週末公開の映画……2020.2.21
『うたのはじまり』★★★★
『チャーリーズ・エンジェル』★★★
『ミッドサマー』★★★
『恋恋豆花(れんれんどうふぁ)』★★★

(満点は★★★★★)


新型コロナウイルスの影響で、「閉鎖された空間が嫌」となると、映画館も打撃が大きいかもしれませんね…。
とにかく、ボクら一人一人が、保菌者にならないように心掛ける。うがい、手洗い、マスクがあればマスクをする。それしかないですもんね。
お互い、気をつけましょう。
さ、今週は4本です!

『うたのはじまり』は、“ろう”の写真家夫婦のドキュメンタリー。

齋藤陽道は、聴覚に障がいを持つ“ろう”のカメラマン。
音楽の授業でも、先生から、「齋藤はいいから」と自分だけ飛ばされて、歌が大嫌いになったと言います。
彼にとって、疑問と向き合うための表現手段こそが、写真でした。
そんな陽道の妻、麻奈美も“ろう”の写真家。
そんなふたりの間に、息子が生まれます。“健聴者”でした。ふたりは息子に“樹”と名付けます。
陽道が樹をあやすうちに、ふと口をついた子守歌。陽道が嫌いなはずの、その“うた”で、樹は泣きやみ、スヤスヤと眠りにつきます。
「うたって、歌ってなんだろうなといつも思うのですが、今日、より思います」。
監督の河合宏樹と筆談で交わした、陽道の言葉です。

ドキュメンタリーです。
途中、「それはないだろう…」と思うような他人の言動もありますが、監督はどんな思いで、そこをカットせずに残したのか。発言者が叩かれないか、ちょっと気になったシーンもありましたが、映画は監督の作品ですから。
でも、ひとつ。
樹は、言葉より先に“手話”を覚えたと。
陽道から、自然と“うた”が口をついたように、樹は自然と“手話”を覚えた。
親と子の在りように、感動を覚えたシーンです。
そのまま、優しい人に育って欲しいなと、切に祈ります。
そう、“うた”は本能に根ざした“祈り”にも似ているのかもしれませんね。☆4つ。
「うたのはじまり」公式サイト


『チャーリーズ・エンジェル』は、すべてを一新した人気シリーズの再映画化。

巨大テクノロジー企業に勤める、天才プログラマーのエレーナ。
彼女が開発したのが、持続可能な革命的エネルギー源の“カリスト”でした。
ところが、エレーナの上司たちは、これを軍事転用すればケタ違いの利益になると、“カリスト”を売却しようとしていたのです。
危険を感じたエレーナは、国際機密企業のチャーリー・タウンゼント社に助けを求めるんですね。
チャーリー・タウンゼント社で特殊訓練を受けたエリート女性エージェントこそが、“チャーリーズ・エンジェル”たち。
司令塔のボスレーがエレーナのもとに送り込んだのは、変装と潜入の名手のサビーナと、元MI6で武器のエキスパートのジェーンでした。
遂には、命を狙われるまでになったエレーナを守り、悪のたくらみを阻止するため、美しく、強い女性たちが、動き始めたのです…。

1976年に、全米でTV放映されると、瞬く間に大人気となり、2000年には最初の映画化が、2003年には第2弾となる続編が公開された『チャーリーズ・エンジェル』。
セクシーで、強い女性にノックアウトされた男性も多かったはず。
実は、その時々の女性像が描かれてもいる作品で、TVシリーズの頃のウーマンリブの時代から、女性が力を合わせようという前回の映画シリーズの時代。じゃ、現代は?というと、機会さえ与えられれば、女性は何でも出来るんだという、女性の力そのものを表現しています。
男の“こズルさ”も描かれていて(笑)、昔からのシリーズ・ファンには、「へっ?まさか、ウソでしょ?」という展開も。
ちなみに、脚本・監督は、女優としても人気のエリザベス・バンクス。司令塔のボスレーとして、自身も出演しています。
さらに主題歌は、アリアナ・グランデ、マイリー・サイラス、ラナ・デル・レイが初コラボ。チャーリーズ・エンジェルさながらの超豪華トリオです。☆3つ。
「チャーリーズ・エンジェル」公式サイト


