乱世備忘 僕らの雨傘運動」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.7.7

『菊とギロチン』☆☆☆
『君が君で君だ』☆☆
『スウィンダラーズ』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


暑いですね…。涼を求めに映画館。
でも、恋愛映画を選ぶと、デート中のカップルのアツアツぶりに、
せっかくの涼しさを熱くされちゃうかも(笑)。
さ、今週は3本です!



『菊とギロチン』は、189分の超大作。

大正末期の日本には、女相撲の“玉岩興行”という一座があり、全国を巡業していました。
メンバーはワケありの娘ばかり。その中に、夫の暴力に耐えきれず家出した花菊もいました。
「強くなりたい。自分の力で生きてみたい」。
身体は小さくても、力自慢の女力士に何度もぶつかっていく花菊。
その興行を見に来たのが、革命結社“ギロチン社”の面々。
中心メンバーの中濱や古田は、女力士たちの取り組みに魅せられていきます。
軍部が権力を強め、庶民の自由が失われ始めていた時期に、在りようは違えど、
差別のない世界で自由に生きていきたいと願う男女が互いに惹かれ合っていっても、
何ら不思議はなかったのです…。

試写室は超満員でした。
オリジナルストーリーなれど、女相撲もギロチン社も実在のもの。
格差社会、様々なハラスメント問題、和らいだとはいえ解決しきってはいない国際情勢。
おそらく、脚本も書いた瀬々敬久監督の目には、
関東大震災直後の不穏な空気の日本と、我々の今との間に、
似た閉塞感を感じたのでしょう。
映画自体は、女相撲なのかギロチン社なのか、
ややどっちつかずになってしまった感が否めないのが残念ですが、
お祭りの“見せ物小屋”を覗きに行くようなワクワク感で、
劇場に足を運んでみてはいかがですか?☆3つ。
「菊とギロチン」公式サイト



『君が君で君だ』は、個性的な恋愛映画。

風俗店で働くソン。
このソンを愛してしまった男が3人。
彼らは自分の名前を捨て去り、尾崎豊、ブラピ、そして坂本龍馬と、
ソンが好きな男になりきって、彼女を見守るんですね。
ソンの住むアパートの前に部屋を借り、
ソンの部屋に取り付けた盗聴器で行動を知り、目張りをした隙間から姿を覗く。
しかし、ソンにはダメ男の恋人がいて、ソンも借金取りの厳しい取り立てにあっていたのです。
そんなある日のこと、3人の奇妙な行動が、借金取りのボスたちにバレてしまうのでした…。

奇想天外なラブストーリー。
純愛だと言うけれど、これは好き嫌いが別れます。
監督はそれもまた計算してるのかもしれませんが。
ボクはダメ。あくまで個人的な恋愛観の違いであって、
映画としての良し悪しではないので誤解なく。
でも、評価はそこになっちゃうんですよねぇ(笑)。
池松壮亮、満島真之介、大倉孝二に、向井理。見たくなる俳優陣でしょ?
ま、多くは語りますまい(笑)。ご覧になってみて下さい!☆2つ。
「君が君で君だ」公式サイト



『スウィンダラーズ』は、韓国映画。

希代の詐欺師である、チャン・ドゥチルが死亡したとニュースが伝えます。
しかし、ジソンはそれを信じていませんでした。
ジソンは詐欺師だけを騙す詐欺師。
多くの市民を騙し、被害者の中に自殺者まで出した、
チャン・ドゥチルの大型詐欺事件を追っていた担当検事のパクに、
今こそヤツを捕まえようと、ジソンは申し出ます。
パク検事には独自の裏ルートがあり、演技がプロ級のベテラン、コ・ソクトン。
ハニー・トラップのチュンジャ。
カメラ、盗聴などのプロ、キム課長という3人組の詐欺師を抱えていたんですね。
そこにジソンも合流するのですが、
どうやらパク検事の目的がチャン・ドゥチルの逮捕ではないのではないことが判明。
詐欺師たち、それぞれの胸中に疑念が湧くのでした…。

歴代の大統領が逮捕される国だけに、政府や警察の中枢にいようとも、
正義とは限らない。あ、映画の中の話ですョ(笑)。
一筋縄ではいかない登場人物たちが、互いに疑いながらも、手を組んで問題解決に向かうという。
見ている側も、誰を信じていいのかがわからなくなると思いますョ。
最後は「なるほど…」と、ストンと腑に落ちるはず。スタイリッシュな1本です。☆3つ。
「スウィンダラーズ」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.6.30

『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』☆☆☆☆
『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)
(満点は☆☆☆☆☆)


6月も最終週。日曜からは7月です。今年も早や半分が過ぎようとしているってこと。
もう少ししてから感じるのかもしれませんが、平成も残り1年を切りました。
元号がまた変わると、昭和はますます遠くなりにけり、ですよねぇ。
さ、今週は2本です!



『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』は、
実話に基づいたミステリー・ホラー。

ウィンチェスター銃の開発で、巨万の富を築いたウィンチェスター家。
サラは、1862年に、ウィンチェスター家に嫁ぎます。
ところが、娘を出産から1ヶ月で亡くすと、サラの両親も死亡。
81年には、ウィンチェスター家を継いだばかりの夫が死去。
サラはひとりぼっちの未亡人となってしまいます。
遺産として莫大な資産を手に入れたサラは、
カリフォルニア州サンノゼにあった広大な農地と農家を購入するのですが、
サラは毎日24時間、365日、ずーっと増改築を続けます。
実は、サラがウィンチェスター家に降りかかる、あまりに不幸な出来事を霊媒師に相談したところ、
ウィンチェスター銃で命を落とした亡霊たちによる仕業だと。
その魂を閉じ込めるべく、屋敷をどんどん拡大する必要があると言われたのです。
ウィンチェスター社の経営陣は、サラの奇怪な行動に眉をひそめ、
精神科医を屋敷に送り込んだのですが…。

今も現存するウィンチェスターハウス。
サラが亡くなるまでの、38年間の増改築で、8部屋だった屋敷は500部屋を超えたとか。
さらに、天井に行き着く階段や、13にこだわった部屋など、
不可思議な構造がたくさんあるのです。
もちろん映画ですから、脚色もあるでしょう。
ただ、今では観光スポットになっているこの屋敷で、
数多くの心霊現象が報告されているのも事実だそう。
銃乱射事件が次々起こるアメリカで、それでも銃規制はどこへやら。
あるんじゃないですか?こういうこと。
西部開拓の昔から、無念の死を遂げた人は多いのですから。
ホラー映画としても、よく出来ていたと思いますョ。☆4つ。
「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」公式サイト



『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』は、沖縄返還に尽力した実在の外交官の物語。

1925年、外交官の長男として生まれた千葉一夫。
太平洋戦争が始まった時に16歳だった一夫は、海軍に徴兵され、戦争も体験。
1945年のポツダム宣言の日、両親は自殺してしまいます。
両親の死をきっかけに、東大を出て、自らも外交官となった一夫は、
アメリカの大学に留学するのですが、そこで日本が敗戦国であるがゆえの現実を見せつけられるんですね。
「なぜ沖縄が本土から切り離されるのか。沖縄を取り戻す。それが僕の仕事だ」。
一夫は、そう誓うのでした…。

実にざっくりなあらすじ紹介でしたが、1972年に沖縄が日本に返還されるまでに、
沖縄の人々の民意を汲みながら、
沖縄の人々が望む形での返還を目指した“志”の人がいたという話。
沖縄の問題が、対アメリカだけではなく、対日本政府の問題でもあるのは、
沖縄の基地問題を見ればわかること。
千葉一夫という外交官は、“鬼の交渉人”として、
日本のプライドと沖縄の人の哀しみを抱いて、巨大な相手に挑んだのです。
この映画、実はNHKが作ったドラマを再編集。
新たな映像を加えて、劇場用に作ったものなんです。
時代考証などは、さすがNHKだと思います。☆3つ。
「返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.6.22

『女と男の観覧車』☆☆☆
『オンリー・ザ・ブレイブ』☆☆☆
『ガザの美容室』☆☆☆
『キスできる餃子』☆☆☆
『猫は抱くもの』☆☆☆
『ブリグズビー・ベア』☆☆☆☆☆
『焼肉ドラゴン』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


月曜の朝に大阪で大きな地震がありました。
犠牲者の方にはお悔やみを、被災者の方にはお見舞い申し上げます。
天災、戦争、差別、世の中にはたくさんの“負の出来事”があります。
それらにどう対処していくか。今週の映画の中にも、強く前を向く作品が多々あります。
心が折れそうになった時にご覧になると、勇気がもらえるかもしれません。
さ、今週は7本です!



『女と男の観覧車』は、ウディ・アレン監督作品。

1950年代、コニーアイランドの遊園地。
ウェイトレスのジニーには、再婚同士の夫、ハンプティがいました。
ジニーの連れ子のリッチーとの3人暮らし。
そこに、ずっと音信不通だったハンプティの娘、キャロライナがやってきたのです。
キャロライナは両親の反対を押し切り、イタリア人のギャングと駆け落ち。
離婚するやFBIに証言を強要され、今では命を狙われる身となっていました。
危険が家族にも降りかかる。ジニーは心配でなりません。
ジニーには心配事がもうひとつ。息子のリッチーの火遊びでした。
いつか大火事を出すのでは。叱っても言うことを聞きません。
さらに自分はビーチの監視員の大学生と不倫。
ところが、その大学生とキャロライナがいい仲に。ジニーに、嫉妬の炎が燃え上がります。
そんな時、キャロライナの居場所をギャングの元夫が突き止め、この遊園地にやってきたのです…。

登場人物の数こそ多くないのですが、さすがウディ・アレン。
それぞれにひと癖もふた癖もあるキャラクターを生み出しました。
ジニーには『タイタニック』のケイト・ウィンレット。
観覧車にメリーゴーランド。なんとなく遊園地には退廃的な匂いがします。
回る回る人間模様。
ブルックリンの南端に位置するコニーアイランドには、ウディ・アレン自身も幼い頃よく行ったとか。
幼少期の彼の脳裏にも、何かドラマチックなものが映っていたのでしょうか。☆3つ。
「女と男の観覧車」公式サイト



『オンリー・ザ・ブレイブ』は、実話に基づくストーリー。

アメリカの山火事に立ち向かう森林消防隊員たち。
アリゾナ州プレスコット市の隊員たちは、市レベルの消防隊員。
実はアメリカには、現場の権限を持つ農務省認定の“ホットショット”と呼ばれる精鋭隊員がいたのです。
リーダーのマーシュが的確な指示を出そうとも、「余計な口出しをするな」と一蹴されてしまうのでした。
ある日のこと、窃盗罪で保護観察中のマクドナウが、隊員の新人募集に応募。
一目で薬物中毒だとわかるマクドナウでしたが、マーシュは彼を採用するんですね。
「生まれたばかりの娘を幸せにしたい。生まれ変わりたいんです」と言う彼の言葉を信じたのです。
地獄のような訓練を積み、ホットショットを目指すメンバーたち。
その甲斐あって、マーシュたちは、全米で初めて地方自治体の消防隊から、
ホットショットへの昇格を果たしたのです。
ところが、喜びも束の間、巨大な山火事が発生。
愛する家族を守るため、20人の隊員たちは、荒れ狂う炎の中へと立ち向かって行くのでした…。

2013年の実話なんですよね…。
自然の猛威というのは、人間の力ではどうにもならないことがある。
アメリカは国土が大きい分、自然災害のスケールも大きくなります。ハリケーンも、山火事も。
毎年、強烈な爪痕を残されるのに、環境問題に後ろ向きな印象がありませんか?
一緒にしてはいけないのかもしれませんが、銃規制もしかり。
人間の利益ばかりに目が向くと、破滅に向かうのはどこの国でも同様だと思いますが。
勇敢な消防隊員に敬意を表しつつ。☆3つ。
「オンリー・ザ・ブレイブ」公式サイト



『ガザの美容室』は、パレスチナ自治区のガザを舞台にした、女性たちの映画。

ガザにある美容院は、女性客でいっぱい。
店主は自国でパレスチナ人男性と出会い、移民になることを決意したロシア人女性。
アシスタントの女性は、札付きのワルであるマフィアと交際中。
客は、今夜結婚式を控えた娘と母、義母とその娘。臨月の妊婦とその妹。
薬物中毒の、兵士の妻。敬虔なムスリムの女性。離婚経験のある女性に、離婚調停中の女性など。
みんなが自分の順番を待っていた時、電気が止まります。
暑さもあって、苛立つ店内。客同士の言い争いも始まります。
そんな時、外で銃声が響くんですね。ハマスがマフィアの掃討作戦に出たのです。
激しい爆発音に、ネイルを塗る手も、震えが止まらなくなるのでした…。

ガザ地区で生まれた一卵性双生児の、ふたりの男性監督による作品。
「テレビやマスメディアは、死ばかりを伝えるけど、まるで爆撃がないガザには価値がないよう。
あらゆる困難をものともせずに暮らし続ける人々の人生を語ること。
それがボクらの使命だと思う」という内容のコメントがありました。
店の中で揉め事が始まった時、店主が言います。
「私たちが争ったら、外の男たちと同じじゃない」。
道路が封鎖されたため、結婚式に間に合わず、店内でドレスだけでもと、着飾る花嫁。
臨月の妊婦も産気づいてしまいます。
人は生まれ落ちた環境で生きることを余儀なくされます。
どんな状況でも、故郷を愛し、懸命に生きています。
平和ボケしてるボクらですが、見たら、日本に生まれてよかったと、
素直に感謝すると思いますョ。☆3つ。
「ガザの美容室」公式サイト



『キスできる餃子』は、“餃子エンターテイメント”ムービー。

陽子は離婚したばかりのシングルマザー。
運悪く、バイト先からもクビを言われ、家賃も滞納しているような状況。
幼い娘の美咲を抱え、陽子は駆け落ち同然で飛び出した宇都宮の実家に、頭を下げて戻るのでした。
久し振りに実家を訪れて、ビックリ。
営んでいた餃子屋「ふじた」が閉まっているではありませんか。
聞けば、父・信介の体調が悪く、閉店を決めたとか。
そこで陽子は決意します。
「お父さん、わたしにこの店をやらせて下さい」と…。

栃木県の宇都宮と言えば“餃子の街”。その餃子をテーマにした映画が誕生しました。
陽子には、グラビアでも活躍する足立梨花が扮します。
餃子だけでなく、もちろん恋愛話も絡んでくるのですが、
顔だけで選んで常に痛い目に遭ってきた陽子が次に好きになるのも、
イケメン・プロゴルファーの亮。
極度のスランプで、みんなの前から姿を消し、
たまたま宇都宮で自主トレを兼ねて新聞配達をしてところで、亮と陽子は出会ったのでした。
父は餃子の名人でも、陽子が“宇都宮餃子会”に再加盟するには、
厳しい審査を通らねばならず、苦戦の日々。
同時に、陽子は真実の愛を得ることは出来るのでしょうか?というお話。
足立梨花の演技に力が入り過ぎてるかなぁという印象ですが、
ボクは好きなタイプなので許しちゃいましょ(笑)。
タイトルの意味は、見てのお楽しみ…かな。☆3つ。
「キスできる餃子」公式サイト



『猫は抱くもの』は、沢尻エリカ主演作。

沙織は、売れないアイドルグループの元メンバー。
経歴を隠して、今は田舎町の小さなスーパーで、レジ打ちをしていました。
芸能界で夢を叶えられず、誰も知らない町にいわば逃げて来た沙織。
そんな彼女が唯一心を開いたのが、
スーパーの裏の倉庫でこっそり飼っているロシアンブルーの猫、良男。
あれこれ本音を話してくれる沙織に、良男は自分を人間の彼氏だと思うようになっていたんですね。
ところが、この町でも沙織を傷付けるような出来事が起こります。
沙織のそばにいてやりたい。良男は倉庫を飛び出して、沙織のアパートへと向かうのですが、
足を滑らせて川に転落してしまいます。
流され、辿り着いた場所、そこは「すてねこ橋」。個性的な猫たちの溜まり場だったのです…。

実際の猫と、擬人化された猫を演じる役者たち。
さらに、実景だったり、舞台だったり、アニメだったり。
人からの目線に加え、猫からの目線でも描く。
状況によって場面が変わる、その手法が斬新でした。
登場人物も、登場猫も、もちろんもっとたくさんいて、
ストーリーのカギを握るキャラクターも出てきます。それは劇場でご覧になってみて下さい。
猫と意志疎通が出来るなんて。
猫好きにはたまらないシチュエーションの映画かもしれませんね。☆3つ。
「猫は抱くもの」公式サイト



『ブリグズビーベア』は、“ハートウォーミング・ストーリー”。

ジェームスは、遮断されたシェルターで暮らす、25歳の青年。
時折、ドームから眺める砂漠と化した地上だけが彼にとっての外界で、
生活のすべてはシェルターの中にありました。
毎週届く教育ビデオの『ブリグズビー・ベア』。
この番組を見るのが大好きなジェームスは、自他共に認める“ブリグズビー・ベア評論家”。
両親や、チャット仲間との、番組についてのやり取りが、唯一の楽しみだったのです。
そんなある日のこと、いきなり警察がやってきて、両親は逮捕。
ジェームスも保護されるんですね。
実はジェームス、両親だと思っていたふたりに誘拐され、隔離された場所で、
25年間ずーっと育てられていたのです。
何が何だかわからないまま、本当の両親に引き渡されたジェームス。
いきなり高校生の妹も現れます。
毎週楽しみにしていた『ブリグズビー・ベア』のビデオが届かない。
そう、あれも偽の両親が作っていて、チャット仲間もふたりのなりすましだったのです。
それを知ったジェームスは、大きなショックを受けるのでした…。

試写状に書かれている文章も、試写の受付でもらう資料も、
事前にはあまり目を通さないようにしてるので、この映画が一体どんな作品なのか、
皆目見当がつきませんでした。
いやぁ、感動作!
25年間、偽の両親以外、誰とも接していないジェームスにとって、普通の社会が、普通じゃない。
でも妹の友だちたちとも意気投合し、それなら『ブリグズビー・ベア』を自分たちで作ろうぜとなる訳です。
ジェームスのピュアな心が、初めて何かを成し遂げる。
それも周りの、バーチャルではない、真の友達や仲間と一緒に。ここに感動するんですよねぇ。
B級感たっぷりですが、それがまたたまりません。
イギリス映画の「やったぁ〜」感が好きな人には、超オススメです。満点!☆5つ!
「ブリグズビーベア」公式サイト



『焼肉ドラゴン』は、大阪に住む、とある家族の物語。

1969年の大阪。伊丹空港のそばに、在日朝鮮人の人々が暮らす集落があり、
その一角に“焼肉ドラゴン”はありました。
主人の龍吉の名前から名付けられたこの店は、戦争で左腕を失くした龍吉と、
再婚した妻の英順たちによる家族経営。
3人の娘はそれぞれの連れ子で、静花と梨花は龍吉の、美花は英順の娘。
ふたりの間に産まれた息子の時生を加えた6人家族でした。
欠けた茶碗で酒を飲み、ホルモンをつまみながら、アコーディオンで歌を唄う。
モクモク上がる煙の中、些細なことで怒号さえ飛び交う店内で客は、
明日を生きるパワーを蓄えているかのようでした。
しかし、時代は高度経済成長期。
新しい時代の大きな波が、小さな家族をも飲み込もうとしていたのです…。

自身も在日韓国人の劇作家・鄭義信が、舞台で人気の作品を映画化。
自らが監督として、初めてメガホンをとった作品です。
監督自身の記憶を掘り起こしながら、歴史に翻弄された在日のみなさんの、
“普通の生活”を残しておきたかったそう。
仕事に、恋愛に、そして生きていくことに一生懸命な家族の姿に、感じ入るものがきっとあるはず。
プラスとマイナスで言えば、辛いことのほうが多そうですが、人って必ずフィフティ・フィフティ。
辛いことがもし量的に多かったなら、その分、喜びの、幸せの密度が濃いんじゃないかなと。
在日の人が見たら、違う感じ方をするかもしれませんが、どうでしょう?
大泉洋、真木よう子、井上真央など、人気の役者陣が「見てみたい!」と思わせてくれる1本。
あ、焼肉のグルメ映画ではないので、お間違いなく(笑)。☆4つ。
「焼肉ドラゴン」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.6.15

『ニンジャバットマン』☆☆☆
『V.I.P. 修羅の獣たち』☆☆☆
『ゆずりは』☆☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


梅雨の季節。
「ちょいと雨宿りで映画館へ」なんて言葉を、毎年書いてるなぁと(笑)。
でも、フラッと入った映画館で見た映画が、
あなたの人生を変えるなんてことがあるかもしれませんョ。
さ、今週は3本です!



