週末公開の映画……2009.7.6

「ウィッチマウンテン―地図から消された山―」☆☆
「MW(ムウ)」☆☆☆
「私は猫ストーカー」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

基本的にボクらの行く試写会は飲食禁止。
鞄の中のペットボトルぐらいは仕方ないのかなぁと思いながらも、
ボトルにスクリーンの光が反射するとつい気になってしまいます。
忙しいスケジュールの合間を縫って行く試写なので、正直途中で眠くなることも。
そんな時、なんか飲み物があればなぁと思うこともしばしば。
でも“飲んでる人がいるから自分も…”と、なし崩しにルールを破るのは嫌だから、
太ももをつねったりして何とか睡魔と闘っているんです(笑)。
ホントは面白ければ睡魔なんて襲ってこないはずなんですけどね…(^_^;)。
さ、今週は3本です!


「ウィッチマウンテン―地図から消された山―」は、ディズニーのSFサスペンス。

ある日、タクシードライバーのジャックが乗せた男の子と女の子。
ふたりの名前はセスとセラ。
長距離をタクシーで移動するには幼な過ぎるふたりに
ジャックはいろいろと質問をぶつけるんですが、どうも様子がおかしい。
すると武装した車数台がこのタクシーを追いかけてくるではありませんか。
それを特殊な能力でやり過ごすセスとセラ。
聞けば彼らは大切なミッションを課せられていて、それを遂行しに来たと。
そのミッションとは、ある場所にある“記憶装置”を手に入れ、
それを国家最高機密として合衆国が地図から消した山“ウィッチマウンテン”に
持って行くことだったのです。
“ウィッチマウンテン”、そこは宇宙の秘密が潜む場所だと言うのです…。

一言で言うなら、「映画館でディズニーアトラクション!」(笑)。
アメリカに数多くあるUFOの目撃談や、宇宙人の捕獲情報など、
そのあたりをチラシのPR素材に使ってるから、
さぞかしディズニーが掘り下げて謎解きに成功したんだろうなと
期待して行ってしまったのがいけなかったかも(笑)。
ま、そんな訳です(笑)。割り切って行けば楽しいかも?☆2つ。
「ウィッチマウンテン―地図から消された山―」公式サイト


「MW(ムウ)」は、手塚治虫原作コミックの映画化。

16年前に、島の住民がひとり残さず虐殺されるという事件が起こりました。
その島は沖之真船島。
政府によって闇に葬り去られたこの事件でしたが、
実は奇跡的にふたりの男の子が生き延びていたのです。
今は神父になった賀来と、エリート銀行マンになった結城。
生活こそ違えど、ふたりは深い絆で結ばれていました。
結城にはもうひとつの顔がありました。それは冷酷なスナイパー。
事件の後遺症に悩まされ、余命いくばくも無いと自らの運命をしる結城は、
事件に関わった人間を次々殺害。
“モンスター”と化して、復讐を進めていたのです。
しかしこの事件の根本は何なのか。なぜ島民は皆殺しにされなければならなかったのか。
それを知るためのキーワード。それが「MW」だったのです…。

「ブラック・ジャック」に象徴されるように、
手塚漫画には人間の中に対極としてある“正義と悪”が描かれます。
「MW」では、神父とスナイパー。“許し”なのか“復讐”なのか。
それを漫画なら読み手に、映画なら観客に投げ掛けてジャッジを委ねる。
その時々の社会の在り様も鑑みての判断ですから、深い考察が必要となって来るのです。
と、そこまで肩に力を入れて見なくても大丈夫。
玉木宏、山田孝之といった人気俳優を起用したことで、
エンターテイメントとしても十分見られる1本ですから。
逆にお堅いキャスティングにしたらどんな映画になったんだろうとも考えてしまいました。
☆3つ。
「MW(ムウ)」公式サイト


「私は猫ストーカー」は、ほんわかムービー。

イラストレーターの卵で、古本屋さんでバイトをしているハル。
ハルは猫が大好き。
バイトが終わるとお寺の境内に集まる猫を眺め、町を歩けばカメラでパシャリ。
そんなのんびりとしたハルの日常に変化が起ります。
バイト先のご主人の元に、昔の恋人に送った詩集が巡り巡って戻って来る。
それを知った奥さんがイライラし始め、飼い猫のチビトムに当たり出す。
チビトムはたまらず家出。取り乱した奥さんも家出してしまうんですね。
同じ頃、ハルの元彼の健吾からハルの部屋にリンゴが届きます。
同封の手紙には結婚の報告が。心穏やかではないハル。
さらにハルはお客さんの鈴木さんにつきまとわれ。
ハルの大好きな穏やかな時間は戻って来るのでしょうか…。

起承転結、大きな物語性やオチがあるというタイプではなく、
多少の波乱はあれども、全体的にはほんわかとした空気が流れている映画です。

猫には誰も知らない時間があって、追いかけても追いかけてもわからない。
それは人間の恋人同士にもきっとあるはず。
いずれは猫も人もいなくなる。どんなに愛していても、触れ合える時間ってホンのわずかなんだ。
そんな考えが根底には流れているようです。
自分にとっての“猫”は何なのか。
忙しさに追われる日々を送っているあなた、考えてみるといいかもしれませんョ。☆3つ。
「私は猫ストーカー)」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.6.24

「群青」☆☆☆
「それでも恋するバルセロナ」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

ムシムシした梅雨の時期。映画館はいいですョ。雨宿り、夕涼み…。
そこで感動をもらえればなおのことでしょう。
気になる作品を見つけたら積極的に足踏み入れてみて下さいねっ。
さ、今週は2本です!


「群青」は、長澤まさみ主演作。

沖縄の離島、南風原島。
今から20年前、世界的女性ピアニストが療養のためにこの島にやって来て、
ひとりの漁師と出会い、恋に落ちました。
漁師は命を懸けて取って来たサンゴをプレゼント。
ふたりは結婚し、可愛い女の子を授かるのですが、
病魔に侵されていたピアニストはこの世を去ってしまいます。
20年後、美しく成長した娘、涼子。
しかし彼女は今、精神のバランスを崩し、過去の思い出にしか生きられずにいます。
その思い出とは、2人いる幼なじみの男の子のひとり、一也のことでした。
涼子に恋心を打ち明けたものの、涼子の父に「まだ早い」と結婚を反対され、
ならばと涼子の父の真似をしてサンゴを取りに海に向かい、帰らぬ人となってしまったのです。
島を離れ、1年振りに帰って来たもうひとりの幼なじみの大介は、
何とか涼子の力になれないかと重大な決意をするのです…。

実は大介もずっと涼子のことが好きだったんですね。
でも身を引かなくてはならない“三角関係”。複雑な思いで島に戻って来たのです。
涼子の父も含め、登場人物みんなが抱える心の痛み。
それを人の優しさが、自然のおおらかさがどのように癒していくのかというのがテーマのような。
だから内面を覗き込む映画かもしれません。明快な答えが無い分、食い足りなさはあるかなぁ。
でもそれもまた作風というか、映画のあり方ですからね。☆3つ。
「群青」公式サイト


「それでも恋するバルセロナ」は、ウディ・アレン監督、脚本作品。

ヴィッキーとクリスティーナは学生時代からの大親友。それでもふたりの恋愛観は正反対。
ヴィッキーは誠実で安定した恋愛を求め、クリスティーナは情熱的で危険な恋を求める。
そんなふたりがアメリカからスペインのバルセロナにバカンスでやって来ていたのです。
画廊のパーティで出会ったのが野性的な匂いのする画家のアントニオ。
噂によると、彼は妻と別れたばかり。それも刺した刺されたのドロ沼離婚だったとか。
あきれ顔のヴィッキーに対し、クリスティーナは興味しんしん。
そんな3人が深夜のレストランで偶然にも再会するんですね。
アントニオはふたりをリゾート地に誘います。断るヴィッキー、乗り気のクリスティーナ。
結局クリスティーナに押され、ヴィッキーもお目付け役として同行することになったのです。
夜になってアントニオの部屋を訪れたクリスティーナ。
いざその時になってクリスティーナの具合が悪くなってしまいます。
そのまま寝込んでしまうクリスティーナ。
翌日仕方なく、アントニオと行動を共にするヴィッキーでしたが、
次第にアントニオに魅かれていってしまいます。
お酒とスパニッシュギターの効果もあってか、アントニオと関係を持ってしまうヴィッキー。
実はヴィッキーには真面目な婚約者のダグがいたのです。
そこに体調の戻ったクリスティーナがアントニオに再びの猛アタック。
さらにそこへ別れたはずの元妻が現れて、不思議な“四角関係”が出来上がります。
異国の地での、この恋の行方やいかに…。

ウディ・アレンの脚本ですから、人間関係や舞台設定はうまいですよね。
グチャグチャとしそうなものをわかりやすく見せる。
たぶん女性が好きなタイプの映画だと思います。
男性には2通りの見方があって、プレイボーイのアントニオ目線か、
ヴィッキーの婚約者のダグ目線か。
ボクはどちらかというとダグ目線。最愛の人に知らない土地で浮気されてるなんて、ねぇ(笑)。
でもこの映画を見ることで、バーチャルで開放的な恋愛気分を堪能し、
溜まったものが解消されるならそれもありかなと。
男性も“アントニオ願望”はあるでしょうから(笑)。
美味しいドレッシングじゃないけど、混ざらないはずのものを混ぜてるうちにいい味になるような映画。
ストーリーとしてはすごくよく出来てます。☆4つ。
「それでも恋するバルセロナ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.6.18

「いけちゃんとぼく」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

1月に『ザ・ムーン』という映画を高い評価でご紹介しました。
アポロ計画で月に向かった宇宙飛行士たちを描いたドキュメンタリー作品。
今度は同じBBC制作の「宇宙(そら)へ」という映画が8月に公開予定だそうです。
また、アスミックエースの試写室の壁に、
「HOME」というタイトルで地球が大写しになったポスターが貼られてました。
地球が奇跡の星であることに気付いたかのように、
ここに来て続々と“主役・地球”の映画が公開となります。
環境問題に警鐘を鳴らす意味でも、すごくいいことだと思いませんか?
さ、今週は1本です!


「いけちゃんとぼく」は、漫画家・西原理恵子作の絵本の映画化。
9歳の男の子、ヨシオ。ヨシオにはヨシオにしか見えない不思議な友達がいました。
いけちゃんです。
いけちゃんはいつもヨシオの近くにいてヨシオのことを見守ってくれていました。
お父さんが死んだ時も、ガキ大将のヤスとたけしにいじめられた時も、
夜怖くて眠れない時も、いつもそばにいてくれました。
でもそんないけちゃんがヨシオに言うのです。
「いつまでもいけちゃんはそばにいられないから。
ともだちを見つけて、早く、ゆっくり大人になってね」。
様々な経験を積んで成長していくヨシオに、遂に別れを告げる時が来たと悟るいけちゃん。
「私が本当は誰なのかを話したい」。 いけちゃんが語る本当の正体とは…。

原作が『絶対泣ける本第一位』との肩書きを聞いて、期待し過ぎちゃったかなぁ(笑)。
いけちゃんは色の付いた“ひとだま”みたい。スライムのようなぷよぷよした生き物。
CGでの登場ですが、それにはまったく違和感がなく。
ただ、西原さんって残酷な描写も売りじゃないですか。
この映画に関してはそんな“プチ暴力”や“プチ虐待”がちょっと許せなかったかな。
子供向けというよりは大人の読む絵本だろうけど、
そのあたりがどうにも引っ掛かっちゃって。
でもそんな西原ワールドがたまらないんだという人は劇場でチェックしてみて下さいね。
☆2つ。
「いけちゃんとぼく」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.6.13

「精神」☆☆☆☆
「ターミネーター4」☆☆☆
「真夏のオリオン」☆☆☆
「マン・オン・ワイヤー」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

今週紹介する「精神」の想田和弘監督の長編ドキュメンタリー第一弾
「選挙」が7月4日からライズXで復活ロードショーになります。
ちなみに監督自身はドキュメンタリーとは言わず、“観察映画”と言ってますが。
昔、当欄でも紹介したけれど、本当に面白い作品です。
日本の政治、特に選挙は本末転倒というか、
向いてるベクトルがあさっての方向じゃない?というのがわかると思います。
ボクは絶対に選挙になんか出馬しないって、あれ見て思いましたから(笑)。
総選挙も近そうだし、有権者のみなさん、見ておいた方がいいですョ。
さ、今週は4本です!