『ミッドサマー』は、白夜のスウェーデンが舞台の“フェスティバル・スリラー”。

ダニーとクリスチャンは、同じ大学に通う恋人同士。
しかし、ふたりの仲は破局寸前。クリスチャンの心は、既にダニーから離れていたのです。
ダニーには精神的に不安定な妹がいて、その妹が両親を道連れに一家心中をはかります。一瞬にして身内をすべて亡くしてしまうダニー。
ちょうどその頃、クリスチャンは、ダニーに内緒で旅行に行く計画を立てていました。
その旅行とは、スウェーデンからの交換留学生であるペレの故郷で、90年に一度行われるという浄化の“祝祭”に参加しようというもの。
下心もある男同士の旅に、ハッキリ言って女性のダニーは邪魔でしたが、状況が状況だけに、彼女も誘うことにするクリスチャンたち。
総勢5人でスウェーデンに着くと、人里離れた奥地に、ペレが生まれ育った小さな共同体がありました。
“ホルガ”と呼ばれるその村では、共通の白い衣服を身にまとった村人たちの優しい笑顔が、ダニーらを迎えます。
沈まない太陽、咲き誇る花々、陽気に歌い、舞うダンス。
しかし、時が経つに連れ、何かがおかしいと感じ始めるんですね。それこそが、想像を絶する悪夢の始まりだったのです…。

“フェスティバル・スリラー”とは、もらったプレス資料にあった言葉。
普通、スリラー映画は暗闇と共に進行するものですが、この映画の舞台は太陽が沈まない白夜の村。それも、美しい花々や、優しい笑顔の中で展開するからこそ恐ろしい…と。
アリ・アスター監督の過去の作品についての解説があったのですが、それを知ると、この映画がよく理解出来ると思います。
逆に、知らないで見ると、理解するのは少々難しいかも。
かなりショッキングな内容なので、ここに書くのは避けますが、アリ・アスター監督の過去の作品を検索してみて下さい。
ダニーの絶望こそ、監督自身らしいです…。☆3つ。
「ミッドサマー」公式サイト


『恋恋豆花(れんれんどうふぁ)』は、台湾のグルメロードムービー。

大学生の奈央。
父の3度目の結婚が決まり、新しく母になる綾とふたりで、1週間の台湾旅行を勧められます。
距離を近づけたい綾は超乗り気ですが、奈央は気持ちが重たいだけ。
ところが、台湾に着くと、とにかく美味しいものを食べようと話題の台湾グルメの店をハシゴしまくります。
飲茶やスイーツに、ほっぺたが落ちそうになる奈央。時にぶつかりながらも、ふたりは徐々に打ち解けていきます。
そんな時でした。日本に残った父が、軽い交通事故にあったとの連絡が入ります。
綾は帰国しますが、奈央はそのまま残って、台湾ひとり旅。そこで奈央を待っていたのは、素敵な出会いたちでした…。

主演は、『風の電話』での好演も話題となった、モトーラ世理奈。
「ママはね…」と話しかけてくる綾に違和感を覚えながらも、甘いものを前にするとニコ〜ッとなってしまう、多感な年頃の女子大生を上手く演じています。
旅は人を成長させるもので、たくさんの人との出会いが、奈央の人生観を変えていくんですね。
台北、台中、台南と、台湾縦断の旅。
これから台湾旅行に行く人は、ガイドブックを買うより、この映画を見るほうがいいかも(笑)。台湾の魅力が満載です。☆3つ。
「恋恋豆花」公式サイト
 
 
 
 
週末公開の映画……2020.2.5
『37セカンズ』★★★★
(満点は★★★★★)