『ニンジャバットマン』は、DCコミックスの人気キャラクター、
バットマンの日本企画制作アニメーション。

凶悪犯罪都市ゴッサムシティの犯罪者たちが、ひょんなことからタイムスリップしてしまいます。
やって来たのは、戦国時代の日本。
彼らは戦国大名となり、日本国を我がものにしようと争います。
悪党たちが日本を制圧することは、世界の歴史も変えてしまうことに。
それを何とか阻止しようと立ちはだかるのが、
ゴッサムシティの正義の味方、バットマンでした…。

日本のアニメーションの力を感じる1本です。
アメコミのテイストを残しつつ、日本独自の味付けもしっかりと。
お城が立ち上がって、ロボットのように戦いを始めるあたりは『トランスフォーマー』のよう。
ジョーカーvsバットマンの構図もしっかりあって、
既存のバットマンファンはも楽しめると思いますョ。
日本のクリエイターたちが、すごくカッコいいなぁと感じてしまいました。☆3つ。
「ニンジャバットマン」公式サイト



『V.I.P. 修羅の獣たち』は、韓国映画。

80〜90年代初頭、韓国には“企画亡命者”という者がいました。
彼らは北の特別な情報を持っているなどしたため、
アメリカのCIAと韓国の国家情報院によって北朝鮮から亡命させられ、
韓国国内ではVIP待遇を受ける存在でした。
その企画亡命者として韓国にいる北朝鮮のエリート高官の息子、グァンイル。
このグァンイルが、凄惨な連続殺人事件の容疑者として浮かび上がったのです。
悪事を決して許さない刑事のイドは、グァンイルを追い詰めていきます。
ところが、想像以上の“力”の壁が、イドの捜査を阻むのでした…。

自分の立場を悪用して、やりたい放題のグァンイル。
それでも、米CIAと国家情報院の庇護の元、イドたちも手出しができません。
なぜなら、グァンイルだけが知りうる北朝鮮の情報を、彼は持っているから。
実は、北朝鮮時代も連続殺人の容疑者だったグァンイル。
同様にグァンイルを追った保安省のデボムという職員がいたのですが、
高官の息子を犯人扱いしたと不当に左遷され、今は復讐に燃えていたのです。
グァンイルを巡り、様々な立場の人間が、利権、正義、復讐という、それぞれの思いで対峙します。
ややこしそうだなと思うかもしれませんが、グァンイルがクソ野郎(失礼!)なので、
観客の怒りの矛先は間違いなくグァンイルに向くはず。
それがわかりやすさを生んでいるかなと。
みんな尖ったキャラクター。見応え十分です。☆3つ。
「V.I.P. 修羅の獣たち」公式サイト



『ゆずりは』は、モノマネ芸人のコロッケが本名で挑んだ初主演作。

葬儀社の営業部長として働く、水島正二。
彼は妻の直子を自殺で亡くしていました。自暴自棄になっていた水島に声を掛け、
自らが経営する葬儀社に迎え入れたのが亡き妻の父、松波平二郎でした。
それから水島は懸命に働いてきたのです。
会社が募集した、新しいスタッフの面接に、茶髪にピアスの高梨歩という若い男性がやってきます。
当然みんなは反対したのですが、高梨の中に何かを感じた水島は、高梨を自分の責任でと採用するんですね。
感情を押し殺すのが葬儀の仕事と教えられた水島でしたが、高梨の行動はその真逆。
でも、それは彼の純粋な心の現れで、しばしば遺族の心を慰めたのでした。
ある日のこと、社長の松波が突然倒れ、帰らぬ人になってしまいます。
葬儀を取り仕切る水島に渡された松波の遺書には、
水島の妻・直子の自殺の真相が書かれていたのです…。

コロッケがなぜ本名で出たのか。その理由をTVのトーク番組で話していました。
「今までも映画の話はあったけど、みんなおチャラケた役。
でも今回はそんな要素が一切ない。それならばコロッケではなく、滝川広志なんじゃないかと」。
タイトルの『ゆずりは』とは、“春に枝先に若葉が出たあと、
前年の葉がそれに譲るように落葉することから、その名で呼ばれる常緑高木”のこと。
「人の命のバトンのよう」と解説にありました。
最後は水島が自らの苦悩と闘います。そんな中、高梨の純粋さが水島を救ったりもするんですね。
いくつかの葬儀が、オムニバス形式のショートストーリーのようで、その度に涙が頬を伝うはず。
ハンカチが欠かせない1本です。☆5つ。
「ゆずりは」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.6.9

『オンネリとアンネリのおうち』☆☆☆
『30年後の同窓会』☆☆☆
『それから』☆☆☆
『トウキョウ・リビング・デッド・アイドル』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、いわゆるシネコンに行き、見たい映画の時間が過ぎているのに、
まだチケットを売っているのを不思議に思いました。
「なぜだろう?」と思っていたら、予告編やら何やらが、ずいぶんと前に付くから、
本編には間に合うということなんですね。そっか。
知らなかった…。というか、忘れてた。試写ボケですかね(笑)。
さ、今週は4本です!



『オンネリとアンネリのおうち』は、フィンランドの映画。

オンネリとアンネリは仲良しの女の子。
オンネリは9人兄妹の真ん中で、アンネリの両親は離婚。
オンネリも、アンネリも、自分がいなくても、家族は誰も気付かないと感じていたんですね。
そんなある日のこと、ふたりがそっと家を出ると、バラ通りで、
「正直者にあげます」と書かれた封筒を拾います。
中には入っていたのは、たくさんのお金。
オンネリとアンネリは警察に届けたのですが、
「これは、君たちの物だよ。だって正直に届けたんだから」と、受け取ってくれません。
仕方なく元の場所に封筒を戻しに行くと、家の中からバラの木夫人が出て来て、
「そのお金でこの家を買うといいわ」と、水色の素敵なおうちを譲ってくれたのです。
ならばと、オンネリとアンネリは、ふたりでこの家に暮らすことにしたのでした…。

原作は、フィンランドで長く愛され続けているという児童文学。
“いい子”のオンネリとアンネリですから、楽しくふたり暮らしを始めます。
お隣りさんやご近所さんも、ちょっと変わっているけど、いい人ばかり。
でも、それじゃ、あまりに波風が立たない(笑)。で、隣りの家に泥棒が入るんですね。
それでも、災い転じて福となる。だって、いい子たちなんだから(笑)。
チクリと皮肉は、親に向けてかな。そんなふうに感じましたが、どうでしょう?
カラフルで、ポップで、可愛らしい映画です。☆3つ。
「オンネリとアンネリのおうち」公式サイト



『30年後の同窓会』は、“50歳のスタンド・バイ・ミー”。

サルが経営する、お世辞にも繁盛しているとは言えない店に、見知らぬ男性客が入ってきます。
初めは気付かないサルでしたが、彼は30年前、共にベトナムで戦った戦友のドクでした。
久々の再会を喜び、酒を飲み明かした翌日、
ドクはサルに車の運転を依頼、古い教会へと向かいます。
そこで礼拝を仕切っていた神父のミューラーもまた、彼らの仲間。
ベトナム帰還兵だったのです。
一番やんちゃで、女好きのミューラーが聖職者になってるなんて。
サルは驚きと同時に、笑いが止まりません。
ミューラーの家に招かれると、ドクの口から、なぜふたりを訪ねたのかが語られます。
最近、病気の妻に先立たれ、21歳のひとり息子のラリーが、
2日前にイラク戦争で命を落としたと言うのです。
息子の遺体が戻ってきていて、“英雄”としてバージニア州のアーリントン墓地に埋葬されると。
ひとりでは哀しみに耐えられないから、ふたりに一緒に来て欲しいと。
3人は遺体の安置所に向かうのですが、「戦場で勇敢に亡くなった」という大佐の話と、
息子の親友だった若い兵士との話がまったく違うんですね。
疑念を抱いたドクは、息子を自宅のそばに埋葬すると主張するのですが…。

舞台は2003年12月。イラクでフセイン大統領が捕まったと、劇中でもニュースが流れます。
ベトナム戦争とイラク戦争。
どちらもアメリカにとっては、歴史の“負”の部分かもしれません。
親と子で戦争の不条理な哀しみを背負うドクですが、
そんな親子が実際にアメリカにはたくさんいるということでしょう。
ただ、映画は後ろ向きな部分ばかりを描いているのではなく、50歳を過ぎ、
終盤にさしかかってきた人生が、30年振りの友との再会で、
またあの頃のように輝き出すという。
車で、電車で移動をする、いわゆるロードムービーでもあります。
タイトルだけ見ると、ちょっと違ったタイプの作品を想像しちゃうかも。
“同窓会”と言っても、共通の思い出の場所が、学校じゃなく戦場ですからね。
今の日本では考えられません。
自分の現状に欠落感がある人は、もしかしたらこの映画から、何かを取り戻せるかもしれませんョ。
もちろん、自分で行動しないとダメですけどね。☆3つ。
「30年後の同窓会」公式サイト



『それから』は、韓国映画。

小さな出版社に勤めることになったアルム。
初出勤の日、社長のボンワンが、アルムをランチに誘います。
「堅苦しい敬語はやめよう」。
その言葉にやや戸惑いを感じるアルムでしたが、ボンワンは妻帯者。
毎朝4時半に家を出て、夜遅くまで帰宅しない生活に、妻は浮気を疑っていたのです。
その実、ボンワンは不倫関係にあったアルムの前任者、チャンスクを思い出していたのです。
その日の午後、ボンワンの妻が浮気の証拠を押さえようと、事務所に乗り込んできます。
そして、あろうことか、アルムを愛人だと勘違いして、いきなり殴りかかるんですね。
初出勤だと言っても信じようとしません。
夜になり、ボンワンはアルムをお詫びの食事に誘うのですが、
アルムはこんな会社は辞めると言います。
必死に引き留めるボンワン。
ならばとアルムが考え直していた矢先に、愛人だったチャンスクが現れます。
すると、今度は、アルムに会社を辞めて欲しいと言い出すボンワン。
妻がアルムを愛人だと思い込んでいるのをいいことに、
アルムを追い出し、チャンスクとよりを戻そうと企んだのですが…。

ボンワンと、アルムと妻と愛人と。男性1人に、女性3人の愛憎物語。
時にシリアスに、時にコミカルに、物語は進んでいきます。
「なるべく家にいたくない」というボンワンの心情に、
「わかる〜」という男性諸氏もいそうですよね(笑)。
片方の口角を上げて、フンと笑うタイプの映画。
モノクロの映像がまたいい味を出しています。☆3つ。
「それから」公式サイト



『トウキョウ・リビング・デッド・アイドル』は、新しいタイプのゾンビ映画。

ゾンビが発生し、社会問題となっているトウキョウで、
人気の3人組アイドル“TOKYO27区”のメンバーの神谷ミクが、ゾンビに噛まれてしまいます。
ゾンビに噛まれると、72時間後にはゾンビ化してしまう。
噛まれた人間は即強制収容、そして抹殺されてしまうのですが、
ミクはなんとか逃げるんですね。
助けを求めたのは、偶然見つけた探偵事務所。探偵の犬田は渋々依頼を引き受けます。
調査の結果、ゾンビの血清があることを突き止めますが、
それを手に入れるには数々の困難を乗り越えなくてはなりません。
既に指名手配されているミク。
警察も、ゾンビハンターも、はたまた人間の意思を持ったゾンビたちも、ミクを狙います。
ミクに残されたのは72時間。そのタイムリミットが、刻一刻と迫るのでした…。

神谷ミクに、SUPER☆GiRLSの浅川梨奈。グラビアでも人気のアイドルです。
「おいおい、そんなにのんびりしていていいのかよ」とか、
「人気アイドルが変装もしないで街に出たら、簡単に見つかっちゃうだろっ」
などの突っ込みは不要(笑)。
“新感覚ガールズアクション・ゾンビムービー”。
ただただアイドルとゾンビのおいかけっこを楽しめばOKですから。
それにしても、ゾンビ人気って不滅なんですね。☆3つ。
「トウキョウ・リビング・デッド・アイドル」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.5.31

『50回目のファーストキス』☆☆☆


カンヌが映画館で公開されないものは映画と認めず、
スピルバーグ監督が動画配信サービスでのみ公開された作品のアカデミー賞受賞を批判。
時代の移り変わりと共に、映画を取り巻く環境も確かに変わってきています。
でも、映画は映画館で見るのが基本。
見逃したらDVDや配信で見るということになるのでしょうが、TVドラマと映画が違うように、
ボクは配信作品と映画は別物だという括りでいいような気がしますが。
あなたはどう思いますか?
さ、今週は1本です!



『50回目のファーストキス』は、2004年のハリウッド作品の日本リメイク版。

ハワイでコーディネーターとして働く大輔は、女性旅行客からモテモテの遊び人。
そんな彼が、カフェでひとりの女性と出会い、一瞬で恋に落ちてしまうんですね。
彼女の名前は瑠衣。ハワイに家族と住む日本人女性です。
声を掛け、話も弾み、翌日もまたここで会おうと約束をします。
次の日、大輔がカフェに行き、先に来ていた瑠衣の前の席に座ると、
瑠衣は怪訝そうな顔で、「ちょっと、あなた誰ですか?」。戸惑う大輔。
実は、瑠衣には交通事故の後遺症があり、新しい記憶は、1日で消えてしまうのでした…。

大輔に山田孝之、瑠衣に長澤まさみ。ハワイを舞台にしたラブ・ロマンスです。
家族の努力で、瑠衣は自分の障がいに気付いていない。
つまり、同じ日を何度も何度も繰り返し生きてるんですね。
その事実を知った大輔でしたが、それでも瑠衣と新しい未来を生きたいと前を向きます。
アイデアと、努力と、忍耐と。
なんか特別な恋愛じゃなくても、必要な要素だと思いません?(笑)。
コメディ作品を得意とする福田雄一監督が挑んだ、真剣なラブストーリー。
シリアスなばかりじゃないのがいいのかも?☆3つ。
「50回目のファーストキス」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.5.25

『男と女、モントーク岬で』☆☆☆
『ガチ星』☆☆☆
『軍中楽園』☆☆☆☆
『ゼニガタ』☆☆☆


“春のクラシックシーズン”。競馬もいよいよ佳境。
おかげさまで、ボクも忙しく、準備も含め、大わらわ。
泣く泣く試写を諦めた作品が数本。いい映画だったらどうしよう…(泣)。
時間に追われるのは、幸せなことなんですけどね。
さ、今週は4本です!



『男と女、モントーク岬で』は、大人の恋の物語。

ベルリン在住のマックスは、ネタを求めて世界中を旅する小説家。
今回は新作のプロモーションでNYへ。
実はマックスには妻のクララがいて、彼女はNYの出版社でインターンとして働いており、
離れての結婚生活。久々の再会となりました。
ところが、マックスには、NYに気になる女性がもうひとり。
それは新作小説にも登場する、17年前に別れた恋人のレベッカでした。
今は弁護士として成功しているレベッカ。
知人のツテで、マックスは彼女の連絡先を知るのですが、会うことを拒まれてしまいます。
するとマックスは直接事務所を訪れるんですね。
招かれざる客となったマックスに、突然電話が入ります。
レベッカが土曜日にモントーク岬まで行くので、一緒に来ないかと言うのです。
モントーク岬。そこはふたりが小旅行に行った、思い出の場所だったのです…。

妻がありながら、昔の恋人とやり直したがるマックス。
なぜレベッカは彼をモントーク岬に誘ったのか?これ、男は勘違いするパターン。
たぶん、男と女は、恋愛に対する脳の仕組みが違うんだと思います。
男は自分の取ってる行動を、恋愛的にも“正しい”と思い込んでるんですョ。疑うことなく。
マックスもそう。ボクもそうでしたから(笑)。
78歳のフォルカー・シュレンドルフ監督が、どうしても描きたかったとか。
もしかすると自身の懺悔かも?
正解だと思っていたことが正解じゃなかったんだと気付いてしまったことのある男性にとっては、
正直“痛い”映画です(笑)。
逆に女性はどういう視点で見るのか、ちょっと気になってしまった作品です。☆3つ。
「男と女、モントーク岬で」公式サイト



『ガチ星』は、ダメな“四十男”の再生のストーリー。

39歳の濱島浩司。
1軍で活躍するプロ野球選手でしてが、31歳の時に戦力外通告。
それからの生活は荒む一方で、妻や息子とも、離れ離れの暮らしを余儀なくされます。
地元の北九州に独りで戻ると、行きつけのラーメン屋の店主から、
競輪選手になることを勧められます。
「年齢制限はなく、40歳でも入学できる」。
そう聞いた濱島は、競輪学校に入学するんですね。
鬼教官のしごきと、動かない身体。
厳しい現実に、20歳も年下の若手から容赦ない言葉を浴びせられます。
それでも今度こそはと食らいつく濱島。
果たして彼は人生をやり直すことが出来るのでしょうか…。

2016年に福岡のテレビ局で、全4話のドラマとして放送したものを、
同じ監督が劇場版初監督作品として映画化したもの。監督は江口カン。
この主人公の濱島が、本当にクソみたいなやつで(笑)。
パチンコ、酒、手を差し伸べてくれた親友の奥さんと関係も持っちゃう。
最悪なのは、子供との約束をすっぽかすこと。
ね、クソでしょ?
そこからなんとか這い上がるんだけど、人間なんて、180度は変わらない。
相変わらずなところはあるわけです。
それでも“何か”支えがあるんですよ、濱島には。
それがこの映画のポイントかな。
ひとつ不満は“太もも”。競輪選手の太ももを再現出来てない。
選手になる過酷なプロセスは、特殊メイクを使ってでも、描き切って欲しかったかなと。
もしかしたら、フォーカスはそこに当たらなくていいってことかもしれないけど、
ボクは個人的にそのリアリティを欲してしまうのです。
自分が知ってることに対してだけのリアリティですけどね。☆3つ。
「ガチ星」公式サイト