「精神」は、その想田和弘監督の“観察映画”第二弾。
岡山県にある外来の精神科クリニック「こらーる岡山」。
この映画はそこに通う心に病を持つ患者さんと、医者、スタッフ、ボランティア、
患者さんのための作業所などを“観察”した作品。
印象的だったのは医師である山本先生の患者さんへの接し方。
診察の際に、とにかく「で、あなたはどう思うんだい」と尋ねるんですね。
こうしたらいいというアドバイスは根気強く患者さんの言葉を聞き終えた後で、
最後の最後に先生の口をつきます。
さらに同業の看護士さんたちへの講義で先生は言います。
「何も質問せずに、四角の上にバランスよく丸を3つ書いて下さい」と。
そして、「周りの人と比べてみて下さい」と続けます。
すると、四角の上辺に丸を3つ、塔のように重ねてる人もいれば、
四角の中に丸を3つ入れて書いている人もいる。その絵は実に様々。
山本先生曰く、「これがワンウェイコミュニケーションなんです」。
確かに。
思いを伝えたつもりでも伝わっていないことってたくさんあるんですよね。
何だか思い知らされました。
何よりショックなのはエンドロール。一瞬「えっ」と絶句するはずです。
本当は☆なんて付けられないのだけれど…。☆4つ。
「精神」公式サイト


「ターミネーター4」は、人気シリーズの第4弾。
世界最大の軍事企業、サイバーダイン社が開発した
人工知能搭載のスーパーコンピュータ“スカイネット”。
そのスカイネットが自我に目覚め、人類を敵とみなして核戦争を仕掛けます。
時は2018年。世界は核のために荒れ果てていたのです。
生き残った人々は抵抗軍を組織。
スカイネットが送り込むターミネーターと戦いながらなんとか生き延びていました。
抵抗軍のリーダー、ジョン・コーナーはスカイネットの機能を停止させる秘密のシグナルを入手。
これで戦えば戦争は終結するのですが、その期限はわずかに4日。
なぜなら、スカイネットは4日後に抵抗軍の重要人物をすべて抹殺する計画を立てていたから。
そのリストの2番目にジョンが、トップにはカイル・リースの名前があったのです。
カイル・リース。のちにタイムスリップしてジョンの母と恋に落ち、ジョンの父になる男。
カイルが死んだらジョンは生まれてこなくなる。
スカイネットとの戦いは自分自身の存在を懸けた戦いだったのです…。

で、実はここにまたひとりの男が絡んできます。マーカス・ライト。
若きカイルと行動を共にするのですが、このマーカスの正体とは?
さすがに人気のシリーズだけあってよくできてました。
試写室ではなく、劇場で試写を見た仲良しのラジオのディレクターは、
「音にビックリ!いやぁすごい迫力!」と大興奮(笑)。
あなたも劇場で是非どうぞ。☆3つ。
「ターミネーター4」公式サイト


「真夏のオリオン」は、篠原哲雄監督による潜水艦映画。
倉本いずみの元にアメリカから一通の手紙が届きます。
「あの夏、私の祖父が何を失い、何を手にしたのか。それを知りたくて手紙を書いています」。
差出人の祖父はアメリカ海軍の駆逐艦の艦長として、第二次世界大戦で日本と戦っていたそう。
同封されていたのは、古びた手書きの楽譜で、
そこには“真夏のオリオン”という曲名と共にいずみの祖母、志津子のサインがあったのです。
いずみの祖父、倉本孝行も潜水艦の艦長。
当時の祖父を知る唯一の存命者、鈴木勝海を訪ねるいずみに、
鈴木は当時を振り返り、静かに話し始めるのでした。
艦長の倉本と、作戦でこの艦に乗り込んで来た有沢は海軍兵学校からの親友。
有沢の妹、志津子は愛する倉本のために“真夏のオリオン”という曲を書いて、
御守りとして手渡したのでした。
冬の星座のオリオン座がこの季節に見えるのは、夜明け前のほんのわずかな時間だけ。
夏のオリオン座は吉兆とされており、志津子はそんな思いをこの楽譜にしたためたのでした。
劣勢の日本軍。緊迫の度合いを増す沖縄南東海域。
日米両海軍の2隻の戦いが、静かに幕を開けたのです…。

監督はボクも出ている「月とキャベツ」や、「山桜」でおなじみの篠原哲雄。
監修は「亡国のイージス」、「ローレライ」で知られる福井晴敏。
福井氏は言います。4年前の「ローレライ」は、未来に希望を託し、
自ら進んで捨て石になっていった人たちの姿を描くことで、
バブル崩壊後の日本人に生きる意義を見出してもらいたかったと。
そして今回は、国どころか世界中が、また人類全体が危機に瀕していると。
そんな時代に困難を生き抜く勇気や心の在り方を考えてもらいたいと。
潜水艦の戦いは静かです。音も無く忍び寄ってくる様は、まるでウイルスや景気悪化の波のよう。
09年を生きるボクらにとって、果たして何が“真夏のオリオン”なのか。
この映画を見て考えてみて下さい。☆3つ。
「真夏のオリオン」公式サイト


「マン・オン・ワイヤー」は、綱渡りに人生を懸けた大道芸人の物語。
1974年8月7日、早朝。
NYのワールド・トレーディング・センターのツインタワーを綱渡りで渡ろうとする男がいました。
彼の名はフィリップ・プティ。フランス人の大道芸人です。
地上110階の建物の屋上から屋上へ綱渡り。それも命綱なしですから尋常ではありません。
この映画は、そんな彼の人生を追ったドキュメンタリーなんです。
今年のアカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞。よく当時の映像を撮ってましたねぇ。
「チャレンジ精神を忘れない」、「夢を持つのは大切なこと」。
そりゃわかるけど、なぜ綱渡りなの?それもそんなに高いところで。
凡人のボクにはあまりよくわからなかったけど(笑)、でも正直興味ありません?
見てみて下さい。☆3つ。
「マン・オン・ワイヤー」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.6.5

「アルマズ・プロジェクト」☆☆☆
「ザ・スピリット」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

試写会場の空調調整が難しい季節。
この前も開映時間になり、スタッフの説明があったあと、
部屋を出ようとしたスタッフにひとりの男性が「ちょっと暑いから冷房下げて」と。
暑がりのボクでさえそうは感じなかったくらいなのに。
案の定、しばらくしたら寒い、寒い。
ボクは耐えられるけど、女性にはかなりキツかったと思いますョ。
数人に聞いてみるとか、スタッフの機転はこんなところにも必要なんだなと思いました。
さ、今週は2本です!


「アルマズ・プロジェクト」は、ロシアの宇宙ステーション事故の物語。
ソビエト連邦時代に開発された軍事目的の宇宙ステーション“アルマズ”。
1998年11月、そのアルマズ号が突如レーダーから消え、
その4日後に地球の大気圏に突入して爆発しました。
ロシアは事故原因を含む、すべての噂を否定。残骸の回収に努めます。
しかし、懸命の捜索にも関わらず、ロシアはブラックボックスの回収に失敗。
それもそのはず。実はウクライナの過激派グループが
ロシア政府より先にこのブラックボックスを手に入れていたのです。
そして今、いよいよその映像が白日の元に晒されることになったのです…。

もらった資料だけを見てるとドキュメンタリーのような?
“ブラックボックスの映像を編集”とあるのですが、ホントかなぁ(笑)。
配給会社の担当氏に電話で聞いたところ、答えは…。ナイショです(笑)。☆3つ。
「アルマズ・プロジェクト」公式サイト


「ザ・スピリット」は、フランク・ミラー監督最新作。
黒いハットに、黒いアイ・マスク、赤いマフラーをなびかせて颯爽と街を行く男、スピリット。
彼の暮らすサン・シティで、何か事件が起これば必ずスピリットが駆け付けてくる。
スピリットは不死身の男。撃たれようが、刺されようが、
痛みは感じながらも、彼は絶対に死なないんですね。
スピリットの正体は殉職した刑事のデニー。でもなぜ蘇ったのかは彼自身にもわかりませんでした。
ある夜のこと、街のならず者のオクトパスが闇の取り引きを行なうと情報が入ります。
現場に駆け付けたスピリット。いつものように死闘を繰り広げるスピリットとオクトパス。
この日はオクトパスに軍配が上がり、スピリットが気を失っている間に、
近くではふたりの女性がふたつの箱を奪い合っていました。
結局奪った箱はひとつずつ。ひとつはオクトパスの部下のシルケンの元に。
もうひとつは有名な宝石泥棒のサンド・サレフの元に。
実はこのサンド・サレフ、スピリットの初恋の相手だったんですね。
「二度とこの街には戻らない」とサン・シティを出たサンドだったのに、
いったいなぜ舞い戻って来たのか?箱の中身は何なのか?
きな臭い匂いが、サン・シティを覆い始めていたのでした…。

フランク・ミラーといえば、「シン・シティ」や「300」で独自の世界観を見せた監督。
赤と黒の独特の色彩で、スクリーンを個性的に彩ります。
フランク・ミラーの作品は“グラフィック・ノベル”と呼ばれているんですが、
もうのっけから非日常というか、資格効果で映画の世界にアッと言う間に引き込まれてしまうんですね。
劇場の暗さとスクリーンのトーンがリンクします。
まるでサン・シティの住人になった気分でどっぷり浸かって見ると面白いと思いますョ。☆3つ。
「ザ・スピリット」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.5.29

「お買いもの中毒な私!」☆☆☆
「スター・トレック」☆☆☆
「ROOKIES-卒業-」☆☆☆
「路上のソリスト」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

あるドキュメンタリー映画のワンシーン。
講義をする先生が受講生たちに言います。
「何も質問せずに、今から私の言うものを書いて下さい。
四角の上にバランス良く、丸を3つ書いて下さい」。
そして「周りの人と見比べて下さい」と。
するとみんな違う絵を書くんですね。
四角の上辺に塔のように丸を3つ重ねて書く人。上辺に丸を横に並べて書く人。
四角の中に丸を3つ入れる人。いろんな人がいます。
「これがワンウェイ・コミュニケーションなんです」。
伝え手の思いがそのまま伝わるとは限らない。
しゃべり手のボクにとって、改めて思い知らされた大切なことでした。
映画ってこうして勉強もさせてくれるんですョ。
さ、今週は4本です!


「お買いもの中毒な私!」は、ディズニーのロマンチック・コメディー。
レベッカ・ブルームウッド、25歳。一流ファッション誌の記者を夢見るNY在住の女性。
ところが彼女が勤めるのは地味な園芸雑誌の編集部。
夢とはかけ離れた現実にストレスは溜まる一方。
そのストレス解消法がお買い物だったのです。
ストレス解消法とは言っても彼女の場合はちょっぴり度が過ぎていて、
何枚も作ったカードがすべて限度額オーバーに。
これじゃダメだと心機一転。ファッション誌の記者を目指して転職を計るのですが、
拾ってくれたのはまったく畑違いの経済誌。
ところが、「消費者の気持ちがよくわかってる」とコラムが大人気に。
果たしてレベッカは、人生を変えることができるのでしょうか…。

すごく極端なキャラ設定で、大事な約束もショッピングで飛ばしちゃう。
嘘までついて言い訳しているレベッカに、正直どうしても感情移入ができませんでした。
少し前からこういうのが多いですよね。許容範囲のレッドゾーンっていうのがあって、
それを超えちゃうとどうぞご勝手にってなっちゃうのはボクだけでしょうか?
たくさんのブランドが協力し、プロデューサーも「パイレーツ・オブ・カリビアン」の
ジェリー・ブラッカイマー。なんか惜しいです。☆3つ。
「お買いもの中毒な私!」公式サイト


「スター・トレック」は、SFサスペンス・アクション。
宇宙船USSケルヴィンが、突然現われた大型艦に襲われます。
キャプテンのジェームズ・T・カークはクルーたちを救うため、
宇宙船と共に宇宙に散っていったのです。
助かった人々の中にはカークの妻も、脱出の小型艇の中で生まれた息子もいました。
22年後、父の名を受け継ぎ、成長したカークは、自分の進むべき道に悩んでいました。
荒れた生活で人との衝突を繰り返す中、
父の最期を知っているという惑星連邦艦隊のパイクと出会います。
「父を超える男になってみろ」。
その言葉に、カークは将来を懸けてみようと決意したのです…。

時空を飛び交うSFものですが、そう難解でもなく楽しんで見ることができました。
これまでのシリーズとは一線を画した“新たな”作品とのこと。
前シリーズの登場人物たちが、かなり個性的でキャラ立ちしてましたからね。
“トレッキー”と呼ばれる「スター・トレック」ファンがどう評価するかがカギでしょう。
こちらのカークの最初のイメージは、悪ぶってても意外と優等生?
SFというより宇宙が舞台の熱血青春モノっぽくもありました(笑)。
気になるという人は是非見比べてみて下さいねっ。☆3つ。
「スター・トレック」公式サイト


「ROOKIES-卒業-」は、TBSの人気TVドラマの映画化。
二子玉川学園高校、通称“ニコガク”の野球部は、夏の甲子園予選の最中に不祥事を起こし活動停止中。
部員の生活も荒れまくり、野球への情熱も冷めかけていた時、熱血教師の川藤がやってきます。
次第に心動かされ始める部員たち。しかし、川藤が過去に起こした暴力事件が新聞に取り沙汰され、
川藤は学校を去ることになってしまったのです。
と、ここまでがTVでのお話。映画は野球部の面々が3年生になったところから始ります。
川藤もニコガクに復職し、新入部員も2名入部。
そこまでは良かったのですが、この新入部員が一筋縄ではいかない。
ひとりは中学野球界期待の赤星。
もうひとりは勘違いから唯一の補欠である平塚をヒーローとあがめる濱中。
メジャーを目指すという赤星は試合には出るけど練習はしないと言い、濱中は平塚の真の姿に怒り心頭。
新生ニコガク野球部は苦難の船出となりました。
そんなある日のこと、赤星が不良に絡まれているところにキャプテンの御子柴が通り掛かるんですね。
赤星を助けた御子柴でしたが、足を骨折。その代償は大きなものとなってしまいます。
予選に間に合わない。
みんなの前じゃ気丈に振る舞いながらも、
ひとりの病室では涙をこらえ切れないキャプテンの姿に赤星の心も変わっていきました。
「御子柴を絶対甲子園に連れていこう!」。
こうしてチーム一丸となったニコガク野球部はいよいよ夏の予選大会を迎えたのでした…。

ボクはTVシリーズを見ていないのですが、それでも十分に楽しめました。
ただ、キャラクターひとりひとりにファンがいるだろうから、
そのバランスを考えてか感動のシーンのオンパレード。ちょっとお腹いっぱいになっちゃったかな。
それでもサブタイトルが“卒業”ですから、最後は感涙のシーンが待ってます。
あそこは台本に台詞が無く、全員アドリブだったそう。
TVでファンになった人は号泣必至。ハンカチを忘れずに!☆3つ。
「ROOKIES-卒業-」公式サイト


「路上のソリスト」は、LAタイムズのスティーヴ・ロペスが書いた人気コラムの映画化。
実話に基づくストーリーです。
LAタイムズ記者のロペスは、公園でとてつもなく美しいヴァイオリンの音色を耳にします。
その音を頼りに近付いていくと、
みすぼらしい身なりの黒人男性が2弦しかないヴァイオリンを弾いていたのです。
名前を尋ねると、ナサニエル・エアーズと名乗ります。
ベートーベンを愛し、ジュリアード音楽院にいたというのです。
名門音楽大学の卒業生が、どうして路上生活者になったのか?
記者としての好奇心をくすぐられたロペスがいろいろと質問をするのですが、なかなか的を射ません。
独自に調べたところ、確かにジュリアード音楽院に在籍していたのですが、
卒業ではなく退学していたんですね。
その理由は統合失調症。
「弦2本で世界を奏でるヴァイオリン弾き。あと2本弦が欲しいと彼は答えた」。
ロペスのコラムに読者のひとりからチェロが届きます。それをナサニエルに届けるロペス。
「高価なものだから、支援センターで寝泊まりしたらいい」。
路上生活からの脱却を勧めるロペスでしたが、ナサニエルは頑として首を縦には振らなかったのです…。

幸せの定義について考えさせられる1本。
幸せって不幸と同じで、他人と比べるものじゃないんですよね。
自分がどう感じるか。そこなんですよね。
だからと言って、自分勝手に振る舞っていいっていうことじゃないんですよ。
動物と違って、人間には理性というものがある。
規制があるから自由があり、自由があるから幸せがある。
何より打ち込むものを持っているってすごくいいなと感じました。
仕事一本で頑張って来たお父さんが、
定年後に趣味もなく、人生に行き詰まることもしばしばだと聞きます。
ナサニエルには音楽がある。ある意味、幸せだと思いましたが、あなたはどう感じるでしょう?
不幸だなぁと溜め息を付く毎日だとしたら、
ナサニエルの生き方が、何かヒントをくれるかもしれません。☆3つ。
「路上のソリスト」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.5.20

「重力ピエロ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

息を切らして試写の会場に。
「えっ、違う?あっ、本当だ…」。
違う作品で、見たい試写は別の会場でした。はぁ…。
以前もありましたが、本当にガッカリ。
それでもこの日はくじけずに、正規の会場に急いだのでした。
「間に合ったぁ〜」。
諦めないって大切ですね(笑)。
さ、今週は1本です!