先日、ボクのブログを読んで下さってる方から、映画のコラムを楽しみにしていると言われました。
「メジャーじゃないものをたくさん紹介してくれてるから、うれしい」と。
ありがたい言葉です(^-^)。
例えば、月イチぐらいで映画を見る人が「何を見よう」となった時、そりゃ、話題作に行きますよね。それは仕方のないこと。
お金の掛かった話題作も面白いけど、他にもあるよという選択肢になればと思ってます。
と言っても、映画評論家の皆さんと比べたら、数は少ない、少ない。ホント、雲泥の差。
それでも一生モノとの“出会い”って、そんな中にあったりもしますから。
さ、今週は1本です!

『37セカンズ』は、障がいを持つひとりの女性の“生きる”物語。

23歳のユマは、身体に障がいを抱える女性。
離婚をし、シングルマザーになった母の恭子が、常に面倒を見てくれるのですが、それが成人したユマにとって、たまに息苦しく感じるのも事実。
ユマは漫画を描くのが得意で、親友の人気少女漫画家、SAYAKAのゴーストライターとして収入を得ています。
SAYAKAの作品は、ほとんどがユマの手によるもの。なのに、ユマにはまったくスポットライトが当たらない。名声も、多くのお金も、みんなSAYAKAのもの。
ユマも自分自身の名義で頑張ってみたいと、編集者に新しい作品を見せるのですが、「先生の作品に似過ぎてますね」と言われてしまいます。
落ち込んだユマが、公園の片隅で見つけたもの。それは、アダルトコミックの雑誌でした。
思い切って、編集部に電話をしてみると、「原稿を持ってきて」と。ユマはセクシーなシーンも描いたSFコミックを仕上げて、出版社を訪れます。
対応したのは女性編集長。
車椅子姿のユマを見て、「リアリティがないんだよね。作家に経験がないと、いい作品は作れないの」と言われてしまいます。
しかし、その言葉が、ユマの人生を変える一歩を踏み出す、大きなきっかけとなったのです…。
タイトルの『37セカンズ』とは、“37秒”のこと。
ユマが生まれて来る時、息をしていなかった時間です。
その結果、身体に障がいを抱えてしまった。そんなユマを、実際、出産時に障がいを負った佳山明が演じています。
監督のHIKARIは、健常者の女優ではなく、「ユマはどこかに必ずいる」と、オーディションから佳山明を見つけたと言います。
試写状が届いた時、最初はドキュメンタリーかと思いましたが、フィクションなんですね。
でも、様々な現実を知ることになる。

介護に携わるのは介護福祉士だけじゃない、障がいを持つ人の性の問題に対処する人もいる。
漫画だって、少女コミックだけじゃない、アダルトコミックもある。
母の愛情も、友の友情も…。
みんな表と裏があって、実はどちらも“真”。
でも、みんな表ばかりを見ようとするから、事実が見えない。
障がい者も、健常者も、悩みの形が違うだけで、生きるって大変なんだって。そう、誰もが何かしらの問題を抱えながら、懸命に生きてるはずなんです。その“事実”には、障がい者も健常者もないと思うんですね。
一歩踏み出した後のユマから、多くのことを学んだ気がします。
佳山明の体当たりの演技に、感動するはずです。★4つ。
「37セカンズ」公式サイト
 
 
 
 
週末公開の映画……2020.1.29
『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』★★★
『母との約束、250通の手紙』★★★
『バッドボーイズ フォー・ライフ』★★★

(満点は★★★★★)


試写を行う試写室は、決して広くはない、閉ざされた空間。咳をしてる人がいると、気になってしまって、映画に集中出来なくなってしまいます。今は、新型コロナウイルスが心配ですもんね。
自分が逆に心配を掛けないように、感染はもちろん、風邪にも気を付けないといけません。
さ、今週は3本です!