『軍中楽園』は、台湾映画。

台湾と中国が対立していた1969年。
大陸からほど近い、紛争の最前線である金門島のエリート舞台に配属されたパオタイでしたが、
泳げないことがわかり、“特約茶室”を管理する831部隊へと移動させられてしまうんですね。
“特約茶室”。それは「軍中楽園」とも呼ばれる、軍が運営する娼館でした。
“待応生”という肩書きの女性を選び、娯楽票を買って、部屋で女性を抱く。
ここで働く女性たちは、みんな様々な事情を抱えていたのです。
兵士もまた然り。任務に悩み、女性との叶うはずのない将来を夢見る。
パオタイも例外ではありませんでした。
どこか影のあるニーニーという女性に惹かれていきます。
ところがニーニーは、重い重い罪を背負っていたのでした…。

史実に基づいたというよりも、実際にあった軍の施設を舞台に、男女の恋物語を描いた作品。
確かに台湾には“特約茶室”というのがあり、記録にも残っているそうです。
若い兵士が島の女性を襲わないように、希望者を募って“待応生”として女性を集めたそうですが、
それとて今なら人権問題。
そんな、とてもデリケートな題材の映画を2014年に作ったわけですが、
台湾では、批判の声は挙がらなかったそうです。
というより、自分たちの過去にきちんと目を向ける姿勢に拍手ですよね。
映画の中では、普通に男女が恋に落ちる。
それは片思いだったり、利用されていたり、していたり。もちろん両思いだったり。
みんな懸命に生きてるんだもん。
幸せになって欲しいなぁと思いながら、エンドロールを見てみて下さい。
一瞬、色めき立ちますが、すぐにあなたも気づくと思います。
あとは言いません。
思っていた以上にいい映画でした。満点あげてもいいくらいの☆4つ。
「軍中楽園」公式サイト



『ゼニガタ』は、一風変わった闇金のお語。

ひなびた港町の飲み屋街にある居酒屋「銭形」。
深夜0時になると、この店は闇金「ゼニガタ」に変わるのです。
10日で3割=“トサン”の超高金利で金を貸し、店主の銭形富男と弟の静香、
訳ありの元プロボクサーの八雲が執拗に取り立てにあたります。
違法で暴利を貪る店と知りながら金を借りに来るのですから、借りる側も相当な剛の者。
半グレ、ヤクザに、買い物中毒のOLなど。
今夜もまたひとり、「ゼニガタ」の暖簾をくぐるのでした…。

冒頭の乱闘シーンから面白そうだなと。
筋骨隆々ではない静香ですが、その残忍さは半端なく。
一匹狼的でクールな富男と、バイオレンス担当の静香。
そこに、昔、リングで相手を殴り殺してしまったプロボクサーの八雲が仲間に加わります。
なぜ、こんなにも金を集めるのか、
極悪闇金を富男がやる理由が明らかになるシーンがあるのですが、
それがどうにもよくわからない。
そこがストンと腑に落ちると気持ちいいのに…。残念…。
競馬の架空実況をラジオNIKKEIの大関アナがやっていて。すぐにわかりますね。
でもさ、金沢競馬で3億の馬は走らないから(笑)。
そのへんはどうですか?ボクはそこのリアリティを求めちゃいます。
表現は難しいのですが、娯楽作品として、つまらなくはなかったです。☆3つ。
「ゼニガタ」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.5.18

『ダリダ あまい囁き』☆☆☆
『ピーターラビット』☆☆☆


5月病ではありませんが、ちょっぴりモヤモヤした毎日…。
こんな時には、思いっきり笑う、思いっきり泣く。映画で感情解放するのがいいのかも。
さ、今週は2本です!


『ダリダ あまい囁き』は、20世紀のフランスの歌姫・ダリダの生涯を描いた作品。

1933年1月、エジプトのカイロに生まれたダリダ。
10代になると数々の美人コンテストに優勝。
母国の映画に出演したことがきっかけで、22歳の時にパリへ渡ります。
ダリダの芸名で、1956年8月、歌手デビュー。
10月に発売した「バンビーノ」の大ヒットで、一躍、人気スターの座へと駆け上がります。
1961年、ラジオ局の芸術監督だったルシアンと結婚。
しかし、結婚生活は長くは続かず、不倫、そして離婚。
すると、1966年、イタリア人歌手のルイジ・テンコと出会い、恋に落ちます。
でも、ふたりの仲は完全なる秘密。
ダリダはルイジの作る歌を歌うことでバックアップをするのでした。
ところが、1967年のサンレモ音楽祭で、歌手として出場したルイジが一次審査で落選。
落胆したルイジは、なんとホテルで拳銃自殺をしてしまうんですね。
第一発見者となったダリダは、彼の後を追って、睡眠薬による自殺を図りますが、一命をとりとめます。
皮肉なことに、ダリダを襲う様々な悲劇が、彼女の歌に、新たな魅力を吹き込んでいったのです…。

本名ヨランダ・クリスティーナ・ジリオッティ。
その後も、自殺したルイジのファンだという12歳年下のイタリア人青年と付き合ったり、
自分をサンジェルマン伯爵の生まれ変わりだと言うリシャールという男性と交際したりもするのですが、
元夫のルシアンも、リシャールも自殺してしまうのです。
恋人を3人も自殺で失うなんて…。
すると、最後は自らも自宅の寝室で、睡眠薬の多量摂取により、命を断つんですね。享年54歳。
波乱万丈のダリダの伝記映画。まさに“事実は小説より奇なり”。
成功もほどほどがいいのかなぁなんて思ってもしまいます。
ちなみにサブタイトルの“あまい囁き”は、
アラン・ドロンとのデュエットで大ヒットとなったシングルの曲名です。☆3つ。
「ダリダ あまい囁き」公式サイト



『ピーターラビット』は、100年以上世界中で愛され続けているウサギのキャラクターの実写映画。

イギリスの湖水地方に住むウサギのピーター。
三つ子の妹や、いとこたちと、毎日楽しく暮らしています。
そんなピーターの巣の前には、2軒の家がありました。
1軒は天敵マグレガーじいさんの家。もう1軒は自然と動物を愛する女流画家、ビアの家。
ピーターたちはマグレガーじいさんの庭の野菜を食べちゃうので、
マグレガーじいさんにとっては害獣。
実はピーターの両親は、マグレガーじいさんに捕まって、パイにされてしまったのです。
一方のビアは、美人で優しい女性。
嫌なことがあっても、ビアの笑顔ですべて吹き飛んでしまうピーターなのでした。
そんなある日のこと、マグレガーじいさんが心臓発作で亡くなってしまいます。
するとピーターを始め、動物たちはやりたい放題。
天国みたいな生活が続くかと思ったのも束の間、
マグレガーじいさんの孫の、若きマグレガーがやってきます。
こちらのマグレガーも動物が大嫌い!
さらにあろうことか、ビアといい仲になっているではありませんか。
ピーターはマグレガーを追い出そうと、あれこれ策を練るのですが…。

そうです。あのピーターラビットのお話。

イギリスのビアトリクス・ポターが書いたイラストは、誰もが知っていると思います。
あのイラストのピーターが、実はここまでやんちゃなのかと思っちゃう部分はありますが、
そこはご愛嬌!デニムのジャンバーを羽織るウサギなんて、そもそもいませんから(笑)。
実写版とは言っても、もちろん動物たちはCGです。
でも、一流デパートの“ハロッズ”が、初めて店内ロケを許しちゃうんですから、
ピーターってすごいウサギなんですね!☆3つ。
「ピーターラビット」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.5.13

『ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた』☆☆☆☆
『ラジオ・コバニ』☆☆☆☆
『ラスト・ホールド!』☆☆


『ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた』は、
2013年のボストンマラソンで起こった爆弾テロにまつわる真実の物語。

ボストン在住のジェフ・ボーマン、27歳。
仕事はなんとなくいい加減、恋人とも別れてはヨリを戻すの繰り返し。
その日も仕事を投げ出すように終え、大好きなレッドソックスの応援のために、
行きつけのスポーツバーへ。
そこへ元カノのエリンがやってきます。
彼女は明日行われるボストンマラソンに、チャリティランナーとして出場するため、
寄付金を募りに来たのです。

エリンにいいところを見せようと、募金を手伝うジェフ。
「明日、手作りのポスターを持って、応援に行くから」と言うジェフの言葉を聞き流すエリン。
なぜなら、彼は約束破りの常習犯だから。
ところが今回は違いました。ゴール地点に間に合わせ、エリンのゴールインを待っていたのです。
すると、ジェフの隣りで大きな爆発が2度起こります。爆弾テロでした。
気付いたジェフは、病院のベッドの上。なんと両脚は切断されていたのです。
絶望の中、FBIの調査に「犯人の顔を見た」と話したジェフは、犯人逮捕に貢献。
両脚を失ってもテロに負けない強い男性として、
インターネットで広まったスローガン“ボストン ストロング”の象徴にまつり上げられていきます。
身近な人たちが、またアメリカ国内が、ジェフをヒーローだと称えます。
ところがジェフは、「何かを勇敢に成し遂げたんじゃなく、
一夜にして足を失う悲劇に見舞われただけの無力な人間なのに」と、
自分を取り巻く喧騒に大きな違和感を感じていたのです…。

2013年4月15日、今も記憶に新しい、ボストンマラソンでの爆弾テロ事件。
3人が死亡、282人が負傷したこの惨劇。その被害者のひとりがジェフ・ボーマンでした。
サブタイトルにもあるように、どちらかというと“ダメ男”のジェフ。
でも、この日だけはエリンとの約束を守ってしまった。
エリンはそのことに責任を感じ、ジェフのそばにいようと決意するのですが、
ジェフの母親がかなり個性的な人で、エリンは母親とぶつかります。
冷静に事件と向き合おうとするエリンと、息子はヒーローと舞い上がる母。
ジェフも自由にならない体にイラ立ち、酒に溺れるようになるのですが、
ジェフの救助に尽力したカルロスという男性との再会が、
ジェフの中の何かを変えていくのです。
ボストンマラソンといえば、今年は31年ぶりに日本人ランナーの川内優輝選手が優勝。
日本での映画公開とも縁がありますよね。
思うに、アメリカ人は“ヒーロー”が好き、称えることが上手い、そんな国民性なのかなと。
ボクが感じたのは、そんな部分への、ある種のアンチテーゼも描かれているんじゃないのかなということ。
ジェフが、“持ち上げられて作られたヒーロー”から“真のヒーロー”へと変わっていく。
その過程こそに意味があるように思えるんですね。
スマホのコンテンツで上っ面だけを見て、深く知った気になる昨今。
きちんと掘り下げて、初めて真実が見えてくる。
そんなことをも教えてくれているんじゃないかと思います。☆4つ。
「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」公式サイト



『ラジオ・コバニ』は、シリアを舞台にしたドキュメンタリー。

シリア北部のクルド人街であるコバニ。
2014年9月に過激派組織ISに占領されたコバニは、
クルド人民防衛隊と連合軍による激しい戦闘により、
翌2015年1月に解放されましたが、街は瓦礫と化してしまいます。
そんな中、20歳の女子大生ディロバンは、自分の故郷を勇気づけようと、
友人とラジオ局を立ち上げます。
始めた番組が「おはようコバニ」。
彼女の元気な“おはよう”の声からスタートするこの番組には、戦士や、生き残った街の人、
難民キャンプで暮らす人々などが出演。生の声を伝えていきます。
ボクもラジオのパーソナリティですから、感じ入る部分は大きかったです。
まず、ラジオは何のために放送しているのか。
しゃべり手は何を伝えたくて、あるいは何を伝えなくてはならなくて“言葉”を発しているのか。
そんな根源的なことを、改めて考えさせてくれる作品。
さらに、“立ち上がる”“行動する”ことの大切さを教えてくれる1本でもあります。
今もある空爆のニュースを見ると、大丈夫かなぁと、見知らぬ土地に暮らす人々を案じてしまいます。
ラジオのパーソナリティとして、責任と誇りを持ってしゃべり続けたい。
見終わって、そう誓った1本です。☆4つ。
「ラジオ・コバニ」公式サイト



『ラスト・ホールド!』は、ボルダリングを題材にした青春映画。

廃部寸前の取手坂大学ボルダリング部。
歴史ある体育会のクラブなのに、部員は4年生のキャプテン・岡島健太郎ただ1人。
大学は練習用の壁を撤去しようとします。
抗議する岡島に、学校側は、部員を7人以上揃えるよう言うんですね。
新学期を迎え、新入生を勧誘するも、大苦戦。
それでもなんとか6人の新入部員を集めることに成功します。
中で経験者は河口亮二だけ。他はボルダリングの“ボ”の字も知らない素人ばかり。
大会は間近に迫り、岡島には就職活動もある。
果たして、名門・取手坂大学ボルダリング部の復活はなるのでしょうか…。

主演はジャニーズの人気グループ、A.B.C―Zの塚田僚一。
ボルダリング部員にジャニーズJr.のSnow Manのメンバーたち。
塚田僚一さんは、競馬を題材にした舞台に出る前に、
ボクが講師を勤めていたJRAの競馬初心者講座
『REXS』を受けに来たほどの研究熱心なタレントさん。
きっと今回もボルダリングについて、しっかり勉強したんだろうなと思います。
ただ、作品としては、あまりにざっくりし過ぎの感が否めず…。
ジャニーズファンのための映画だったとしても、そこをもう少し繊細に描くことで、
振れ幅が出来て、ヒットに繋がるもの。
それがちょっと残念だったかなというのが、素直な感想です。☆2つ。
「ラスト・ホールド!」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.5.5

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』☆☆☆
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』☆☆☆
『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』☆☆☆☆


このコラムを書いているのはGW真っ只中。HPにUPされるのはGWも終わる頃。
連休明け、再び仕事という現実に引き戻されると思います(笑)。
現実から逃げたくなったら映画館へ(^-^)
さ、今週は3本です!


『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』は、
全米フィギュアスケート界最大のスキャンダルを映画化したもの。

トーニャ・ハーディング。1970年、オレゴン州ポートランド生まれ。
気性の荒い母親の、4番目の夫の子に生まれ、4歳でスケートの才能に目覚めます。
母親はこの才能が金になると思い、有名コーチに無理やり指導を依頼。
1991年の全米選手権で、アメリカ人女性初となるトリプルアクセルを成功させ、優勝。
すると同年の世界選手権でも2位となり、一躍トップスケーターの座に駆け上がります。
ところが、その頃をピークに、トーニャは勝てなくなってしまいまうんですね。
リレハンメルオリンピックの代表選考会を兼ねた、94年の全米選手権。
その会場で、優勝候補と目されていたナンシー・ケリガンが、
何者かに襲撃され、膝をケガしてしまいます。
結果、大会はトーニャが優勝。
しかし、すぐさま襲撃犯として逮捕されたのは、トーニャの元夫とその仲間でした。
当然、トーニャ自身の関与も疑われて、オリンピックへの出場権が剥奪されそうになるのですが、
トーニャは逆にオリンピック委員会に告訴。
時間稼ぎが功を奏して、オリンピックに出場したのですが…。

「あのトーニャ・ハーディング!」と思い出す人も多いはず。
94年のリレハンメルオリンピックでは、演技途中で靴ひもが切れたと、
涙で再演を訴えた、あのトーニャ・ハーディングです。
あれから25年近く経つんですね。
特異なキャラクターの誕生には、“元祖モンスターぺアレンツ?”とも言える母親の存在が大きかった。
また、15歳で出会い、20歳で結婚、そして離婚した暴力夫の存在も。
監督はそれぞれにインタビューを重ねたと言いますが、みんな言うことが違ったとか(笑)。
だから、何が真実かはよくわからない。
その異なる言い分もきちんと明らかにしながら、バランスを取って構成したそう。
母親役のアリソン・ジャネイが、アカデミー賞助演女優賞に輝いたことからもわかるように、
かなり強烈な母親です。アリソン・ジャネイは、まさに怪演です。
それを見るだけでも価値ありです。☆3つ。
「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」公式サイト



『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』は、
人気アニメ『機動戦士ガンダム』の、いわゆる“前史”。

宇宙世紀0079年1月に始まった、ルウムでのジオンvs地球連邦の戦い。
圧倒的不利の状況から、人型兵器“モビルスーツ”で大逆転勝利を収めたのがジオン軍でした。
中でも赤いモビルスーツ『ザク2』で戦果を上げたシャア・アズナブルは、少佐に昇格。
“赤い彗星”の異名をとります。
一方、地球連邦軍も“V作戦”を計画。
少年アムロ・レイは、新兵器『ガンダム』の秘密を自ら探るんですね。
その頃、地球の南極大陸では、ジオン、地球連邦の高官が揃い、
早期和平交渉が行われようとしていたのですが、
そこで発信されたのは和平とはほど遠い内容の声明だったのです…。

すみません。ほとんどチラシのまま(笑)。
宇宙世紀最大の戦い“一年戦争”の前史で、ジオン・ズム・ダイクンの死からルウム会戦までと、
“赤い彗星”ことシャア・アズナブルと妹セイラ・マスの生い立ちを中心とした
ファーストガンダムの主要キャラクターたちの過去を、
初めて映像化したものが“ジ・オリジン”だそうです。
あ、また丸写しです(笑)。
以前も言いましたが、知り合いに詳しい友人がいて、教えてもらったところ、
正義と悪ではなく、ジオン軍にも地球連邦軍にもファンがいて、シャアが好き、アムロが好き、
またそれぞれに付随する物語があるからガンダムは深いんだと。
チラッとその感覚はわかった気がします。
なんて薄っぺらなコメントは、ガンダム・マニアからは怒られそうですが(笑)。☆3つ。
「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星」公式サイト



『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』は、韓国映画。

麻薬密売組織のナンバー2であるジェホは、服役中の刑務所で裏の権力を握る人物。
そこに若い囚人、ヒョンスが入ってきます。線は細いのに鼻っ柱は強く、ケンカの腕も立つ。
ジェホはヒョンスを自分の部下にしようと考えるんですね。
ある日のこと、この刑務所にさらなる大物が入って来たことで、勢力図が一変。
ジェホは命までも狙われるようになります。
その危機を救ったのはヒョンスでした。
さらに、ジェホの殺害命令を出していたのが、ジェホの親分であるコ社長だと判明します。
ジェホとヒョンスは、出所したらコ社長を消し、組織を乗っ取ろうと話すんですね。
しかし、実はヒョンスは、コ社長たちの組織を潰すためにジェホに接近した、
警察の潜入捜査官だったのです…。

ヒョンスには病気の母親がいて、そのために体を張って頑張ってます。
信じては裏切られての繰り返し。最後の最後まで、そのドンデン返しが続きます。
最近の韓国映画は面白い作品が多いのですが、これもよくストーリーが練られていて。
目が離せないというか、眠くなるヒマがない(笑)。
バイオレンス作品ですが、見終わっての“満腹感”みたいなものは、かなりのものがあるはずです。
『アウトレイジ』好きにはお勧めかな。☆4つ。
「名もなき野良犬の輪舞(ロンド)」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.4.27

『オー・ルーシー!』☆☆☆☆
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』☆☆☆


GWは、さすがに試写会もお休み。なので、連休前の“駆け込み試写”な毎日です(笑)。
それでも、早くも都内は人(外国人?)が多くて、掻き分けて歩くのもひと苦労。
今の時期は、移動時間との戦いでもあります。
さ、今週は2本です!