「重力ピエロ」は、伊坂幸太郎の同名小説の映画化。
泉水と春は2つ違いの兄弟。泉水は大学院で遺伝子の研究を、
春は街の落書きを消すアルバイトをしていました。
学者肌で物静かな泉水と、高校時代からクールな正義感を持つ春。
性格こそ違えど、ふたりは仲の良い兄弟でした。
彼らの住む仙台では連続放火事件が起こっており、自分が消した落書きの近くで事件は起こる。
春は泉水に現場の落書きの写真を見せ、そこに写っている文字が放火犯からのメッセージだと、
その謎を解き明かそうとするんですね。
そしてわかったのはグラフィティアートが遺伝子配列になっているということ。
放火と遺伝子に一体何の関係が?
ふたりは手分けして張り込みを始めます。
実は泉水と春の家族には忌わしい過去がありました。
24年前に起きた連続暴行事件。その被害にあったのが母・梨江子だったのです。
その結果、望まない妊娠をしてしまった母に、父・正志は言います。
「お腹の子は俺の子だ。俺の次男で、泉水の弟。俺たちは最強の家族だ」。
そんな母もこの世を去りました。そしてその犯人が刑期を終え、この街に戻って来ていたのです。
さらに父は病院でガンが判明。
泉水と春の静かだった生活は一変の様相を見せ始めたのでした…。

原作者の伊坂さんの、「あらすじだけ抜き出せば、とてもシンプルで何てことのない話」
という言葉にあるように、ストーリーだけ聞けば確かにそうかもしれません。
ところが不思議なトーンというか、独特の空気感が映画全体を覆っているんですね。
「描きたかったのは低温のロックンロール」と伊坂さんが語るように、
映画化は難しいだろうと言われたこの小説の温度までをも見事にスクリーンに描き出しているのです。
テーマは“家族”。
家族ってなんだろう?絆ってどういうこと?見終わって感じることはたくさんあると思います。
「それでもボクらは家族なんだ」。
登場人物の心の奥の奥を想像しながら見ると楽しめる作品だと思います。☆3つ。
「重力ピエロ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.5.14

「17アゲイン」☆☆☆☆
「天使と悪魔」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

ある試写会で。
先輩がダメな後輩に説教をするシーンで、後ろのおじさんが「そうだっ」と声を出すんです。
別の場面でも声が何度も聞こえてくる(笑)。
笑い声と同じと考えれば「静かにして下さい」とは言えないですからねぇ。
ハズレの席に座っちゃったなと諦めるしかありません。
ま、ボクも腹の中では「そうだ、そうだ」と思ってたんですけどね(笑)。
さ、今週は2本です!

「17アゲイン」は、青春コメディー。
今から20年前の1989年。マイク・オドネルは17歳。
高校のバスケ部のスター選手として学校中の人気を集めていました。
その日は大学のスカウトがやってくる日。
コートに立った自信満々のマイクを、涙目で見つめる女の子がひとり。恋人のスカーレットです。
「どうしたの?」と聞いても、
「大事な試合の前だから」と答えません。問いただすと、なんと妊娠したと言うではありませんか。
動揺を隠せないマイク。試合開始を告げるホイッスルが鳴りますが、
マイクはボールを投げ捨てスカーレットの元へ。
「結婚しよう!」。
ふたりはこうして結ばれたのでした。
あれから20年。37歳のマイクは中年太りのただのオジサンになっていました。
それどころか、あの日、スポーツエリートへの道を捨てたことを後悔してばかり。
そんなネガティブなヤツに神様が微笑むはずもなく。
スカーレットとは離婚調停中。会社でも後輩に抜かれる万年ヒラ社員。
昔の栄光を思い出そうと立ち寄った母校で、マイクは不思議な老人と出会います。
「あの頃に戻りたいかね?」。
「そりゃこんな人生やり直せるならやり直したいさ」と答えると、あら不思議。
マイクの体は17歳のマイクに戻っていたのでした…。

17歳に戻ったのは体だけ。頭は37歳のオジサンゆえ、
高校に編入するのですが、説教臭い時代遅れの変な存在になる。
ところがその正義感が妙に新鮮に映って、徐々にマイクは人気者になって行くんですね。
実はマイクの娘マギーや、息子のアレックスもその高校に通っていて、マイクはアレックスと仲良くなり、
アレックスの家、つまりは昔の自分の家に頻繁に遊びに行くようになります。
妻のデートを止められないもどかしさや、改めて感じる子供たちへの愛情。
2度目の17歳を生きていると、またあの時と同じような選択を迫られるのです。
果たしてマイクの取る行動は?というお話。
最初は愚痴だらけであまりにダメ男ぶりに、ほっときゃいいじゃんって思ってたのが、
物語が進むに連れ、なんか応援しちゃうんですよねぇ。
夫の昔に瓜二つだから、スカーレットもビックリ。でも「息子の友達」と自分に言い聞かせるスカーレット。
でもそこは壊れ掛けてはいてもやっぱり夫婦。気付くのですよ。
その気付くきっかけにちょっと感動!
これまでに二人が築いて来た、二人にしかわからない歴史って言うのかな。
大切なのはそこでしょと信じていながら結婚生活が壊れたボクにとっては、ツボ過ぎるくらいツボ(笑)。
思わず満点を付けそうになりました。
17歳のマイクには「ハイスクール・ミュージカル」のザック・エフロン。
なるほどのイケメンです。☆4つ。
「17アゲイン」公式サイト


「天使と悪魔」は、トム・ハンクス主演の話題作。
ローマ教皇が亡くなり、ヴァチカンでは新しい教皇選びの選挙
“コンクラーベ”が行われることになりました。
新教皇の有力候補は4名。
彼らはプレフェリーティと呼ばれるのですが、その4名が次々誘拐され、脅迫状が届きます。
1時間毎にプレフェリーティを殺し、最後はヴァチカンに仕掛けた爆弾を爆発させるというのです。
犯人は18世紀には解散したとされる思想家集団イルミナティ。
世界をコントロールできるほどの実力者たちが集まっていると
密かに噂されているイルミナティには、その昔、あのガリレオも名を連ねていたとか。
つまり、神を否定する存在が“科学”であり、
それを研究する科学者たちは神を冒涜する不届き者として弾圧を受けていたのです。
数百年の時を経て、今イルミナティがヴァチカンに復讐に出たのです。
この危機に助けを求められたのが宗教学の権威であるラングドン教授。
果たして教授はプレフェリーティたちを、そしてヴァチカン市民を救うことができるのでしょうか…。

大ヒット作「ダ・ヴィンチ・コード」の続編。
前回はダ・ヴィンチの謎を解き明かし、
キリストの秘密を暴いてヴァチカンを敵に回したラングドン教授が、
今度はガリレオの謎を解いてヴァチカンを救うという図式です。
前作を見てなくても十分楽しめますが、
ある程度のヴァチカンの知識みたいなものを頭に入れていった方がいいと思います。
コンクラーベの間はカメルレンゴと呼ばれる侍従がヴァチカン市国の長になること。
イルミナティは神の代わりに土、空気、火、水の自然界の4大元素を崇拝してること。
仕掛けられた爆弾が、世界最大の科学研究所“セルン”で、
宇宙誕生のきっかけとなるビッグバンを再現しようとしてできた
“反物質”から作られた爆弾であること、などなど。
原作を読む、またはパンフレットを買うことをお勧めします。
神と人間、宗教と科学。その互いのギリギリの領域でのせめぎ合いが、このシリーズの魅力。
つまり、タブーの一歩手前、もしくはちょっと入っちゃった感みたいなのが面白い。
何度も見ないとわからないほど難解な仕掛けじゃないのもうまいなぁと思います。
そこを食い足りないとする向きもあるのかもしれないけど。
もちろん何度も見るとより細密で深遠な魅力に触れられるんでしょうね。
よくできてました。☆4つ。
「天使と悪魔」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.5.8

「バンコック・デンジャラス」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

話題の映画「天使と悪魔」の試写に行ってきました。
盗撮を防ぐため、受付で携帯電話を預けさせられたのですが、
今はそこまでしなくちゃならないくらいにルール違反が横行してるということ。
試写状がそういう輩の元に届くこと自体が不思議でならないのですが。ホントに困ったものです。
さぁ今週は1本です!

「バンコック・デンジャラス」は、ニコラス・ケイジ主演作。
ジョーは100%の成功率を誇る暗殺者。世界中を飛び回ってきたジョーでしたが、
これが最後の仕事と心に決め、4件の暗殺をこなすためにバンコックを訪れていました。
手始めにジョーがするのは、地元の使い走りを見つけること。
金で動き、仕事が終わればなんの感情もなく証拠と共に消せる人間をチョイス。
この街でもスリを生業とするチンピラのコンを誘います。
淡々と一人、また一人と消して行くジョー。
しかし不覚にも怪我をしてしまい、
駆け込んだ薬局で働く口の不自由な女性に恋心を抱いてしまうんですね。
デキの悪いコンにも何故か初めて弟子のような思いを持ってしまうジョー。
そう、何かが変わり始めていたのです。
そして最後の暗殺。ところがこれがポリシーに反する政治的暗殺でした。
でもこの引き金を引けばすべての呪縛から解放される。
そんなわずかな迷いがジョーの精密な仕事を狂わせたのでした…。

監督は香港のオキサイドとダニーのパン兄弟。99年の「レイン」の監督です。
今作は10年経ってのセルフリメイク。
いろいろと設定は変わっていますが、一貫しているのは“無口な暗殺者”。
全米初登場No1に輝いたそうですが、見る前に、
ニコラス・ケイジの演技や表情が完全に想像できちゃうのがどうでしょう。
独特の暗さは、暗殺者という裏社会に生きる男を描くトーンとして必然なんだろうけど、
救いの無さに気持ちが重くなってしまいました。
この原稿を書いている今日が“雨”だからかも(笑)。
あえて辛口の評価で☆2つ。
「バンコック・デンジャラス」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.4.30

「ビバリーヒルズ・チワワ」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

GWですね。劇場に映画を観に行く人もきっと多いはず。
何を観ようか迷ってるというあなた、
このコラムを少しさかのぼって、参考になさってはいかがですか?
単館ものなどにもいい作品はありますョ。
さ、今週は1本です!

「ビバリーヒルズ・チワワ」はディズニー映画。
ビバリーヒルズの大豪邸に住む、チワワのクロエ。飼い主は大手化粧品会社の女社長ヴィヴ。
ヴィヴにとってクロエは娘のような存在。
ヴァレンチノ風のドレスを着せ、首にはハリーウインストンのダイヤの首輪、
香水はシャネルの5番、移動はヴィトンのバッグの中。
そう、クロエは超セレブ犬だったのです。
ある日のこと、ヴィヴが突然の出張でしばらく家を空けることになりました。
クロエの世話を頼まれたのはヴィヴの姪のレイチェル。
ところがクロエには不安がいっぱい!
なぜならレイチェルはすごくルーズなセレブギャルだったから。
案の定、レイチェルはヴィヴに内緒で友達とメキシコへ。
もちろんクロエも連れてはいったのですが、クロエの世話などそっちのけ。
怒ったクロエはホテルを飛び出して行ったのです。
しかしそこは見知らぬ町。世間知らずのクロエには危険がいっぱい。
やはりと言うか、「こりゃ見っけもんだ」と、 クロエは犬窃盗団にさらわれてしまったのでした…。

そこからクロエには恐怖の体験が待っていて、闘犬のリングに入れられたり、
なんとか窃盗団から逃れてもベンチの下で野宿をしなくてはならなかったり、
あまりの空腹に落ちているものを口にしようとしたり。
でも周りの犬たちが優しく手を差し延べてくれるのです。
同様に窃盗団に監禁されていたシェパードのデルガド、ヴィヴ家の庭師の愛犬パピ、
チワワの聖地アステカで出会った“チワワ連合”のリーダーのモンテなど、
今までセレブ犬以外は鼻にも掛けなかったクロエの考え方が変わります。
ダイヤの首輪をしてたから悪党たちの目に止まり、
それを騙し取られてしまえば肩書きのない、無力な小さな犬。
これって人間も同様ですよね。裸の自分でいったい何ができるのか。
今の時代だからこそ考えさせられるかもしれません。
実は眠っていたチワワの底力に気付かされるクロエ。と同時に仲間のありがたさを知り、
今まで蔑んで見ていた野良犬たちのたくましさに尊敬の念を抱くようになる。
世間知らずのセレブ犬がひとつ成長した瞬間です。
可愛いだけじゃなく、しっかり見るといろんなことが見えてくる1本。
実際の犬の演技とCGの見事な融合。ディズニーの技術も堪能してみて下さい。☆3つ。
「ビバリーヒルズ・チワワ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.4.24

「グラン・トリノ」☆☆☆☆
「バーン・アフター・リーディング」☆☆☆
「キッチン〜3人のレシピ〜」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

本当は先週取り上げなくてはならなかった「キッチン〜3人のレシピ〜」を今週紹介します。
4月18日公開作品です。失礼しました。
なお、「バーン・アフター・リーディング」は24日金曜日公開です。
という訳で、今週は変則3本です!