『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』は、謎解きミステリー。

人気ミステリー作家のハーラン・スロンビー。数々のベストセラー小説で、大金を稼いだ大富豪です。
彼の85歳の誕生日を祝おうと、一族が集まります。
パーティに参加したのは、以下のメンバー。
長女リンダと夫のリチャード、その息子のランサム。
亡き長男の妻ジョニと、娘のメグ。
次男ウォルトと妻のドナ、その息子のジェイコブ。
ハーランの年老いた母ワネッタ。
そして、ハーランの専属看護師マルタ。
みんなキャラクターの強い面々です。
ところが、翌朝、ハーランは、自室で遺体となって見つかります。
第一発見者は、屋敷の家政婦フラン。
自殺か、他殺か。莫大な遺産はどうなるのか?
1週間後、匿名の依頼が名探偵ブノワ・ブランの元に届いたとして、2人の警察関係者と共に屋敷を訪れます。
果たして、事件の真相やいかに…。

殺人事件なら、そこにいるすべてに犯人の可能性がある。その犯人捜しが、コミカルに、またシリアスに行われていきます。
名探偵ブノワ・ブランに、『007』シリーズのジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグ。
長女の息子で、放蕩息子のランサムに、『アベンジャーズ』シリーズのキャプテン・アメリカ役のリス・エヴァンス。
誕生日の翌日に遺体で見つかるハーラン・スロンビーには、『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐役だったクリストファー・プラマー。
他にも豪華な俳優陣が出演しています。
「楽しすぎて、脳みそが、痛い」なんて評価がありましたが、そこまでかどうかは、おそらく笑いのツボ次第(笑)。
社会風刺も散りばめた、凝った謎解きであることは間違いありません。★3つ。
「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」公式サイト


『母との約束、250通の手紙』は、実在のフランス人作家、ロマン・ガリの私小説「夜明けの約束」の映画化。

1950年代半ば、LAのフランス総領事で小説家のロマン・ガリは、妻レスリーとメキシコ旅行に来ていました。
旅先で、具合が悪そうにしながらも、執筆を止めないロマン。
病院に向かう車の中で、レスリーはロマンの鞄の中から書きかけの原稿をそっと取り出し、目を通すと、そこにはロマンと、母ニナとの壮絶な時間が書かれていたのです。
モスクワからポーランドに入った、ユダヤ系母子に人々は決して優しくなく。それでも母は息子を焚き付けます。
「お前はフランスの大使になるんだ」。
「将来、トルストイに、ヴィクトル・ユゴーのような文豪になる」。
時に、詐欺まがいの商売をしながら金を稼ぎ、母子はフランスのニースに転居。ロマンはパリの大学に入り、小説家を目指します。
母に糖尿病がわかった頃、ロマンはフランス軍に入隊。母からは励ましの手紙が毎日のように届きます。
ロンドンへ赴任したロマンは、次にアフリカへ行き、リビアでは腸チフスで入院しますが、どこに行こうと、週に一度は母からの手紙が必ず届いていたのです。
そして、戦地で書き上げたロマンの長編小説「白い嘘」が、遂にイギリスで出版されることになり、喜び勇んで、母の入院先を訪れるのですが…。
今だったら、過干渉で、母子の関係は絶対上手くいかないだろうなというくらい、母は息子を愛し、夢と将来を語り。いや、語るというより、決めつけ、洗脳し。
息子はそれでも、そんな母の言葉が支えとなっていきます。

実話であることがすごい…。
史上唯一、フランスのゴンクール賞を2度受賞し、文豪と呼ばれ、外交官にもなった。つまり、母の言葉通りの将来を獲得したわけですもんね。
なんとなく想像の出来るラストではありましたが、母の愛の深さ、子を持つ母親の強さを、改めて感じました。
事実、試写の後、母の顔が見たくなり、実家に帰ったぐらいですから。★3つ。
「母との約束、250通の手紙」公式サイト