『オー・ルーシー!』は、人生に不器用な40代独身女性の恋物語。

節子、43歳。独身。
都内の会社に務めるOLです。
周りとの関わりを極力持たないよう、淡々と仕事をする単調な毎日。
そんなある日のこと、姪の美花から連絡が入ります。
聞けば、通えなくなった英会話教室の残りを買い取ってもらえないかと言うのです。
とりあえず、一度体験だけでもと説得され、節子は仕事終わりに教室を覗いてみることに。
講師はアメリカ人男性のジョン。すると金髪のウィッグを渡され、
アメリカンネームでやり取りするよう言われます。
節子の名前は“ルーシー”。ジョンの講義はハグから始まります。
熱いジョンとの抱擁に、節子の中の何かが目覚めたのでした。
平凡な毎日に大きな喜びが出来た節子でしたが、次の講座にジョンはいませんでした。
なんとジョンは美花を連れて、アメリカへ帰ってしまったのです。
あ然とする節子は、美花の母である姉の綾子と、美花を探しにアメリカへと渡るのですが…。

節子役に寺島しのぶ。
朝の通勤途中に飛び込み自殺を見てしまったり、同じようなお局様の送別会で酷い毒を吐いたり、
ちょっとギスギスした幸薄そうな女性を演じるにはハマり役?
失礼な物言いかもしれませんが、うんうんとうなづいて下さる方もいるはず(笑)。
節子はその過去から、姉の綾子とは犬猿の仲。その綾子に南果歩。
ベイビーフェイスながら芯の強さを持つ南さんもまたハマり役。
さらに妻を亡くし、自分を変えようと英会話教室に通う男性、小森に役所広司。
トムというアメリカンネームをもらう、この小森が物語のカギを握ります。
豪華俳優陣でしょ。
人には変身願望があり、金髪のウィッグを着けることで、ルーシーになった節子。
でも、彼女は変わったのではなく、元々持っていた本質が、
仮の姿を借りて現れたんだと思います。
振れ幅を演出するために、表現はエグいです。正直ボクには、嫌いな肌感。
でも“独居老人手前”のやり取りが、
ボクにはある種のリアリティを持って響いてきたのです。あぁ…(笑)。☆4つ。
「オー・ルーシー!」公式サイト



『ザ・スクエア 思いやりの聖域』は、
第70回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。

クリスティアンは、バツイチ子持ちながら、キャリアは順風満帆の現代美術館のキュレーター。
彼は展覧会の次回作として、“ザ・スクエア”という展示を発表します。
これはどんな作品かというと、「この正方形(スクエア)の中では、
すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる“思いやりの聖域”」とする参加型のアート。
現代社会のエゴや格差に一石を投じる狙いがありました。
ところが、クリスティアンが携帯と財布を盗まれる被害に遭います。
GPSを使って、携帯の所在こそわかったものの、そこはマンション。
彼は全戸に脅迫めいたビラをまき、犯人を見つけようとするんですね。
結果、携帯と財布は無事戻ったものの、
そのビラがひとりの少年を痛く傷付けることになります。
さらに、展覧会をPRするためにとったSNSの手法が世間の反感を買い、
クリスティアンは窮地に追い込まれていくのでした…。

やや哲学的に、現代社会に問題提起をする。いかにもカンヌが好きそうな作品だなと(笑)。
この“ザ・スクエア”に参加するには、
まず“人を信用する”か“人を信用しない”かの2択の質問が待ち受け、
前者を選んだ人は携帯と財布を床に置いていかなければならない。
あなたは出来ますか?
そんな本音と建前を試されるようなシーンがいくつも出てきます。
添付の資料に興味深いことが書かれていて、
社会的意識が高いとされている北欧(スウェーデン)が舞台なんですが、
税金は高いけど、いわゆる“ゆりかごから墓場まで”、老後は国が面倒を見てくれると。
でも、社会保障がしっかりしているというのは、
実は裏を返せば「個人の思いやりをあてにしていない国」なんだと。
実の親の介護を家で看るのすら稀だそう。
ボクたちはどうでしょう?
この映画にピンと来るようだと、日本も北欧型の生き方が進んでいるのかも。
あ、社会保障は全然追いついてませんが。
バランスの悪い国になったもんだ。昭和は遠くになりにけり…ですね(笑)。☆3つ。
「ザ・スクエア 思いやりの聖域」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.4.21

『シューマンズ バー ブック』☆☆☆
『タクシー運転手 約束は海を越えて』☆☆☆


GWまであと少し。予定は立てましたか?
どこに行っても混雑、混雑。旅行は高いし…。なんて時に映画はいかがです?
外国の作品を見て、心は海外旅行なんていうのも悪くないかもしれませんョ(笑)。
さ、今週は2本です!


『シューマンズ バー ブック』は、伝説のバーマン、
チャールズ・シューマンが世界中のバーを巡るドキュメンタリー。

チャールズ・シューマンは、ドイツのミュンヘンでバーを経営するバーマン。
実はその昔、ヨーロッパでは、ホテル以外にバーがなかったそうなんですね。
そこでシューマンは、気楽に入れるようにと、路面店のバーを出します。
「シューマンズバー」は、35年経った今も人気のお店。
そんなシューマンが、500種類を超えるカクテルのレシピ本
『シューマンズ バー ブック』を1991年に出版。
今では世界中のバーテンダーのバイブルになっています。
76歳になり、今なお現役のバーテンダーであるシューマンが、ミュンヘン、ベルリンは元より、
アメリカ・NY、フランス・パリ、キューバ・ハバナ、日本・東京、オーストリア・ウィーンと、
世界中の人気のバーを巡り、そこで新たな発見もして行くという、そんな映画なんです。
カクテルのスタイルは国によって、また店によって、さらにバーテンダーによって違いますが、
一杯のカクテルに懸ける情熱はみんな同じ。熱いものがあります。
世界のバーテンダーたちの、こだわりの技法が見られるのも、この映画ならでは。
一流同士が、カウンターを挟んでやり取りをする姿に、互いのリスペクトがある。
間にはお酒がある。
あなたもきっと、バーのカウンターで、いつもよりちょっと気取って、
カクテルを注文したくなると思いますョ。☆3つ。
「シューマンズ バー ブック」公式サイト



『タクシー運転手 約束は海を越えて』は、実話に基づく韓国映画。

1980年5月。記者であることを隠して韓国に入国したドイツ人記者のピーター。
実は今、光州で民衆が反政府デモを行っていて、参加者は20万人にまで膨れ上がり、
軍は市民を暴徒として発砲。多数の死者が出ていたのです。
ところが、報道はシャットアウト。惨状を世界は知りません。
この事実を知らせなくてはと、ジャーナリストとしての使命感がピーターを動かしたのです。
一方、11歳の娘とふたりきりで暮らす、タクシー運転手のマンソプは、
お金に困っていて、数ヶ月分の家賃も滞納。
そんな時、仲間のタクシー運転手が、「美味しい仕事を頼まれて」と話しているのを耳にします。
聞けば、外国人客を乗せて、通行禁止になる前に光州に入り、
ソウルに戻れば10万ウォンが貰えるというのです。
「滞納した家賃を返せる」。
そう思ったマンソプは、仲間の仕事を黙って横取りするんですね。
ピーターを乗せ、片言のインチキ英語を使い、怪しい笑顔で会話をするマンソプ。
しかし、光州はひどいことになっており、近づくに連れ、ふたりにも危険が迫ってきます。
それでもカメラを回すピーターに、「とんでもないことに関わってしまった」と後悔するマンソプ。
家にいる娘のことも心配になります。
一度は報酬を諦め、ピーターを置いてソウルに戻ろうとしたマンソプですが、
意を決して、ピーターと行動を共にするのでした…。

光州事件というのは、韓国現代史において、最大の悲劇と言われていて、
後の韓国の民主化に大きく寄与したのが、
ピーターことユルゲン・ヒンツペターのドキュメンタリー映像だったそう。
その栄誉を称え、ピーターには、2003年に“ソン・ゴノ言論賞”が与えられています。
その時にピーターが言った、
「勇敢な韓国人タクシー運転手キム・サボク氏と献身的な光州の若者たちがいなければ、
このドキュメンタリーを撮ることは出来なかった」という言葉から、
この映画は作られたとのこと。
“献身的な光州の若者たち”の存在も大きかったんだというのは、見て確かめて下さい。
韓国では、まだ記憶に新しい事件なはず。ボクら日本人以上に感じ入るものがあると思います。
この作品以外にも、韓国は自分たちの愚かな過去を映画にする“勇気”がある。
日本はどうでしょう?☆3つ。
「タクシー運転手 約束は海を越えて」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.4.14

『泳ぎすぎた夜』☆☆☆
『ばぁちゃんロード』☆☆☆☆
『ラッカは静かに虐殺されている』☆☆☆☆


今週紹介する映画の中に、ボクの中高同級生の篠原哲雄監督最新作があります。
それが『ばぁちゃんロード』です。
おばあさん役に草笛光子、孫娘に文音、結婚相手に三浦貴大。
文音は長渕剛、志保美悦子の娘。三浦貴大は三浦友和、山口百恵の息子。
興味深いキャスティングでしょ?
あらすじ等は、この後ご紹介しますね。ご注目下さい!
さ、今週は3本です!



『泳ぎすぎた夜』は、日仏の若手監督による共同監督作品。

青森県の山あいの小さな町に暮らす家族。
父親は鮮魚市場で働いていて、みんなが寝静まった頃、
台所で煙草を一服してから家を出るのが日課でした。
ところが、6歳の息子が、その日は何故か目を覚ましてしまいます。
父親が出ていったあと、クレヨンで魚の絵を描く少年。
そのまま寝ずに小学校へと向かいます。
しかし、何を思ったか、登校途中で雪の積もった横道へ。
そう、父親が働く市場に行こうとしたのです。
6歳の少年にとって、それは大きな冒険の始まりでした…。

少年の一人旅をずっと追いかける、言葉の少ない映画です。
主演の少年は、弘前駅前のショッピングモールで、監督たちが子供たちを観察。
魅力的な子供を探していたところ、
白羽の矢が立ったのが、青森県に住む小学2年生の男の子でした。
実は、劇中の父母、そして姉までもが、少年の家族だという。
もちろん、みんな演技の素人。
骨組みはあれど脚本はなかったそうで、自由に動き回る少年が、
大人の想像の枠を超えた“何か”を醸し出してくれた。
それがこの映画の見どころなのかもしれません。☆3つ。
「泳ぎすぎた夜」公式サイト



『ばぁちゃんロード』は、祖母と孫娘の愛情物語。

夏海と大和は高校時代からの友人で、今は恋人同士。
一人前の漁師を目指す大和は、夏海に一隻の漁船を見せます。
「あれを任されることになったんだ」。
そして、「俺と結婚して下さい!」。
夏海の両親に話し、父親は複雑だけど了承。あとは祖母キヨへの報告でした。
実はキヨばぁちゃんは、自宅の庭で足を骨折。
歩行が困難となり、今は施設で車椅子生活をしていたんですね。
夏海の両親が共働きだったこともあって、夏海はおばぁちゃん子。
でも、弱った姿を見せたくないというキヨばぁちゃんから、
「ここ(施設)には来ないで」と言われていたのです。
それでもふたりで結婚の報告をしに、施設に向かいます。
そして、夏海はキヨばぁちゃんに言うんですね。
「バージンロードは、おばぁちゃんと歩きたい」。
その日から、二人三脚のリハビリが始まったのです…。

キヨ役の草笛光子さんが、とっても凛としてらっしゃるから、
もう少しくしゃくしゃなおばあさんのほうが合うんじゃないのかなぁと、
最初は正直思ってました。
でも考えてみたら、車椅子生活から自分の足で歩こうと意を決して努力するなんて、
余程意志の強い人じゃないと無理。
草笛さんがハマり役なんだなと、あとで再認識した次第です。
文音さんは、『三本木農業高校、馬術部』で、
馬に愛情を注ぐ女子高生役を演じていたのをすぐに思い出しました。
お母さんの血筋か、健康的な笑顔が素敵な、いい女優さんです。
GWも近いから、きっと帰省して、おばぁちゃんに会いたくなると思いますョ。☆4つ。
「ばぁちゃんロード」公式サイト



『ラッカは静かに虐殺されている』は、決死のドキュメンタリー。

2014年6月、IS(イスラム国)がシリア北部のラッカを制圧。
美しかった街は、爆撃で廃墟と化し、さらに公開処刑で市民が惨殺される毎日。
海外メディアが報じることの出来ない戦後最悪の惨状を、
なんとか国際社会に訴えたいと、市民ジャーナリスト集団が結成されます。
その名は『RBSS』。
“Raqqa is Being Slaughtered Silently
/ラッカは静かに虐殺されている”の略。
自分たちの故郷ラッカで秘密裏に団結し、スマホを武器に、SNSを使って、
ISの残虐さを世界中に配信。
すると、ISは「RBSSのメンバーを見つけて殺害せよ」と命令を出すわけです。
マシュー・ハイネマン監督は、RBSSのメンバーとコンタクトを取り、
撮影の許可をもらうまでに1年以上かかったそう。
それも彼らと行動を共にしての歳月です。
撮影にOKを出した理由を、
「映画なら、世界中の数百万人に、シリアで起こっていることを伝えられると思った」と
RBSSのメンバー。
メンバー間のやり取りはもちろん、映画制作のための連絡も、全て暗号で行ったそう。
国外に身を置いても命は狙われ、メンバーを捕えられないならと、
身内が殺害され、その映像が公開されたり。
目を覆いたくなりますが、これが現実なんですよね。
大国の思惑が交錯するシリア。ISの脅威は弱まっても、
爆撃のニュースなどが流れると胸が痛くなります。
本当に日本に生まれてよかったなと思います。☆4つ。
「ラッカは静かに虐殺されている」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.4.7

『きみへの距離、1万キロ』☆☆☆
『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』☆☆☆
『娼年』☆☆☆


ある試写会の受付付近で、
「(同伴者が)時間ギリギリに来るから、1〜2分スタートを遅らせてもらえないかなぁ」
と話しているのを聞いてしまいました。
すると、プロモーター氏が「機材の関係で1〜2分開始が遅れます」とアナウンス。
「機材じゃないでしょ〜」と思いましたが、ウソも方便(笑)。
これぐらいの誤差には寛容でいたいかな。
さ、今週は3本です!



『きみへの距離、1万キロ』は、北アフリカとアメリカをロボットがつなぐ恋愛物語。

ゴードンは、アメリカ・デトロイトの会社に勤務するオペレーター。
1万キロ離れた北アフリカの石油パイプラインを、ロボットを使って監視。
石油泥棒から石油を守るのが仕事です。
最近彼女と別れたばかりのゴードン。
運命の人だと信じていただけに、ショックは大きかったよう。
そんな時、監視ロボットの目が、ひとりの若い女性を見つけます。
彼女の名前はアューシャ。
蜘蛛型の監視ロボットを使って、アューシャの後をつけていくと、様々なことがわかってきます。
アューシャにはカリムという恋人がいたのですが、両親は別の男性と結婚させようとしている。
ふたりは国を捨ててでも一緒になろうと誓っていたのですが、
カリムが事故で命を落としてしまうんですね。
それを知らないアューシャの元に、蜘蛛型ロボットが近づき、話しかけます。
「カリムは来ない。でも、きみはこの国を出て、新しい人生を生きるべきだ。
信じて欲しい。ボクが力になるから」と…。

SNSで簡単に人と人が繋がることの出来る現代。
発展途上国の女性たちは、未だに親のいいなりにならなくてはならないと。
そりゃ理不尽だと思いますよね。
でもその反面、故郷を家族を捨て、新たな人生を生きることが幸せかというとそれはわからない。
そんな西側からの“上から目線”を、ちょっと素直に受け入れられなかったかな。
ひねくれ者の感想ではあります(笑)。
ただ、1万キロの距離をロボットが繋ぐというアイデアは良かったと思います。
ゴードンも仕事中の作業ですから、上司の目を盗むのに四苦八苦(笑)。
ラストは…。言わないほうがいいかな(^-^)。☆3つ。
「きみへの距離、1万キロ」公式サイト



『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』は、前作から22年ぶりの新作。

ゲームオタクのスペンサーは、アメフト部員のフリッジに半ば脅されて、レポートを代筆。
それがバレて先生から呼び出しをくらいます。
自分大好きな美人女子高生のベサニーは、テスト中にスマホを離さず、大目玉。
ガリ勉のマーサは、体育教師に体育は意味がないと刃向かって叱られます。
そんな4人が、罰として、地下倉庫の整理整頓を命じられるんですね。
すると『ジュマンジ』と書かれた、古いTVゲームを発見。
スイッチを入れ、4人がそれぞれにキャラクターを選ぶと、
なんと全員が、ゲームの世界に吸い込まれていってしまったのです。
スペンサーは、筋骨隆々の冒険家のブレイブストーン博士に。
フリッジは動物学者のフィンバーに。
ベサニーはデブおやじの地図の専門家、オベロン教授に。
そして、マーサはセクシーな女戦士、ラウンドハウスへと姿を変えたのです。
彼らの使命は、預けられた宝石を、ジャガー像の眼に戻すこと。
ライフは3つ。亡くなったらゲームオーバー。この世から消滅してしまいます。
果たして、彼らは無事元の世界に戻ることが出来るのでしょうか…。

22年前の作品はボードゲーム。部屋の中が大変なことになってましたが(笑)、
今回はTVゲーム。時代は流れました(笑)。
プロローグとして、1996年のとある出来事から始まります。
これも物語の重要なカギを握る部分ですからね。しっかり見ておいて下さい。
美人女子高生が、デブおやじになってショックを受ける。
扮するのはジャック・ブラック。
彼の強烈な印象と言えば『スクール・オブ・ロック』ですかね。ハマリ役です。
何も構えず、映画の中へ。そしてゲームの中へ。楽しめますョ。☆3つ。
「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」公式サイト



『娼年』は、石田衣良の同名小説を映画化したもの。

大学生の森中領は、日々の生活に生き甲斐を見出せず、
大学にも行かずにバーのバイトに明け暮れる毎日。
そんなある日のこと、ホストクラブで働く中学校の同級生が、
美しい大人の女性を連れてバーにやってきます。
女性の名前は御堂静香。
「女なんてつまんない」とうそぶいた領の仕事終わりを待ち、
静香は領を自宅に連れていきます。そして、領にひとりの少女を抱かせるんですね。
実はこれ、静香が経営する女性専用コールクラブ
『Le Club Passion』の採用試験だったのです。
合格した領は、“娼年”のリョウとして、様々な女性と関係を持つのですが…。

領役には松坂桃李。
以前、同じ松坂桃李主演で舞台にもなり、女性を中心にチケットは即ソールドアウト。
そんな話題作、問題作の映画化です。
ハッキリ言っちゃうと、セックスシーン満載。俳優も女優も、みんなが体当たりの演技。
松坂くん、最近こういう役どころが多い気がします。ちなみにR―18指定です。
女性の性の欲望の、奥の奥を赤裸々に描いているものの、
「これが女性の支持を受けるのか…」と真に受けると大変な過ちを犯すかも(笑)。
とはいえ、男性にとっては。学びに行く価値は十分にあるかもしれませんョ。☆3つ。
「娼年」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.3.30

『レッド・スパロー』☆☆☆


春眠暁を覚えず。
睡魔に勝てず、二度寝をして、試写会に間に合わずなんてことがしばしば。
ま、会場でウトウトしちゃうよりはいいのかなぁと(笑)。
さ、今週は1本です!