「グラン・トリノ」は、クリント・イーストウッド監督主演作。
ベトナム戦争出征経験のある偏屈な老人ウォルト。
あまりの頑固さに息子夫婦や孫たちからはそっぽを向かれ、妻に先立たれた今、
楽しみはといえば、年老いた愛犬をそばにビールを飲むこと。
そしてもうひとつ、自身の勲章とも言える愛車のヴィンテージカー、
グラン・トリノを眺めることぐらいでした。
逆に腹立たしいことはたくさんあって、中でもウォルトの偏見でもある
大嫌いなアジア系移民の一家が隣りに住んでいるのが嫌で嫌で仕方ない。
その隣家の息子タオが、ギャングのいとこにそそのかされて、
ウォルトのグラン・トリノを盗みに入るのですが、ウォルトに見つかってしまいます。
タオやギャングたちに銃口を向けるウォルト。
「覚えとけっ」。
捨てゼリフとタオを残してギャングたちは立ち去ります。
お詫びの印にと、タオはウォルトの家の手伝いをすることになるんですね。
初めは迷惑だったウォルトですが、姉のスーの存在も手伝って、次第に隣家と心を通わしていきます。
タオには父親がなく、一方ウォルトの息子たちは近寄ろうともしない。
ウォルトの中に、タオを一人前の男にしなくてはという父親のような責任感が芽生えてきたのです。
しかし時を同じくして、あのギャングたちが復讐のタイミングを伺っていたのでした…。

これ言ってしまうと“死に様”の映画。
同時にアメリカの抱える数々の病巣、例えば移民の問題、
モラルの欠如、バイオレンスや銃禍などがあぶり出されています。
後日ギャングたちがマシンガンを持ってタオの家を襲撃。
姉のスーも暴行を加えられ、心身共に傷付けられてしまいます。
ウォルトは思います。「アイツらが存在する限り、タオやスーは安心できないんだ」と。
そして命を賭して大切な仲間を守ろうとするんですね。
ボクなんかは今の世の中がホントにおかしくて、
ウォルトの偏屈な正義感の方が正しいって思っちゃうけど。
最初は「なんだこの爺さん」と思うかもしれませんが、実に茶目っ気たっぷりで、
まっすぐなキャラクターのウォルトにきっと惹かれていくはず。
それが証拠にラストはあちこちからすすり泣く声が聞こえてきましたから。
今の日本もかなり近い状況かもしれませんよ。☆4つ。
「グラン・トリノ」公式サイト


「バーン・アフター・リーディング」は、コーエン兄弟監督のコメディー映画。
ワシントンDCにあるスポーツジム。
エリートばかりが集まるこのジムのロッカーに1枚のCD―ROMが落ちていました。
PCで中身を調べると国家機密のよう。
“筋肉バカ”のチャドは大金がゆすれると大騒ぎ。
全身整形を夢見ていた同僚のリンダはその提案に即乗っかります。
実はそのディスクはアルコール依存でCIAをクビになったオズボーンの暴露ネタ。
と言っても内容はまったく大したことなく。
そうとは知らないチャドとリンダはロシア大使館にまでディスクを持ち込むんですね。
そんなおバカな行動がとんでもない悲劇を引き起こそうとはまだ知るよしも無かったのです…。

さらにそこにいろんな人間関係が絡んでくる。
オズボーンの妻は、オズボーンの知り合いであるハリーという連邦保安官と不倫。
ハリーはリンダと出会い系サイトで知り合い、肉体関係に。
もうみんな欲望のままにハチャメチャなんです。
この映画、キャストが豪華で、チャドにブラッド・ピッド、オズボーンにジョン・マルコビッチ、
ハリーにジョージ・クルーニーなどなど。
ひとつ明かすと、ブラピの扱いってこれでいいの?ファンは怒らない?
っていうぐらいのチャドの結末が待ってます。
面白いと思うかどうかは見る人によって分かれるはず。それがコーエン兄弟の作品です。
ハマるかどうか、あなたも試しに見てみてはいかがです?☆3つ。
「バーン・アフター・リーディング」公式サイト


「キッチン〜3人のレシピ〜」は韓国映画。
モレとサンインは結婚1年目の若い夫婦。
孤独だったモレとは兄妹のように、小さい時からずっとそばにいてくれたサンイン。
彼と結婚するのはモレにとってごくごく自然なことと信じていました。ドゥレと出会うまでは。
時間外の美術館に入ってしまったモレ。係員に見つかりそうになり物陰に隠れるのですが、
その時同じように飛び込んで来たのがドゥレでした。
言葉では説明できないような感覚に襲われたモレは、その場でドゥレと関係を持ってしまうのです。
純粋過ぎるモレはそのことをサンインに話してしまいます。
彼女の性格をよく知るサンインは腹を立てながらも、「もうそのことは忘れろ」と、
聞かなかったことにしようと努めるんですね。
ところが新しく食の事業を始めようとしていたサンインの相棒が、なんとドゥレだったのです。
こうして危うい三人の共同生活が始まったのです…。

三角関係の始まり、始まり〜(笑)。
衝動とはいえ浮気をしたモレ、妻の浮気を怒ることのできないサンイン、
知人の奥さんを誘惑しようとするドゥレ。
どいつもこいつもって感じです。まったく(苦笑)。
なんて書くとダメなんでしょうねぇ。
きっと女性はモレに自己投影をし、
恋愛物語のど真ん中でイケメンふたりの間で揺れるのが気持ちいいはず。
プリプリ怒ってたら、「まあまあ、映画ですから」となだめられてしまいました(笑)。
オシャレに描かれてます。でもボクはダメ。☆2つ。
なおこの映画は4月18日に既に公開となっています。
「キッチン〜3人のレシピ〜」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.4.22

「アンティーク〜西洋骨董洋菓子店〜」☆☆☆
「おっぱいバレー」☆☆
「スラムドッグ・ミリオネア」☆☆☆☆☆
「ミルク」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

試写状も最近は複製防止加工が施されていたりするんですね。
金券ショップで売られたりしてるからその防御策なのでしょう。
ルールを守らない一部の人間がすごく社会を嫌なものにしちゃってるよなと、
こういうところからも感じたりします。
そんな人間が感動作を見たらどう感じるんだろう?涙を流すのでしょうか?
その涙に良心は何も感じないのでしょうか?何だかすごく不思議…。
さぁ気を取り直して、今週は4本です!

「アンティーク〜西洋骨董洋菓子店〜」は韓国映画。
一流企業に勤めていたジニョクが突然退社を決意。洋菓子店を開くと家族に宣言します。
「甘いものが大嫌いなはずなのになぜ?」と不思議がる家族に彼はこう答えます。
「女性客がたくさん来そうだから」。
古い骨董品屋を改装して始めた“アンティーク”。スタッフはジニョクを含め4人。
パリの一流洋菓子店を渡り歩き、腕は抜群のソヌ。
元ボクサーで天才と言われながらも網膜剥離でボクシングを断念、
次に好きなスイーツの道にとやってきたギボム。
そしてジニョクの家で働いていた家政婦の息子スヨン。
個性的な男性ばかりでアンティークはスタートします。
ソヌの作るケーキはホントに美味しくて、評判が評判を呼んで店は大繁盛!
そんな時、静かな住宅街であるこの街で、子供ばかりを狙った連続誘拐事件が起こるんですね。
過去の忌まわしい記憶が甦るジニョク。
実は10歳の時、彼は2ケ月に渡って誘拐、監禁されていた過去があるのです。
そのことを今でも夢に見ては苦しんでいたのでした。
今回ジニョクが突然、洋菓子店を始めると言い出したのには、
その悲しく消し去りたい過去が大きく関わっていたのです…。

実はこの映画の原作は、日本の漫画家よしながふみの『西洋骨董洋菓子店』。
日本でもドラマ化され、アニメにもなった作品が海を渡り、お隣韓国で映画化されました。
色鮮やかなスイーツが次々現れ、そこにイケメンスタッフたちと来れば、
女性のハートはわしづかみ!なんですが、裏に潜む“陰”の部分がある。
そのコントラストが見事でした。
アンティークで働く面々も実に個性的。
もうひとりの主役と言ってもいいパティシエのソヌは実は同性愛者。
昔高校生の時にジニョクに告白してケチョンケチョンに罵られた悲しい過去の持ち主。
スウィートでミステリアス。原作を知らない人でも楽しめる1本です。☆3つ。
「アンティーク〜西洋骨董洋菓子店〜」公式サイト


「おっぱいバレー」は、綾瀬はるか主演の青春コメディー。
時は1979年、北九州のある中学校に新任の女性教師がやってきます。彼女の名は寺嶋美香子。
クラブの顧問をやってみないかと言われ、任されたのが男子バレーボール部。
ところがそのバレー部とは名ばかりで、部員はバレーなどまったくやらず、エッチな妄想ばかり。
周りから“馬鹿部”と呼ばる問題の部だったのです。
教育の理想に燃える美香子は彼らに言います。
「ヤル気は無いの?頑張りなさい。もし試合に勝ったら何でも言うことを聞いてあげるから」。
それを聞いた生徒たちは目を輝かせながらこう言ったのです。
「じゃあボクたちが試合に勝ったら、先生のおっぱいを見せて下さい!」…。

綾瀬はるかのおっぱいがチラッとでも見えるのかなぁと、
眠い目を充血させながら試写に行ったのにっ(笑)。
バカバカしい約束なんだから反故にすればいいと思うけど、
彼女には前任の学校でのトラウマがあったんですね。
軽い気持ちで生徒と交わした約束を守れず、裏切り者のレッテルを貼られた過去が。
実話に基づくストーリーとはいえ、ちょっとリアリティに欠けてたかも。
それを補うサービスカットが無かったのも不満。おっぱいの恨みは怖いのだ(笑)。
ってオマエが“馬鹿部”だって言われそう(笑)。
ボクには79年のヒット曲満載だったのが救いでした。☆2つ。
「おっぱいバレー」公式サイト


「スラムドッグ・ミリオネア」は、アカデミー賞最多8部門を獲得した話題の映画。
インドで人気のクイズ番組“クイズ・ミリオネア”。
そこに驚くべきチャレンジャーが現れました。スラム出身の18歳、ジャマール・マリク。
学校に行ったこともない彼が難問を次々とクリア。
あと1問で2000万ルピー(日本円で約4000万円)という
とてつもない大金を手にしようというところまで来ていたのです。
ここで1日目の収録が終了。
どんな博識のインテリ層がチャレンジしてもここまで来られなかったのに、
スラム出身のジャマールが次々正解を出すのはおかしいと、司会のクマールがこっそり警察に通報。
スタジオを出た途端、ジャマールは警察に連行されてしまいます。
執拗な責めにも「答えを知っていただけだ」と答えるジャマール。
するとそれまでに出された1問1問について、
その答えを知ることになる彼のこれまでの過酷な人生を語り始めるのでした…。

ボク、実は日本のクイズ・ミリオネアに3回出てるんですよね。
大橋巨泉さんのテレフォン、萩原流行さんと宮川俊二さんのスタジオ応援。
あれ、絶対にズルができないようになってるんですョ。
ジャマールは生きることに必死でした。目の前で母親を殺され、兄のサリームと
やはり孤児になった見ず知らずの女の子ラティカと手を取り合って懸命に生き抜いて来た18年間。
悪い大人と出会って兄はお金に貪欲になり、このクイズ・ミリオネアに出たのも、
離れ離れになったラティカに自分の姿を見てもらうためだと話します。
その過酷な人生のひとつひとつに、クイズのヒントがあっただけなんだと。
最初は敵意をムキ出しにしていた警部も徐々に考えが変わり、ジャマールをスタジオへと送り出します。
果たして最後の問題をジャマールは答えることができるのでしょうか?というお話。
インドの病巣みたいなものが知れて、面白かったです。ものすごくよくできてました。
アカデミー賞の最優秀作品賞を含む最多8部門を授賞というのも納得です。
人生は大なり小なりドラマなんだなぁとしみじみ。
辛い環境でも、めげずに折れずに頑張っていれば、
いつか幸せの神様は微笑んでくれると思える1本でもあります。☆5つ。
「スラムドッグ・ミリオネア」公式サイト


「ミルク」は、同性愛を公言した実在の代議士、ハーヴィー・ミルクの生涯を描いた映画。
1972年のアメリカ、NY。
金融業界で働いていたハーヴィー・ミルクは若い恋人と出会ったのをきっかけに、
“自由の地”サンフランシスコに移り住みます。
始めは職にも就かずブラブラしていたミルクでしたが、このままではいけないと小さなカメラ店を開店。
するとそこがゲイ仲間のコミュニティーセンター的な役割を果たすようになります。
“自由の地”でも保守的な住民からの差別はひどく、このままでは自分たちはもちろん、
様々な弱者が虐げられる社会になってしまうと、ミルクは公職への道を目指し始めるんですね。
1度ならず、2度3度と落選を続けるミルク。
それが原因となり、恋人とも離別。それでもミルクの意志が曲がることは無かったのです。
4度目の挑戦で見事に当選。同性愛者であることを公言した初めての公職となりました。
その後も弱者の代表として闘うミルクだったのですが、ある日、彼を悲劇が襲うのです…。

こちらもアカデミー賞を2部門受賞。主演のショーン・ペンは最優秀主演男優賞に輝きました。
もちろんアメリカ人にとっては実在のヒーローのひとりなのでしょうが、
そのあたりが正直ボクにはあまり響きませんでした。
国の違いかな。文化の違いというのもあるかと思いますが。
少し人と違った部分を持つ個性的な役を演じさせるとショーン・ペンは上手いですよね。☆3つ。
「ミルク」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.4.9

「雪の下の炎」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

先日都内の単館系の映画館に行ってきました。
いつもは社内試写ばかりだから、映画館で映画を見るのは久し振り。
すると試写会と同じように係の人が来て、作品の簡単な前振りをしてくれるのにビックリ。
なかなかいいサービスですよね。
今日紹介するのも単館もの。かなり社会派の作品です。
それでは早速いきましょう。今週は1本です!