『バッドボーイズ フォー・ライフ』は、マイアミ市警のマイクとマーカスの、人気コンビによるシリーズ最新作。

マイアミ市警の敏腕刑事マイクと相棒のマーカスは、“バッドボーイズ”を名乗る名物コンビ。
ところが、年齢も年齢となり、マーカスは家族の心情を思い、引退を決意するんですね。
一方のマイクは、ハイテク捜査班のAMMOに配属を命じられます。
生意気な若手とぶつかる毎日に、ストレスが溜まるマイク。
実はその頃、犯罪王の女囚イサベルが、20年間、虎視眈々と狙っていた脱獄を実行に移し、まんまと成功させます。
その裏には、獄中で産んだ、息子のアルマンドが関わっていました。
冷酷な殺し屋に育ったアルマンドに、イサベルは“復讐”を命じます。
リストに書かれた警察関係者が次々と殺害されていく中、リストには、なんとマイクの名前も。
イサベルとアルマンドの復讐の魔の手は、確実にマイクに伸びていたのでした…。
ウィル・スミスとマーティン・ローレンスのコンビで、95年の『バッドボーイズ』、03年の『バッドボーイズ 2バッド』に続く、シリーズ最新作です。

あれから17年。少しは丸くなってる…はずもなく(笑)。
でも、マーカスには初孫が生まれますから、時の流れを感じますよね。
マイクはモテ男なので、そのあたりも今作のいい味付けになってます。
いくつになっても、モテる男はモテる。熟年男性の“憧れ”と言いたいけれど、さすがにあれだけのムチャは出来ませんから。マーカスのほうが、まだ現実的かな(笑)。
とはいえ、ファンにとって、コンビ解消は寂しいもの。さらなる続編を期待したいですね。★3つ。
「バッドボーイズ フォー・ライフ」公式サイト
 
 



 
 
週末公開の映画……2020.1.22
『風の電話』★★★
『シグナル100』★★★

(満点は★★★★★)


1月に入って、積極的に試写会へ。
実は、2月半ばから3月は、また忙しくなりそうなんです。
時間が許す今のうちに、たくさん見ておこうと思ってます(^-^)
さ、今週は2本です!


『風の電話』は、岩手県大槌町に実在する“風の電話”と呼ばれる電話ボックスをモチーフにした映画。

東日本大震災で家族を失った、高校生のハル。
震災後は、伯母を頼って、広島に住んでいたのですが、その伯母が突然倒れてしまいます。
病院で昏睡状態の伯母を見舞ったたハルは、あてもなく歩き始め、泣き疲れて倒れてしまいます。
そこに軽トラックで通りかかった公平という男性が、ハルを助けます。
公平は、年老いた母との二人暮らし。そこでハルは、広島で起こった悲しい過去を聞かせられるんですね。
公平に駅まで送ってもらったハルでしたが、自宅とは逆方向の電車に飛び乗ります。ハルの心は、故郷の岩手県大槌町を目指していたのです…。
“風の電話”は、大槌町在住のガーデンデザイナー、佐々木格さんの自宅の庭に実際にある、電話線の繋がっていない電話ボックス。
天国にいる大切な人に繋がる電話として広まり、震災以降、3万人を超える人々が訪れたと言います。
ハルが広島から岩手まで、ヒッチハイクで旅をする中で、様々な人々と出会いながら成長していく、ロードムービー。
生家に着き、今は家の基礎だけになった自宅跡ではしゃぐハルの姿は切なく、“風の電話”に辿り着いて、受話器を手に、天国の両親に語りかける場面は、実際の被災者の皆さんには、ボクらの比じゃない悲しみの感情が沸き起こるんだろうなと。
旅の途中、ハルが出会う人々に、三浦友和、西田敏行、西島秀俊。豪華俳優陣が顔を揃えました。

実は、この映画の試写会に、ハルを演じた主役のモトーラ世理奈さんが来ていて、ボクらに混じって、自身の映画を見ていました。
上映後に、チラッと顔を見たら、泣いてました。★3つ。
「風の電話」公式サイト