『レッド・スパロー』は、ロシア諜報機関の女スパイの物語。

名門ボリショイ・バレエ団のトップダンサーだったドミニカ。
本番中に舞台で脚に大ケガをし、バレリーナとしての将来を断たれてしまいます。
ドミニカには重病を患う母がいて、その治療費を工面しようと、叔父のワーニャを訪ねます。
ワーニャはロシア情報庁の幹部。お金の代わりに叔父が提示した条件は、スパイになること。
ドミニカはスパイの養成機関へと送られ、厳しい訓練を受け、
標的を誘惑して心理操作をするテクニックを学ぶんですね。
自らが“ハニートラップ”となる才能の高さに、与えられた任務は、
ロシア情報庁の上層部に潜むアメリカとの内通者をあぶり出すこと。
その内通者と密かに通じているとされる、
CIA捜査官のネイトに接触するよう命じられるのですが…。

原作は元CIA工作員のジェイソン・マシューズ。
33年間のキャリアが生んだ物語は、複雑でありながら、リアリティもあって。
アメリカが作ったロシアが舞台の作品だけに、
ロシア諜報機関の冷酷非情な描き方は身震いがするほど。
身内も何も関係ないんですね。
そんな中で、ドミニカは自分と母親が生き抜くための知恵を巡らせます。
果たして、誰が内通者なのか?意外な人物であることは言うまでもありません。
ドンデン返しに期待です。☆3つ。
「レッド・スパロー」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.3.23

『トゥームレイダー ファースト・ミッション』☆☆☆
『曇天に笑う』☆☆☆
『見栄を張る』☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


雪が降るような3月。なのに映画の試写状には“初夏公開”なんて記載もあって。
内容を様々なものとリンクさせて覚えていると、暖かい時期に公開の作品を、
「寒くて、ぶるぶる震えながら試写に行ったっけ」
なんてギャップが生じてしまうかも(笑)。
来週からは本格的に春到来。
積極的に外に出て、春をしっかり感じ、本来の感覚を鍛えたいものです。
さ、今週は3本です!



『トゥームレイダー ファースト・ミッション』は、
大人気ゲームを元に作られたサバイバル・アクション・ムービー。

資産家の令嬢として生まれたララ。
自由奔放に生きる彼女でしたが、それもそのはず。
ララの父は大企業を経営する社長でありながら、冒険家。
ララがまだ幼い頃、世界を滅ぼす幻の秘宝を探しに出て、
そのまま失踪してしまった父。そんな血が彼女にも流れていたのでした。
父の死を認めたくないララでしたが、
父のビジネスパートナーから財産を相続しないなら没収せざるを得ないと通告され、
渋々サイン。父のオフィスの鍵を手に入れます。
仕掛けがたくさんのオフィスで、ララは父のメッセージ動画を見つけます。
それによれば、邪馬台国の女王・卑弥呼には触れただけで人を殺す能力があったと。
その亡骸が悪用されれば、世界は滅びてしまう。
それを防ぐために、卑弥呼を埋めた島を見つけ、すべてを破壊するというのです。
生きていると信じている父に会うため、また生来の冒険家としての血が騒いだのか、
ララは邪馬台国があったとされるアジアの孤島へと飛びます。
ところが、巨大な悪の組織もまた、卑弥呼の秘宝を狙っていたのです…。

2001年に、アンジェリーナ・ジョリーの主演で作られた
『トゥームレイダー』と、言ってみれば出自は一緒ですが、
まったく別のオリジナル・ストーリー。
ただ、ララが資産家の娘で、父親が冒険家だったり、
考古学者だったりというのは似た設定です。
ちょっぴりやんちゃだけど、普通の女の子のララが、
様々な危険と立ち向かう姿を描いた冒険物語。
卑弥呼や組み木のパズルなんていう、
日本由来のものが出てきた時には、なんとなく親近感が湧くはず(笑)。
ゲームをやったことがなくても、もちろん楽しめる1本です。☆3つ。
「トゥームレイダー ファースト・ミッション」公式サイト



『曇天に笑う』は、福士蒼汰主演、本広克行監督作品。

舞台は、江戸幕府が終わったばかりの維新の始まり、混沌の時代。
滋賀県の琵琶湖湖畔に、数百年に渡り、大津の町を守ってきた曇神社がありました。
14代当主は曇 天火。空丸、宙太郎からなる曇三兄弟の長男で、
「どんなに辛くても、笑っていられる強い男になれ」と弟たちを育ててきました。
実は彼らの両親は、忍びの集団、風魔一族に殺されていたのです。
それまでは岩倉具視率いる政府の精鋭部隊に所属していた天火でしたが、
その事件を機に、国ではなく、弟たちを守ると決め部隊を脱退した過去がありました。
大津には言い伝えがあり、300年に一度、曇天が続くと、
“器”と呼ばれる人間の体を使って、世界を滅ぼす破壊の神・オロチが復活。
人々に災いをもたらすと言うのです。
このところ、ずっと曇り空が続く琵琶湖上空。
風魔一族はオロチの力を利用し、政府の転覆を企て、
明治政府はそうはさせじと精鋭部隊を送り込みます。
両者がぶつかる中で、空丸が命を狙われ、捕らわれの身に。
天火は弟を助けようと危険を省みず、戦いの渦の中に飛び込んでいくのです…。

原作は唐々煙のコミック。
監督は『踊る大捜査線』シリーズでおなじみの本広克行監督。
明治維新の文明開化。和洋折衷のアクション映画なので、
逆に時代のミクスチャーが面白くもありました。
曇神社には居候がいます。
怪我していたところを助けられた金城白子という男で、
空丸、宙太郎にとっては、もうひとりの兄のような存在。
さらに、なぜ空丸が狙われたのか。
このふたりが物語のカギを握るキャラクターでもあります。
天火は弟だけじゃなく、オロチの復活を防ぎ、
大津の人々をも守る使命がある。さぁ、どうなる?というストーリー。
モンスターや忍者が出てくるという点では、こちらもゲーム感覚の1本。
難しく考えずに楽しめる映画だと思います。☆3つ。
「曇天に笑う」公式サイト



『見栄を張る』は、27歳の女性監督、藤村明世監督のデビュー作。

吉岡絵梨子は28歳。女優を目指して和歌山から上京したものの、
まったく芽が出ずバイトに明け暮れる日々。
それでも周りには「職業は女優」と見栄を張っていたのです。
そんなある日のこと、田舎の姉が交通事故で亡くなったとの報せが。
久しぶりに帰った故郷で待っていたのは、疎遠になっていた親戚からの冷たい目線でした。
実は姉はシングルマザーで、ひとり息子の和馬を遺して死んでしまったのです。
葬儀も終わり、和馬の面倒を誰が見るのかとなった時、「私が」とまた見栄を張る絵梨子。
数日が過ぎ、姉の仕事先の責任者、佐久間花恵が訪ねてきます。
姉の仕事について尋ねると、他人の葬儀に参列して涙を流す“泣き屋”だと言います。
「女優ですから」と泣き屋の仕事を安請け合いする絵梨子でしたが、
そう簡単に泣ける仕事ではありません。
さらに、この仕事の本当の意味を知ることになるのです…。

泣き屋という仕事が、昔は本当にあったようですね。
“葬儀の見栄”ではなく、弔いの中で、ちゃんと意味があるんだそう。
絵梨子は東京で売れない芸人と同棲。こいつがまたクソみたいな男で、
逆にお似合いだなと思ってしまうところに、絵梨子のダメさが描かれているのかも。
よく言うじゃないですが。「自分にだけは嘘がつけない」って。
絵梨子のように、自分への嘘を容認している時点で失格なんですよね。
さて、映画ですが、ボクが個人的に感じたのは、
主たるテーマが“売れない女優の生き様”なのか“泣き屋という仕事”なのかが、
ぼやけてたんじゃないかなということ。
もらった資料にも映画『おくりびと』が例として挙がってましたが、
あちらはまさに“おくりびと”という職業にスポットライトを当てた作品。
課題は、そのあたりの描き方かなと思います。
是枝裕和監督も推しの新しい才能だとか。ここは敢えてちょっぴり厳しく(笑)。☆2つ。
「見栄を張る」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.3.17

『素敵なダイナマイトスキャンダル』☆☆☆
『ラッキー』☆☆☆
『リメンバー・ミー』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


花粉症の人にはしばらくツラい季節が続いていますね。
試写室の中も、あっちでクシュン、こっちでクシュン。
でも、こればかりは責められません。
気温が急激に上がって、春がすぐそこまで。
花粉の飛散もピークを迎えてるとか。あと少しの辛抱ですかね。お大事に!
さ、今週は3本です!



『素敵なダイナマイトスキャンダル』は、個性的な雑誌編集者、
末井昭氏の波乱万丈な半生を描いた作品。

1948年6月14日、岡山県の鉱山の村に生まれた末井昭。
7歳の時でした。なんと母親が、隣家のひとり息子と不倫の末、
ダイナマイトで爆発心中してしまったのです。
凄まじい記憶を刷り込まれた昭少年は、高校を卒業と同時に村を飛び出し、
大阪の工場に就職するも、あまりに劣悪な労働環境に3ヶ月で退社。
父が出稼ぎに行っていた川崎の工場へと転職します。
ところがこの父親がまたひどい父親で、一緒に暮らしていたアパートで、
酒に酔ってからまれるわ、金は普請されるわ。
逃げるように一人暮らしを始めた昭は、下宿先で将来妻となる牧子に出会うんですね。
そこからデザインの仕事に興味を抱き、キャバレーの看板やチラシを描くようになり、
イラストレーターとしての仕事も舞い込むようになります。
そして、小さなエロ雑誌の出版社に就職。
新感覚のエロ雑誌『NEW self』の編集長に。
そこからは、『ウイークエンドスーパー』、『写真時代』と、
発禁と創刊の繰り返し。アラーキーこと、荒木経惟と出会ったのもこの頃でした…。

以前も書いたかと思いますが、先入観を持たずに見たいので、
ボクは基本的には試写状に書いてある映画の内容を見ずに試写に向かいます。
「『素敵なダイナマイトスキャンダル』?いったい何だろ…」。
ビックリです。お母さまの最期なんですね。
末井昭氏も、顔を見たらわかるという人、多いはず。
1988年に創刊された『パチンコ必勝ガイド』のCMにピンと来ますから。
男子ならお世話になった?雑誌たちは、こんな感じで作られていたのかと、
ちょっと変わった“メイキング”を見せられている感じ。
挙げた雑誌名に覚えがある人は是非見てみて下さい。あの頃が蘇りますョ(笑)。
ちなみに、末井さん役には柄本佑、妻に前田敦子、母親に尾野真千子。
うまく表現出来ないけど、“良質のエロ本”のような
“一流のマイナー感”漂う1本です(笑)。☆3つ。
「素敵なダイナマイトスキャンダル」公式サイト



『ラッキー』は、名優ハリー・ディーン・スタントン、最後の主演作。

ラッキーは90歳。一人暮らしのアパートで目覚めると、
いつものようにルーティンワークから1日を始めます。
コーヒーを飲み、タバコを吸い、ヨガをやってから、
テンガロンハットを被って行きつけのダイナーへ。
店主と軽口を叩き合い、ミルクと砂糖をたっぷり入れたコーヒーを飲みながら、
新聞のクロスワード・パズルを解く。
夜は馴染みのバーでブラッディ・マリィを飲む。これがラッキーの日常でした。
ところがある日のこと、ラッキーは突然気を失ってしまいます。
病院で検査を受けても異常は見つからず。
ダイナーのウェイトレスのロレッタが、心配して家までやってきてくれます。
そこでラッキーは本音をポロリ。
「怖いんだ」。
ラッキーは人生の終わりがそう遠くないことを、わかっていたのです…。

ハリー・ディーン・スタントンは、1926年7月、ケンタッキー州に生まれ、
俳優として『パリ、テキサス』、『ツイン・ピークス』など、
200本以上の映画に出演。
昨年9月15日に91歳で亡くなりました。
この映画は、ハリーの古くからの友人たちが脚本を手掛けていて、
ハリーの日常の言葉や行動が、ラッキーを通じて表現されている、
いわばハリー自身を映し出したとも言える映画なんですね。
劇中、様々な“ラッキー語録”というような言葉が出てきます。
例えば、「“独り(Alone)”の語源は、“All One”。
人はみな、生まれる時も死ぬ時も1人なんだ」とか。なるほど…。
メモリアルVTRを仲間が作ってくれたかのような1本。
気難しく、頑固だけど、仲間がたくさんいる。
「“孤独”と“一人暮らし”は意味が違う」ということの真意がわかります、ラッキーさん。
いや、ハリーさん!☆3つ。
「ラッキー」公式サイト



『リメンバー・ミー』は、ディズニー/ピクサーの最新作。

メキシコに暮らす、音楽が大好きな少年ミゲル。
この町が生んだ大スター、エルネスト・デラクルスに憧れていて、
夢はデラクルスのようなミュージシャンになること。
ところが、ミゲルの家族には、音楽にまつわる忌まわしい出来事があり、
演奏どころか、聴くことすら許されないという厳しい決め事があったのです。
今日は、先祖の魂を迎える“死者の日”。年に一度のお祭りです。
ミゲルは、ひいおばあちゃんのココ、
おばあちゃんのエレナたちとみんなでお迎えの準備をしていたのですが、
先祖の写真の中からひいひいおじいちゃんらしき人を発見。
顔はちぎられていたけど、手にしていたギターが、
なんとあのデラクルスのギターではありませんか。
ミゲルは、自分のひいひいおじいちゃんがデラクルスだったんだと大興奮!
気持ちを押さえきれなくなったミゲルは、
自分の音楽への思いを家族に伝えるのですが、
当然のごとく、猛反対にあってしまいます。
ミゲルは家を飛び出し、墓地にあるデラクルスの霊廟へ。
そっと中に忍び込んで、壁に掛けてあったギターを鳴らしたその時です。
なんとミゲルが“死者の国”へと迷い込んでしまったのでした…。

あらすじは、ほんのサワリの部分。ここからいろいろとストーリーは展開していきます。
“死者の国”に迷い込んだミゲルが元の世界に戻るには、
“死者の日”のうちに先祖の許しが必要。
ひいひいおばあちゃんのイメルダに会い、許しはもらうのですが、条件がある。
それは「一生音楽をやらない」こと。
そう、ミゲルの家の音楽禁止令はひいひいおばあちゃんが作ったんですね。
それは無理だと、ミゲルはひいひいおじいちゃんであるはずのデラクルスを探しに行きます。
相棒は、孤独な骸骨のヘクターと、現世から一緒にやってきた野良犬のダンテ。
実は、ヘクターにも悩みがありました。
現世で誰ひとり思い出してくれる人がいなくなると、体が消えて無くなってしまうのです。
うっすら消えかけているヘクター。ミゲルにだって時間がない。さぁ、どうなる?ってお話。
めちゃめちゃカラフルな絵が細部にまで広がり、本当に楽しい映像になっています。
あとは血の継承っていうのかな。家系の話。
日本でも“家”の概念が薄らいでいて、例えばお墓も守る人がいないから作れない、
なんて話があるじゃないですか。
さらに、今だとやっぱり人種の問題かな。
大統領が代わってから、アメリカにとって、
メキシコはちょっと違った形で注目を集めてますよね。
そんな時期にディズニー/ピクサーがメキシコを舞台に映画を作った。
声高にこそ叫ばないけど、何かしらの意図はあると、
想像せざるを得ないのですが、どうでしょう?
ストーリーも意外な方向へと進んで行ったりして。
練りに練られてますョ。歌もいいし、秀作です!☆4つ。
「リメンバー・ミー」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.3.9

『恋するシェフの最強レシピ』☆☆☆☆
『坂道のアポロン』☆☆☆
『ザ・キング』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


TVのコマーシャルでは、本業じゃない人が演技をすることも多く。
例えば、吉田沙保里、イチローetc。
上手く演じてるよなぁと思いながらも、やっぱりどこかぎこちない(笑)。
プロの役者さんとの違いは、ちょっとした瞬間の所作なんですよね。
場慣れしていない演者さんに、監督は「そんなに演じようとしなくていいから」と言う場合もあるそう。
なんとなくわかる気がします。
ボクらの“しゃべる”という仕事で言うと、
「うまくしゃべろうとか、噛まないようになんて、考えなくていいから」と
アドバイスするのに似てるのかも。
映画を見てても、たまにちょこっと気付く時があるものですョ。
さ、今週は3本です!



『恋するシェフの最強レシピ』は、香港/中国映画。

ルー・ジンはホテル買収グループの若社長。
仕事にはシビアで、食べ物にはうるさい超グルメ。
ある日のこと、上海の老舗ホテル買収のため、内偵に来たルーは、
ルームサービスで食事のレベルを試します。ところが、どれもルーの口には合いません。
ルーの正体を知ったホテル側は大慌て。
最後の手段と、見習い女性シェフのシェンナンに料理を作らせるのですが、
これがルーの舌を唸らせるんですね。
上海を発つ予定をズラしてまで、シェンナンの料理を楽しむルーでしたが、
ルーはシェンナンが誰かを知りません。
実はシェンナン、親友の女友達を騙して泣かせた男の車と間違えて、
ルーの車のボンネットにイタズラ書きをし、ルーと揉めたばかり。
シェンナンもルーの正体を知ってビックリ!
シェフに会わせろというルーの依頼を頑なに拒むシェンナン。
料理でこんなにも通じあっているのに、果たしてふたりの関係はどうなっていくのでしょうか…。

ルーに金城武、シェンナンにチョウ・ドンユイ。
ルーは超のつくイケメン。シェンナンは決して美人ではないけれど(失礼!)、
危なっかしい部分も含め、可愛らしくて守ってあげたいタイプ。
自分の周りになぜかいつも現れるシェンナンを、最初はルーも煙たがるのですが、
そのうち料理がふたりを近づけていきます。
でも、ふたりの間に、様々な障害が立ちはだかるんですね。
見た目にも美味しそうな料理が次々と並ぶこの映画、本当にお腹が空いてしまいます(笑)。
でも、それ以上に恋がしたくなる映画ですョ。☆4つ。
「恋するシェフの最強レシピ」公式サイト



『坂道のアポロン』は、小玉ユキの人気コミックの実写映画化。

高校生の薫は、父を亡くし、親戚の家で暮らすことに。
そこは決して居心地のいい場所ではありません。
唯一の楽しみであるピアノでさえ、弾けば揶揄されるような環境。
転校した高校で仲良くなったのは、クラスの問題児・不良の千太郎と、千太郎の幼なじみの律子。
律子の家はレコード店を営んでいて、地下はスタジオになっていました。
律子に連れられてスタジオに降りると、そこで無心にドラムを叩く千太郎の姿がありました。
ピアノとドラムでセッションを始めた薫と千太郎は、音楽で通じるようになるんですね。
実は、千太郎にも悲しい過去がありました。
彼は教会に捨てられていた孤児で、今の両親は里親でした。
そのことを知った薫との仲はさらに深まります。
薫は律子に好意を抱きますが、律子が好きなのは千太郎。
それでも3人の友情に変わりはありませんでした。
ところがある事件をきっかけに、千太郎がみんなの前からバッタリ姿を消してしまったのです…。

ジャズを介在して展開する、高校生の青春物語。
舞台は60年代。律子の実家のレコード店も、昭和の香り漂うレトロな店舗なんですが、
実はこの店、大分県豊後高田市にある“昭和の町”に作られたそう。
“昭和の町”は、商店街が元気だった昭和30年代の町を再現したもので、
あの『ナミヤ雑貨店の奇蹟』も撮影されたところなんです。
いわゆる映画の“聖地巡礼”は、こんな感じで行ってみたくなるのかなという作品。
甘酸っぱさと共に見てみて下さい。☆3つ。
「坂道のアポロン」公式サイト