雪の下の炎」は、チベットの僧侶、パルデン・ギャツォの自由への闘いを描いたドキュメンタリー。
チベット西部の小さな村に生まれたパルデン・ギャツォ。
時代はまだ平和で、人々が皆幸せに暮らしていた時。
幼い頃、彼は僧侶になるために僧院に入ります。
ところが1950年、中国がチベットに侵攻してきます。
名目は“チベット解放”。しかし、その実体は単なる“侵略”だったと言います。
当然の如く反対闘争が始まるのですが、平和的抗議活動だったにも関わらずパルデンは逮捕され、
それから刑務所で23年、他の施設で10年。
なんと28歳から61歳までを獄中で過ごすことになります。
それも安息の日々であろうはずもなく、過酷な労働と拷問の毎日。
命を落として行く仲間を見て、「非業の死を遂げた仲間のために、死ぬまで闘う」と誓うのでした。
この映画では、そんなパルデン・ギャツォのこれまでと、
トリノ、北京のオリンピックの際にどのような思いで、どんな活動をしてきたかを描いています。
ハンガーストライキを行なうパルデン。その時、同志が賛同してハンストに参加をする。
その同志が、「なんか胸焼けがするんですよね」と言うとパルデンが、
「オマエなんか食べたな?」と冗談を言ってニヤリ。
そんな普通の表情を見ること自体、心がギュッと締め付けられるようで。
でも信仰があるから頑張れたと言います。また「人々の破滅を願うことは己の破滅を招く」とも。
静かに、しかし力強く闘うパルデン・ギャツォの姿に心打たれずにはいられません。☆3つ。
「雪の下の炎」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.4.2

「エンプレス」☆☆
「ストレンジャーズ」☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

4月になりました。新しい年度を迎えて、新しい環境で、
きっと新たな感性のアンテナが伸び始めていると思います。
たくさん映画を見て、そのアンテナを刺激して欲しいですねっ。
さ、今週は2本です!

「エンプレス」は、中国の歴史時代劇。

時は戦国時代。長い間敵対関係にあった燕と趙。
その燕の国王が討たれ、後任の選択で家臣が揺れます。
結局、王位は娘の飛児が継ぎ、後見人として人望もある雪虎が将軍に任命されるのですが、
王の座を狙っていた野心家の胡覇には面白くありません。
刺客を放ち、飛児の暗殺を企てます。
毒矢の刺さった飛児を、今は隠遁生活を送る段蘭泉という男が救うんですね。
互いに互いの素性を知らないふたり。いつしか共に魅かれ合っていくのですが…。

硬派な戦国武将ものが多い中、女性の存在こそあれ、
これもそんな作品かなと思って見てたんですが、さにあらず。
恋愛における比重がかなり重いんです。
それはそれでいいんですが、「王たる者が、国の存亡の危機をほったらかして
山奥で好きだの嫌いだのってやってる場合かいっ」って突っ込んじゃいました(笑)。
BGMも恋愛シーンになるとそれっぽくなるから、緊迫感から一転、ガクッとなっちゃうんですよね(笑)。
正直どっちつかずのイメージになっちゃったかな。☆2つ。
「エンプレス」公式サイト


「ストレンジャーズ」は、リブ・タイラー主演のホラーサスペンス。

知人のウェディングパーティに出席していたクリスティンは、
男友達のジェームズに外へ出ようと誘われます。
実はジェームズ、今日クリスティンにプロポーズをしようと
郊外の別荘に薔薇を敷きつめ、シャンパンを準備。
もちろん指輪も用意していたのです。
そして思い切ってプロポーズ。しかし彼女の答えは“NO”でした。
頭を抱えるジェームズ。涙にくれるクリスティン。
その時でした。激しくドアを叩く音が響いたのです。深夜4時。こんな時間に一体誰?
ドアを開けると髪の長い女性が立っていました。
「タマラはいませんか?」…。

05年にアメリカで起こった未だ未解決の猟奇殺人事件を元に描いた映画だそう。
ストーリーは推して知るべし。いい意味でも裏切りません。
深夜のTVでやってそうな、いわゆる“B級(お金の掛かっていない)ホラー”。
好きな人にはたまらないはず。
ボクはその意外性の無さがちょっぴり残念だったかな。☆2つ。
「ストレンジャーズ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.3.26

「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」は、ハートフルコメディー。
ジョンとジェニーは結婚したての新婚夫婦。共にジャーナリストとして活躍しており、
子供は欲しいと願ってはいたものの、仕事が忙しいこともあって、
実際に親になる心構えはできていませんでした。
ジョンの職場の先輩が、ジョンにこうアドバイスします。
「子育ての予行演習として子犬を飼えばいい」。
そして迎えたジェニーの誕生日。ジョンが選んだプレゼントは一匹のかわいらしい子犬、
ラブラドール・レトリーバーのマーリーでした。
ところが、いざ飼い始めると大変!
ソファーは食いちぎるし、カーテンは引きちぎり、雷が怖くて一晩中吠え続ける。
誰かれ構わず人には飛び掛かり、ベロベロ舐めて顔中よだれだらけにし、
大切なネックレスを飲み込みはの大騒ぎ。
犬の訓練学校に入れても鬼教官でさえ、これは無理とサジを投げる始末。
ジョンとジェニーの生活はマーリーに振り回されっ放し。夫婦ゲンカのきっかけにもなります。
そんなある日、遂にジェニーが妊娠します。
喜ぶふたりでしたが、悲しい出来事が起こります。ジェニーが流産してしまったのです。
憔悴し切っているふたりをよそに、
マーリーは相も変わらずおバカ振りを発揮して、家中を掻き回していたのでした…。

その後、ジョンとジェニーには待望の赤ちゃんが生まれ、二男一女の5人家族に。
そこには当たり前のようにおバカなマーリーがいたのですが、
気付けば子犬だったマーリーも年老いていく訳です。そう、別れの時がやってきます。
思い返せば、マーリーはジョンたち家族にいっぱいの宝物を残してくれたんだなと。
ジョンとジェニーは幼い子供たちと一緒に振り返ります。
特に犬って人が大好きで、無償の愛ってこういうことなんだよって教えてくれる存在でもあります。
人間より寿命が短いからこそ輝く時間。優しい気持ちにさせてくれる1本です。
監督は「プラダを着た悪魔」のデヴィッド・フランケル。☆3つ。
「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.3.19

「イエスマン “YES”は人生のパスワード」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

またまたやってしまいました。
朝10時の試写を見に行ったら今日じゃなく明日…。
すっごい頑張って起きたのにっ。もうめちゃめちゃ悲しかったです(T_T)。
もうこうなったら信じるのは「早起きは三文の得」!
宝くじを10枚買ってしまいました(笑)。当たるかなぁ(^^;)。
さ、今週は1本です!


「イエスマン “YES”は人生のパスワード」は、ジム・キャリー主演作。
妻と離婚してからというもの、とにかくネガティブで後ろ向きな毎日を送っているカール。
用件を聞く前から彼の答えは決まっていて、とにかく口をつくのは“NO”。
友達からの飲み会の誘いも、隣人との付き合いも、街で配られるチラシもすべて“NO”。
カールの仕事は銀行の貸し付け担当なんですが、
窓口に来た客がどんなに可能性のある事業計画を持って融資を頼みに来ても“NO”。
NO!NO!NO!の人生なんですね。
そんな男にハッピーなことが起ころうはずもなく、銀行での昇進の話は立ち消え、
恋人とイチャつく元妻とバッタリ、挙句の果てには親友との仲も壊れそう。
そんな時、昔の友人ニックと出会います。
満面の笑みを浮かべながら、楽しそうに彼が誘うのはある自己啓発セミナーへの参加でした。
なんとなく足を運んだ会場に現われたのはカリスマと言われる主宰者のテレンス。
彼の呼び掛けに“YES”で答える参加者たち。
そう、このセミナーが掲げる標語は“YES” だったのです。
テレンスが初参加のカールのところにやって来て言うんですね。
「この会場を出た瞬間から、どんなことがあっても“YES”と言いなさい。
もし誓いを破れば災いが起こるだろう」と…。

実際“NO”と口にした瞬間悪いことが起こるから、カールは“YES”と言うようになる。
そして「ええ〜っ」というようなことにまで“YES”と言っちゃうんですね。
友達がおごってと言えば“YES”、休日出勤も“YES”、融資の申し立ても“YES”。
隣りのお婆さんのあんなお誘いにも“Y、YES”(笑)。
でも“YES”が必ずしも幸せを導かない出来事だって当然ある訳ですよ。
ポジティブに生きることを知ったカールはその時果たしてどちらの言葉を口にするのでしょうかというお話。
人生確かにポジティブに生きた方が楽しいけど、
等身大の自分が自分に嘘をついてまでNOをYESと言うのは納得できないなぁ。
なんてまともな解説をしてるようじゃこの作品は楽しめません(笑)。
極端なストーリー設定だけど、
それをジム・キャリーが得意の百面相で表情豊かに演じているから楽しく見られます。
何となく後ろ向きになってるかもというあなたにはカンフル剤になるかもしれませんね。☆3つ。
「イエスマン “YES”は人生のパスワード」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.3.12

「映画は映画だ」☆☆☆☆
「マダガスカル2」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

「おくりびと」が大ヒット上映中ですが、この作品に代表されるように、隠れた名作って多いんです。
でも“隠れた”と言っても自分から隠れた訳じゃない。
みんなが見つけてくれないからいつの間にか隠されちゃっただけ。
そんな作品にスポットライトを当てるのもボクらの使命。
たくさん試写を見て、しっかり評価をして、あなたに伝えなくちゃいけませんね。
どうぞ参考になさって下さいねっ。
さ、今週は2本です!


「映画は映画だ」は、韓国映画。
昔は俳優になりたかったヤクザのガンペ。
手下を引き連れ、街の高級クラブに飲みに行くと、別の部屋に人気俳優のスタがいると知ります。
「サインをもらってこい」と手下をやるのですが、
気位の高いスタは、「サインが欲しいのなら本人が来い」とつっぱねます。
スタの前に現われたガンペ。一悶着あるのは当然。ですが本物の迫力は別格!
「何かあったら連絡しろ」と言い残し、携帯の番号を手渡し立ち去って行くガンペ。
実はスタは新作映画の撮影の真っ最中。
乱闘シーンで相手役のあまりに見え見えの演技にNG連発となり、
腹を立てて相手役を殴り、大怪我を負わせてしまいます。
いくら代役を立てても同じことの繰り返し。
マスコミの批判は元より、誰もスタと共演したがらないから大変!
このままじゃ映画の撮影は中止になってしまう。
そんな時、スタは思い出すのです。
「あいつがいるじゃないか!」。
そう、リアリティなら誰にも負けないガンペのことでした…。

俳優になりたかったヤクザとヤクザを演じる俳優。まさかの運命がふたりを結び付けます。
撮影開始まではもちろん、撮影中も様々なトラブルやアクシデントがある。
なんとかラストまで辿り着いたふたりが、リアリティを持って殴り合う最後のシーン。
男と男を賭けて交わす拳。芽生える友情。しかし…。
ラストに向かう数十分はとにかく圧巻です!
どのようにも取れるタイトルの「映画は映画だ」の意味が、ある種の衝撃と共に、最後にわかります。
ガンペにはソ・ジソブ、スタにはカン・ジファン、韓国のイケメン俳優の競演。
かなり面白かったですョ。☆4つ。
「映画は映画だ」公式サイト


「マダガスカル2」は、ヒットアニメの第二弾。
まだ赤ちゃんライオンだったアレックスが、
群れのリーダーのお父さんから強いライオンになるための訓練を受けていると、
現われたのはボスの座を狙うマクンガ。
「いいか、ちゃんと見ておけよ」。
お父さんとマクンガのが闘いが始まります。そんな争いをよそに、
好奇心旺盛なアレックスはその場を離れ、保護区の外に出てしまいます。
密猟者に捕らえられたアレックス。
お父さんが気付いた時にはもう猛スピードの車の中。親子は離れ離れになってしまったのです。
連れて行かれたのはNYのセントラル動物園。
数年の歳月が過ぎ、今じゃすっかり人気者のアレックスでしたが、
ある日、シマウマのマーティ、カバのグロリア、キリンのメルマンと脱走を謀り、
動物園を飛び出すも失敗。
アフリカに送り帰されるはずが、マダガスカル島に漂着したというのが前回のお話。
今回はなんとか動物園に帰ろうと試みるんですが、またしても失敗。
ただし今回辿り着いたのは、アレックスの故郷、懐かしのアフリカだったのです。
アレックスは両親との再会を果たし、マーティは夢だったシマウマの群れの中で走ることを叶え。
みんなそれぞれにNYにいた時に夢見ていたことを実現させるのですが、何かが違う。
そんな時、ニューヨーカーには厳しい、野生の現実が4人(匹?)を襲ったのでした…。

よくできてましたョ。前作を見てなくても話はわかるし、
人間に例えてごらんという寓話的お話がぎっしり。
家族愛、アイデンティティ、環境問題などなどを、ユーモアたっぷりに描いています。
こういうのは大人も子供も楽しみながら学べる映画だからいいですよね。
お子さんと見たなら、たくさんお話ししてみるのがいいと思います。
これも映画のひとつの使命かな。☆4つ。
「マダガスカル2」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.3.5

「ゼラチンシルバーLOVE」☆☆
「ダウト〜あるカトリック学校で〜」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


年の瀬が近付くと試写も「お正月映画第1弾」と早々に翌年を意識させられるのですが、
今はもう「GW作品」ですからね。
空を舞うみぞれ雪に肩をすぼめながら大型連休を思う。
ボクらの仕事は1年が特に早いのはこんな理由でしょうか?
さ、今週は2本です!