『シグナル100』は、橋本環奈主演のサスペンス・ホラー。

聖新学園高校3年C組は、男女合わせて36人のクラス。
ある日のこと、担任の教師が、クラス全員を視聴覚教室に呼び集めます。
そこで生徒たちが見せられたのは、意味のわからない不気味な映像。それは、自殺催眠の映像だったのです。
この自殺催眠は、日常の行動が発動の契機である“シグナル”に。
スマホを使う、涙を流す。何でもない行動が引きがねとなり、壮絶な死に方で、次々と自ら命を落としていったのです。
そのシグナルは全部で100個。催眠を解くには、最後のひとりになること。つまり、35人のクラスメートが死に絶え、自分だけが残る以外に、助かる方法はないというのです。
謎を明かすことのないままに、先生はベランダから飛び降りてしまいます。
教室は、恐怖とエゴが渦巻く、絶望の空間へと変わっていったのでした…。

原作・宮月 新、作画・近藤しぐれの人気コミックの実写映画化。
もちろん学校の敷地外に出るのもシグナル。外に助けを求めることは不可能です。
次は自分かもしれない。シグナルは一体何なのか。
恐怖の中で、なんとか、みんなで助かる方法を見つけようとするのですが…というお話。

人が死ぬ映画があんまり得意じゃないので、「う〜ん」という感じですが(笑)、発想は確かに面白いですよね。
人間の醜さが、あちらこちらに。もちろん、これはフィクションですが、一向に無くなることのない現実社会でのイジメも、根っこにはこんな醜い人間の素性があるんだろうなと思ってしまいます。
絵空事と笑ってばかりもいられません。★3つ。
「シグナル100」公式サイト
 
 
 
 
週末公開の映画……2020.1.15
『記憶屋 あなたを忘れない』★★★
『太陽の家』★★★★
『東京パラリンピック 愛と栄光の祭典』★★★
(満点は★★★★★)


2020年最初の映画紹介です。
評価の星を、白から黒に変えてみました。今更ですが、こっちのほうが見やすいかなと(笑)。
今年も、時間の許す限り、たくさん試写を拝見したいと思ってます。
単館ものも多いので、“お宝探し”のように読んでもらえるといいかも。
さ、今週は3本です!


『記憶屋 あなたを忘れない』は、映画『ツナグ』、ドラマ『JIN―仁―』、『天皇の料理番』などで知られる、平川雄一朗監督最新作。

大学生だった遼一が、恋人の杏子にプロポーズすると、戸惑いながらもOKが。幸せの絶頂にいたふたり。
ところが、翌日から杏子と連絡が取れなくなり、何日か経って、駅で見かけた杏子に声をかけると、杏子は遼一を「どちらさまですか?ちょっと、やめて下さい」と拒むのでした。
その頃、ネット上で、都市伝説的に話題になっていたのが“記憶屋”。人の記憶を消せると言います。
遼一は、今回のことが記憶屋の仕業じゃないかと、記憶屋について調べを進めていきます。というのも、子供の頃、幼なじみの真希が、目の前で記憶の一部を無くしたのを見たことがあったから。
「記憶を消せる人間がいるのは間違いない」。
すると、大学で講義をしていた弁護士の高原も、ある事情から記憶屋を探していました。
ふたりは協力して、記憶屋に会うために、奔走するのですが…。

シリーズ累計50万部、織守きょうやの人気小説を実写映画化した作品。
ミステリーのエッセンスと、恋愛や、親子の情など、普遍的要素が上手く絡まった内容となっています。
ただ、この手のタイトルの作品で、この監督となると、「泣けるっ」的な期待感を大きく抱いてしまうじゃないですか(笑)。ボクも『ツナグ』では、号泣しましたから。
でも、あまりそっちのハードルを高くしちゃうと、泣けないかも。
“謎解きファンタジー”の映画として見ると、たぶん面白いんじゃないかと思います。
おそらく、“人の記憶を消す”力に、功罪の“罪”を強く感じる人が多数だからじゃないかなぁ。『ツナグ』のように、“亡くなった人と繋ぐ”力は“功”のイメージなんでしょうね。
あなたはどう感じるか。ご覧になってみて下さい。★3つ。
「記憶屋 あなたを忘れない」公式サイト