『ザ・キング』は、韓国映画。

荒くれ者の父の血を引き、ケンカばかりの不良学生、パク・テス。
ところが、ある日のこと、そんな父がひとりの男の前で、
地面に頭をすりつけるぐらいに謝っているではありませんか。
その男は検事。
真の力というのは、こういう職業の人間が持つのかと、思い知らされたのです。
するとテスは、勉学に励み、一流大学を卒業。
兵役も終え、司法試験に合格。憧れの検事になります。
地方の敏腕検事として力を発揮し始めた頃のこと。
ひとりの高校教師が、女子生徒に性的暴行を加えたのですが、
元国会議員の父のコネで無罪になったという事件を知ります。
正義心から、この教師を有罪にしてやろうと動き始めた矢先、
中央の検察庁のエリート部門に席を置く先輩検事から手を引くように言われます。
代わりに提示されたのは、エリート集団が在籍する戦略部への道。
その中心人物である部長検事を紹介してくれると言うのです。
実は検事の中でも、真の力を持つのは、わずか1%だと。
その1%への道をちらつかされたテスは、迷いながらも権力へとすり寄っていくのでした…。

なかなか面白かったですョ。
他にも、テスがワルだった頃の友達と再会。
「汚い仕事は俺が代わりにやってやる」と言う旧友だけが、テスの心の拠り所になったりもします。
そんな登場人物たちのスパイスが、最後の最後に待ち受ける、ドンデン返しに効いてくるんですね。
韓国の大統領の退任後は、自殺するか、監獄にいるか。
権力の座につくと、どうにもおかしくなってしまう人ばかり。
そんなお国の事情を、自らが皮肉っている。そんな映画でもあります。
1980年から2010年の30年が、この映画の時代。
その間の歴代韓国大統領の汚職のニュースをはさみながら、フィクションなのか、
それともノンフィクションなのか、見ている側がわからなくような演出も秀逸。
これだけ見て、隣国を判断してはいけないかもしれませんが、
自浄作用を促しているとしたなら、素直にそう見るのも間違えてはいないんだろうなと。
日本もありますからね、いろいろと。
海の向こうの話と達観してる場合じゃないかもしれませんよ。☆4つ。
「ザ・キング」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.3.3

『しあわせの絵の具』☆☆☆☆☆
『ブラックパンサー』☆☆☆☆
『プリンシパル 恋する私はヒロインですか?』☆☆☆☆
『ラーメン食いてぇ!』☆☆☆
『リビング ザ ゲーム』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


もうご存じの方も多いと思いますが、ボクの中高同級生の篠原哲雄監督。
彼の新作が近々2本公開となります。
その1本が『プリンシパル 恋する私はヒロインですか?』。
主演の黒島結菜さんは、人気急上昇中の女優さん。
なんでも、篠原監督のワークショップに参加したことがあって、
「いつか篠原監督作品に出たいと思っていた」と。
彼女はいいですョ。瞳の中の黒目で演技が出来る女優さん。
今後の活躍に注目ですが、そのためにもこの映画は是非見ておきたい1本。ご注目下さい!
さ、今週は5本です!



『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』は、実在のカナダ人画家の人生を映画化した作品。

1903年、カナダのノバスコシア州に生まれたモード・ルイスは、
若年性関節リウマチを患っていて、手足が不自由で身体も小さかったんですね。
両親が相次いで亡くなり、兄が実家を継いで、その家を売却してしまったため、
叔母の家で暮らすことになるのですが、歓迎された同居ではありませんでした。
ある日のこと、買い物に行った店に家政婦募集の貼り紙が。
募集主は町はずれで魚の行商人として働く、気難しいエベレットという男性。
それでもモードは叔母の束縛から逃れたい一心で、エベレットの家を訪ね、
家政婦として雇って欲しいと頼みます。
モードを見て、断るエベレットでしたが、モードも必死。
半ば無理矢理な状態で、住み込みの家政婦になります。
エベレットも孤児院で育ち、学もなく、その日を生きるのに精一杯。
小さな町の小さな家で、そんなふたりの同居生活が始まったのでした…。

いい映画でした。
モードは絵を描くことが大好きで、生涯不自由だった手で、あたたかい絵をたくさん描いてきました。
孤独だったエベレットの心を温めたのが、モードの作るシチューと、
壁や窓や板に描いた絵。ふたりは結婚を決意します。
避暑のためにNYから来ていたアメリカ人女性が、魚を求めに来て、
たまたまモードの絵を見て才能を見抜き、モードの絵を売って欲しいと頼みます。
カードや板に描いた自分の絵がお金になったと喜ぶモード。
ふたりは魚と絵を売るようになるんですね。
すると、モードの絵はたちまち話題となり、マスコミが押し寄せるように。
しかし、そうなると夫婦の間に亀裂も生じるわけです。
でも、モードの幸せは、「絵を描きながら、あなたと暮らすのが私の幸せ」だと。
何が大切かがブレない、モードの愛。
いいなぁ、こういうの…。
モードの絵は色彩豊かで、見ると自然と口元に笑みが浮かんでいる。
そんなタイプの絵です。是非ご覧になってみて下さい。
本編が終わって、エンドロールが流れている時、映画の内容はもちろん、
ボク自身のあれやこれやが頭の中でぐるぐると蘇り、涙がこぼれそうになりました。
エンドロールは涙を乾かす場所なのに、ここで泣けちゃうと困ったりするのです(笑)。
あったかい映画ですョ。満点!☆5つ。
「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」公式サイト



『ブラックパンサー』は、マーベル・スタジオ最新作。

アフリカの小国、ワカンダ。
表向きは農業国でしたが、実は超文明国家。
地球上のすべてを破壊してしまうほどのパワーを秘めた、希少鉱石“ヴィブラニウム”の産出国で、
それを使った超ハイテクパワーを保持していたのです。
歴代の国王はそのことを秘密とし、国民もそれを厳守。国と地球を守ってきました。
ところが、国王が急死。
若き王子のティ・チャラは心構えすら出来ておらず、戸惑いながらもワカンダの王となります。
それすなわち、漆黒の戦闘スーツに身を包んだ“ブラックパンサー”になるということ。
しかし、エリックという謎の男が、武器商人のクロウと組んで、ヴィブラニウムを盗み出そうと企てます。
ティ・チャラは妹や恋人、さらにはCIAまでも巻き込んで、
ヴィブラニウムを守る戦いを余儀なくされるのです…。
マーベルの名誉会長であるスタン・リーは、
マーベル・コミックの完璧なヒーローの布陣に惚れ惚れしていたところ、
「黒人のヒーローがいないじゃないか!」と気づいたそうなんですね。
そうして生まれたのが『ブラックパンサー』なんだとか。
マーベルのすべてのヒーローたちは、人間臭さが魅力。ティ・チャラも例外ではありません。
クオリティは今更言うまでもなく、高値安定のエンターテインメント性。
新たなヒーローの誕生の物語ですからね。チェックしておく必要はありそうです。☆4つ。
「ブラックパンサー」公式サイト



『プリンシパル 恋する私はヒロインですか?』は、超人気少女漫画家、
いくえみ綾のコミック「プリンシパル」の実写映画化。

東京から札幌の高校に転校してきた糸真。
東京では、母が4度目の結婚をしたり、学校でいじめにあったりしたことで、
心機一転、父の暮らす北海道へと引っ越して来たのです。
ところが、転校初日からトラブルが。
先生に言われた席に座ったのに、クラスの人気男子の弦に怒鳴られてしまうんですね。
「そこはお前の席じゃない。和央の席だ!」。
落ち込みながら家に帰ると、ガレージにひとりの男子が。彼こそが和央でした。
体が弱く、学校を休みがちの和央は弦の大親友で、
糸真の父親は和央の家と家族ぐるみの付き合いのよう。
弦と和央は学校で人気男子のツートップ。
転校生が、そんなふたりと仲良くなってしまったから、さぁ大変!
期せずして、学校中の女子を敵に回してたかのような糸真。
波乱の高校生活のリスタートとなってしまったのですが…。

若いアイドルが主演の恋愛映画は、正直お腹いっぱいだと思ってたけど、
贔屓目なしに、この映画はちょっと違いました。
“50代男子”(笑)のボクでも楽しめましたから。
クラスの女子で、糸真に最初に声を掛けてくれたのが晴歌。
糸真にとって、初めて出来た“親友”です。
ところが、女子にはいろいろあるわけですョ。
晴歌も弦が大好きで、仲良くしている糸真に嫉妬心がメラメラ。
このふたりがトイレの前で言い争いになる。廊下を追いかけて糸真が晴歌に思いをぶつける。
そのシーンに、ボクはうるうるしちゃいました。
この映画を見るのは、きっと10代の女の子だと思うんですよね。
そのコたちは、果たしてその場面で涙腺が刺激されるのだろうか?
ボクはそれが知りたくてたまりません(笑)。
もしかしたら、そこがツボなのは、昭和のおじさんだけなんじゃないのかなと(笑)。
でも、そんなシーンを演出した篠原哲雄監督は、やっぱり同級生だなと(笑)。
それも中高とボクら男子校だから。こんな高校生活への憧れが、
もしかしたら出てるんじゃないかって思うのですよ。違うかな?篠原くん!
あなたも是非見てみて下さい。感想が聞きたいものです(^-^)。☆4つ。
「プリンシパル 恋する私はヒロインですか?」公式サイト



『ラーメン食いてぇ!』は、人気のWEB漫画の映画化。

夫婦で経営してきた町の人気ラーメン店“清蘭”。
ところが奥さんが亡くなり、夫である烈士のラーメン作りへの情熱は冷めてしまったのです。
そんな時、友達とのトラブルから、孫娘の茉莉絵が自殺を図るんですね。
一命を取り留めた茉莉絵の病室を見舞った烈士は、
体にいいだろうと、店のスープを持参。
茉莉絵の口に注ぐと、茉莉絵の中で何かが目覚めたのです。
「おじいちゃん、あたしにラーメンを教えて!」。
世界一のラーメンを作りたい。茉莉絵に生きる目標が出来たのです…。

原作は林明輝のWEB漫画。
茉莉絵には親友で食通のコジマがいたのですが、同級生の男子を巡って、
まさかの裏切りに遭った末の自殺未遂。
でも、コジマの料理への情熱は、茉莉絵のラーメン作りには欠かせないと。
そこで茉莉絵はコジマと仲直り。祖父・烈士との修行の日々が始まります。
ウイグル自治区の砂漠で遭難した料理研究家の赤星が、清蘭のラーメンの大ファンで、
「清蘭のラーメンを食べるまでは死ねん!」と、
懸命に生きるサイドストーリーもあって、それが後に繋がってもいきます。
見終えた後は、間違いなくラーメンを食べたくなる映画。
劇場内のポップコーンはほどほどに(笑)。☆3つ。
「ラーメン食いてぇ!」公式サイト



『リビング ザ ゲーム』は、ゲームで生計を立てるプロゲーマーのドキュメンタリー。

90年代に爆発的人気を博した、対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター」。
2000年代に入ると、世界各地で大規模な大会が開かれるようになり、
高額賞金と名誉を求めて、世界中の腕自慢が集まるようになりました。
中でも人気のプレイヤーには、主にゲーム関連企業がスポンサーとなり、
ここにプロゲーマーが誕生したのです。
ラスベガスで開催される最も権威のある大会が“EVO”。
そこで連覇を果たしたのが、日本人の梅原大吾でした。
彼の半生はコミックにもなったほどで、04年の奇跡の大逆転劇は、
YouTubeで1億回以上の再生回数を超えるとか。
そんなカリスマに対抗するのが、同じ日本人のももち。
恋人のチョコブランカ(日本人。女性初のプロゲーマー)と一緒に暮らし、腕を磨いていたのです。
他にも、アメリカ、フランス、台湾などから強敵が集結。
誰が世界の頂点に立つのか、というのを追いかけたドキュメンタリー。
プロゲーマーの普段の生活にも密着し、コントローラーのボタンをひたすら押す練習も映し出します。
1/60秒ズレると思った技が繰り出せない。
その1/60秒のタイミングで常に押せるようにと、ずーっとボタンを押す。
身体に染みつかせる練習です、
高額賞金と言っても、それを手に出来るのはほんの一握り。あとは生活も苦しいわけです。
それでも格闘ゲームに魅せられた、彼らの生き様に何を思うか。
プレスにあった“時代の寵児か、社会のはみ出し者か。”の一文。
プロゲーマーと聞いてどう思います?
「人生を賭けられるものを見つけた人は幸せ」と簡単に言えるかどうか。
幸せの基準って何だろうというのを、改めて考えさせられるはずです。☆3つ。
「リビング ザ ゲーム」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.2.24

『さよならの朝に約束の花をかざろう』☆☆☆☆☆
『ナチュラルウーマン』☆☆☆
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』☆☆☆☆
『レオン』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


深夜に立ち寄る美味しいラーメン屋さん。映画好きの大将と一杯やりながら映画談義。
「60歳になったから、映画がいつでも1100円なんだよね」とうれしそうでした。
確かにドリンクやポップコーン代が出ちゃいますもんね(^-^)。
ボクはもう少し先かな。待ち遠しいかどうかは、微妙なところですが(笑)。
さ、今週は4本です!


『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、アニメ映画。

数百年の寿命を持ち、歳を重ねても、少年、少女の姿のままに生きるイオルフの民。
ところが、穏やかに暮らしていたイオルフの村に、
長寿の血を求め、メザーテ軍が攻め込んできたのです。
両親のいないイオルフの少女マキアは、
逃げる途中で自分と同様に親を失くした人間の赤ちゃんを助けるんですね。
マキアはその子にエリアルと名前を付け、我が子のように愛情たっぷりに育てていきます。
次第にエリアルは少年になり、青年に成長、そして大人になっていく。
一方、いつまでも少女のままのマリーナ。
元々血の繋がりのないふたりの関係。
母子の間が、ギクシャクしたものに変わっていくのは宿命なのでしょうか…。

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、
『心が叫びたがってるんだ。』などの脚本を手掛けた岡田麿里が、
初めて自らメガホンを取った、監督デビュー作です。
イオルフの民は“別れの一族”と呼ばれています。
なぜならば、長過ぎる命ゆえ、愛したものは皆、先立ってしまうから。
長老からマリーナは、「イオルフの外に出たら、人を愛してはいけないよ」と言われていたのですが、
ひとりぼっちの人間の赤ちゃんだったエリアルと出会ってしまったマリーナは、
長老の言葉に逆らう道を選ぶのです。
エリアルは、最初はお母さんが大好きな可愛い男の子。マリーナも愛情を惜しみなく注ぎます。
でも、反抗期がやってくる。キツい言葉もぶつけるようになる。
親離れしたくなるエリアルに、わからず、戸惑うマリーナ。
でも、エリアルはちゃんとわかってる。マリーナが注いでくれた愛情を。
もう号泣でした。今、この文章を打ちながらもウルウルしてきちゃう(笑)。
あまり親孝行じゃないボクは、エリアルに自分を重ねちゃいました。
映画を見た後で母親の顔が見たくなって、照れくさかったけど、
「ある映画を見たら、おふくろの顔が見たくなって来たんだよ」と、
ぶっきらぼうに話してサッと帰りました(笑)。
親が子に与える無償の愛って、すごいですよね。
時に確かに重いけど、こんなにすごいものって、他にないと思います。
ハンカチ持って劇場へ(笑)。あなたも大切な誰かに会いたくなると思いますョ。
個人的思いがたっぷりですが、満点の☆5つ。
「さよならの朝に約束の花をかざろう」公式サイト



『ナチュラルウーマン』は、自分らしく生きることとは何かを描いたヒューマン・ドラマ。

チリのサンディエゴでウェイトレスをしながら、
ナイトクラブで歌うマリーナは、トランスジェンダー。
その日は年の離れた恋人、オルランドの誕生日。
ふたりは家に戻って、愛し合うのですが、オルランドの体調が急に悪くなり、
玄関を出ると階段から転げ落ち、頭を打って意識を失ってしまいます。
病院で死亡が確認され、あまりに急過ぎる不幸な出来事に、動揺を隠せないマリーナ。
後日、オルランドの元妻、息子、さらには性犯罪捜査の刑事までもがやってきます。
そう、オルランドの死に、マリーナの関与を疑っていたのです。
トランスジェンダーであるがゆえの理不尽な疑念に、マリーナは毅然と立ち向かうのですが…。

マリーナを演じたのは、自身もトランスジェンダーの、チリの歌手ダニエラ・ヴェガ。
某国の大統領が、マイノリティと呼ばれる人々に不寛容な施策を掲げる今、
この作品はまさにタイムリーと言えるのかもしれませんね。
試写状の写真もそうでしたが、おそらく一番印象に残るのは、
強い逆風の中、それでも前に進むマリーナの姿。
鑑賞後には、泣ける類の感動とはまたちょっと違った思いが湧き上がるかと思いますョ。☆3つ。
「ナチュラルウーマン」公式サイト



『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は、ソフィア・コッポラ監督最新作。

19世紀半ば、南北戦争の真っ只中にあるアメリカのバージニア州に、
事情があって家に帰ることの出来ない少女が暮らす、女子寄宿学校がありました。
園長と教師、そして5人の女生徒たち。静かだった男子禁制の学園に、思わぬ客が訪れます。
キノコを採りに行ったエイミーが、負傷した敵の北軍兵士を発見。
手当てをするために、学園に連れてきたのです。
キリスト教の精神から、回復するまで面倒を見ると決めるのですが、
男性兵士にみんな興味津々。学園の規律が破られるのは、時間の問題でした…。

女性ばかりの“女の園”に、男性がひとり。
さぞかしパラダイスだろうと思うのですが(笑)、この映画の中でも、最初はそう。
兵士は紳士的に振る舞い、欲望を抑えていたけれど、徐々に我慢が利かなくなる。
女性たちもみんなオシャレをしたりして、自分をアピールし始める。
均衡が崩れると、嫉妬ややっかみが生まれ、女性たちの間に、今までになかった感情が芽生えてくる。
それを資料では“女性たちの獰猛な本能”と表現しています(笑)。
と、同時に“極上のスリラー”ともあり、なるほど言い得て妙だなと。
園長役はニコール・キッドマン。
『アイ・アム・サム』の娘役(当時2歳!)だったエル・ファニングも生徒役で出演。
大きくなりました。
女性はニヤリと、男性はゾクッとする1本だと思います。☆4つ。
「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」公式サイト



『レオン』は、知英、竹中直人主演のコメディ映画。

創業30年の朝比奈フーズは、有機野菜にこだわり、大成功を収めた食品会社。
社長は、セクハラもお構いなしの朝比奈玲男。年商500億円の超ワンマン社長です。
その朝比奈フーズで、派遣社員として働いていたのが小鳥遊玲音。
ルックスもスタイルも抜群なのに、超ネガティブな思考が祟って、
周りの男性社員からは“ムダパイ”と呼ばれていたのです。
そんなふたりに事故が起きます。
初めての男性に弄ばれたのがわかり、激落ち込みで道を歩いていた玲音に、
朝比奈社長が運転していた車が突っ込んだのです。
救急車で病院に運ばれたふたりは、何とか一命を取り留めたのですが、気が付くと何かがおかしい。
そう、社長と玲音の体が入れ替わっていたのでした…。

男女が入れ替わる。
題材としては決して目新しくはないのですが、描き方が面白い。
朝比奈社長は女になった自分を楽しみ、美しさに磨きをかけて、キャバ嬢になるんですね。
社長には、将来会社を任せようと思っている甥の政男(ジャングルポケット斉藤慎二)がいるのですが、
その政男がキャバクラで玲音を気に入って秘書にする。
でも、その実、玲音は玲男おじさんなわけで。
キスをしようと迫るシーンでは、“実際はこんな感じ”と、
女装した竹中直人が政男とキスをしようとする画が映る(笑)。
バカバカしいけど笑える作品です。
老舗食品会社でも陰謀が渦巻いていたり、お弁当作りが上手い玲音に思いを寄せる男性社員がいたり。
ドタバタ劇の結末やいかに?それは劇場で確かめて下さい。
声を出して笑えるところに加点して、☆4つ。
「レオン」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.2.17

『グレイテスト・ショーマン』☆☆☆
『サニー/32』☆☆☆
『チェリーボーイズ』☆☆
『長江 愛の詩』☆☆☆
『リバーズ・エッジ』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


ハリウッドの超話題作など、試写によっては、事前に携帯電話を預ける場合があります。
盗撮防止のためです。
先日見た映画もそうだったのですが、カバンの中を見せ、ガラ携を手渡すと、
「1台だけですか?」と、怪訝そうに係員。
スマホと2台持ちを疑われたんだと思いますが、ボクはガラ携しか持ってませんから(笑)。
世の中にはそんな人も、まだまだいるんですョ(-_-;)
さ、今週は5本です!