「ゼラチンシルバーLOVE」は、写真家・繰上和美の初監督作品。
コンクリート打ちっ放しのマンションの窓にカメラを据えて、
運河を隔てた向かいの家に住む女を映し続ける男。
女はその細くしなやかな指でゆで玉子の殻を向き、艶やかな唇へと運ぶ。
その映像を大型テレビに映し出す男。
依頼人に頼まれ、盗撮を続けていた男は、
女の謎めいた魅力に次第に魅せられていくのでした…。
矢沢永吉、北野武、井上陽水、キース・リチャーズなど、
数多くのアーティストフォトグラフを手掛けてきた繰上和美。
「一枚の写真もきちんと撮れないのに映画はやれない」と、
映画への思いを20年以上封印してきたと言います。
作品はまさしく写真家の撮ったそれ。
構図はもちろん、寒と暖の色彩の使い分けなど、 こだわりの映像に、
おそらく彼のファンや写真愛好者ならニヤリとするのでしょう。
瞬間を切り取る“写真”というものが
見る人にその前後の因果関係を想像させるように、この映画も多くは語らないのです。
ひとつのこだわりの方法論ですが、
それだけで90分は個人的にはキツかったかなというのが
正直な感想ではあります。☆2つ。
「ゼラチンシルバーLOVE」公式サイト

「ダウト〜あるカトリック学校で〜」は、メリル・ストリープ主演作。
時は1964年。NYのブロンクスにある
カトリック学校のセント・ニコラススクールが舞台。
教会の大聖堂で説教を行なうフリン神父を冷たい視線で見つめるのは、
鉄のように厳格と言われるシスター・アロイシスでした。
伝統的なカトリックの道徳観と信仰心を持つシスター・アロイシスに対し、
フリン神父は革新的で現代風の開かれた教会を作るべきと主張。
ふたりの考え方の相違は明らかだったのです。
シスター・アロイシスは、
若くて純真なシスター・ジェイムズが心配で仕方ありません。
純粋すぎるがゆえに疑うということを知らず、
「疑いの心を持つということは神から遠ざかる行為」と信じていたからです。
例えば、クラスの問題児がよく鼻血を出して学校を早退するのですが、
シスター・アロイシスは「学校をサボるために
わざと鼻血を出しているのでは?」と言います。
「疑うことは確かに神から一歩遠ざかる行為かもしれない。
けれどそれは最終的に神のために為すものなのです」と。
そんなある日のこと、問題は起こります。
学校で唯一の黒人生徒のドナルドがフリン神父に呼ばれ、
その後教室に戻った時、酒の臭いをさせて明らかに動揺していたのです。
シスター・ジェイムズがシスター・アロイシスに報告をすると、
フリン神父を呼び出し、激しく問い詰めます。
フリン神父は、ドナルドが祭礼用のワインをコッソリ飲んでいたと。
このままだとドナルドはようやく手に入れた
司祭のアシスタントの座を明け渡さなくてはならない。
ドナルドがそれだけは許して欲しいと言うので、その対策を話し合っていただけだ。
不適切な行為は一切していないと。
それどころか、逆に黒人であるがゆえに孤独な彼を守っているのは唯一私だけだと主張。
果たして真実はどちらなのでしょうか…。
そんな話に実に様々な伏線が加わっきて、一体どっちが正しいのか、
時が過ぎ、ストーリーが進むに連れて、見る側も右か左か揺れ動くんです。
面白かったですョ。
またメリル・ストリープが“あの顔”ですから(失礼!)、
“鉄の女”の似合うこと(笑)。
フリン神父役のフィリップ・シーモア・ホフマンも裏のありそうな笑顔がいい。
「衝撃の結末を見逃すなっ」。
まさにそんなキャッチコピーがピッタリの1本です。☆4つ。
「ダウト〜あるカトリック学校で〜」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.2.25

「カフーを待ちわびて」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

「おくりびと」がアカデミー外国語映画賞に、
「つみきのいえ」がアカデミー短編アニメ賞に輝きました!快挙ですっ。
最近邦画の興行成績がいいと聞きます。
今回の授賞によってますますモチベーションが上がり、
いい作品が登場する契機になるといいですね。
さ、今週は1本です!

「カフーを待ちわびて」は、沖縄の小さな島を舞台にしたラブストーリー。
青い海と青い空に囲まれた小さな南の島に暮らす明青(あきお)。
明青はカフーという犬と、小さな雑貨屋さんを営んでいました。
悲しい過去を持つせいか、引っ込み思案の明青には恋人もなく。
ユタであるおばあも常に心配していました。
そんな明青の元に、突然一通の手紙が舞い込みます。
差出人は幸(さち)という女性でした。
「絵馬に書いてあったことが本当なら、私をお嫁さんにもらって下さい」。
唐突とも思える文章。
はてと思い返すと、昔、縁結びの神社で遊び心で書いた絵馬があったのです。
「嫁に来ないか。しあわせにします」。
そして島の名前と、自分の名前を記したのでした。
まさかと思いつつも、そわそわする明青。
ある日のこと、カフーと散歩に出たら、垢抜けた都会の女性が浜辺にひとり。
カフーは彼女に駆け寄っていきます。
そしてその女性が明青に聞きます。
「あのぉ、友寄明青さんの家をご存じでしょうか」。
「ぼ、僕ですけど」…。
明青の過去と幸の過去。島の再開発を半ば強引に進めようとするリゾート会社など、
さまざまな要因が渦巻く中、ふたりの恋心は揺れていきます。
あまりにも偶然が重なり過ぎてないかい?と、
設定に異論を唱える向きもあるかとは思いますが、
実際の男女の出会いだって、実はかなりの偶然が働いてるもので。
確かに“そんなわきゃないだろ”的なところもありましたが、
ボクはあまり違和感を感じなかったかなぁ。
というか、何故か許せちゃうのは、
自分もそんな出会いに憧れてるからかもしれませんね(笑)。☆3つ。
「カフーを待ちわびて」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.2.20

「ハルフウェイ」☆☆☆☆
「ロックンローラ」☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

試写が始まって入って来た年配の男性ふたり。なんとボクの隣りに座ってきました。
頭の影はスクリーンに写るは、ヒソヒソ話はするは、
挙げ句の果てに携帯を開いてメールを見始めたので、
横を向いて、思いっ切り舌打ちをしてやりました。
いい年してマナーもわからないのかと、腹が立つ一方で悲しくなりますね。
いつも言いますが、そんな人たちに映画を語って欲しくないですよね。まったく。
さ、今週は2本です!

「ハルフウェイ」は、岩井俊二、小林武史プロデュース、北川悦吏子初監督作品。
北海道の高校に通うヒロは、卒業間近の女子校生。
憧れの同級生シュウのバスケ姿に見とれていると、軽い貧血で倒れてしまいます。
保健室で休むヒロは、付き添ってくれた親友のメメにシュウへの思いを話します。
「なんかね、彼の半径25m以内に近付くとひゅーってなる。こんなんじゃ壊れちゃうよ」。
そこに軽いケガをしたシュウが立っていたことをヒロは知らずにいたのです。
放課後、いつもの帰り道で、今日こそシュウに告白しようと彼を待つヒロ。
そこに現われたシュウ。するとシュウから先に口火を切りました。
「ボクと付き合って下さい」。
そしてふたりは交際を始めます。
順調にいっているように見えたヒロとシュウの仲でしたが、
実はシュウにはヒロに言えない秘密があったのです。
それは東京の早稲田大学に進学を希望しているということ。
地元の大学に進むつもりだったヒロは、それを知って激怒します。
「何で言わなかったの?東京に行っちゃうのにあたしにコクって、
どういうつもり?あたしはどうすればいいんですか?」。
シュウは悩みます。逆にシュウに言ってしまったヒロも悩みます。
卒業まであとわずか。ふたりは果たしてどんな結論を出すのでしょうか…。
制作陣の顔ぶれを見てもわかるように、なんとなく音楽に近いタッチの映画になっています。
ふたりのやり取りがすごく自然なのは、実はすべてのセリフがアドリブだからなのだそう。
照れ臭いけど、初恋って、純粋でこんなだったじゃんと、
青春の1ページを思い出させてくれる効果がそこにはあります。
ピュアだからこそ、ヒロはシュウに東京に行くなと言い、
言ってしまったからこそ悩む。シュウも同様に悩む訳です。
北海道というロケーションがすごく良くって、広い大地、
大きな空がふたりを包んでくれます。
かわいかったですョ。北乃きいちゃん(笑)。
この映画のタイトルが何故「ハルフウェイ」になったのかも劇中でわかります(笑)。
こちらもどうぞお楽しみに!☆4つ。
「ハルフウェイ」公式サイト

「ロックンローラ」は、ガイ・リッチー監督作品。
舞台は再開発の進むロンドン。
ドラッグのようなケチな商売をやるよりも不動産の方が儲かると、
街のギャングたちは矛先を変え、土地や建物の利権を争っていたのです。
その市場に参入するにはこの人を通さなければ何も始まらないという、
昔かたぎの大物ギャングがいました。彼の名はレニー。
汚職役人たちに甘い汁を吸わせるなど手回しは万全。
彼の手に掛かれば、どんなトラブルも電話1本で解決してしまうと言われる実力者でした。
しかし街並みが昔の伝統的ブリティッシュスタイルから変化し始めているように、
暗黒街のルールや方法論も変化し始めていたのです。
腹心のアーチーは「このままじゃ時代の流れに飲み込まれてしまいますぜ」と忠告するのですが、
レニーは耳を貸しません。
そこにロシアの大富豪ユーリが現れ、
ウォーターフロントの商業施設を自分のものにしたいとレニーに持ち掛け、
やっかいな障害を取り除いて欲しいと依頼します。
このユーリというのも実は裏の顔を持つ男。
互いに互いを利用しようと、レニーとユーリの心理戦が始まります。
そこに加わる、妖艶な女会計士、ビッグサクセスを求める街のチンピラたち、
ドラッグ中毒のパンクロッカーなど。
時代は果たして誰に微笑むのでしょうか…。
簡単には話せないほどストーリーは入り組んでいるのだけれど、
それが不思議なくらい理路整然と繋がってくる。面白い!
ユーリがこの仕事が終わるまでと、信頼の証しとしてレニーに預けたのが「幸福の絵」。
ユーリが命の次に大事にしているという絵がそれなんですが、
書斎に飾っておいたところ、忽然と消えてしまう。
それを盗んだパンクロッカーが実はレニーの義理の息子。
この絵を中心にストーリーは回っていき、グチャグチャに絡まった紐が徐々に解けていって、
最後はすべてが1本に繋がるという感じ。
それを元マドンナの夫のガイ・リッチーがユーモアも交えながらスタイリッシュに描いていくんですね。
ガイ・リッチーはロンドンの出身。
変わりゆく故国の様と旧東側諸国の有無を言わさぬ大量資本投下の現実を、
裏社会の物語として描きたかったそう。
うまくできた映画ですョ。続編も匂わすラストだったから、しっかり今見ておかないと。☆4つ。
「ロックンローラ」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.2.16

※こちらのコラムは、先週末公開の分となります。
 更新が遅くなりまして、申し訳ありませでした。(web管理人)

「彼女の名はサビーヌ」☆☆☆
「三国志」☆☆☆☆
「ディファイアンス」☆☆☆☆
「ユッスー・ンドゥール/魂の帰郷」☆☆☆☆
「ラ・ボエーム」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

最近ちょっと忙しくて、試写の本数が正直減ってます。
「これは面白そう…」と気になる作品を見ることができないと、かなりショックなんですよねぇ。
ま、時間は平等に24時間ですから。
うまくやりくりして、頑張ってたくさん見ておきたいと思います。
さ、今週は5本です!

「彼女の名はサビーヌ」は、自閉症の女性のドキュメンタリー。
フランスを代表する女優のひとり、サンドリーヌ・ボネールの初監督作品です。
彼女の実の妹であるサビーヌは、芸術的才能が豊かで、
明るく笑顔の素敵な美しい女性でした。
でもサビーヌは自閉症を患っていたのです。
11人兄弟という賑やかな環境で暮らしていた頃は穏やかだったサビーヌの症状も、
徐々にみんなが独り立ちを始めると孤独感が増し、
兄の死をきっかけに一気に症状が悪化してしまうんですね。
そして入った精神病院。
そこでの5年間の不適切な処置が、サビーヌをまったくの別人に変えてしまったのです。
カメラはその25年間を追います。
残酷なほど別人のようになってしまったサビーヌの姿を映し出した裏には、
きちんと自閉症を認知して欲しいという思いと、
妹サビーヌへの愛情があると、誰もがすぐに気付くはず。
編集作業などの時、監督の目にはきっと涙が浮かんでいたんじゃないかなと思わせる作品です。
☆3つなんて、☆の付けようなど、本当はないのですが…。
「彼女の名はサビーヌ」公式サイト

「三国志」は、昨年から流行の中国歴史物語。
ここではアンディ・ラウ扮する“趙雲”にスポットを当てて物語は進みます。
戦乱の中国。貧しい地方に生まれた趙雲は祖国統一を夢見て、
蜀の君主・劉備に仕えることに。
同じ故郷出身の平安を兄と慕い、戦さの日々を過ごします。
そんな中、次々と手柄を立てる趙雲はぐんぐん重用され、
蜀の五虎大将軍のひとりにまで登り詰めるのです。
有名な“赤壁の戦い”以降も20年無敗を続け、蜀を守り続けてきたのですが、
まさかの裏切りに合い、窮地に立たされてしまうのです…。
同じ「三国志」をテーマにした映画「レッド・クリフ」は、
それぞれの武将をキャラ立てし、ある意味俯瞰で描いているのに対し、
こちらはピンポイントで趙雲を取り上げるという手法。
先に「レッド・クリフ」を観たのですが、
「三国志」をきちんと読んだことのないボクにとっては、
こちらの方が逆にわかりやすかったかなという印象。
もちろんそれぞれに面白さがあるんですよ。
「レッド・クリフ」は一大娯楽作品でもあるのですから。
そのあたりを見比べてみると面白いと思います。興味のある人は是非!☆4つ。
「三国志」公式サイト

「ディファイアンス」は、実話を基にしたストーリー。
1941年、ナチス政権下のドイツは、同盟国であるはずのソ連にまで侵攻。
いわゆる“ユダヤ狩り”を進めます。
両親を殺害され、突然平穏な生活を壊されたビエルスキ3兄弟は、
小さな頃から遊び場にしていたリピクザンスカの森に逃げ込みます。
そこに次々と同胞のユダヤ人が合流し、ひとつの共同体ができあがるんですね。
長兄のトゥヴィアは何としても皆を守ろうといい、
次男のズシュはそれじゃ共倒れになると主張。
しかしトゥヴィアは言うのです。
「生きようとして命を失うなら、それは人間らしい死に方だ」と…。
2時間16分の大作。シンドラーや杉原千畝など、
ホロコーストからたくさんの命を救ったお話はありますが、
ここにもまたひとつそんな物語があったんだよと教えてくれる作品です。
「トゥヴィア兄弟も決して“聖人”ではない」とエドワード・ズウィック監督。
対立し、揉めながら、欠点もさらけ出しつつ、
結果多くの人々の命を守った兄弟の人間臭い部分に興味を抱いたとも語ります。
きっと世界各地にこんな感動秘話がまだあるんだろうなと思わせます。
生きようとする力、諦めない気持ちの大切さを知る一方で、
同時に人間のエゴも嫌というほど見せつけられる作品。
「人間って…」と思わずにはいられません。☆4つ。
「ディファイアンス」公式サイト