『太陽の家』は、長渕剛、20年振りの映画主演作。

川崎信吾は大工の棟梁。
妻の美沙希、娘の柑奈との3人で、仲睦まじく暮らしていました。
ある日のこと、建設中の現場にひとりの女性が通りかかります。保険の営業レディ、芽依です。
芽依に誘われ、ほいほいとついていく信吾。案の定、保険の契約をさせられてしまうんですね。
独身女性かと思っていた芽依ですが、実はシングルマザー。息子の龍生は父親を知りません。
すると、信吾の中の男気に火がつき、「龍生を一人前の男にしてやる」と宣言。
初めは引っ込み思案の龍生でしたが、次第に信吾に心を開いていきます。
そこで、信吾は約束します。
「俺はお前たちに家を建ててやるからな」と…。

久し振りに、俳優・長渕剛を見ました。
カリスマ然としてしまってからは、気難しいイメージばかりが先行していましたが、やっぱりいい味を出す役者です。
年頃の娘の柑奈が“お兄ちゃん”と慕う、一番弟子の高史に、瑛太が扮するのですが、パンチパーマに剃り込みを入れ、眉毛も細く、鋭く、剃り。瑛太だと言われなければ、わからないかも。そんな役者魂に、凄みすら感じてしまいました。
この映画は“ひっぱたく映画”。
登場人物には、様々な葛藤があります。そんな中で懸命に生きているからこそ、ぶつかることがある。時には手をあげることも。
体罰を肯定するつもりは、さらさらありませんョ。ただ、本当に愛のある痛みなら、きちんと届く。ボクはそう思っているんですね。
この映画でも、よくひっぱたき、ひっぱたかれます。
誰かをひっぱたいた信吾が、今度は女房の美沙希にひっぱたかれる。
「あぁ、そうか。そういうことか…」と、あくまで邪推?ですが、この映画に込めた長渕剛の思いを推し測ってみたりもしました。
そういう意味では、昭和の匂いのする1本です。時代のギャップが、受け入れられるのかどうかも興味深いところです。★4つ。
「太陽の家」公式サイト


『東京パラリンピック 愛と栄光の祭典』は、55年振りに復活上映されるドキュメンタリー映画。

1964年、東京オリンピックが熱狂のうちに終わり、戦後の日本が、世界に成長した姿を見せた後、もうひとつの国際スポーツ大会が幕を開けました。「国際身体障害者スポーツ大会」、愛称“東京パラリンピック”です。
パラリンピックとは、下半身麻痺を表す“パラプレジア”と、オリンピックを組み合わせたもの。当時は下半身麻痺の選手を対象としたスポーツ大会でした。
“パラリンピックの父”と呼ばれる、イギリスのグッドマン博士は、初めて障がい者治療にスポーツを取り入れたひとり。博士の発案の下、「障がいがあっても、やればやれるんだ」と、オリンピックと同時期に、パラリンピックは開かれることになりました。
映画に登場する日本の選手も、リハビリの一環ですから、練習は病院の中。そして、大会では、明るい海外の選手団に驚かされます。
その姿を見て、「イギリスでは、80%もの障がい者が社会復帰して、税金を納めている。我々は年金、つまり税金を食う存在。社会福祉制度の違いがある」と、社会復帰への意欲を取り戻していったと言います。
モノレール、首都高、東京タワーが誇らしげな、1964年、昭和39年の東京の風景。
今の上皇、上皇后両陛下が、皇太子、皇太子妃でいらした頃のお姿も映し出されます。
貴重なフィルムです。オリンピック、パラリンピックイヤーの今年だからこそ、見ておきたいドキュメンタリー作品です。★3つ。
「東京パラリンピック 愛と栄光の祭典」公式サイト