『グレイテスト・ショーマン』は、実在した伝説の興行師の人生を描いたミュージカル映画。

19世紀半ばのアメリカ。
野心家のP.T.バーナムは、幼なじみでお金持ちの娘チャリティと駆け落ち同然で結婚。
彼女を幸せにしたい一心で頑張るのですが、なかなか上手くはいきません。
そのうち二人の娘にも恵まれます。
当時は芝居や音楽というのが、まだ上流階級のものだった時代。
そこでバーナムは、一般市民向けの娯楽をと考え、才能に溢れながらも、
差別や偏見から表に出てこられなかったパフォーマーたちを集め、
サーカスをスタートさせるんですね。
これには街の人から多くの反対も受けましたが、見に来た客からは拍手喝采。
遂には、イギリスのヴィクトリア女王からもお声が掛かるほどに。
女王に謁見したバーナムは、そこで美しいオペラ歌手のジェニー・リンドと出会い、
ジェニーのアメリカ公演を任せて欲しいと交渉します。
これが上手くいけば、必ず世間が自分を認めてくれるとバーナムは考えたのです。
バーナムはジェニーの公演に全力を注ぎ、サーカスや家族のことは二の次に。
その結果、固かった団結が綻び始めるのでした…。

ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル。
『ラ・ラ・ランド』で2016年度のアカデミー賞主題歌賞を受賞した、
ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが音楽を担当しているのも話題のひとつです。
ただ、のりしろがざっくりというか、
人の心の移ろいなどがもう少し繊細に描かれていればなぁというのが正直なところ。
おそらく“実在の”という前情報がなければ、結構粗く見えるはずです。
でも、音楽が確かにいいんですョ。場面、場面で切っても確かにクオリティは高い。
それがそのあたりのマイナス部分も補っているかなという感じです。☆3つ。
「グレイテスト・ショーマン」公式サイト



『サニー/32』は、白石和彌監督、北原里英主演作品。

新潟で中学教師をしている藤井赤理は、今日が24歳の誕生日。
ところがこの夜、赤理は二人組の男に拉致され、雪深い山奥の廃屋へと連れて行かれたのです。
男たちは赤理を“サニー”と呼び、「ずっと会いたかったんだ」と言いながら、
ビデオカメラを回し続けます。
“サニー”とは、今から14年前、11歳の女子小学生が、同級生の女の子の首をカッターで切って殺害。
被害者はもちろん、加害者の写真もネット上に出て、
そのルックスから“犯罪史上もっとも可愛い11歳の殺人犯”と話題になった女子の俗称です。
右手の指を3本、左手の指を2本の決めポーズから、
“32=サニー”と呼ばれるようになっていました。
男たちは、“サニー”に可愛らしい衣装を着させて、特設サイトにリアルタイムで動画をUP。
赤理は脱出を試みますが、それも叶わず。
するとこの廃屋に、続々と“サニー”目当ての人間が集まって来たのです…。

『彼女がその名を知らない鳥たち』などで知られる白石和彌監督が、
『凶悪』でタッグを組んだ高橋泉のオリジナル脚本を映画化。
現代の“闇”と“病み”がいっぱいに詰まったジェットコースター・サスペンスです。
廃屋には、いろんな目的で“サニー”に会いたい人が集まって来る。
盲信的なファンはもちろん、「殺してやりたい」という人間もいるわけで。
ここから狂気のドラマは始まっていきます。
でも、そもそも赤理は本当に“サニー”なのか?すべての謎は最後に解けます。
リリー・フランキー、ピエール瀧、門脇麦など、アクの強い役者たちが脇を固めています。
話題になることは間違いないでしょう。☆3つ。
「サニー/32」公式サイト



『チェリーボーイズ』は、童貞3人組が巻き起こすドタバタ劇。

国森、吉村、高杉の3人は幼なじみの25歳。みんなまだ女性経験がありません。
付いたあだ名がそれぞれ、クンニ、ビーチク、カウパー。
頭の中はセックスのことばかり。
そんな中、バンドをやるために上京していた国森が、実家の父が倒れたことで帰郷。
3人は久々の再会となりました。
武勇伝を語る国森でしたが、全部ウソ。実はバンドすらやっていなかったのです。
みんなコンプレックスを抱え、風俗に行く勇気もない。
ならば町で一番の尻軽女に頼むしかないと。
東京で風俗嬢をしていたと噂の釈笛子を襲おうと、3人はマスクを被り、
車の中で笛子を待ち伏せするのですが…。

原作は01年発表の古泉智浩の同名コミック。
エッチなテーマと、試写状にあった“池田エライザ(釈笛子役)の体当たり演技”という文字に、
映画の3バカトリオ以上に胸踊らせて試写を見に行ったのですが、
「体当たってないじゃん」と、ちょっとガッカリ(笑)。
ま、何をして体当たりと言うかなんですけどね(苦笑)。
いろんな意味で、行き切れてない感じが否めなかったかなぁ。
それがまさに“童貞感”なんだと胸を張られたら、
「おっ、深い!」となるんですけどね(笑)。☆2つ。
「チェリーボーイズ」公式サイト



『長江 愛の詩(うた)』は、アジア最長の川・長江を舞台にした映画。

ガオ・チュンは亡くなったばかりの父の跡を継ぎ、古い貨物船“広徳号”の船長になります。
ある晩のこと、双眼鏡を覗いていたガオは、ひとりの女性を見つけます。
ガオはその女性のことが気になって仕方ありません。
そんなガオに最初に来た仕事。それは希少種の魚を長江のはるか上流まで運ぶという“裏”の仕事でした。
長江をさかのぼって船を走らせるガオでしたが、途中であの女性と何度も再会するんですね。
彼女の名はアン・ルー。
実は、ガオは船の機関室で、亡くなった父が書いた『長江図』という詩集を発見していて、
その詩に書かれた長江沿いの土地に行くと、なぜかアン・ルーと出会うという。
アン・ルーは実在するのか、それとも幻なのか。ガオにもわからなくなっていたのです…。

チベット高原から中国大陸を西から東へと流れる、全長6300キロの悠久の大河。それが長江です。
ガオはそれをさかのぼって行きます。まるで時間を巻き戻すかのように。
アン・ルーは、会う度に若返っていくという、不思議な女性。父の詩集との関連性も謎です。
この映画は、見る側が余白を考える作品のようで、墨絵のような抽象画とでも言いましょうか。
一度見ただけだと、ボクのような凡人には、正直ピンと来ないところがありました。
ただ、長江の眺望はさすがです。これを見るだけでも価値があるかもしれません。
ストーリーは置いておいて(失礼!)、映像美に☆3つ。
「長江 愛の詩(うた)」公式サイト



『リバーズ・エッジ』は、1993年の岡崎京子の衝撃のコミックを実写映画化したもの。

女子高生の若草ハルナは、恋人の観音崎が執拗にイジメる山田を助けたことで、
山田から夜の河原へと誘われます。
「若草さん、今晩ヒマ?僕の秘密の宝物、教えてあげる」。
そこにあったのは、放置された死体でした。
「これを見ると勇気が出るんだ」。
実は、この死体を同様に宝物にしているのが、後輩でモデルのこずえ。
ハルナは戸惑いながらも、3人と奇妙な友情で結ばれていきます。
こずえは大量に食べては指を突っ込んで吐き出す毎日。
山田はゲイで体を売っているのに、好きでもないカンナから告白され、付き合っている。
観音崎はハルナの目を盗んで、同じクラスのルミと校内で体の関係を持つ。
やり切れない10代の若者たちは、みんなモヤモヤしたものを溜め込んでいたのでした…。

原作は1993年に雑誌『CUTiE』で連載されていたコミックですから、今から25年も前の作品。
でも、まるで預言書のように今の時代を映し出していると言っても過言ではないタイムリーさがあります。
ひとつには、いつの時代の若者にも共通する、鬱屈した“何か”があるということなのでしょう。
物質的に恵まれた時代であっても、見えない将来に対する不安や、
今感じている空虚な気持ちは拭えないんでしょうね。
監督は行定勲。劇中で3曲、昭和歌謡が使われてます。
「僕は特急の機関士で」、「お座敷小唄」、「東京のバスガール」。行定監督のお遊びなのでしょうか?
また、ハルナ役の二階堂ふみが、まさに体当たりの演技。
こちらも話題になると思いますョ。☆4つ。
「リバーズ・エッジ」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.2.9

『犬猿』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


先日、アニメ映画を見て、その後続けて別の作品を見たのですが、
次の試写を待っていた男性が、「前は何?」と次の映画のプロモーター氏に。
「なんかアニメみたいですよ」と答えると、
「アニメか。俺はアニメなんて映画じゃねぇと思ってるんだよ」。
クソみたいな男でしょ?関係者もまだ残ってるのに。
そんなデリカシーの無い人間が映画を語ってるかと思うと、腹が立ちますよね。
大御所だか何だか知らないけど、少し考えた方がいいと思います。
さ、今週は1本です!



『犬猿』は、2組の兄弟、姉妹が織りなすヒューマン・ドラマ。

町の印刷会社で働く営業マンの和成。
父親が保証人になって作った借金を返しつつ、老後の貯えをするという堅実な青年です。
和成の地味で平凡な暮らしに変化が訪れたのは、強盗の罪で服役していた兄・卓司が刑務所から出所し、
和成のアパートに居候を決め込んでから。
凶暴でトラブルばかりの卓司は、出所後もやりたい放題。
でも、和成は何も言えず、黙っているだけでした。
一方、和成が仕事を依頼する小さな印刷所の社長が由利亜。
倒れた父の跡を継ぎ、仕事と介護をテキパキこなす女性でしたが、
小太りで美人とは言えないルックス。
そんな由利亜には巨乳で、芸能の仕事もかじっている妹の真子がいました。
普段は印刷所を手伝う真子でしたが、
さほど仕事も出来ないのに出入り業者の男性たちにチヤホヤされる。
それを見ている由利亜は面白くない。
実は、由利亜は和成に恋心を抱いていたんですね。
ところが、自分の知らない間に、和成は真子と付き合い始めていたのです。
メラメラと燃え上がる嫉妬の炎。
その間、卓司は怪しい輸入業を始め、これが大当たり。
「自分はコツコツやってて、苦しいことばかり。兄貴はなんでっ」。
和成の中にも、憎しみの気持ちが溢れ出すのでした…。

吉田恵輔監督のオリジナル脚本。
和成に窪田正孝、卓司には新井浩文。由利亜にニッチェの江上敬子、真子には筧美和子。
なんとなくイメージの湧くキャスティングでしょ(笑)。
兄弟も、姉妹も、ライバルになるところがある。
他人なら、イヤだったら切ればいいけど、血の繋がりは切れない。
だからこそやっかいな、それでいて温かい関係。
親子ともまた違った、人間関係としては、振れ幅が一番大きな存在かもしれません。
映画の中でも描かれてますが、子供の頃と大人になってからとでは、関わり方が変わってくる。
個として成長すれば、それは当たり前のことなんですけど。
この映画はそんな兄弟、姉妹の四つ巴の物語。
自分もそうですが、得てして兄は、子供のまんま成長するわがままな生き物のよう。
ちょっと心が痛みました(笑)。☆3つ。
「犬猿」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.2.2

『巫女っちゃけん。』☆☆☆

先週、実は体調を崩しまして。インフルエンザを心配し、病院へ。
鼻で検査をしたら陰性。喉で検査をしても陰性。ただの風邪だったようで。
それでも、試写会はお休み。その間に何本かは最終試写が終わってしまいました。
気になるんですよねぇ、見逃した映画って(笑)。
まだまだ寒い毎日です。体調管理に気をつけましょう。
さ、今週は1本です!



『巫女っちゃけん。』は、神社エンタテインメントムービー。

夢や希望もなく、将来の見えない女性、しわす。
短大を卒業し、一度は就職したものの、すぐに退職。
今は父が宮司を務める神社で巫女のアルバイトをしています。
「仕事が決まったら、すぐに辞めてやる」が口グセになっていましたが、
やりたいことなど何もないしわすに、生活を変えるパワーなどなく。
ただただ悪態をつきながら、グダグダと神社で働いていたのでした。
そんなある日のこと、神社でボヤ騒ぎや賽銭泥棒が起こります。
夜廻りの結果、境内に隠れていた犯人を捕まえるのですが、なんとその犯人は5歳の健太という男の子でした。
何を聞いても口もきかない健太を、しばらく神社で預かることになり、しわすが健太の世話役を命じられます。
渋々引き受けるしわすでしたが、あまりの悪ガキぶりにホトホト手を焼いていたところ、
ようやく母親が健太を迎えに来ます。
これで一件落着かと思いきや、数日後、また境内に健太が隠れていたのでした。
それも顔にアザを作りながら…。

舞台は福岡県にある宮地嶽神社。
よくロケを許したなぁという感じもありますが(笑)、
神社のあれこれを知ることが出来るという意味ではいいのかもしれませんね。
しわすを演じたのは広瀬アリス。
しわすには幼い頃、母親が出て行ったというトラウマがあります。
健太の母親が健太をほっぽらかしにしているのは明白で、
ましてや暴力まで振るっているのが許せません。奇妙な凸凹コンビの今後やいかに?というお話。
神職に奉じる人間が口にする言葉とは思えないセリフが、あえてたくさん出てきます。
現代に生きる若者の鬱屈したマグマがそこに溜まってるかのようですが、
一見バチ当たりな舞台設定にこそ説得力が出るということなんでしょうかね。
もう少し常識ある登場人物たちでもよかったんじゃない?と個人的には思ってしまいますが。
ご覧になって判断してみて下さい。☆3つ。
「巫女っちゃけん。」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.27

『風の色』☆☆☆
『ザ・リング リバース』☆☆☆
『ダークタワー』☆☆☆
『ちょっとまて野球部!』☆☆☆
『デヴィッド・リンチ:アートライフ』☆☆☆
『デトロイト』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

試写を行う映画会社の中には、予約制のところがいくつかあって、
人気の作品は告知と同時に埋まってしまいます。チケットで言えば“即完”。
でも、諦めずに、マメにチェックしてると、たまにキャンセルが出るんですョ。
すかさず予約!取れた時のうれしさは格別なものがあります。
今年も早速1本ありました。試写はもう少し先ですが、今から楽しみです!
さ、今週は6本です!



『風の色』は、日韓合作映画。

東京のマジックバーのマスターから“箱”を受け取る無職の青年・涼。
その箱は100日前に、涼がとある老夫婦に預けたものだと説明を受けるのですが、
涼にはその覚えがまったくありません。
しかし箱の中には、突然消息を断ち、涼の前から消え、
母親から死亡を告げられた、恋人・ゆりとの思い出の品が詰まっていたのです。
それから涼はマジシャンを目指すんですね。
ある日のこと、2年前の水中脱出マジックで行方不明になった天才マジシャンの隆が、
まるで自分と生き写しであることに気付きます。
それと同時に、ゆりが生前、「私たちはまた会える」と言っていたのを思い出し、
言葉を紡いで辿り着いた場所、北海道へと向かうことにしたのです。
そこで出会ったのは、なんとゆりとそっくりの女性・亜矢でした。
驚いたことに、亜矢は隆の元恋人で、行方不明になっていた隆との再会を夢見ていたと言うのです。
ふたりはえもいわれぬ感情で、運命に導かれるかのように結ばれていくのでした…。

監督は韓国、中華圏を始め、世界中で人気の“ラブ・ストーリーの巨匠”クァク・ジェヨン。
脚本も彼のオリジナル・ストーリーです。
実は、あらすじはあくまで“さわり”。
これだと単なるパラレルワールドの住人が出会った奇跡みたいに思うでしょ?
いや、この映画はちょっと違うんです。そこがスゴい。
涼と隆、ゆりと亜矢。それぞれの関係性に「なるほど…」と唸らされると思います。
で、そこから始まる恋愛物語。
☆の数がもうひとつ少ないのは、もう1回観たほうがストンと落ちる人が多いんじゃないかなと思って。
ボクの理解力の低さに皆さんを合わせるなと怒られそう(笑)。
いやいや、誤解なく。
1回でちゃんとわかるんだけど、もう1回観たほうが確実に腑に落ちると思います。
こんなストーリーを作れる才能がうらやましいと、素直に思います。☆3つ。
「風の色」公式サイト


『ザ・リング リバース』は、日本を代表するホラー映画のハリウッド・リメイク版。

「呪いのビデオを見た者は、7日後に必ず死ぬ」。
そんな呪いのビデオを見てしまったジュリアの身の周りに、奇妙な出来事が頻発。
ジュリアも自らの命の危険を感じずにはいられませんでした。
助かる方法はただひとつ。ビデオのコピーを取って、誰かに見せること。
ところがジュリアのビデオはコピーが出来ず、逆に新たな映像が加わっていたのです。
命の期日が迫る中、ジュリアは、なんとか呪いのルーツを解き明かそうとするのですが…。

実は、ハリウッドでのリメイクは、これが3作目。
もらったプレス資料には、作品の時系列が並んだ一覧があるのですが、映画はもちろん、
小説にゲームなど、1991年の小説の発刊、1998年の映画の公開以来、
世界中にたくさんの関連作品がリリースされているんですね。
これを見るだけで、このシリーズの人気の高さがわかります。
日本が誇るサブカルチャー・アイテムのひとつですよね。
映画公開から20年の節目となるこの作品は“原点回帰”。
「原作に忠実に」が基本で、そこに現代のエッセンスを散りばめた作りとなっています。
監督はスペイン人の新星、F・ハビエル・グティエレス。
『リング』シリーズのファンだというのが、十分に伝わる1本です。☆3つ。
「ザ・リング リバース」公式サイト