「ユッスー・ンドゥール/魂の帰郷」は、アフリカ出身のミュージシャン、
ユッスー・ンドゥールの“音楽ロードムービー”。
世界中でポピュラーな存在となったブラック・ミュージック。
そのルーツをきちんと辿ってみようと、
“ジャズ”をひとつのテーマに世界各地を周り、黒人音楽の根源を探ります。
ユッスー・ンドゥールは、日本だとホンダだったかな?CMで流れていた
「オブラディ・オブラダ」で耳なじみがあるはず。
彼らが最終的に辿り着いたのは、アフリカ西端のゴレ島。
ここは奴隷貿易により、たくさんの黒人の犠牲者が出た場所。
1500〜2000万人の黒人奴隷がアメリカへ送られた、その石の門が“帰らずの扉”。
二度と会えないとわかって見送る家族や友人たちの、
魂の叫びが黒人奴隷と共に海を渡る。
黒人音楽にはそんなルーツがあったのです。
今はお尻をプリプリ振ってる(ようなのが多い)ブラックミュージックですが、
ヒップホップ好きの人も、是非見てもらいたい1本。
こちらもまた考えさせられます。☆4つ。
「ユッスー・ンドゥール/魂の帰郷」公式サイト

「ラ・ボエーム」は、プッチーニ生誕150周年を記念して公開された歌劇。
19世紀初頭のパリ。気ままに生きるボヘミアンたちが暮らす屋根裏部屋が舞台。
ひとつ下の階に住む女性、ミミがローソクの日をもらいに来ると、
詩人のロドルフォが応対。即座にふたりは恋に落ちます。
しかしロドルフォはかなりのヤキモチ焼き。
愛し合っていながら、ありもしないことで言い掛かりを付け、
その嫉妬心の強さゆえにふたりは破局を迎えてしまうんですね。
しかし、そんなロドルフォの行動には、
ミミを思う真実の心が隠されていたのです…。
原作は1843年の「ボヘミアン生活の情景」という小説。
それをプッチーニが1896年にオペラ化したのが「ラ・ボエーム」です。
最初、舞台ではなく映画ですから、
ミュージカルタッチなのかと思ってたら、 さにあらず。
最初から最後まで全編オペラで、歌い通します。正直ちょっとビックリ(笑)。
そんなこと言うと、「何言ってるの。当たり前じゃないの」と、
通の人に叱られそうですが(笑)。
普段オペラに触れないボクにとってこのタイプの映画は少々お腹一杯だったのですが、
試写の帰り際、妙齢の女性がこうおっしゃいました。
「これ、大きなスクリーンで拝見したら素晴らしい作品だと気付くはずざあます」。
“ざあます”はウソですが(笑)、でもなるほどなと。
公開は“国内最大級のスクリーン”がキャッチコピーの
新宿のテアトルタイムズスクエアですから。
たまには高尚なオペラもいかがです?☆3つ。
「ラ・ボエーム」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.2.6

「ハイスクール・ミュージカル ザ・ムービー」☆☆☆☆
「ヘブンズ・ドア」☆☆☆
「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

この前試写で見た『スラムドッグミリオネア』は面白かったですョ。
題材になっている「クイズ・ミリオネア」は日本でもおなじみ。実はボク、3回出てるんです。
大橋巨泉さんのライフラインのテレフォン、
萩原流行さんのスタジオ応援、そして宮川俊二さんのスタジオ応援。
機械はイギリス製で、まったくインチキができないようにできてるんです。
なのに何故、インドのスラムから出て来た少年はあんなに大金を掴むことができたのか!
続きはまた公開週に(笑)。
さ、今週は3本です!

「ハイスクール・ミュージカル ザ・ムービー」は、
アメリカのディズニーチャンネルで大人気のドラマの映画化。
イースト高校に通う青春真っ直中の若者たち。彼らにも卒業の季節がやってきました。
「このまま時が止まればいいのに」。それはみんなの共通の思い。
バスケット部のスター選手であるトロイもそう。大学でバスケを続けるためには、
恋人のガブリエラとは1053マイルも離れた遠距離恋愛になってしまうし、それと同時に、
自分はこのままバスケットだけでいいのだろうかという疑問も顔をのぞかせ始めていたのです。
そんな時、卒業演目としてやるミュージカルが、
ジュリアード音楽院の奨学生審査の対象にもなっていると。
その候補に、自ら応募した3人、女優志望で超自己中オンナのシャーペイ、
その双子の弟で振り付けが得意なライアン、音楽担当のケルシーともうひとり、
先生がトロイを推薦していたのです。
この時トロイはまだ自分の可能性に気付いていなかったのでした。
卒業記念のプロムの相手探しも一大イベント。
トロイは当然ガブリエラを誘い、ガブリエラも快諾するのですが、
進路への迷いや置かれる環境の違いへの不安から、二人は仲違いをしてしまいます。
ホントなら一番大切にしなくてはならないこの時期を、
ガブリエラはトロイと離れて暮らす訓練だと、大学の体験入学の方へと行ってしまうのです。
実はミュージカルで一番張り切っていたのはガブリエラだったのに。
さぁ果たして二人の恋の行方は?
そしてみんな自分たちの進むべき道を見つけられるのでしょうか…。
わかり易くて良かったです。みんな経験している青春の希望と不安。
TVドラマを知らなくても全然大丈夫です。
それぞれの登場人物にそれぞれファンがいるんだろうなと感じるほどキャラが立っていながら、
ちっともごちゃついていないのがさすが。
見ている側が生徒たちを応援してるんだけど、
気が付いたらこっちが応援されてたと感じるような映画です。
ミュージカル映画のライバル「マンマ・ミーア!」のオープニング興行成績を抜いたとか。
ボクもこっちに軍配かな。☆4つ。
「ハイスクール・ミュージカル ザ・ムービー」公式サイト

「ヘブンズ・ドア」は、長瀬智也、福田麻由子主演作。
青山勝人(まさと)、28歳。ミュージシャンの夢を諦め、
バイトも長続きしないこの男に、突然の異変が襲います。
割れるような頭の痛み。
病院に行くと、耳を疑うような医師の診断が。
「脳腫瘍。今すぐに命を失ってもおかしくない状況です」。
余命あと3日。
ベッドに横たわる勝人の前に、ひとりの女の子が現れます。14歳の少女、春海。
彼女も先天性の病気で7歳から入院。彼女もまた余命1ケ月。
外のことを何も知らない春海にとって、勝手気ままに生きてきた勝人の話は興味深く、
深夜に忍び込んだ厨房でテキーラを一気飲み!
「おい、今天国で一番熱い話題って知ってるか?海だよ。海。
 みんな海の話で持ち切りなんだぜ」。
「あたし、行ったことない」。
「じゃあ行くか、海!」。
こうしてふたりは病院を抜け出します。
そして玄関に停まっていた超高級スポーツカーを盗み、一路海を目指したのです…。
タイトルからすると、お腹いっぱいの悲恋モノかなと思ったんだけど、さにあらず。
基になる作品があって、それは97年の同名のドイツ映画。
そちらは共に余命いくばくもない二人の男が主人公。
今回はその設定が28歳の男と14歳の少女に変わったということなんです。
この年齢設定ですから、勝人は春海に妹的感情を抱き、一方の春海はというと、
勝人に兄以上の気持ちを抱いていたかもしれませんね。
正直、勝人の慇懃無礼な振る舞いに感情移入ができない部分はありますが、
春海との出会いによって人間性を取り戻したとしたら、
それはまさに“天国への扉”だったのかもしれません。
原作を見たという方は見比べてみて下さいね!☆3つ。
「ヘブンズ・ドア」公式サイト

「ベンジャミン・バトン/ 数奇な人生」は、
ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの主演作。
生まれた時がしわしわのおじいちゃんで、
歳月が流れて行くに従って若返って行くという
不思議な運命のもとに生まれたベンジャミン・バトン。
何故、彼はそのような定めのもとに生きなければならなかったのか。
その人生にどんな意味があるのかを質す映画です。
あんまり書きませんね。つまんなくなっちゃうといけないので。
ボクはすぐさま元モー娘。の加護亜依ちゃんを思い出しました。
小学校高学年で芸能界のトップに立ち、その頃から大人のような扱いを受け、
年を重ねるたびに世の中とのズレを本人は確認していた訳ですよね。
なんかちょっと重なる部分があるんじゃなかろうかと。
もしボクがプロデューサーだったら、コマーシャルは加護ちゃんで決定だな(笑)。
どんな内容で、ラストはどうなるのか。どうぞご自身の目で確かめて来て下さい。☆3つ。
「ベンジャミン・バトン/ 数奇な人生」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.1.28

「マンマ・ミーア!」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

朝10時の試写に積極的に行くようにしてるんですが、この回は布団から出る自分自身との熾烈な戦い(笑)。
シャワーを浴びるところまで行っちゃえば大丈夫なんですが、そこまでに天使と悪魔が囁き合うのです。
「ほら、行かないともうスケジュールが合わなくなるかもよ」と天使。
「起きたってどうせ映画の途中で寝ちゃうんだろ」と悪魔。
勝率は7割5分ぐらいかな(笑)。頑張らないとね。
さ、今週は1本です!

「マンマ・ミーア!」は、
アバの大ヒット曲を多数フィーチャーした超人気ミュージカルの映画化。
ギリシャのリゾート、エーゲ海に浮かぶカロカイリ島。
ドナはそこで小さなホテルを経営しているシングルマザー。
20歳の娘ソフィの、明日はうれしい結婚式。ドナはパーティの準備に大忙しでした。
ところがソフィにはどうしても気になることがあります。それは自分の父親のこと。
「わたしのお父さんはどんな人なんだろう。パパと一緒にバージンロードを歩きたいのに」。
そんなソフィが偶然、ドナの日記を発見します。
悪いと知りつつ、自分が生まれる前後のページをめくると、父親候補は3人!
建築家のサム、銀行マンのハリー、冒険家のビル。
この中の誰かがパパなんだと確信したソフィは、
ドナに内緒で結婚式の招待状を、ドナ名義で送るんですね。
もちろん誰もソフィが自分の娘かもしれないとは思っていないので、
懐かしい昔の彼女に会いに3人とも島にやって来たのです。
ドナも元彼がいっぺんに3人も現れたのにはビックリ!
果たしてソフィーの本当の父親は判明するのでしょうか…。
理屈抜きで楽しむには十分な作品です。おなじみの曲が目白押しですからね。
ただ、はじめにアバの曲ありきなので、なんとなく台詞と歌の“のりしろ”の部分は気になるかなぁ。
ミュージカルの監督、脚本、製作の女性3人がそのまま携わっているので、
舞台の熱を下げることなくスクリーン上に映し出しているんですけどね。
ちなみにアメリカでは、歌詞が字幕で出て来ればみんなで歌えるのにとのお客さんの声に応えて
“Sing-a-Longバージョン”なるものが上映され、
巨大カラオケボックス化した劇場に多くのリピーターが殺到してるとか。
パーティムービーとして楽しんで下さい。1月30日金曜日公開です。☆3つ。
「マンマ・ミーア!」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.1.22

「足寄より」☆☆☆
「ジョッキーを夢見る子供たち」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

今週の2本は作品云々よりも、ファンや愛好家以外にいかに広がるかがカギだと思います。
どっちもご縁があるので本当はたくさん☆を付けたいんだけど、そこはニュートラルに。
それでは今週の2本です!

「足寄より」は、松山千春の半生を描いた映画。
昭和50年、全国フォーク音楽祭の北海道大会が札幌で行われました。
そこに現れたひとりの若者が、20歳の松山千春。
田舎もの丸出しの彼の姿に会場は失笑。
ところが臆するどころか、会場を一喝。そして歌ったのが「旅立ち」でした。
観客を魅了し、審査員も実力は認めたものの、
時代はおしゃれなニューミュージックが主流の頃。
彼の態度も含め、賞を与えようという審査員はほとんどいなかったのです。
ただひとりを除いては…。
そう、そのひとりの男性こそ、STVラジオのディレクター、竹田健二。
運命の出会いでした。
松山千春にとって、時に厳しく、時に優しい兄貴のような存在。
お父さんが小さな町の新聞社を営んでいる環境も手伝ってか、
自分というものをしっかり持っていた松山千春。
でもそれが逆に強過ぎる自己主張にもなっていたのですが、
きちんと叱ってくれるのも竹田さんだけでした。
その竹田さんが倒れます。
恩返しもできないままに迎えた恩人の死。
「そのうち…」じゃダメなんだと、人生に待ったはないんだぞと、
最後の最後まで、体を張って教えてくれたのかもしれません。
物語は感動の作品なんですが、
例えば何度もカットインする足寄の風景が同じ写真だったりするあたり、
映画の完成度としてはちょっと減点が必要かも。
それを補うのが、松山千春のお父さん役を演じた泉谷しげる。
この人の寡黙な演技が作品をピリッと引き締めています。
そこにポイントをプラスしてかな、☆3つ。
「足寄より」公式サイト

「ジョッキーを夢見る子供たち」は、
フランスの騎手志望の子供たちを追いかけたドキュメンタリー映画。
フランスの国立騎手厩務員養成寄宿学校。
今年の新入生はあどけなさの残る14歳の少年少女が約30名。
この中で、成績のいい生徒にはジョッキーへの道が開かれるのですが、それはほんの一握り。
初めて馬に跨がった子は馬に遊ばれて、猛スピードで持っていかれてしまいます。
逆に何をしようがまったく動いてくれない時もある。
「もう嫌だっ」。
馬の上でベソをかいていた生徒たちも、日に日に上達していくのでした…。
新入生の中から、スティーヴ、フロリアン、フラヴィアン、
3人の男子生徒にスポットを当てて話は進みます。
朝は早いし、馬は怖いし、仕事は厳しいし。
女の子とも遊びたいし、ヘアスタイルも気になるし(笑)。
見習い騎手戦に出走する子もいれば、遅れを取る子もいます。
でもそんな落ちこぼれの代表のようなスティーヴが言うんですね。
「好きだから辞めないよ」。
この言葉に、夢に向かって頑張る人のすべてが集約されているような気がしません?
カメラを回したのは映画「皇帝ペンギン」の撮影カメラマン。
ペンギンと同じぐらい辛抱強さが必要な撮影だったと思います。
ただ競馬に携わってるボクでもちょっとわかりづらいところがあるので、
パンフレットを買ってフランスの騎手課程の仕組みを頭に入れてから観た方がいいかも。
その辺をニュートラルにジャッジして、
ホントはもっと☆をあげたいけど、こちらも☆3つ。
「ジョッキーを夢見る子供たち」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.1.15

「劇場版 カンナさん大成功です!」☆☆☆
「ザ・ムーン」☆☆☆☆☆
「プライド」☆☆☆
「ヘルライド」☆☆☆
「ラーメンガール」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

15日木曜日に、来週末公開のフランス映画「ジョッキーを夢見る子供たち」の試写会で、
トークショーの司会をやってきます。
お相手は武豊騎手と、フランスで調教師資格を取った小林智さん。
映画は来週のここで、トークショーの感想はブログで書く予定。どうぞお楽しみに!
さ、今週は5本です!