『ダークタワー』は、スティーヴン・キング原作のアクション・エンタテインメント。

NYに住む少年ジェイクは、毎晩同じような悪夢を見ては、うなされ続けていました。
それは夢というより、確かな感覚に近く、目覚めると見たものを絵に描いては、
壁に貼り付けていたのです。
部屋の壁一面に貼られた不気味な絵。
ジェイクの母と再婚した義理の父は、そんなジェイクを疎ましく感じ、
宿泊型のセラピーに送り込もうとするのですが、
自宅に迎えに来た施設の担当者の首に皮膚の継ぎ目がある。
これこそ、ジェイクが夢で見た“悪の証し”だったのです。
ジェイクを愛する母親にさえ、いくら伝えてもわかってもらえないジェイクは、
施設に行くふりをして、家から逃げ出すんですね。
逃げ込んだ廃屋で偶然見つけた異世界への入り口。
“ポータル”と呼ばれる扉を抜けると、そこは“中間世界”というもうひとつの世界。
ジェイクが夢で見ていた世界が広がっていたのです。
そんなジェイクの前に現れたのがガンスリンガーのローランド。
ガンスリンガーとは、拳銃使いの正義の戦士。
ローランドの説明によると、中間世界に建つ巨大な塔“ダークタワー”が複数の世界の均衡を保っていると。
ところが、世界の滅亡を狙う魔導師“黒衣の男”がそのタワーを壊そうとしていると言うのです。
どうやらジェイクは、世界を救うカギを握る少年だったのです…。

タワーの破壊には子供の純粋な心が必要で、捕らえられた子供たちが、
まるで砲弾のように撃ち込まれていく。
黒衣の男の野望のため、ついに中間世界と現実世界の壁が破られ、ジェイクの両親も殺害され、
街の子供たちも連れ去られていきます。
果たして、ジェイクとローランドは世界を救えるのか…というストーリー。
“モダンホラーの帝王”と称されるスティーヴン・キングの原点とも言える小説で、
設定も奇抜だし、ワクワク感も十分。
ただ、うわっと驚くような仕掛けは期待せず、王道のファンタジー・アクションだと思って観れば、
すごく楽しめると思います。
原作が全7部からなる超大作ということで、今作は序章にしか過ぎないのかも?
今後のためにも、スティーヴン・キングファンなら、観ておく必要はありそうです。☆3つ。
「ダークタワー」公式サイト


『ちょっとまて野球部!』は、女性漫画家の人気コミックの映画化。

大堀、秋本、宮田は県立神弦高校の1年生。同級生にして、みんな野球部員という仲良しトリオ。
“3バカ”よろしく、毎日ふざけあっては、楽しい高校生活を送っていたのです。
学校に行くのは野球をするため。
授業は体力温存のための貴重な睡眠時間という大堀は、勉強が大嫌い。
案の定、テストで赤点を取ってしまいます。
それでもヘラヘラしていた大堀ですが、なんと追試の結果もまた赤点。
次の再追試に落ちると、夏の合宿に参加できなくなってしまうのです。
秋本と宮田に下された野球部の先輩たちからの指令、それは大堀の悪ノリに付き合わず、
勉強に集中させろというもの。
ふたりは、今だけ大堀から距離を置こうと決めたのです。
ところが、それを仲間ハズレにされたと勘違いした大堀がスネてしまったから大変!
野球部全体を巻き込んでの大騒動へと発展してしまったのです…。

原作はゆくえ高那の同名コミック。野球部の話なのに、野球は脇に置き、
部活にいそしむ男子高校生の青春ドラマを描くという、
変わったアプローチで人気の作品なんですね。
3人のやり取りが思っていた以上に自然で、この手のバカ騒ぎものって、
ややもするとTOO MUCHで、観ていて途中でお腹いっぱいになっちゃうんだけれど、
この映画に関してはそれがまったくありませんでした。
そんな須賀健太、小関裕太、山本涼介のネクスト・ブレイク俳優たちの演技にも注目です。
原作がそうですから、野球に詳しくなくても楽しめますョ。☆3つ。
「ちょっとまて野球部!」公式サイト


『デヴィッド・リンチ:アートライフ』は、
『エレファント・マン』や『ツイン・ピークス』の監督として知られる
デヴィッド・リンチの半生に迫るドキュメンタリー。

1946年、アメリカ・モンタナ州の小さな田舎町に生まれ育ったデヴィッド・リンチ。
映画監督、脚本家、プロデューサーとして著名ながら、映像作品だけでなく、画家として、
また写真や音楽でも表現活動を続けている“芸術家”でもあります。
そんな彼の幼少期、学生時代、長編デビュー作『イレイザーヘッド』を作るいきさつなどが語られており、
“奇才”と言われる才能や発想の根源が垣間見えてもきます。
やはり、環境って、良くも悪くも大事なんだなぁと。
“三つ子の魂、百まで”とはよく言ったものだと感じてしまいます。
例えば殴り書きのような、過去のちょっとしたものにも、
今の作品に繋がる源流のようなものが見えますからね。
アーティストは、人とちょっと違うぐらいがいいんだなと改めて(笑)。
興味深く観させて頂きました。☆3つ。
「デヴィッド・リンチ:アートライフ」公式サイト


『デトロイト』は、1967年のアメリカ中西部の
大都市デトロイトで起こった事件を映画化したもの。

1967年、夏。デトロイトの酒場で、黒人のベトナム帰還兵を祝う会が行われていました。
そこは無許可営業の店。警察が押し入って小競り合いとなり、大規模な暴動へと拡大。
市は州警察と軍隊をも投入しますが、暴徒と化した黒人たちをなかなか止めることができません。
そんな中、劇場で自分たちの出番を待っていたのは、
地元出身の黒人コーラスグループ“ザ・ドラマティックス”のメンバーたち。
その日はレコード会社の重鎮の前で歌を披露するチャンス。待ちに待った舞台でした。
ところが公演は中断。暴動が大きくなっているからと、警察が中止を勧告してきたのです。
リードボーカルのラリーは失意の中、メンバーの弟で仲良しのフレッドを連れて、
モーテルにチェックイン。
そこで若い白人女性や黒人男性と意気投合するのですが、その中の1人が冗談で、
窓から陸上のスタート・ピストルを数発鳴らしたんですね。
すると警察がすぐさまモーテルを包囲。引いたのは、まさに地獄の夜の引き金だったのです…。

今から半世紀前の事件。
警官の中に、人種差別主義の人間がいて、黒人男性を射殺。
正当防衛のアリバイ作りにナイフを置き、銃の在処を吐かせるため、
居合わせた若者たちは1Fの廊下に立たされます。
無い銃ですから、出せと言われても出せるはずがない。あり得ないほどの暴力と侮蔑。
思わぬ行き違いから死者も増えていく。恐怖に震える若者たち。
アメリカ史上最大級の暴動と言われたデトロイトの事件では、
このアルジェ・モーテルでの犠牲者も含め、43人が死亡。
負傷者は1100人以上にのぼったとか。
トランプ政権の誕生で“分断”が言われるアメリカが、50年前の負の歴史から学ぶことが出来るのか?
キャスリン・ビグロー監督は一石を投じたのでしょう。☆4つ。
「デトロイト」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.18

『消された女』☆☆☆☆
『ベロニカとの記憶』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


篠原哲雄監督作品『花戦さ』が、日本アカデミー賞の優秀作品賞、
優秀監督賞を始め、8部門を受賞!
中高同級生の映画監督であり、昨年末に発表した2017年の個人的ベスト3作品の1本ですからね。
最優秀賞の発表は3月2日。強敵は多いけど、穫って欲しいなぁ。
さ、今週は2本です!


『消された女』は、韓国で実際にあった犯罪の映画化。

やり手のTVプロデューサーとして、飛ぶ鳥を落とす勢いのナムス。
ところが“やらせ”問題が発覚。一気に仕事を干されてしまいます。
そんなナムスの元に、一冊の手帳が送られてくるんですね。
それはカン・スアという女性の手帳。
そこには信じがたいような出来事が記録されていたのです。
一年前、昼の都会の大通りを歩いていたスアは、突然何者かに誘拐され、精神病院に監禁されたと。
そこでは強制的に薬物を投与され、暴力を受け、本当におかしくなってしまいそうだったと。
そんな中で正気を保つために、隠れてつけていた日記だというのです。
この手帳に興味を抱いたナムスがスアを訪ねると、彼女は今、
殺人事件の容疑者として収監されていたんですね。
面会に行き、取材を重ねてわかってきたのは、
そこに横たわっていたあまりに深い闇でした…。

韓国には2016年まで、精神保険法第24条に、
「保護者2人の同意と精神科専門医1人の診断があれば、
患者本人の同意なしに“保護入院”という名のもと、強制入院を実行できる」
という法律がありました。
つまり、保護者2人と精神科医1人が同意さえすれば、
正常な人も精神異常者として強制的に監禁されてしまうんです。
個人の財産を守るため、利益を独占するために、法を悪用して、
親族を精神病院に強制入院させる事件が多発していた韓国。
考えただけでもゾッとしますよね。
2016年の4月にこの映画が公開となり、
同年9月に「精神疾患患者の強制入院は、本人の同意がなければ憲法違反」
との判決が韓国の憲法裁で下ったそう。
この映画が話題となったからとも言われる衝撃作です。
ドンデン返しがあって、謎解きもきちんとやってくれますが、複雑なので、
1回でわかるかなぁというのが唯一の難点。
リピーターが多かったというのも、そんな意味で納得です。
実際に起きた事件だというから、本当に驚きです。
自分がもし監禁されたら…。恐ろしい話です。☆4つ。
「消された女」公式サイト



『ベロニカとの記憶』は、40年前の初恋にまつわる記憶の物語。

仕事を引退し、趣味の中古カメラの店を営みながら、穏やかな年金暮らしをしているトニー。
そのトニーの元に、法律事務所から“遺品”に関する通知が届きます。
亡くなったのは、40年前の初恋の相手であるベロニカの母親、セーラでした。
遺品というのはエイドリアンの日記。
エイドリアンはトニーの親友でしたが、トニーがベロニカと別れた後、ベロニカと交際。
その後、自ら命を絶ったのでした。
エイドリアンの日記をなぜ、ベロニカの母親であるセーラが持っていたのか。
また、その受け渡しを、遺言執行人であるベロニカが何故か拒んでいる。
謎の多いこの一件。高校時代の友人たちの力も借りて、
SNSでベロニカにメッセージを送ると、
ベロニカとの再会が叶うんですね。
しかしベロニカはそこでトニーに1通の手紙を手渡し、話もそこそこに立ち去ってしまいます。
それは、かつてトニーがエイドリアンに送った手紙。
あまりに酷い内容に、記憶から消し去っていた手紙でした。
すると、自ら衝撃を受けたトニーの脳裏に、40年前の真実が蘇ってきたのです…。

この作品も少々複雑です。
トニーの頭の中にある正当化した記憶と、実際の出来事にズレがある。
いや、トニーが自らズラしたと言ったほうが正しいのでしょうか。
トニーにとって、その真実を40年後に蘇らせたことが不幸だったかどうかは、
簡単に言えませんが、誰にでも“パンドラの箱”はあるもの。
何かの拍子で簡単に開いてしまうこともあるんですよねぇ。
「嘘も言い続けていると真実になる」。
昔、どこかで聞いた言葉です。いい言葉かどうかはわかりませんが(笑)、
“嘘”を“思い込み”に変えてもいいかもしれませんが、確かにあるよなぁと。
人生の終盤にこういうことが起こるということは、
きちんと清算してから幕を閉じなさいと、神様に言われてるのかも。
引退後のトニーは、中古カメラの店を営んでいます。
カメラはベロニカの趣味でした。そのことを考えると…ねっ。
自分のこれまでをも、ちょっと振り返ってみてしまいました。☆3つ。
「ベロニカとの記憶」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.13

『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』☆☆☆
『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』☆☆☆☆
『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)



1月に入ってから忙しく、まだ試写は1本。
今年は映画に関しては“追い込み型”かも(笑)。
さ、今週は3本です!


『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』は、実話を元にしたドイツ映画。

サリヤ・カハヴァッテ、通称“サリー”は、ドイツ人の母とスリランカ人の父の間に生まれます。
夢は一流のホテルマンになること。
ところが彼には、先天性の目の病気があり、就職活動を始めようかという矢先に発病。
手術により保てた視力は、わずかに5パーセントでした。
丸暗記でなんとか学校は卒業できたものの、障がいを記した就職願書はことごとく弾かれ、
ホテルへの就職は不可能だと思われていました。
そこで、目のことは隠してミュンヘンの5つ星ホテルに願書を提出。
すると、研修生に選ばれるんですね。
そこからサリーの奮闘が始まります。
思いもよらない発想で、次々課題をクリアして行くのですが、もちろん超難関にもぶつかります。
果たして、サリーは念願のホテルマンになれるのでしょうか…。

なんたって実話ですから。すごいです。
家族だけでなく、彼の障がいに気付いた人たちを味方につけていく、
そんな人間的魅力があればこそ、サリーは夢に向かって頑張れたのでしょう。
長い奮闘の日々を、映画では2時間弱にまとめなくてはなりません。
そこに現実離れした感じが出ちゃうような場面もありますが、そんな時、
「いや、この映画は実話に基づいているんだ」というのを思い出すといいと思います。
好きだから頑張れる。夢だから諦めない。
そのことがどれだけ大切かを、教えてくれると思いますョ。☆3つ。
「5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜」公式サイト



『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』は、3DCGで作った新たな“西遊記”。

お師匠さまのもとで修行を積んでいるリュウアーは、幼い頃、
妖怪に襲われて両親を亡くした男の子。
ある日のこと、リュウアーは妖怪に襲われた女の子を助けようとして、
五行山に迷い込んでしまいます。
そこには伝説のヒーロー、孫悟空が眠っていました。
お釈迦様によって五行山に閉じ込められて、500年。
リュウアーは偶然にも、その悟空を目覚めさせてしまうんですね。
ヒーローの登場に喜ぶリュウアーでしたが、悟空にその力は戻っていなかったのです。
その後、猪八戒と出会い、女の子を長安まで届けるための旅に出る悟空たちでしたが、
途中妖怪に襲われ、その背後に“混沌”という悪者が
幼い子供を生け贄にさらっていることを知ります。
果たして、リュウアーたちは、無事長安まで辿り着けるのか?
また、孫悟空は子供たちを救って、真のヒーローに戻れるのでしょうか…。

映像はキレイだし、ストーリーも新たなもの。
あちこちに笑いのエッセンスも散りばめられており、楽しく見ることが出来ました。
カンフーアクションの国だけあって、その迫力を出すのはお手のもの。
2015年の中国公開で、
中国制作アニメの歴代1位となる興行収入を叩き出したのも納得です。
大人も子供も楽しめる1本。ご家族でどうぞ!☆4つ。
「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」公式サイト



『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』は、
世界的ファッション・デザイナーを追ったドキュメンタリー。

フランス、パリを拠点とする独立系ファッション・デザイナーのドリス・ヴァン・ノッテン。
他のブランドとの違いは、自らがデザイン画を描かないこと。
スタッフと一緒に社内でアイデアを出し合い、煮詰め、生地作りから始めていく。
中でも、刺繍にこだわり、インドに工房を構え、職人による手仕事の美しさを大事にしています。
プライベートでは、きれいに造られた庭園も披露。
花を愛し、自家菜園で採れた野菜を調理する姿も映し出されています。
印象的だった言葉が、
「自分の生み出した美に酔いしれる。
でもボクにとって、それはショーの中でではない。フィッティングの瞬間にある。
シェフは料理に最後のひと工夫をして、それを味見したあとに客に出す。
極上の味を最初に味わうのは、まず料理人。次に客なんだ。
それに似てるかもしれないね」
深いですよね。
ファッション関係者には、
ボクなんかよりも響く部分が多いんじゃないかと思いますョ。☆4つ。
「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.4

『愛の病』☆☆☆
『キングスマン ゴールデン・サークル』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)



新年あけましておめでとうございます。
2017年に見た映画は162本。おかげさまで、感性をたっぷりと刺激してもらいました。
今年も出来る限り試写に足を運んで、公開直前にご紹介出来ればと思ってます。
映画セレクトの参考にして頂ければ幸いです。
あ、毎年言ってますが、☆が少ないと駄作という訳ではありませんから(笑)。
あくまでボクの個人的嗜好ですので。誤解なきよう。
2018年もどうぞお付き合い下さい!
さ、今週は2本です!



『愛の病』は、実際に起きた凶悪事件の映画化。

DV夫と別れ、ひとり娘の手を引いて実家に戻ったものの、邪魔者扱いのエミコ。
仕事もなく、生活費にも困っていた時、出会い系サイトのサクラのアルバイトを見つけます。
そこで真面目な工員の真之助と知り合い、嘘の名前と経歴で真之助を虜にすると、
自分がヤクザの組長の娘だと言い、父親を口説くにはお金が必要だと、
真之助の貯金を騙し取っていくんですね。
そんな中、ひょんなことから解体工のアキラと出会い、エミコはアキラに夢中になります。
ところが、アキラには重度の障がいを持つ姉がいました。
アキラは「姉の介護で付き合うことは出来ない」と言うのです。
エミコは姉の存在が疎ましくなり、殺してしまいたいと考えるようになります。
そして、その殺人を、真之助に依頼するのでした…。

2002年7月、和歌山で実際に起きた“和歌山出会い系サイト強盗殺傷事件”を映画化したもの。
昨年も何本かそんな映画がありましたが、オリジナル脚本が減り、
マンガや小説などの原作ものならまだしも、実際の事件が映画になるほど、
凶悪事件が“まるでドラマか映画のよう”になっているということですよね。恐ろしいことです。
主演の瀬戸サオリは、ジャンポケ斉藤さんの奥さんの瀬戸さおりさんではなく、
俳優・瀬戸康史の妹。今回は体当たりの演技で頑張ってます。
見ていて、あまりに自己中心的な連中に虫唾が走るような内容ですが、
主演の瀬戸サオリの頑張りに拍手です。☆3つ。
「愛の病」公式サイト



『キングスマン ゴールデン・サークル』は、前作『キングスマン』の続編。

ロンドンの高級テーラーに拠点を置く、世界最強のスパイ組織『キングスマン』。
今やキングスマンの立派なエージェントに成長したエグジーは、
突然、元エージェント候補生だった裏切り者のチャーリーに襲われます。
チャーリーを操っていたのは、世界の麻薬市場を支配する“ゴールデン・サークル”の女ボス、ポピー。
裏社会から表舞台へ出たいと目論んでいたポピーは、
まず手始めにキングスマンを壊滅させようと企んでいたのでした。
なんとかチャーリーを撃退したエグジーでしたが、
キングスマンの秘密情報を盗まれてしまいます。
そして、ロンドンのテーラーが爆破され、メンバーのほとんどが殺されてしまったのでした。
生き残ったメカニック担当のマーリンと会い、
キングスマンが機能しなかった時にと準備された手順に従い、
とある場所の金庫を開けると、そこには1本のバーボンのボトルがありました。
そこに書かれていたのは、アメリカ・ケンタッキー州のバーボンの蒸留所。
ふたりは急遽アメリカに渡るのでした…。

あらすじはさわりの部分だけ。
蒸留所が、実はキングスマンの同盟組織“ステイツマン”の拠点だったり、
悪のサイコ・ボスであるポピーが、とんでもない方法で世界征服を狙っていたりします。
ここからは見てのお楽しみ。
ただ、2年前の前作は、まだアクションにも人間らしさがあったように記憶してますが、
今回は超人的で(笑)。『007』などのスパイものも確かに超人的ではありますが、
前作の『キングスマン』には、アナログな部分が残っていたような気もするんですよね。
のっけから迫力はすごいんですが、その分、
“街に潜んでいる”というリアリティは無くなっちゃったかな。
「いらないでしょ。そんなリアリティ」という人にはもっと☆があってもいいかも。
まさに個人的嗜好ですが(笑)、ボクにはそれが残念で。☆3つ。
「キングスマン ゴールデン・サークル」公式サイト