「劇場版 カンナさん大成功です!」は、韓国で一足先に映画化された、
日本の人気コミックの映画化です。
超美人の神無月カンナ。彼女には秘密がありました。
その秘密とは?ブスで愚図だった自分にサヨナラし、
憧れの浩介に接近しようと全身整形を施したのです。
計画は見事に成功し、浩介の務めるアパレル会社の受付嬢として就職します。
ある日、社内のデザインコンテストがあり、カンナが応募すると見事入賞!
ところがそれを超えるデザインを描いていたのは昔のブス仲間のカバコだったのです。
もうひとり“本物の”美人と3人で新ブランドの立ち上げを任されるカンナ。
しかし、カンナと敵対する勢力が、カンナは整形だと嗅ぎ付けたのでした…。
カンナに山田優、カバコに南海キャンディーズの静ちゃん。
韓国映画は、人気カリスマシンガーと口パク担当歌手の物語。
口パクの彼女が全身整形をしてデビューするという話でしたが、
こちらはアパレル業界が舞台となっています。
山田優ちゃん、大熱演です!
コメディー女優のように表情筋のすべてを使って(笑)演技をしてます。
これがTOO MUCHと感じるかどうか、かな。
最初ボクは受け付けなかったんだけど、頑張ってるんだなぁと思ったら許せちゃいました(笑)。
女の子の友情物語でもあります。男性より女性向きかも。☆3つ。
「劇場版 カンナさん大成功です!」公式サイト

「ザ・ムーン」は、アポロ計画で月に行った宇宙飛行士たちのドキュメンタリー映画。
1960年代から70年代初頭にかけて進められた、アメリカのアポロ計画。
東西冷戦の最中、有人宇宙飛行の分野で
当時のソビエト連邦に遅れを取っていたアメリカは、ケネディ大統領の、
「わが国は60年代が終わるまでに人類を月へ送り、地球に無事帰還させる」
という議会演説をきっかけに、この一大プロジェクトに突入します。
人生観をガラリ変えてしまうという宇宙への旅。
いくつか宇宙飛行士たちの言葉をご紹介しましょう。
「遠く離れた月で親指を立てると、親指の裏に地球が隠れる。
すべてが隠れる。愛する人たちも、仕事も、地球自体の問題もすべてが隠れる。
我々は何と小さな存在だろう。だが何と幸せだろう。
この肉体を持って生まれてきて、この美しい地球で人生を謳歌することができて」。
「地球は生き生きとして雄大で、その存在は偶然の産物にしては美し過ぎる」。
「圧倒されるような経験だった。そして気付いた。
己の肉体の分子も、宇宙船の分子も、クルー仲間の肉体の分子も、
その原型ははるか大昔に宇宙で作られたものだと。
すべてはつながっていて一体なのだと。他と私ではなく、万物はひとつなのだと」。
いかがです?
月は果てしなく広がる砂漠と闇。完全なる無の世界だと言います。
宇宙もしかりで、そこに太陽に照らされた青い美しい地球が浮かんでいる。
その姿はまさに奇跡なんでしょうね。
宇宙計画の最大の平和利用は、対立する国や宗教のリーダーをみんなロケットに乗せて、
宇宙から地球を見せてやることじゃないかなって、ボクはいっつも思ってます。
こんな話もあります。
「地球に戻った時、ショッピングセンターに行った。
アイスを食べながらエスカレーターを降りる人を見て、地球に生まれて良かったと思った。
人間は何故不平を言うのか?エデンの園にいるのに」。
数々の犠牲の上に成り立った偉業でもあります。
なにやら月の地下資源を狙ってるなんて話もありますが、
人類があまりに間違えた方向に行かないことを望むばかりです。
本当にいい映画です。是非見てみて下さい!満点の☆5つ!
「ザ・ムーン」公式サイト

「プライド」は、一条ゆかりの人気漫画の映画化。
お金持ちのお嬢様である史緒のところに、
ハウスクリーニングのアルバイトでやってきた萌。
ふたりは共に音楽大学でオペラを学んでいるのですが、
学校のレベルも、家庭や経済環境も大違い。
そんな史緒の部屋で有名オペラ歌手の来日公演のチケットを見つけた萌は大興奮。
「もしよかったら差し上げるわ」という史緒の言葉に、
萌は頭を下げて一緒にオペラ観賞となりました。
会場でも一流の音楽家と談笑する史緒の姿を見て、
メラメラと嫉妬の念が込み上げてくる萌。
「どうしてアタシはこんな運命なの?」。
萌はそれから史緒をライバル視するようになります。
音楽留学を懸けたレコード会社のコンテスト。
そこで見せた萌の貪欲さと歌の実力は、
のちに史緒を震え上がらせるほどのものだったのです…。
亡き母に一流オペラ歌手を持つ史緒と、飲んだくれの母に恨みすら抱く萌。
しかし互いに互いの実力は認めていて、何かと火花を散らして行きます。
史緒にはステファニーが、萌には元Folder5の満島ひかりが扮します。
昼ドラにも似た理不尽なドロドロ感でしたが(笑)、
それが逆に最後まで飽きさせずにスクリーンに釘付けにさせるはず。
昼メロ好きにはお勧めかも。☆3つ。
「プライド」公式サイト

「ヘルライド」は、クエンティン・タランティーノ制作総指揮のバイカームービー。
対立する2つのグループ、ヴィクターズとSIX SIX SIX。
ヴィクターズの幹部が殺されたことに端を発した今回の抗争は、
内部の裏切りなどもあり、血で血を洗う激しい戦いになっていきます。
その中で見えてくる様々な真実。それによってまた、男たちの絆は強くなっていくのです…。
60〜70年代に掛けてたくさん作られた低予算映画。いわゆる“B級ムービー”。
その中でも人気を博したのがバイカームービーでした。
革ジャンを羽織り、ハーレーに跨がり、
酒と女とドラッグとロックンロールをこよなく愛する男たち。
そんなハチャメチャなパワーが今のこの時代に必要だろうと、タランティーノは考えたそう。
ベタな作品ですが、行き切っちゃってる感と、狙った古臭さ、B級感は逆に魅力かも。
本国では2週間で打ち切られたとか(笑)。
そう言われると逆に見てみたくなりません?☆3つ。
「ヘルライド」公式サイト

「ラーメンガール」は、ラーメンが題材のハリウッド映画。
アビーは、恋人のイーサンを追いかけて日本にやってきます。
喜んでくれると思いきや、「重い」と言われて、
イーサンはアビーの前から姿を消してしまいます。
傷心の彼女の前にあったのが一軒のラーメン屋さん。
日本語もわからない彼女が泣きながら飛び込んだその店は、
もう閉店していたにも関わらず、アビーにあったかいラーメンを出してくれたんですね。
不思議と心温まる食べ物、ラーメン。
アビーは決意します。この料理を作ることが私の天職だと…。
アビーはこの店に見習いで弟子入りするのですが、初めは雑用ばかりで、
ラーメン作りをまったく教えてくれません。日米のしきたりの違いです。
時に挫けつつも、めげずに頑張るアビー。
そんな頑固なラーメン屋の親父に西田敏行が扮します。
ボクは昔このセットの前を歩いて通ってました。
ガードマンに聞くと、「ハリウッドのラーメン映画」だと。
その時は“??”でしたが、これを見てわかりました。
アビーは最後まで日本語を学ばず、コミュニケーションがうまく取れません。
あれだけ頑固親父なら、「まず日本語を勉強しやがれっ」と言うはずなのに(笑)。
その辺が日本人には違和感を感じるかも。外国の人にはどうでしょう?
脚本を手掛けたベッカ・ポトルの日本滞在経験からできた作品だとか。
日本のよき文化や厚い人情が世界に伝わるといいですね。☆3つ。
「ラーメンガール」公式サイト

 
 


 
 
 週末公開の映画……2009.1.9

「サーチャーズ2.0」☆☆
「チェ 28歳の革命」☆☆☆☆
「泣きたいときのクスリ」☆☆
「ミーアキャット」☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)

今週、今年初試写に行ってきました。
隣りに座った映画評論家さんが、もうひとつ隣りの人とヒソヒソ話。
耳をそば立てると、
「去年は480本。あとちょっとで500だったんだけどね。
 でもいい文章を書こうと思ったら、MAX300だね」。
そりゃそうですよねぇ。ボクが去年は160本。その3倍って考えたら正直ゲップが出そう(笑)。
でも常に言うように“駄作を知って、名作を知る”です。
今年も時間の許す限り試写に足を運びたいと思います。今年もよろしくお願いします!
さ、今週は4本です!

「サーチャーズ2.0」は、カルトムービーの鬼才と呼ばれる
アレックス・コックスのコメディー映画。
日雇い労働者のメル。
道端で手配師の車を待っていたのですが、前回分の賃金が支払われていないとクレームを付け、
結局今日の仕事にはありつけず。
トボトボと歩き始めると、近くのアパートから聞き覚えのある西部劇のメロディーが。
実はメル、子役としてその映画に出演していたのです。
ドアをノックして出て来た男も、なんとその映画に出ていたフレッドだったのです。
思い出話に花を咲かせるふたり。
すると、脚本家のフリッツに虐待を受けたことを思い出すんですね。
その瞬間、TVにフリッツのサイン会のCMが。
「行くぞっ」。
ふたりは復讐の旅に出るのでした…。
メルの娘も巻込んでのロードムービーなんですが、ごめんなさい、
何が面白いんだかサッパリわかりませんでした。
かなりアメリカの今を皮肉ってるそうですが…。
お国柄の違い?それともカルト系のセンス無し?一度も笑うことなく上映はお終い。
お笑いに解説はタブーだけど、誰か笑うところを教えて下さい。☆2つ。
「サーチャーズ2.0」公式サイト

「チェ 28歳の革命」は、アルゼンチン生まれの革命家、チェ・ゲバラを描いた作品。
1955年、ラテン・アメリカの貧しい人を救いたいと南米大陸を旅していた
アルゼンチン出身の医師、エルネスト・ゲバラは、
独裁政権に苦しむ祖国キューバを救わんとするフィデル・カストロとメキシコで出会います。
たった82人の兵でキューバに乗り込み、2万人の政府軍と闘うという
とんでもない作戦に乗ったゲバラは、“チェ”という愛称で軍医として参加。
キューバを目指します。
カストロから与えられた任務。それは“大都市サンタクララの陥落”でした…。
最近この人の名前をよく耳にしますよね。
あのブッシュ大統領に靴を投げ付けたイラク人ジャーナリストが崇拝してたのも
確かこのチェ・ゲバラでした。
裏切り者には容赦は無いが、規律を守り、若い兵士に読み書きを教え、
女性、子供には優しく、農民に礼を尽くす。
根底にあったのは人々が平等に暮らせる社会を築くことだったといいます。
この映画はそんなチェ・ゲバラのキューバ革命での活躍を描いています。
ただし、社会主義礼賛ではなく、
人としてのチェの“志”にみんなが尊敬の念を抱いてきたんだという部分を大きくクローズアップ。
庶民感覚を忘れ、こんなご時世に我が身かわいいと選挙の話をする日本の政治家には
義務としてこの映画を見せたいくらいですよね。まったく。
ちなみにこれは2部作の第1部。
次回作でこの人の、真の革命家としての姿がより一層わかるようです。
話題の人物を学ぶには持ってこいの1本です。☆4つ。
「チェ 28歳の革命」公式サイト

「泣きたいときのクスリ」は、FMの人気ラジオドラマの映画化。
田舎の単線列車の駅“泣き薬師駅”。この列車と駅を使う人たちの物語。
列車の中で何故か号泣している中年男性。
それを怪訝そうに見る女子高生たち。
同乗のOLとサラリーマンは、よく人前で泣けるものだと遠巻きに見ているだけ。
でもみんなホントは泣きたいのに。泣けば楽になるのに。
妹を亡くした悲しみから立ち直れないお兄ちゃん。
廃駅になる泣き薬師駅の駅員さん。
みんな一生懸命、日々を生きているのです…。
JFN系(地方ネット)の各局でOAされた全36話のショートストーリーが評判で、
それを映画化しようということになったそう。
ハートウォーミングな話にしたいのはわかるけど、ちょっと作り過ぎの感が否めませんでした。
リアリティの薄い話がいくつも並行して進むから、ちょっと現実離れし過ぎちゃったかな。
タイトルからも「泣かせてくれるんだろうな」って期待して行っちゃうからね。
これって意外と損なんですョ。
ラジオから生まれた作品だけどここは厳しく。☆2つ。
「泣きたいときのクスリ」公式サイト

「ミーアキャット」は、BBC製作のドキュメンタリー。
『ミーアキャット』、食肉目マングース科。
体長約30センチで、アフリカのカラハリ砂漠など、砂漠の低木林に生息。
必ず群れで生活をしていて、
敵対する群れとの縄張り争いや身内の抗争が盛んであることから、
見た目のわかいらしさとは対照的に“動物界のギャング”と呼ばれたりもします。
そんなミーアキャットのひとつの家族にスポットを当ててみました。
コロは生後3週間のミーアキャット。真っ暗な巣穴から、今日初めて外に出ます。
そこにいるのはたくさんの家族たち。
天敵から身を守るため、みんなが協力して生活しているのです。
ところがコロは好奇心旺盛で、群れから離れてひとりで遠くに行ってしまいます。
子守役のお兄ちゃんは大変!でもコロが遠くで鳴いているのを聞くと、
すべてを放り出しても迎えに来てくれるお兄ちゃん。
虫の取り方も、大好きなサソリの食べ方も、みんなお兄ちゃんが教えてくれました。
しかし、コロが夢中になって餌を頬張っている時、
お兄ちゃんは突然襲って来た鷲にさらわれてしまったのです。
もう頼れるお兄ちゃんはいないんだ。
コロにとっては厳しい現実でした…。
ミーアキャットと聞いて思い出すのは、スッと立って、みんなで同じ方向を向いている姿。
あれ、お腹のとこだけ毛がなくて、あそこにいっぱい太陽の光を浴びて、体を温めるんだそう。
“動物界のソーラーパネル”と言われてるんだとか。
またお兄ちゃんがコロに教えていたように、
成長と共に段階的に難易度を上げて行く教育法を取るのは、
哺乳類だと他に人間しかいないんだって。
へぇ〜という話がいっぱい。
みんな頑張って生きてるんだって、勇気づけられるはずです!☆3つ。
「ミーアキャット」公式サイト